(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明を適用できる部品実装機10について、
図1を参考にして説明する。
図1は、本発明の実施形態の静電結合方式非接触給電装置1を適用できる部品実装機10の全体構成を示した斜視図である。部品実装機10は、基板に多数の部品を実装する装置であり、2セットの同一構造の部品実装ユニットが概ね左右対称に配置されて構成されている。ここでは、
図1の右手前側のカバーを取り外した状態の部品実装ユニットを例にして説明する。なお、図中の左奥側から右手前側に向かう部品実装機10の幅方向をX軸方向とし、部品実装機10の長手方向をY軸方向とする。
【0011】
部品実装機10は、基板搬送装置110、部品供給装置120、2つの部品移載装置130、140などが機台190に組み付けられて構成されている。基板搬送装置110は、部品実装機10の長手方向の中央付近をX軸方向に横断するように配設されている。基板搬送装置110は、図略の搬送コンベアを有しており、基板をX軸方向に搬送する。また、基板搬送装置110は、図略のクランプ装置を有しており、基板を所定の実装作業位置に固定および保持する。部品供給装置120は、部品実装機10の長手方向の前部(
図1の左前側)及び後部(図には見えない)に設けられている。部品供給装置120は、複数のカセット式フィーダ121を有し、各フィーダ121にセットされたキャリアテープから2つの部品移載装置130、140に連続的に部品を供給するようになっている。
【0012】
2つの部品移載装置130、140は、X軸方向およびY軸方向に移動可能ないわゆるXYロボットタイプの装置である。2つの部品移載装置130、140は、部品実装機10の長手方向の前側および後側に、相互に対向するように配設されている。各部品移載装置130、140は、Y軸方向の移動のためのリニアモータ装置2を有している。
【0013】
リニアモータ装置2は、2つの部品移載装置130、140に共通な軌道部材3および補助レール155と、2つの部品移載装置130、140ごとのリニア可動部4で構成されている。軌道部材3は、本発明の固定部の一部に相当し、リニア可動部4は本発明の可動部に相当する。軌道部材3は、リニア可動部4の移動方向となるY軸方向に延在している。軌道部材3は、底板31および両方の側板32、33からなり(
図2示)、上方に開口する溝形状になっている。軌道部材3の向かい合う側板32、33の内側には、Y軸方向に沿って複数の磁石34が列設されている。
【0014】
リニア可動部4は、軌道部材3の溝形状の内部に移動可能に装架されている。リニア可動部4は、可動本体部160、X軸レール161、および実装ヘッド170などで構成されている。可動本体部160は、Y軸方向に延在しており、その両側面には軌道部材3の磁石34に対向して推進力を発生する電機子が配設されている。電機子は、通電されて磁界を発生するコイル41(
図2示)と、磁界の磁力を強めるためのコア(図示省略)とを含んで構成されている。X軸レール161は、可動本体部160からX軸方向に延在している。X軸レール161は、一端162が可動本体部160に結合され、他端163が補助レール155に移動可能に装架されており、可動本体部160と一体的にY軸方向に移動するようになっている。
【0015】
実装ヘッド170は、X軸レール161に装架され、X軸方向に移動するようになっている。
実装ヘッド170の下端には図略の吸着ノズルが設けられている。吸着ノズルは、負圧を利用して部品供給装置120から部品を吸着採取し、実装作業位置の基板に実装する。部品の実装作業を行うために、
実装ヘッド170には複数の電気負荷が装備されている。X軸レール161上に設けられた図略のボールねじ送り機構は、ボールねじを回転駆動するX軸モータを有しており、
実装ヘッド170をX軸方向に駆動する。X軸モータやリニアモータ装置2のコイル41も、リニア可動部4上の電気負荷に含まれている。
【0016】
部品実装機10は、他に、オペレータと情報を交換するための表示設定装置180および、基板や部品を撮像する図略のカメラなどを備えている。
【0017】
次に、部品実装機10に装備された実施形態の静電結合方式非接触給電装置1について、
図2を参考にして説明する。
図2は、実施形態の静電結合方式非接触給電装置1を概念的に説明する構成断面図である。
図2の紙面表裏方向がリニア可動部4の移動方向であり、かつ、軌道部材3の延在方向である。図示されるように、軌道部材3は、鉄やアルミニウムなどの金属導電材料製の底板31および両方の側板32、33からなり、上方に開口する矩形の溝形状に形成されている。軌道部材3は、接地線35で大地Gに接地されて安全性が確保されている。リニア可動部4は、軌道部材3の溝形状の内部に移動可能に装荷されている。
【0018】
2枚の給電用電極51、52は、軌道部材3の側板32、33の外側面の外側に離隔して配置され、絶縁支持体6で側板32、33に支持されている。給電用電極51、52は、側板32、33にほぼ等しい大きさの矩形の金属製薄板である。絶縁支持体6は、例えば、比誘電率が小さい特性を有する樹脂などの電気絶縁材料で形成されている。給電用電極51、52と絶縁支持体6との間、および、絶縁支持体6と側板32、33との間は、それぞれ接着などにより固定される。
【0019】
給電用電極51、52と側板32、33とが離隔対向する空間は静電結合領域となり、好ましくない寄生静電容量C1が形成される。この静電結合領域の一部に、絶縁支持体6が配設される。本実施形態において、絶縁支持体6は、リニア可動部4の移動方向と直角な断面において給電用電極51、52の幅方向の両端に離隔してそれぞれ配設されている。これにより、静電結合領域の残部が空隙Eとされる。
図2では、給電用電極51、52の幅方向寸法の両端を除いた中央の半分以上の静電結合領域、換言すると高さ方向の上部及び下部を除いた中間高さの静電結合領域が空隙Eとなっている。
【0020】
絶縁支持体6は、例えば、
図3及び
図4に示される形状および配置とすることができる。
図3は線状絶縁支持体61がリニア可動部4の移動方向に延在する第1配置例の部分斜視図であり、
図4はチップ状絶縁支持体62がリニア可動部4の移動方向に点在する第2配置例の部分斜視図である。
図3の第1配置例で、絶縁支持体6は、断面矩形で細長い2本の線状絶縁支持体61とされている。2本の線状絶縁支持体61は、リニア可動部4の移動方向のほぼ全長にわたり連続的に延在し、給電用電極51、52の2つの長辺を連続的に支持している。また、
図4の第2配置例で、絶縁支持体6は、小さな直方体形状の多数のチップ状絶縁支持体62とされている。多数のチップ状絶縁支持体62は、リニア可動部4の移動方向に2列に離散的に並んで点在し、給電用電極51、52の2つの長辺を離散的な多数の箇所で支持している。線状絶縁支持体61およびチップ状絶縁支持体62は、給電用電極51、52の電極形状の範囲内で線対称かつ点対称に配設されている。
【0021】
なお、絶縁支持体6の形状、大きさ、個数、および配置は、
図3および
図4の例に限定されない。つまり、使用時に発生する各種の機械的応力や電気的応力に対抗して給電用電極51、52の平坦度を確保する支持力を得られる範囲で、絶縁支持体6を小形化、少数化することが好ましい。また、各種応力に対抗する観点から、絶縁支持体6を線対称または点対称に配置して、支持力を偏らせずに給電用電極51、52の全体に均等に配分することが好ましい。
【0022】
図2に戻り、高周波電源回路7は、固定部側に配設されている。高周波電源回路7は、例えば、100kHz〜数MHz帯の高周波電力を2個の給電用電極51、52の間に給電する。高周波電源回路7の出力電圧および出力周波数は調整可能とされており、出力電圧波形として正弦波や矩形波などを例示できる。高周波電源回路7の出力ラインと、軌道部材3を含んだ大地Gとの間には、寄生静電容量Cgが存在している。
【0023】
一方、リニア可動部4には、2枚の受電用電極81、82が設けられている。詳述すると、
図2に示されるように、リニア可動部4の側面の上端寄りから外向き水平に支持体83、84が張り出している。支持体83、84の端部には、下向きに延在する板状の絶縁支持体85、86が結合されている。各絶縁支持体85、86の軌道部材3に対向する面にそれぞれ、受電用電極81、82が配設されている。2枚の受電用電極81、82は、リニア可動部4の概ね全長にわたって配設されているが、給電用電極51、52よりも格段に短い。2枚の受電用電極81、82は、それぞれ軌道部材3の給電用電極51、52に離隔対向して平行配置される。これにより、給電用電極51、52と受電用電極81、82との間にそれぞれコンデンサが構成され、静電結合方式の非接触給電が行われる。
【0024】
リニア可動部4には、受電回路9および前述した電気負荷が装備されている。2個の受電用電極81、82は、受電回路9の入力端子91に電気接続されている。受電回路9の出力端子92は電気負荷に電気接続されている。受電回路9は、受電用電極81、82が受け取った高周波電力を変換して、電気負荷に給電する。受電回路9は、電気負荷の動作電圧仕様に合わせて回路構成されており、例えば、全波整流回路やインバータ回路などが用いられる。
図2には、電気負荷としてコイル41のみが例示されているが、実際には受電回路9は多数の電気負荷に給電する。
【0025】
また通常、給電容量および給電効率の向上を図るために、直列共振回路が用いられる。つまり、高周波電源回路7の出力周波数で直列共振が発生するように、高周波電源回路7内または受電回路9内に共振用インダクタが挿入接続される。共振用インダクタとして、一般的にはコイルを用いる。共振用インダクタは、給電用電極51、52および受電用電極81、82で構成されるコンデンサに対して直列接続される。共振用インダクタのインダクタンス値は、直列共振回路の出力周波数におけるインピーダンスの虚数部がゼロになるように定められている。さらに、高周波電源回路7の出力周波数も、共振周波数に一致するように可変に調整される。
【0026】
リニアモータ装置2について追加説明すると、磁石34は、軌道部材3の側板32、33の内側面に配設されている。一方、コイル41は、リニア可動部4の側面に配設され、磁石34に対向している。また、リニア可動部4の張り出した支持体83、84の下面の途中にはそれぞれ、直線状の移動を可能とするボール軸受部87、88が配設されている。両方のボール軸受部87、88により、リニア可動部4は、軌道部材3の側板32、33の上部に移動可能に装架されている。
【0027】
上述のように構成された実施形態の静電結合方式非接触給電装置1では、2種類の寄生静電容量C1、Cgにより、軌道部材3および大地Gを経由するリーク回路が形成される。リーク回路の経路として、例えば、高周波電源回路7の電源ラインの一方から給電用電極51を経由し、寄生静電容量C1を介して軌道部材3及び大地Gを経由し、寄生静電容量Cgを介して高周波電源回路7の電源ラインの他方に戻る経路を例示できる。したがって、高周波電源回路7から給電用電極51、52に電力が供給されると、リーク回路の複数の経路にリーク電流が流れ、電力ロスが発生する。リーク電流の大きさは、高周波電源回路7の出力周波数および寄生静電容量C1、Cgに依存して変化する。電力ロスの大きさは、リーク電流の大きさに加え、リーク回路中の抵抗分の大きさに依存して変化する。
【0028】
次に、上述のように構成された実施形態の静電結合方式非接触給電装置1でリーク電流を従来よりも低減する作用について説明する。
図5は、従来技術の静電結合方式非接触給電装置1Zを概念的に説明する構成断面図である。なお、比較を容易にするため、従来技術においても、部品実装機10に搭載されかつリニア可動部4Zに非接触給電する構成を想定する。
【0029】
図5に示されるように、従来技術では、2枚の給電用電極51Z、52Zは、軌道部材3Zの底板31Zの内底面の上側に離隔して配設され、絶縁板6Zで底板31Zに支持されている。実施形態と異なり、絶縁板6Zは、給電用電極51Z、52Zと底板31Zとが離隔対向する静電結合領域のほぼ全体に充填されており、空隙は殆どない。給電用電極51Z、52Zと軌道部材3Zとの間には、好ましくない寄生静電容量C2が形成される。また、給電用電極51Z、52Zの幅寸法を確保する必要から、軌道部材3Zの幅寸法WZが実施形態の幅寸法Wよりも大きくなっている。一方、2枚の受電用電極81Z、82Zは、リニア可動部4Zの底面に絶縁板89を介して配設されている。
【0030】
また、リニアモータ装置2の磁石34は、実施形態と同様に軌道部材3Zの側板32Z、33Zの内側面に配設されている。一方、コイル41は、リニア可動部4Zの側面のうち受電用電極81Z、82Z及び絶縁板89に邪魔されない上部に限定されて配設されている。これにより、従来技術のリニア可動部4Zの高さは実施形態の高さより大きくなっている。さらに、リニア可動部4Zが入り込む軌道部材3Zの高さ寸法HZも、実施形態の高さ寸法Hより大きくなっている。つまり、実施形態では、軌道部材3の幅寸法Wおよび高さ寸法Hが従来技術よりも削減されている。
【0031】
なお、従来技術において、高周波電源回路7.受電回路9、およびボール軸受部87、88の構成は実施形態と同様であり、電気的な接続方法も実施形態と同様である。
【0032】
ここで、実施形態および従来技術で寄生静電容量C1、C2を模式的に考えて、その大小関係を比較する。
図6は、
図2および
図3の実施形態で、
給電用電極51と軌道部材3の側板32との間に形成される寄生静電容量C1を模式的に説明する図である。また、
図7は、
図5の従来技術で、
給電用電極51Zと軌道部材3Zの底板31Zとの間に形成される寄生静電容量C2を模式的に説明する図である。説明を簡易にするために、両者の静電結合領域はともに、電極対向面積Sと電極間距離dとの積で表わされる領域で一致しているものとする。また、
図6の実施形態では、
図3に示された線状絶縁支持体61を考える。さらに、実施形態の線状絶縁支持体61および従来技術の絶縁板6Zは同じ電気絶縁材料で形成されており、その比誘電率εiであるとする。
【0033】
図6の実施形態において、1本の線状絶縁支持体61が静電結合領域内で占める面積S1とする。すると、空隙Eの占める面積S2は、全部の電極対向面積Sから面積S1を2個分差し引いたものになる(S2=S−2・S1)。また、寄生静電容量C1は、3つの平行板コンデンサが並列接続されて構成されているとみなせるので、次式により求めることができる。ただし、ε0は真空の絶対誘電率、εaは空隙E(空気)の比誘電率である。
【0035】
一方、
図7の従来技術において、寄生静電容量C2は、単一の平行板コンデンサとみなせるので、次式により求めることができる。
【0037】
したがって、実施形態における寄生静電容量の低減率Rdc(=C1/C2)は次式で表される。
【0039】
低減率Rdcは、空気の比誘電率εaが電気絶縁材料の比誘電率εiよりも小さいことから、必ず1よりも小さくなる。例えば、εa≒1、εi≒3、S1=20%のとき、低減率Rdc=0.6になる。つまり、実施形態の寄生静電容量C1は、従来技術の寄生静電容量C2の60%まで低減される。さらに、
図4に示されたチップ状絶縁支持体62を用いればその占める面積が減少するので、低減率Rdcはさらに顕著に低減される。なお、高周波電源回路7の出力ラインと大地Gとの間の寄生静電容量Cgは、実施形態および従来技術で著変しない。
【0040】
以上説明したように、実施形態では、寄生静電容量C1を従来技術の寄生静電容量C2よりも格段に低減でき、リーク電流を低減できる。したがって、実施形態の静電結合方式非接触給電装置1によれば、電力ロスが減少して、非接触給電の給電効率を従来よりも向上できる。換言すれば、部品実装機10のリニアモータ装置2のコイル41および実装ヘッド170上の電気負荷に対して、従来技術よりも高効率で非接触給電することができる。加えて、線状絶縁支持体61やチップ状絶縁支持体62に用いる電気絶縁材料の使用量を減らせるので、材料費を削減できる。
【0041】
また、線状絶縁支持体61やチップ状絶縁支持体62は、給電用電極51、52の幅方向の両端に離隔してそれぞれ配設され、かつリニア可動部4の移動方向に延在または点在して配設されている。さらに、線状絶縁支持体61やチップ状絶縁支持体62は、線対称かつ点対称に配設されている。これにより、実施形態では給電用電極51、52を支持する支持力が偏らずに配分され、給電用電極51、52の平坦度が確保されて給電性能が安定する。
【0042】
また、実施形態では、軌道部材3の側板32、33の内側面をリニアモータ装置2の駆動に用い、外側面を非接触給電に用いるので、内外両面を十分に利用して軌道部材3を小形軽量化できる。さらに、軌道部材3Zの底板31Zの内底面を非接触給電に用いる従来技術と比較してリニア可動部4の高さを削減できる。これにより、リニア可動部4は、装架位置となるボール軸受部87、88の周りの慣性モーメントが小さくなる。したがって、実施形態では、リニア可動部4が加減速するときなどに発生しがちな振動を抑制できる。
【0043】
なお、給電用電極51、52および絶縁支持体6、61、62の形状および配置は、上述の実施形態に限定されない。例えば、
図5に示される従来技術で、絶縁板6Zを線状絶縁支持体61またはチップ状絶縁支持体62に置き換えて他の実施形態とすることができる。他の実施形態では、給電効率を向上する効果が生じ、軌道部材3Zを小形軽量化することはできない。また、給電用電極51、52や受電用電極81、82は金属製に限定されず、導電性高分子で形成されたプラスチック電極や樹脂製芯体の表面に金属皮膜を形成した電極などを用いてもよい。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【0044】
上述の実施形態は、導電材料で形成されて接地された固定部(軌道部材3)に電気的に絶縁して配設された給電用電極51、52と、給電用電極51、52に高周波電力を給電する高周波電源回路7と、固定部に移動可能に装架された可動部(リニア可動部4)に配設され、給電用電極51、52に離隔対向して非接触で高周波電力を受け取る受電用電極81、82と、受電用電極81、82が受け取った高周波電力を変換して可動部上の電気負荷に給電する受電回路9と、を備えた静電結合方式非接触給電装置1であって、固定部と給電用電極51、52との間で寄生静電容量C1が形成される静電結合領域の一部に、電気絶縁材料で形成されて給電用電極51、52を支持する絶縁支持体6が配設され、静電結合領域の残部が空隙Eとされている。
【0045】
これによれば、固定部と給電用電極との間の静電結合領域の一部に電気絶縁材料で形成されて給電用電極を支持する絶縁支持体が配設され、静電結合領域の残部が空隙とされている。つまり、静電結合領域の大部分が絶縁板や絶縁シートなどの絶縁物で充填されていた従来技術と比較して、空隙の比率が大幅に増加する。空隙の比誘電率は概ね1であって絶縁物の比誘電率よりも大幅に小さく、固定部と給電用電極との間の寄生静電容量が従来よりも格段に減少する。これにより、リーク電流および電力ロスが減少し、非接触給電の給電効率を従来よりも向上できる。加えて、絶縁支持体に用いる電気絶縁材料の使用量を減らせるので、材料費を削減できる。
【0046】
そして、絶縁支持体61、62は、可動部(リニア可動部4)の移動方向と直角な断面において給電用電極51、52の幅方向の両端に離隔してそれぞれ配設され、かつ可動部の移動方向に延在または点在して配設されている。
【0047】
これにより、絶縁支持体は、給電用電極の幅方向の両端に離隔してそれぞれ配設され、かつ可動部の移動方向に延在または点在して配設されている。つまり、絶縁支持体は、細長い矩形形状の給電用電極の2つの長辺を連続的に支持し、または2つの長辺を離散的な多数の箇所で支持する。したがって、必要とされる支持力を確保して給電用電極の平坦度を維持でき、給電性能が安定する。また、静電結合領域のうち給電用電極の幅方向の中央付近の広い範囲を空隙としつつ電気絶縁材料の使用量を大幅に減らせるので、給電効率の向上の効果および材料費の削減の効果が顕著になる。
【0048】
なお、絶縁支持体を給電用電極の幅方向の中央および両端の3箇所に離隔して配設し、かつ可動部の移動方向に延在または点在して配設することも可能である。さらに、絶縁支持体の形状は、実施形態の線状絶縁支持体61やチップ状絶縁支持体62に限定されない。例えば、線状絶縁支持体の断面を矩形から台形に変更して、給電用電極51、52に接する面積よりも側板32、33に接する面積を大きくすることも可能である。また例えば、チップ状絶縁支持体62を直方体形状でなく円柱形状にすることも可能である。
【0049】
また、絶縁支持体61、62は、給電用電極51、52の電極形状の範囲内で線対称または点対称に配設されている。これにより、給電用電極を支持する支持力が偏らずに配分されるので、給電用電極の平坦度がさらに一層確実なものとなり、給電性能がさらに一層安定する。
【0050】
そして、本実施形態では、可動部(リニア可動部4)は、固定部(軌道部材3)に列設された複数の磁石34および可動部に配設されて通電されることにより磁石34との間に電磁推進力を発生するコイル41を含んで構成されたリニアモータ装置2によって駆動され、電気負荷にリニアモータ装置のコイルを含んでいる。これにより、リニアモータ装置に非接触給電することができる。なお、可動部を駆動する手段はリニアモータ装置に限定されず、例えば一般的な交流モータや直流モータであっても非接触給電が可能である。
【0051】
そして、固定部は、導電材料を用いて上方に開口する溝形状に形成され内側面に複数の磁石34が列設された軌道部材3を有し、可動部(リニア可動部4)は、軌道部材3の溝形状の内部に配置されて複数の磁石34と離隔対向する側面にコイル41を有し、給電用電極51、52は、軌道部材3の外側面の外側に配設され、受電用電極81、82は、給電用電極51、52のさらに外側に配置されて可動部から延在する支持体83、84により支持されている。これによれば、軌道部材の内側面をリニア駆動に用い、外側面を非接触給電に用いるので、内外両面を十分に利用して軌道部材を小形軽量化できる。また、軌道部材の内底面を非接触給電に用いる従来技術と比較して可動部の高さを削減できるので、可動部が加減速するときなどに発生しがちな振動を抑制できる。
【0052】
そして、可動部(リニア可動部4)は、基板に部品を実装する部品実装機10に装備されており、かつ部品実装動作を行う実装ヘッド170を有する。これによれば、部品実装機の実装ヘッド上の複数の電気負荷に非接触給電することができる。なお、基板の外観を検査する基板検査機に本発明の可動部を装備し、かつ可動部が基板の外観を撮像するカメラ装置を有する構成を採用することも可能である。