特許第6161694号(P6161694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6161694テーパー部を有する強磁性もしくは磁性接極子を含む電気的スイッチング装置および継電器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161694
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】テーパー部を有する強磁性もしくは磁性接極子を含む電気的スイッチング装置および継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/16 20060101AFI20170703BHJP
   H01F 7/14 20060101ALI20170703BHJP
   H01H 50/18 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01H50/16 S
   H01F7/14 D
   H01F7/14 E
   H01F7/14 F
   H01H50/18 H
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-517234(P2015-517234)
(86)(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公表番号】特表2015-521782(P2015-521782A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】US2013027857
(87)【国際公開番号】WO2013187948
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年1月13日
(31)【優先権主張番号】61/657,926
(32)【優先日】2012年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514243874
【氏名又は名称】ラビナル・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ,パトリック・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】マコーミック,ジェームズ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ベンショフ,リチャード・ジー
(72)【発明者】
【氏名】イネス,ロバート・ジェイ
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第00986918(GB,A)
【文献】 特表2000−501235(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0171519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/16
H01F 7/14
H01H 50/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分(110)反対側の第2の部分(112)とを含む強磁性フレーム(8)、
前記強磁性フレームの反対側の第2の部分(112)に配置され、第1のテーパー部(113)を有する、固定磁極片(16)と、
前記強磁性フレームの第1の部分に配置される永久磁石(12)、
前記強磁性フレームの第1の部分と反対側の第2の部分との間に配置される強磁性コア(33)、
前記強磁性コアの周囲に配置されるコイル(4)、および
強磁性もしくは磁性接極子(10)であって、第1の部分(114)、反対側の第2の部分(116)および前記強磁性もしくは磁性接極子の第1の部分と反対側の第2の部分との間の枢動部(118)を含み、前記強磁性もしくは磁性接極子の反対側の第2の部分は第2のテーパー部(38)を有する、強磁性もしくは磁性接極子(10)
を備える電気的スイッチング装置(2;50;90;100)であって、
枢動部は、強磁性コア上に枢動可能に配置され、
第2のテーパー部は、第1のテーパー部と相補的な形状であり、
前記コイルが非通電状態の時には、前記強磁性もしくは磁性接極子は、前記強磁性もしくは磁性接極子の第1の部分が永久磁石によって磁気吸引され、第2のテーパー部は第1のテーパー部から引き離された第1の位置をとり、前記コイルが通電状態の時には、前記強磁性もしくは磁性接極子の反対側の第2の部分が前記強磁性フレームの反対側の第2の部分によって磁気吸引され、第1のテーパー部が第2のテーパー部に入り込む第2の位置をと
固定磁極片(16)および第1の空隙シム(20)は、2つのねじ(24)によって強磁性フレーム(8)の端部(22)に取り付けられる、
電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項2】
前記電気的スイッチング装置が、継電器(2;50;90;100)である、請求項1に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項3】
前記継電器が双投型継電器(50)である、請求項2に記載の電気的スイッチング装置(50)。
【請求項4】
前記継電器が単投ノーマルクローズ型継電器(90)である、請求項2に記載の電気的スイッチング装置(90)。
【請求項5】
前記継電器が単投ノーマルオープン型継電器(100)である、請求項2に記載の電気的スイッチング装置(100)。
【請求項6】
磁極片(14)が、前記第1の位置では、前記永久磁石と前記強磁性もしくは磁性接極子の第1の部分との間で前記永久磁石上に配置される、請求項1に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項7】
前記強磁性もしくは磁性接極子が、シーソー型接極子(10)である、請求項1に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項8】
前記シーソー型接極子が、前記シーソー型接極子の第1の部分の第1の面と前記シーソー型接極子の反対側の第2の部分の第2の面との間に90°〜180°の鈍角を成す、請求項7に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項9】
前記強磁性フレームが、略L字形である、請求項1に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項10】
第2のテーパー部が凹部であり、第1のテーパー部は凸部である、請求項1に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【請求項11】
第2の位置において、第1のテーパー部が第2のテーパー部と係合する、請求項1に記載の電気的スイッチング装置(2;50;90;100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2012年6月11日に出願された米国仮特許出願第61/657,926号の利益を主張するものであり、その内容を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0002】
本開示の概念は、全般的には、電気的スイッチング装置に関し、特に、例えば、航空機用継電器などのような継電器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の継電器は、主端子間の導電路を形成する、もしくは遮断する可動接触子を含む。制御端子は、多数のアクチュエータコイル巻線を有するアクチュエータコイルに電気接続する。多くの継電器では、アクチュエータコイルは、分離可能な主接触子を閉路させ、継電器が閉路状態もしくはオン状態で分離可能な主接触子を保持するのに使用される2つの別個の巻線もしくは分割巻線を有する。継電器を閉路状態で維持するのに必要な電気コイル電力量を最小限に抑えることが望ましいことから2つのコイル巻線が必要になる。
【0004】
典型的なノーマルオープン型継電器は、分離可能な主接続子を開路状態に保持する接極子機構上にスプリングを有する。接極子機構の閉路する動作を開始するために、接極子機構の慣性に打ち勝つのに十分な力を発生させ、さらに所望の閉路力を発生させるためにソレノイドの開放空隙内に十分な磁束を形成するように、比較的大きな磁場が生成される。接極子の閉路動作の際に、両方のコイル巻線が通電されて、十分な磁場が生成される。主接触子が閉路した後は、ソレノイド内の磁路の磁気抵抗は比較的小さく、主接触子を保持するのに必要な力を維持するために比較的小さいコイル電流が必要になる。この時点で、2つのコイル巻線の一方の通電を停止して、電力を節約し、ソレノイド内発熱を最小限に抑えるために、「エコノマイザ」もしくは「カットスロート」回路が使用されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
継電器などの電気的スイッチング装置には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題および他の課題は、電気的スイッチング装置であって、第1の部分と第1のテーパー部を有する反対側の第2の部分とを含む強磁性フレーム、強磁性フレームの第1の部分に配置される永久磁石、強磁性フレームの第1の部分と反対側の第2の部分との間に配置される強磁性コア、強磁性コアの周囲に配置されるコイル、および強磁性もしくは磁性接極子であって、第1の部分、反対側の第2の部分、および強磁性もしくは磁性接極子の第1の部分と反対側の第2の部分との間の枢動部を含み、強磁性もしくは磁性接極子の反対側の第2の部分は第2のテーパー部を有する、強磁性もしくは磁性接極子を備え、枢動部は強磁性コア上に枢動可能に配置され、第2のテーパー部は第1のテーパー部と相補的な形状を有し、コイルが非通電状態の時には、強磁性もしくは磁性接極子は、強磁性もしくは磁性接極子の第1の部分が永久磁石によって磁気吸引され、第2のテーパー部が第1のテーパー部から引き離された第1の位置をとり、コイルが通電状態の時には、強磁性もしくは磁性接極子の反対側の第2の部分が強磁性フレームの反対側の第2の部分によって磁気吸引され、第1のテーパー部が第2のテーパー部に入り込む第2の位置をとる、電気的スイッチング装置を提供する開示概念の実施形態によって満たされる。
【0007】
開示されている概念は、好適な実施形態の以下の説明を添付図面を参照しながら読めば十分に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】説明しやすくするためにいくつかの部品が図示されていない本開示の概念の実施形態の継電器の立体図である。
図2】継電器が非通電位置にある時の図1の線2−2に沿った垂直断面立図である。
図3図1の継電器の上面図である。
図4】継電器が通電位置にある以外は図2と同様の垂直断面立図である。
図5図1の接極子の立体図である。
図6】本開示の概念の実施形態の双投型継電器の垂直断面立図である。
図7】本開示の概念の実施形態の単投ノーマルクローズ型継電器の垂直断面立図である。
図8】本開示の概念の実施形態の単投ノーマルオープン型継電器の垂直断面立図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書内で使用される場合、用語「数」は、1または2以上の整数(すなわち、複数)を指すものとする。
【0010】
本明細書内で使用される場合、2つ以上の部品が「接続される」もしくは「結合される」という状態は、部品が直接連結される、もしくは1つまたは複数の中間部品を介して連結されることを指すものとする。さらに、本明細書内で使用される場合、2つ以上の部品が「取り付けられる」という状態は、部品が直接連結されることを指すものとする。
【0011】
本開示の概念は、双安定継電器に関して説明されているが、本開示の概念は、接極子もしくは他の適切な可動の強磁性もしくは磁性部品を使用したさまざまな電気的スイッチング装置に適用可能である。
【0012】
図1は、継電器2を示しているが、説明しやすくするためにいくつかの部品は図示されていない。継電器2は、リード部6を有するアクチュエータコイル4と、強磁性フレーム8と、強磁性接極子10と、永久磁石12と、磁極片14と、磁気カプラ16とを含む。接極子10は、ガイドピン18(図1および図3には2つのガイドピン18が示されている)によってアクチュエータコイル4に枢動可能に取り付けられる。磁気カプラ16および第1の空隙シム20は、2つの例の丸平頭ねじ24によって強磁性フレーム8の端部22に取り付けられる。別の空隙シム26は、接極子10の端部28に結合される。図示されている例のシム20および26は、磁気保持力の制御を可能にし、ひいては、磁極片14もしくは磁気カプラ16のテーパー部113から磁気解除された時の電気的応答の制御を可能にする磁気構造の選択可能な部品である。これらのシムは、特に、特定の継電器の要求に対する機能的電気パラメータを満たすことを特徴とすることができる。
【0013】
従来の形と同様に、アクチュエータコイル4は、保持コイルとしての機能を果たし、リード部6A、6Bで終端する第1のコイル巻線34(図2および図4に示されている)と、閉路コイル(ノーマルオープン継電器用)としての機能を果たし、リード部6B、6Cで終端する第2のコイル巻線36(図2および図4に示されている)とを含む。具体的な例に示されているが、図示されている例の2つのコイル巻線34、36は、3つのリード部もしくは任意の他の適切な形態で構成されてもよい。図2は、アクチュエータコイル4の第1および第2の巻線34、36が共に非通電状態であり、永久磁石12が極片14を介して接極子10の端部28を磁気吸引する非通電位置にある継電器2を示している。
【0014】
図4は、アクチュエータコイル4のコイル巻線34、36(図2および図4に示されている)が通電状態であり、磁気カプラ16が強磁性フレーム8および通電されたアクチュエータコイル4によって生成された磁場を介して接極子10の反対端30を磁気吸引する通電位置にある継電器2を示している。
【0015】
図2および図4に示されているように、アクチュエータコイル4は、ボビン32のようなコア片を含み、その周囲に、第1および第2のコイル巻線34、36が巻回され、強磁性コア33の周囲に配置される。
【0016】
図5は、端部30にテーパー部38を含む継電器接極子10を示している。図1図2図4、および図5に示されているように、開示されている概念は、固定磁極片16と可動接極子10の両方に対してテーパー構造を使用する。従来の継電器(図示せず)では、一般に、適切な保持力を生成するために平らな強磁性片が使用されるが、これは、電気保持形継電器に比べて、磁気保持形継電器には必要ではない。したがって、テーパー状固定磁極片16(図1図2、および図4に最も詳細に示されている)と、磁気保持形継電器2のテーパー状固定磁極片16と相補的な形状を有するテーパー部38(図5に最も詳細に示されている)であって、一状態では磁気的に保持され、他の状態では電磁的に保持されるテーパー部38を有する接極子10とを使用することにより、継電器2のピックアップ電圧は、衝撃および振動性能を損なうことなく大幅に低下される。接極子10と磁気カプラ16のテーパー状の構造により、図2に示されている位置にある時の可動接極子10とテーパー状固定磁極片16との間の磁気ギャップを低減することができる。
【0017】
可動接極子10のテーパー部38およびテーパー状固定磁極片16は、磁束線の表面積を増加させる。このことにより、適切な磁気強度を得るために(比較的高い)精度の接極子および磁極片を備える必要性は回避される。開示されている概念により、比較的高いプルイン強度、比較的低いプルインもしくはピックアップ電圧、またはプルイン強度の増加とピックアップ電圧の低下との組み合わせ/最適化が得られる。このことにより、比較的高い温度では(抵抗が大きくなるので)コイル性能は低下するので、磁気性能の向上が比較的高い温度での用途にとって重要であることから、継電器2を閉路する(例えば、図2の位置から図4の位置まで移行させる)のに必要な比較的低い電圧、比較的高い温度の用途での性能向上、またはこれらの最適な組み合わせが得られる。
【0018】
磁束線の表面積が増加することにより、磁束経路が増加し、ひいては図2および図4に示されるようなシーソー型接極子10に比較的多くの磁力が加わることになる。あるいは、コイル巻線34、36のアンペアターンを増加させずに、および/または継電器アクチュエータコイル4の重量およびサイズを増加させずに、継電器2の動作温度を上昇させることができる。
【0019】
実施例1
図6は、図1図5のアクチュエータコイル4、強磁性フレーム8、強磁性接極子10、永久磁石12、磁極片14、および磁気カプラ16を含む双投型継電器50を示した図である。継電器50は、ライン用、第1の負荷用、および第2の負荷用の3つの端子52、54、56を含む。(図6に関して)接極子10の上に配置されるのは、プラスチックキャリア58および可動接触子キャリアアセンブリ60(例えば、銅もしくはベリリウム製であるが、これに限定されない)である。2つの可動接触子62、64は、可動接触子キャリアアセンブリ60上に配置される。(図6に関して)2つの固定接触子66、68はそれぞれ、端子54、56の下に配置される。図6に示されている位置(図2に示されている接極子10の位置に対応する)では、可動接触子62が固定接触子66に電気的かつ機械的に係合する。この位置では、接触子64、68は、磁石12によって磁気的に開放された状態で保持される。図4に示されている接極子10の位置に対応する位置(図示せず)では、可動接触子64が固定接触子68に電気的かつ機械的に係合する。内部金属箔70は、端子52を可動接触子キャリアアセンブリ60に電気的に接続する。留め具72は、金属箔70の一端74を端子52に電気的かつ機械的に接続し、リベット76は金属箔70の反対端78を可動接触子キャリアアセンブリ60に電気的かつ機械的に接続する。バランススプリング80(例えば、リセットバランサやダンプナーがあるが、これに限定されない)が、プラスチックキャリア58と可動接触子キャリアアセンブリ60との間に結合される。
【0020】
図6に示されているように、継電器50は、中央端子52から内部金属箔70、可動接触子キャリア60、第1可動接触子キャリア62、ノーマルクローズ型固定接触子66、そして端末54までの第1の電流路を有する。コイル巻線34、36(図2および図4)が通電された後、接極子10は(図4に示されている位置まで)枢動し、電流路が変化する。第2の電流路は、中央端子52から内部金属箔70、可動接触子キャリア60、第2の可動接触子64、ノーマルオープン固定接触子68、そして端子56までの電流路である。
【0021】
実施例2
2つのコイル巻線34、36(図2および図4)の一方の通電を停止して、電力を節約し、継電器2内の発熱を最小限に抑えるために、適切な「エコノマイザ」もしくは「カットスロート」回路(図示せず)が使用されてもよい。エコノマイザ回路(図示せず)は、主要接触子(例えば、図6の62、66、および/または64、68)と同じ機構(例えば、接極子10、プラスチックキャリア58、および可動接触子キャリアアセンブリ60)によって物理的に駆動される補助継電器接触子(図示せず)を使用して実現されることが多い。主接触子が閉路した時に補助継電器接触子が同時に開路することにより、接極子10の完全な動作を確実にすることができる。さらに複雑な補助継電器接触子および同時動作に必要な較正により、この構造は比較的難しくなり、製造コストがかかる。
【0022】
あるいは、エコノマイザ回路(図示せず)は、継電器閉路のコマンド(例えば、コイル巻線34、36に印加される適切な電圧)に応答して、第2のコイル巻線(例えば、コイル巻線36)に、接極子の公称動作期間に比例する所定期間だけパルスを発するタイミング回路(図示せず)によって実現することができる。このことにより補助スイッチの必要はなくなるが、接極子10が完全に閉路状態になり、適切に動作するという確認にはならない。
【0023】
エコノマイザ回路(図示せず)は、例えば、電源投入後の初期時間(例えば、限定的ではないが、50mS)の間に、実施例の継電器2のような電気的スイッチング装置内に比較的かなり大きな磁場を生成することにより、接極子10が移動を完了して、自身の慣性、摩擦、およびスプリング力に打ち勝つことができるようにする従来の制御回路である。これは、比較的低い抵抗の適切な回路もしくはコイルと、先のコイルと直列にある比較的高い抵抗の適切な回路もしくはコイルとを含む二重コイル構造を使用することによって達成される。最初、エコノマイザ回路は、電流を低抵抗回路内に流すが、適切な期間が経過した後、エコノマイザ回路は低抵抗経路を切断する。この手法により、定常状態の間(例えば、比較的長い通電期間)に消費される電力量を低減することができる。
【0024】
実施例3
図7は、図1図5のアクチュエータコイル4、強磁性フレーム8、強磁性接極子10、永久磁石12、磁極片14、および磁気カプラ16を含む単投ノーマルクローズ型継電器90を示した図である。継電器90は、端子56と接触子64、68を含まず、止め具92を含むこと以外は、図6の継電器50とほぼ同じである。
【0025】
実施例4
図8は、図1図5のアクチュエータコイル4、強磁性フレーム8、強磁性接極子10、永久磁石12、磁極片14、および磁気カプラ16を含む単投ノーマルオープン型継電器100を示した図である。継電器100は、端子54と接触子62、66を含まず、止め具102を含むこと以外は、図6の継電器50とほぼ同じである。
【0026】
実施例5
実施例の継電器2、50、90、100は、115VAC、400Hz、モーター負荷40Aで動作することができる。ライン端子および負荷端子52、54、56は、最大で#10AWG単一導体まで対応可能であり、18in−lbトルクを有するワイヤラグを使用することができる。
【0027】
実施例6
図1図5からわかるように、継電器2は、第1の部分110と、テーパー部113を形成する磁気カプラ16を有する反対側の第2の部分112とを含む略L字形の強磁性フレーム8を含む。永久磁石12は、強磁性フレーム8の第1の部分110上に配置される。強磁性コア33は、強磁性フレーム8の第1の部分110と反対側の第2の部分112との間に配置される。コイル4は、強磁性コア33の周囲に配置される。強磁性接極子10は、第1の部分114を形成する端部28と、反対側の第2の部分116および強磁性接極子10の第1の部分114と反対側の第2の部分116との間の枢動部118を形成する端部30とを含む。強磁性接極子10の反対側の第2の部分116は、図5に示されるように凹状テーパー部38を有する。枢動部118は、強磁性コア33上に枢動可能に配置される。テーパー部38は、磁気カプラ16によって形成された凸状テーパー部113と相補的な形状である。コイル4が非通電状態の時には、強磁性接極子10は、強磁性接極子10の第1の部分114が永久磁石12によって磁気吸引され、テーパー部38が相補的テーパー部113から引き離された第1の位置(図2)をとる。コイル4が通電状態の時には、強磁性接極子10は、強磁性接極子10の反対側の第2の部分116が強磁性フレーム8の反対側の第2の部分112によって磁気的に吸引され、テーパー部113がテーパー部38と係合した第2の位置(図4)をとる。
【0028】
磁極片14は、第1の位置(図2)では、永久磁石12と強磁性接極子10の第1の部分114との間で永久磁石12上に配置される。図2および図4からわかるように、接極子10はシーソー型接極子であり、シーソー型接極子10の第1の部分114の第1の面とシーソー型接極子10の反対側の第2の部分116の第2の面との間に90°〜180°の適切な鈍角を成す。磁気カプラ16は、強磁性フレーム8の反対側の第2の部分112上に配置され、テーパー部113を有する。
【0029】
開示されている概念は、比較的高い環境ストレスの環境での使用に適した比較的軽量の双安定継電器2、50、90、100用の強磁性接極子10および固定磁極片16を提供する。これは、継電器の重量および/またはコイルの磁力/サイズを増加させずに、ピックアップ電圧(すなわち、継電器を非通電状態から通電状態に移行させるのに必要な電圧)を約25%〜約30%低下させる。このことにより、継電器は、周知の継電器技術の一般的な最高動作温度である比較的高い温度(例えば、限定的ではないが、85℃より高い温度)の周囲環境で機能することができる。
【0030】
高温で継電器を作動させることに関する一番の問題は、電源電圧もしくはライン間電圧が継電器を移行させるのに必要な電圧より低くなる程度までコイルの抵抗がかなり増大するということである。双安定継電器の主な利点は、切り替え後の(例えば、図4に示されている接極子10の位置での)電力消費量が低く、耐衝撃性に優れているという点である。さらに、コイルのみにパルスが発せられ、継電器は、比較的少ない量の保持電流で磁気的に保持される。
【0031】
開示されている概念は、固定磁極片16と可動接極子10の両方に対してテーパー構造を使用する。従来の継電器では、一般に、最も大きな保持力のために平らな磁極片が使用されるが、これは、電気保持形継電器に比べて、磁気保持形継電器では必要ではない。したがって、磁気保持形継電器用の開示されているテーパー磁極片16と開示されているテーパー状接極子10、ピックアップ電圧は、衝撃および振動性能を損なうことなく大幅に低下される。さらに、開示されている概念を使用して、比較的低い動作周囲温度の継電器の重量を低減することができる。これは、コイルサイズを小さくすることにより達成し得、それによって継電器の全体質量を低減する。
【0032】
開示されている概念の特定の実施形態について詳細に説明したが、当業者は、本開示の教示内容全体を踏まえて、上述の実施形態の細部に対してさまざまな修正や変更を加えることが可能であることは理解するであろう。したがって、開示されている特定の構造は、単なる例に過ぎず、本開示の概念の範囲を制限するものではなく、本開示の概念の範囲は、添付請求項およびそのありとあらゆる均等物の範囲全体に及ぶものとする。
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