(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベルト内周面を構成する部分がゴム組成物で形成され、前記ゴム組成物に、繊維径が300〜1000nmの有機繊維のナノファイバーが含まれている平ベルトの製造方法であって、
ゴム成分、及び熱可塑性樹脂の海と繊維径が300〜1000nmの有機繊維のナノファイバーの収束体の多数の島との海島構造を有する複合材料を、前記複合材料の熱可塑性樹脂の融点又は軟化温度以上の温度下で混練することにより、前記ベルト内周面を構成する部分を形成するための未架橋ゴム組成物を作製するゴム組成物作製ステップを含む平ベルトの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は実施形態の平ベルトBを示す。実施形態の平ベルトBは、例えば、送風機やコンプレッサーや発電機などの駆動伝達用途、自動車の補機駆動用途等の比較的高負荷条件下での使用において長寿命が要求される用途で用いられる。実施形態の平ベルトBは、例えば、ベルト長さが600〜3000mm、ベルト幅が10〜20mm、及びベルト厚さが2〜3.5mmである。
【0011】
実施形態の平ベルトBは、ベルト内周側の内側ゴム層11とそのベルト外周側の心線保持層12とさらにそのベルト外周側の外側ゴム層13とが積層されるように設けられて一体化した平ベルト本体10を備えている。そして、内側ゴム層11の内周面がベルト内周面を構成すると共に、外側ゴム層13の外側面がベルト外周面を構成している。また、心線保持層12には、そのベルト厚さ方向の中間部に、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
【0012】
実施形態の平ベルトBでは、内側ゴム層11が、有機繊維のナノファイバー16(以下、単に「ナノファイバー16」という。)が配合されたゴム組成物で形成されている。より具体的には、内側ゴム層11は、ゴム成分にナノファイバー16を含む種々のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されることにより架橋剤により架橋されたゴム組成物で形成されている。内側ゴム層11の厚さは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。
【0013】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。これらのうち、耐熱性及び耐寒性の観点からエチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましい。
【0014】
エチレン−α−オレフィンエラストマーのα−オレフィン成分としては、例えば、プロピレン、ペンテン、オクテン等が挙げられる。ジエン成分としては、例えば、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボネン等の非共役ジエンが挙げられる。エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、具体的には、EPDM、EPR等が挙げられる。
【0015】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分は、単一種のみで構成されていてもよく、また、複数種のブレンドゴムで構成されていてもよい。なお、エチレン−α−オレフィンエラストマーを主成分とするブレンドゴムを用いる場合には、その特徴を損なうことがないように、その他のゴム種の割合を25質量%以下とすることが好ましい。
【0016】
ナノファイバー16は、内側ゴム層11を形成するゴム組成物に、無配向に含まれていても、また、特定の方向に配向するように含まれていても、どちらでもよいが、ベルト幅方向又はベルト厚方向に配向するように含まれていることが好ましく、ベルト幅方向の弾性率に比べてベルト長さ方向の弾性率を低くして耐屈曲疲労性を向上させる観点からは、ベルト幅方向に配向するように含まれていることが好ましい。
【0017】
ナノファイバー16の繊維径は300〜1000nmであるが、好ましくは400nm以上であり、また、好ましくは900nm以下である。ナノファイバー16の繊維長は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、更に好ましくは2mm以下である。ナノファイバー16の繊維径に対する繊維長の比(アスペクト比)は、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上であり、また、好ましくは10000以下、より好ましくは7000以下、更に好ましくは3000以下である。ここで、ナノファイバー16の繊維径及び繊維長はSEM等の電子顕微鏡観察により測定することができる。
【0018】
ナノファイバー16としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、6−ナイロン繊維、6,6−ナイロン繊維等のナノファイバーが挙げられる。これらのうちポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のナノファイバーが含まれていることが好ましい。ナノファイバー16は、単一種のみが含まれていてもよく、また、複数種が含まれていてもよい。
【0019】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるナノファイバー16の含有量は、それによるベルト幅方向の高弾性率化の効果を発現させる観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、加工性を良好にする観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0020】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるナノファイバー16の体積分率は、それによるベルト幅方向の高弾性率化の効果を発現させる観点から、好ましくは1体積%以上、より好ましくは2体積%以上であり、また、加工性を良好にする観点から、好ましくは15体積%以下、より好ましくは13体積%以下、更に好ましくは8体積%以下である。
【0021】
ところで、一般に、平ベルトは、高負荷伝動に適用する場合、高張力が負荷されて使用されることになる。そして、この高張力に耐久すると共に、ゴムの圧縮変形を抑えるためには、内周側のゴム層の弾性率(ゴム硬さ)をある程度高くする必要がある。
【0022】
ところが、内周側のゴム層の弾性率を高めるために短繊維を配合したり、或いは、補強剤のカーボンブラックを多く配合した場合、ベルト内周面の摩擦係数が低下するという問題がある。
【0023】
また、内周側のゴム層にα,β−不飽和有機酸の金属塩が配合されて補強されたエチレン−α−オレフィンエラストマーや水素添加アクリロニトリルゴムを用いた場合、走行初期には優れた伝動能力を示すものの、長時間走行するとベルト内周面の摩擦係数が大きく低下するという問題がある。
【0024】
しかしながら、このように実施形態の平ベルトBによれば、ベルト内周面を構成する内側ゴム層11が、ナノファイバー16を含むゴム組成物で形成されており、そのナノファイバー16が少量の配合量でもゴム組成物の弾性率を著しく高める効果を発現するので、内側ゴム層11を高弾性率化しつつも、ベルト内周面の摩擦係数の低下抑制を図ることができる。
【0025】
その他のゴム配合剤としては、例えば、補強剤、可塑剤、プロセスオイル、加工助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、架橋剤等が挙げられる。
【0026】
補強剤としては、例えば、カーボンブラックやシリカが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック等が挙げられる。補強剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。補強剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30〜80質量部、より好ましくは40〜70質量部、更に好ましくは60〜70質量部である。
【0027】
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)などのジアルキルフタレート、ジオクチルアジペート(DOA)などのジアルキルアジペート、ジオクチルセバケート(DOS)などのジアルキルセバケート等が挙げられる。可塑剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは0.1〜20質量部である。
【0028】
プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族オイル等が挙げられる。プロセスオイルは、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。プロセスオイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、より好ましくは0.1〜20質量部である。なお、揮発減量が少なく且つ耐熱性に優れる市販のプロセスオイルとして、例えば日本サン石油社製の「サンパー2280」が公知である。
【0029】
加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、ポリエチレンワックス、脂肪酸の金属塩等が挙げられる。加工助剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.1〜3質量部である。
【0030】
加硫促進剤としては、例えば、チウラム系(例えばTETなど)、ジチオカルバメート系(例えばEZなど)、スルフェンアミド系(例えばMSAなど)のもの等が挙げられる。加硫促進剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば2〜10質量部である。
【0031】
加硫促進助剤としては、例えば、酸化マグネシウムや酸化亜鉛(亜鉛華)などの金属酸化物、金属炭酸塩、ステアリン酸などの脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。加硫促進助剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。加硫促進助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜8質量部である。
【0032】
老化防止剤としては、例えば、ジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤等が挙げられる。老化防止剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。
【0033】
架橋剤としては、有機過酸化物及び硫黄が挙げられる。耐熱性を高める観点からは、架橋剤として有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル類、ジシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類等が挙げられる。有機過酸化物は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。有機過酸化物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜6質量部である。
【0034】
架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、共架橋剤も含まれていてもよい。かかる共架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、液状ポリブタジェエン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等が挙げられる。但し、内側ゴム層11を形成するゴム組成物には、共架橋剤であっても、アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等のα,β−不飽和有機酸の金属塩は配合されていないことが好ましい。より具体的には、内側ゴム層11を形成するゴム組成物は、α,β−不飽和有機酸の金属塩が配合されて補強されたエチレン−α−オレフィンエラストマーや水素添加アクリロニトリルゴムでないことが好ましい。α,β−不飽和有機酸の金属塩としては、例えば、アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等が挙げられる。共架橋剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。共架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは2〜7質量部である。
【0035】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物には、後述の複合材料の熱可塑性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1〜7質量部である。
【0036】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物には、ベルト内周面の摩擦係数の低下を防止する観点から、繊維径が10μm以上の有機短繊維が含まれていないことが好ましい。但し、内側ゴム層11を形成するゴム組成物には、ナノファイバー16によるベルト内周面の摩擦係数の低下抑制効果を損なわない範囲で、かかる有機短繊維が含まれていてもよい。また、この場合、内側ゴム層11には、有機短繊維がベルト幅方向に配向するように含まれていることが好ましい。かかる有機短繊維としては、例えば、パラ系アラミド繊維、綿などのセルロース系繊維、ポリエステル繊維等の有機短繊維が挙げられる。有機短繊維は、単一種が配合されていても、また、複数種が配合されていても、どちらでもよい。有機短繊維の長さは例えば1〜6mmである。有機短繊維の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1〜10質量部である。
【0037】
なお、内側ゴム層11を形成するゴム組成物には、その他に、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土などの充填剤、安定剤、着色剤等が含まれていてもよい。
【0038】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータにより測定されるゴム硬さは、好ましくは79°以上、より好ましくは82°以上であり、また、好ましくは95°以下、より好ましくは92°以下である。
【0039】
上記の通り、内側ゴム層11を形成するゴム組成物には、ナノファイバー16がベルト幅方向に配向するように含まれていることが好ましい。その場合、内側ゴム層11を形成するゴム組成物は、ナノファイバー16の配向方向のベルト幅方向に相当する列理方向及びベルト長さ方向に相当する反列理方向のそれぞれが、以下のような引張特性及び粘弾性特性を有することが好ましい。
【0040】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)は、好ましくは1.0MPa以上、より好ましくは1.5MPa以上であり、また、好ましくは20MPa以下、より好ましくは18MPa以下である。
【0041】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される列理方向の50%伸び時における引張応力(M
50)は、好ましくは2.0MPa以上、より好ましくは30MPa以上であり、また、好ましくは20MPa以下、より好ましくは18MPa以下である。
【0042】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される列理方向の引張強さ(T
B)は、好ましくは8MPa以上、より好ましくは10MPa以上であり、また、好ましくは30MPa以下、より好ましくは28MPa以下である。
【0043】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される列理方向の切断時伸び(E
B)は、好ましくは130%以上、より好ましくは150%以上であり、また、好ましくは400%以下、より好ましくは380%以下である。
【0044】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される反列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)は、好ましくは0.3MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上であり、また、好ましくは5MPa以下、より好ましくは3MPa以下である。
【0045】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される反列理方向の50%伸び時における引張応力(M
50)は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは1.5MPa以上であり、また、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。
【0046】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される反列理方向の100%伸び時における引張応力(M
100)は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上であり、また、好ましくは20MPa以下、より好ましくは18MPa以下である。
【0047】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される反列理方向の引張強さ(T
B)は、好ましくは5MPa以上、より好ましくは8MPa以上であり、また、好ましくは25MPa以下、より好ましくは23MPa以下である。
【0048】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6251に基づいて測定される反列理方向の切断時伸び(E
B)は、好ましくは150%以上、より好ましくは170%以上であり、また、好ましくは400%以下、より好ましくは380%以下である。
【0049】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物における列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)の反列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)に対する比は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
【0050】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物における列理方向の50%伸び時における引張応力(M
50)の反列理方向の50%伸び時における引張応力(M
50)に対する比は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
【0051】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6394に基づいて測定される列理方向の貯蔵弾性係数(E’)は、好ましくは20MPa以上、より好ましくは30MPa以上であり、また、好ましくは200MPa以下、より好ましくは180MPa以下である。この列理方向の貯蔵弾性係数(E’)は、歪み1%時の荷重の1.3倍の荷重を負荷したときの歪みを平均歪みとし、歪み振幅0.1%、周波数10Hz、及び試験温度100℃として引張方法により測定される。
【0052】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6394に基づいて測定される列理方向の損失係数(tanδ)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、また、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.18以下である。この列理方向の損失係数(tanδ)も、歪み1%時の荷重の1.3倍の荷重を負荷したときの歪みを平均歪みとし、歪み振幅0.1%、周波数10Hz、及び試験温度100℃として引張方法により測定される。
【0053】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6394に基づいて測定される反列理方向の貯蔵弾性係数(E’)は、好ましくは5MPa以上、より好ましくは7MPa以上であり、また、好ましくは40MPa以下、より好ましくは35MPa以下である。この反列理方向の貯蔵弾性係数(E’)は、平均歪み5%、歪み振幅1%、周波数10Hz、及び試験温度100℃として引張方法により測定される。
【0054】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物におけるJIS K6394に基づいて測定される反列理方向の損失係数(tanδ)は、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.28以下である。この反列理方向の損失係数(tanδ)も、平均歪み5%、歪み振幅1%、周波数10Hz、及び試験温度100℃として引張方法により測定される。
【0055】
内側ゴム層11を形成するゴム組成物における列理方向の貯蔵弾性係数(E’)の反列理方向の貯蔵弾性係数(E’)に対する比は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
【0056】
内側ゴム層11の表面、つまり、ベルト内周面の見掛けの摩擦係数μ’は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.75以上であり、また、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.2以下、より更に好ましくは0.85以下である。この見掛けの摩擦係数μ’は、
図2に示すように、平ベルト片21を、内側ゴム層11のベルト内周面が接触するように、外径が50〜100mmの平プーリ22に、巻き掛け角度θとして巻き掛け、平ベルト片21の上側の端をチャッキングしてロードセル23に接続すると共に、鉛直に垂下する下側の端をチャッキングして重錘24を取り付け、そして、平ベルト片21のロードセル23から平プーリ22までの部分の張力を高めるように平プーリ22を20m/sの周速で回転させ(
図2では反時計回り)、そのときの重錘24による緩み側張力Ts及びロードセル23により検出される張り側張力Ttから、Eulerの式に基づいて下記式により求められる。なお、この見掛けの摩擦係数μ’の測定方法については「ベルト伝動の実用設計 ベルト伝動技術懇話会編 株式会社養賢堂発行」の第122頁に記載されている。
【0058】
心線保持層12及び外側ゴム層13は、それぞれ断面横長矩形の帯状に形成されており、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されることにより架橋剤により架橋されたゴム組成物で形成されている。心線保持層12の厚さは例えば0.6〜1.5mm及び外側ゴム層13の厚さは例えば0.6〜1.5mmである。
【0059】
心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、内側ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分と同様、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDMやEPRなど)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。これらのうち耐熱性の観点からは、エチレン−α−オレフィンエラストマー及び水素添加アクリロニトリルゴムが好ましく、EPDMが特に好ましい。心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種のブレンドゴムで構成されていてもよい。心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分は同一であることが好ましく、内側ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分とも同一であることが好ましい。
【0060】
配合剤としては、例えば、補強剤、可塑剤、プロセスオイル、加工助剤、老化防止剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進助剤、安定剤、着色剤、有機短繊維等が挙げられる。なお、心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物には、ナノファイバーが含まれていてもよい。
【0061】
心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物に用いられる架橋剤としては、有機過酸化物及び硫黄が挙げられる。耐熱性を高める観点からは、これらのうち有機過酸化物が好ましい。
【0062】
架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物には、共架橋剤として、アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等のα,β−不飽和有機酸の金属塩が配合されていてもよい。従って、心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するゴム組成物は、α,β−不飽和有機酸の金属塩が配合されて補強されたエチレン−α−オレフィンエラストマーや水素添加アクリロニトリルゴムであってもよい。
【0063】
平ベルトBが平プーリに巻き掛けられて張力を受けると、心線保持層12の心線15よりも内側部分及び内側ゴム層11は心線15から平プーリ側への大きな押し付け力を受ける。そして、心線保持層12が低弾性率であると、心線15が内側に沈み込み、心線保持層12が大きな繰り返し変形で発熱して早期に破損に至る虞がある。かかる観点からは、心線保持層12を形成するゴム組成物には、繊維径が10μm以上の有機短繊維が含まれて高弾性率化されていることが好ましい。また、この場合、心線保持層12には、有機短繊維がベルト幅方向に配向するように含まれていることが好ましい。かかる有機短繊維としては、例えば、6−ナイロン繊維、6,6−ナイロン繊維、ポリエステル繊維、綿、アラミド繊維等の有機短繊維が挙げられる。有機短繊維は、単一種が配合されていても、また、複数種が配合されていても、どちらでもよい。有機短繊維の長さは例えば1〜6mmである。有機短繊維の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば10〜30質量部である。なお、外側ゴム層13を形成するゴム組成物には、有機短繊維が配合されていても、また、配合されていなくても、どちらでもよい。
【0064】
心線14は、ベルト厚さ方向の中央に埋設されていても、ベルト内周面側に近い側に埋設されていても、さらに、ベルト外周面側に埋設されていても、いずれでもよい。
【0065】
心線14は、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET)やポリエチレンナフタレート繊維(PEN)などのポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等の撚り糸や組紐の線材で構成されている。心線14の外径は例えば0.1〜2.0mmである。心線14には、心線保持層11に対する接着性を付与するために、成形加工前にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
【0066】
以上の構成の実施形態の平ベルトBは、例えば、
図3に示すように、複数の平プーリ31,32,33に巻き掛けられてベルト伝動装置30を構成する。ここで、ベルト伝動装置30に含まれる平プーリ31,32,33の数は例えば3〜8個である。平プーリ31,32,33の外径は例えば30〜500mmである。また、ベルト伝動装置30の複数の平プーリ31,32,33は、平ベルトBのベルト外周面が接触するように設けられた平プーリ33を含んでいてもよい。
【0067】
そして、実施形態の平ベルトBでは、内側ゴム層11及び心線保持層12の適切な設計により、心線15に均一に荷重分担させることができ、その結果、高負荷伝動用途においても、高い走行安定性を得ることができる。また、ベルト内周面の摩擦係数を高く設定できると共に、その高い摩擦係数を長時間走行後も維持することができる、つまり、摩擦係数の低下を抑制することができるので、平ベルトBの初期張力を低く設定でき、その結果、平ベルトBによる動力伝達の特徴である高効率伝動が可能となり、例えば特許第3680083号公報に開示されたような蛇行防止システムとの組み合わせることで、メンテナンスフリーのベルト伝動装置を実現することができる。
【0068】
次に、実施形態の平ベルトBの製造方法について
図4〜7に基づいて説明する。
【0069】
−部材準備工程−
部材準備工程では、ゴム成分、及び熱可塑性樹脂の海と繊維径が300〜1000nmのナノファイバー16の収束体の多数の島との海島構造を有する複合材料を、複合材料の熱可塑性樹脂の融点又は軟化温度以上の温度下で混練した後に圧延することにより、ベルト内周面を構成する内側ゴム層11を形成するための未架橋ゴム組成物シートを作製する(ゴム組成物作製ステップ)。
【0070】
具体的には、まず、バンバリーミキサー等の密閉式混練機に、架橋剤、共架橋剤、及び熱可塑性樹脂とナノファイバー16との複合材料を除く成分を投入して所定のエネルギーを与えて混練した後、複合材料を投入して、そこに含まれる熱可塑性樹脂の融点又は軟化温度以上の温度下でさらに混練する。このとき、複合材料は、熱可塑性樹脂が溶融乃至軟化してゴム成分中に拡散すると共に、ナノファイバー16の収束体が剪断力により開繊されてゴム成分中に分散する。また、このように複合材料を用いて混練することにより、ナノファイバー16のゴム成分中における高い分散性を得ることができる。
【0071】
ここで、
図4に示すように、複合材料Mは、熱可塑性樹脂Rの海ポリマー中にナノファイバー16が互いに独立し且つ並列して島状に存在したコンジュゲート繊維をロッド状に切断したものである。
【0072】
熱可塑性樹脂Rとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ナイロン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂Rは、混練時にゴム成分に拡散することから、ゴム成分との相溶性が高いことが好ましく、かかる観点から、熱可塑性樹脂Rは、ゴム成分が低極性の場合には、低極性のポリエチレン樹脂やエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましい。特に、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーである場合には、熱可塑性樹脂Rがポリエチレン樹脂であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂Rは、ゴム成分がニトリルゴム(NBR)のように極性が高い場合には、ポリエチレン樹脂にマレイン酸などの極性基を導入して変性したもの、ナイロン系樹脂、ウレタン系樹脂等であってもよい。
【0073】
熱可塑性樹脂Rの融点又は軟化温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。融点は、結晶性高分子の熱可塑性樹脂Rの場合において、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。軟化温度は、不定形高分子の熱可塑性樹脂Rの場合において、JIS K7206に基づいて測定されるビカット軟化温度である。例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)の融点は95〜130℃である。高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)の融点は120〜140℃である。エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)の融点は65〜90℃である。超高分子量ポリエチレン樹脂(UHMWPE)の融点は125〜135℃である。
【0074】
ナノファイバー16としては、既述の通り、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、6−ナイロン繊維、6,6−ナイロン繊維等のナノファイバーが挙げられる。
【0075】
複合材料Mの外径は、加工性を良好にする観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。複合材料Mの長さは、材料コストを抑える観点から、好ましくは0.5mm以上であり、また、ナノファイバー16の分散性を高める観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下である。複合材料Mの外径に対する長さの比(アスペクト比)は、好ましくは20以上、より好ましくは30以上であり、また、好ましくは700以下、より好ましくは500以下である。
【0076】
複合材料Mにおけるナノファイバー16の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。複合材料Mに含まれるナノファイバー16の本数は例えば100〜1000本である。
【0077】
次いで、密閉式混練機から未架橋ゴム組成物の塊状の混練物を排出して一旦冷却した後、それを架橋剤と共にオープンロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機に投入して混練する。このとき、架橋剤がゴム成分中に分散する。
【0078】
続いて、混練機から未架橋ゴム組成物の塊状の混練物を排出した後、それをカレンダーロールに通して圧縮ゴム層11を形成するための未架橋ゴム組成物シートに加工する。この未架橋ゴム組成物シートは、列理方向、つまり、カレンダーロールからの引き出し方向にナノファイバー16が配向したものとなる。
【0079】
部材準備工程では、同様に、心線保持層12及び外側ゴム層13を形成するための未架橋ゴム組成物シートも作製する。また、心線14となる線材に所定の接着処理を行う。
【0080】
−成形架橋工程−
成形架橋工程では、
図5(a)に示すように、円筒金型41の外周に外側ゴム層13用の未架橋ゴムシート13’を巻き付けた後、その上に心線保持層12用の未架橋ゴムシート12’を巻き付ける。このとき、心線保持層12用の未架橋ゴムシート12’に特定の方向に配向した有機短繊維が含まれている場合には、未架橋ゴムシート12’の列理方向、つまり、有機短繊維の配向方向を円筒金型41の軸方向に一致させる。これにより、製造される平ベルトBは、心線保持層12がベルト幅方向に配向した有機短繊維を含むこととなる。
【0081】
次いで、
図5(b)に示すように、心線保持層12用の未架橋ゴムシート12’の上に心線14となる線材14’を螺旋状に巻きつけた後、その上に再び心線保持層12用の未架橋ゴムシート12’を巻き付ける。
【0082】
次いで、
図5(c)に示すように、心線保持層12用の未架橋ゴムシート12’の上に内側ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を巻き付けて円筒金型41上にベルト成形体B’を成形する。このとき、内側ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’の列理方向を円筒金型41の軸方向に一致させれば、製造される平ベルトBは、内側ゴム層11がベルト幅方向に配向したナノファイバー16を含むこととなる。
【0083】
続いて、
図6に示すように、円筒金型41上のベルト成形体B’にゴムスリーブ42を被せた後、それを加硫缶にセットして密閉し、高熱の水蒸気などにより円筒金型41を加熱すると共に、高圧をかけてゴムスリーブ42を円筒金型41側の半径方向に押圧する。このとき、ベルト成形体B’の未架橋ゴム組成物が流動すると共にゴム成分の架橋反応が進行し、加えて、線材14’のゴムへの接着反応も進行し、これにより
図7に示すように円筒金型41上に筒状のベルトスラブSが形成される。
【0084】
−研磨・仕上げ工程−
研磨・仕上げ工程では、加硫缶から円筒金型41を取り出し、円筒金型41上に形成された円筒状のベルトスラブSを脱型した後、その外周面及び内周面を研磨して内側及び外側の厚さを均一化させる。
【0085】
最後に、ベルトスラブSを所定幅に幅切りし、それぞれの表裏を反対にすることにより平ベルトBが得られる。
【0086】
なお、上記実施形態では、内側ゴム層11、心線保持層12、及び外側ゴム層13の3層構造の平ベルトBとしたが、特にこれに限定されるものではなく、
図8に示すように、内側ゴム層11を表面側の内側表面ゴム層11aと内側内部ゴム層11bとの2層として平ベルト本体10を4層構造とし、ベルト内周面を構成する部分である内側表面ゴム層11aを、ナノファイバー16を含むゴム組成物で形成した平ベルトBとしてもよい。このとき、
図9(a)に示すように、内側内部ゴム層11b及び心線保持層12を同一のゴム組成物で形成した単一ゴム層15として平ベルト本体10を3層構造とした平ベルトBとしてもよく、また、
図9(b)に示すように、心線保持層12及び外側ゴム層13を同一のゴム組成物で形成した単一ゴム層15として平ベルト本体10を3層構造とした平ベルトBとしてもよく、さらに、
図9(c)に示すように、内側内部ゴム層11b、心線保持層12、及び外側ゴム層13を同一のゴム組成物で形成した単一ゴム層15として平ベルト本体10を2層構造とした平ベルトBとしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、平ベルト本体10を、内側ゴム層11、心線保持層12、及び外側ゴム層13の3層構造の平ベルトBとしたが、
図10(a)に示すように、心線保持層12及び外側ゴム層13を同一のゴム組成物で形成した単一ゴム層15として平ベルト本体10を2層構造とした平ベルトBとしてもよく、
図10(b)に示すように、内側ゴム層11及び心線保持層12を同一のゴム組成物で形成した単一ゴム層15として平ベルト本体10を2層構造とし、ベルト内周面を構成する部分である内側ゴム層11及び心線保持層12の単一ゴム層15を、ナノファイバー16を含むゴム組成物で形成した平ベルトBとしてもよく、さらに、
図10(c)に示すように、内側ゴム層11、心線保持層12、及び外側ゴム層13を同一のゴム組成物で形成した単一ゴム層15として平ベルト本体10を単一層構造とし、ベルト内周面を構成する部分である内側ゴム層11、心線保持層12、及び外側ゴム層13の単一ゴム層15を、ナノファイバー16を含むゴム組成物で形成した平ベルトBとしてもよい。
【0088】
上記実施形態では、最外層に外側ゴム層13が設けられた平ベルトBとしたが、特にこれに限定されるものではなく、
図11(a)に示すように、外側ゴム層13の外側に補強布17が設けられた構成であってもよく、また、
図11(b)に示すように、外側ゴム層13の代わりに補強布17が設けられた構成であってもよい。なお、補強布17を設ける場合、平ベルトBの製造時に、RFL水溶液及び/又はゴム糊による接着処理を施した織布や編布を用いればよい。
【実施例】
【0089】
[試験評価1]
(ゴム組成物)
以下の実施例1〜6及び比較例1〜3のゴム組成物を作製した。それぞれの詳細構成については表1にも示す。
【0090】
<実施例1>
試験用バンバリーミキサーに、ゴム成分としてのEPDM(Dow Chemical社製EPDM 商品名:Nordel IP 4640)、並びに、このゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック(東海カーボン社製FEF 商品名:シーストSO)65質量部、プロセスオイル(サン石油社製 商品名:サンパー2280)10質量部、加工助剤としてのステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)1質量部、加硫促進助剤としての酸化亜鉛(堺化学社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、及び老化防止剤(大内新興化学興業社製 商品名:ノクラックMB)2質量部を投入し、ローターの回転数を82rpmとして70W・hのエネルギーに達するまで混練した後、ゴム成分100質量部に対して複合材料A(帝人社製ポリエチレン樹脂-PETナノファイバー複合材料)4.3質量部を投入して、複合材料Aに含まれるポリエチレン樹脂の融点よりも高い140℃の温度に達するまでさらに混練した。
【0091】
続いて、試験用バンバリーミキサーから未架橋ゴム組成物の塊状の混練物を排出してゴムロール上で一旦冷却した後、それを試験用バンバリーミキサーに投入し、ローターの回転数を54rpmとして混練して可塑化させた後、ゴム成分100質量部に対して、架橋剤としての有機過酸化物(日本油脂社製 商品名:パークミルD(ジクミルパーオキサイド))3質量部及び共架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレート(三新化学工業社製 商品名:サンエステルEG)2質量部を投入して100℃に達するまで混練した。
【0092】
そして、試験用バンバリーミキサーから未架橋ゴム組成物の塊状の混練物を排出してゴムロール上で冷却した後、それをカレンダーロールにより圧延して厚さが0.6〜0.7mmの実施例1の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0093】
複合材料Aは、融点が130℃のポリエチレン樹脂の海と繊維径が840nmの700本のポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のナノファイバーの収束体による700の島との海島構造を有し、ポリエチレン樹脂の含有量が30質量%及びナノファイバーの含有量が70質量%、並びに外径が28μm、長さが1mm、及びアスペクト比が35.7である。従って、複合材料Aに含まれるナノファイバーのアスペクト比は1190である。また、実施例1のゴム組成物におけるポリエチレン樹脂及びナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ1.3質量部及び3質量部である。
【0094】
実施例1のゴム組成物は、ナノファイバーの体積分率が2.2体積%である。
【0095】
<実施例2>
複合材料Aの配合量を、ゴム成分100質量部に対して8.6質量部としたことを除いて実施例1と同一構成の実施例2の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0096】
実施例2のゴム組成物におけるポリエチレン樹脂及びナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ2.6質量部及び6質量部である。
【0097】
実施例2のゴム組成物は、ナノファイバーの体積分率が2.5体積%である。
【0098】
<実施例3>
複合材料Aの配合量を、ゴム成分100質量部に対して13.5質量部としたことを除いて実施例1と同一構成の実施例3の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0099】
実施例3のゴム組成物におけるポリエチレン樹脂及びナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ4質量部及び9.5質量部である。
【0100】
実施例3のゴム組成物は、ナノファイバーの体積分率が3.9体積%である。
【0101】
<実施例4>
複合材料Aの代わりに、ゴム成分100質量部に対して、複合材料B(帝人社製ポリエチレン樹脂-PETナノファイバー複合材料)4.3質量部を配合したことを除いて実施例1と同一構成の実施例4の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0102】
複合材料Bは、融点が130℃のポリエチレン樹脂の海と繊維径が400nmの700本のポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のナノファイバーの収束体による700の島との海島構造を有し、ポリエチレン樹脂の含有量が30質量%及びナノファイバーの含有量が70質量%、並びに外径が14μm、長さが1mm、及びアスペクト比が71.4である。従って、複合材料Bに含まれるナノファイバーのアスペクト比は2500である。また、実施例2のゴム組成物におけるポリエチレン樹脂及びナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ1.3質量部及び3質量部である。
【0103】
実施例2のゴム組成物は、ナノファイバーの体積分率が1.3体積%である。
【0104】
<実施例5>
複合材料Bの配合量を、ゴム成分100質量部に対して8.6質量部としたことを除いて実施例4と同一構成の実施例5の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0105】
実施例5のゴム組成物におけるポリエチレン樹脂及びナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ2.6質量部及び6質量部である。
【0106】
実施例5のゴム組成物は、ナノファイバーの体積分率が2.5体積%である。
【0107】
<実施例6>
複合材料Bの配合量を、ゴム成分100質量部に対して13.5質量部としたことを除いて実施例4と同一構成の実施例6の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0108】
実施例6のゴム組成物におけるポリエチレン樹脂及びナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ4質量部及び9.5質量部である。
【0109】
実施例6のゴム組成物は、ナノファイバーの体積分率が3.9体積%である。
【0110】
<比較例1>
複合材料Aを配合していないことを除いて実施例1と同一構成の比較例1の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0111】
<比較例2>
複合材料Aを配合せずに、6,6−ナイロン繊維の有機短繊維(帝人社製 商品名:CFN3000、繊維径:26μm、繊維長:3mm、アスペクト比:115)の含有量をゴム成分100質量部に対して25.5質量部配合したことを除いて実施例1と同一構成の比較例2の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0112】
比較例2のゴム組成物は、有機短繊維の体積分率が11.6体積%である。
【0113】
<比較例3>
複合材料Aを配合せずに、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維の有機短繊維(帝人社製 商品名:CFT3000、繊維径:16μm、繊維長:3mm、アスペクト比:188)の含有量をゴム成分100質量部に対して25.5質量部配合したことを除いて実施例1と同一構成の比較例3の未架橋のゴム組成物シートを作製した。
【0114】
比較例3のゴム組成物は、有機短繊維の体積分率が10.0体積%である。
【0115】
【表1】
【0116】
(試験評価方法)
実施例1〜6及び比較例1〜3のそれぞれについて、プレス成形により架橋したゴム組成物の試験片を作製し、以下の試験を実施した。
【0117】
<ゴム硬さ評価試験>
JIS K6253に基づいてタイプAデュロメータによりゴム硬さを測定した。
【0118】
<引張特性評価試験>
JIS K6251に基づいて列理方向及び反列理方向のそれぞれについて引張試験を行った。そして、列理方向については、10%伸び時における引張応力(M
10)、50%伸び時における引張応力(M
50)、引張強さ(T
B)、及び切断時伸び(E
B)を測定した。反列理方向については、10%伸び時における引張応力(M
10)、50%伸び時における引張応力(M
50)、100%伸び時における引張応力(M
100)、引張強さ(T
B)、及び切断時伸び(E
B)を測定した。また、列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)の反列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)に対する比、及び列理方向の50%伸び時における引張応力(M
50)の反列理方向の50%伸び時における引張応力(M
50)に対する比を求めた。
【0119】
<動的粘弾性特性評価試験>
JIS K6394に基づいて、列理方向については、歪み1%時の荷重の1.3倍の荷重を負荷したときの歪みを平均歪みとし、歪み振幅0.1%、周波数10Hz、及び試験温度100℃として引張方法により貯蔵弾性係数(E’)及び損失係数(tanδ)を測定した。反列理方向については、平均歪み5%、歪み振幅1%、周波数10Hz、及び試験温度100℃として引張方法により貯蔵弾性係数(E’)及び損失係数(tanδ)を測定した。また、列理方向の貯蔵弾性係数(E’)の反列理方向の貯蔵弾性係数(E’)に対する比を求めた。なお、測定には、RHEOLOGY社の粘弾性試験機を用いた。
【0120】
<耐摩耗特性・摩擦係数評価試験>
ピン・オン・ディスク型摩擦摩耗試験機を用い、5mm角の試験片における列理方向に直交する面を摺動面とし、その摺動面を、100℃に調温したS45C製のディスク状の相手材の表面に、列理方向及び反列理方向に直交する方向が摺動方向となるように当接させると共に、試験片に上から19.6Nの荷重を負荷し、相手材を80rpmの回転数で回転させ(すべり速度:15.072m/min)、24時間後の摩耗体積を測定した。この試行を2回行い、その平均値を摩耗体積のデータとした。
【0121】
また、5mm角の試験片における列理方向に直交する面を摺動面とし、その摺動面を、室温(23℃)に調温したS45C製のディスク状の相手材の表面に、列理方向及び反列理方向に直交する方向が摺動方向となるように当接させると共に、試験片に上から19.6Nの荷重を負荷し、相手材を80rpmの回転数で回転させ(すべり速度:15.072m/min)、その摩擦係数を測定した。
【0122】
<耐屈曲疲労性評価試験>
デマッチャ式屈曲試験機を用い、反列理方向を長さ方向とした試験片を、ストロークを20mm及び毎分の屈曲回数を300回として繰り返し屈曲させ、切断までの屈曲回数を測定した。試行を2回行い、その平均値を切断までの屈曲回数のデータとした。
【0123】
<カット面の表面粗さ>
厚さ2mmのシートを、高速カッターを用いて、列理方向に直交する方向に切断したものを試験片とした。そして、表面粗度計(ミツトヨ社製 フォームトレーサー型番:SV−C4100、サーフテスター型番:SV3000)を用い、カットオフ値条件をλc=0.8mm及びλs=2.5μmとし、且つ走査速度を0.5mm/sec及び走査長さを8mmとして、試験片のカット面の最大高さ粗さ(Ry)を測定した。
【0124】
(試験評価結果)
表2は試験結果を示す。
図12(a)〜(c)は、繊維の体積分率とゴム硬さとの関係、繊維の体積分率と列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)との関係、及び繊維の体積分率と列理方向の貯蔵弾性係数(E’)との関係をそれぞれ示す。
図13(a)〜(c)は、繊維の体積分率と摩擦係数との関係、ゴム硬さと摩擦係数との関係、及び列理方向の貯蔵弾性係数(E’)と摩擦係数との関係をそれぞれ示す。
図14(a)及び(b)は、繊維の体積分率と耐屈曲疲労性評価試験における切断までの屈曲回数との関係、及びゴム硬さと耐屈曲疲労性評価試験における切断までの屈曲回数との関係をそれぞれ示す。
【0125】
【表2】
【0126】
図12(a)〜(c)によれば、ナノファイバーを含む複合材料A又は複合材料Bを配合した実施例1〜6では、有機短繊維を配合した比較例2及び3に比べて、少ない体積分率で高いゴム硬さ及び高い弾性率が得られることが分かる。特に、列理方向の10%伸び時における引張応力(M
10)及び列理方向の貯蔵弾性係数(E’)では、有機短繊維の体積分率を11.6体積%(比較例2)或いは10.0体積%(比較例3)とすることにより実現される水準を、ナノファイバーの体積分率を1〜3体積%として達成できることが分かる。これは、正に細い繊維径でアスペクト比が大きいことによるナノファイバー効果に起因するものであると考えられる。なお、ナノファイバーの繊維径が840nmである複合材料Aを配合した実施例1〜3とナノファイバーの繊維径が840nmである複合材料Bを配合した実施例4〜6との大きな差異は見られない。
【0127】
図13(a)〜(c)によれば、ナノファイバーを含む複合材料A又は複合材料Bを配合した実施例1〜6では、有機短繊維を配合した比較例2及び3に比べて、同一水準のゴム硬さや弾性率(M
10,E’)において、高い摩擦係数を有することが分かる。なお、ナノファイバーも有機短繊維も配合されていない比較例1は、高い摩擦係数を有するが、ゴム硬さ及び弾性率(M
10,E’)が低いため、平ベルトの内側ゴム層として用いるのには適さない。
【0128】
図14(a)によれば、ナノファイバーを含む複合材料A又は複合材料Bを配合した実施例1〜6では、ナノファイバーも有機短繊維も配合されていない比較例1に比べて、同一水準乃至それ以上の耐屈曲疲労性を有する一方、有機短繊維を配合した比較例2及び3では、比較例1に比べても、著しく耐屈曲疲労性が劣ることが分かる。また、
図14(b)によれば、ナノファイバーを含む複合材料A又は複合材料Bを配合した実施例1〜6は、ゴム硬さが高く、しかも耐屈曲疲労性が優れることが分かる。
【0129】
[試験評価2]
(平ベルト)
上記実施形態と同様の方法により、実施例2及び5並びに比較例1〜3のそれぞれのゴム組成物を用い、列理方向がベルト幅方向となるように内側ゴム層を形成した平ベルトを作製した。
【0130】
なお、試験評価2では、内側ゴム層の試験評価を目的としたことから、その目的に支障が及ばないように、心線保持層及び外側ゴム層をゴム硬さの高いゴム組成物で形成した。具体的には、心線保持層及び外側ゴム層は、表3に示すように、ゴム成分をEPDM(Dow Chemical社製EPDM 商品名:Nordel IP 4640)とし、このゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック(東海カーボン社製FEF 商品名:シーストSO)65質量部、プロセスオイル(サン石油社製 商品名:サンパー2280)10質量部、加工助剤としてのステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)1質量部、加硫促進助剤としての酸化亜鉛(堺化学社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、老化防止剤(大内新興化学興業社製 商品名:ノクラックMB)2質量部、架橋剤としての有機過酸化物(日本油脂社製 商品名:パークミルD(ジクミルパーオキサイド))3質量部、共架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレート(三新化学工業社製 商品名:サンエステルEG)2質量部、及びパラ系アラミド短繊維(帝人社製 テクノーラカットファイバーCHF3050、繊維径:12.3μm、繊維長:3mm)25質量部を配合したゴム組成物で形成した。心線保持層及び外側ゴム層を形成するゴム組成物についてJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータにより測定したゴム硬さは94°であった。
【0131】
【表3】
【0132】
また、心線にはアラミド繊維の外径が0.7mmの撚り糸を用いた。平ベルトは、ベルト長さが1000mm、ベルト幅が20mm、及びベルト厚さが3mm(内側ゴム層の厚さ0.8mm)とした。
【0133】
(試験評価方法)
<ベルト内周面の見掛けの摩擦係数μ’>
各平ベルトについて、長さ250mmの平ベルト片21を切り出し、それを、
図2に示すように、外径が75mmの平プーリ22に、巻き掛け角度90°として巻き掛け、平ベルト片21の上側の端をチャッキングしてロードセル23に接続すると共に、鉛直に垂下する下側の端をチャッキングして重錘24を取り付け、そして、平ベルト片21のロードセル23から平プーリ22までの部分の張力を高めるように平プーリ22を20m/sの周速で回転させ、そのときの重錘24による緩み側張力Ts(=19.6N)及びロードセル23により検出される張り側張力Ttから、Eulerの式に基づいて上記式(1)によりベルト内周面の見掛けの摩擦係数μ’を求めた。
【0134】
<ベルト走行試験>
図15はベルト走行試験機50を示す。
【0135】
このベルト走行試験機50は、外径100mmの平プーリの駆動プーリ51とその左側方に設けられた外径100mmの平プーリの従動プーリ52とを備える。駆動プーリ51は、平ベルトBに対してデッドウエイトDWを負荷できるように左右に可動に設けられている。
【0136】
各平ベルトBについて、このベルト走行試験機50の駆動プーリ51及び従動プーリ52間に巻き掛け、駆動プーリ51に対して右側方に300Nの軸荷重(デッドウエイトDW)を負荷して平ベルトBに張力を負荷すると共に、従動プーリ52に12N・mの回転トルクを負荷した状態で、100℃の雰囲気温度下において駆動プーリ51を2000rpmの回転数で回転させた。そして、平ベルトBのスリップが発生するまでの走行時間を測定した。同様に、軸荷重を400N及び500Nとした場合についても試験を行った。なお、軸荷重を400Nとして300時間を越えてもスリップが発生しない場合、及び軸荷重を500Nとして500時間を越えてもスリップが発生しない場合には、その時点で走行を打ち切った。
【0137】
また、軸荷重を500Nとした場合について、走行開始から20時間が経過した時点で、一旦、走行を止め、内側表面ゴム層の摩耗状態を確認した。そして、厚みの変化が30μm以下であり、殆ど摩耗が認められない場合をA、厚みの変化が30μmよりも大きく且つ80μm以下であり、摩耗が少ない場合をB、及び厚みの変化が80μmを越える場合をCとそれぞれ評価した。
【0138】
(試験評価結果)
表4は試験評価結果を示す。
【0139】
【表4】
【0140】
ベルト内周面の見掛けの摩擦係数μ’は、実施例2が0.85、及び実施例5が0.91、並びに比較例1が0.82、比較例2が0.55、及び比較例3が0.60であった。
【0141】
スリップ発生までの走行時間は、軸荷重が300Nの場合、実施例2では15時間、及び実施例5では80時間、並びに比較例1〜3では走行直後であった。軸荷重が400Nの場合、実施例2及び5のいずれも300時間を越えてもスリップが発生しなかったのに対し、比較例1では260時間、比較例2では10時間、及び比較例3では60時間であった。軸荷重が500Nの場合、実施例2及び5のいずれも500時間を越えてもスリップが発生しなかったのに対し、比較例1では摩耗が著しかったために20時間で試験を中止し、比較例2では200時間、及び比較例3では230時間であった。
【0142】
軸荷重が500Nの場合の走行20時間時における摩耗状態は、実施例2がA、及び実施例5がA、並びに比較例1がC、比較例2がA、及び比較例3がAであった。
【0143】
以上の結果より、ナノファイバーを含む複合材料A又は複合材料Bを配合した実施例2及び5のゴム組成物で内側ゴム層を形成した平ベルトでは、低い軸荷重でも安定して動力伝達できる時間が長く、また、適正な軸荷重が設定されれば、スリップが発生しないことが分かる。従って、適性に軸荷重を設定すれば、メンテナンスフリーの動力伝達装置を構成することができる。また、軸荷重を低く設定することができるので、平ベルトを低張力で使用することができると共に、動力伝達時の変形によるヒステリシスロスを小さくでき、その結果、低エネルギー消費の動力伝達が可能となる。さらに、摩耗も少ないので、耐久性に優れ、摩耗粉で環境を汚染する等の問題も少ない。