(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161722
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/04 20060101AFI20170710BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20170710BHJP
【FI】
H02K5/04
H02K11/30
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-547028(P2015-547028)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公表番号】特表2016-501506(P2016-501506A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2013076416
(87)【国際公開番号】WO2014090953
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】102012223288.5
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ノインツィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト フライ
(72)【発明者】
【氏名】ハラランポス キョルクツィディス
(72)【発明者】
【氏名】フィンツェント クレミナ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ノル
(72)【発明者】
【氏名】ペーター コーレン
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ライフ
(72)【発明者】
【氏名】カーリン オプレ
【審査官】
安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−356006(JP,A)
【文献】
特開2003−324903(JP,A)
【文献】
特開2011−229228(JP,A)
【文献】
特開2012−092747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00−5/26
H02K 11/00−11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーシング部材から成る金属ケーシングと、電気モータと、作動部材と、前記電気モータの運動を前記作動部材に適合させる伝達機構と、前記電気モータを制御する電子装置と、を備えているアクチュエータにおいて、
少なくとも一つのケーシング部材(7)が一体的なプラスチックカバー(7)であり、該プラスチックカバー(7)の領域にヒートシンク(14)が配置されており、該ヒートシンク(14)は金属製ケーシング部材(1)と結合されていることを特徴とする、アクチュエータ。
【請求項2】
前記ヒートシンクは金属ボディ(14)である、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記金属ボディ(14)は、熱伝導率の良好な少なくとも一種類の金属、有利には銅又はアルミニウムを含む、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記金属ボディ(14)はウェブ(17)を有し、該ウェブ(17)は前記金属製ケーシング部材(1)の収容部(19)に配置されている、請求項2または3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ウェブ(17)は、プリロードが掛けられた状態で前記収容部(19)に配置されているように構成されている、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記金属ボディ(14)と電気的な導体路(9,9)とを一体的に結合する結合部(15)を有した状態でリードフレーム(12)を加工し、
前記リードフレーム(12)を前記プラスチックカバー(7)の係止箇所に係止し、その後、前記結合部(15)を切り離すことによって、前記導体路(9,9’)を電気的に分離することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のアクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のケーシング部材から成る金属ケーシングと、電気モータと、作動部材と、電気モータの運動を作動部材に適合させる伝達機構と、電気モータを制御する電子装置と、を備えたアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータは、電気モータにより駆動される作動部材をフラップ又はピンの形態で有しているか、若しくは、作動器又は弁として自動車に使用されるものであって、従って公知である。使用される金属ケーシングは通常の場合、アルミニウム鋳造ケーシングである。何故ならば、そのようなケーシングは比較的軽い重量で十分な強度を有しているからである。構成要素をケーシング内に収容できるようにするために、ケーシングは二つ以上のケーシング部材から成る。通常の場合、自動車内のアクチュエータは高い温度に晒されているので、複数の部材から成るアルミニウムケーシングは、熱伝導率が良好であることから、ケーシング内に配置されている構成要素を冷却するため、例えば、電気モータの排熱を冷却するために利用される。また、そのような高い温度の領域においてアクチュエータを使用する場合、水冷システムの形態の能動的な冷却部をケーシング内に設けることも公知である。水冷システムを配置することによって、アルミニウムケーシングに関するコストが大幅に増加することは欠点である。ケーシングに水冷システムが設けられていない場合、効果的な冷却を達成するためには、ケーシング部材が十分な熱容量に関して比較的厚い壁部を有していなければならない。これによって、その種のケーシングの重量が比較的重くなる。
【0003】
従って本発明が基礎とする課題は、簡単に構成されており、またコストの面からも有利に構成されているアクチュエータを提供することである。更に、アクチュエータの重量が軽いことも望ましい。
【0004】
この課題は、少なくとも一つのケーシング部材がプラスチックから成り、プラスチックから成るケーシング部材の領域にヒートシンクが配置されており、そのヒートシンクが金属製ケーシング部材と結合されていることによって解決される。
【0005】
別個のヒートシンクを配置することによって、ケーシング内の特定の領域及び/又は構成要素を冷却することができる。この付加的な冷却措置によって、ケーシングの個々の部材、有利にはカバーを別の材料、特にプラスチックから作製することができる。またヒートシンクに基づき、プラスチックの使用に際して、耐高温性プラスチックを使用する必要はなくなり、その代わりに比較的廉価なプラスチックを使用することができる。しかしながら本質的な利点は、プラスチックを使用することによって、アクチュエータの重量が著しく低減されることである。
【0006】
効果的な冷却は、金属ボディがヒートシンクとして使用される場合に達成される。金属の熱伝導率に起因して、この物質は他の材料よりも適している。改善された冷却又はヒートシンクとしての比較的小型の金属ボディの使用は、金属ボディが、熱伝導率の良好な少なくとも一種類の金属、有利には銅又はアルミニウムを含んでいることによって達成される。
【0007】
特に有利な実施形態においては、金属ボディが電気的な導体路に一体的に結合されている。このことは、金属ボディの配置が簡略化され、且つ、ケーシングにおける金属ボディの非常に簡単な取り付けが達成されるという利点を有している。しかしながら本質的な利点は、導体路が通常の場合、熱伝導率の良好な材料から成り、また既にそれによって、金属ボディと導体路の結合部が提供されるということである。導体路は、打ち抜き又は切断によって、素材から作製されることが多い。金属ボディが相応に配置及び構成される場合には、元来、打ち抜き加工又は切り抜き加工が行われた後に廃材となっていた領域に金属ボディを配置することができる。そのようにして素材の材料の利用が改善されることによって、加工屑を大幅に減らすことができる。更には、それによって金属ボディ及び導体路を同時に製造することができる。従って、金属ボディの別個の製造を省くことができる。これによってヒートシンクを非常に廉価に作製することができる。
【0008】
しかしながら、導体路及び金属ボディが別個に作製される場合であっても、金属ボディが例えばはんだ付けにより導体路に結合されることによって、簡単な配置を達成することができる。
【0009】
別の実施形態においては、金属ボディをケーシングのプラスチックカバーに結合させることができる。特に、係止結合及び挿入結合によって簡単な組み立てが実現される。この結合は、金属ボディと他の構成要素の結合に付加的に行われるものであってよい。プラスチックカバーの絶縁特性に基づき、結合は金属ボディと結合されている導体路を介して行われると考えられる。
【0010】
金属ボディがウェブを有しており、それらのウェブが金属製ケーシング部材の収容部に配置されており、それによって熱が別のケーシング部材に排出される場合には、ヒートシンクとしての機能が更に改善される。収容部はケーシングの当接面でよい。更に、金属ケーシングとの接続を実現するために、ウェブを金属ボディから離れる方向に任意の角度で折り曲げることができる。
【0011】
過酷な動作条件下でもケーシングへの確実な排熱を保証するために、有利な実施形態によれば、ウェブがプリロードを掛けられた状態で収容部に配置されるように、ウェブが形成されている。ウェブの端部がL字形、U字形又はV字形に折り曲げられている場合には、プリロードが既に達成される。このプリロードは端部のばね作用によって生じる。別の実施形態においては、ケーシングの収容部の形状によって、プリロードを掛けることができる。このために、例えば挿入面取り部を有している収容部を形成することができる。またその種の形状は容易に作製可能である。
【0012】
本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1によるカバーをリードフレームと共に示す。
【
図4】カバーが設けられていない状態のケーシングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、車両におけるアクチュエータのアルミニウム製ケーシング部材1が示されている。アクチュエータは作動部材2を備えており、この作動部材2は、伝達機構としての伝動装置3を介して電気モータ4によって駆動される。ケーシング1のこの部分は水によって冷却される。このために、冷媒通路5が相応の接続管路6に接続されている。伝動装置3の領域において、ケーシング1はカバー7によって覆われる。十分な密閉性のために、ケーシング1とカバー7との間にシーリング8が付加的に配置されている。作動部材2の位置を捕捉するために、作動部材2の駆動軸9には磁石10が取り付けられている。磁石10にはセンサ11が対向して配置されており、またセンサ11自体はカバー7に取り付けられている。
【0015】
図2には、カバー7に取り付けられるリードフレーム12も示されている。リードフレーム10は、センサ11に接触接続させるための導体路9と、電気モータに接触接続させるための導体路9’とから成る。導体路9,9’は、カバー7に成形されているコネクタ13を介して外方に案内される。リードフレーム12は更に、ヒートシンクとしての金属ボディ14を有している。リードフレーム12は銅合金から成り、従って熱伝性は良好である。導体路9に比べて個々の路14を幅広に形成することによって、金属ボディ14は比較的大きい熱容量を有しており、従ってより良好な冷却機能を有している。リードフレーム12は、金属ボディ14の打ち抜きによって、導体路9,9’及び個々の構成素子9,9’,14間の結合部15が作製されている打ち抜き部材である。個々の構成素子を変形させることによって、リードフレーム12が完成する。
【0016】
リードフレーム12は続けて、カバー7の係止個所にクリップ係止され、また接続部15が切り離され、それによって導体路9,9’は電気的に分離されている。この配置構成は、センサ11の接触接続部と共に、
図3に示されている。センサ11及びケーシング部材1に対する金属ボディ14及び導体路9,9’の配置構成は
図4に示されている。
【0017】
図5においては、ケーシング部材1が、冷媒通路5、図示していない電気モータのための室16及びカバー7と共に断面図で示されている。図面を見やすくするために、伝動装置もここでは図示していない。金属ボディ14と同様に導体路9がカバーにクリップ結合されている。金属ボディは二つのウェブ17を有しており、それらのウェブ17はケーシング部材1の方向に90°折り曲げられており、且つ、その端部18はV字形に構成されている。このウェブ17の端部18は、ケーシング部材1の収容部19に達しており、その収容部19において、端部18はそのV字形の構造に起因して、収容部19の壁部に対してプリロードが掛けられた状態で配置されている。このようにして、金属ボディ14が受け取った熱が、ウェブ17を介してケーシング部材1に排出される。