(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161731
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】自動車用のポンプアッセンブリ及びシステム
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20170703BHJP
F02M 59/46 20060101ALI20170703BHJP
F02M 59/44 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
F02M55/02 310A
F02M59/46 Y
F02M59/44 E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-558507(P2015-558507)
(86)(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公表番号】特表2016-507699(P2016-507699A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2014067144
(87)【国際公開番号】WO2015024804
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】102013216817.9
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ シュタイナート
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−200990(JP,A)
【文献】
特開2010−156257(JP,A)
【文献】
特開2011−220201(JP,A)
【文献】
特開2004−138062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のポンプアッセンブリであって、
流体を圧送する高圧ポンプ(101)であって、流体流入部(102)及び流体流出部(103)並びに圧力室(104)を有し、該圧力室(104)は、液圧回路で見て前記流体流入部(102)と前記流体流出部(103)との間に配置されている高圧ポンプ(101)と、
入口側で前記流体流出部(103)に連結されており、出口側で前記流体流入部(102)に液圧的に連結されている第1の圧力制限弁(105)と、
入口側で前記流体流出部(103)に連結されており、出口側で前記圧力室(104)に液圧的に連結されている第2の圧力制限弁(106)と、
を備え、
両前記圧力制限弁(105,106)は、液圧的に並列に接続されており、
両前記圧力制限弁(105,106)は、それぞれ開弁圧を有し、
前記第1の圧力制限弁(105)の開弁圧の値は、前記第2の圧力制限弁(106)の開弁圧の値より大きく、
前記第2の圧力制限弁(106)の開弁圧の値は、前記ポンプアッセンブリ(100)に液圧的に連結可能なインジェクタ(107)に応じて設定されており、前記第2の圧力制限弁(106)は、前記流体流出部(103)内の圧力脈動を低減するため、前記流体流出部(103)内の圧力にかかわらず前記高圧ポンプ(101)の吸込期間中のみ開弁されることを特徴とする、ポンプアッセンブリ。
【請求項2】
前記第2の圧力制限弁(106)は、固定に設定された開弁圧を有する受動型の圧力制御弁として形成されている、請求項1記載のポンプアッセンブリ。
【請求項3】
第1の圧力制限弁(105)の開弁圧の値は、前記流体流出部(103)と前記インジェクタ(107)との間に液圧的に連結可能な高圧集合管路(112)に応じて設定されている、請求項1又は2記載のポンプアッセンブリ。
【請求項4】
前記第2の圧力制限弁(106)の開弁圧の値は、前記インジェクタ(107)の開弁圧に応じて設定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のポンプアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載のポンプアッセンブリ(100)と、
液圧的に前記流体流出部に連結されている高圧集合管路(112)と、
内燃機関の燃焼室内に流体を噴射するインジェクタ(107)と、
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のポンプアッセンブリに関する。さらに本発明は、自動車用のポンプアッセンブリを備えるシステム、特に燃料噴射系に関する。
【0002】
流体を圧送するポンプ、特に自動車の噴射系用の燃料を圧送するポンプは、従来、1つの圧力制限弁を有している。この弁は、ポンプの高圧側に配置されている。この弁は、エラー時に、高圧ポンプにより最大で圧送される体積流量が再びポンプの高圧ピストン室に還流可能であるように設計されている。これにより、ポンプを備える高圧系は、許容できないほど高い圧力から保護される。通常の運転条件の下では、この弁は閉弁されている。圧力制限弁が、従来では、ポンプの高圧ピストン室に連結されていることにより、弁は、ポンプの吸込期間中だけ開弁可能である。ポンプの吐出期間中、弁は液圧的にロックされており、開弁不能である。
【0003】
信頼性の高い運転を可能にする、自動車用のポンプアッセンブリを提供することが所望されている。さらに、信頼性の高い運転を可能にする、ポンプアッセンブリ内のシステムを提供することが所望されている。
【0004】
本発明は、自動車用のポンプアッセンブリ、及びこのようなポンプアッセンブリを備えるシステムに関する。
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様において、ポンプアッセンブリは、流体を圧送する高圧ポンプを備えている。高圧ポンプは、流体流入部及び流体流出部並びに圧力室を有し、圧力室は、液圧回路で見て流体流入部と流体流出部との間に配置されている。ポンプアッセンブリは、入口側で流体流出部に連結されている第1の圧力制限弁を備えている。ポンプアッセンブリは、第2の圧力制限弁を備えている。両圧力制限弁は、液圧的に並列に接続されている。両圧力制限弁は、それぞれ開弁圧を有している。第1の圧力制限弁の開弁圧の値は、第2の圧力制限弁の開弁圧の値より大きい。ポンプアッセンブリは、インジェクタに液圧的に連結可能である。第2の圧力制限弁の開弁圧の値は、インジェクタに応じて設定されている。
【0006】
第1の圧力制限弁により、特に、高圧ポンプの流体流出部における最大許容圧が超過されないことが保証される。第1の圧力制限弁の不要な開弁を回避するために、第1の圧力制限弁の開弁圧の値は、特に、高圧ポンプの吐出期間中の、通常運転中に発生するシステム圧より大きい。これにより、第1の圧力制限弁は、通常運転中は開弁しない。エラー時、第1の圧力制限弁は、過大な圧力から保護する。
【0007】
第2の圧力制限弁により、ポンプアッセンブリに連結可能なインジェクタの信頼性の高い開弁が保証される。第2の圧力制限弁の開弁圧の値は、開弁圧の値がインジェクタのための最高許容圧の下にあるように設定される。これにより、インジェクタの機能は保証される。ここで、インジェクタのための最高許容圧とは、インジェクタがかろうじてまだ高い信頼性で開弁可能な流体圧と解すべきである。
【0008】
特に、発生する圧力脈動を減衰すべく、第2の圧力制限弁が高圧ポンプの各吸込期間中の開弁を容認することができる。これにより、第1の圧力制限弁を摩耗から保護することが可能である。これは、第1の圧力制限弁が通常運転中は閉弁されたままであり、エラー時にのみ開弁するからである。
【0009】
別の態様において、第1の圧力制限弁は、出口側で流体流入部に液圧的に連結されている。これにより、エラー時には、高圧ポンプの吐出期間中でも、第1の圧力制限弁を開弁することが可能である。これにより、液圧的に閉止された圧力制限弁は、回避可能である。第1の圧力制限弁は、高圧ポンプの最大体積流量が第1の圧力制限弁を通して導出可能であるように設計される。これにより、第1の圧力制限弁により、高圧ポンプの全作業サイクル中、流体流出部における最大許容圧が超過されないことが保証される。エラー時には、高圧ポンプにより圧送される最大体積流量のすべてが、言及すべきほどの圧力上昇なしに再び低圧領域の流体流入部に導出されることが可能である。吐出期間中の許容できない圧力上昇は、回避される。
【0010】
一態様において、第2の圧力制限弁は、出口側で圧力室に液圧的に連結されている。これにより、高圧ポンプの吐出期間中に第2の圧力制限弁を液圧的に閉止することが可能である。これにより、ポンプの良好な効率が達成される。これは、1回のポンプサイクルのすべての体積が流体流出部に圧送されるからである。第1の圧力制限弁により、ポンプアッセンブリは常に、許容できないほど高い圧力から保護されている。
【0011】
別の態様において、第2の圧力制限弁は、出口側で流体流入部に液圧的に連結されている。一態様において、第2の圧力制限弁は、入口側で流体流出部に連結されている。これにより、第2の圧力制限弁が開弁されたとき、流体流出部と流体流入部との間の液圧的な連通が可能である。これにより、第2の圧力制限弁が各吐出期間中に開弁することが可能である。これにより、流体流出部における圧力脈動は、最小化される。高圧ポンプ内のすきま容積は、縮小される。これにより、効率の向上が得られる。
【0012】
別の態様において、第2の圧力制限弁は、入口側で圧力室に連結されている。これにより、第2の圧力制限弁が開弁されたとき、圧力室と流体流入部との間の液圧的な連通が可能である。これにより、圧力室内の圧力脈動及び流体流出部における圧力脈動を最小化することが可能である。第2の圧力制限弁は、高圧ポンプの各吐出期間中、開弁可能である。
【0013】
別の態様において、第2の圧力制限弁は、固定に設定された開弁圧を有する受動型の圧力制御弁として形成されている。例えば第2の圧力制限弁により、流体流出部に設けられた圧力センサの校正を実施することが可能である。このために、例えばシステム圧が、第2の圧力制限弁の開弁圧の値に上昇される。開弁圧が固定に設定されていることにより、開弁圧の値は、参照値として利用可能である。
【0014】
別の態様において、流体流出部は高圧集合管路に連結可能である。高圧集合管路には、インジェクタが連結可能である。第1の圧力制限弁の開弁圧の値は、特に高圧集合管路に応じて設定されている。開弁圧の値は、特に、高圧集合管路のための最大設定圧が超過されないように設定されている。
【0015】
第2の圧力制限弁の開弁圧の値は、特に、インジェクタの最低開弁圧に応じて設定されている。これにより、インジェクタの信頼性の高い運転が保証される。
【0016】
別の利点、特徴及び構成は、図面を参照しながら説明する以下の実施の形態において看取可能である。同一、同種及び機能同一の要素には、同一の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態における燃料噴射系の概略図である。
【
図2】実施の形態における燃料噴射系の概略図である。
【
図3】実施の形態における燃料噴射系の概略図である。
【
図4】実施の形態におけるポンプアッセンブリの要部概略図である。
【
図5】実施の形態における圧力制限弁の概略図である。
【0018】
図1は、ポンプアッセンブリ100を示している。ポンプアッセンブリ100は、特に自動車の燃料噴射系の一部である。燃料噴射系は、特に「コモンレール噴射系」である。ポンプアッセンブリ100は、流体流入部102と流体流出部103とを有する高圧ポンプ101を備えている。液圧回路で見て流体流入部102と流体流出部103との間には、圧力室104が設けられている。
【0019】
流体流入部102は、低圧側114に配置されている。流体流入部102は、特に圧力室104を流体タンク113に連結するために用いられる。流体流出部103は、高圧側115に設けられている。流体流出部103は、特に高圧集合管路112に連結されている。高圧集合管路112には、単数又は複数のインジェクタ107が連結されている。インジェクタ107は、自動車の運転中に内燃機関のそれぞれ1つの対応する燃焼室内に噴射を行うように設けられている。高圧ポンプ101により、流体が流体タンク113から圧送され、加圧された状態で高圧集合管路112内に圧送される。低圧側114には、運転中、例えば5bar未満の圧力が支配している。高圧側115、特に燃料集合管路112内には、特に300barを超える圧力、例えば350bar以上の圧力が支配している。
【0020】
高圧ポンプ101は、特にピストンポンプである。圧力室104内には、ピストン122が配置されている。ピストン122が、圧力室104の容積が拡大するように、ピストン122の長手方向軸線に沿って移動すると、流体は、流体流入部102を通って圧力室104に吸い込まれる。この行程は、高圧ポンプ101の「吸込期間」である。次にピストン122は、逆方向に移動し、流体は、圧力室104から流体流出部103に吐き出される。この行程は、高圧ポンプ101の「吐出期間」である。
【0021】
ポンプアッセンブリ100は、第1の圧力制限弁105を備えている。第1の圧力制限弁105の入口側108は、流体流出部103に液圧的に接続されている。第1の圧力制限弁105の出口側110は、流体流入部102に液圧的に接続されている。第1の圧力制限弁105の入口側108は、高圧側115に液圧的に連結されている。第1の圧力制限弁105の出口側110は、低圧側114に液圧的に連結されている。
【0022】
第1の圧力制限弁105は、1つの設定開弁圧を有している。第1の圧力制限弁105は、圧力が設定開弁圧を下回っているときは、第1の圧力制限弁105を通る流体流を遮断している。圧力が設定開弁圧以上となると、第1の圧力制限弁105は、第1の圧力制限弁105を通る流体流を開通させる。第1の圧力制限弁105の開弁圧の値は、流体流出部103内、特に高圧集合管路112内の設定最大圧が超過されないように設定されている。第1の圧力制限弁105は、ポンプアッセンブリ100の通常運転中、閉弁されている。入口側108において開弁圧の設定値に達すると、かつ/又は設定値が超過されると、第1の圧力制限弁105は、開弁し、入口側108から出口側110への流体流を開通させる。これにより、高圧側115の圧力は、設定最高限度内に保たれる。第1の圧力制限弁105は、流体流入部102に液圧的に接続されていることにより、高圧ポンプ101の吸込期間中も、高圧ポンプ101の吐出期間も、開弁可能である。第1の圧力制限弁105は、液圧的にロックされていない。
【0023】
ポンプアッセンブリ100は、第2の圧力制限弁106を備えている。第2の圧力制限弁106は、特に受動型の圧力制御弁である。第2の圧力制限弁106は、予め決められた値の開弁圧を有している。第2の圧力制限弁106は、1つの設定開弁圧を有している。第2の圧力制限弁106は、圧力が設定開弁圧を下回っているときは、第2の圧力制限弁106を通る流体流を遮断している。圧力が設定開弁圧以上となると、第2の圧力制限弁106は、第2の圧力制限弁106を通る流体流を開通させる。
【0024】
第2の圧力制限弁106の開弁圧の値は、第1の圧力制限弁105の開弁圧の値より小さい。
図1に示すような実施の形態では、第2の圧力制限弁106の入口側109は、流体流出部103に液圧的に連結されている。第2の圧力制限弁の出口側111は、圧力室104に液圧的に連結されている。
【0025】
これにより、第2の圧力制限弁106が開弁したとき、流体流出部103から圧力室104への流体の流れが可能である。第2の圧力制限弁106は、
図1に示すような実施の形態では、高圧ポンプ101の吐出期間中、液圧的にロックされている。第2の圧力制限弁106は、高圧ポンプ101の吸込期間中のみ開弁可能であり、高圧ポンプ101の吐出期間中は、常時閉弁されている。
【0026】
第2の圧力制限弁106の開弁圧の値は、特にインジェクタ107に応じて設定されている。第2の圧力制限弁106の開弁圧の値は、最高許容インジェクタ開弁圧に応じて設定されている。これにより、インジェクタ107の信頼性の高い運転が可能となる。特に、第2の圧力制限弁106の開弁圧の値は、インジェクタ107の最高許容圧の下にある。これにより、インジェクタ107の機能が保証、つまり信頼性の高い開弁及び燃焼室への流体の噴射が保証される。第2の圧力制限弁106が高圧ポンプ101の吸込期間中に開弁可能であることにより、流体流出部103内及び高圧集合管路112内の圧力脈動は、低減される。第2の圧力制限弁106が高圧ポンプ101の吸込期間中のみ開弁可能であることにより、ポンプアッセンブリ100の効率は、良好である。
【0027】
これに加え、予め決められた値の開弁圧を有する受動型の圧力制御弁の使用は、圧力センサ123の校正を可能にする。圧力センサ123は、高圧集合管路112内の流体圧を求めるように設けられている。第2の圧力制限弁106の開弁圧の予め決められた値は、運転中、特に変更されない。これにより、圧力センサ123を、第2の圧力制限弁106の開弁圧の固定参照値に対して校正することが可能である。このことは、従来使用される能動的に制御される圧力制御弁では、開弁圧が、能動型の弁の場合、印加される制御電圧を介して、開弁圧の様々な値に制御されることができ、これにより固定の参照値を形成することができないため、不可能である。受動型の第2の圧力制限弁106の使用は、従来慣用の能動型の圧力制御弁より安価でもある。
【0028】
第2の圧力制限弁106は、一方では、インジェクタ107における最高許容圧を保証する圧力制限弁として用いられ、他方では、圧力脈動を最小化するとともに、特に圧力センサ123の校正を行う圧力制御弁として用いられる。第2の圧力制限弁106の横断面は、特に、高い流体圧にもかかわらず最大許容面圧が超過されないように設定されている。第2の圧力制限弁106は、特に耐疲労性に設計されている。
【0029】
第1の圧力制限弁105の開弁圧の値は、ポンプアッセンブリ100の運転中の圧力脈動が第1の圧力制限弁105の開弁に至らしめない高さにある。第1の圧力制限弁105の出口側110は、低圧領域114に接続されている。これにより、高圧ポンプ101の吸込期間及び吐出期間とは無関係に放圧可能である。これにより、吐出期間中に管路内の圧力が第1の圧力制限弁105の開弁圧の値より大きくなることは、回避される。吐出期間中に管路内の圧力が第1の圧力制限弁105の開弁圧の値より大きくなることは、液圧的にロックされる圧力制限弁では、吐出期間中に起こる恐れがある。第1の圧力制限弁105の横断面は、高圧ポンプ101からの体積流量が最大であるときに最大許容システム圧がエラー時に超過されないように設定されている。第1の圧力制限弁105は、第2の圧力制限弁106より大きな体積流量に設計されている。
【0030】
これにより、高圧ポンプ101により最大で圧送される体積流量が、高圧集合管路112内の言及すべきほどの圧力上昇なしに再び低圧領域114に導出可能であることが保証される。吐出期間中の許容できない圧力上昇は、回避される。第1の圧力制限弁105を許容できない開弁から保護するために、第1の圧力制限弁105の開弁圧の値は、通常運転中に発生する吐出期間中のシステム圧より上に規定される。その際、インジェクタ107の確実な開弁を保証するために、第2の圧力制限弁106の値は、第1の圧力制限弁105の開弁圧の値より低く設定される。これにより、インジェクタ107の機能は保証されている。第1の圧力制限弁105は、エラー時にのみ開弁する。第1の圧力制限弁105は通常運転中開弁しないので、第1の圧力制限弁105の摩耗は低減される。第1の圧力制限弁105と第2の圧力制限弁106とは、入口側で液圧的に並列に接続されている。
【0031】
図2は、別の実施の形態に係るポンプアッセンブリ100を示している。
図2のポンプアッセンブリ100は、実質的に、
図1との関連で説明したようなポンプアッセンブリ100の実施の形態に相当する。
図1の実施の形態とは異なり、第2の圧力制限弁106の出口側111が、流体流入部102に液圧的に接続されている。
【0032】
第2の圧力制限弁106は、出口側で低圧側114に液圧的に接続されている。これにより、第2の圧力制限弁106が開弁されているとき、流体流出部103から低圧領域114への流体の流れが可能である。第2の圧力制限弁106は、高圧ポンプ101の吐出期間中、液圧的に閉止されていない。これにより、第2の圧力制限弁106は、高圧ポンプ101の吐出期間中に開弁することが可能である。これにより、流体流出部103内及び高圧集合管路112内の圧力脈動は、第2の圧力制限弁106により最小化される。高圧ポンプ101内のすきま容積は、縮小される。このことは、ポンプアッセンブリ100の効率を向上させる。
【0033】
図3は、別の実施の形態に係るポンプアッセンブリ100を示している。
図3に示したポンプアッセンブリ100は、実質的に、
図1及び
図2との関連で説明したような実施の形態に相当する。
図1及び
図2の実施の形態とは異なり、第2の圧力制限弁106の入口側109が、圧力室104に液圧的に接続されている。第2の圧力制限弁106の出口側111は、流体流入部102あるいは低圧側114に液圧的に接続されている。第2の圧力制限弁106が開弁されているとき、圧力室104から流体流入部102への流体流が開通されている。第2の圧力制限弁106は、高圧ポンプ101の各吐出期間中、開弁する。こうして、流体流出部103、高圧集合管路112及び圧力室104内の圧力脈動は、最小化される。
【0034】
図4は、液圧的に並列に接続されている第1の圧力制限弁105と第2の圧力制限弁106とを示している。第1の圧力制限弁105の開弁圧の値は、第2の圧力制限弁106の開弁圧の値より大きくなるように調節されている。第1の圧力制限弁105は、第2の圧力制限弁106より大きな体積流量に設計されている。第1の圧力制限弁105の開弁圧の値及び最大体積流量の値は、第1の圧力制限弁105が正常に機能するとき、高圧領域115内の最大設定圧が超過されないように設定されている。第2の圧力制限弁106の開弁圧の値及び最大体積流量の値は、インジェクタ107の確実な開弁が保証されるとともに、圧力脈動が減衰されるように設定されている。
【0035】
図5は、一実施の形態に係る第2の圧力制限弁106の概略図を示している。第2の圧力制限弁106は、別の実施の形態ではこれとは異なって形成されている。
【0036】
第2の圧力制限弁106は、「受動型の圧力制御弁」である。第2の圧力制限弁106は、ハウジング120を有している。ハウジング120内では、ばね116が保持要素119と封止要素117との間において付勢されている。封止要素117は、ばね116により封止座118に押し付けられる。封止座118は、入口109と出口111との間に配置されている。入口側109の圧力が上昇すると、封止要素117は、ばね116のばね力に抗して封止座118から離間移動し、入口側109から出口側111への流体流を開通させる。入口側109には、例えば先細りした横断面121が設けられている。この先細りした横断面121は、通流量制限に用いられる。第2の圧力制限弁106の開弁圧の値は、ばね116のプリロードを介して設定される。第2の圧力制限弁106の組立中に長手方向軸線124に沿って保持要素119を移動させることにより、ばね116のプリロードは調節される。プリロード116が、予め決められた値に達すると、保持要素119の、ハウジング120に対する相対的な位置は、固定される。これにより、第2の圧力制限弁106の開弁圧の値は、簡単に設定可能である。制限された横断面121により、弁の開弁時の通流量制限が実現されている。これに加え、簡単に、封止要素117の行程ストッパが実現されている。第2の圧力制限弁106は、実施の形態では「カートリッジ弁」、つまり独立した部材として形成されている。第2の圧力制限弁106は、実施の形態では「プラグイン弁」、つまり差込部材として形成されている。第2の圧力制限弁106は、実施の形態では直接ポンプ101のハウジング内に組み込まれている。
【0037】
これに加え、ポンプアッセンブリ100内での第1の圧力制限弁105と第2の圧力制限弁106との組み合わせにより、運転中の高圧側115の圧力を従来慣用のシステムと比較して低減することが可能である。これにより、高圧集合管路112とインジェクタ107との間に安価なOリングシールを設けることが可能である。これにより、高価な金属シールは省略可能である。両圧力制限弁105,106の組み合わせにより、350barまでの高圧側115の圧力において、内燃機関の低エミッションの運転を可能にすることができる。350barまでのシステム圧において、高圧集合管路112とインジェクタ107との間の接続部の密封性は、Oリングを介して保証されている。