特許第6161736号(P6161736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6161736多重化型およびバッファ型の小型化センサ・アレイ用のシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161736
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】多重化型およびバッファ型の小型化センサ・アレイ用のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   G01L9/00 E
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-561532(P2015-561532)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-509237(P2016-509237A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014020231
(87)【国際公開番号】WO2014138030
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年11月12日
(31)【優先権主張番号】13/785,742
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510225465
【氏名又は名称】メジャメント スペシャリティーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105360
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 光治
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(72)【発明者】
【氏名】キーター,スティーブン マーク
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−040777(JP,A)
【文献】 特開昭61−018214(JP,A)
【文献】 特開2003−032050(JP,A)
【文献】 特開2008−185460(JP,A)
【文献】 特開2010−008434(JP,A)
【文献】 特開昭64−001920(JP,A)
【文献】 特開昭50−043983(JP,A)
【文献】 特開平07−058326(JP,A)
【文献】 特開昭63−198841(JP,A)
【文献】 米国特許第04753105(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0058663(US,A1)
【文献】 米国特許第05269311(US,A)
【文献】 米国特許第06353344(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
G01L 15/00
H03K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型の圧力スキャン・システム(200)であって、
複数のセンサ出力(SA−SN)を含む複数の小型の圧力センサ(210)を含み、
前記複数の小型の圧力センサの各々は、本体上の検出圧力を表すアナログ出力信号を供給するための少なくとも1つのセンサ出力(SA−SN)を含み、少なくとも1つの各センサ出力(SA−SN)は関連する出力インピーダンスを有し、
さらに、複数のバッファ(215)を含み、
各バッファ(215)はバッファ・トランジスタ(Q)およびバイアス抵抗器(R)を含み、各バッファは、前記複数の小型の圧力センサの中の対応する1つの小型の圧力センサ(210)のセンサ出力(SA−SN)に電気的に直接接続され、また、(1)マルチプレクサ電圧スパイクに関連するセトリング・タイム定数を減少させ、(2)結合された前記対応する1つの小型の圧力センサのセンサ出力の前記関連する出力インピーダンスを減少させ、(3)前記1つの小型の圧力センサからの前記本体上の前記検出圧力を表す前記アナログ出力信号を前記バッファのバッファされた出力(BA−BN)で供給するよう構成され、
さらに、前記複数のバッファのダウンストリームに結合されたマルチプレクサ(220)を含み、
前記マルチプレクサは、前記複数のバッファのバッファされた前記アナログ出力信号(BA−BN)が直接結合されるマルチプレクサ入力チャネル(A−N)を有し、
バッファされた前記アナログ出力信号は前記本体上の前記検出圧力を表し、
前記マルチプレクサは、前記検出圧力を表す多重化アナログ信号を出力するための出力を有するものである、
小型の圧力スキャン・システム。
【請求項2】
前記バッファ・トランジスタ(Q)と前記バイアス抵抗器(R)の一方または双方は、センサ出力(SA−SN)がバッファされている前記対応する1つの小型の圧力センサ(210)に一体化されているものである、請求項1に記載の小型の圧力スキャン・システム(200)。
【請求項3】
前記バッファ・トランジスタ(Q)と前記バイアス抵抗器(R)の一方または双方は、前記対応する1つの小型の圧力センサ(210/1010)に隣接する別個の前記小型の圧力スキャン・システム(200)の基板(1000)上に取り付けられた裸のダイ素子(1020/1030)である、請求項1に記載の小型の圧力スキャン・システム(200)。
【請求項4】
前記バッファ・トランジスタ(Q)は裸のダイ素子(1020)であり、前記裸のダイ・バッファ・トランジスタ(Q)の面積対前記対応する1つの小型の圧力センサ(210/1010)の面積の比は約5%である、請求項3に記載の小型の圧力スキャン・システム(200)。
【請求項5】
各バッファ(215)の前記バッファ・トランジスタ(Q)および前記バイアス抵抗器(R)は、結合されている前記対応する1つの小型の圧力センサ(210)の前記センサ出力(SA−SN)の前記関連する出力インピーダンスを、少なくとも2のオーダの大きさだけ減少させるよう選択されているものである、請求項1に記載の小型の圧力スキャン・システム(200)。
【請求項6】
各前記バッファ・トランジスタ(Q)は、バイポーラ接合トランジスタ、電界効果トランジスタ、MOS電界効果トランジスタ、および絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタの中の1つである、請求項2に記載の小型の圧力スキャン・システム。
【請求項7】
前記マルチプレクサ入力チャネル(A−N)の各々は、前記複数のバッファ(215)のバッファされた前記アナログ出力信号(BA−BN)のそれぞれの1つが選択的に結合されるものである、請求項1に記載の小型の圧力スキャン・システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマルチプレクサ(220)は、少なくとも16個の入力チャネルを有するものである、請求項5に記載の小型の圧力スキャン・システム。
【請求項9】
前記バッファ・トランジスタ(Q)および前記バイアス抵抗器(R)は、バッファされたセンサ出力(BA−BN)当り10μ秒以内の前記少なくとも1つのマルチプレクサ(220)の切換え速度を達成するよう選択されるものである、請求項1に記載の小型の圧力スキャン・システム。
【請求項10】
前記バッファ・トランジスタ(Q)および前記バイアス抵抗器(R)は、バッファされたセンサ出力(BA−BN)当り50μ秒以内の前記少なくとも1つのマルチプレクサ(220)の切換え速度を達成するよう選択されるものである、請求項1に記載の小型の圧力スキャン・システム。
【請求項11】
複数のセンサ出力(SA−SN)を含む複数の小型の圧力センサ(210)を含む小型の圧力スキャン・システムを用いて圧力を検出し、
前記複数の小型の圧力センサの各々は、アナログ出力信号を供給するための少なくとも1つのセンサ出力(SA−SN)を有し、少なくとも1つの各センサ出力(SA−SN)は関連する出力インピーダンスを有するものであり、
さらに、複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数の小型の圧力センサの前記複数のセンサ出力の各々をバッファし、
各前記バッファはバッファ・トランジスタ(Q)およびバイアス抵抗器(R)を含み、各前記バッファは前記少なくとも1つのセンサ出力に直接接続され、
前記複数のバッファは、バッファされたセンサ出力(BA−BN)を供給し、マルチプレクサ電圧スパイクに関連するセトリング・タイム定数を減少させ、前記バッファされたセンサ出力(BA−BN)の各々の前記関連する出力インピーダンスを減少させるよう構成されており、
さらに、前記バッファされたセンサ出力(BA−BN)を、バッファされた前記アナログ出力信号(BA−BN)が直接結合されるマルチプレクサ入力チャネル(A−N)に供給し、
少なくとも1つのマルチプレクサ(220)を用いて、前記マルチプレクサ入力チャネル(A−N)によって受信された複数の前記バッファされたセンサ出力(BA−BN)を多重化し、前記少なくとも1つのマルチプレクサの前記マルチプレクサ入力チャネル間を切り換え、それによって前記小型の圧力センサ(210)の各バッファされたセンサ出力(BA−BN)の前記アナログ出力信号を読み出すこと
を含む方法。
【請求項12】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、前記バッファ・トランジスタ(Q)を用い、およびセンサ出力(SA−SN)がバッファされる前記複数の小型の圧力センサ(210)の中の対応する1つの圧力センサに一体化されたバイアス抵抗器を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、前記バイアス抵抗器(R)を用い、およびセンサ出力(SA−SN)がバッファされる前記複数の小型の圧力センサ(210)の中の対応する1つの小型の圧力センサに一体化されたバッファ・トランジスタ(Q)を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、前記バイアス抵抗器(R)を用い、および前記小型の圧力スキャン・システムの基板(1000)上に取り付けられた裸のダイ素子抵抗器(1020/1030)を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、前記バッファ・トランジスタ(Q)を用い、および前記小型の圧力スキャン・システムの基板(1000)上に取り付けられた裸のダイ素子バイアス抵抗器を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、結合された前記対応する1つの小型の圧力センサ(210)の前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々の前記関連する出力インピーダンスを、少なくとも2のオーダの大きさだけ減少させるよう選択された各バッファ(215)の前記バッファ・トランジスタ(Q)および前記バイアス抵抗器(R)を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、バッファされたセンサ出力(BA−BN)当り50μ秒以内の前記少なくとも1つのマルチプレクサ(220)のチャネル間の切り換え速度を達成するよう選択された各バッファ(215)の前記バッファ・トランジスタ(Q)および前記バイアス抵抗器(R)を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、バッファされたセンサ出力(BA−BN)当り10μ秒以内の前記少なくとも1つのマルチプレクサ(220)のチャネル間の切り換え速度を達成するよう選択された各バッファ(215)の前記バッファ・トランジスタ(Q)および前記バイアス抵抗器(R)を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのマルチプレクサ(220)を用いて多重化することは、少なくとも16個の入力チャネルを有するマルチプレクサ(220)を用いて多重化することを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のバッファ(215)の中の1つのバッファを用いて前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることは、前記バイアス抵抗器(R)を用い、およびバイポーラ接合トランジスタ、電界効果トランジスタ、MOS電界効果トランジスタ、および絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタの中の対応する1つを含むバッファ・トランジスタ(Q)を用いて、前記複数のセンサ出力(SA−SN)の各々をバッファすることを含むものである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、多重化型の小型化センサ・アレイに関し、特に、バッファ型の小型化センサ・アレイに関する。
【0002】
関連出願の参照
本願は、2013年3月5日付け出願の米国特許出願第13/785742号、発明の名称“多重化型およびバッファ型の小型化センサ・アレイ用のシステムおよび方法”(SYSTEM AND METHOD FOR MULTIPLEXED AND BUFFERED MINIATURIZED SENSOR ARRAYS)に基づく優先権を主張する。ここでその全ての開示内容を全ての目的のために参照により組み込む。
【背景技術】
【0003】
圧力検出装置は、しばしば、空力学的研究分野内で使用される。その検出装置は、例えば風洞、飛行試験およびターボ機械試験のような多くの適用例で用いてもよい。例えば、検出装置は、翼設計の開発の期間において風洞の適用例に使用してもよい。また、圧力検出装置は、例えば、ミサイルの周囲と、例えば入口、燃焼器およびノズルのような重要なエンジン領域内との双方で、試験ミサイルによって観察された圧力状態の監視、といった機内試験適用例に使用してもよい。空気力学的研究のために、個々のセンサのピエゾ抵抗圧力センサ・アレイを組み込んだ小型の圧力測定機器を使用してもよい。また、これらの小型の機器は、圧力スキャナとも称されるものであり、取り付けられた増幅器またはその他の電子回路に接続するための個々のセンサ選択のために、製品のセンサ基板レベルに複数の電子マルチプレクサ(多重化器)を組み込んでもよい。現在の技術水準の小型の圧力スキャナは、メジャメント・スペシャリティーズ社によって製造されたESP取扱品目の小型圧力スキャナ(例えば、ESP−16HD、ESP−32HD、およびESP−64HDの小型圧力スキャナ)を含む。2009年8月付けESP圧力スキャナのユーザのマニュアルに記載された圧力システムの記載内容全体をここで参照により組み込む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Measurement Specialties, Inc., Pressure Systems, ESP Pressure Scanner User's Manual, August 2009
【発明の開示】
【0005】
典型的な適用例において、そのようなスキャン(scan:走査、検査、精査)のニーズ(必要性)を典型的に考慮したバイポーラおよびCMOSベースの複数のマルチプレクサと共に、数百個または数千個もの個々の圧力センサが、空力学的適用例において使用されて監視される。増大するより高い速度でマルチプレクサを介してこれらのセンサをスキャンするニーズは、圧力スキャナ用の高速センサ・セトリング・タイム(settling time:整定時間、安定時間、定着時間)に関する幾つかの問題を浮かび上がらせた。制限的な要因は、マルチプレクサの固有の電荷注入、容量および抵抗の特性、および圧力センサの相対的に高いソース・インピーダンスを含んでいる。特に、スイッチングの期間に、各圧力センサからマルチプレクサを通して入来する多重化信号上に、電圧スパイクが形成される。信号線がその真の値に戻って正確な読み出しが行われ得るようにするためには、これらのスパイクは整定(安定)して減衰しなければならない。さらに、圧力検出装置がより高い周囲温度で使用されるときには電圧スパイク用のセトリング・タイムが増大することが観測された。
【0006】
マルチプレクサ電圧スパイクのセトリング・タイムを減少させる小型の電子的圧力スキャンを行う代替的なシステムおよび方法が望ましい。
【0007】
発明の概要
小型の圧力スキャン・システムは、複数のセンサ出力を含む小型の圧力センサと、複数のバッファと、その各バッファの少なくとも1つのマルチプレクサ・ダウンストリーム(下り側)とを含んでいる。小型の圧力センサの各々は、アナログ出力信号を供給する少なくとも1つの圧力センサ出力を含み、少なくとも1つのセンサ出力の各々は、1つの関連づけられた出力インピーダンスを有する。各バッファは、その複数のセンサ出力の中の1つのセンサ出力に電気的に結合され、バッファ(緩衝、バッファリング)されたセンサ出力を供給し、各バッファは、それに結合されたその1つのセンサ出力のその関連づけられた出力インピーダンスを減少させるように構成されている。その各バッファの少なくとも1つのマルチプレクサ・ダウンストリームは、そのバッファされたアナログ出力圧力を多重化して、多重化されたアナログ信号を、別の装置への出力のために供給するよう構成されている。
【0008】
複数のバッファは複数のトランジスタおよび複数のバイアス抵抗器を含み、1つのセンサ出力に結合された各バッファは、複数のトランジスタの1つと、複数のバイアス抵抗器の1つとを含んでもいてよい。一実施形態において、複数のトランジスタのその1つおよび複数のバイアス抵抗器のその1つのうちの一方または双方は、複数の小型の圧力センサの中のバッファしている1つの圧力センサに一体化されてもよい。別の実施形態において、複数のトランジスタのその1つおよび複数のバイアス抵抗器のその1つのうちの一方または双方は、小型の圧力スキャン・システムの基板上に取り付けられた裸のダイ(チップ)素子(bare die element)として構成されてもよい。複数のトランジスタの各々は、バイポーラ接合トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、MOS(金属酸化物半導体)電界効果トランジスタ(FET)、および絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)の中の1つであってもよい。一実施形態において、少なくとも1つのマルチプレクサは少なくとも16個の入力チャネルを有してもよい。また、少なくとも1つのマルチプレクサは、1つのバッファされるまたはバッファされないセンサ出力当り50μ秒またはそれより速い速度で、切り換えられる(スイッチされる)よう動作してもよい。各バッファは、結合されたセンサ出力の関連する出力インピーダンスを、少なくとも2のオーダの大きさだけ(2桁)減少させるよう構成されてもよい。
【0009】
圧力を検出する方法は、複数のセンサ出力を含む複数の小型の圧力センサを用いて圧力を検出することを含み、その複数の小型の圧力センサの各々は、アナログ出力信号供給用の少なくとも1つのセンサ出力を有し、少なくとも1つのセンサ出力の各々は、関連する出力インピーダンスを有する。その方法は、さらに、その複数の小型の圧力センサの中の少なくとも幾つかの圧力センサの中の少なくとも1つのセンサ出力をバッファして、バッファされたセンサ出力を供給し、それによって各バッファされたセンサ出力のその関連する出力インピーダンスを減少させ;少なくとも1つのマルチプレクサを用いてその複数のバッファされた出力を多重化し;その少なくとも1つのマルチプレクサのチャネル間を切り換え、それによってその複数のセンサ出力の各バッファされたセンサ出力のアナログ出力信号を読み出すこと、を含んでいる。
【0010】
その複数の小型の圧力センサの少なくとも幾つかの圧力センサの中の少なくとも1つのセンサ出力をバッファすることは、複数のトランジスタの1つと、複数のバイアス抵抗器の1つとを、バッファされる各センサ出力に電気的に結合することを含んでもよい。一実施形態において、複数のトランジスタの1つと、複数のバイアス抵抗器の1つとのうちの一方または双方は、センサ出力がバッファされる複数の小型の圧力センサの中の1つの圧力センサの基板に、一体化されて(integral)もよい。別の実施形態において、複数のトランジスタの1つと、複数のバイアス抵抗器の1つとのうちの一方または双方は、小型圧力スキャン・システムの基板上に取り付けられた裸または最小限のダイ素子(bare die element)であってもよい。複数の小型の圧力センサの1つに結合された複数のトランジスタの各々は、バイポーラ接合トランジスタ、電界効果トランジスタ、MOS(金属酸化物半導体)電界効果トランジスタ、および絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)の中の1つであってもよい。少なくとも1つのマルチプレクサは少なくとも16個の入力チャネルを有してもよい。一実施形態において、少なくとも1つのマルチプレクサのチャネル間を切り換えることは、1つのバッファされるセンサ出力当り50μ秒またはそれより速い速度で切り換えることを含んでもよい。複数の小型の圧力センサの少なくとも幾つかの中の少なくとも1つのセンサ出力をバッファすることは、各バッファされたセンサ出力の関連する出力インピーダンスを、少なくとも2のオーダの大きさだけ(2桁)減少させることを含んでもよい。
【0011】
小型の圧力スキャン・システムは、複数のセンサ出力を含むシリコン製ピエゾ抵抗圧力センサのアレイを含み、その圧力センサの各々は、アナログ出力信号供給用の少なくとも1つのセンサ出力を含み、関連する出力インピーダンスを有する。そのシステムはさらに複数のバッファを含んでいる。その複数のバッファの各バッファは、シリコン製ピエゾ抵抗圧力センサのアレイの各センサの少なくとも1つのセンサ出力に電気的に結合され、それによって複数のバッファされたセンサ出力を供給する。各バッファは、複数のトランジスタの中の1つと、複数のバイアス抵抗器の中の1つとを含んでいる。各バッファは、それが結合されるセンサ出力の出力インピーダンスを減少させるように動作する。そのシステムは、さらに、その複数のバッファされたセンサ出力に電気的に結合された少なくとも1つのマルチプレクサを含む。その少なくとも1つのマルチプレクサは、そのバッファされたセンサ出力の各々の間で切り換えられるよう動作する。
【0012】
一実施形態において、対応する圧力センサに電気的に結合された各バッファ・トランジスタおよびバイアス抵抗器は、その小型圧力スキャナの基板上に取り付けられた裸または最小限のダイ素子(bare die element)として構成されてもよい。別の実施形態において、そのバッファ・トランジスタおよびバッファ・バイアス抵抗器の一方または双方は、そのバッファの中の1つがバッファしているセンサ出力を有するその対応する圧力センサに一体化されている。その少なくとも1つのマルチプレクサは少なくとも16個の入力チャネルを有してもよい。その少なくとも1つのマルチプレクサは、センサ出力当り50μ秒またはそれより速い速度で切り換えられるよう動作してもよい。一実施形態において、各バッファは、それが結合されるセンサ出力の出力インピーダンスを、少なくとも2のオーダの大きさだけ(2桁)減少させるよう構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、従来技術の小型の電子圧力スキャナの概念的な表現である。
図2図2は、本発明の実施形態による、各圧力センサ出力とマルチプレクサ入力の間に電圧バッファを有する小型の電子圧力スキャナの概念的な表現である。
図3図3は、マルチプレクサのバッファ型および非バッファ型の出力チャネルのセトリング・タイムを示す例示的なオシロスコープ・トレース(波形)である。
図4図4は、最初のデータ捕捉システムを用いた、バッファ型および非バッファ型のスキャナの異なる温度での未加工(生)のA/D計数値変化におけるサンプル・システム性能改善を示すグラフである。
図5図5は、最初のデータ捕捉システムを用いた、バッファ型および非バッファ型のスキャナの80℃での未加工のA/D計数値におけるサンプル・システム性能改善を示すグラフである。
図6図6は、最初のデータ捕捉システムを用いた、バッファ型および非バッファ型のスキャナの80℃での未加工のA/D計数値変化におけるサンプル・システム性能改善を示すグラフである。
図7図7は、本発明の一実施形態による、圧力を測定する方法の各工程を示すブロック図である。
図8図8は、小型の電子圧力スキャナの例示的な回路板(基板)のトポグラフィ(地形)図である。
図9図9は、例示的な小型の電子圧力スキャナの概略図である。
図10図10Aは、トランジスおよび抵抗器バッファ素子が裸または最小限のダイ素子として構成されている例示的な小型の電子圧力スキャナの例示的な圧力センサおよびバッファ配置構成の部分断面斜視図である。図10Bは、トランジス・バッファ素子が裸または最小限のダイ素子として構成されかつ抵抗器バッファ素子がセンサに一体化されているような例示的な小型の電子圧力スキャナの例示的な圧力センサおよびバッファ配置構成の部分断面斜視図である。図10Cは、トランジスおよび抵抗器バッファ素子が共に圧力センサに一体化されているような例示的な小型の電子圧力スキャナの例示的な圧力センサおよびバッファ配置構成の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、例えば、メジャメント・スペシャリティーズ社のプレッシャ・システムズによって製造されたESP圧力スキャナのような小型の電子圧力スキャナ100の概念的表現である。そのような小型の電子圧力スキャナは、複数の小型の電子差分(differential:微分、差動)圧力測定ユニット(部)または圧力センサ110A〜110Nを含んでいる。例示的な一実施形態において、この配置構成は、各圧力ポートに1つのセンサを割り当てた、シリコン製のピエゾ抵抗圧力センサのアレイとして構成されてもよい。それらの圧力センサは、1つの共通のハイブリッド(混成)ガラス基板上に取り付けられてもよい。それらの圧力センサはマルチプレクサ120に電気的に接続され、マルチプレクサ120は16個の入力チャネルを有してもよい。お分かりのように、マルチプレクサは、各センサのセンサ出力が個々にアドレスされることを可能にする。一実施形態において、その(1つの)マルチプレクサ用の入力チャネルの数より多いセンサ出力が存在し、複数のマルチプレクサが使用されてもよい。一実施形態において、アナログ−ディジタル(A/D)変換器130が、マルチプレクサの出力に接続されてもよい。別の実施形態において、例えば増幅器のような他の電子機器がマルチプレクサの出力に接続されてもよい。しかし、そのような構成での問題は、各小型の圧力センサから生じる多重化信号の上に形成された電圧スパイクが減衰してその信号線をその真の値に戻すのに必要な時間に関連するセトリング・タイムが相対的に長いことである。
【0015】
次に図2を参照すると、図1の構成に関連づけられた相対的に長いセトリング・タイム問題を軽減するよう構成された、本開示の実施形態による、小型の電子圧力スキャナ200の概念的表現が示されている。図示されているように、複数の小型の圧力センサ210A〜210Nは、対応する出力ポート(210A01、210A02、210B01、210B02、...、210N01、210N02)の各々がそれぞれのバッファ(全体的に215と付されている)の対応する入力に接続されるよう構成されている。バッファ215(215A、215A、215B、215B、...、215N、215N)の各々は、対応する各センサ出力と、マルチプレクサ220の入力ポート(220Ai1、220Ai2、220Bi1、220Bi2、...、220Ni1、220Ni2)との間に直接接続される。本開示の一観点によれば、各センサの出力とマルチプレクサの間に複数のバッファを配置することによって、圧力スキャナ200に関連する信号整定特性が大きく改善される。
【0016】
本開示の別の観点によれば、各小型のバッファ215は、基板上に取り付けられた裸のダイ形態の、単純なトランジスタのコレクタ共通(接地)エミッタフォロワ電圧のバッファまたは均等手段(即ち、パッケージされていない半導体電気素子)からなる。図示された構成のこのタイプ(種類)のバッファの使用によって、圧力センサのブリッジ出力インピーダンスが、複数オーダの大きさ(複数桁)だけ効果的に減少する。センサまたはソースの出力インピーダンスは、システムのセトリング・タイム(時間)定数において主要な役割を果たし、本明細書に記載する電子圧力センサのアナログ出力−バッファ−マルチプレクサの構成によって、このセトリング・タイム定数が劇的に改善し/減少し、従って、より高速のスキャンまたは多重化速度が可能になることが分かった。
【0017】
図1の通常の構成に関して上述したように、センサ・バッファのない小型の電子圧力スキャナの実施形態は、例えばメジャメント・スペシャリティーズ社のESP64Dのようなスキャナである。そのユニット内で使用される圧力センサはメジャメント・スペシャリティーズ社のP3377−Ultrastable(標章)センサであり、ここで、センサの各々は2つのセンサ出力を有する。マルチプレクサは、パッケージされた電気素子であるアナログ装置ADG507モジュールとして具現化されたものであってもよいが、マルチプレクサはパッケージなしの裸のダイ素子であってもよい。典型的には、マルチプレクサは16個のチャネルを有し、使用されるマルチプレクサの数は、監視される圧力センサの数に応じて決まる。バッファなしの場合、センサ出力の各々の出力インピーダンスは約2500Ωである。
【0018】
本開示の実施形態によれば、センサ210の出力でバッファ215を用いてシステムを構成することによって、20Ωという低い出力インピーダンス(マルチプレクサ220の入力から見たとき)が実現され、これは2のオーダの大きさ(2桁)より大きい出力インピーダンスの減少を表す。一実施形態において、バッファのアレイの各バッファ215は、セントラル・セミ社(Central Semi)によって製造された2N3904トランジスタおよびミニシステムズ社(Mini-Systems Inc.)によって供給された2000Ωのバイアス抵抗器として、具現化されてもよい。そのようなバッファ構成は、センサについて約20Ωの出力抵抗を形成することが観測された。信号整定(安定)を改善するためのセンサ・アレイ用の圧力センサの各出力ノード上に電圧バッファを使用する独特の構成によって、結果的に、センサ出力および関連するシステム電子装置の出力インピーダンスを大きく改善する非常に小さい単純化した電子的な電圧バッファが得られる。従って、センサ出力のバッファ動作は、経済的で最小限の構成要素の実体的構成(real estate:不動産、有体的構成)を必要とする形態で行われる。この設計の更なる特徴は、バッファを含ませることによって、共通モード電圧バイアス・レベルがトランジスタのエミッタ電圧降下の量(分)だけ低下することである。センサの共通モード電圧のこの低下は、アップストリーム(上り側の流れ)の増幅器および/またはその他の電子装置に関して有益な性能上の影響を与える。
【0019】
トランジスタおよびバイアス抵抗器バッファは、電圧バッファを形成するように様々な異なる構成で実現されてもよい。トランジスタのタイプは、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、電界効果トランジスタ(FET)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、および単純な抵抗バイアス回路を有する他のタイプのトランジスタを含んでもよい。一実施形態において、トランジスタおよび抵抗器は、複数のセンサおよび複数のマルチプレクサが取り付けられる回路基板の空き領域に取り付けられまたは固定される裸のダイ素子(パッケージなしの電気素子)として、構成される。次いで、各トランジスタおよび抵抗器のセンサ出力への電気的接続は、ボンド・ワイヤを用いて、または、回路板がトランジスタおよび抵抗器を支持するよう構成されている場合には回路配線を用いて、行われてもよい。
【0020】
別の実施形態において、トランジスタおよび抵抗器は、センサ出力がバッファされているセンサの圧力センサ・ダイの基板に一体化されてもよく、この場合、裸のトランジスタおよび抵抗器は上述の回路基板上に含まれなくてもよい。別の実施形態において、バッファは、回路基板上に取り付けられた裸のダイ・トランジスタと、圧力センサに一体化された抵抗器とからなる。センサ・ダイは、典型的には、使用されない抵抗器(センサの検出機能を実現するのに使用されないセンサ内の抵抗器)を含み、この抵抗器はトランジスタをバイアスするのに使用されてもよく、それによって、回路基板上に追加的な裸のダイ抵抗器を一体化する必要がなくなる。お分かりのように、使用されるトランジスタおよび抵抗器のサイズは、使用される特定のスキャナ、回路基板上の裸の形態のまたは圧力センサ・ダイ内に一体化されたこれらの構成要素に利用可能な空間、および所望の出力インピーダンス、に応じて決められてもよい。一実施形態において、複数のセンサ出力はバッファされ、複数のバッファが必要であり、複数のバッファは複数のバッファ・トランジスタおよびバイアス抵抗器を含む。本明細書で使用されるバッファという用語は、一般的に、単一のセンサ出力に結合された単一のトランジスタおよび単一の抵抗器を表すが、代替的に、バッファは、1組のトランジスタおよび抵抗器より多い(2組以上)を表してもよく、例えば所与の圧力センサの双方(またはそれより多く)の出力をバッファするバッファを表してもよい。例えば、センサ上の2つのセンサ出力をバッファするバッファは、2つのトランジスタおよび2つのバイアス抵抗器を含む。
【0021】
さらに図2を参照すると、センサ出力の各々によって供給されるアナログ出力信号(全体的にSAで示される)は、対応するバッファ215を通ってマルチプレクサ220へと渡される。即ち、各センサ出力からの各出力信号は、試験部材上の種々の位置に関連づけられた圧力センサ素子によって検出される圧力を表す(示す)アナログ出力圧力信号(SA01、SA02、SB01、SB02、...、SN01、SN02)と称してもよい。バッファ215を通して渡される各センサ出力信号は、バッファされたアナログ出力信号(BA01、BA02、BB01、BB02、...、BN01、BN02)と称してもよく、アナログ出力圧力信号を表すが、マルチプレクサ220の入力から見ると少なくとも減少した出力インピーダンスを有する。上述したように、読み取られるセンサの数はマルチプレクサ用の入力チャネルの数を超え、1つより多い(2つ以上の)マルチプレクサが使用されてもよい。例えば、100個のセンサ210が監視され、かつ各センサが2つのセンサ出力を有する場合、システムは、多重化する200個のセンサ出力を有するであろう。この実施形態において、100個のセンサの200個の出力を受け取るのに、少なくとも13個の16チャネル・マルチプレクサが必要であろう。一実施形態において、各出力はバッファされ、センサ出力の各々に対して1個として、200個のバッファが必要となるであろう。他の実施形態(図示せず)において、全ての各出力がバッファされるものではないようにすることも可能である。例えば、例示的な実施形態において、複数のセンサの各々上の出力のうちの1つの出力だけが(即ち、結果的に、監視される合計の出力数の半分が)バッファされるであろう。この実施形態において、バッファされる出力またはバッファされない出力をアドレスする順序に関する処理方針を用いて、バッファされない出力によって生じるセトリング・タイムの制限(限界)を最小化することができるであろう、とも考えられる。しかし、お分かりのように、性能の観点から、全ての各センサ出力をバッファすると、結果的に、セトリング・タイム問題を生じる可能性が最小であるシステムが得られるであろう。
【0022】
図3および4は、通常の非バッファ型の圧力スキャンに対する、本発明の実施形態によって実現される切換え時間の重要な改善を示している。具体的には、図3は、ESP64HD圧力スキャナ上のバッファ型チャネルおよび非バッファ型チャネルのセトリング・タイムを示す例示的なオシロスコープ・トレース(波形、軌跡)300である。図3に示されているように、ライン310は、非バッファ型チャネルを表し、また、マルチプレクサに起因する電圧スパイクのせいで、信号が点P1で読み取り可能な状態に整定(安定)するのに60μ秒より長い時間かかることを示している。これと対照的に、ライン320は、バッファが加えられたチャネルを表す。図示されているように、ライン320は、時点P2において10μ秒以内(スパイク発生の約8マクロ秒後)に整定(安定)する。バッファされるセンサの迅速な(短い)切り換え時間によって、個々のセンサがマルチプレクサによってスキャンされ得る速度が大きく増大する。本明細書で記載されるバッファされるセンサ出力を有する圧力スキャナを実現することによって、マルチプレクサは、1つの出力チャネル当り50μ秒の切り換え速度を有することができる。ライン320で示されているように、マルチプレクサの電圧スパイクのセトリング・タイムを減少させるような適正なバッファ動作で、例えば1出力チャネル当り10秒のような、より高速のマルチプレクサ切換え時間を達成することが可能となり得る。
【0023】
実施形態において、図2および3に示されたスキャナ・システムのマルチプレクサの出力は、アナログ−ディジタル(A/D)変換器に電気的に接続されて、各センサ出力読み出しのディジタル出力を供給してもよい。A/D変換器の出力から何個(何回)のセンサ出力読出しが観測されるかを表す計数値は、A/D変換器の出力で形成されてもよい。未加工のA/D計数値は、相異なる動作条件の下でこれらの出力チャネルの性能を評価するために、バッファ型および非バッファ型の出力チャネルで形成されてもよい。図4において、グラフ400は、所与のデータ捕捉システム用の未加工のA/D(アナログ−ディジタル)計数値における電子圧力スキャナのサンプル・システム性能改善を示している。データ捕捉システムは、80μ秒乃至26μ秒のスキャン速度から未加工のA/D計数値の変化を収集する。また、データは異なる温度条件で収集され、或るデータは23℃で収集され、他のデータは80℃で収集される。図4に示されているように、(ここの記載では、単一のトランジスタのエミッタフォロワ構成を用いて)チャネル2、3および4がバッファされ、チャネル9〜16は使用されず、チャネル17〜64はバッファされなかった。
【0024】
図4に示されているように、より高い周囲温度では、結果的にA/D計数値の変化が増大する。その理由の一部は、より高い温度によってマルチプレクサのセトリング・タイムが増大し、増大したセトリング・タイムの結果として、計数値の数がより少なくなり、従って計数値の数の変化が増大するからである。従って、図4に示されるように、計数値の変化(即ち、計数値の数の変化)は、バッファ型出力チャネルと非バッファ型出力チャネルの双方について、23℃の場合(ライン410に反映されている)よりも80℃で(ライン420に反映されている)遙かに高かった。いずれかの温度で、非バッファ型出力チャネルと比較して、バッファ型出力チャネル上で、重要な改善が見られる。非バッファ型の出力チャネルの計数値の変化は、A/D計数値の数の劇的な(極端な)振動を示す大きい鋸歯状パターンで表され、非バッファ型出力チャネルに関連する長いセトリング・タイムのせいでセンサ読出しの数が劇的に変化したことを示している。これと対照的に、バッファ型出力チャネルは、A/D計数性能の遙かに小さい劇的変化を示し、バッファ型出力チャネルの短いセトリング・タイムのせいでセンサ出力読出しの数がそれほど変化しないことを示した。このA/Dシステムは、16ビットの範囲での動作用の±5Vの信号の振れを利用し、結果的に1計数値当りフルスケールの約0.003%のビット重みが得られる。図4に示されるように、非バッファ型センサ出力の80μ秒のスキャン時間に対して26μ秒のスキャン時間を比較した80℃でのスキャン誤差は、約50個の計数値またはフルスケールの約0.15%の誤差であり、一方、バッファ型センサ出力の同じスキャンの結果としてシステム分解限界に近い誤差が生じる。23℃でも、同じく26μ秒のスキャン時間を80μ秒のスキャン時間と比較すると、非バッファ型センサ出力のA/D計数値の誤差は、依然として約10個の計数値またはフルスケールの約0.03%であり、一方、バッファ型センサ出力の誤差は知覚できない。
【0025】
図5は、所与のデータ捕捉システム用の、相異なる捕捉速度および温度での未加工のA/D(アナログ−ディジタル)計数値における電子圧力スキャナのサンプル・システム性能改善のグラフ500を示している。図5は、83μ秒のスキャン速度での非バッファの出力、26μ秒スキャン速度での非バッファ出力、83μ秒のスキャン速度でのバッファされた出力、および26μ秒のスキャン速度でのバッファされた出力、の各A/D計数値をグラフ化している。図4におけるように、図5のバッファされるチャネル530および540は、非バッファのチャネル510および520に対して、かなりの性能の改善を示している。特に、図5は、バッファされた出力ライン530および540が、26μ秒および83μ秒の異なるスキャン速度で非常に類似的に動作することを示している(基本的に互いにトラッキングする(跡を辿る)グラフ線によって示されている)。これと対照的に、非バッファの出力ライン510および520は、両者間の分離を示し、非バッファのラインが異なるスキャン速度での性能の識別可能な相違を経ることを表している。ここで説明するように、この性能の相違は、例えば、非バッファの出力ラインにおいて長いセトリング・タイムを生じさせる電圧スパイクのような要因に起因する。
【0026】
図6は、所与のデータ捕捉システムを用いた、バッファされたまたは非バッファの出力におけるA/D(アナログ−ディジタル)計数値の変化における電子圧力スキャナのサンプル・システム性能改善を示すグラフ600を示している。データ捕捉システムは、80μ秒乃至26μ秒のスキャン速度で未加工のA/D計数値の変化を収集した。グラフ600に示されているように、非バッファの出力を表すライン610は、マークを付した鋸歯状パターンを示し、このパターンは、非バッファの出力に関連するセトリング・タイム制限(限界)を示している。これと対照的に、バッファされた出力を表すライン620は、かなり平坦なA/D計数値の変化を表し、これは、スキャン速度の変化が、場合によって、バッファされた出力のA/D計数値の変化に対して遙かに小さい効果しか与えないことを示している。
【0027】
図7は、本開示の各観点による処理工程を示す単純化された論理フローチャートまたはフロー図である。ブロック710において、圧力は、本体上の種々の位置に関連する、その(本体)上の圧力検出用の複数の小型の圧力センサを用いて検出される。各圧力センサは、1つ以上の出力を有し、検出された圧力を表す1つ以上のアナログ出力信号を生成する。また、各センサ出力は、関連する出力インピーダンスを有する。ブロック720において、複数のセンサ出力の中の1つ以上のセンサ出力は、センサの出力ポートおよびマルチプレクサの入力ポートに電気的に結合されたバッファを使用する。各バッファは、結合されたセンサ出力のアナログ出力圧力信号を通過させるように動作し、結合されたセンサ出力の出力インピーダンスを減少させるよう構成されている。前述したように、バッファは、バイポーラ接合トランジスタおよびバイアス抵抗器を含んでいてもよい。ブロック730において、センサ出力からのバッファされた出力圧力信号は、マルチプレクサを用いて多重化される。典型的なマルチプレクサは、16個の入力チャネルを有してもよいが、他の構成(例えば、8チャネルまたは32チャネル)が用いられてもよい。お分かりのように、マルチプレクサによって、複数の出力信号の全ては、各出力ライン用の別個の受信装置を有する必要のない、例えばA/D変換器のような単一の受信装置にルーティング(経路指定)することができる。上述のように、風空気力学の適用例は千個以上のセンサを有してもよく、それによって、例えばA/D変換器のような複数の受信装置が必要なくなり、結果的に空間とコストの双方に関して大幅な節約が得られる。最後に、ブロック740において、マルチプレクサのチャネル間で切り換えが行われ、それによって小型の圧力センサの各々のバッファされた出力が選択的に読み出される。コンピュータのプロセッサおよび関連する論理を用いて、マルチプレクサにチャネル間を切り換えさせてもよい。センサ出力とマルチプレクサの間のバッファによって、マルチプレクサ・チャネルのセトリング・タイムが大きく減少するので、切り換えのタイミングは、バッファなしの場合より遙かに速くなる。
【0028】
図8は、例えば図2において表された小型の電子圧力スキャナ200の例示的な回路板の一部のトポグラフィ的な図である。図8の実施形態に示されたスキャナ800は、全体的に830と付されたバッファを介して、全体的に840と付された複数のマルチプレクサに電気的に結合された、全体的に820と付された圧力センサを含んでいる。図8に示された構成において、16個の圧力センサ素子(820、...、82016)の各々は、それぞれのチャネル(例えば、CH1、...、CH16)に関連づけられ、2つのアナログ出力を供給する。各圧力センサのアナログ出力には、対応するバッファ・バイアス・トランジスタ(例えば、CH8用の圧力センサ820用の83081および83082)が結合され、図示の実施形態では関連するバッファ抵抗器はセンサ820に一体化されている。また、マルチプレクサ840が基板810上に配置されている。また、図8は、複数のトリム(trim)抵抗器用の複数の位置850、複数のスパン(span)補償抵抗器用の複数の位置860、および各圧力センサを基板810に接続するための複数のワイヤ・ボンド・パッド870を示している。例示的な実施形態において、小型の圧力センサ820は四角の半導体素子であってもよく、その半導体素子において、各側辺(図8の寸法A)が長さ約0.074インチ(約0.0188cm)であり、裸のダイ・トランジスタ830は、各側辺が長さ約0.15インチ(約0.38cm)(寸法B)×約0.18インチ(約0.46cm)(寸法C)を有するパッケージされていない半導体素子であってもよい。
【0029】
図8に示されているように、小型の圧力センサ820のアレイは、各センサ出力が、各出力について裸のダイ・トランジスタ830によってバッファされるよう構成されている(従って、各センサ820は基板上でまたは基板に隣接して各センサに隣接した2つの裸のダイ・トランジスタを有する)。各出力用のバイアス抵抗器は、各センサ素子820内にありまたは各センサ素子820に一体化されており、従って示されていない。他の実施形態において、バイアス抵抗器は、基板上の各バッファ用の別個の裸のダイ・トランジスタであってもよい。図示されているように、バッファ抵抗器830は圧力センサ素子820のサイズのほんの一部であり、裸のダイ・トランジスタの面積 対 センサの面積の比は、非常に小さく、バッファ・トランジスタはセンサの面積の約5%より小さい(例えば、約4.9%)。
【0030】
お分かりのように、一実施形態において、バイアス抵抗器は、基板上に取り付けられた裸のダイ素子であって、圧力センサに一体化されたものではなく、裸のダイ・バッファ素子の面積対センサの面積の比は、裸のダイ抵抗器の付加のせいで約4.9%より大きくなり、この実施形態のトポロジー図は、基板上に取り付けられた抵抗器用の裸のダイ素子を含むであろう。それにもかかわらず、裸のダイ抵抗器は裸のダイ・トランジスタより典型的には小さいので、裸のダイ・バッファ・トランジスタと裸のダイ抵抗器の組合せの面積の比は、センサの面積の約10%より小さい(センサ面積は一体化された実施形態と変わらない)。一実施形態において、バッファを形成するトランジスタとバイアス抵抗器の双方はセンサ素子820の一部でありセンサ素子820に一体化されており、そのような実施形態のトポロジー図は、各センサの隣の(に隣接する)裸のダイ・トランジスタまたは裸のダイ抵抗器のいずれかを含まないであろう。従って、一体化された圧力センサとバッファの構成は、前述の各実施形態に対して減じられた面積を有する必要な(必須の)機能を提供する。
【0031】
図9は、バッファされる2つの圧力センサ920、925を示す例示的な小型の電子圧力スキャナ900の一部の概略図である。圧力センサ920は、アナログ圧力センサ出力SO1およびSO2を含んでいる。センサ925はアナログ・センサ出力SO3およびSO4を含んでいる。図9の例示的な実施形態において、センサ出力の各々はトランジスタ(Q)およびバイアス抵抗器(R)によってバッファされる。トランジスタQ1および抵抗器R1は、センサ出力SO1をバッファし、バッファされた出力BO1をマルチプレクサ940に供給する。同様に、トランジスタQ2および抵抗器R2、トランジスタQ3および抵抗器R3、およびトランジスタQ4および抵抗器R4は、それぞれセンサ出力SO2、SO3およびSO4をバイアスする。バッファされた出力BO2、BO3およびBO4はそれぞれマルチプレクサ940に供給される。圧力センサ920および925は、図8に示されたトポロジー的な実施形態に関して説明したように、トリム抵抗器および補償抵抗器(図示せず)を含んでいてもよい。マルチプレクサ940は出力MO1およびMO2を含み、出力MO1およびMO2は増幅器またはA/D変換器またはその他の電気的装置(図示せず)に出力されてもよい。お分かりのように、図9の概略図はバッファ構成を表し、そのバッファ構成が使用され得るのは、抵抗器およびトランジスタ・バッファ素子が裸の素子であるとき、またはバッファ素子の一方または双方が圧力センサに一体化されているときである。
【0032】
図10A、10Bおよび10Cは、それぞれ、本開示内容の各観点による圧力スキャナにおいて実現するために本明細書で説明する圧力センサおよびバッファ構成の3つの実施形態をそれぞれ示している。図10A、10Bおよび10Cに示されているように、同様の参照番号は同様の部分を示すのに使用される。図10Aは、トランジスタおよび抵抗器バッファ素子が裸のダイ素子である場合の小型の電子圧力スキャナの例示的な圧力センサの断面斜視図をである。図10Bは、トランジスタ・バッファ素子が裸のダイ素子であり、かつ抵抗器バッファ素子がセンサに一体化されている場合の小型の電子圧力スキャナの例示的な圧力センサの断面斜視図である。図10Cは、トランジスタおよび抵抗器バッファ素子が共にセンサに一体化されている場合の小型の電子圧力スキャナの例示的な圧力センサの断面斜視図である。
【0033】
具体的には、図10Aは、圧力センサ1010が上に取り付けられた基板1000を示している。圧力センサ1010のアナログ出力は、裸のダイ・トランジスタ1020および裸のダイ・バイアス抵抗器1030によってバッファされて、バッファされた出力1060を供給する。圧力センサ1010は、センサ上に配置されたブリッジ回路1040によって示された回路を含んでいる。この分野の専門家にはお分かりのように、その回路はセンサ内の回路の図であり、既知の集積回路技術を用いてセンサ内にセンサ回路を実装してもよい。例えば、圧力センサは、4つのピエゾ抵抗器が(ダイアフラム上に)拡散された微細加工された(micro-machined)ダイアフラム(隔壁、隔膜)を有するシリコン・ベースのピエゾ抵抗センサであってもよい。それらのピエゾ抵抗器は、この分野の専門家にはお分かりのように、圧力入力に比例する電圧出力を生成するホイートストーン・ブリッジ構成(Wheatstone bridge configuration)で接続される。センサからのワイヤ・ジャンパ1050を用いて、裸のダイ・トランジスタ1020およびバイアス抵抗器1030をセンサに電気的に接続して、センサの各出力がバッファされるようにしてもよい。
【0034】
図10Bは、圧力センサ1010がセンサ1010に隣接する裸のダイ・トランジスタ1020によってバッファされ、抵抗器1032がそのセンサに一体化されている場合の一実施形態を示している。バイアス抵抗器は、例示のためにセンサ上に概略的に示されており、既知の集積回路技術を用いてセンサに機能的に一体化されてもよい。そのセンサは、トランジスタ1020をバイアスするのに使用される未使用の抵抗器を含んでもよく、または追加的な複数の抵抗器(センサ回路用に使用されない抵抗器)がセンサ内に一体化されてもよく、それによってそれらの抵抗器がバッファ・トランジスタ1020と共に使用されてもよい。センサからのワイヤ・ジャンパ1050を用いて、裸のダイ・トランジスタ1020を、そのセンサ内に一体化されたバイアス抵抗器1032に電気的に接続し、また、バッファされた出力1060を供給する。別の実施形態(図示せず)において、バッファ用のトランジスタはセンサ回路に一体化されていてもよく、バイアス抵抗器は、ワイヤ・ジャンパを用いてセンサに接続された基板上に配置された裸の素子であってもよい。
【0035】
図10Cは、基板上に取り付けられた圧力センサ1010を示す別の実施形態を示しており、トランジスタおよびバイアス抵抗器バッファ素子は圧力センサ上に一体化されている。具体的には、図10Cは、センサ1010上のブリッジ回路1040と共に配置されたトランジスタ1022および抵抗器1032の概略図を示している。上述したように、概略図は、センサ内のセンサ回路およびバッファ素子(トランジスタおよび抵抗器)を実装するために使用される既知の集積回路技術を用いてセンサ内に包含される回路の図である。ワイヤ・ジャンパ1050を用いて、センサ、トランジスタ、およびセンサ上のバイアス抵抗器を、バッファされる出力1060に電気的に接続する。
【0036】
本明細書に記載された開示された方法は、例えば、命令を実行できる機械で読み取り可能なコンピュータ読取り可能な記憶媒体上で命令のプログラムを有形に具現化することによって、自動化されてもよい。汎用コンピュータは、そのような機械の一例であり、プロセッサ、メモリ、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを有する他の既知のコンピューティング・デバイスのようなものである。この技術分野において周知の適切な記憶媒体の非限定的な例示的リストには、例えば読み取り可能なまたは書き込み可能なCD、フラッシュ・メモリ・チップ(例えば、サム・ドライブ)、種々の磁気記憶媒体、等が含まれる。
【0037】
前述の発明は、上述した実施形態を参照して説明したが、種々の変形および変更を本発明の精神から逸脱することなく行うことができる。従って、全てのそのような変形および変更は特許請求の範囲内にあると考えられる。従って、明細書および図面は限定的な意味ではなく例示として見るべきである。本明細書の一部を形成する図面は、限定的なものではなく、例示として、発明の内容(構成)を実施し得る具体的な実施形態を示している。図示の実施形態は、この分野の専門家が本明細書に開示される教示内容を実施することができるように充分詳細に記載されている。他の実施形態を利用し、その実施形態から導かれる構造的および論理的な置換および変更は本開示の範囲から逸脱することなく行われてもよい。従って、この詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきでなく、種々の実施形態の範囲は、特許請求の範囲のみによって、その特許請求の範囲が権利を有する均等手段の全ての範囲と共に規定される。
【0038】
本発明の内容(構成)のそのような実施形態は、本明細書では、個々におよび/または集合的に、単に便宜的に、用語“発明”と称されるが、2つ以上の発明または発明的着想が実際に開示されている場合でもいずれか1つの発明または発明的着想に本願の範囲を自発的に限定する意図はない。従って、特定の実施形態を図示して本明細書で説明したが、同じ目的を達成するよう計算された任意の配置構成を図示された特定の実施形態の代わりに使用してもよい、と理解されるべきである。本開示内容は、種々の実施形態の変形の中のいずれかおよび全て適用例を含むよう意図されている。上述の実施形態と、本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態との組合せは、上述の実施形態を検討することによって、この分野の専門家には明らかである。
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