(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端部と、他端部と、前記一端部と前記他端部とを引っ張ると縮小するループ部と、を備えた人工毛の前記ループ部が通されることにより前記人工毛が係止される被係止部と、前記被係止部に係止された前記人工毛の前記ループ部を覆うカバー部と、を備える係止装置と、
自在継手を有する支持部と、前記支持部によって位置が固定されまつ毛を保持可能なまつ毛保持部と、を備える保持装置と、から構成され、
前記人工毛は、前記被係止部において前記人工毛の移動抵抗となり、円周方向全周に巻かれ、表面が起毛している係止テープ上に係止され、
前記まつ毛保持部は、まつ毛を挟持する挟持部と、押圧されることにより前記挟持部が開く押圧部と、を有し、前記まつ毛保持部は、前記押圧部が押圧されていない状態では前記挟持部が閉じた状態であってまつ毛を挟持可能であることを特徴とするまつ毛増毛用器具。
前記挟持部は前記押圧部に対して斜めに傾斜した対向面を有し、前記まつ毛保持部が前記まつ毛を保持した状態において前記対向面はまぶたと対向していることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛増毛用器具。
一端部と、他端部と、前記一端部と前記他端部とを引っ張ると縮小するループ部と、を備えた人工毛の前記ループ部が通されることにより前記人工毛が係止される被係止部と、前記被係止部に係止された前記人工毛の前記ループ部を覆うカバー部と、を備える係止装置と、
自在継手を有する支持部と、前記支持部によって位置が固定されまゆ毛を保持可能なまゆ毛保持部と、を備える保持装置と、から構成され、
前記人工毛は、前記被係止部において前記人工毛の移動抵抗となり、円周方向全周に巻かれ、表面が起毛している係止テープ上に係止され、
前記まゆ毛保持部は、まゆ毛を挟持する挟持部と、押圧されることにより前記挟持部が開く押圧部と、を有し、前記まゆ毛保持部は、前記押圧部が押圧されていない状態では前記挟持部が閉じた状態であってまゆ毛を挟持可能であることを特徴とするまゆ毛増毛用器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、つけまつげは接着剤や両面テープで固定するため、汗や皮脂、湿気などではがれやすく耐久性が低い。また、つけまつげやまつ毛エクステンションの際に使用する接着剤は、肌に悪影響を及ぼしかぶれや炎症を起こす可能性がある。接着剤を直接肌に塗布しない場合であっても、接着剤の揮発性物質などが原因となって目のかゆみや目の充血などの不快感を起こすことがある。まつ毛エクステンションの寿命は2週間程度であるため、定期的にまつ毛エクステンションの施術を受ける必要がある。
【0006】
また、まゆ毛を眉墨等で描いている場合であっても、まゆ毛のボリュームを増やして好みの形状に整えたいという要望があった。
【0007】
そこで、本発明は、まつ毛の増毛を行うことができるまつ毛増毛用器具、当該まつ毛増毛用器具を用いたまつ毛の増毛方法、まゆ毛の増毛を行うことができるまゆ毛増毛用器具、及び当該まゆ毛増毛用器具を用いたまゆ毛の増毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために第1の発明では、一端部と、他端部と、前記一端部と前記他端部とを引っ張ると縮小するループ部と、を備えた人工毛の前記ループ部が通されることにより前記人工毛が係止される被係止部と、前記被係止部に係止された前記人工毛の前記ループ部を覆うカバー部と、を備える係止装置と、自在継手を有する支持部と、前記支持部によって位置が固定されまつ毛を保持可能なまつ毛保持部と、を備える保持装置と、から構成され、前記人工毛は、前記被係止部において前記人工毛の移動抵抗となり、
円周方向全周に巻かれ、表面が起毛している係止テープ上に係止され、前記まつ毛保持部は、まつ毛を挟持する挟持部と、押圧されることにより前記挟持部が開く押圧部と、を有し、前記まつ毛保持部は、前記押圧部が押圧されていない状態では前記挟持部が閉じた状態であってまつ毛を挟持可能であることを特徴とするまつ毛増毛用器具を提供する。
【0009】
また、第2の発明では、第1の発明において、前記挟持部は前記押圧部に対して斜めに傾斜した対向面を有し、前記まつ毛保持部が前記まつ毛を保持した状態において前記対向面はまぶたと対向していることを特徴としている。
【0010】
また、第3の発明では、第1の発明又は第2の発明において、前記まつ毛保持部に着脱可能に設けられ、前記まつ毛周辺を撮影可能な撮影部と、前記撮影部が撮影した映像を表示する表示部と、をさらに有することを特徴としている。
【0011】
また、第4の発明では、
第1の発明に係るまつ毛増毛用器具を用いたまつ毛の増毛方法であって、前記ループ部を前記まつ毛保持部に通す工程と、前記まつ毛保持部で前記まつ毛を保持する工程と、前記ループ部を、前記まつ毛保持部から前記まつ毛に移動させる工程と、前記一端部と前記他端部とを前記まつ毛の配列方向に引っ張って前記ループ部を縮小させ、前記人工毛を前記まつ毛に結び付ける工程と、を有することを特徴とするまつ毛の増毛方法を提供する。
【0012】
また、第5の発明では、一端部と、他端部と、前記一端部と前記他端部とを引っ張ると縮小するループ部と、を備えた人工毛の前記ループ部が通されることにより前記人工毛が係止される被係止部と、前記被係止部に係止された前記人工毛の前記ループ部を覆うカバー部と、を備える係止装置と、自在継手を有する支持部と、前記支持部によって位置が固定されまゆ毛を保持可能なまゆ毛保持部と、を備える保持装置と、から構成され、前記人工毛は、前記被係止部において前記人工毛の移動抵抗となり、
円周方向全周に巻かれ、表面が起毛している係止テープ上に係止され、前記まゆ毛保持部は、まゆ毛を挟持する挟持部と、押圧されることにより前記挟持部が開く押圧部と、を有し、前記まゆ毛保持部は、前記押圧部が押圧されていない状態では前記挟持部が閉じた状態であってまゆ毛を挟持可能であることを特徴とするまゆ毛増毛用器具を提供する。
【0013】
また、第6の発明では、
第5の発明に係るまゆ毛増毛用器具を用いたまゆ毛の増毛方法であって、前記人工毛を用意する工程と、前記ループ部を前記まゆ毛保持部に通す工程と、前記まゆ毛保持部で前記まゆ毛を保持する工程と、前記ループ部を、前記まゆ毛保持部から前記まゆ毛に移動させる工程と、前記一端部と前記他端部とを前記まゆ毛の配列方向に引っ張って前記ループ部を縮小させ、前記人工毛を前記まゆ毛に結び付ける工程と、を有することを特徴とするまゆ毛の増毛方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によると、人工毛は係止テープ上に係止されているため、係止テープが移動抵抗となってループ部の緩みを防止するとともに人工毛が適度な抵抗をもって移動することができる。これにより、被係止部から人工毛を円滑に取り外すことができるとともに、人工毛同士が互いに絡むことを防止できる。また、カバー部がループ部を覆っているため、ループ部が被係止部から外れることを防止することができる。さらに、係止装置から1本1本人工毛を用意することにより、人工毛を互いに絡ませることなく円滑にまつ毛の増毛を行うことができる。また、まつ毛保持部は押圧されることにより挟持部が開く構造であるため、通常状態ではまつ毛保持部は閉じた状態となる。これにより、手を離した状態でもまつ毛保持部でまつ毛を保持することができるため、一人が両手を使って人工毛をまつ毛に結び付けることができる。まつ毛保持部は、自在継手を有する支持部によって位置が固定されるため、保持したまつ毛が微動しない。これにより、まつ毛を引っ張ることなく安定してまつ毛を保持し、まつ毛の増毛を行うことができる。
【0015】
第2の発明によると、対向面がまぶたと対向しているため、まつ毛保持部がまぶた周辺に接触したとしても対向面がまぶたに当たることとなる。これにより、挟持部によってまぶた周辺を傷つけることがない。
【0016】
第3の発明によると、撮影部で撮影された映像が表示部に表示されるため、表示部で表示されている映像を随時確認しながら、まつ毛の増毛を行うことができる。これにより、より正確かつ安全にまつ毛の増毛を行うことができる。
【0017】
第4の発明によると、接着剤を用いることなく人工毛をまつ毛に結び付けているため、接着剤による肌荒れや炎症、目のかゆみ、充血などを起こすことなくまつ毛を増毛させることができる。また、人工毛をまつ毛に結び付ける際に、まつ毛保持部でまつ毛を固定した状態でまつ毛保持部に通された人工毛をまつ毛に移動させているため、まつ毛に人工毛を結び付けるときにまつ毛が人工毛に引っ張られることがない。これにより、痛みや刺激を伴うことなく人工毛をまつ毛に結びつけることができる。また、まつ毛はまつ毛保持部によって固定されているため、人工毛を結び付ける位置を定めやすい。まつ毛のボリューム感を出すためには、人工毛をまつ毛の根元付近に結び付けることが好ましいが、まつ毛は長さが短いためまつ毛を固定しない状態でまつ毛に人工毛を結び付けることは困難を極めた。本発明では、人工毛のループ部を予めまつ毛保持部に通しておき、まつ毛保持部でまつ毛を固定した状態で人工毛をまつ毛保持部からまつ毛に移動させるため、簡易且つ短時間で人工毛をまつ毛に結び付けることができる。さらに、まつ毛保持部は、自在継手を有する支持部によって位置が固定されるため、安定してまつ毛を保持することができる。人工毛が直接まつ毛に結び付けられているため、まつ毛が抜けない限り人工毛はまつ毛に結び付いた状態となる。まつ毛の生え変わり周期は一般に3〜4カ月であるため、接着剤で人工毛を接着するまつ毛エクステンションと比べてはるかに寿命が長い。人工毛を結びつける場合には、つけまつげをまぶた付近に貼付する場合に比べて自然にまつ毛を増毛することができる。これにより、つけまつげに比べて、自然に目を大きく魅せることができる。さらに、接着剤の場合と異なり、人工毛はまつ毛に結び付けられている状態であるため、任意に取り外すことが可能である。まつ毛は、5カ月程度のサイクルで抜け落ちており、1〜2か月が、まつ毛が伸びる成長期である。よって、まつ毛が成長によってある程度伸びてきた段階で、人工毛を取り外すことができる。
【0018】
第5の発明によると、人工毛は係止テープ上に係止されているため、係止テープが移動抵抗となってループ部の緩みを防止するとともに人工毛が適度な抵抗をもって移動することができる。これにより、被係止部から人工毛を円滑に取り外すことができるとともに、人工毛同士が互いに絡むことを防止できる。また、カバー部がループ部を覆っているため、ループ部が被係止部から外れることを防止することができる。さらに、係止装置から1本1本人工毛を用意することにより、人工毛を互いに絡ませることなく円滑にまゆ毛の増毛を行うことができる。また、まゆ毛保持部は押圧されることにより挟持部が開く構造であるため、通常状態ではまゆ毛保持部は閉じた状態となる。これにより、手を離した状態でもまゆ毛保持部でまゆ毛を保持することができるため、一人が両手を使って人工毛をまゆ毛に結び付けることができる。まゆ毛保持部は、自在継手を有する支持部によって位置が固定されるため、保持したまゆ毛が微動しない。これにより、まゆ毛を引っ張ることなく安定してまゆ毛を保持し、まゆ毛の増毛を行うことができる。
【0019】
第6の発明によると、人工毛をまゆ毛に結び付けているため、容易にまゆ毛を増毛させることができる。また、人工毛をまゆ毛に結び付ける際に、まゆ毛保持部でまゆ毛を固定した状態でまゆ毛保持部に通された人工毛をまゆ毛に移動させている。さらに、まゆ毛に人工毛を結び付けるときにまゆ毛が人工毛に引っ張られることがないため、痛みや刺激を伴うことなく人工毛をまゆ毛に結びつけることができる。また、まゆ毛はまゆ毛保持部によって固定されているため、人工毛を結び付ける位置を定めやすい。さらに、人工毛のループ部を予めまゆ毛保持部に通しておき、まゆ毛保持部でまゆ毛を固定した状態で人工毛をまゆ毛保持部からまゆ毛に移動させるため、簡易且つ短時間で人工毛をまゆ毛に結び付けることができる。さらに、まゆ毛保持部は、自在継手を有する支持部によって位置が固定されるため、安定してまゆ毛を保持することができる。人工毛が直接まゆ毛に結び付けられているため、まゆ毛が抜けない限り人工毛はまゆ毛に結び付いた状態となる。
【0020】
本発明によれば、まつ毛の増毛を行うことができるまつ毛増毛用器具、当該まつ毛増毛用器具を用いたまつ毛の増毛方法、まゆ毛の増毛を行うことができるまゆ毛増毛用器具、及び当該まゆ毛増毛用器具を用いたまゆ毛の増毛方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態によるまつ毛増毛用器具及びまつ毛の増毛方法を、
図1乃至
図7に基づき説明する。まつ毛増毛用器具は、
図1に示す保持装置1と、
図2に示す係止装置6と、から構成される。まつ毛増毛時の患者11の顔は、フェイスマスク12で覆われていて、目と、鼻と口のみ露出している。
【0023】
保持装置1は、第1支持部2と、第1支持部2に接続される第2支持部3と、前記第2支持部3に保持されるまつ毛保持部4と、を備えている。第1支持部2は、固定台座21と、第1ロッド22と、第2ロッド23と、グリップ部24と、から構成される。
【0024】
固定台座21は、第1アーム21Aと第2アーム21Bとで台5を挟持することにより、保持装置1を台5に固定する。第1ロッド22は伸縮可能であって、一端に固定台座21と接続される第1ジョイント部22Aを有し、他端に第2ロッド23と接続される第2ジョイント部22Bを有している。第1ジョイント部22Aと1第2ジョイント部22Bとの間には、第1ロッド22の長さを固定する伸縮ストッパ22Cが設けられている。第1ジョイント部22Aは、第1ロッド22を固定台座21に対して回転可能に接続している。第2ジョイント部22Bは、第1ロッド22を第2ロッド23に対して回転可能且つ傾動可能に接続している。第2ジョイント部22Bには、保持ストッパ25が設けられている。
【0025】
第2ロッド23は、一端が第2ジョイント部22Bに接続され、他端に第3ジョイント部23Aを備えている。第3ジョイント部23Aは自在継手であって、第2ロッド23とグリップ部24とを接続している。第1ジョイント部22A、第2ジョイント部22B、及び第3ジョイント部23Aは、保持ストッパ25の操作によって一括で固定・解除を行うことができる。
【0026】
グリップ部24は、第1支持部2と第2支持部3とを接続する部材であって、第2支持部3の一端を挟持している。グリップ部24は、止めネジ24Aによって保持状態を維持している。
【0027】
第2支持部3は、第4ジョイント部31と、第5ジョイント部32と、第6ジョイント部33と、まつ毛保持部4を回動可能に支持する回動支持部34と、を備えている。第4ジョイント部31、第5ジョイント部32、及び第6ジョイント部33は、自在継手であって図示せぬ止めネジによって接続状態を固定することができる。また、止めネジを調整することにより、抵抗をもって各ジョイントの接続状態を変えることができる。第2支持部3の各ジョイント部は、手が触れた程度では接続状態は変わらないが、まつ毛保持部4が移動するとこれに連動して接続状態が変わる程度に止めネジが締められていることが望ましい。第1支持部2及び第2支持部3は、本発明の支持部に相当する。
【0028】
まつ毛保持部4は、被保持部41と、押圧部42と、挟持部43と、を備えている。被保持部41は、回動支持部34に回動可能且つ傾動可能に保持されている。押圧部42は、
図4(b)に示すように、両側から押圧される部分である。まつ毛保持部4は、押圧部42が押圧されることにより挟持部43が開く、いわゆる逆ピンセットである。挟持部43は斜めに屈曲しており、まつ毛の増毛時にまぶたと対向する対向面43Aを備えている。換言すると、挟持部43及び対向面43Aは、押圧部42に対して斜めに傾斜している。
【0029】
図2に示すように、係止装置6は保持装置1の近傍に配置され、ベース部7と、被係止部8と、透明性を有するカバー部9と、から構成される。ベース部7は、台座71と、保持軸72と、を備えている。台座71は係止装置6を台5に固定するための部材であって、保持軸72が挿入される孔部71aが形成されている。保持軸72は上下方向に延び、下端部が孔部71aに挿入されることにより台座71に固定される。保持軸72には、被係止部8が挿入される軸孔72aが形成されている。
【0030】
被係止部8は保持軸72と直交する方向(前後方向)に延び、円柱形状を成している。被係止部8は円柱形状であるため、人工毛10に折れ癖がつかない。被係止部8の前部には係止テープ81が円周方向全周に亘って巻かれていて、係止テープ81上に複数の人工毛10が係止されている。係止テープ81は、表面が僅かに起毛しており、人工毛10が移動する際に抵抗となる。当該起毛によって、係止テープ81に係止された人工毛10が僅かに浮き上がるため、ピンセット等で容易に被係止部8から取り外すことができる。本実施の形態では、係止テープ81として医療用のシリコンテープを用いている。係止テープ81は、シリコンテープに限定されず、人工毛10が滑らないように移動抵抗となる部材であればよい。被係止部8を軸孔72aから引き抜くことにより、人工毛10が係止された被係止部8を持ち運ぶことができる。このとき、人工毛10に折れ癖が付かないように、カバー等で覆うことが好ましい。
【0031】
図3に示すように、カバー部9は円筒形状であって、下部に前後方向全幅に亘ってスリット9aが形成されている。
図2に示す状態では、スリット9aから人工毛10が下方に垂れ下がっている。カバー部9の前後方向の長さは、係止テープ81の前後方向の長さよりも長いため、係止テープ81上の人工毛10はカバー部9に覆われている。カバー部9は、透明性を有するポリエステル又はオレフィン系の樹脂材料であることが好ましい。
【0032】
人工毛10は、ループ部10Aと、一端部10Bと、他端部10Cと、を備えている。人工毛10は、一本の長い人工毛を結ぶことでループ部10Aを形成している。ループ部10Aは2本の人工毛から構成され、その直径は一端部10Bと他端部10Cとを引っ張ることにより収縮し、ループ部10Aを広げることにより拡大する。1本の人工毛からループ部10Aを形成して人工毛10とし、ループ部10Aを被係止部8に通して、一端部10Bと他端部10Cとを引っ張り、人工毛10を係止テープ81の上に一時的に係止させる。このとき、係止テープ81の表層の起毛が抵抗となって、ループ部10Aが係止テープ81上で適度な抵抗をもって移動する。係止テープ81の前後方向に間隔を隔てて複数の人工毛10を係止させた後、スリット9aを広げてカバー部9を上方から被係止部8に被せる。
【0033】
次に、
図4に基づいて、まつ毛を増毛させるまつ毛の増毛方法について説明する。まず、係止装置6の被係止部8からカバー部9を取り外し、ピンセット等で一番前側に位置する人工毛10のループ部10Aを緩め、人工毛10を被係止部8から取り外す。
図4(a)に示すように、人工毛10のループ部10Aをまつ毛保持部4の挟持部43に通す。
図4(b)に示すように、押圧部42を両サイドから押圧して挟持部43を開く。
図4(c)に示すように、挟持部43でまつ毛13のうちのまつ毛増毛の対象となる対象まつ毛13Aの先端部分を挟む。同時に、一端部10B及び他端部10Cを引っ張ってループ部10Aを、挟持部43を通過可能な程度に収縮させる。このとき、対向面43Aはまぶたに対向している。換言すると、挟持部43の先端はまぶたとは異なる方向に指向している。まつ毛保持部4は複数のジョイント部を備える第2支持部3によって保持されているため、容易にまつ毛保持部4の位置の微調整ができるとともに、位置を決めた時の遊びがない。ここでいう遊びとは、まつ毛保持部4を位置決めして手を離すと僅かにまつ毛保持部4の位置が移動することをいう。従って、対象まつ毛13Aを挟持部43で挟持してまつ毛保持部4から手を離しても、まつ毛保持部4の位置は変わらない。これにより、増毛中に対象まつ毛13Aがまつ毛保持部4によって引っ張られることがない。
【0034】
図4(d)に示すように、ループ部10Aをまつ毛保持部4から離れるように矢印の方向にスライドさせて、ループ部10Aを対象まつ毛13Aに通す。ループ部10Aを収縮させているため、周囲のまつ毛をループ部10Aに巻き込むことなく、対象まつ毛13Aのみをループ部10Aに通すことができる。
図4(e)に示すように、一端部10Bと他端部10Cとを矢印の方向に引っ張ってループ部10Aを収縮させ、人工毛10を対象まつ毛13Aに結び付ける。一端部10Bと他端部10Cは、まつ毛13の幅方向と略平行な方向に引っ張る。これにより、人工毛10がまつ毛13の幅方向に延びるように結び付けられるため、まつ毛13のボリューム感がより大きくなる。人工毛10は、対象まつ毛13Aの根元近傍に結び付けることが望ましい。これにより、人工毛10の長さをまつ毛13と揃えた場合でも、人工毛10を長くすることができるため、まつ毛13のボリューム感が増す。
【0035】
図4(f)に示すように、押圧部42を押圧して挟持部43を開き、対象まつ毛13Aからまつ毛保持部4を離す。
図5に示すように、対象まつ毛13Aに結び付けられた後の一端部10B及び他端部10Cは、フェイスマスク12のおでこ部分に貼り付けられた両面テープ14に一時的に固定される。この
図4(a)から
図4(f)の作業を複数のまつ毛に対して行う(
図5)。まつ毛13全体のボリュームや長さ、質感等を考慮して、すべてのまつ毛13に対して人工毛10を結び付けてもよく、間隔を空けて人工毛10をまつ毛13に結び付けてもよい。すべての人工毛10をまつ毛13に結び付けた後、人工毛10を両面テープ14から外し、まつ毛13よりも若干人工毛10が長くなるようにカットする。人工毛10がまつ毛13よりも若干長いため、よりまつ毛13のボリューム感を出すことができる。カットに用いるハサミは刃面が湾曲しており、まつ毛のカーブに沿って人工毛10をカットすることができる。
【0036】
図6及び
図7に示すように、人工毛10及びまつ毛13を専用のまつ毛アイロン51でカールさせる。まつ毛アイロン51は、ヒータ部52と、受け部53と、接続部54と、把持部55と、図示せぬ調整部と、を備えている。ヒータ部52は、円柱形状であって内部にヒータが内蔵されており、調整部を調整することによって温度調節可能である。受け部53は、ヒータ部52を受け入れるように半円筒形状である。まつ毛13及び人工毛10は、ヒータ部52と受け部53とに挟持されて熱がかかることにより、カールされる。まつ毛13及び人工毛10をカールさせる際は、90℃〜130℃で5〜20秒程度挟持することが好ましい。まつ毛アイロン51の温度や挟持時間は、まつ毛13の毛質や人工毛10の数などに応じて任意に調節することができる。
【0037】
接続部54は、ヒータ部52及び受け部53と、把持部55とを繋ぐ部分である。接続部54にもヒータ部52の熱が伝わってくるため、フェルト等で表面を覆っても良い。これにより、患者11に接続部54が直接触れることを防止できる。把持部55は、施術者がまつ毛アイロン51を把持する部分である。
【0038】
図6では図示していないが、まつ毛アイロン51でまつ毛13及び人工毛10をカールさせる際には、まぶたにシリコンテープを張って寝ているまつ毛を立たせるとともに、接続部54の接触防止のためにまぶたの下にもシリコンテープを貼る。まつ毛13にまつ毛専用のクシを通した状態で、まつ毛アイロン51によってまつ毛13及び10をカールさせてもよい。まつ毛アイロン51でまつ毛13及び人工毛10をカールさせることにより、少なくとも2〜3週間はまつ毛13及び人工毛10がカールした状態を維持することができる。
【0039】
このような構成によると、人工毛10は係止テープ81上に係止されているため、係止テープ81が移動抵抗となってループ部10Aの緩みを防止するとともに人工毛10が適度な抵抗をもって移動することができる。これにより、被係止部8から人工毛10を円滑に取り外すことができるとともに、人工毛10同士が互いに絡むことを防止できる。また、カバー部9がループ部10Aを覆っているため、ループ部10Aが被係止部8から外れることを防止することができる。さらに、係止装置6から1本1本人工毛10を用意することにより、人工毛10を互いに絡ませることなく円滑にまつ毛13の増毛を行うことができる。また、まつ毛保持部4は押圧されることにより挟持部43が開く構造であるため、通常状態ではまつ毛保持部4は閉じた状態となる。これにより、手を離した状態でもまつ毛保持部4で対象まつ毛13Aを保持することができるため、一人が両手を使って人工毛10を対象まつ毛13Aに結び付けることができる。まつ毛保持部4は、自在継手を有する第1支持部2及び第2支持部3によって位置が固定されるため、保持した対象まつ毛13Aが微動しない。これにより、対象まつ毛13Aを引っ張ることなく安定して対象まつ毛13Aを保持し、まつ毛の増毛を行うことができる。
【0040】
このような構成によると、対向面43Aがまぶたと対向しているため、まつ毛保持部4がまぶた周辺に接触したとしても対向面43Aがまぶたに当たることとなる。これにより、挟持部43によってまぶた周辺を傷つけることがない。
【0041】
このような構成によると、接着剤を用いることなく人工毛10をまつ毛13に結び付けているため、接着剤による肌荒れや炎症、目のかゆみ、充血などを起こすことなくまつ毛を増毛させることができる。人工毛10をまつ毛13に結び付ける際に、まつ毛保持部4でまつ毛13を固定した状態でまつ毛保持部4に通された人工毛10をまつ毛13に移動させている。まつ毛13に人工毛10を結び付けるときにまつ毛13が人工毛10に引っ張られることがないため、痛みや刺激を伴うことなく人工毛10をまつ毛13に結びつけることができる。まつ毛13はまつ毛保持部4によって固定されているため、人工毛10を結び付ける位置を定めやすい。まつ毛13のボリューム感を出すためには、人工毛10をまつ毛13の根元付近に結び付けることが好ましい。まつ毛13は長さが短いため、まつ毛13を固定しない状態で人工毛10を結び付けることは困難を極めた。本発明では、人工毛10のループ部10Aを予めまつ毛保持部4に通しておき、まつ毛保持部4でまつ毛13を固定した状態で人工毛10をまつ毛保持部4からまつ毛13に移動させるため、簡易且つ短時間で人工毛10をまつ毛13に結び付けることができる。まつ毛保持部4は、自在継手を有する第1支持部2及び第2支持部3によって位置が固定されるため、安定してまつ毛13を保持することができる。人工毛10が直接まつ毛13に結び付けられているため、まつ毛13が抜けない限り人工毛10はまつ毛13に結び付いた状態となる。まつ毛の生え変わり周期は一般に3〜4カ月であるため、接着剤で人工毛を接着するまつ毛増毛の1週間と比べてはるかに寿命が長い。人工毛を結びつける場合には、つけまつげをまぶた付近に貼付する場合に比べて自然にまつ毛を増毛することができる。これにより、つけまつげと比べて、自然に目を大きく魅せることができる。さらに、接着剤の場合と異なり、人工毛はまつ毛に結び付けられている状態であるため、任意に取り外すことが可能である。まつ毛は、5カ月程度のサイクルで抜け落ちており、1〜2か月が、まつ毛が伸びる成長期である。よって、まつ毛が成長によってある程度伸びてきた段階で、人工毛を取り外すことができる。
【0042】
このような構成によると、まつ毛13に取り付けた人工毛10は両面テープ14によって額に一時的に固定されているため、既に取り付けた人工毛10とこれからまつ毛13に取り付ける人工毛10とが絡むことを防止できる。これにより、人工毛10を互いに絡ませることなく円滑にまつ毛を増毛させるまつ毛13の増毛を行うことができる。また、すべての人工毛10を結び付けた後に人工毛10をカットすることにより、全体としてボリューム感のある整ったまつ毛となる。
【0043】
次に、
図8を参照して実施の形態の変形例のまつ毛増毛用器具及びまつ毛の増毛方法について説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0044】
まつ毛保持部4の押圧部42と挟持部43との間には、対象まつ毛13A周辺の映像を撮影することができる撮影部144が着脱可能に設けられている。撮影部144の一端には映像を撮影するカメラ部及びLEDが設けられており、他端にはケーブル145が接続されている。本変形例では、撮影部144及びケーブル145として、デジタルマイクロスコープ(内視鏡)を用いている。ケーブル145は端末146に接続されており、端末146の表示部147にはカメラ部が撮影した映像が表示される。変形例では、表示部として端末に接続された液晶ディスプレイを用いるが、有機ELディスプレイを用いてもよい。また、端末としてパーソナルコンピュータを用いるが、スマートフォン、タブレット等を用いても良い。
【0045】
また、ケーブル145には、調節部148が設けられていて、LEDの明るさ、カメラ部の焦点距離、映像の拡大・縮小を調節することができる。
【0046】
変形例では、まつ毛の増毛の際には、最初にシリコンテープ115でまつ毛を固定し、ピンセットで増毛の対象となる対象まつ毛13Aを1本ずつテープ下面からテープ上面に移動させ、対象まつ毛13Aのみ露出した状態で
図4に従ってまつ毛の増毛を行う。これにより、対象まつ毛13Aのみテープから露出するため、まつ毛保持部4で対象まつ毛13aを挟持し易くなるとともに、周囲のまつ毛13が対象まつ毛13Aに干渉することがないため、円滑にまつ毛増毛を行うことができる。
【0047】
このような構成によると、撮影部144で撮影された映像が表示部147に表示されるため、表示部147で表示されている映像を随時確認しながら、対象まつ毛13Aの増毛を行うことができる。これにより、より正確かつ安全にまつ毛の増毛を行うことができる。
【0048】
本発明の実施の形態によるまゆ毛増毛用器具及びまゆ毛の増毛方法及びを、
図9に基づき説明する。上述の実施の形態と同様の構成は、同一の符号を付し説明を省略する。まつ毛増毛用器具は、
図9に示す保持装置1と、
図2に示す係止装置6と、から構成される。保持装置1は、まゆ毛216を保持するまゆ毛保持部204を有している。まゆ毛保持部204は、まつ毛保持部4の構成と同一である。
【0049】
まゆ毛の増毛方法の流れは、
図4に示すまつ毛の増毛方法の流れと同一である。ただし、まゆ毛の増毛の場合には、アイロン等によってカールさせる工程は不要である。
【0050】
このような構成によると、人工毛10は係止テープ81上に係止されているため、係止テープ81が移動抵抗となってループ部10Aの緩みを防止するとともに人工毛10が適度な抵抗をもって移動することができる。これにより、被係止部8から人工毛10を円滑に取り外すことができるとともに、人工毛10同士が互いに絡むことを防止できる。また、カバー部9がループ部10Aを覆っているため、ループ部10Aが被係止部8から外れることを防止することができる。さらに、係止装置6から1本1本人工毛10を用意することにより、人工毛10を互いに絡ませることなく円滑にまゆ毛216の増毛を行うことができる。また、まゆ毛保持部204は押圧されることにより挟持部43が開く構造であるため、通常状態ではまゆ毛保持部204は閉じた状態となる。これにより、手を離した状態でもまゆ毛保持部204でまゆ毛216を保持することができるため、一人が両手を使って人工毛10をまゆ毛216に結び付けることができる。まゆ毛保持部204は、自在継手を有する第1支持部2及び第2支持部3によって位置が固定されるため、保持したまゆ毛216が微動しない。これにより、まゆ毛216を引っ張ることなく安定してまゆ毛216を保持し、まゆ毛の増毛を行うことができる。
【0051】
このような構成によると、人工毛10をまゆ毛216に結び付けているため、容易にまゆ毛216を増毛させることができる。また、人工毛10をまゆ毛216に結び付ける際に、まゆ毛保持部204でまゆ毛216を固定した状態でまゆ毛保持部204に通された人工毛10をまゆ毛216に移動させている。さらに、まゆ毛216に人工毛10を結び付けるときにまゆ毛216が人工毛10に引っ張られることがないため、痛みや刺激を伴うことなく人工毛10をまゆ毛216に結びつけることができる。また、まゆ毛216はまゆ毛保持部204によって固定されているため、人工毛10を結び付ける位置を定めやすい。さらに、人工毛10のループ部10Aを予めまゆ毛保持部204に通しておき、まゆ毛保持部204でまゆ毛216を固定した状態で人工毛10をまゆ毛保持部204からまゆ毛216に移動させるため、簡易且つ短時間で人工毛10をまゆ毛216に結び付けることができる。さらに、まゆ毛保持部204は、自在継手を有する第1支持部2及び第2支持部3によって位置が固定されるため、安定してまゆ毛216を保持することができる。人工毛10が直接まゆ毛216に結び付けられているため、まゆ毛216が抜けない限り人工毛10はまゆ毛216に結び付いた状態となる。
【0052】
本発明によるまつ毛増毛用器具、まつ毛の増毛方法、まゆ毛増毛用器具、及びまゆ毛の増毛方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0053】
上述の実施の形態では、人工毛10は2本の人工毛によって形成されるループ部10Aと、1本の人口毛によって形成される一端部10B及び他端部10Cによって構成されたが、これに限定されない。例えば、ループ部10Aは1本又は3本以上の人工毛によって形成されてもよい。また、一端部10B及び他端部10Cは、2本以上の人工毛によって構成されていてもよい。
【0054】
上述の実施の形態では、1本のまつ毛13に1つの人工毛10を結び付けたが、1本のまつ毛13に複数の人工毛10を結び付けてもよい。
【0055】
上述の実施の形態では、人工毛10は、質感、太さ、色がまつ毛と同等のものを用いたが、患者のまつ毛の状態に応じて任意の人工毛を選択することができる。ボリューム感を出すために、太い人工毛を用いても良く、まつ毛とは色が異なる人工毛を用いてもよい。
【0056】
上述の実施の形態では、まつ毛及びまゆ毛の増毛方法として保持装置1及び係止装置6を用いたがこれに限定されない。例えば、手で通常のピンセットをもって
図4に示す(a)乃至(f)の流れでまつ毛及びまゆ毛を増毛させてもよい。これにより、器具を用いることなくまつ毛及びまゆ毛を増毛することができる。
【0057】
上述の実施の形態の変形例では、まつ毛増毛に撮影部144及び端末146を用いたが、まゆ毛増毛にこれらを用いてもよい。
まつ毛の増毛を行うことができるまつ毛増毛用器具、当該まつ毛増毛用器具を用いたまつ毛の増毛方法、まゆ毛の増毛を行うことができるまゆ毛増毛用器具、及び当該まゆ毛増毛用器具を用いたまゆ毛の増毛方法の提供。
まつ毛増毛用器具は、係止装置と、保持装置1とを備えている。保持装置1は、自在継手を有する第1支持部2及び第2支持部3と、まつ毛13を保持可能なまつ毛保持部4と、を備えている。まつ毛保持部4は、まつ毛13を挟持する挟持部43と、押圧されることにより挟持部43が開く押圧部42と、を有している。まつ毛保持部4は、押圧部42が押圧されていない状態では挟持部43が閉じた状態であってまつ毛13を挟持可能である。