【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来例において、軸部品が傾斜姿勢でピン支持部に導かれた場合、あるいは軸部品の挿入時にこじり力が付加された場合等には、弾性片が弾性域を超えて変形し、破断する虞があり、破断により、軸部品の脱落、あるいは軸部品の取り付け不能等の原因となる。
【0005】
とりわけ、軸部品の挿入操作性を良好にするために、弾性片を撓みやすく形成した場合には、破壊強度も低くなりがちであるために、より破壊に対する対策が必要となる。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、弾性片の破断を防止することにより、軸部品の脱落、あるいは軸部品の取り付け不能状態を確実に防止することのできる車両のハンドル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記目的は、
車両に固定されて操作ハンドル1を保持するハンドルベース2と、
ハンドルベース2に設けられた軸受け部3に挿入されて装着される軸部品4とを有し、
前記軸部品4は、ハンドルベース2に形成され、弾性変形して軸部品4の通過を許容する片持梁状の弾性片5により抜去方向の移動が規制されて軸受け部3に保持されるとともに、
ハンドルベース2には
、弾性片5の自由端部をストッパ面6に当接させて該弾性片5の弾性変形範囲を規制するストッパ突部7が設けら
れ、
かつ、前記ストッパ突部7は、弾性片5の弾性変形軌跡に干渉する位置まで該弾性片5の自由端部側から突起状に突設して形成される車両のハンドル装置を提供することにより達成される。
【0008】
車両のハンドル装置は、操作ハンドル1を保持するために車両に固定されるハンドルベース2と、ハンドルベース2に固定される軸部品4を有している。軸部品4は、操作ハンドル1、あるいは操作ハンドル1以外の回転動作部品の枢軸であっても、あるいは単なる長軸部材であってもよい。
【0009】
軸部品4を軸受け部3に挿入すると弾性片5は一旦弾性変形して軸部品4の通過を許容し、軸部品4の挿入操作完了とともに原位置に復帰し、復帰位置において軸部品4の抜去経路に干渉して軸部品4の抜去を防止する。
【0010】
弾性片5の弾性変形範囲を規制するストッパ突部7を設ける本発明において、軸部品4が斜め方向に挿入される等しても、弾性片5には過大な応力が発生することはないために、不用意な弾性片5の破断を確実に防止することが可能になる。
【0011】
また、ハンドル装置は、
車両に固定されて操作ハンドル1を保持するハンドルベース2と、
ハンドルベース2に設けられた軸受け部3に挿入されて装着される軸部品4とを有し、
前記軸部品4は、ハンドルベース2に形成され、弾性変形して軸部品4の通過を許容する片持梁状の弾性片5により抜去方向の移動が規制されて軸受け部3に保持されるとともに、
ハンドルベース2には、弾性片5の自由端部をストッパ面6に当接させて該弾性片5の弾性変形範囲を規制するストッパ突部7が設けられ、
かつ、前記弾性片5は、対向両側縁が立ち上がり壁8により挟まれて配置されるとともに、
前記ストッパ突部7は、立ち上がり壁8の立設方向視において、前記弾性片5の自然姿勢における自由端に対する非重合位置に配置して構成することができる。
【0012】
図6に示すように、弾性片5の対向両側縁、すなわち、弾性片5の自由端縁に隣接する辺縁を立ち上がり壁8により挟み付けることにより、弾性片5の側方(
図6(a)における矢印F方向)からの他部品の衝突等による負荷から弾性片5を確実に防御することが可能になる。また、立ち上がり壁8を設けると、ハンドルベース2の射出成形に使用する成形金型の当該部位における型割りは、アンダーカットの発生を防止するために、立ち上がり壁8に沿った方向(
図6(c)、(d)におけるP方向)に設定する必要があるが、この場合、
図6(a)においてハッチングを示すU領域がアンダーカット領域となるために、当該アンダーカット領域(U)を形成するために、成形金型に中子等を配置する必要が生じ、成形金型の構造が複雑なる。
【0013】
これに対し、
図6(b)に示すように、ストッパ突部7を、撓みの発生しない自然姿勢における弾性片5の先端との間に間隙(δ)が発生するように配置すると、アンダーカット領域(U)を発生させることなくストッパ突部7を配置することができるために、成形金型にアンダーカット解消のための中子等を配置する必要がなくなるために、成形金型の構造を簡単にすることが可能になる。
【0014】
ストッパ突部7に弾性片5が乗り上げるためには、ストッパ突部7のストッパ面6を弾性片5の軌跡に干渉する位置に配置すれば足りるが、
前記弾性片5の基端と軸部品4の挿入線との間隔が、ストッパ面6と軸部品4の挿入線との間隔に比して大寸に形成されるハンドル装置を構成すると、
図7に示すように、弾性片5の先端軌跡のストッパ面6に対する干渉幅、すなわち、弾性片5のストッパ面6への乗り上げ面がdだけ大きくなるために、ストッパ突部7の信頼性を高めることが可能になる。
【0015】
なお、
図6において白丸は弾性片5の弾性変形基端を示す。
【0016】
この場合、
前記弾性片5は、自由端が属し、軸部品4の挿入線に対して斜行する斜行部9と、斜行部9の基端から軸部品4の挿入線にほぼ直交する直交基端部10とを有する車両のハンドル装置を構成すると、弾性片5の長さを長くすることなく変形基端位置を低くすることができるために、狭い領域に弾性片5を配置することが可能になる。
図7はこの作用の説明図で、(a)は直状梁として同一の乗り上げ代の増加dを確保するために弾性変形基端をmだけ下げるためには、弾性片5を(L)だけ伸ばす必要があることを示し、(b)は、弾性片5の形状を屈曲形状とすることにより、全長を長くすることなく、かつ、ストッパ面6の乗り上げ寸法を(D)だけ大きくすることができることを示す。
なお、本発明によれば、
車両に固定されて操作ハンドル1を保持するハンドルベース2と、
ハンドルベース2に設けられた軸受け部3に挿入されて装着される軸部品4とを有し、
前記軸部品4は、ハンドルベース2に形成され、弾性変形して軸部品4の通過を許容する片持梁状の弾性片5により抜去方向の移動が規制されて軸受け部3に保持されるとともに、
ハンドルベース2には、弾性片5の自由端部をストッパ面6に当接させて該弾性片5の弾性変形範囲を規制するストッパ突部7が設けられる車両のハンドル装置を提供することも可能である。