(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
監視対象エリアに配置される複数台の前記電気柵用電圧測定装置のうち少なくとも一台がモバイルWiFiルータを有しており、前記モバイルWiFiルータは、無線LANを用いて前記電気柵用電圧測定装置と通信接続するとともに携帯電話網を用いてインターネット回線に通信接続し、前記電気柵用電圧測定装置から送信される測定電圧および測定時刻を受信すると、これら測定電圧および測定時刻を前記インターネット回線に送信する請求項3に記載の電気柵用電圧監視システム。
監視対象エリアに配置される複数台の前記電気柵用電圧測定装置は、モバイルWiFiルータと通信接続可能な台数毎にグループ化されており、各々の前記グループの前記モバイルWiFiルータは、無線LANを用いて同一グループ内の各々の前記電気柵用電圧測定装置と通信接続するとともに携帯電話網を用いてインターネット回線に通信接続し、各々の前記電気柵用電圧測定装置から送信される測定電圧および測定時刻を受信すると、これら測定電圧および測定時刻を前記インターネット回線に送信する請求項3に記載の電気柵用電圧監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電気柵用電圧測定装置およびこれを用いた電気柵用電圧監視システムの第一実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
本第一実施形態の電気柵用電圧監視システム1aは、
図1に示すように、主として、監視対象エリアAの周囲に任意の間隔で配置された複数の電気柵用電圧測定装置2と、各々の前記電気柵用電圧測定装置2で測定された測定電圧および測定時刻をインターネット回線を介して受信して蓄積する
測定データ用サーバ3と、この
測定データ用サーバ3に蓄積された測定電圧および測定時刻をインターネット回線を介して受信する電圧監視端末4とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0018】
本第一実施形態の電気柵用電圧測定装置2は、
図2に示すように、主として、電気柵Fの電線Wの電圧を測定する電圧測定部5と、無線LANによる通信機能を備える無線通信部6と、前記電圧測定部5により測定された測定電圧およびその測定時刻の送信を指令する送信制御部7と、測定データ用サーバ3との通信をおこなうためのアクセスポイントとなるモバイルWiFiルータ8とを有している。
【0019】
電圧測定部5は、
図2に示すように、電線Wの所定の位置に接続される測定端子51と、地中に設置されるアース棒Eに接続されるアース端子52とを備えており、それら測定端子51およびアース端子52の間の電圧を測定するものである。本第一実施形態における電圧測定部5は、送信制御部7における測定指令部722からの指令を受信し、その指令に従って所定の時間間隔毎に前記電圧を測定し、その測定電圧および測定時刻を後述する測定データ記憶部713に送信して記憶させるようになっている。また、アース棒Eは、測定端子51との電気的な干渉を防止するため、電気柵Fおよび電気柵用電圧測定装置2より2m以上離れた場所に設置されることが望ましい。
【0020】
なお、電圧測定部5は、測定時刻や測定間隔を予め記憶させておき、測定指令部722からの指令によらずとも測定および送信が行える構成を採用してもよい。また、本第一実施形態では、1台の電気柵用電圧測定装置2に対して、1つの電圧測定部5を備えているが、複数台の電圧測定部5を備えて複数点の電圧を測定できるように構成してもよい。
【0021】
無線通信部6は、無線LANを用いた通信インターフェースであり、後述する送信制御部7からの測定電圧および測定時刻の送信の指令を受けることにより、指令を受けた測定電圧および測定時刻を所定のアドレスへ送信するようになっている。本第一実施形態における無線通信部6は、
図2に示すように、無線LANによる通信を行うための無線LANコンバータ61を有している。この無線LANコンバータ61は、無線LAN回線によりモバイルWiFiルータ8と通信接続されるものであり、IEEE 802.11規格に基づく無線通信可能なものである。
【0022】
なお、無線LANの通信規格は、IEEE 802.11規格に限定されるものではなく、通信速度や接続精度、通信費用等を考慮して、適宜選択してもよい。
【0023】
送信制御部7は、
図2に示すように、主として、電気柵用電圧測定プログラム2a等を記憶する記憶手段71と、前記電気柵用電圧測定プログラム2aに基づき演算処理をおこなう演算処理手段72とを有している。
【0024】
記憶手段71は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段72が演算を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。
【0025】
本第一実施形態における記憶手段71は、
図2に示すように、主として、演算処理を行うためのプログラムを記憶するプログラム記憶部711と、電圧測定部5の測定開始データ、測定間隔データおよび正常な電圧値として設定される設定電圧等を記憶する各種設定記憶部712と、電圧測定部5により測定された測定電圧および測定時刻を記憶する測定データ記憶部
713とを有している。
【0026】
プログラム記憶部711には、本第一実施形態における電気柵用電圧測定プログラム2aが記憶されている。そして、演算処理手段72が、電気柵用電圧測定プログラム2aを読み出して実行することにより、本第一実施形態の電気柵用電圧測定装置2を後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0027】
なお、電気柵用電圧測定プログラム2aの利用形態は、上記構成に限られるものではなく、CD−ROM等の記録媒体に記憶させておき、この記録媒体からコンピュータ等によって直接起動して実行し得るようにしてもよい。
【0028】
各種設定記憶部712には、測定電圧が異常であるか否かを判別する際の基準値となる設定電圧が記憶されているとともに、電気柵用電圧測定装置2を動作させるための各種設定データが記憶されている。本第一実施形態では、測定された電線Wの電圧を定期的に電圧監視端末4へ送信するための測定開始時刻である測定開始データと、測定電圧および測定時刻を定期的に送信する間隔である定期送信間隔データとが記憶されている。
【0029】
本第一実施形態における各種設定記憶部712に記憶されている、測定開始データ、定期送信間隔データおよび設定電圧は、測定データ用サーバ3に記憶されており、演算処理手段72の各種設定取得部721が、前記測定データ用サーバ3にアクセスして、前記測定開始データ、前記定期送信間隔データおよび前記設定電圧を取得し、前記各種設定記憶部712に記憶するようになっている。
【0030】
なお、測定開始データ、定期送信間隔データおよび設定電圧は、予め、各種設定記憶部
712に記憶させておいてもよく、電気柵用電圧測定装置2に入力手段や表示手段を設けて直接入力や確認等ができるように構成してもよい。
【0031】
測定データ記憶部713は、電圧測定部5に測定された測定電圧および測定時刻を記憶するものである。本第一実施形態では、上述のとおり、電圧測定部5から所定の時間間隔毎に送られてくる測定電圧および測定時刻を取得し、設定電圧との比較のために一時的に記憶させるようになっている。
【0032】
なお、測定データ記憶部
713に記憶させた測定電圧や測定時刻は、上述のように、一時的に記憶させるものに限定されるものではなく、データを蓄積できるようにしてもよい。
【0033】
演算処理手段72は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、記憶手段71に記憶された電気柵用電圧測定プログラム2aを実行することにより、
図2に示すように、各種設定取得部721、測定指令部722、異常判別部723、復帰判別部724および定期送信部725として電気柵電圧測定装置2を機能させるようになっている。
【0034】
各種設定取得部721は、無線通信部6を介して専用の測定データ用サーバ3にアクセスするとともに、前記測定データ用サーバ3に記憶された前記測定開始データ、前記定期送信間隔データおよび前記設定電圧を取得し、前記各種設定記憶部712に記憶させるものである。
本第一実施形態における各種設定取得部721は、電源が投入されて無線通信部6と前記測定データ用サーバ3とのアクセスが初めて確立したときや予め設定された時間間隔毎に機能するようになっている。
【0035】
測定指令部722は、各種設定記憶部712に記憶された測定開始データを取得し、電圧測定部5に対して電圧測定を実行する指令を出すものである。
本第一実施形態では、電気牧柵器Pにより電線Wに電流を流す間隔毎に電圧を測定するようになっている。
【0036】
異常判別部723は、電圧測定部5または測定データ記憶部
713から送られた測定電圧を取得し、各種設定記憶部
712に記憶された設定電圧とを比較して、測定電圧が設定電圧以下か否かを判別するとともに、設定電圧以下であると判別した場合には、その測定電圧および測定時刻を送信する指令を無線通信部6へ出力するようになっている。
【0037】
復帰判別部724は、異常判別部723により測定電圧が設定電圧以下であると判別された後に、測定電圧と設定電圧とを比較して、測定電圧が設定電圧以上であるか否かを判別するとともに、設定電圧以上である場合には、その測定電圧および測定時刻を送信する指令を無線通信部6へ出力するものである。
【0038】
定期送信部725は、各種設定記憶部712に記憶された定期通信間隔データを取得し、電圧測定部5または測定データ記憶部713に記憶された測定電圧および測定時刻を定期的に送信する指令を無線通信部6へ出力するものである。
【0039】
モバイルWiFiルータ8は、無線LAN回線を用いて所定の数の無線LAN機器と無線通信を可能とするものであり、かつ携帯電話網を用いてインターネット回線に通信を可能とするものである。つまり、モバイルWiFiルータ8は、前記無線LAN機器とインターネット回線に接続された機器と
の通信を可能とするものである。このモバイルWiFiルータ8は、各携帯通信事業者等により販売された市販のものを用いることができる。
【0040】
本第一実施形態におけるモバイルWiFiルータ8は、
図2に示すように、無線通信部6と無線LAN回線を用いて通信接続されるとともに、インターネット回線に接続された測定データ用サーバ3と通信接続されている。
【0041】
なお、モバイルWiFiルータ8に用いられる携帯電話網は、特に限定されるものではなく、3G回線、4G回線、LTE回線、WiMAX回線等のデータ通信可能なものから適宜選択されるものである。
【0042】
次に、測定データ用サーバ3について説明する。測定データ用サーバ3はインターネット回線に接続されており、電気柵用電圧測定装置2から送信される測定電圧および測定時刻のデータを蓄積し、電圧監視端末4から所定のアドレスにアクセスすることにより電圧を監視できるように構成されている。また、
本第一実施形態における測定データ用サーバ3は、電圧監視端末4により入力された測定開始データおよび/または定期送信間隔データを受信して記憶するようになっている。
【0043】
なお、
本第一実施形態では、コストのメリットや実用的なシステム構築に鑑みて電気柵用電圧測定装置2から送信される測定電圧および測定時刻を測定データ用サーバ3に蓄積させ、電圧監視端末4を前記測定データ用サーバ3にアクセスさせることにより、電気柵
Fの電圧状況を監視させているが、このようなシステムに限定されるものではなく、例えば、測定電圧や測定時刻のデータを直接的に電圧監視端末4に送信するようにしてもよい。
【0044】
次に、電圧監視端末4について説明する。電圧監視端末4は、
図1に示すように、インターネット回線に接続されており、インターネット回線を介して様々なデータの送受信ができるようになっている。
【0045】
本第一実施形態における電圧監視端末4は、パーソナルコンピュータからなり、主として、測定開始データ、定期送信間隔データおよび設定電圧等を入力する入力手段41と、受信した測定電圧や測定時刻等を表示する表示手段42とを有している。
【0046】
入力手段41は、テキストや数値を入力する操作キーやタッチパネル等から構成されている。本第一実施形態においては、測定開始データ、定期送信間隔データ、設定電圧等の設定値の入力操作等に用いることができる。
【0047】
表示手段42は、画像やテキストデータを表示する液晶ディスプレー等から構成されている。本第一実施形態では、測定データ用サーバ3から受信した測定電圧や測定時刻、および測定開始データ等の各種設定値等を表示し、測定箇所における電気柵Fの異常の有無を監視できるようになっている。
【0048】
なお、電圧監視端末4はパーソナルコンピュータに限定されるものではなく、インターネット回線に通信接続可能な通信機器、例えば、タブレット端末や携帯端末であってもよい。
【0049】
次に、本第一実施形態の電気柵用電圧測定装置2およびこれを用いた電気柵用電圧監視システム1aにおける各構成の作用について説明する。
【0050】
まず、本第一実施形態では、電圧監視端末4の入力手段41により、測定開始データ、定期送信間隔データおよび設定電圧が入力される。電圧監視端末4は、
図3に示すように、入力された前記測定開始データ、前記定期送信間隔データおよび前記設定電圧を、インターネット回線を介して測定データ用サーバ3に送信する。
【0051】
次に、各々の電気柵用電圧測定装置2の各種設定取得部721が、測定データ用サーバ3にアクセスして、測定開始データ、定期送信間隔データおよび前記設定電圧を取得し、各種設定記憶部712に記憶させる。本第一実施形態では、各々の電気柵用電圧測定装置2の電源が投入され、前記電気柵用電圧測定装置2と前記測定データ用サーバ3とが通信接続されたときに各種データの取得が行われる(S1)。
【0052】
各々の電気柵用電圧測定装置2の測定指令部722は、測定開始データに基づき電圧測定部5に電気柵Fの電線Wの電圧を測定させる(S2)。電圧測定部5は、電気柵Fの電線Wに接続された測定端子51と、アース棒Eに接続されたアース端子52との間に生じる電圧を測定する。本第一実施形態では、
図3に示すように、所定の時間間隔毎の測定電圧および測定時刻を測定データ記憶部713に送信して一時的に記憶させる。
【0053】
次に、送信制御部7では、測定電圧の値に応じて演算処理が行われる。
図3に示すように、本第一実施形態では、異常判別部723が各種設定記憶部712に記憶されている設定電圧と、測定データ記憶部713に記憶された測定電圧とを取得して比較する(S3)。この比較結果により、前記測定電圧が前記設定電圧以下であると判別された場合(S3:YES)は、
図4に示すように、無線通信部6に対してその測定電圧を測定時刻とともに送信するように指令する。
【0054】
一方、測定電圧が設定電圧以上であると判別された場合(S3:NO)は、
図4に示すように、電圧測定部5による電圧の測定および異常判別部723による測定電圧と設定電圧の比較が繰り返される(S2〜S3)。
【0055】
無線通信部6では、
図3に示すように、送信制御部7から測定電圧および測定時刻を送信するように指令を受けると、無線LANから測定電圧および測定時刻をインターネット回線に接続された測定データ用サーバ3に送信する。
【0056】
本第一実施形態では、
図2に示すように、モバイルWiFiルータ8が、無線通信部6と無線LAN回線により通信接続されているとともに、
図1に示すように、携帯電話網を介してインターネット回線に接続されている。よって、無線通信部6から送信された測定電圧および測定時刻は、
図1に示すように、無線LAN回線、携帯電話網およびインターネット回線を介して測定データ用サーバ3へと送信される。
【0057】
このように、各々の電気柵用電圧測定装置2は、電気柵Fの電線Wの電圧が設定された電圧以下になった場合に異常と判別し、その測定電圧および測定時刻を順次測定データ用サーバ3へと送信するようになっている。
【0058】
次に、
図4に示すように、異常判別部723において測定電圧が設定電圧以下であると判別された電気柵用電圧測定装置2では、測定電圧が設定電圧以上に復帰したか否かを判別する(S5〜S6)。具体的には、
図3に示すように、電圧測定部5が電圧を測定する(S5)とともに、復帰判別部724が各種設定記憶部712に記憶されている測定電圧および測定時刻と設定電圧とを取得し、前記測定電圧と前記設定電圧との大小を比較する(S6)。比較結果により、前記測定電圧が前記設定電圧以上であると判別された場合(S6:YES)は、無線通信部6に対してその測定電圧および測定時刻を送信するように指令する。そして、再び、異常判別部723により測定電圧の監視を行う。
【0059】
復帰判別部724により指令を受けた無線通信部6では、その測定電圧および測定時刻をインターネット回線に接続された測定データ用サーバ3に送信する(S7)。
【0060】
一方、測定電圧が設定電圧以下であると判別された場合(S6:NO)は、
図4に示すように、電圧測定部5による電圧の測定および測定電圧と設定電圧との大小を比較が行われ、前記測定電圧が前記設定電圧以上になるまで、測定電圧と設定電圧との大小の比較を続ける(S5〜S6)。
【0061】
このように、各々の電気柵用電圧測定装置2は、一度、所定の電圧以下となり、その後、その箇所の電圧が設定された電圧以上になった場合に、その箇所における電圧が正常値に復帰したと判別し、その測定電圧および測定時刻を順次測定データ用サーバ3へと送信するようになっている。
【0062】
また、定期送信部725では、電圧の異常であるか否か等にかかわらず、定期的に測定電圧および測定時刻を測定データ用サーバ3に送信する。本第一実施形態では、
図3に示すように、各種設定記憶部712に記憶された定期通信間隔データに基づいて、定期送信部725が所定の時間間隔毎に測定データ記憶部713に一時的に記憶された測定電圧および測定時刻を読み出して、無線通信部6に送信するように指令する。
【0063】
無線通信部6では、その測定電圧および測定時刻をインターネット回線に接続された測定データ用サーバ3に送信する。
【0064】
このように、本第一実施形態では、電気柵Fにおける電圧の異常の有無にかかわらず、測定電圧および測定時刻を定期的に測定データ用サーバ3に送信する。
【0065】
電圧監視端末4では、測定データ用サーバ3に設けられた所定のアドレスにアクセスすることで、電気柵用電圧測定装置2から送信された測定電圧および測定時刻を取得し、表示手段42に表示することによりユーザーが測定電圧を監視できるようになっている。
【0066】
本第一実施形態では、
図5に示すように、各々の電気柵用電圧測定装置2に番号が付されており、各々の電気柵用電圧測定装置2において、異常判別部723が測定電圧を異常と判別した場合のその測定電圧および測定時刻、復帰判別部724が測定電圧を正常に復帰したと判別した場合のその測定電圧および測定時刻、および定期送信部725が定期的に送信した測定電圧および測定時刻が表示されるようになっている。
【0067】
また、ユーザーは、この表示手段
42に表示された、測定電圧および測定時刻に基づいて動物の侵入・侵出や電気柵
Fの異常等を監視することができる。
【0068】
例えば、
図5に示すように、ナンバー1の電気柵用電圧測定装置2では、定期的に受信した測定電圧および測定時刻のみが表示されている。よって、この電気柵用電圧測定装置2が測定している測定箇所では異常は検出されたなったことがわかる。
【0069】
次に、ナンバー2の電気柵用電圧測定装置2では、定期的に受信した測定電圧および測定時刻とともに、測定電圧が設定電圧以下になった測定電圧および測定時刻が表示されている。また、その後、測定電圧が設定電圧異常に復帰した測定電圧および測定時刻が表示されている。よって、この電気柵用電圧測定装置2が測定している測定箇所では、一度、測定電圧が設定電圧以下に低下したが、その後設定電圧以上に復帰したことがわかる。また、測定時刻を見ると、異常後にすぐ復帰している。よって、この場合は、動物等が電線
Wに触れ、電圧が一時的に低下したものであると判断することができる。
【0070】
よって、この電気柵用電圧測定装置
2の近傍に野生動物が通る可能性があり、他の侵入防止策等を取ることができる。
【0071】
次に、ナンバー3の電気柵用電圧測定装置2では、定期的に受信した測定電圧および測定時刻と、測定電圧が設定電圧以下になった測定電圧および測定時刻が表示されている。この場合は、草木等の静止物体が電線
Wに触れてショートしている状態や断線した状態であると考えられる。よって、この測定箇所の現場のみをチェックすることで、電線
Wの異常原因を把握することができ、状況に応じて草刈りや倒木の除去や電線
Wの補修等の保守作業を直ちに行うことができる。
【0072】
次に、ナンバー4の電気柵用電圧測定装置2では、定期的に受信した測定電圧および測定時刻が、ある時刻以降に表示されていない状態である。この場合は、電気柵用電圧測定装置2から測定電圧および測定時刻が送信されていない状態であり、電気柵用電圧測定装置2が故障等のトラブルを起こしたと判断することができる。よって、電気柵用電圧測定装置2の故障を把握することが可能になりシステム全体のメンテナンスが容易になる。
【0073】
なお、異常判断や故障の判断等は、演算処理により自動で判断できるようにしてもよく、それを表示手段
42に表示する等してユーザーが監視できるようにしてもよい。
【0074】
以上のような本第一実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
1.野生動物や家畜が通る可能性が高い位置を特定することができ、それに応じた侵入防止策を改善・強化することができる。
2.監視対象エリアAが広範囲であったとしてもモバイルWiFiルータ8を用いることにより場所を選ばず通信接続することができ、コストや設置費用の手間を省力化できる。
3.モバイルWiFiルータ8を自由に選択することができるため、システム全体を簡単かつ安価に構築することができる。
4.電気柵Fおよび電気柵用電圧測定装置2の故障およびトラブルが生じている箇所が瞬時にわかるため保守監視が容易になる。
【0075】
次に、本発明に係る電気柵用電圧測定装置およびこれを用いた電気柵用電圧監視システムの第二実施形態について説明する。なお、本第二実施形態のうち、前述した第一実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0076】
本第二実施形態の電気柵用電圧監視システム1bは、
図6に示すように、第一実施形態と同様、複数台の前記電気柵用電圧測定装置2と、測定データ用サーバ3と、電圧監視端末4とを有している。
【0077】
一方、複数台の電気柵用電圧測定装置2は、モバイルWiFiルータ8と通信接続可能な台数毎にグループ化されている。本第二実施形態では、
図6に示すように、第一グループから第三グループまでの3グループに分けられた例を示す。
【0078】
また、本第二実施形態の電気柵用電圧測定装置2は、モバイルWiFiルータ8を備えているものと、備えていないものとがある。具体的には、各グループに1台ずつモバイルWiFiルータ8を備えた電気柵用電圧測定装置2があり、そのモバイルWiFiルータ8は、同一グループ内の各々の電気柵用電圧測定装置2とも通信接続されるようになっている。これは、モバイルWiFiルータ8が複数の無線LAN機器と同時接続可能とする機能を用いたものである。
【0079】
なお、無線通信部6とモバイルWiFiルータ8とが距離等の影響により通信接続がしづらい場合や通信接続受信できない場合は、無線通信部6とモバイルWiFiルータ8との間に、無線LAN機器同士を通信可能に接続する、いわゆる中継器を設けるようにしてもよい。これにより、より広範囲に及ぶエリアを監視対象にすることが可能となる。
【0080】
以上のように、本第二実施形態における電気柵用電圧測定装置2およびこれを用いた電気柵用電圧監視システム1bでは、電気柵用電圧監視システム1b全体におけるモバイルWiFiルータ8の台数を減らすことが可能となり、モバイルWiFiルータ8のレンタル費用や買い取り費用、および契約費用等を削減することができ、よりシステムの導入がし易くなって実用的である。
【0081】
なお、本発明に係る電気柵用電圧測定装置およびこれを用いた電気柵用電圧監視システムは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0082】
例えば、測定データ用サーバ3は、一般的なWebサーバの一領域を使用することにより構成してもよく、専用サーバにより構成してもよい。