(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲート電極は、前記開口部の中心部から前記ゲート電極の前記ドレイン電極側の端部までの距離が、前記開口部の中心から前記ゲート電極の前記ソース電極側の端部までの距離より大きい請求項1または2記載の半導体装置。
前記第2ゲート電極部は、前記開口部の中心部から前記第2ゲート電極部の前記ドレイン電極側の端部までの距離が、前記開口部の中心から前記第2ゲート電極部の前記ソース電極側の端部までの距離より大きい請求項10記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。
【0019】
また、断面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0021】
[構造説明]
図1は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図1に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(FET;Field Effect Transistor)である。また、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)とも呼ばれる。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置は、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。即ち、基板SUBの主面(上面)上に、バッファ層BUFとチャネル層CHと電子供給層ESとが、下から順に形成(積層)されている。電子供給層ES上には、ソース電極SEおよびドレイン電極DEが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。キャップ層CAP上には、開口部OA1を有する絶縁膜IFが形成され、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとは開口部OA1を介して接するように形成されている。
【0023】
ここで、本実施の形態においては、ゲート電極GEは、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0024】
このように、ゲート電極GEをドレイン電極DE側に張り出させることにより、電界が、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面近傍とゲート電極GEの張り出し部の先端との2箇所に分散するため、電界が緩和される。例えば、電界のピーク値が特許文献1の
図1の場合と比較し低減されることとなる(後述の
図25、
図26も参照)。
【0025】
また、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離である張り出し距離をL
Fとし、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からドレイン電極DEまでの距離をLgdとした場合、0.05μm≦L
F≦Lgd/2を満たすようにゲート電極GEを形成することが好ましい。
【0026】
この範囲よりもL
Fが小さすぎると、電界を2箇所に分散させる効果が弱まるため、電流コラプス抑制、ゲートリーク低減、耐圧向上の効果が低減する。また、この範囲よりもL
Fが大きすぎると、ゲート電極GEとドレイン電極DEが接近することによってゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部近傍の電界強度が高くなり、耐圧向上の効果が低減する。よって、上記範囲にゲート電極GEを形成することで、電流コラプス抑制、ゲートリーク低減および耐圧向上の効果を顕著に奏することができる。
【0027】
また、本実施の形態においては、キャップ層CAPの側面(側壁)がテーパー形状となっている。即ち、
図1に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θが90度未満となっている(θ<90°)。このように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界が緩和される。例えば、側面を垂直(θ=90°)とした場合の電界のピーク値より、その値を低減することができる。これにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を図ることができる。
【0028】
特に、本実施の形態の構成では、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面が傾斜しているため、この側面の部分においては、キャップ層CAPの厚さが連続的に変化している。キャップ層CAPの厚さが厚いほど2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEG内のキャリア密度が少なくなる。よって、オフ状態において、ドレイン電極DE側に高い電圧が印加される場合に、空乏層が横方向に広がりやすくなる。
【0029】
その結果、本実施の形態の2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGにおいては、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の下端部から上端部に向けて横方向に空乏層が広がることになる。これは、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の下端部の近傍の電界分布が、側面の上端部に向けて横方向に広がることを意味する。このように、電界分布が広がることにより、電界のピーク値が低減される。以上、詳細に説明したように、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を高めることができる。
【0030】
また、電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θについては、15°≦θ<90°の範囲とすることが好ましい。この範囲よりもθが小さすぎると、電界効果トランジスタのオン抵抗が大きくなりすぎるという懸念が生じる。即ち、前述したように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、この部分の2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは、キャップ層CAPが形成されていない部分と比べてキャリア密度が小さく、抵抗が高い状態となっている。なす角θが小さくなればなるほど、この抵抗の高い部分が横方向に長く広がることになり、オン抵抗の増加が懸念される。一方、θ=90°では、キャップ層CAPの側面が傾斜を持つことによる前述の効果を得ることはできない。このように、なす角θを、15°≦θ<90°の範囲とすることで、オン抵抗の増加を抑制しつつ、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を高めることができる。
【0031】
本実施の形態のように、ゲート電極GEのドレイン電極DE側への張り出し構成およびキャップ層CAPの側面のテーパー構造を有する半導体装置を用いて検討した。その結果、耐圧750Vの電界効果トランジスタにおいて、ドレイン電圧600Vでのリーク電流9nA/mm、電流コラプスによる最大ドレイン電流の低下量7%を得ることができた。なお、θ=90°とした場合は、ドレイン電圧600Vでのリーク電流15nA/mm、電流コラプスによる最大ドレイン電流の低下量9%であった。
【0032】
以下に、本実施の形態の半導体装置の構成についてさらに具体的に説明する。
【0033】
基板SUBは、例えば、シリコン(Si)からなる半導体基板(単結晶シリコン基板)である。他の形態として、サファイア基板、あるいは炭化シリコン(SiC)基板などを、基板SUBとして用いることもできる。また、この他、GaN基板、AlN基板またはダイヤモンド基板などを用いることもできる。また、これらの材料を基体上に貼り合せた基板を用いることもできる。
【0034】
バッファ層BUFは、基板SUBとチャネル層CHとの格子定数差を緩和するために形成される。例えば、基板SUBを構成するシリコン(Si)とチャネル層CHを構成する窒化ガリウム(GaN)との格子定数差を、バッファ層BUFにより緩和することができる。即ち、シリコン(Si)からなる基板SUB上に直接、窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層CHを形成した場合には、チャネル層CHに多くのクラックが発生し、良好なエピタキシャル成長層が得られず、高電子移動度トランジスタの作製が困難となる。このため、基板SUBとチャネル層CHとの間に、格子緩和を目的としたバッファ層BUFを挿入する。バッファ層BUFを形成したことにより、バッファ層BUF上に形成されるチャネル層CHに良好なエピタキシャル成長層が得られ、高電子移動度トランジスタの特性を向上させることができる。
【0035】
バッファ層BUFは、窒化ガリウム(GaN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、または窒化アルミニウム(AlN)層、あるいはこれらの積層膜とすることができる。
【0036】
チャネル層CHは、窒化物半導体からなり、好ましくは、窒化ガリウム(GaN、ガリウムナイトライド)からなる窒化ガリウム層である。他の形態として、チャネル層CHを、窒化インジウムガリウム(InGaN、インジウムガリウムナイトライド)層とすることもできる。
【0037】
また、本実施の形態では、基板SUB上にバッファ層BUFを介してチャネル層CHを形成している。他の形態として、基板SUBに、窒化ガリウム(GaN、ガリウムナイトライド)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN、アルミニウムガリウムナイトライド)などからなる窒化物半導体基板を用いることもでき、その場合、バッファ層BUFを薄く、あるいは無くして、チャネル層CHを形成することも可能である。これは、基板SUBとして、窒化ガリウム(GaN、ガリウムナイトライド)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN、アルミニウムガリウムナイトライド)などからなる窒化物半導体基板を用いた場合には、窒化物半導体基板上に、窒化ガリウムなどからなるバッファ層BUF、あるいはチャネル層CHを、格子整合して形成できるためである。
【0038】
電子供給層ESは、チャネル層CH用の窒化物半導体とは異なる窒化物半導体からなり、アルミニウム(Al)を含有する窒化物半導体により形成されている。電子供給層ESは、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN、アルミニウムガリウムナイトライド)からなる窒化アルミニウムガリウム層である。この他、InAlN、AlInGaNなどを用いることができる。
【0039】
半導体層であるチャネル層CH上に、チャネル層CHとは異なる組成の半導体層(チャネル層CHのバンドギャップとは異なるバンドギャップを有する半導体層)である電子供給層ESが直接的に形成されている。即ち、チャネル層CHと電子供給層ESとが接している。このため、チャネル層CHと電子供給層ESとの間には、ヘテロ接合が形成されている。電子供給層ESは、電子供給層であり、キャリア発生領域として機能する。
【0040】
ソース電極SEとドレイン電極DEとキャップ層CAPとは、それぞれ、電子供給層ESの上面(表面)上に形成されているが、互いに離間している。ソース電極SEとドレイン電極DEとは、いずれも導電体からなり、例えば金属膜(金属の単体膜または積層膜)により形成されている。ソース電極SEとドレイン電極DEとは、電子供給層ESとオーミック接続されている。
【0041】
キャップ層CAPは、例えば、p型の半導体膜(例えば、GaN)より形成されている。GaNの他、InGaN、AlGaN、InAlN、AlInGaNなどを用いることができる。特に、電子供給層ESを構成する材料よりもバンドギャップが小さい材料および組成比を選択することが好ましい。また、より好ましくは、チャネル層CHを構成する材料とバンドギャップが同じ、又はより小さい材料および組成比を選択する。このような組み合わせにより、ノーマリオフ動作の特性を向上させることができる。
【0042】
前述したように、このキャップ層CAPの側面はテーパー形状である。即ち、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θは90度未満である(θ<90°)。
【0043】
キャップ層CAPの側面を覆うように絶縁膜IFが形成されている。この絶縁膜IFには、キャップ層CAPの上面を露出する開口部OA1が形成されている。キャップ層CAPの上面上には、開口部OA1を介してゲート電極GEが配置されている。ゲート電極GEは、例えば金属膜(金属の単体膜または積層膜)により形成されている。また、このゲート電極GEは、絶縁膜IFの開口部OA1上から絶縁膜IF上に延在するように形成されている。前述したように、ゲート電極GEは、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0044】
絶縁膜IFとして、例えば、窒化シリコン(SiN)膜を用いることができる。この他、酸化シリコン膜(SiO
2)、SiON膜、AlN膜、ダイヤモンド膜、ポリイミド膜などを用いてもよい。また、これらの材料を積層した積層体を用いてもよい。また、絶縁膜IFの膜厚としては、例えば、20nm以上500nm以下の範囲で調整することが好ましい。この範囲より膜厚が小さすぎると、絶縁膜IFの絶縁耐圧の低下が懸念され、この範囲より膜厚が大きすぎると、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界緩和効果が低減してしまう。
【0045】
また、上記ソース電極SEとドレイン電極DEとゲート電極GE(キャップ層CAP)とは、
図1の紙面に略垂直な方向に延在している。ソース電極SEおよびドレイン電極DEとしては、チタン(Ti)膜とアルミニウム(Al)膜の積層膜を用いることができる。この他、III族窒化物半導体に対して低抵抗コンタクトの材料を選択して用いることができる。また、ゲート電極GEには、ニッケル(Ni)膜と金(Au)膜との積層膜を用いることができる。この他、III族窒化物半導体に対して良好なショットキー接触が形成可能な材料を選択して用いることができる。
【0046】
上記のように、本実施の形態の半導体装置(高電子移動度トランジスタ)が構成されている。
【0047】
このような高電子移動度トランジスタにおいては、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。即ち、チャネル層CH(を構成する窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN))のバンドギャップと、電子供給層ES(を構成する窒化アルミニウムガリウム(AlGaN))のバンドギャップとは、相違している。このため、バンドギャップの相違に基づく伝導帯オフセットと、電子供給層ESに存在するピエゾ分極と自発分極の影響により、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、フェルミ準位よりも低いポテンシャル井戸が生成される。この結果、このポテンシャル井戸内に電子が蓄積されることになり、それによってチャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成されるのである。
【0048】
但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。よって、本実施の形態の半導体装置(高電子移動度トランジスタ)においては、ゲート電極GEに閾値電圧以上の正の電圧が印加されていない状態においてオフ状態を維持でき、ゲート電極GEに閾値電圧以上の正の電圧を印加した状態においてオン状態を維持できる。
【0049】
[製法説明]
次いで、
図2〜
図8を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図2〜
図8は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0050】
図2に示すように、基板SUBとして例えば炭化シリコン(SiC)からなる基板を準備する。他の形態として、サファイア基板、あるいは単結晶シリコン基板などを用いることもできる。また、基板SUBとして、窒化ガリウム(GaN)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)などからなる窒化物半導体基板を用いることも可能であり、この場合、基板SUBと、後で形成するチャネル層CHとが格子整合できるため、バッファ層BUFを薄く、または、無くすこともできる。
【0051】
次いで、基板SUB上に、バッファ層BUFを形成する。例えば、炭化シリコン(SiC)からなる基板SUB上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)法を用いて、窒化アルミニウム(AlN)のエピタキシャル層からなるバッファ層BUFを形成する。バッファ層BUFは、例えば、基板SUBと、バッファ層BUF上に形成されるチャネル層CHとの格子定数差を緩和する目的で形成される。
【0052】
次いで、バッファ層BUF上に、チャネル層CHを形成する。例えば、窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層BUF上に、MOCVD法を用いて、窒化ガリウム(GaN)のエピタキシャル層からなるチャネル層CHを形成する。
【0053】
次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成する。例えば、窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層CH上に、MOCVD法を用いて、AlGaNのエピタキシャル層からなる電子供給層ESを形成する。
【0054】
次いで、電子供給層ES上に、キャップ層CAPとなる半導体膜SFを形成する。例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜SFを形成する。p型不純物としては、例えば、マグネシウム(Mg)を使用することができる。また、不純物濃度は、例えば、5×10
18cm
−3程度である。
【0055】
なお、上記各エピタキシャル層は、Ga面モードでのエピタキシャル層である。
【0056】
次いで、
図3に示すように、半導体膜SFをパターニングすることによりキャップ層CAPを形成する。例えば、半導体膜SF上に、フォトレジスト膜(図示せず)を形成し、露光・現像することにより、キャップ層CAPの形成領域のみに、フォトレジスト膜を残存させる。次いで、このフォトレジスト膜をマスクとして、半導体膜SFをエッチングすることによりキャップ層CAPを形成する。例えば、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングを用いて半導体膜SFをエッチングする。この後、キャップ層CAP上に残存するフォトレジスト膜をアッシングなどにより除去する。このフォトレジスト膜の形成から除去までの工程を“パターニング”という。
【0057】
この際、上記エッチング条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とする。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θを90度未満とする(θ<90°)。エッチング条件としては、例えば、マスクとなるフォトレジスト膜をエッチングにより縮小化させ、フォトレジスト膜の端部を徐々に後退させる。これにより、フォトレジスト膜の端部においてエッチング量を大きくし、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。また、異方性のエッチング種に、等方性のエッチング種を混在させることにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。この他、ガス種や圧力など条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。
【0058】
次いで、熱処理を施すことにより、キャップ層CAP中のp型ドーパントから水素原子を脱離させ、キャップ層CAPを活性化させる。熱処理としては、窒素雰囲気中750℃で、10分程度の熱処理を施す。
【0059】
この熱処理により、キャップ層CAPがエッチング除去された領域では、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面に生じる分極電荷の作用により2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成される。一方、キャップ層CAPが形成された領域では、アクセプタのイオン化に起因してキャップ層CAP中に負電荷が生成される。このため、キャップ層CAPが形成された領域においては、熱平衡状態ではチャネル層CHと電子供給層ESとの界面に2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。よって、本実施の形態の半導体装置(高電子移動度トランジスタ)においては、ゲート電極GEに閾値電圧以上の正の電圧が印加されていない状態においてオフ状態を維持でき、ゲート電極GEに閾値電圧以上の正の電圧を印加した状態においてオン状態を維持できる。このように、“閾値電圧が正のノーマリオフ動作”が可能となる。
【0060】
次いで、キャップ層CAPの両側に離間して、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを形成する。このソース電極SEおよびドレイン電極DEは、例えば、リフトオフ法を用いて形成する。
図4に示すように、キャップ層CAP上を含む電子供給層ES上にフォトレジスト膜PR1を形成し、露光・現像することにより、ソース電極SEおよびドレイン電極DEの形成領域上のフォトレジスト膜PR1を除去する。
図4においては、キャップ層CAP上およびその両側の領域に、フォトレジスト膜PR1を残存させている。
【0061】
次いで、フォトレジスト膜PR1上を含む電子供給層ES上に、金属膜MF1を形成する。これにより、ソース電極SEおよびドレイン電極DEの形成領域においては、電子供給層ES上に、直接、金属膜MF1が形成される。一方、その他の領域では、フォトレジスト膜PR1上に金属膜MF1が形成される。
【0062】
金属膜MF1は、例えば、チタン(Ti)膜と、チタン膜上に形成されたアルミニウム(Al)膜との積層膜により構成される(Ti/Al)。金属膜MF1を構成する各膜は、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
【0063】
次いで、フォトレジスト膜PR1を除去する。この際、フォトレジスト膜PR1上に形成されている金属膜MF1もフォトレジスト膜PR1とともに除去され、電子供給層ES上に直接接触するように形成されている金属膜MF1(ソース電極SEおよびドレイン電極DE)だけが残存する(
図5)。
【0064】
次いで、基板SUBに対して、熱処理(アロイ処理)を施す。熱処理としては、例えば、窒素雰囲気中で、600℃、1分程度の熱処理を施す。この熱処理により、ソース電極SEと、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが形成されているチャネル層CHとのオーミック接触を図ることができる。同様に、ドレイン電極DEとチャネル層CHとのオーミック接触を図ることができる。即ち、ソース電極SEおよびドレイン電極DEが、それぞれ2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGに対して電気的に接続された状態となる。
【0065】
次いで、図示はしないが、デバイス間の素子分離を図るため、窒素(N)などのイオン注入法により、素子分離領域を形成する。
【0066】
次いで、
図6に示すように、開口部OA1を有する絶縁膜IFを形成する。例えば、キャップ層CAP、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上を含む電子供給層ES上に絶縁膜IFを形成する。絶縁膜IFとして、例えば、100nm程度の膜厚の窒化シリコン(SiN)膜をプラズマ気相堆積(PECVD: Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成する。次いで、絶縁膜IFをパターニングすることにより、キャップ層CAP上に開口部OA1を形成する。この際、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上の絶縁膜IFを除去してもよい。
【0067】
次いで、キャップ層CAP上から絶縁膜IF上に延在するゲート電極GEを形成する。このゲート電極GEは、例えば、リフトオフ法を用いて形成する。
図7に示すように、キャップ層CAP、絶縁膜IF、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上にフォトレジスト膜PR2を形成し、露光・現像することにより、ゲート電極GEの形成領域上のフォトレジスト膜PR2を除去する。
図7においては、開口部OA1およびその近傍のフォトレジスト膜PR2を除去している。
【0068】
次いで、フォトレジスト膜PR2、キャップ層CAPおよび絶縁膜IF上に、金属膜MF2を形成する。これにより、開口部OA1上から絶縁膜IF上に延在する領域においては、直接、金属膜MF2が形成される。一方、その他の領域では、フォトレジスト膜PR2上に金属膜MF2が形成される。
【0069】
金属膜MF2は、例えば、ニッケル(Ni)膜と、ニッケル膜上に形成された金(Au)膜との積層膜により構成される(Ni/Au)。金属膜MF2を構成する各膜は、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
【0070】
次いで、フォトレジスト膜PR2を除去する。この際、フォトレジスト膜PR2上に形成されている金属膜MF2もフォトレジスト膜PR2とともに除去され、キャップ層CAP上の開口部OA1上から絶縁膜IF上に延在する金属膜MF2(ゲート電極GE)だけが残存する(
図8)。
【0071】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。なお、上記工程においては、ゲート電極GE、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを、リフトオフ法を用いて形成したが、これらの電極を金属膜のパターニングにより形成してもよい。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、p型のキャップ層CAPを単層で構成したが、このp型のキャップ層CAPを積層構造としてもよい。
【0073】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0074】
[構造説明]
図9は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図9に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(高電子移動度トランジスタ)であり、実施の形態1(
図1)に示す半導体装置とp型のキャップ層CAP以外の構成は同様である。
【0075】
図9に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。キャップ層CAP上には、開口部OA1を有する絶縁膜IFが形成され、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとは開口部OA1を介して接するように形成されている。また、キャップ層CAPの側面上においては、絶縁膜IFを介してゲート電極GEが配置されている。また、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。
【0076】
ここで、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、ゲート電極GEは、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0077】
また、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離である張り出し距離をL
Fとし、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からドレイン電極DEまでの距離をLgdとした場合、0.05μm≦L
F≦Lgd/2を満たすようにゲート電極GEを形成することが好ましい。
【0078】
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの側面がテーパー形状となっている。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θが90度未満となっている(θ<90°)。このように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界が緩和される。例えば、側面を垂直(θ=90°)とした場合の電界のピーク値より、その値を低減することができる。これにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を図ることができる。
【0079】
また、電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θについては、15°≦θ<90°の範囲とすることが好ましい。
【0080】
このように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0081】
さらに、本実施の形態においては、キャップ層CAPは、電子供給層ES上に形成された第1層(下層)CAP1および第1層上に形成された第2層(上層)CAP2よりなる。そして、第1層CAP1のp型不純物(アクセプタ)の濃度は、第2層CAP2のp型不純物の濃度より低く設定されている。
【0082】
このように、第1層(下層)CAP1のp型不純物の濃度を相対的に低く設定することにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の下端部の近傍の電界のピーク値が低減される。以下に、詳細に説明する。
【0083】
まず、第1層(下層)CAP1のアクセプタの濃度が低いため、アクセプタに起因する負電荷の密度が小さくなる。これにより、キャップ層CAPの下層(第1層CAP1)に広がる空乏層内の電界強度が小さくなる。
【0084】
ここで、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは電子をキャリアとするためn型半導体層と類似した振る舞いを行う。一方、電子供給層ESはi型(絶縁型)であることから、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEG、電子供給層ESおよびキャップ層CAPの積層部は、pin接合を形成することとなる。
【0085】
よって、pin接合の内のp部を構成するキャップ層CAPの第1層(下層)CAP1の電界強度が小さくなれば、pin接合の内のn部を構成する2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGの部分の電界も小さくなる。
【0086】
その結果、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の下端部の近傍の電界強度が低減されるのである。
【0087】
このように、本実施の形態においては、実施の形態1の電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を、さらに、向上させることができる。
【0088】
[製法説明]
本実施の形態の半導体装置は、実施の形態1(
図1)の半導体装置と同様に製造することができる。
【0089】
即ち、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFを形成し、さらに、その上部に、チャネル層CHを形成する。次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成し、さらに、その上部に、キャップ層CAPとなる半導体膜(SF)を形成する。
【0090】
例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜(SF)を形成する。この際、MOCVD法を用いた成膜の途中で、p型不純物として膜中に導入される原料ガスの流量を増加させることにより、p型不純物濃度が低い第1膜と、p型不純物濃度が第1膜より高い第2膜との積層膜よりなる半導体膜(SF)を形成することができる。
【0091】
この半導体膜(SF)を実施の形態1と同様にパターニングすることにより、第1層CAP1および第1層CAP1上に形成された第2層CAP2よりなり、第1層CAP1のp型不純物の濃度が、第2層CAP2のp型不純物の濃度より低いキャップ層CAPを形成することができる。
【0092】
次いで、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの両側に離間して、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを形成し、さらに、開口部OA1を有する絶縁膜IFを形成した後、キャップ層CAP上から絶縁膜IF上に延在するゲート電極GEを形成する。
【0093】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。
【0094】
ここで、
図9においては、キャップ層CAPの第1層CAP1および第2層CAP2の境界を明示したが、キャップ層CAPの下層部から上層部にかけてアクセプタの濃度が徐々に増加する構成としてもよい。このように、アクセプタ濃度が連続的に変化し、各層の境界が不明確な構成であっても、キャップ層CAPのうち、電子供給層ES側のアクセプタの濃度が、ゲート電極GE側のアクセプタの濃度よりも低くなるように構成されていれば、上記効果を奏することができる。言い換えれば、キャップ層CAPにおいて、下層部におけるp型の不純物濃度が、上層部におけるp型の不純物濃度より低い場合も同様の効果を奏する。
【0095】
本実施の形態のように、ゲート電極GEのドレイン電極DE側への張り出し構成およびキャップ層CAPの側面のテーパー構造に加え、下層部におけるp型の不純物濃度が低いキャップ層CAPを採用した半導体装置を用いて検討した。その結果、耐圧750Vの電界効果トランジスタにおいて、ドレイン電圧600Vでのリーク電流4nA/mm、電流コラプスによる最大ドレイン電流の低下量4%を得ることができた。
【0096】
(実施の形態3)
実施の形態2においては、p型のキャップ層CAPを2層構造としたが、このp型のキャップ層CAPを3層構造としてもよい。
【0097】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0098】
[構造説明]
図10は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図10に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタであり、実施の形態1(
図1)に示す半導体装置とp型のキャップ層CAP以外の構成は同様である。
【0099】
図10に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。キャップ層CAP上には、開口部OA1を有する絶縁膜IFが形成され、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとは開口部OA1を介して接するように形成されている。また、キャップ層CAPの側面上においては、絶縁膜IFを介してゲート電極GEが配置されている。また、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。
【0100】
ここで、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、ゲート電極GEは、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0101】
また、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離である張り出し距離をL
Fとし、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からドレイン電極DEまでの距離をLgdとした場合、0.05μm≦L
F≦Lgd/2を満たすようにゲート電極GEを形成することが好ましい。
【0102】
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの側面がテーパー形状となっている。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θが90度未満となっている(θ<90°)。このように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界が緩和される。例えば、側面を垂直(θ=90°)とした場合の電界のピーク値より、その値を低減することができる。これにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を図ることができる。
【0103】
また、電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θについては、15°≦θ<90°の範囲とすることが好ましい。
【0104】
このように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0105】
さらに、本実施の形態において、キャップ層CAPは、電子供給層ES上に形成された第1層(下層)CAP1、第1層上に形成された第2層(中層、中央層)CAP2および第2層上に形成された第3層(上層)CAP3よりなる。そして、第1層CAP1および第3層(上層)CAP3のp型不純物(アクセプタ)の濃度は、第2層(中層、中央層)CAP2のp型不純物の濃度よりそれぞれ低く設定されている。
【0106】
このように、第1層(下層)CAP1のp型不純物の濃度を、第2層(中層、中央層)CAP2のp型不純物の濃度より低く設定することにより、実施の形態2で説明したように、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の下端部の近傍の電界のピーク値が低減される。
【0107】
さらに、本実施の形態においては、電流コラプスの抑制効果を、実施の形態2の場合と比較し、より高めることができる。
【0108】
即ち、第3層(上層)CAP3のp型不純物(アクセプタ)の濃度を、第2層(中層、中央層)CAP2のp型不純物の濃度より低く設定することにより、ゲート電極GEからキャップ層CAPの表面に存在する表面準位への電子の注入が抑制される。
【0109】
つまり、第3層(上層)CAP3のp型不純物の濃度を、第2層(中層、中央層)CAP2のp型不純物の濃度より低く設定することにより、アクセプタに起因する負電荷の密度が小さくなる。よって、キャップ層CAPに広がる空乏層内の電界強度が小さくなる。このようにゲート電極GEと接しているキャップ層CAPの第3層(上層)CAP3中の電界強度が小さくなることにより、ゲート電極GEからキャップ層CAPの表面準位への電子の注入が抑制される。
【0110】
その結果、電流コラプスの抑制効果を、実施の形態2の場合と比較し、より高めることができる。
【0111】
また、本実施の形態においては、ゲート電極GEのソース電極SE側への張り出し量を実施の形態1(
図1)および実施の形態2(
図9)のそれと比較し、小さくしてある。具体的には、ゲート電極GEは、キャップ層CAP側面のうち、ドレイン電極DE側の側面上には絶縁膜IFを介して延在するように形成されているが、ソース電極SE側の側面上には配置されていない。
【0112】
このように、ゲート電極GEのソース電極SE側への張り出し量を小さくすることで、ゲート電極GEに付随する寄生容量を低減してトランジスタの動作速度を高めることができる。また、ゲート電極GEのソース電極SE側への張り出し量を小さくすることで、ソース電極SEとキャップ層CAPとの距離を小さくすることができる。例えば、ソース電極SEとキャップ層CAPとの距離を、ドレイン電極DEとキャップ層CAPとの距離より小さくすることができる。このように、ソース電極SEとキャップ層CAPとの距離を小さくすることにより、オン抵抗を低減し、動作時の損失を低減することが可能となる。
【0113】
[製法説明]
本実施の形態の半導体装置は、実施の形態1(
図1)の半導体装置と同様に製造することができる。
【0114】
即ち、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFを形成し、さらに、その上部に、チャネル層CHを形成する。次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成し、さらに、その上部に、キャップ層CAPとなる半導体膜(SF)を形成する。
【0115】
例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜(SF)を形成する。この際、MOCVD法を用いた成膜の途中で、p型不純物として膜中に導入される原料ガスの流量を増加させ、さらに、この後、上記原料ガスの流量を低下させる。これにより、p型不純物濃度が低い第1膜と、p型不純物濃度が第1膜より高い第2膜と、p型不純物濃度が第2膜より低い第3膜との積層膜よりなる半導体膜(SF)を形成することができる。
【0116】
この半導体膜(SF)を実施の形態1と同様にパターニングすることにより、第1層CAP1、第1層CAP1上に形成された第2層CAP2および第2層CAP2上に形成された第3層CAP3よりなり、第1層CAP1および第3層CAP3のp型不純物の濃度が、第2層CAP2のp型不純物の濃度より低いキャップ層CAPを形成することができる。
【0117】
次いで、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの両側に離間して、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを形成し、さらに、開口部OA1を有する絶縁膜IFを形成した後、キャップ層CAP上から絶縁膜IF上に延在するゲート電極GEを形成する。
【0118】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。
【0119】
ここで、
図10においては、キャップ層CAPの第1層CAP1と第2層CAP2の境界および第2層CAP2と第3層CAP3の境界を明示したが、キャップ層CAPの下層部から中層部にかけてアクセプタの濃度が徐々に増加し、さらに、キャップ層CAPの中層部から上層部にかけてアクセプタの濃度が徐々に低下する構成としてもよい。このように、アクセプタ濃度が連続的に変化し、各層の境界が不明確な構成であっても、キャップ層CAPのうち、電子供給層ES側のアクセプタの濃度およびゲート電極GE側のアクセプタの濃度が、中層部のアクセプタの濃度よりも低くなるように構成されていれば、上記効果を奏することができる。言い換えれば、キャップ層CAPにおいて、下層部および上層部におけるp型の不純物濃度が、下層部および上層部の間に位置する中層部におけるp型の不純物濃度より低い場合も同様の効果を奏する。
【0120】
本実施の形態のように、ゲート電極GEのドレイン電極DE側への張り出し構成およびキャップ層CAPの側面のテーパー構造に加え、下層部および上層部におけるp型の不純物濃度が低いキャップ層CAPを採用した半導体装置を用いて検討した。その結果、耐圧750Vの電界効果トランジスタにおいて、ドレイン電圧600Vでのリーク電流1nA/mm、電流コラプスによる最大ドレイン電流の低下量2%を得ることができた。
【0121】
(実施の形態4)
実施の形態1においては、キャップ層CAPの上面より開口部OA1を小さく、キャップ層CAPの上面の外周部において絶縁膜IFが残存する構成とした。これに対し、本実施の形態においては、キャップ層CAPの上面の全域と開口部OA1とをほぼ同じ大きさとする。言い換えれば、キャップ層CAPの上面上の絶縁膜IFをすべて除去した構成とする。
【0122】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0123】
[構造説明]
図11は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図11に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(高電子移動度トランジスタ)であり、実施の形態1(
図1)に示す半導体装置と絶縁膜IF以外の構成は同様である。
【0124】
図11に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。キャップ層CAP上には、開口部OA1を有する絶縁膜IFが形成され、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとは開口部OA1を介して接するように形成されている。また、キャップ層CAPの側面上においては、絶縁膜IFを介してゲート電極GEが配置されている。また、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。
【0125】
ここで、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、ゲート電極GEは、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部からゲート電極GEのソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0126】
また、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からゲート電極GEのドレイン電極DE側の端部までの距離である張り出し距離をL
Fとし、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からドレイン電極DEまでの距離をLgdとした場合、0.05μm≦L
F≦Lgd/2を満たすようにゲート電極GEを形成することが好ましい。
【0127】
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの側面がテーパー形状となっている。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θが90度未満となっている(θ<90°)。このように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界が緩和される。例えば、側面を垂直(θ=90°)とした場合の電界のピーク値より、その値を低減することができる。これにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を図ることができる。
【0128】
また、電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θについては、15°≦θ<90°の範囲とすることが好ましい。
【0129】
このように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0130】
さらに、本実施の形態においては、キャップ層CAPの上面の全域と開口部OA1とをほぼ同じ大きさとし、キャップ層CAPの上面の外周部において絶縁膜IFが残存しないように構成する。
【0131】
図12は、実施の形態1の半導体装置のゲート電極GE部の近傍の部分拡大図である。例えば、
図12に示すように、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとの間に絶縁膜IFが存在する場合、その直下の2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGにおいてキャリア密度が低下する恐れがある。よって、キャップ層CAPの上面と絶縁膜IFとの重なり領域A1が大きくなりすぎる(例えば、0.3μm以上となる)と、キャリア密度の低下により、オン抵抗の上昇が懸念される。
【0132】
これに対し、本実施の形態においては、キャップ層CAPの上面の全域と開口部OA1とをほぼ同じ大きさとすることで、オン抵抗の上昇を抑制することができる。
【0133】
このように、本実施の形態においては、実施の形態1の電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果に加え、オン抵抗の低減を図ることができる。
【0134】
[製法説明]
本実施の形態の半導体装置は、実施の形態1(
図1)の半導体装置と同様に製造することができる。
【0135】
即ち、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFを形成し、さらに、その上部に、チャネル層CHを形成する。次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成し、さらに、その上部に、キャップ層CAPとなる半導体膜(SF)を形成する。
【0136】
例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜(SF)を形成する。この半導体膜(SF)を実施の形態1と同様にパターニングすることにより、キャップ層CAPを形成する。
【0137】
次いで、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの両側に離間して、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを形成し、キャップ層CAP、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上を含む電子供給層ES上に絶縁膜IFを形成する。絶縁膜IFとして、例えば、100nm程度の膜厚の窒化シリコン(SiN)膜をプラズマ気相堆積法などを用いて形成する。次いで、絶縁膜IFをパターニングすることにより、キャップ層CAP上に開口部OA1を形成する。この際、キャップ層CAPの上面と開口部OA1の形状が同じとなるようにマスクとなるフォトレジスト膜の形状を調整し、エッチングを行う。また、このエッチングにおいて、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上の絶縁膜IFを除去してもよい。
【0138】
次いで、実施の形態1と同様に、キャップ層CAP上から絶縁膜IF上に延在するゲート電極GEを形成する。
【0139】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。
【0140】
なお、
図11においては、キャップ層CAPの上面と開口部OA1の形状が同じとなる場合を図示しているが、製造プロセスにおいては、マスクずれやエッチング誤差が想定されている。よって、キャップ層CAPの上面と絶縁膜IFとの重なり領域A1が0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下となるように、設計することが好ましい。
【0141】
(実施の形態5)
本実施の形態においては、ゲート電極GEを二部構成とする。
【0142】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0143】
[構造説明]
図13は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図13に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(高電子移動度トランジスタ)である。
【0144】
図13に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。このゲート電極GEは、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2よりなる。第1ゲート電極部GE1は、キャップ層CAP上に形成されている。第1ゲート電極部GE1上およびキャップ層CAPの側面上には、開口部OA1を有する絶縁膜IFが形成され、第1ゲート電極部GE1の上面と第2ゲート電極部GE2とは開口部OA1を介して接するように形成されている。また、キャップ層CAPの側面上においては、絶縁膜IFを介して第2ゲート電極部GE2が配置されている。また、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。
【0145】
ここで、本実施の形態においては、第2ゲート電極部GE2が、実施の形態1と同様に、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部から第2ゲート電極部GE2のドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部から第2ゲート電極部GE2のソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0146】
また、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部から第2ゲート電極部GE2のドレイン電極DE側の端部までの距離である張り出し距離をL
Fとし、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からドレイン電極DEまでの距離をLgdとした場合、0.05μm≦L
F≦Lgd/2を満たすようにゲート電極GEを形成することが好ましい。
【0147】
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの側面がテーパー形状となっている。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θが90度未満となっている(θ<90°)。このように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界が緩和される。例えば、側面を垂直(θ=90°)とした場合の電界のピーク値より、その値を低減することができる。これにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を図ることができる。
【0148】
また、電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θについては、15°≦θ<90°の範囲とすることが好ましい。
【0149】
このように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0150】
さらに、本実施の形態においては、ゲート電極GEを、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2との二部構成とし、キャップ層CAP上を第1ゲート電極部GE1で覆うことにより、キャップ層CAPの上面と第1ゲート電極部GE1との間に絶縁膜IFが存在しない構成となる。その結果、実施の形態4の場合と同様に、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとの間の絶縁膜IFの影響により、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGのキャリア密度が低下することを回避することができる。
【0151】
このように、本実施の形態においては、実施の形態1の電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果に加え、オン抵抗の低減を図ることができる。
【0152】
[製法説明]
次いで、
図14〜
図18を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図14〜
図18は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0153】
実施の形態1と同様に、
図14に示す基板SUB上に、バッファ層BUFを形成し、さらに、その上部に、チャネル層CHを形成する。次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成し、さらに、その上部に、キャップ層CAPとなる半導体膜SFを形成する。
【0154】
例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜SFを形成する。
【0155】
次いで、本実施の形態においては、
図14に示すように、半導体膜SF上に、第1ゲート電極部GE1となる金属膜を形成する。金属膜として、例えば、チタン(Ti)膜と、チタン膜上に形成されたアルミニウム(Al)膜との積層膜を真空蒸着法を用いて形成する。金属膜としては、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケルなどから選択された単層膜もしくはこれらの積層膜を用いることができる。また、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケルなどの金属のシリサイド膜あるいは窒化膜を用いて第1ゲート電極部GE1を構成してもよい。次いで、上記金属膜をパターニングすることにより、第1ゲート電極部GE1を形成する。
【0156】
次いで、
図15に示すように、第1ゲート電極部GE1をマスクとして半導体膜SFをパターニングすることによりキャップ層CAPを形成する。例えば、誘導結合プラズマドライエッチングを用いて半導体膜SFをエッチングする。この際、エッチング条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とする。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θを90度未満とする(θ<90°)。エッチング条件としては、例えば、マスクとなる第1ゲート電極部GE1をエッチングにより縮小化させ、第1ゲート電極部GE1の端部を徐々に後退させる。これにより、第1ゲート電極部GE1の端部において下層のキャップ層CAPのエッチング量を大きくし、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。また、異方性のエッチング種に、等方性のエッチング種を混在させることにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。この他、ガス種や圧力など条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。
【0157】
次いで、熱処理を施すことにより、キャップ層CAP中のp型ドーパントから水素原子を脱離させ、キャップ層CAPを活性化させる。また、熱処理を施すことにより、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGを生成する。熱処理としては、窒素雰囲気中750℃で、10分程度の熱処理を施す。
【0158】
次いで、
図16に示すように、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを形成する。ソース電極SEおよびドレイン電極DEは、実施の形態1と同様にリフトオフ法を用いて形成することができる。
【0159】
次いで、
図17に示すように、キャップ層CAP、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上を含む電子供給層ES上に絶縁膜IFを形成する。絶縁膜IFとして、例えば、100nm程度の膜厚の窒化シリコン(SiN)膜をプラズマ気相堆積法などを用いて形成する。次いで、絶縁膜IFをパターニングすることにより、キャップ層CAP上に開口部OA1を形成する。この場合、実施の形態4と異なり、キャップ層CAP上に第1ゲート電極部GE1が形成されているため、第1ゲート電極部GE1の上面と絶縁膜IFとの重なり領域が大きくなってもよい。即ち、第1ゲート電極部GE1の上面の外周部において絶縁膜IFが残存していてもよい。よって、絶縁膜IFに開口部OA1を形成する際に、実施の形態4のような高度な制御を要するキャップ層CAPの上面と開口部OA1との位置合わせを行う必要がない。このように、簡易な工程で、高性能の半導体装置を形成することができる。
【0160】
次いで、
図18に示すように、第1ゲート電極部GE1上から絶縁膜IF上に延在する第2ゲート電極部GE2を形成する。この第2ゲート電極部GE2は、例えば、リフトオフ法を用いて形成することができる。また、第2ゲート電極部GE2を構成する金属膜としては、例えば、ニッケル(Ni)膜と、ニッケル膜上に形成された金(Au)膜との積層膜を用いることができる。各膜は、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
【0161】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。なお、上記工程においては、第2ゲート電極部GE2、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを、リフトオフ法を用いて形成したが、これらの電極を金属膜のパターニングにより形成してもよい。
【0162】
(実施の形態6)
実施の形態5においては、キャップ層CAPの上面の平面視における形状(平面形状)と第1ゲート電極部GE1の平面視における形状(平面形状)とを同じとした。これに対し、本実施の形態においては、第1ゲート電極部GE1の平面形状をキャップ層CAPの上面の平面形状より大きくする。
【0163】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0164】
[構造説明]
図19は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図19に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(高電子移動度トランジスタ)である。
【0165】
図19に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。このゲート電極GEは、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2よりなる。第1ゲート電極部GE1は、キャップ層CAP上に形成されている。但し、第1ゲート電極部GE1の平面形状は、キャップ層CAPの上面の平面形状より大きく、第1ゲート電極部GE1の端部より、キャップ層CAPの側面が後退した形状となっている。言い換えれば、キャップ層CAPの側面の上方に、第1ゲート電極部GE1の端部が突出した形状となっている。
【0166】
第1ゲート電極部GE1上およびキャップ層CAPの側面上には、開口部OA1を有する絶縁膜IFが形成され、第1ゲート電極部GE1の上面と第2ゲート電極部GE2とは開口部OA1を介して接するように形成されている。また、キャップ層CAPの側面上においては、絶縁膜IFを介して第2ゲート電極部GE2が配置されている。また、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。
【0167】
ここで、本実施の形態においては、第2ゲート電極部GE2が、実施の形態1と同様に、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、開口部OA1の中心部から第2ゲート電極部GE2のドレイン電極DE側の端部までの距離は、開口部OA1の中心部から第2ゲート電極部GE2のソース電極SE側の端部までの距離より大きくなっている。
【0168】
また、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部から第2ゲート電極部GE2のドレイン電極DE側の端部までの距離である張り出し距離をL
Fとし、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の端部からドレイン電極DEまでの距離をLgdとした場合、0.05μm≦L
F≦Lgd/2を満たすようにゲート電極GEを形成することが好ましい。
【0169】
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、キャップ層CAPの側面がテーパー形状となっている。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θが90度未満となっている(θ<90°)。このように、キャップ層CAPの側面を傾斜させることにより、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面の近傍における電界が緩和される。例えば、側面を垂直(θ=90°)とした場合の電界のピーク値より、その値を低減することができる。これにより、電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果を図ることができる。
【0170】
また、電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θについては、15°≦θ<90°の範囲とすることが好ましい。
【0171】
このように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0172】
さらに、本実施の形態においては、ゲート電極GEを、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2との二部構成とし、キャップ層CAP上を第1ゲート電極部GE1で覆うことにより、キャップ層CAPの上面と第1ゲート電極部GE1との間に絶縁膜IFが存在しない構成となる。その結果、実施の形態5の場合と同様に、キャップ層CAPの上面とゲート電極GEとの間の絶縁膜IFの影響により、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGのキャリア密度が低下することを回避することができる。
【0173】
このように、本実施の形態においては、実施の形態1の電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果に加え、オン抵抗の低減を図ることができる。
【0174】
[製法説明]
次いで、
図20および
図21を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図20および
図21は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0175】
実施の形態1と同様に、
図20に示す基板SUB上に、バッファ層BUFを形成し、さらに、その上部に、チャネル層CHを形成する。次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成し、さらに、その上部に、キャップ層CAPとなる半導体膜SFを形成する。
【0176】
例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜SFを形成する。
【0177】
次いで、実施の形態5と同様に、半導体膜SF上に、第1ゲート電極部GE1となる金属膜を形成する。金属膜として、例えば、チタン(Ti)膜と、チタン膜上に形成されたアルミニウム(Al)膜との積層膜を真空蒸着法を用いて形成する。金属膜としては、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケルなどから選択された単層膜もしくはこれらの積層膜を用いることができる。また、アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデン、ニッケルなどの金属のシリサイド膜を用いて第1ゲート電極部GE1を構成してもよい。次いで、上記金属膜をパターニングすることにより、第1ゲート電極部GE1を形成する。
【0178】
次いで、
図21に示すように、第1ゲート電極部GE1をマスクとして半導体膜SFをパターニングすることによりキャップ層CAPを形成する。例えば、誘導結合プラズマドライエッチングを用いて半導体膜SFをエッチングする。この際、エッチング条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とする。即ち、図に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θを90度未満とする(θ<90°)。エッチング条件としては、例えば、マスクとなる第1ゲート電極部GE1をエッチングにより縮小化させ、第1ゲート電極部GE1の端部を徐々に後退させる。これにより、第1ゲート電極部GE1の端部において下層のキャップ層CAPのエッチング量を大きくし、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。また、異方性のエッチング種に、等方性のエッチング種を混在させることにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。この他、ガス種や圧力など条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とすることができる。
【0179】
さらに、本実施の形態においては、第1ゲート電極部GE1をマスクとした半導体膜SFのエッチングの際に、オーバーエッチングを行い、第1ゲート電極部GE1の端部より、キャップ層CAPの側面を後退させる。言い換えれば、第1ゲート電極部GE1の形成領域をキャップ層の上面より大きい構成とする。このように、第1ゲート電極部GE1の端部より、キャップ層CAPの側面が後退する構成としても、実施の形態5と同様の効果を奏するため、エッチングの制御性が良好となる。
【0180】
次いで、熱処理を施すことにより、キャップ層CAP中のp型ドーパントから水素原子を脱離させ、キャップ層CAPを活性化させる。また、熱処理を施すことにより、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGを生成する。熱処理としては、窒素雰囲気中750℃で、10分程度の熱処理を施す。
【0181】
次いで、実施の形態5と同様に、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを形成する。ソース電極SEおよびドレイン電極DEは、実施の形態1と同様にリフトオフ法を用いて形成することができる。
【0182】
次いで、実施の形態5と同様に、キャップ層CAP、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上を含む電子供給層ES上に絶縁膜IFを形成する。絶縁膜IFとして、例えば、100nm程度の膜厚の窒化シリコン(SiN)膜をプラズマ気相堆積法などを用いて形成する。次いで、絶縁膜IFをパターニングすることにより、キャップ層CAP上に開口部OA1を形成する。この場合、実施の形態4と異なり、キャップ層CAP上に第1ゲート電極部GE1が形成されているため、第1ゲート電極部GE1の上面と絶縁膜IFとの重なり領域が大きくなってもよい。即ち、第1ゲート電極部GE1の上面の外周部において絶縁膜IFが残存していてもよい(
図19参照)。よって、絶縁膜IFに開口部OA1を形成する際に、実施の形態4のような高度な制御を要するキャップ層CAPの上面と開口部OA1との位置合わせを行う必要がない。このように、簡易な工程で、高性能の半導体装置を形成することができる。
【0183】
次いで、実施の形態5と同様に、第1ゲート電極部GE1上から絶縁膜IF上に延在する第2ゲート電極部GE2を形成する。この第2ゲート電極部GE2は、例えば、リフトオフ法を用いて形成することができる。
【0184】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置が略完成する。なお、上記工程においては、第2ゲート電極部GE2、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを、リフトオフ法を用いて形成したが、これらの電極を金属膜のパターニングにより形成してもよい。
【0185】
(実施の形態7)
実施の形態5および実施の形態6においては、第1ゲート電極部GE1および第2ゲート電極部GE2を絶縁膜IFの開口部OA1を介して直接接触させたが、第1ゲート電極部GE1および第2ゲート電極部GE2をプラグや配線などの外部ルート(外部回路)を用いて接続してもよい。
【0186】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0187】
[構造説明]
図22は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図22に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(高電子移動度トランジスタ)である。
【0188】
図22に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、実施の形態1と同様に、基板SUB上に、バッファ層BUFが形成され、バッファ層BUF上に、窒化物半導体からなるチャネル層CHが形成され、チャネル層CH上に、窒化物半導体からなる電子供給層ESが形成されている。また、電子供給層ES上には、キャップ層CAPを介してゲート電極GEが形成されている。このゲート電極GEは、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2よりなる。また、チャネル層CHと電子供給層ESとの界面近傍に、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGが生成(形成)される。但し、キャップ層CAPを形成した領域には、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGは生成されない。
【0189】
ここで、本実施の形態においては、第1ゲート電極部GE1は、キャップ層CAP上に形成されているが、
図22に示す断面部においては、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2との間に絶縁膜IFが形成されている。
【0190】
そして、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2とは、
図22とは異なる断面部において、プラグ(接続部)や配線などの外部ルートにより接続されている(
図23参照)。
【0191】
このように、第1ゲート電極部GE1と第2ゲート電極部GE2とを外部ルートを用いて接続した場合においても、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。即ち、本実施の形態においては、実施の形態1の電流コラプスの抑制、ゲートリークの低減、耐圧の向上の効果に加え、オン抵抗の低減を図ることができる。
【0192】
[製法説明]
次いで、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図23は、本実施の形態の半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【0193】
実施の形態1と同様に、
図23に示す基板SUB上に、バッファ層BUFを形成し、さらに、その上部に、チャネル層CHを形成する。次いで、チャネル層CH上に、電子供給層ESを形成し、さらに、その上部に、キャップ層CAPとなる半導体膜SFを形成する。
【0194】
例えば、AlGaNからなる電子供給層ES上に、MOCVD法を用いて、p型窒化ガリウム(p型GaN)のエピタキシャル層からなる半導体膜SFを形成する。
【0195】
次いで、半導体膜SF上に、第1ゲート電極部GE1となる金属膜を形成する。次いで、上記金属膜をパターニングすることにより、第1ゲート電極部GE1を形成する。
【0196】
次いで、第1ゲート電極部GE1をマスクとして半導体膜SFをパターニングすることによりキャップ層CAPを形成する。この際、実施の形態1等において説明したようにエッチング条件を調整することにより、キャップ層CAPの側面をテーパー形状とする。次いで、熱処理を施すことにより、キャップ層CAPを活性化させ、2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGを生成する。
【0197】
この後、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを実施の形態1等と同様に形成し、さらに、絶縁膜IFを形成する。例えば、キャップ層CAP、ソース電極SEおよびドレイン電極DE上を含む電子供給層ES上に絶縁膜IFを形成する。絶縁膜IFとして、例えば、100nm程度の膜厚の窒化シリコン(SiN)膜をプラズマ気相堆積法などを用いて形成する。次いで、絶縁膜IF上に、リフトオフ法を用いて第2ゲート電極部GE2を形成する。
【0198】
ここで、本実施の形態においては、第2ゲート電極部GE2は、ドレイン電極DE側に張り出す形状となっている。例えば、第2ゲート電極部GE2は、キャップ層CAPの上面のドレイン電極DE側の端部からキャップ層CAPの側面上まで絶縁膜IFを介して形成される。
【0199】
この後、第2ゲート電極部GE2上に、層間絶縁膜IL1を形成する。次いで、第1ゲート電極部GE1上の絶縁膜IFおよび層間絶縁膜IL1をエッチングすることにより第1コンタクトホールC1を形成する。また、第2ゲート電極部GE2上の層間絶縁膜IL1をエッチングすることにより第2コンタクトホールC2を形成する。次いで、これらのコンタクトホール(C1、C2)の内部に金属膜を埋め込むことにより、第1プラグP1および第2プラグP2を形成する。
【0200】
次いで、第1プラグP1および第2プラグP2上を含む層間絶縁膜IL1上に金属膜を形成し、パターニングすることにより第1プラグP1および第2プラグP2を接続する配線M1を形成する。なお、第1プラグP1および第2プラグP2の形成の際に、ソース電極SEやドレイン電極DE上にプラグを形成してもよい。また、第1プラグP1および第2プラグP2を接続する配線M1を形成する際に、ソース電極SEやドレイン電極DE上のプラグと接続する他の配線を形成してもよい。
【0201】
このように、第1ゲート電極部GE1および第2ゲート電極部GE2をプラグや配線などの外部ルート(外部回路)を用いて接続しても、実施の形態5と同様の効果を奏する。
【0202】
(実施の形態8)
実施の形態7では、第2ゲート電極部GE2を、第1ゲート電極GE2と配線等を用いて接続しているのに対し、本実施の形態では、第2ゲート電極GE2を、ソース電極SEと配線等を用いて接続している点で相違する。
【0203】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について説明する。
【0204】
図27は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態7の
図22との相違点は、第2ゲート電極部GE2がソース電極SEに、配線で接続されている点である。その他の構成は、実施の形態7と同一のため、説明を省略する。
【0205】
本実施の形態においても、実施の形態1の
図1等と同じく、キャップ層CAPの側面は電子供給層ESとのなす角θが90度未満になっている。このため、実施の形態1と同じく、電流コラプスの抑制、ゲートリーク電流の抑制、耐圧を向上させることができる。
【0206】
ここで、キャップ層CAPのソース電極SE側の側面と電子供給層ESとのなす角と、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面と電子供給層ESとのなす角とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0207】
ただし、特に、キャップ層CAPのソース電極SE側の側面と電子供給層ESとのなす角に対し、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面と電子供給層とのなす角を小さくすると、ソース抵抗を低減しつつ、さらにゲート・ドレイン間耐圧を向上させることができるという効果が得られる。このようにすると、キャップ層CAPからドレイン電極DE側にかけて2次元電子ガス濃度を減らすことができ、ゲート・ドレイン耐圧を向上させることができる。さらに、キャップ層CAPからソース電極SE側にかけては、ドレイン側と比較して2次元電子ガス濃度を相対的に高くできるので、ソース抵抗を低くすることができる。この結果、ソース抵抗を低減しつつ、ゲート・ドレイン耐圧を向上させることが可能となる。
【0208】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0209】
例えば、実施の形態6の構成において、実施の形態7の外部ルートを適用してもよい。また、例えば、実施の形態1および2の半導体装置において、実施の形態3のゲート電極GEのソース電極SE側への張り出し量を小さくした構成を適用してもよい。
【0210】
また、上記実施の形態5(
図13)においては、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θを90度未満としたが、このなす角θを90度としてもよい。
【0211】
図24は、実施の形態5において、なす角θを90度とした場合の半導体装置の構成を示す断面図である。
【0212】
図24に示すように、基板SUBまたは電子供給層ESとキャップ層CAPの側面とのなす角θを90度とした場合、キャップ層CAPの側面を傾斜させる効果は低減される。
【0213】
しかしながら、ゲート電極GEを、ドレイン電極DE側に張り出させる構成による効果は奏する。即ち、電界が、キャップ層CAPのドレイン電極DE側の側面近傍とゲート電極GEの張り出し部の先端との2箇所に分散するため、電界が緩和される。
【0214】
具体的には、
図25に示す構成と
図26に示す構成の電界強度と位置の関係を
図26の下部に示す。グラフbは、
図25に示す構成のものであり、グラフaは、
図26に示す構成のものである。
図25および
図26は、
図24に示す半導体装置の効果を説明するための図である。
【0215】
このように、
図26(
図24)に示す構成においては、グラフbのピーク値が、グラフaに示すように、ドレイン電極DE側の側面近傍とゲート電極GEの張り出し部の先端との2箇所に分散する。これにより電界が緩和される。
【0216】
また、
図24に示す構成においては、ゲート電極GEを2部構成とするため、
図25に示す構成と比較し、キャップ層CAPとゲート電極GEの位置合わせずれによる2次元電子ガス(2次元電子ガス層)2DEGのキャリア密度の低下を回避することができる。
【0217】
このように、各実施の形態の構成の一部省略や置換など、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、上記実施の形態において示した具体的材料の組成式(例えば、AlGaNなど)において、各元素の組成比は発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設定可能である。