特許第6162054号(P6162054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162054
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】除細動器電極識別システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   A61N1/39
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-24594(P2014-24594)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-155793(P2014-155793A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】1302625.7
(32)【優先日】2013年2月14日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503338457
【氏名又は名称】ハートサイン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アリスター ロバート マッキンタイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー ヒューストン アンダーソン
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−534566(JP,A)
【文献】 特開2001−046518(JP,A)
【文献】 特開2006−296457(JP,A)
【文献】 特開2010−099427(JP,A)
【文献】 特開2010−063771(JP,A)
【文献】 特表2008−523878(JP,A)
【文献】 特表2007−521875(JP,A)
【文献】 実開昭63−117556(JP,U)
【文献】 米国特許第05441520(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/65565(US,A1)
【文献】 米国特許第6101413(US,A)
【文献】 特表2007−507274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除細動器の電極識別システムにおいて、
少なくとも1の電極に接続するのに適応した電極プラグであって、第1ペアの導電性接点と、前記第1ペアの導電性接点間に接続された識別素子と、前記電極に接続するための第2ペアの導電性接点と、前記第1および第2ペアの導電性接点および前記識別素子を実質的に収容する空洞部と前記第1および第2ペアの導電性接点の端部が延びる開口部とを与えるハウジングとを含む、電極プラグと、
除細動器に接続するのに適応するとともに、電極プラグに接続するのに適した除細動器ソケットであって、前記電極プラグの第1ペアの導電性接点と接続するための第1ペアの導電性接点と、前記電極プラグの第2ペアの導電性接点と接続するとともに前記除細動器に接続するための第2ペアの導電性接点と、前記第1および第2ペアの導電性接点を実質的に収容する空洞部と前記第1および第2ペアの導電性接点の端部が延びる開口部とを与えるハウジングとを含む、除細動器ソケットと、
除細動器ソケットに接続するのに適応した電極識別ユニットであって、前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点を介して前記電極プラグの第1ペアの導電性接点に接続するための接点を有する回路と、前記回路に接続され、前記電極プラグの前記識別素子からの信号を検出する信号検出器と、前記信号の測定値を使用して、前記電極プラグの前記識別素子の識別特性を判定し、それにより、前記電極プラグに接続された前記電極のカテゴリを判定するプロセッサとを含む、電極識別ユニットと、を備え、
前記電極プラグの第1ペアの導電性接点、前記識別素子、前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点および電極識別ユニットは、電極識別回路に含まれ、前記電極に接続するための前記電極プラグの第2ペアの導電性接点、前記除細動器に接続するための前記除細動器ソケットの第2ペアの導電性接点は、除細動信号回路に含まれ、前記除細動信号回路は、前記電極識別回路から分離されて電気的に絶縁されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記除細動器プラグが複数の異なるカテゴリの電極に接続するのに適応しており、異なるカテゴリの異なる電極はそれぞれ、前記電極に接続される前記電極プラグの識別素子の異なる識別特性、または識別特性の異なる値または異なる値の範囲と関連していることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
異なる電極の識別素子の識別特性の異なる値または値の範囲は、前記電極識別ユニットの測定精度よりも大きい離間間隔を有することを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記電極のカテゴリは、子供に使用するための電極のカテゴリ、大人に使用するための電極のカテゴリ、除細動信号を伝えるためではなくECG信号の測定のための電極のカテゴリ、電極のサイズのカテゴリ、電極の形状のカテゴリ、電極の製造日のカテゴリ、電極のロット番号のカテゴリ、および電極の構造のカテゴリの何れかを含むことができることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記識別素子が、抵抗性識別素子を含み、前記抵抗性識別素子の識別特性が、前記抵抗性識別素子の抵抗値または抵抗値の範囲を含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記識別素子が、容量性識別素子を含み、前記容量性識別素子の識別特性が、前記容量性識別素子のキャパシタンスの値または値の範囲を含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記識別素子が、誘導性識別素子を含み、前記誘導性識別素子の識別特性が、前記誘導性識別素子のインダクタンスの値または値の範囲を含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記電極プラグの第1および第2ペアの導電性接点が、ピンを含み、かつ、細長く、かつ、銅、金、ニッケル、スズの何れかまたはそれらの任意の組合せのような導電性素子を含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記電極プラグのハウジングが、実質的に硬質であり、かつ、ABS、ポリカーボネート、圧縮ポリスチレンの何れかまたはそれらの任意の組合せのような非導電性プラスチック材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記電極プラグのハウジングが、離れた第1部分と第2部分とに分割された空洞部を与えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記第1部分が第1ペアの導電性接点および識別素子を実質的に収容し、前記第2部分が第2ペアの導電性接点を実質的に収容し、それにより、前記第1ペアの導電性接点および識別素子が前記第2ペアの導電性接点から電気的に絶縁されることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記第1ペアの導電性接点および識別素子が、前記空洞部の第1部分を与えるハウジング内に成形されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のシステムにおいて、
前記第2ペアの導電性接点が、前記空洞部の第2部分を与えるハウジング内に成形されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記除細動器ソケットの第1および第2ペアの導電性接点が、ピンを含み、かつ、細長く、かつ、銅、金、ニッケル、スズの何れかまたはそれらの任意の組合せのような導電性素子を含むことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記除細動器ソケットのハウジングが、実質的に硬質であり、かつ、ABS、ポリカーボネート、圧縮ポリスチレンの何れかまたはそれらの任意の組合せのような非導電性プラスチック材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記除細動器ソケットのハウジングが、離れた第1部分と第2部分とに分割された空洞部を与えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、
前記第1部分が第1ペアの導電性接点を実質的に収容し、前記第2部分が第2ペアの導電性接点を実質的に収容し、それにより、前記第1および第2ペアの導電性接点が互いに電気的に絶縁されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記第1ペアの導電性接点が、前記空洞部の第1部分を与えるハウジング内に成形されることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項17または18に記載のシステムにおいて、
前記第2ペアの導電性接点が、前記空洞部の第2部分を与えるハウジング内に成形されることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記電極識別ユニットの回路が、電圧発生器および電気インピーダンス素子を有する分圧器回路を含むことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、
前記電極プラグの識別素子と前記分圧器回路の電気インピーダンス素子の間で前記電圧発生器の電圧を分けるような配置で、前記分圧器回路が、前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点を介して、前記電極プラグの第1ペアの導電性ピンに接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のシステムにおいて、
前記信号検出器が、前記回路における信号を検出するために、前記分圧器回路に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記信号または前記信号の測定値を使用して、前記電極プラグの識別素子の識別特性を判定するとともに、前記電極プラグに接続される前記電極のカテゴリを識別することを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除細動器電極の識別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機など、公共の場で使用されるような携帯型の除細動器は、2つの主要部分、すなわち、除細動生成・制御回路等を収容するハウジングと、除細動パルス測定ECG信号等を与えるために対象に適用するための電極とを有する。電極は、除細動器ハウジングから分離可能であり、かつ電極線と電極プラグとにより接続されるように設計されている。例えば、除細動信号を大人に伝達するのに適した電極、除細動信号を子供に伝達するのに適した電極、ECG信号の測定に使用される電極、必要なサイズおよび形状等を有する電極など、除細動器用の異なる特性を有する異なるカテゴリの電極を与える必要がある。除細動器の様々な異なる使用環境の各々において、適正な特性を有する適当なカテゴリの電極が使用されることが重要である。したがって、除細動器に接続される電極のカテゴリを識別するための機構を提供するのが好ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明によれば、除細動器の電極識別システムが提供され、このシステムは、
少なくとも1の電極に接続するのに適応した電極プラグであって、第1ペアの導電性接点と、前記第1ペアの導電性接点間に接続された識別素子と、前記電極に接続するための第2ペアの導電性接点と、前記第1および第2ペアの導電性接点および前記識別素子を実質的に収容する空洞部および前記第1および第2ペアの導電性接点の端部が延びる開口部を与えるハウジングとを含む電極プラグと、
除細動器に接続するのに適応するとともに、電極プラグに接続するのに適した除細動器ソケットであって、前記電極プラグの第1ペアの導電性接点と接続するための第1ペアの導電性接点と、前記電極プラグの第2ペアの導電性接点と接続するとともに前記除細動器に接続するための第2ペアの導電性接点と、前記第1および第2ペアの導電性接点を実質的に収容する空洞部および前記第1および第2ペアの導電性接点の端部が延びる開口部を与えるハウジングとを含む除細動器ソケットと、
除細動器ソケットに接続するのに適応した電極識別ユニットであって、前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点を介して前記電極プラグの第1ペアの導電性接点に接続するための接点を有する回路と、前記回路に接続され、前記電極プラグの前記識別素子からの信号を検出する信号検出器と、前記信号の測定値を使用して、前記電極プラグの前記識別素子の識別特性(identification characteristic)を判定し、それにより、前記電極プラグに接続された電極のカテゴリを判定するプロセッサとを含む電極識別ユニットと、を備える。
【0004】
前記除細動器プラグは、複数の異なるカテゴリの電極に接続するのに適応したものとすることができる。異なるカテゴリの異なる電極はそれぞれ、前記電極に接続される電極プラグの識別素子の識別特性の異なる値または異なる値の範囲と関連させることができる。異なる電極の識別素子の識別特性の異なる値または値の範囲は、前記電極識別ユニットの測定精度よりも大きい離間間隔(separations)を有することができる。前記電極のカテゴリは、子供に使用するための電極のカテゴリ、大人に使用するための電極のカテゴリ、除細動信号を伝えるためではなくECG信号の測定のための電極のカテゴリ、電極のサイズのカテゴリ、電極の形状のカテゴリ、電極の製造日のカテゴリ、電極のロット番号のカテゴリ、および例えば、ゲル電極などの電極の構造のカテゴリの何れかを含むことができる。
【0005】
前記識別素子は、抵抗性識別素子(resistive identification element)を含むことができる。前記抵抗性識別素子の識別特性は、前記抵抗性識別素子の抵抗値または抵抗値の範囲を含むことができる。前記識別素子は、容量性識別素子(capacitive identification element)を含むことができる。前記容量性識別素子の識別特性は、前記容量性識別素子のキャパシタンスの値または値の範囲を含むことができる。前記識別素子は、誘導性識別素子(inductive identification element)を含むことができる。前記誘導性識別素子の識別特性は、前記誘導性識別素子のインダクタンスの値または値の範囲を含むことができる。
【0006】
前記電極プラグは、電極の製造過程で少なくとも1の電極に接続されるものであってもよい。このため、適当な電極プラグと電極は一緒に使用することができる。
【0007】
前記電極プラグの第1および第2ペアの導電性接点は、ピンを含むことができ、かつ、細長くすることができ、かつ、銅、金、ニッケル、スズの何れかまたはそれらの任意の組合せのような導電性素子を含むことができる。
【0008】
前記電極プラグのハウジングは、実質的に硬質なものとすることができ、かつ、ABS、ポリカーボネート、圧縮ポリスチレンの何れかまたはそれらの任意の組合せのような非導電性プラスチック材料から形成することができる。前記電極プラグの第1ペアの導電性接点が前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点と接続されるとともに、前記電極プラグの第2ペアの導電性接点が前記除細動器ソケットの第2ペアの導電性接点と接続されるように、前記電極プラグのハウジングには、前記除細動器ソケットに取り付ける位置決めデバイスを設けることができる。
【0009】
前記電極プラグのハウジングは、離れた第1部分と第2部分とに分割された空洞部を与えることができる。前記第1部分は第1ペアの導電性接点および識別素子を実質的に収容することができ、前記第2部分は第2ペアの導電性接点を実質的に収容することができ、それにより、前記第1ペアの導電性接点および識別素子を前記第2ペアの導電性接点から電気的に絶縁することができる。前記第1ペアの導電性接点および識別素子は、前記空洞部の第1部分を与えるハウジング内に成形されるか、あるいは挿入されるものであってもよい。前記第2ペアの導電性接点は、前記空洞部の第2部分を与えるハウジング内に成形されるか、あるいは挿入されるものであってもよい。
【0010】
前記除細動器ソケットは、前記除細動器の一体部分として与えることによって、除細動器に接続されるものであってもよい。前記除細動器ソケットは、前記除細動器に設けられるソケットレシーバを介して除細動器に取り外し可能に接続されるものであってもよい。
【0011】
前記除細動器ソケットの第1および第2ペアの導電性接点は、ピンを含むことができ、かつ、細長くすることができ、かつ、銅、金、ニッケル、スズの何れかまたはそれらの任意の組合せのような導電性素子を含むことができる。
【0012】
前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点は、両ペアの接点間の接触によって、前記電極プラグの第1ペアの導電性接点に接続されるものであってもよい。前記除細動器ソケットの第2ペアの導電性接点は、両ペアの接点間の接触によって、前記電極プラグの第2ペアの導電性接点に接続されるものであってもよい。
【0013】
前記除細動器ソケットのハウジングは、実質的に硬質なものとすることができ、かつ、ABS、ポリカーボネート、圧縮ポリスチレンの何れかまたはそれらの任意の組合せのような非導電性プラスチック材料から形成することができる。前記電極プラグの第1ペアの導電性接点が前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点と接続されるとともに、前記電極プラグの第2ペアの導電性接点が前記除細動器ソケットの第2ペアの導電性接点と接続されるように、前記除細動器ソケットのハウジングには、前記電極プラグに取り付ける位置決めデバイスを設けることができる。
【0014】
前記除細動器ソケットのハウジングは、離れた第1部分と第2部分とに分割された空洞部を与えることができる。前記第1部分は第1ペアの導電性接点を実質的に収容することができ、前記第2部分は第2ペアの導電性接点を実質的に収容することができ、それにより、前記第1および第2ペアの導電性接点を互いに電気的に絶縁することができる。前記第1ペアの導電性接点は、前記空洞部の第1部分を与えるハウジング内に成形されるか、あるいは挿入されるものであってもよい。前記第2ペアの導電性接点は、前記空洞部の第2部分を与えるハウジング内に成形されるか、あるいは挿入されるものであってもよい。
【0015】
前記電極識別ユニットの回路は、分圧器回路を含むことができる。分圧器回路は、電圧発生器および電気インピーダンス素子(electrical impedance element)を含むことができる。前記電極プラグの識別素子と前記分圧器回路の電気インピーダンス素子の間で前記電圧発生器の電圧を分けるような配置で、前記分圧器回路は、前記除細動器ソケットの第1ペアの導電性接点を介して、前記電極プラグの第1ペアの導電性接点に接続されてものであってもよい。前記信号検出器は、前記回路における信号を検出するために、前記分圧器回路に接続されるものであってもよい。前記プロセッサは、前記信号または前記信号の測定値を使用して、前記電極プラグの識別素子の識別特性を判定し、それによって、前記電極プラグに接続される電極のカテゴリを識別するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の添付図面を参照して、本発明の一実施形態をほんの一例として説明することとする。
図1図1は、子供に適した電極とともに使用するための電極識別システムの概略図である。
図2図2は、図1の電極識別システムとともに使用するための電極識別ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、電極識別システム1は、電極プラグ2、除細動器ソケット3および電極識別ユニット4を備える。
【0018】
電極プラグ2は、ピンの形態の第1ペアの導電性接点6,8と、抵抗性識別素子の形態の識別素子10と、ピンの形態の第2ペアの導電性接点12,14と、離れた第1および第2空洞部18,20および開口部(図示省略)を有するハウジング16とを備える。ハウジングは、実質的に硬質であり、非導電性プラスチックから形成されている。第1ペアの導電性ピン6,8および抵抗性識別素子10は、ハウジング提供の第1空洞部18内に成形されている。第2ペアの導電性ピン12,14は、ハウジング提供の第2空洞部20内に成形されている。第1および第2空洞部18,20は、互いに離れており、このため、第1ペアの導電性ピン6,8および抵抗性識別素子10は、第2ペアの導電性ピン12,14から電気的に分離されている。抵抗性識別素子10は、第1ペアの導電性ピン6,8の第1端部間に接続されている。電極(図示省略)は、第2ペアの導電性ピン12,14の第1端部間に接続されている。第1ペアの導電性ピン6,8および第2ペアの導電性ピン12,14の第2端部は、ハウジング16の開口部を通って延びている。
【0019】
この実施形態において、第2ペアの導電性ピン12,14の第1端部間に接続される電極は、子供に使用するための電極のカテゴリである。この電極のカテゴリは、抵抗性識別素子10の抵抗値を含む抵抗性識別素子10の識別特性と関連している。この実施形態では、その抵抗値は10kΩである。当然のことながら、別の実施形態では、第2ペアの導電性ピン12,14の第1端部間に接続される電極は、異なるカテゴリを有し、かつ、識別素子の異なる関連識別特性、または電極の電極プラグの識別素子の識別特性の異なる関連値または値の範囲を有する可能性がある。重要な側面は、除細動器に接続される可能性のある異なる電極のカテゴリの各々について、識別素子が異なる識別特性または異なる識別特性値または値の範囲を提示するということである。
【0020】
除細動器ソケット3は、ピンの形態の第1ペアの導電性接点24,26と、ピンの形態の第2ペアの導電性接点28,30と、離れた第1および第2空洞部34,36および開口部(図示省略)を有するハウジング32とを備える。ハウジング32は、同様に、実質的に硬質であり、非導電性プラスチックから形成されている。第1ペアの導電性ピン24,26は、ハウジング32提供の第1空洞部34内に成形されている。第2ペアの導電性ピン28,30は、ハウジング32提供の第2空洞部36内に成形されている。第1および第2空洞部34,36は、互いに離れており、このため、第1ペアの導電性ピン24,26は、第2ペアの導電性ピン28,30から電気的に分離されている。第1ペアの導電性ピン24,26および第2ペアの導電性ピン28,30の第1端部は、ハウジング32の開口部を通って延びている。
【0021】
電極識別ユニット4は、第1ペアの導電性ピン24,26の第2端部間に接続されている。第2ペアの導電性ピン28,30の第2端部は、この実施形態では、除細動器ソケット3が除細動器の一体部分として提供されることによって、除細動器(図示省略)に接続されている。
【0022】
図2を参照すると、電極識別ユニット4は、回路40と、回路40に接続された信号検出器42と、信号検出器42に接続されたプロセッサ44とを備える。回路40は、DC電圧発生器46と、10kΩの抵抗を有する抵抗性電気インピーダンス素子48と、接点50とを備える分圧器回路である。接点50は、除細動器ソケットの第1ペアの導電性ピン(図示省略)を介して、電極プラグ2の第1ペアの導電性ピン6,8と抵抗性識別素子10につながる。回路40と電極プラグの抵抗性識別素子10の配置構成は、DC電圧発生器46の電圧が、電極プラグ2の抵抗性識別素子10と分圧器回路40の抵抗性電気インピーダンス素子48の間で分けられるようなものとなっている。
【0023】
電極識別システム1の使用において、電極プラグ2の第1ペアの導電性ピン6,8の第2端部が、除細動器ソケット3の第1ペアの導電性ピン24,26の第1端部と電気的な接触を形成するように、電極プラグ2が除細動器ソケット3に接続される。また、電極プラグ2の第2ペアの導電性ピン12,14の第2端部も、除細動器ソケット3の第2ペアの導電性ピン28,30の第1端部と電気的な接触を形成している。回路は、除細動器ソケット3のピン24、電極プラグ2のピン6、抵抗性識別素子10およびピン8、および除細動器ソケット3のピン26の間で形成されている。除細動器ソケット3のピン24,26は、電極識別ユニット4の分圧器回路40の接点50に接続されている。回路40のDC電圧発生器46は作動されて、信号が回路40を回って電極プラグ2の抵抗性識別素子10を通って流される。信号検出器42は、回路40のA点で信号を検出する。その信号または信号の測定値は、信号検出器42に接続されたプロセッサ44に伝えられる。プロセッサ44は、分圧器回路40の電圧発生器46により生成された既知の電圧および抵抗性電気インピーダンス素子48の既知の抵抗とともに、受信した信号を使用して、電極プラグ2の抵抗性識別素子10の抵抗を判定するとともに、それにより、子供に使用する電極のカテゴリとして、電極プラグ2に接続される電極のカテゴリを識別する。その後、除細動器は、適当な子供用除細動信号を生成して、除細動器ソケット3のピン28,30と電極プラグ2のピン12,14を介して電極に送信することができる。
【0024】
当然のことながら、電極プラグの識別素子は、抵抗性識別素子、容量性識別素子、誘導性識別素子の何れかを含むことができる。電極プラグの識別素子が抵抗性識別素子を含むときは、分圧器回路の電気インピーダンス素子が、抵抗性電気インピーダンス素子を含むことができ、分圧器回路の電圧発生器がDC電圧発生器を含むことができる。電極プラグの識別素子が容量性識別素子を含むときは、分圧器回路の電気インピーダンス素子が、容量性電気インピーダンス素子を含むことができ、分圧器回路の電圧発生器がAC電圧発生器を含むことができる。電極プラグの識別素子が誘導性識別素子を含むときは、分圧器回路の電気インピーダンス素子が、誘導性電気インピーダンス素子を含むことができ、分圧器回路の電圧発生器がAC電圧発生器を含むことができる。
図1
図2