【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の太陽電池および請求項9に記載の太陽電池の作製方法を用いて本発明により達成される。
【0005】
本発明の有利な構成は、従属請求項に明記されている。
【0006】
本発明は、半導体ウエハと、半導体ウエハ面上に配置された少なくとも一つの誘電体層と、誘電体層面上に配置された金属層と、誘電体層中に配置されたコンタクト構造体とを含み、コンタクト構造体が金属層と半導体ウエハとの間の電気接続を提供するようにされた太陽電池に関する。このコンタクト構造体は、最小寸法を持つ少なくとも一つの第一構造体と、最大寸法を持つ少なくとも一つの第二構造体とを有する。これら最小寸法および最大寸法は、半導体ウエハの表面沿いに定義される。したがって、構造体の最小寸法は、該構造体の半導体ウエハの表面に沿った最小の寸法であり、構造体の最大寸法は、該構造体の半導体ウエハの表面に沿った最大の寸法である。当然ながら、円形構造体の最小寸法と最大寸法とは同じである。本発明によれば、第一構造体の最小寸法は、第二構造体の最大寸法より大きい。
【0007】
本発明は、誘電性パッシベーションを有する太陽電池において、予定される金属層の直接相互接続のため半導体ウエハ/誘電体層/金属層の間に十分高い付着力を提供する、太陽電池の誘電性にパッシベートされた層中のコンタクト構造体を提案する。この場合、太陽電池中への銀の使用を回避することができ、しかしてコストの節減が可能である。太陽電池の効率も従来型の太陽電池と比べて高い。
【0008】
半導体ウエハは、望ましくはシリコン・ウエハである。誘電体層の一例として、酸化アルミニウム層または窒化ケイ素層がある。金属層は例えばアルミニウム層である。
【0009】
コンタクト構造体は、相異なる寸法を持つ第一構造体と第二構造体との組み合わせを構成する。第一構造体の最小寸法は、第二構造体の最大寸法より大きい。結果として、金属層および半導体ウエハが、相互比較においてより大きな面積とより小さな面積との結合点を有し、これにより、太陽電池の寸法と太陽電池の特定位置における付着力必要条件とに応じて、太陽電池中のより大きな面積およびより小さな面積に付着力が働く点コンタクト構造体が得られる。第一構造体群の間への小面積の付着力を有する第二構造体の配置は、第二構造体のない太陽電池との比較において、例えば、後者がこの領域に何の付着力も有しなければ、すなわち、この領域に第一構造体が配置されていなければ、これに比べて付加的な付着力を提供し、あるいは、第二構造体のない太陽電池がこの領域に第一構造体を有する場合には、その第二構造体のない太陽電池との比較において、材料の節減を提供する。第二構造体だけを有し第一構造体を持たない太陽電池は、本発明による太陽電池に比べ、半導体ウエハ/誘電体層/金属層の間の付着力が劣弱である。太陽電池中の第一および第二構造体の組み合わせによって、最適の付着力を実現することができる。
【0010】
本太陽電池の一つの好適な実施形態において、第一構造体の最小寸法はミリメートル域であり、第二構造体の最大寸法はマイクロメートル域である。第一構造体のミリメートル域の最小寸法と第二構造体のマイクロメートル域の最大寸法との選択によって、誘電体層中に相異なるサイズの構造体を配置し、半導体ウエハ/誘電体層/金属層の間の高い付着能力を有する太陽電池を作製することが可能となる。大面積の付着領域の設置に加え、小面積の付着領域によって、誘電体層およびその特性を除去することなく、付着能力が追加して増大される。
【0011】
上記ミリメートル域は、望ましくは0.1〜10mm、さらに望ましくは1〜7mm、なおさらに望ましくは3〜5mmの範囲である。上記マイクロメートル域は、望ましくは10〜70μm、さらに望ましくは20〜60μm、なおさらに望ましくは30〜55μmの範囲である。これらの大きさのオーダーを有する構造体の組み合わせは、半導体ウエハ/誘電体層/金属層の間の良好な付着を実現する点コンタクト構造体を提供する。
【0012】
一つの好適な実施形態において、太陽電池は、第一構造体としてアルミニウム−ケイ素共晶混合物、および/または第二構造体として、シリコン金属コンタクトまたはレーザ照射コンタクト(LFC:laser fired contact)を含む。アルミニウム−ケイ素共晶混合物は堅固で安定的構造体を構成する。本例ではアルミニウム層である金属層と、本例ではシリコン・ウエハである半導体ウエハとの密着的な結合は、これらアルミニウム層とシリコン・ウエハとの間の付着能力を向上させる。コンタクト部へのレーザ照射は、どんな問題もなく小寸法の前記コンタクトを生成し、例えばアルミニウムなどの金属と、例えばシリコン・ウエハなどのウエハとの間の結合を局所的に生成することを可能にし、しかして、金属層とウエハとの間の付着力を向上できる利点を有する。
【0013】
望ましくは、第一構造体は帯状形状を有する。この場合、第一構造体の最小寸法と最大寸法とは、互に大きく離れている。帯状形状は、相互接続リボンなど、太陽電池を相互接続させるためコネクタを使う相互接続に適している。
【0014】
第二構造体は望ましくは点状形状を有する。第二構造体の最小寸法と最大寸法とは、同じにすることも異ならせることも可能である。但し、これらは、異なっている場合でも望ましくはほぼ等しく、第二構造体は点状形状である。
【0015】
第一構造体は、金属層およびウエハに対して大面積の付着領域の配置を提供し、他方、第二構造体は、第一構造体の付着力効果をサポートする小面積の付着領域を提供して、コンタクト構造体の配置により接着力を得るための誘電体層の除去を小規模にし、しかして誘電体層の特性の大部分が維持されるようにする。言い換えれば、誘電体層の除去を小規模にして、誘電体層内にコンタクト構造体を挿入することによって、誘電体層の配置による太陽電池の効率の増大が維持され、相互に付着した層構成要素を有する安定的太陽電池がさらに提供される。
【0016】
第一構造体に対し帯状形状を、および第二構造体に対し点状形状を選択することによって、大面積の付着力を持つ第一構造体、および第一構造体と比べて小面積の付着力を持つ第二構造体を有することにより、半導体ウエハ/誘電体層/金属層の間に極めて良好な付着力を有するコンタクト構造体が実現される。第一構造体群の間への、小面積付着力を有する第二構造体の配置は、第二構造体のない太陽電池との比較において、追加的な付着力もしくは材料の削減を提供する。大面積および小面積構造体の設置は、必要条件に従って太陽電池に合わせられるサイズで付着点を配置することをさらに可能にする。
【0017】
一つの好適な実施形態において、半導体ウエハと反対面の金属層の表面の、平面図で第一構造体にオーバーラップする領域中にコネクタが配置される。このコネクタは、望ましくはアルミニウム・リボンである。このコネクタは、当該太陽電池をさらなる太陽電池と相互接続するのに適している。
【0018】
望ましくは、第一構造体は、コネクタに直接にコンタクト結合しているアルミニウム−ケイ素共晶混合物を含む。この例では、半導体ウエハは、シリコン・ウエハであり、金属層はアルミニウム層である。コネクタは、望ましくはアルミニウム・リボンである。コネクタとアルミニウム−ケイ素共晶混合物とは密着的な結合を形成することが可能である。例として、密着的なコンタクトが超音波冷間圧接によって常温で生成される。アルミニウムおよびアルミニウム−ケイ素共晶混合物を含む領域によって太陽電池の効率をさらに増大することが可能である。結果として、太陽電池の背面のより良好なパッシベーションが実現される。さらに、かかる太陽電池の作製コストは、アルミニウムから成るコネクタが使われる場合、従来の通例的な銀母線が使われないので低減される。
【0019】
本発明は、さらに太陽電池の作製方法に関し、本方法は、少なくとも一つの誘電体層を備えた半導体ウエハを用意するステップと、誘電体層面上に金属層を、および誘電体層中に配置されたコンタクト構造体を形成し、コンタクト構造体が金属層と半導体ウエハとの間に電気的接続を提供するようにするステップとを含み、最小寸法を有する少なくとも一つの第一構造体および最大寸法を有する少なくとも一つの第二構造体がコンタクト構造体として形成され、第一構造体の最小寸法は第二構造体の最大寸法より大きくなるようにされる。
【0020】
少なくとも一つの第一および第二構造体は、以下に記載のさまざまな仕方で生成することができる。第一および第二構造体は、同一のまたは相異なる方法ステップによって生成することができる。第一および第二構造体の形成は相互に独立的に実施することができる。第一構造体の最小寸法および第二構造体の最大寸法の設定は、方法によって異なる。
【0021】
一つの好適な作製方法の実施形態において、金属層およびコンタクト構造体を形成するステップは、誘電体層に対して不活性な少なくとも一つの金属ペーストおよび誘電体層に対して反応性のある少なくとも一つの金属ペーストを、誘電体層に対して反応性のある金属ペーストが、誘電体層に対して不活性な金属ペーストの中に少なくとも一つの第一領域および/または少なくとも一つの第二領域を形成するように、誘電体層に塗布するステップと、誘電体層に対して反応性があり、第一および/または第二領域を形成する金属ペーストが、誘電体層を貫通し、第一構造体および/または第二構造体を形成するように、焼成するステップと、を含む。誘電体層に対して不活性なおよび反応性のある金属ペーストの誘電体層への塗布は、スクリーン印刷を用いて実行することができる。第一構造体の最小寸法および第二構造体の最大寸法は、スクリーンの穴のサイズで設定される。焼成の後、誘電体層に対して不活性な金属ペーストは、誘電体層面上に金属層を形成し、誘電体層に対して反応性のある金属ペーストは、誘電体層を貫通して第一および/または第二構造体を形成する。望ましくは、誘電体層に対して不活性な金属ペーストは、望ましくは粉末状の金属と、随意的に、例えば、バインダ、溶剤、または焼結助剤など誘電体層に対して不活性な少なくとも一つの添加剤とを含有する、アルミニウム・ペーストなどの金属ペーストである。誘電体層に対して反応性のある金属ペーストは、望ましくは、例えば金属粉末などの金属と、例えばエッチャントなどの誘電体層に対して反応性のある少なくとも一つの添加剤と、随意的に、例えば、バインダ、溶剤、または焼結助剤など誘電体層に対して不活性な少なくとも一つの添加剤とを含有する金属ペーストである。例として、誘電体層に対して反応性のあるペーストに、エッチャントとしてガラス・フリットを含有するアルミニウム・ペーストがある。
【0022】
さらなる好適な実施形態において、金属層およびコンタクト構造体を形成するステップは、誘電体層中に、第一構造体を生成するのに適した少なくとも一つの第一穴および/または第二構造体を生成するのに適した少なくとも一つの第二穴を形成するステップと、金属ペーストで、少なくとも一つの第一穴および/または少なくとも一つの第二穴を充填し、誘電体層をコーティングするステップと、焼成するステップとを含む。この変型方法において、誘電体層は配列穿孔され、この穿孔処理により生成された穴は金属ペーストによって充填される。金属ペーストとして、望ましくはアルミニウム・ペーストが用いられる。この金属ペーストは誘電体層に対して不活性である。第一構造体の最小寸法および第二構造体の最大寸法は、誘電体層の穿孔処理の過程で用いられるツールの調節によって設定される。半導体ウエハは、誘電体層中に少なくとも一つの第一穴および/または第二穴がある位置で露出される。アルミニウム・ペーストは、シリコン・ウエハと一緒に焼成される過程で、金属、誘電体層およびシリコン・ウエハの間に非常に堅固な付着構造を構成するアルミニウム−ケイ素共晶混合物を形成することが可能である。
【0023】
望ましくは、少なくとも一つの第一穴および/または少なくとも一つの第二穴は、レーザ・アブレーションを用いて形成される。レーザ・アブレーションは、誘電体層の元の状態を保つよう意図された箇所にクラックまたは破損を生じさせることなく、誘電体層を穿孔することを可能にする。レーザ・アブレーションは、誘電体層中に、極めて正確に所望のサイズの穴を生成することを可能にする。上記に換えて、穴を機械的に生成することも可能である。さらなる別法として、湿式化学的に穴を生成することが可能である。
【0024】
一つの好適な実施形態において、第二構造体は、LFC(レーザ照射コンタクト)の形で生成される。この場合、半導体ウエハと金属との間の結合は局所的に生成される。半導体ウエハがシリコン・ウエハであり、金属層がアルミニウム層である場合、アルミニウム−ケイ素共晶混合物が局所的に生成される。
【0025】
前述のように、第一構造体および第二構造体はいろいろな方法ステップで生成することができる。例として、第一構造体は、前述した、誘電体層に対して反応性のある金属ペーストの塗布およびその後の焼成によって生成することができ、第二構造体をLFCの形で生成することができる。上記に換えて、第一構造体は、前述した、誘電体層中に穴を形成し、その穴に誘電体層に対して不活性な金属ペーストを充填し、その後焼成する手順によって生成することができ、第二構造体をLFCの形で生成することができる。さらなる別法として、第一構造体は、前述した、誘電体層に対して反応性のある金属ペーストの塗布によって生成することができ、第二構造体は、前述した、誘電体層中に穴を形成し、その穴に誘電体層に対して不活性な金属ペーストを充填し、その後に焼成する手順によって生成することができる。さらなる別法として、第一構造体は、前述した、誘電体層中に穴を形成し、その穴に誘電体層に対して不活性な金属ペーストを充填する手順によって生成することができ、第二構造体は、前述した、誘電体層に反応性のある金属ペーストの塗布、およびその後の焼成によって生成することができる。
【0026】
さらに、第一構造体および第二構造体は、共通の方法ステップによって生成することも可能である。例として、第一構造体および第二構造体は、前述した、誘電体層に対して反応性のある金属ペーストの塗布、およびその後の焼成によって生成することができる。これに換えて、第一構造体および第二構造体は、前述した、誘電体層中に穴を形成し、その穴に誘電体層に対して不活性な金属ペーストを充填し、その後に焼成する手順によって生成することも可能である。
【0027】
一つの好適な作製方法の実施形態において、半導体ウエハと反対面の金属層の表面の、平面図で第一構造体にオーバーラップする少なくとも一つの領域中に、少なくとも一つのコネクタが取り付けられる。コネクタは、例えばボンディングまたははんだ付けによって取り付けられ、望ましくは、さらなる太陽電池と相互接続するのに適したアルミニウム・リボンである。
【0028】
望ましくは、本作製方法は、少なくとも一つの第一構造体中のアルミニウム−ケイ素共晶混合物を露出し、第一構造体のアルミニウム−ケイ素共晶混合物を各コネクタに超音波冷間圧接するステップを含む。本例では、半導体ウエハはシリコン・ウエハであり、金属層はアルミニウム層である。この露出は、レーザ・アブレーションによって達成することができる。また、上記に換えて、金属層の機械的穿孔処理によって露出を得ることも可能である。超音波冷間圧接を用いることによって、アルミニウム−ケイ素共晶混合物は、例えばアルミニウム・テープなどのコネクタに密着コンタクト結合される。かかる太陽電池の少なくとも一つの第一構造体および少なくとも一つの第二構造体は、前述した、第一および/または第二構造体を形成するための方法ステップのいずれによっても作製することができる。
【0029】
本発明は図面に制約されるものではないが、これら図面を参照しながら、以下に本発明をさらに詳細に説明する。