特許第6162122号(P6162122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6162122ストラップ用ラチェット装置及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162122
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】ストラップ用ラチェット装置及びその使用
(51)【国際特許分類】
   F16G 11/12 20060101AFI20170703BHJP
   B60P 7/135 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   F16G11/12 J
   B60P7/135
【請求項の数】30
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-530622(P2014-530622)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-532151(P2014-532151A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】NZ2012000165
(87)【国際公開番号】WO2013039408
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】61/535,681
(32)【優先日】2011年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514062507
【氏名又は名称】アーマー ホールディングス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ARMOUR HOLDINGS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アーマー,バリー ダグラス
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−130170(JP,U)
【文献】 特開2005−211254(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/001714(WO,A1)
【文献】 実開平01−069937(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 11/12
B60P 7/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップ用ラチェット装置において、
第一の側枠および第二の側枠を有する本体であって、前記第一の側枠および前記第二の側枠が基部により互いに取り付けられている、本体と、
スプールであって、前記第一の側枠によって回転可能に支持される第一の側部と、前記スプールに固定されたラチェットホイールと、前記第二の側枠に接続されていない第二の側部とを有するスプールと
を含み、
前記本体がさらに、前記第二の側枠に取り付けられかつ開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な可動部材を含み、前記開放位置では前記スプールの第二の側部が露出され、ストラップを前記スプールの前記露出された側部から前記スプールに横方向に取り付けること、および前記スプールから横方向に取りだすことが可能になり、前記閉鎖位置では前記横方向の取付けおよび取出しが防止されることを特徴とするストラップ用ラチェット装置
【請求項2】
請求項1に記載のラチェット装置において、前記スプールがハブを含み、およびスロットが前記スプールの前記露出された側部から前記ハブの中に延び、それにより前記ストラップを横から前記スロットに供給できることを特徴とするラチェット装置。
【請求項3】
請求項2に記載のラチェット装置において、前記ハブが複数の別個のハブ構成要素を含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項4】
請求項3に記載のラチェット装置において、回転可能なスペーサを含み、前記回転可能なスペーサは、負荷下での前記ハブ構成要素間の前記ストラップの圧縮を最小化するために、前記可動部材に回転可能に取り付けられ、かつ前記可動部材が前記閉鎖位置にあるとき、前記スプールの前記第二の側部と結合するように構成されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項5】
請求項4に記載のラチェット装置において、前記スプールの前記第二の側部が、前記スロットに隣接するキャビティを含み、および前記回転可能なスペーサの一部が前記キャビティ内で係合するように構成されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のラチェット装置において、前記回転可能なスペーサは、前記可動部材の開放の防止に役立つことを特徴とするラチェット装置。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記ハブは、前記ストラップをその幅にわたって曲げることなく前記ストラップを横から前記スロットに供給できるように構成されていることを特徴とするラチェット装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記スプールが、前記本体の前記第一の側枠によって回転可能に支持される前記スプールの前記第一の側部に、またはそれに隣接して配置された2つのラチェットホイールを含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項9】
請求項8に記載のラチェット装置において、1つのラチェットホイールが、前記本体の前記第一の側枠の両側に配置されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のラチェット装置がさらに、前記可動部材を前記閉鎖位置にロックするためのロック部分を含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項11】
請求項10に記載のラチェット装置が、前記スプールの巻出しに抵抗するために前記本体に取り付けられた抵抗つめを含み、前記抵抗つめの一部が前記ロック部分の一部を形成することを特徴とする、ラチェット装置。
【請求項12】
請求項11に記載のラチェット装置において、前記抵抗つめは、前記抵抗つめが前記ラチェットホイールと係合しているときに前記ロック部分がロック構造状態にあり、前記抵抗つめが前記ラチェットホイールから外れているときに前記ロック部分がロック解除構造状態にあるように構成されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項13】
請求項12に記載のラチェット装置において、前記抵抗つめが前記ラチェットホイールと係合するように付勢されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項14】
請求項12または13の何れか1項に記載のラチェット装置が、前記スプールの移動を駆動するラチェット駆動アームを含み、前記ラチェット駆動アームが閉鎖位置とロック解除位置との間で前記本体に対して移動可能であり、前記ラチェット駆動アームは、前記ラチェット駆動アームが前記ロック解除位置に移動するとき、前記抵抗つめを前記ラチェットホイールとの係合から外し、それにより前記ロック部分を前記ロック解除構造状態に移動するように構成されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項15】
請求項14に記載のラチェット装置において、前記ラチェット駆動アームが、スペーサによって分離された2つのタインと、前記タインの間に収容されるラチェット駆動つめとを含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項16】
請求項15に記載のラチェット装置において、前記スプールが、前記本体の前記第一の側枠によって回転可能に支持される前記スプールの前記側部に、またはそれに隣接して配置された2つのラチェットホイールを含み、1つのラチェットホイールが前記本体の前記第一の側枠の両側に配置され、および1つのタインが、前記各ラチェットホイールの、前記本体の前記第一の側枠と反対側に、各ラチェットホイールに隣接して配置されることを特徴とするラチェット装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載のラチェット装置において、前記ラチェット駆動つめを前記ラチェットホイールから外すための解除部材を含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項18】
請求項17に記載のラチェット装置において、前記ラチェット駆動アームは、前記ラチェット駆動つめが前記解除部材によって解除されるときのみ、前記ロック解除位置に移動できることを特徴とするラチェット装置。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記可動部材が支持部材として構成され、かつ前記可動部材が前記閉鎖位置にあるとき、前記スプールの前記第二の側部を支持することを特徴とするラチェット装置。
【請求項20】
請求項19に記載のラチェット装置において、前記スプールが、前記可動部材の前記閉鎖位置への移動を補助するために、前記第二の側部において丸い外形を有することを特徴とするラチェット装置。
【請求項21】
請求項19または20に記載のラチェット装置において、前記スプールが、前記閉鎖位置にあるとき前記可動部材の一部を受けるための溝を含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項22】
請求項19乃至21の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記本体が、前記可動部材の前記閉鎖位置への移動を案内するための少なくとも1つの案内部を含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項23】
請求項22に記載のラチェット装置において、前記本体が2つの離間した案内部を含み、各案内部が、使用中の前記スプールのねじれを最小化することを助けるために、前記閉鎖位置にあるとき前記可動部材の各部分を支持することを特徴とするラチェット装置。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記可動部材が、前記スプールの回転軸と実質的に平行な軸の周りで前記本体に回動可能に取り付けられることを特徴とするラチェット装置。
【請求項25】
請求項1乃至23の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記可動部材が、前記スプールの回転軸と実質的に垂直な軸の周りで前記本体に回動可能に取り付けられることを特徴とするラチェット装置。
【請求項26】
請求項25に記載のラチェット装置において、前記軸が、前記スプールから離れた前記本体の端部に、またはそれに隣接して配置され、および前記可動部材が、前記可動部材に対する支持を提供するために前記可動部材が前記閉鎖位置にあるときに前記可動部材が前記本体の一部と係合する開口を含むことを特徴とするラチェット装置。
【請求項27】
請求項1乃至23の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記可動部材が前記本体に摺動可能に取り付けられることを特徴とするラチェット装置。
【請求項28】
請求項1乃至27の何れか1項に記載のラチェット装置において、前記ラチェット装置が持ち運び可能かつ再使用可能であることを特徴とするラチェット装置。
【請求項29】
請求項1乃至28の何れか1項に記載のラチェット装置の使用において、荷物を乗り物または台に固定するためであることを特徴とする使用。
【請求項30】
請求項29に記載の使用において、前記ラチェット装置が最初に前記荷物を固定するためにストラップとともに使用され、前記ストラップが適所に置かれた後、前記ストラップに追加の張力を提供するために追加のラチェット装置が使用されることを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラチェット装置に関し、特に荷物をストラップで固定する際に使用するためのラチェット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を乗り物の荷台、床または台に固定するためにストラップを備えたラチェット装置が一般に使用されている。通常、荷物を固定するために、ストラップの一端が荷台、床または台の片側の固定点に定着され、ストラップの残りが荷物の上または周りに配置され、かつ荷台、床または台の反対側に渡され、そこでストラップがラチェット装置によって固定される。あるいは、ストラップの一端が荷物に結合され、ストラップの他端がラチェット装置によって固定されてもよい。
【0003】
トラックの場合、ストラップの端部は通常、荷台または摩擦レールに定着される。ストラップの定着されない端部は、ストラップが荷物の上でかなり張った状態に保持されるまで、ラチェット装置のスプールにストラップを通すことによって、ラチェット装置に供給される。ある長さのストラップを長手方向にスプールに通すことは、困難でありかつ時間がかかる場合がある。ストラップの定着されない端部がスプールに一回供給されて初めて、装置のラチェット機構を係合することができる。
【0004】
一般的にストラップは片手でスプールを通して引かれ、その間使用者はストラップの張力を維持すべくもう一方の手でストラップの定着された端部に十分な張力を保とうとする。同様に、ストラップを解くとき、ラチェットが自由に巻き出すことができるように、定着された端部に十分な張力が維持されなければならない。これは張力のかかったストラップを保持しながら、時に乗り物または荷台から後方へ歩くことを必要とし、およびこれはスプールと係合されるストラップの全長に応じてある距離を必要とする場合がある。このような移動は、荷揚げ湾または道路など密閉された空間で作業するとき理想的でなく、また、人を固定された物体または近づいてくる乗り物に向かって歩かせることになる恐れがある。
【0005】
本発明の少なくとも好ましい実施形態の目的は、ストラップを迅速かつ容易に取り付けるまたは取り出すことができる改善されたラチェット装置を提供すること、または一般大衆に有用な代替品を少なくとも提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明のある態様によれば、ストラップ用ラチェット装置が提供され、このラチェット装置は、側枠を有する本体;およびスプールであって側枠によって回転可能に支持される側部とスプールに固定されたラチェットホイールとを有するスプールを含み、本体はさらに、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な部材を含み、開放位置ではスプールの他方の側部が露出され、ストラップをスプールの露出された側部からスプールに横方向に取り付けること、およびスプールから横方向に取り出すことが可能になり、閉鎖位置では前記横方向の取付けおよび取出しは防止される。
【0007】
この構成により、ストラップを一端から全体的に供給する必要なく、ストラップを横方向に取り付けかつ取り出すことが可能になる。
【0008】
ある実施形態では、スプールは、ハブと、スロットであってストラップをスロットに横から供給できるようにスプールの露出された側部からハブの中に延びるスロットとを含む。好ましくは、ハブは、ストラップをその幅にわたって曲げることなくストラップを横からスロットに供給できるように構成される。
【0009】
代替の実施形態では、スロットが露出された側部からスプールのハブの中に延びるのではなく、保持特徴部がスプールに設けられてもよく、それによりストラップの一部を、スプールの露出された側部から保持特徴部とハブの間にスプールに横方向に取り付けた後、初期巻き取りのため保持特徴部とハブの間に挿入可能である。保持特徴部は、例えばラチェットホイールに固定されかつハブと実質的に平行に延びるアームなど、いずれかの適切な形状であってもよい。この実施形態では、ハブは実質的に中実であってもよい。
【0010】
スプールのハブは、ハブと、ハブに固定されたラチェットホイールとを含む単一の一体的に形成された構成要素を含んでもよい。あるいは、スプールのハブは、本体に対してともに回転するように互いに固定された複数の別個のハブ構成要素を含んでもよい。ある実施形態では、スプールのハブは、スロットを間に形成する2つの別々に形成されたハブ構成要素を含む。
【0011】
ある実施形態では、回転可能なスペーサが、可動部材に回転可能に取り付けられ、可動部材が閉鎖位置にあるときにスプールの前記他方の側部と結合し、スプールの前記他方の側部を支持し、負荷による複数のハブ構成要素間でのストラップの圧縮を最小化するように構成される。回転可能なスペーサの一部は、前記スロット内で係合するように構成されてもよい。あるいは、キャビティが、スロットに隣接するスプールの前記他方の側部に配置されてもよく、および回転可能なスペーサの一部が、前記キャビティと結合するように構成されてもよい。回転可能なスペーサは、可動部材の開放防止にも役立ち得る。
【0012】
ある実施形態では、スペーサハウジングが可動部材に固定され、回転可能なスペーサはスペーサハウジングに回転可能に取り付けられる。
【0013】
ある実施形態では、支持部材が閉鎖位置に移動するとき、スプールと結合すべく所望の向きに回転可能なスペーサを維持するために、回転可能なスペーサと可動部材またはスペーサハウジングとの間に付勢装置が設けられる。好ましくは、付勢装置は、ばねワッシャを含む。
【0014】
ある実施形態では、スプールは、本体の側枠によって回転可能に支持されるスプールの側部に、またはそれに隣接して配置された2つのラチェットホイールを含み、ラチェットホイールはスプールとともに回転するように構成される。好ましくは、1つのラチェットホイールが、本体の側枠の両側に配置される。
【0015】
ラチェットホイールは、スプールの残部と一体的に形成されてもよい。あるいは、ラチェットホイールは、スプールの残部と別々に形成されてもよく、本体に対してともに回転するようにスプールのハブに固定されてもよい。スプールのハブが2つの別々に形成された構成要素を含む2つの別々に形成されたラチェットホイールを含む実施形態では、スプールはさらに、スプール組立体を一緒に保持するために複数のピンを含んでもよい。
【0016】
ある実施形態では、装置はさらに、可動部材を閉鎖位置にロックするためのロック部分を含む。装置は、スプールの巻出しに抵抗するために本体に取り付けられた抵抗つめを含んでもよく、抵抗つめの一部がロック部分の一部を形成する。抵抗つめは、抵抗つめがラチェットホイールと結合しているときにロック部分がロック構造状態にあり、および抵抗つめがラチェットホイールから外れているときにロック部分がロック解除構造状態にあるように、構成してもよい。
【0017】
抵抗つめは好ましくはラチェットホイールと結合するように付勢される。
【0018】
装置は、スプールの移動を駆動するラチェット駆動アームを含んでもよく、ラチェット駆動アームは閉鎖位置とロック解除位置との間で本体に対して移動可能であり、およびラチェット駆動アームは、ラチェット駆動アームがロック解除位置に移動すると、抵抗つめをラチェットホイールとの結合から切り離し、それによりロック部分をロック解除構造状態に移動させるように構成される。ラチェット駆動アームは、スペーサによって分離された2つのタインと、タインの間に収容されたラチェット駆動つめとを含んでもよい。
【0019】
本体の側枠によって回転可能に支持されるスプールの側部に、またはそれに隣接して配置される2つのラチェットホイールをスプールが含み、1つのラチェットホイールが本体の側枠の両側に配置される実施形態では、1つのタインが、各ラチェットホイールの、本体の側枠と反対の側において、各ラチェットホイールに隣接して配置されてもよい。
【0020】
装置は、ラチェット駆動つめをラチェットホイールから外すための解除部材を含んでもよい。ある実施形態では、ラチェット駆動アームは、ラチェット駆動つめが解除部材によって解除されるときのみ、ロック解除位置に移動することができる。
【0021】
ある実施形態では、可動部材は支持部材として構成され、可動部材が閉鎖位置にあるとき、スプールの前記他方の側部を支持する。スプールは、可動支持部材の閉鎖位置への移動を補助するために、前記他方の側部において丸い外形を有してもよい。スプールは、閉鎖位置にあるときに可動支持部材の一部を受け入れるための溝を含んでもよい。
【0022】
本体は、可動支持部材の閉鎖位置への移動を案内するための少なくとも1つの案内部を含んでもよい。ある実施形態では、本体は2つの離間された案内部を含み、各案内部は、使用中のスプールのねじれを最小化することを補助するために、閉鎖位置にあるとき可動支持部材のそれぞれの部分を支持する。
【0023】
可動部材は、スプール部材の回転軸と実質的に平行な軸の周りで本体に回動可能に取り付けられてもよい。あるいは、可動部材は本体に摺動可能に取り付けられてもよい。好ましい実施形態では、可動部材は、スプールの回転軸と実質的に垂直な軸の周りで本体に回動可能に取り付けられる。
【0024】
ある実施形態では、ラチェット装置は持ち運び可能かつ再使用可能である。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、荷物を乗り物または台に固定するための、上の第1の態様に関連して概説したようなラチェット装置の使用が提供される。乗り物は、例えばトラック、ボート、飛行機またはコンテナなど、いずれかの適切な種類であってもよい。ある実施形態では、ラチェット装置は最初に荷物を固定するためにストラップとともに使用され、ストラップが適所に置かれた後、追加の類似のラチェット装置が追加の張力をストラップに与えるために使用される。
【0026】
用語「含む(comprising)」は本明細書で使用される際「〜から少なくとも部分的になる(consisting at least in part of)」を意味する。用語「含む」を含有する本明細書中の各記述を解釈するとき、その用語によって前置きされる特徴以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの関連する用語は、同じように解釈されるべきである。
【0027】
本発明は前述にあり、そしてまた、構成を構想し、構成から後述は例のみを提示する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、添付図面を参照する、単に例として提示されるその好ましい実施形態の以下の記載から、より明確に理解される。
【0029】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による荷物固定ラチェット装置の下からの斜視図であり、ラチェット駆動アームがロック解除位置にある。
図2図2は、図1のラチェット装置の上からの斜視図である。
図3図3は、図1のラチェット装置の上からの斜視図であり、ラチェット駆動アームが閉鎖位置にある。
図4図4は、図1のラチェット装置のスプールの斜視図である。
図5図5は、図1のラチェット装置の上からの斜視図であり、駆動つめが明確に見えるようにラチェット駆動アームの一方の部材が示されていない。
図6図6は、図1のラチェット装置の上からの側面斜視図であり、抵抗つめを外し、かつ支持部材ロック部分を解除するラチェット駆動アームの偏心部分を示す。
図7図7は、図1のラチェット装置の上からの斜視図であり、支持部材が開放位置にあり、それによりストラップをスプールの露出された側部からスプールに横方向に取り付けることができる。
図8図8は、図7の構成にあるラチェット装置の上からの平面図である。
図9図9は、図7の構成にあるラチェット装置の上からの斜視図であり、ストラップのスプールへの初期取り付けを示している。
図10図10は、図9の初期取り付け構成にあるラチェット装置の上からの別の斜視図であり、駆動つめが明確に見えるようにラチェット駆動アームの一方の部材が示されていない。
図11図11は、ストラップのラチェット装置への初期取り付け後の上からの斜視図であり、支持部材はスプールの側部を支持するために閉鎖位置にある。
図12図12は、上からの斜視図であり、ラチェット駆動アームがストラップをスプールに巻き取るために使用され、スプールに部分的に巻き取られたストラップが示されている。
図13図13は、図12に一致する上からの斜視図であるが、他の側からの図である。
図14図14は、図13に類似の上からの斜視図であるが、ラチェットホイールと結合された駆動つめを示すためにラチェット駆動アームの一方のタインが取り除かれている。
図15図15は、本発明の第2の実施形態による荷物固定ラチェット装置の上からの斜視図である。
図16図16は、図15のラチェット装置の他の側の上からの斜視図である。
図17図17は、図15のラチェット装置の上からの図であり、ラチェット駆動アームはロック解除位置にあり、支持部材は開放位置にある。
図18図18は、図15のラチェット装置の上からの図であり、ラチェット駆動アームおよび支持部材は開放位置にある。
図19図19は、図15の実施形態のスプールの図である。
図20図20は、回転可能なスペーサと結合するためのキャビティを示す、図19のスプールの2部品構成ハブの一部の側面図である。
図21図21は、キャビティの各部分を示す、図20の2部品構成ハブの一方のハブ構成要素の図である。
図22図22は、図19のスプールのラチェットホイールの1つの図である。
図23図23は、回転可能なスペーサ、および回転可能なスペーサを図15の実施形態の可動支持部材に取り付けるスペーサハウジングの図である。
図24図24は、図15の実施形態の回転可能なスペーサ構成要素の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜14を参照すると、全体的に参照番号1で示される本発明の第1の実施形態による再使用可能な、横からストラップを取り付ける荷物固定ラチェット装置が示されている。ラチェット装置は荷物を固定するストラップを締め付けるために使用するのに適している。そのようなストラップは、一般的に、固定されるべき荷物の上または周りに配置され、その後ラチェット装置を使用して一端で締め付けられる。あるいは、ストラップの一端を荷物に固定し、ストラップの他端をラチェット装置を使用して締め付けることができる。さらに別の代替的な構成では、ラチェット装置を固定されるべき荷物に取り付け、ストラップの一端を定着点に接続し、ストラップの他端をラチェット装置によって締め付けてもよい。
【0031】
ストラップは、例えば縛り付け用ストラップなど、ラチェット装置と組み合わせて荷物を支持するのに適したどのような種類のストラップ、ストロップ(strop)、または他の柔軟な細長い部材であってもよい。ストラップは、必ずではないけれども一般に、その深さ寸法より大きい幅寸法を有し得る。
【0032】
好ましくは、ラチェット装置およびストラップは、例えば乗り物または台で輸送される装置などの産業用荷物を固定するのに好適であり得る。
【0033】
ラチェット装置1は、基部7と、基部から上に延びる反対側に配置された一対の側枠9および11とを有する本体5を含む。示される形態ではスリーブを含む横部材13が、側枠9、11の間に延びる。横部材13は、ストラップ要素またはラチェット装置の本体を支持体に結合するための他の装置を受ける支持体としての役割を果たす。図9〜14に示されるように、ストラップ要素15は横部材13に固定される。示される形態では、ストラップ要素15は一般的に短い長さのものであり、ラチェット装置を固定用デッキまたは台(不図示)のレールまたは荷物定着部(同じく不図示)に結合するためのフックまたは捕捉部などの結合具17を自由端部に含む。適切な荷物定着部の例が、米国特許第7,811,036号明細書に記載されている。その明細書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、およびその明細書は、本発明の装置の使用に適切であり得る環境の1つだけを示し記載している。ストラップ要素は他のいかなる適切な構成を有してもよい。ストラップ要素15を荷物定着部に結合するためにフック要素が結合具17に、または結合具17の代わりに設けられてもよい。
【0034】
別の代替的構成として、本体の一部を、乗り物または台の定着点に直接固定してもよく、およびストラップ要素15および結合具17を使用しなくてもよい。
【0035】
スプール19が、側枠9の開口を介して、本体5に回転可能に取り付けられる。スプール19は本体5に対して回転軸RAの周りで回転可能である。スプール19は、一方の側部19aに、または一方の側部19aに向かって固定式に取り付けられたラチェットホイール2
1と、それから延びる2つのハブ部23a、23bとを有する。ラチェットホイールは傾斜した歯を有し、傾斜した歯は駆動つめによって一方向に駆動するのに適しているが、反対方向において駆動つめが歯を通り越すことを可能にする。
【0036】
スロット25が2つのハブ部23a、23bの間に画定され、スロット25は、スプールの真中を部分的に横切って延びるようにスプールの回転軸RAと同軸である。スロットは、スプールの、ラチェットホイールと反対の側部19bに開口され、スプールの幅の約80%にわたりスプールの中に延びる。スロットは、以下で記載するように、締め付けられるストラップ要素の一部を受け入れるためのものである。
【0037】
各ハブ部23a、23bは、ラチェットホイールと反対側の端部に隣接して設けられた円弧スロット27a、27bを有する。ラチェットホイールと反対側の各ハブ部の端部29a、29bは丸められ、それによりスプールの側部19bは丸い外形を有する。
【0038】
ラチェット装置1はまた、スプールのラチェットホイール21の周りに回転可能に結合された基端31aを備えたラチェット駆動アーム31を含む。駆動アームは本体に対し、完全に開放されたロック解除位置(例えば図1)と、閉鎖位置(例えば図3)との間で移動可能であり、完全に開放されたロック解除位置ではドライブアームの駆動つめ39がラチェットホイール21と係合せず、および駆動アームが本体から延び、閉鎖位置では駆動アームの駆動つめ39がラチェットホイール21と係合し、および駆動アームが本体に隣接して位置付けられる。駆動アーム31はまた、駆動つめがラチェットホイールと係合する複数の中間位置の間で移動可能であり、中間位置の1つが図12に示されている。
【0039】
駆動アーム31の先端31bは、使用者が握るためのハンドルとしての役割を果たす横部材33を有する。駆動アーム31は、駆動アームの主体を形成する一対の離間したタイン35a、35bを有する。ハンドル33は、ハンドルによるラチェットホイールの捩れを最小化するために、駆動アームの主体の両側から延びてもよい。タイン35a、35bは同軸の開口部37a、37bおよび凹部38aおよび38bを有する。スプールの側部19aはプレート35aの開口部37aを介して延び、スプールのハブ部23a、23bはプレート35bの開口部37bを介して延びる。スプール19のラチェットホイール21は、駆動アームの2つのタイン35a、35bの間に位置付けられる。側枠9の一部は、ラチェットホイール21とプレート35bの間に位置付けられ、スプールのハブ部23a、23bは、スプールを本体に回転可能に取り付けるために、側枠9の開口を介して延びている。
【0040】
図5に示されるように、駆動アーム31は、タイン35aと35bの間に配置される駆動つめ39を有する。駆動つめ39は駆動アームの長手方向においてタイン35a、35bに対して調整可能である。スプールに隣接する駆動つめ39の端部は、タイン35a、35bのスロット35a’、35b’に摺動可能に取り付けられる。第1スペーサ41および第2スペーサ43が側方タイン35a、35bの間に延びる。示される形態ではねじりばねである付勢装置45が第1スペーサ41に取り付けられ、駆動つめ39をラチェットホイールと係合するように付勢する。
【0041】
横方向解除レバー47を含む駆動つめ解除装置が設けられ、横方向解除レバー47は、ラチェットホイールから離れた駆動つめ39の端部に接続されるか、その一部であり、本体のプレート35bのスロットを通って延びる。図3に示されるように、使用者は解除レバー47を、ラチェットホイール21から離れハンドル33に向かう解除方向RDに引いて、駆動つめをラチェットホイール21から外すことができる。使用者が解除レバー47から力を離すと、付勢装置45は駆動つめ39をラチェットホイール21と係合するように戻す。
【0042】
抵抗つめ51が、本体の基部7に、回動ピン53を介して回動可能に取り付けられる。抵抗つめ51のラチェットホイール係合端部54が、側枠9の細長いスロット9’を介して延び、付勢装置57によってラチェットホイール21と係合するように付勢される。示される形態では、付勢装置はねじりばねである。駆動アーム31は、駆動つめ39を外すように、横方向解除レバー47を使用することなく、図3の閉鎖位置から中間位置を経て前後に移動可能である。ストッパ9aが、図3に示されるように、側枠9に設けられる。ストッパ9aは駆動つめ39によって接触され、駆動アームが最外中間位置を越えて図1のロック解除位置へ移動することを防止する。駆動アーム31を図1のロック解除位置へ移動するために、使用者は、駆動つめ39がラチェットホイールを離れてストッパ9aを越えるように、解除レバー47を引かなければならない。
【0043】
図7からもっともよく理解できるように、本体の側枠11は、側枠9より短い。側枠11は、スプールハブ部23a、23bの手前の位置で終端する。側枠はその自由端部に、またはそれに隣接して上側および下側案内要素11a、11bを有し、これら案内要素は側枠9と反対の方向に突き出ている。側枠11はまた、自由端部に隣接して配置された細長いスロット11’を有する。
【0044】
可動部材は、ヒンジ63を介して本体5に回動式に取り付けられたアーム61を含む。ヒンジ63は、横スリーブ13を通って延びるボルト14によって側枠11に固定される。ヒンジはボルトによって保持されるプレートを含み、プレートは可動アームの一部を受け入れる円弧部分63aを有する。プレートのボルト端部と反対側のプレートの部分は、本体の開口内に延びる突起63bを有する。突起63bは本体に対してプレート、従って可動アーム61の回動軸を固定し、その結果、可動アームは正しく位置合わせされた状態に保持される。
【0045】
好ましくは、可動アーム61は支持アームとして構成され、かつ閉鎖位置(例えば図1〜3に示される)と開放位置(例えば図7〜10に示される)との間で移動可能であり、閉鎖位置ではスプール19の側部19bを支持し、開放位置ではスプール19の同じ側部19bが露出され、それによりストラップ16をスプールの露出された側部19bからスプールの中に横方向に取り付けることが可能になる。可動支持アーム61は側枠11とともに、本体の側枠9と反対の側面を形成する。
【0046】
ヒンジ63と反対側の可動支持アーム61の端部は開口65を有し、開口65を介して、可動支持アーム61が閉鎖位置にあるとき、スプール19の側部19bが受け入れられる。スプール19の露出された側部19bの丸められた外形によって、可動支持アーム61が閉鎖位置に移動するとき、開口65を介したスプールの側部19bの容易な移動が促進される。
【0047】
ハブ部23a、23bの円弧スロット27a、27bは、実質的に環状の凹部を形成し、その中に、可動支持アーム61の開口65の縁部が、閉鎖位置にあるとき、配置される。可動支持アーム61が閉鎖位置へ移動するとき、可動支持アームの開口65の縁部は、可動支持アーム61の回動軸からもっとも遠くに位置付けられているハブ部23bの凹部27aに少なくとも位置付けられる。開口65の縁部は、可動支持アームが閉鎖位置に移動するとき、凹部27aと係合するように好ましくは嵌め込まれる。スプールが回転されるとき、他方のハブ部23bの凹部は、可動支持アーム61の回動軸からもっとも遠くに離された開口の縁部と接触するように移動する。従って可動支持アームは、スプールの端部19bに、本体の横部材13の方へ引張り力を適用し、使用中スプールを安定化し、かつ支持する。
【0048】
代替的な構成では、可動支持アーム61は、可動支持アーム61が閉鎖位置にあるとき、スプールの端部19bに、本体の横部材13から外方へ向かう方向に押し力を適用するために、スプールの端部19bと相互作用してもよい。さらに別の構成では、スプールのハブ部23a、23bの両凹部27a、27bは、可動支持アームが閉鎖位置にあるとき、可動支持アームの開口65と同時に係合する。さらに別の構成では、可動支持アーム61は、スプールがストラップ要素をスプール上に巻くために使用されるとき、スプールが実質的にねじれないように、スプールの端部19bと比較的緩く嵌合されてもよい。代替的な構成では、可動アームまたは部材は、スプールの端部19bと物理的に係合しなくてもよいが、ストラップがスプールから横方向に外れることを防止するように、閉鎖位置にあるときスプールの端部19bのすぐ近くに位置付けられてもよい。
【0049】
上側および下側案内要素11a、11bは、可動支持アーム61の閉鎖位置への移動を案内する。支持アーム61は、案内要素を受け入れる上側および下側凹部61a、61bを有する。案内要素11a、11bはまた、ストラップを取り付け、スプールの側部19bを支持し、使用中スプールが本体に対してねじれないようにするために、閉鎖位置にあるときおよびラチェット装置が使用されているとき、支持アーム61の移動を制限するのに役立つ。
【0050】
装置1はまた、可動支持アームを閉鎖位置にロックするためのロック部分を有する。ラチェットホイールと係合する端部54と反対側の抵抗つめ51の端部はロック部分材55を含み、ロック部材55は概ねフック状であり、側枠11のスロット11’、および可動支持アーム61が側枠11に対して閉鎖位置にあるとき、スロット11’と位置合わせされる可動支持アーム61のスロット61’を通って延びる。フック55はヒンジ63に向かう方向に向けられ、かつ回動軸53および抵抗つめに作用するばね57の構成の結果として、その方向に付勢される。抵抗つめ51のフック状ロック端部55は、抵抗つめ51が係合されているとき可動支持アーム61を閉鎖位置にロックし、抵抗つめ51が外されているとき可動支持アーム61をロック解除する。
【0051】
ラチェット駆動アーム31の凹部38a、38bは、ラチェット駆動アーム31が閉鎖位置にあるとき、抵抗つめ51のラチェットホイール係合端部54に当接する。これにより抵抗つめ51がラチェットホイールから外されることが防止される。従って、フック状ロック部材55は、ラチェット駆動アーム31が図3に示されるように閉鎖位置にあるとき、抵抗つめ51の一部が凹部38a、38bに位置付けられているので、可動支持アーム61を解放すべくロック解除されることは不可能である。これが、(荷物の輸送中など)いったん荷物が固定されるとラチェット装置が設定される状態である。
【0052】
駆動アーム31が図3に示される位置から中間位置の1つまで外方へ移動されたとき、凹部38a、38bは抵抗つめ51を解放する。その後使用者は、望むなら、ばね付勢に対抗して抵抗つめ51に力を手動で適用し、その結果抵抗つめ51はラチェットホイールから離れ、ロック部材55はロック解除位置へ移動する。それにより可動支持アーム61はロック解除され、スプールの端部19bを露出し、スプールに側部からストラップを取り付けるまたは取り出すことができるようにする。
【0053】
使用者は、可動支持アーム61をロック解除するために上に記載した方法で抵抗つめ51に手動で力を適用する必要はない。例えば図6で見ることができるように、駆動アーム31のタイン35a、35bの少なくとも一方に偏心部分36aが設けられ、偏心部分36aは、駆動アーム31がロック解除位置にあるとき、抵抗つめ51のラチェットホイール係合端部54をラチェットホイール21との係合から外れるようにばね付勢に対抗して押す。図6から、タイン35aが、スプールの開口ハウジング端部19aの周囲に、比較的小さい一定の寸法36bを有する領域を有していることを見ることができる。この領域は、駆動アーム31の閉鎖および中間位置において、ラチェットホイールと係合する。それら位置のそれぞれにおいて、抵抗つめ51は、使用者が抵抗つめをラチェットホイールから外すべく抵抗つめ51に力を手動で適用するまで、ラチェットホイール21と係合される。
【0054】
偏心部分36aは領域36bより大きい寸法を有する。抵抗つめ51は本体に対して回動されるので、駆動アーム31をロック解除位置へ移動して抵抗つめ51をラチェットホイール21から外すと、その移動により、抵抗つめのロック部材55が、ロック位置からロック解除位置へ自動的に移動され、その結果、可動支持アーム61を開放することができる。好ましくは、駆動つめ39は、駆動アーム31がロック解除位置にあるとき、側枠9の切欠き9b(図3)と係合し、その結果、使用者は駆動アーム31を閉鎖位置または中間位置の1つに戻すべく移動するために横方向解除レバー47を引く必要がある。
【0055】
フック部材55の外面55’は、湾曲されかつ角度を付けられる。その結果、可動支持アーム61を閉鎖するときに抵抗つめ51がばね57の付勢に対抗して外された位置に物理的に移動されていない場合、可動支持アームはばね57に優先してフック部材55を一時的に移動する。その後ばね57は、支持部材61を閉鎖位置にロックするためにフック部材55を付勢する。
【0056】
次に図25を参照して、使用中のラチェット装置1について記載する。
【0057】
ストラップ15を本体5の横部材13に接続し、結合具17を乗り物Vの荷物定着部などの適切な定着点に結合する。他のストラップ16を最初にラチェット装置1から分離し、その結合具18を、乗り物の荷物定着部など、固定すべき荷物の反対側の適切な支持部材に結合する。フック部材を結合具18に、またはその代わりに設けてもよい。ストラップ16の残りを、ラチェット装置1によって固定すべき荷物の上に、またはその周りに配置する。あるいは、ストラップの1つは、固定すべき荷物に接続することができる。使用者は、レバー47を引き、駆動アーム31をロック解除位置まで外方に移動することによって、図7に示される状態にラチェット装置を動かし、それにより抵抗つめ51がラチェットホイールから離され、可動支持アーム61をロック解除し、それにより可動支持アーム61を開放位置へ移動することができる。
【0058】
その後、ストラップ16の一部を、スプール19の中に、その露出された側部19bから、ストラップの幅方向に一致する横方向Lに取り付ける。スプール19のスロット25がスプールの露出された側部に開口しているので、ストラップを一端から全体として送る必要も、ストラップを幅にわたり曲げる必要もなく、ストラップをスロット25に横方向に供給することができる。
【0059】
その後、可動支持アーム61を閉鎖位置に戻す。続いて使用者は、駆動つめ39が本体の側枠9の切欠き9bを外れるように解除レバー47を引き、それにより駆動アーム31を閉鎖位置または中間位置の1つに戻すことが可能になる。駆動アームをロック解除位置から移動するとき、抵抗つめ51のばね付勢により抵抗つめはラチェットホイール21と再係合され、ロック部材55はロック位置に戻される。ロック部材55は、図11に示されるように、可動支持アーム61を閉鎖位置にロックする。閉鎖された可動支持アーム61により、ストラップ16に張力がほとんどまたは全くないとき、ストラップがスロット25から落下すること、および/またはスプール19の側部19bから落下することのどちらかが防止される。
【0060】
図12および13に示されるように、その後、駆動アーム31を閉鎖位置および中間位置の間で、巻取り方向Wとラチェット方向Rにおいて往復式に移動させることによって、ストラップ16をスプール19に巻き取ることができる。巻取り方向Wでは、駆動つめ39によってスプールは回転しかつストラップ16をスプール上に巻き取り、ラチェット方向Rでは、駆動つめは静止したラチェットホイール21の歯の上を通過する。駆動アーム31が巻取り方向Wに移動されているときに駆動つめ39がスプールを回転させるとき、抵抗つめ51は、回転するラチェットホイール21の移動する歯の上を通過する。駆動アーム31がラチェット方向Rに移動されているときに駆動つめが静止したラチェットホイールの歯の上を通過するとき、抵抗つめ51はラチェットホイールの移動に抵抗し、ラチェットホイールが巻き出すことおよびストラップ16の張力を解放することを制止する。
【0061】
図25は、荷物の右側でストラップ16のより長い部分に張力をかけるために使用されている第2の類似のラチェット装置1’を示している。最初に荷物Lを左側のラチェット装置1と、ラチェット装置1を乗り物Vの左側および右側に結合するストラップ15、16とによって固定する。しかしながら、荷物の右側の長い方のストラップ部分は、荷物の左側の短い方のストラップ部分より低い張力を有し得る。既に適所にある長い方のストラップ部分に追加の張力を与えるために、長い方のストラップ部分を、第2のラチェット装置1’のスプールに横方向に挿入し、長い方のストラップ部分を第2のラチェット装置1’のスプール周囲に巻き取り、上記と同じ方法で張力をかける。第2のラチェット装置1’を乗り物または荷物に別に結合する必要はなく、代わりに、それは既存のストラップの追加テンション装置としての役割をただ果たし得る。
【0062】
ラチェット装置は、荷物に張力が掛けられる期間を通して、例えば荷物を乗り物に載せて2地点間で輸送する間、ストラップ15、16によって適所に保持される。
【0063】
使用者が荷物を降ろすことを望むとき、最初にレバー47をハンドル33の方に引き、駆動つめ39をラチェットホイール21から外し、駆動アーム31を、例えば図11に示されるロック解除位置へ移動する。それにより再び、抵抗つめ51のラチェットホイール係合端部54はラチェットホイール21から外され、同時にロック部材55は可動支持アーム61との係合から開放され、その結果、支持アーム61を開放位置へ移動することができる。ラチェットホイール係合部分54をラチェットホイール51から離すことにより、ストラップがスプールから部分的に巻き出されることを許容することによって、ストラップ16の張力は解かれる。一度張力が解かれると、スプール19に依然巻かれているストラップの部分は、ストラップを完全に巻き出す必要もスプールから長手方向に送る必要もなく、方向Lと反対の横方向にスライドすることによって、取り出すことができる。一般的に第2のラチェット装置1’は、第1のラチェット装置1より前に解除されるであろう。
【0064】
その後ラチェット装置は上記の方法で再使用することができる。装置は好ましくは持ち運び可能であり、その結果、異なる乗り物または台に異なる荷物または同じ荷物を固定するために装置を容易に移動することができる。
【0065】
図15〜24は、本発明の第2の実施形態による再使用可能な横からストラップを取り付ける荷物固定ラチェット装置を示し、当該装置は参照番号101によって全体的に示されている。以下に記載しない限り、この実施形態の特徴、機能および使用は、図1〜14に関連して記載した第1の実施形態と同じであり、同様の参照番号は100を加えた同様の部品を示す。
【0066】
上に記載した第1の実施形態では、スプール19は装置と一体的に形成されたワンピース型であり、ラチェットホイール21もまたスプールの残部と一体的に形成されている。この第2の実施形態では、ハブの2つのハブ部が、本体に対して回転するように使用の際互いに固定される別個の構成要素123a、123bとして形成される。ハブ構成要素は、好ましくは製造の容易さについて同一である。
【0067】
単一のラチェットホイール21を有するのではなく、この実施形態ではスプールは2つのラチェットホイール121a、121bを含む。ラチェットホイール121a、121bはともに、側枠109の一方の側に位置付けられてもよい。好ましくは、しかしながら、ラチェットホイール121a、121bは、スプールの回転軸に沿って離間される。ラチェットホイールは、本体の側枠109によって回転可能に支持されるスプールの側部119aに、またはそれに隣接して位置付けられる。2つのラチェットホイール121a、121b間の間隔は、本体105の側枠109を受け入れるように寸法決めかつ構成され、1つのラチェットホイールが側枠109の両側に位置付けられる。ラチェットホイールが側枠109の片側のみに位置付けられたら、ラチェットホイールは曲げ負荷を抵抗つめ156に適用し得る。ラチェットホイールを側枠109の両側に配置することによって、曲げ負荷は回避され、負荷は本体の側枠109の両側において抵抗つめ151に実質的に等しく適用される。ラチェットホイール121a、121bは駆動アーム131の各タイン135a、135bの内側に位置付けられる。
【0068】
各ラチェットホイールは、2つの凹部121a’、121を含み、それらは図22に示されるように、寸法および形状がハブ構成要素123a、123bの外面と一致する。
【0069】
スプール119は複数のピン122a、122bも含む。第1のピン122aは第1のラチェットホイール121aから離間され、かつスプールの第1の側119aに隣接して配置される。ピンとラチェットホイール121aとの間の間隔は、駆動アームのタイン135aを受け入れるように寸法決めされ、構成される。第2のピン122bは、ラチェットホイール121bのスプールの側部119bに向かう側において、第2のラチェットホイール121bに隣接して配置される。
【0070】
スプール109を組み立て、スプールを本体105に取り付けるために、最初に2つのラチェットホイール121a、121bが本体の側枠109の両側に位置付けられる。駆動アーム131が適所に配置され、そのタイン135a、135bはラチェットホイールの両側にある。内側ピン122bがハブ構成要素123a、123bを通して位置付けられ、ハブ構成要素の端部119aは駆動アーム131、ラチェットホイール121a、121bおよび側枠109を通して挿入される。適所にあるとき、内側ピン122bは、駆動アーム131および/または側枠109の開口にぴったり収まり、その結果ピンは取り外すことができない。意図しない取外しを回避するべく蛇行性形状を有する他方のピン122aは、組立体を一緒に保持すべく、駆動アームの外側タイン135aの外側の2つのハブ構成要素123a、123bの開口を通して挿入される。ワッシャ(不図示)が外側タイン135aとピン122aの間に位置付けられてもよい。ハブ構成要素123a、123b、ラチェットホイール121a、121bおよびピン122a、122bを含むスプール119が、本体105に対してユニットとして回転するように一緒に固定される。
【0071】
図20および21に示されるように、スプール119の露出される端部119bは、スロット125に隣接するキャビティを含む。キャビティは、スロット125に隣接するハブ構成要素123a、123bの面の、前記構成要素の露出端部で終端する2つのキャビティ部分126a、126bによって形成される。キャビティ126a、126bは、可動支持部材161に回転可能に取り付けられる回転可能なスペーサ183と係合する。
【0072】
可動支持部材161が閉鎖された構成にあるときにスプールの露出端部119bを受け入れる可動支持部材161の領域において、スペーサハウジング181が可動支持部材161に固定される。スペーサハウジング181は、3つの支持板を備えた骨格部材として示されている。あるいは、スペーサハウジングは、完全に囲まれたボールまたはカバーを含んでもよく、または他のいずれかの適切な形状であってもよい。
【0073】
回転可能なスペーサ183は、スペーサハウジング181の開口に回転可能に取り付けられることによって、可動支持部材161に回転可能に取り付けられる。図23に示されるように、スペーサ183は、スペーサハウジング181の外側に配置されたヘッド185を有し、標準ワッシャ187とばねワッシャ189がヘッド185とスペーサハウジングの間に配置されてもよい。標準ワッシャ191がスペーサハウジングの一部の内側に配置される。
【0074】
図24に示されるように、回転可能なスペーサ183は、ワッシャ187、189、191を受けるための低減された直径のネック領域193が設けられる。回転可能なスペーサの内側部分195は、スプール119のキャビティ126a、126bと係合するように寸法決めされ構成され、回転可能なスペーサ183の最内部197は、可動支持部材161が閉鎖位置に移動するときに回転可能なスペーサをスプールのキャビティに容易に挿入できるようにテーパ状にされる。標準ワッシャ187、191によって回転可能なスペーサはスプールが本体105に対して回転するときスプール119とともに回転することが可能になり、ばねワッシャ189は可動支持部材161が閉鎖された構成に移動するときにスプールと結合すべく回転可能なスペーサを所望の向きに維持する。ばねワッシャ189を使用するのではなく、異なる付勢装置を使用してもよい。
【0075】
回転可能なスペーサはスプールが回転すると回転する。
【0076】
スプールのキャビティ126a、126b内で、およびスプールのスロット125内で係合することによって、回転可能なスペーサ183は、装置に負荷がかけられているとき2つのハブ構成要素によるスロット内でのストラップの圧縮を最小化する、および好ましくは回避する。スペーサにかかるスプールの圧縮はまた、何らかの理由でロック部材155が万一外れた場合、可動部材161の開放防止に一役買う可能性がある。
【0077】
回転可能なスペーサ183とスプール119の端部119bとの間の結合は他のいずれかの適切な形態であってもよい。例えば、キャビティおよび回転可能なスペーサの対応する部分193の形状は、異なる形状であってもよい。あるいは、キャビティ126a、126bは存在しなくてもよい。代わりに、回転可能なスペーサ183の一部が、ハブ構成要素123a、123bの間でスロット125に収まるだけであってもよい。しかしながら、キャビティ126a、126bは、ハブ構成要素が負荷の下で位置合わせされた状態から移動することも防止するので、好ましい。
【0078】
可動支持部材161はヒンジ163を介して本体105に回動式に取り付けられ、ヒンジ163はボルト114のあるスプール119と反対側において本体105の端部に、またはそこに隣接して配置される。可動支持部材161は、ボルト114の頭部を受け入れるための開口162を有する。この構成において、ボルト114の頭部により、可動支持部材161は閉鎖された構成にあるとき、開口162と係合することによって安定化される。当然のことながら、ボルトは本体105の一部を形成する。ボルトの頭部と係合する代わりに、開口162は、閉鎖位置にあるときに可動支持部材を安定化するために、同じように構成された本体構成要素と係合することができる。
【0079】
図に示されないが、安全のためおよび汚れの進入を低減するために、抵抗つめの一部を覆うカバーが提供されてもよい。抵抗つめ151の回動ピン153を提供するために、本体105の基部107からカバーまでピンが延びてもよい。付勢装置157は、示されるように基部突起107’と部材151’との間でではなく、カバーと部材151との間で作用する圧縮ばねを含んでもよい。
【0080】
この第2の実施形態では、駆動つめ39をラチェットホイール121a、121bと係合するように付勢するねじりばね45を有するのではなく、コイルばね145が駆動アーム135の端部壁と横方向解除レバー147の間で作用し、レバー147をスプールの方に付勢し、従って駆動つめ139をラチェットホイール121a、121bと係合するように付勢する。
【0081】
さらに、この実施形態では、ハンドル133は駆動アーム131に対称的に取り付けられない。代わりに、ハンドル133の小さい部分が、(スプールが突き出る側と反対の側において)駆動アーム131から外側に配置され、ハンドル133の大部分が、ラチェット装置の本体105の上に内側に配置される。これによりハンドルのより空間節約型の構成が実現される。
【0082】
好ましい実施形態の装置によりストラップをスプールの露出された側部から横方向にスプールに供給することが可能になる。これにより、時間のかかる、そして時に困難な、装置を荷物に利用するときの、ラチェット装置のスプールにストラップを長手方向に供給する条件、または装置を荷物から取り外すときの、ストラップをスプールから長手方向に引き出す条件が回避される。
【0083】
上の記載は、本発明の好ましい実施形態を記載し、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の実施形態に修正を施すことができる。
【0084】
例えば、示される形態では、可動部材61、161は、スプールの回転軸RAと実質的に垂直な軸の周りで本体に回動式に取り付けられている。代替の構成では、可動部材61、161を、スプールの回転軸RAと実質的に平行な軸の周りで本体に回動式に取り付けてもよい。例えば、可動部材61、161は、ヒンジ63、163の位置に概ね一致する位置において横に延びる回動軸の周りに取り付けられてもよいが、概ねスプール19の露出された側部19b、119bの周りで上からまたは下から閉鎖位置へ回動してもよい。移動の発生が可能になるように、スプールに対応する可動部材61、161の端部に開かれた部分が設けられ得る。ここでも可動部材は、閉鎖位置にあるときにスプールの側部19b、119bを支持するように構成されてもよい。
【0085】
別の代替的構成として、可動部材61、161は、本体に摺動可能に取り付けられてもよい。例えば、可動部材61、161は、スプールの側部を外れる位置から、スプールの側部を概ね捕捉する位置まで、側枠11、111に沿って摺動してもよい。移動の発生が可能になるように、スプールに対応する可動部材61、161の端部に開かれた部分が設けられ得る。ここでも、可動部材は、閉鎖位置にあるときにスプールの側部19b、119bを支持するように構成されてもよい。
【0086】
しかしながら、示される実施形態は、可動部材61、161が閉鎖位置にあるとき、スプールに対応する可動部材61、161の端部が、スプールの露出された側部19b、119bを完全に囲むので、従ってスプールのより優れた負荷支持を実現するので、好ましい。
【0087】
別の代替的構成として、スロット25、125が側部19b、119bからスプール19、119の中へ延びるのではなく、スプールのハブが中実であってもよい。代わりに、ラチェットホイール21、121bに固定されかつハブと平行に延びるアームなどの保持特徴部がスプールに設けられてもよく、それにより、スプールの露出された側部からスプールとの間に横方向に取り付けられた後、初期巻き取りのため、ストラップの一部をアームとハブの間に保持することができる。
【0088】
別の例として、示される形態では、駆動アーム31の外側タイン35aは、駆動アームがロック解除位置にあるとき、抵抗つめ51をラチェットホイール21から外すための偏心部分36aが設けられている。あるいは、内側タイン35bまたは両方のタイン35a、35bに偏心部分36bが設けられてもよい。偏心部分は、好ましくは内側タイン35bに設けられる。それが抵抗つめ51の角度変化により良く対応するからである。図15はそのような実施形態を示している。
【0089】
ラチェット装置を荷物を固定するために使用されるものとして記載したが、ラチェット装置は、例えば荷物を持ち上げるなど、他の用途に使用してもよい。
【0090】
本発明が関連する技術分野の当業者に対し、添付の請求項において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構成上の多くの変更形態、ならびに多様な実施形態および利用によって、それら自体が示唆されるであろう。本明細書の開示および記載は単に例であり、意味の限定を目的としない。本発明が関連する技術分野において公知の均等物を有する特定の整数値が本明細書で言及されている場合、そのような公知の均等物は、個々に記載されているように本明細書に組み込まれるものとみなされる。
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