(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を含み、前記電極に前記イオンを吸着させる脱塩処理と前記電極から前記イオンを脱離させる再生処理とを行う脱塩部と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記脱塩処理時に前記イオンが除去された処理水を前記脱塩部から排出させる処理水排出路と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記再生処理時に前記電極から放出された前記イオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる濃縮水排出路と、
前記脱塩部にスケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給部と、
前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給部が前記脱塩部に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給開始時間と、前記供給部が前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給を停止する供給停止時間を取得し、前記再生処理時における前記供給開始時間と前記供給停止時間との間で前記供給部にスケール防止剤及び前記低イオン濃度水の少なくとも一方の供給を実施させる制御部とを含み、
前記供給部が前記脱塩部の上流に設置され、
前記制御部が、前記スケール成分の濃度が増加している場合に第1の閾値に到達した時間と前記被処理水が前記脱塩部に滞留する滞留時間とから前記供給開始時間を取得するとともに、前記スケール成分の濃度が、減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間と前記滞留時間とから前記供給停止時間とを取得する水再生システム。
互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を含み、前記電極に前記イオンを吸着させる脱塩処理と前記電極から前記イオンを脱離させる再生処理とを行う脱塩部と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記脱塩処理時に前記イオンが除去された処理水を前記脱塩部から排出させる処理水排出路と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記再生処理時に前記電極から放出された前記イオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる濃縮水排出路と、
前記脱塩部にスケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給部と、
前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給部が前記脱塩部に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給開始時間と、前記供給部が前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給を停止する供給停止時間を取得し、前記再生処理時における前記供給開始時間と前記供給停止時間との間で前記供給部にスケール防止剤及び前記低イオン濃度水の少なくとも一方の供給を実施させる制御部と、
を含み、
前記供給部および前記スケール成分イオンの濃度を計測する計測部が前記電極間流路に接続され、
前記制御部が、前記スケール成分の濃度が増加している場合に第1の閾値に到達した時間を前記供給開始時間として取得するとともに、前記スケール成分の濃度が、減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間を前記供給停止時間として取得する水再生システム。
互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を含み、前記電極に前記イオンを吸着させる脱塩処理と前記電極から前記イオンを脱離させる再生処理とを行う脱塩部と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記脱塩処理時に前記イオンが除去された処理水を前記脱塩部から排出させる処理水排出路と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記再生処理時に前記電極から放出された前記イオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる濃縮水排出路と、
前記脱塩部にスケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給部と、
前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給部が前記脱塩部に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給開始時間と、前記供給部が前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給を停止する供給停止時間を取得し、前記再生処理時における前記供給開始時間と前記供給停止時間との間で前記供給部にスケール防止剤及び前記低イオン濃度水の少なくとも一方の供給を実施させる制御部とを含み、
前記供給部が前記脱塩部の上流に設置され、
前記制御部が、前記スケール成分の濃度が増加している場合に第1の閾値に到達した時間と前記被処理水が前記脱塩部に滞留する滞留時間とから前記供給開始時間を取得するとともに、前記スケール成分の濃度が、減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間と前記滞留時間とから前記供給停止時間とを取得する脱塩処理装置。
互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を含み、前記電極に前記イオンを吸着させる脱塩処理と前記電極から前記イオンを脱離させる再生処理とを行う脱塩部と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記脱塩処理時に前記イオンが除去された処理水を前記脱塩部から排出させる処理水排出路と、
前記脱塩部の下流側に設けられ、前記再生処理時に前記電極から放出された前記イオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる濃縮水排出路と、
前記脱塩部にスケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給部と、
前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給部が前記脱塩部に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給開始時間と、前記供給部が前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給を停止する供給停止時間を取得し、前記再生処理時における前記供給開始時間と前記供給停止時間との間で前記供給部にスケール防止剤及び前記低イオン濃度水の少なくとも一方の供給を実施させる制御部と、
を含み、
前記供給部および前記スケール成分イオンの濃度を計測する計測部が前記電極間流路に接続され、
前記制御部が、前記スケール成分の濃度が増加している場合に第1の閾値に到達した時間を前記供給開始時間として取得するとともに、前記スケール成分の濃度が減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間を前記供給停止時間として取得する脱塩処理装置。
互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を有する脱塩部において、前記電極に前記被処理水中の前記イオンを吸着させて処理水を生成させる脱塩工程と、
前記電極から前記吸着されたイオンを脱離させ前記電極間流路に放出させ、前記脱離したイオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる再生工程と、
前記再生工程において、前記脱塩部に、スケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方が供給される供給工程とを含み、
前記供給工程が、
前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が開始される供給開始時間と、前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が停止される供給停止時間とが取得される取得工程と、
前記供給開始時間に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が開始される供給開始工程と、
前記供給開始工程の後に、前記供給停止時間に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が停止される供給停止工程と、を含み、
前記取得工程において、前記スケール成分の濃度が増加している場合に第1の閾値に到達した時間と前記被処理水が前記脱塩部に滞留する滞留時間とから前記供給開始時間が取得されるとともに、前記スケール成分の濃度が、減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間と前記滞留時間とから前記供給停止時間が取得される水再生方法。
互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を有する脱塩部において、前記電極に前記被処理水中の前記イオンを吸着させて処理水を生成させる脱塩工程と、
前記電極から前記吸着されたイオンを脱離させ前記電極間流路に放出させ、前記脱離したイオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる再生工程と、
前記再生工程において、前記脱塩部に、スケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方が供給される供給工程と、
前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分イオンの濃度が計測される計測工程と、
を含み、
前記供給工程が、
前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が開始される供給開始時間と、前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が停止される供給停止時間とが取得される取得工程と、
前記供給開始時間に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が開始される供給開始工程と、
前記供給開始工程の後に、前記供給停止時間に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が停止される供給停止工程と、を含み、
前記取得工程において、前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分の濃度が増加している場合に第1の閾値に到達した時間が前記供給開始時間として取得されるとともに、前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分の濃度が、減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間が前記供給停止時間として取得される水再生方法。
前記供給工程において、前記脱塩部内の前記スケール成分の濃度が前記第1の閾値以下となるように、前記低イオン濃度水の流量が制御される請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の水再生方法。
前記電極間流路を通過した後の前記濃縮水中の前記スケール成分イオンの濃度、または、前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分イオンの濃度が計測される計測工程を更に含み、
前記取得工程において、前記計測された前記スケール成分イオンの濃度から前記スケール成分の濃度を取得され、前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給開始時間及び前記供給停止時間が取得される請求項11に記載の水再生方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方で、脱塩処理装置への供給水量に対する処理水(脱塩水)量の割合を高くすると、再生工程時にイオンの大部分が濃縮水に含まれることになるので、濃縮水のイオン濃度が高くなる。スケール成分が飽和溶解度を超えるイオン濃度である場合、イオン濃度が高いほど短時間でスケールが発生する。例えば、pH6.2でフッ素濃度18.5mg/l、カルシウム濃度675mg/lの水溶液では、スケールは10分後であれば析出しないが、1日後に析出する。しかし、pH6.2でフッ素濃度37mg/l、カルシウム濃度1350mg/lの水溶液では、スケールは10分以内に析出する。
【0009】
析出したスケールによって脱塩処理装置の内部流通路(電極間流路)が閉塞され、被処理液が所定の流量で流通することができなくなる。このため、高度にイオンが濃縮された濃縮水が生成する場合でも、スケールが析出しないことが求められている。
【0010】
本発明は、再生工程時にイオン濃度が高くなった場合でもスケールの発生を確実に防止することができる水再生システム及び脱塩処理装置、これを用いた水再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を含み、前記電極に前記イオンを吸着させる脱塩処理と前記電極から前記イオンを脱離させる再生処理とを行う脱塩部と、前記脱塩部の下流側に設けられ、前記脱塩処理時に前記イオンが除去された処理水を前記脱塩部から排出させる処理水排出路と、前記脱塩部の下流側に設けられ、前記再生処理時に前記電極から放出された前記イオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる濃縮水排出路と、前記脱塩部にスケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給部と、前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給部が前記脱塩部に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給開始時間と、前記供給部が前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給を停止する供給停止時間を取得し、
前記再生処理時における前記供給開始時間と前記供給停止時間との間で前記供給部にスケール防止剤及び前記低イオン濃度水の少なくとも一方の供給を実施させる制御部とを含む水再生システムである。
【0012】
本発明の第2の態様は、互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を含み、前記電極に前記イオンを吸着させる脱塩処理と前記電極から前記イオンを脱離させる再生処理とを行う脱塩部と、前記脱塩部の下流側に設けられ、前記脱塩処理時に前記イオンが除去された処理水を前記脱塩部から排出させる処理水排出路と、前記脱塩部の下流側に設けられ、前記再生処理時に前記電極から放出された前記イオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる濃縮水排出路と、前記脱塩部にスケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給部と、前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給部が前記脱塩部に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方を供給する供給開始時間と、前記供給部が前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給を停止する供給停止時間を取得し、
前記再生処理時における前記供給開始時間と前記供給停止時間との間で前記供給部にスケール防止剤及び前記低イオン濃度水の少なくとも一方の供給を実施させる制御部とを含む脱塩処理装置である。
【0013】
本発明の第3の態様は、互いに逆極性に帯電される一対の対向する電極、該電極の間に位置しイオンを含む被処理水が流通可能とされる電極間流路、及び、各々の前記電極の前記電極間流路側に設置されるイオン交換膜を有する脱塩部において、前記電極に前記被処理水中の前記イオンを吸着させて処理水を生成させる脱塩工程と、前記電極から前記吸着されたイオンを脱離させ前記電極間流路に放出させ、前記脱離したイオンを含む濃縮水を前記脱塩部から排出させる再生工程と、
前記再生工程において、前記脱塩部に、スケール防止剤、及び、スケール成分となる前記イオンであるスケール成分イオンの濃度が前記濃縮水よりも低い低イオン濃度水のうち少なくとも一方が供給される供給工程とを含み、前記供給工程が、前記脱塩部内での前記スケール成分の濃度に基づいて、前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が開始される供給開始時間と、前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が停止される供給停止時間とが取得される取得工程と、前記供給開始時間に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が開始される供給開始工程と、前記供給開始工程の後に、前記供給停止時間に前記スケール防止剤及び前記低イオン濃度水のうち少なくとも一方の供給が停止される供給停止工程と、を含む水再生方法である。
【0014】
再生処理では電極に吸着されたイオンが電極間流路に放出されることにより、濃縮水中のスケール成分濃度が高くなる。また、脱塩部への供給水量が規定以下である場合や処理水量が規定値に到達して処理水を製造する必要が無い場合などには、脱塩処理が再開されず脱塩部が停止する。このような場合は、スケール成分濃度が飽和濃度を超える濃縮水が電極間流路に長時間滞留することになる。
本発明の水再生システム及び脱塩処理装置では、制御部が濃縮水中のスケール成分濃度を用いてスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給開始時間及び供給停止時間を取得している。そして、供給開始時間及び供給停止時間の間の期間で、供給部から脱塩部にスケール防止剤及び/または低イオン濃度水が供給される。本発明の水再生方法では、上記取得工程で取得された供給開始時間及び供給停止時間の間の期間で、脱塩部にスケール防止剤及び/または低イオン濃度水が供給される。
こうすることにより、再生工程時や脱塩部の停止時に脱塩部内の電極間流路においてスケール成分の濃度が飽和濃度を超えた場合でも、スケール発生を確実に防止できる。更に、効率良くスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給を行うことができるので、運転コストを低減させることができる。
【0015】
上記第1の態様または第2の態様において、前記供給部が前記脱塩部の上流に設置され、前記制御部が、前記スケール成分の濃度が
増加している場合に第1の閾値に到達した時間と前記被処理水が前記脱塩部に滞留する滞留時間とから前記供給開始時間を取得するとともに、前記スケール成分の濃度が、
減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間と前記滞留時間とから前記供給停止時間とを取得す
る。
【0016】
上記第3の態様において、前記取得工程において、前記スケール成分の濃度が
増加している場合に第1の閾値に到達した時間と前記被処理水が前記脱塩部に滞留する滞留時間とから前記供給開始時間が取得されるとともに、前記スケール成分の濃度が、
減少している場合に、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間と前記滞留時間とから前記供給停止時間が取得され
る。
【0017】
上記態様では、水が脱塩部に滞留する滞留時間を考慮して、スケール防止剤及び低濃度イオン水のうち少なくとも一方の供給を開始する時間と停止する時間とを取得する。ここで、第1の閾値とは、スケール成分の飽和濃度値、あるいは、スケール成分の飽和濃度値よりも高い値である。
こうすることにより、脱塩部内でのスケール成分濃度をスケール防止剤及び/または低イオン濃度水供給に精度良く反映させることが可能である。
【0018】
上記第1の態様または第2の態様において、前記供給部
および前記スケール成分イオンの濃度を計測する計測部が前記電極間流路に接続され、前記制御部が、前記スケール成分の濃度が第1の閾値に到達した時間を前記供給開始時間として取得するとともに、前記スケール成分の濃度が、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間を前記供給停止時間として取得す
る。
【0019】
上記第3の態様において、
前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分イオンの濃度が計測される計測工程を含み、前記取得工程において、前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分の濃度が第1の閾値に到達した時間が前記供給開始時間として取得されるとともに、前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分の濃度が、前記第1の閾値の0.5倍以上1倍以下の値である第2の閾値に到達した時間が前記供給停止時間として取得され
る。
【0020】
このようにスケール防止剤や低イオン濃度水を脱塩部に直接供給すれば、滞留時間等を考慮しなくても済む。従って、上記構成において脱塩部内のスケール成分の濃度から供給開始時間及び供給停止時間を決定すれば、脱塩部内でのスケール成分の濃度をスケール防止剤や低イオン濃度水の供給に精度良く反映させることが可能であり、スケール発生を確実に防止することができる。
【0021】
上記第1の態様または第2の態様において、前記脱塩部から排出された前記濃縮水及び前記処理水の少なくとも一方を前記供給部に循環させる循環部を更に備え、前記制御部が、前記スケール成分イオンの濃度が低い
前記再生処理時の初期及び終期に前記脱塩部から排出された濃縮水及び前記処理水の少なくとも一方を、前記低イオン濃度水として前記循環部を通じて前記供給部に送給させて、前記供給部から前記脱塩部に供給させても良い。
【0022】
上記第3の態様では、前記供給工程において、前記スケール成分イオンの濃度が低い
前記再生処理時の初期及び終期に前記脱塩部から排出された濃縮水及び前記処理水の少なくとも一方が、前記低イオン濃度水として供給されても良い。
【0023】
再生処理の初期及び終期の脱塩部内に残留するイオン濃度は低い。このため、再生処理の初期及び終期での濃縮水を低イオン濃度水として脱塩部に循環させても、スケール成分の濃度が飽和濃度に到達しないので、スケールが発生する恐れが無い。また、脱塩工程で生成する処理水もイオン濃度が低減されているため、低イオン濃度水として使用できる。このような構成を採用することによって、系外からの清浄な水の供給量が抑えられ、効率良く水再生を実施することができる。
【0024】
上記第1の態様または第2の態様において、前記制御部が、前記脱塩部内の前記スケール成分の濃度に基づいて、前記低イオン濃度水の流量を制御しても良い。
【0025】
上記第3の態様において、前記供給工程において、前記脱塩部内の前記スケール成分の濃度が前記第1の閾値以下となるように、前記低イオン濃度水の流量が制御されても良い。
【0026】
このように、脱塩部内のスケール成分濃度に基づいて低イオン濃度水の流量を変えれば、必要以上の低イオン濃度水を供給することがなくなるので、低イオン濃度水使用量を抑えることができる。特に処理水を低イオン濃度水として利用する場合には、水回収率の低下を抑えることが可能となる。
【0027】
上記第1の態様または第2の態様において、前記スケール成分イオンの濃度を計測する計測部が、前記脱塩部の下流に設置され、あるいは、前記電極間流路に接続され、前記計測部が前記スケール成分イオンの濃度を計測し、前記制御部が、前記計測部で計測される前記スケール成分イオンの濃度から前記スケール成分の濃度を取得し、前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給開始時間と前記供給停止時間とを取得しても良い。
【0028】
上記第3の態様において、前記電極間流路を通過した後の前記濃縮水中の前記スケール成分イオンの濃度、または、前記電極間流路を通過している前記被処理水中の前記スケール成分イオンの濃度が計測される計測工程を更に含み、前記取得工程において、前記計測された前記スケール成分イオンの濃度から前記スケール成分の濃度を取得され、前記スケール成分の濃度に基づいて、前記供給開始時間及び前記供給停止時間が取得されても良い。
【0029】
このように、計測部により計測されたスケール成分イオンの濃度から取得したスケール成分濃度を用いて供給開始時間及び供給停止時間が取得される構成とすると、被処理水の水質が変動した場合に、水質に応じてスケール防止剤や低イオン濃度水の供給量を変えたり、スケール防止剤及び低イオン濃度水の供給が必要ない場合には供給しないとの選択を行うことができる。すなわち、スケール防止剤や低イオン濃度水の供給を効率化させることができる。
また、電極間の電極間流路に計測部を接続して電極間を流通する被処理水中のイオン濃度を計測すると、より高精度にスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給量を管理することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、脱塩部内のスケール成分の濃度によりスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給を制御するので、スケール析出を確実に防止することができる。また、スケール防止剤及び/または低イオン濃度水を過剰に供給しなくて済み、効率良く水再生を実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に水再生システムのブロック図の一例を示す。水再生システム1は、上流側から前処理部2、有機物処理部3、及び、脱塩処理装置4を備える。
【0033】
前処理部2は、河川水やプラントからの排水等の被処理水を受け入れ、被処理水中の油分、重金属類、浮遊粒子などを除去する。これらの物質の含有量が少ない場合は、前処理部2を省略することができる。
【0034】
有機物処理部3は、前処理部2で処理された被処理水中の有機物を分解処理する。有機物処理部3は、微生物を用いて有機物を分解除去する生物処理部と、有機物を化学的に酸化処理する化学酸化処理部と、活性炭と、紫外線処理装置とを、適宜組み合わせた構成とされる。
【0035】
生物処理部は、膜分離活性汚泥法を用いた処理装置(MBR:Membrane Bio−Reactor)、及び、生物膜法を用いた処理装置(BFR:Bio−Film Reactor)を含む。
【0036】
MBRは、0.1μm程度の孔を有する膜が生物反応槽中の供給水に浸漬される。生物反応槽中の供給水に微生物が存在し、微生物が供給水中の有機物を分解する。生物反応槽中の汚泥処理に役立つ微生物は、最小で0.25μm程度である。従って、生物反応槽中の供給水は、上記膜により供給水と微生物とに固液分離され、供給水のみがMBRから排出される。
【0037】
BFRでは、表面に微生物の膜が形成された支持体が内部に設置される。支持体表面の微生物が供給水と接触した時に、微生物が供給水中の有機物を分解処理する。
【0038】
MBRとBFRとを組み合わせた構成の場合には、供給水中の有機物量(COD)に応じて、MBR及びBFRの運転が制御される。例えば、供給水中のCODが低い場合にはMBRのみを運転する。CODの変動が大きくなった場合には、MBRと並行してBFRを稼働させる。
被処理水中の有機物量が少ない場合は、生物処理部を省略できる。
【0039】
化学酸化処理としては、次亜塩素酸や過酸化水素を被処理水に供給する方法や、被処理水にオゾン照射を行う方法がある。
【0040】
<第1実施形態>
図2,3は、脱塩処理装置4の概略図である。脱塩処理装置4は、脱塩部10、供給部20、及び制御部40を備える。
図1の水再生システムでは、複数の脱塩処理装置4が直列、並列、または、直列と配列とが組み合わされて連結される構成とされても良い。
【0041】
図2に示すように、脱塩部10は、一対の対向する多孔質の電極11,13と、電極の間を供給水が流通可能な電極間流路15とを備える。電極11の電極間流路側面には陰イオン交換膜12が設置され、電極13の電極間流路側面には陽イオン交換膜14が設置される。
【0042】
図3に示すように、脱塩部10の下流側に排出路22が設けられる。排出路22は、経路の途中で処理水排出路23と濃縮水排出路24とに分岐される。処理水排出路23及び濃縮水排出路24に、それぞれバルブV1,V2が設置される。
【0043】
図3において、供給部20は、脱塩部10の上流側で被処理水が流通する配管に接続される。スケール防止剤や低イオン濃度水の供給量削減の観点から、供給部20が配管に接続される位置は、脱塩部10の近傍とすることが好ましい。
【0044】
供給部20は、タンク21とバルブV3とで構成される。なお、供給部20は、バルブの代わりにポンプを配置する構成、あるいは、ポンプとバルブを併用する構成とすることもできる。
【0045】
タンク21内には、スケール防止剤または低イオン濃度水が貯蔵される。
図3では供給部20が1つのみ設けられる例が示されているが、スケール防止剤及び低イオン濃度水の両方を供給する場合には、2つの供給部20が設けられ、それぞれのタンク21にスケール防止剤及び低イオン濃度水が別々に貯蔵される。
スケール防止剤は、キレート系スケール防止剤やホスホン酸系スケール防止剤(例えば、Ondeo Nalco Company製、商品名:PC191、Kimic Chemitech(s) PTE LTD製、商品名:Kimic SI)が使用できる。
低イオン濃度水は、濃縮水よりもスケール成分となるイオン(スケール成分イオン)の濃度が低い水である。スケール成分イオンは、アルカリ土類金属イオン、Mg
2+などの金属イオンや、SO
42−,CO
32−,F
−などの陰イオンである。これらのイオンは水に対して難溶性の塩を形成する。また、シリカイオンもスケール成分イオンである。本実施形態において、低イオン濃度水は、例えばイオン交換水、逆浸透膜式脱塩装置の透過水などとされる。
【0046】
図3は、排出路22に計測部30が設置される例である。計測部30は、脱塩部10から排出された水に含まれるイオンの濃度を計測する。計測部30は、必ずしも処理中の脱塩処理装置4に常設されなくても良い。
被処理水中には、スケール成分イオンとしてCa
2+及びシリカイオンが主として含まれる。従って、ここで計測対象となるイオンはカルシウムイオン(Ca
2+)及びシリカイオンである。従って、計測部
30は、処理水中のCa
2+やシリカイオンを計測する濃度計とされる。この場合、上記イオンとともに、Ca
2+と結合するSO
42−、CO
32−、F
−を計測しても良い。
【0047】
あるいは、計測部30として電気伝導度計を設置し、脱塩部10から排出された水の電気伝導度を取得しても良い。
【0048】
また、被処理水のpHにより飽和濃度が変化する。そこで、計測部30としてpH計を設置し、脱塩部10から排出された水のpHからスケール成分の飽和濃度を推定し、スケール防止剤や低イオン濃度水の供給を開始する時間及び停止する時間の取得に使用しても良い。
【0049】
制御部40は例えばコンピュータとされる。制御部40は、脱塩部10、計測部30、及び、バルブV1〜V3に接続される。
【0050】
第1実施形態の水再生方法を以下で説明する。
図4,5は、脱塩処理装置の運転方法を説明するタイミングチャートである。
図4において「スケール成分濃度」は、脱塩部10の電極間流路におけるスケール成分の濃度を概略的に示している。
【0051】
(脱塩工程)
制御部40は、電極11がプラスに、電極13がマイナスになるように、各電極11,13に電圧を印加させる。上記の通電状態を、
図4,5では「正」と称する。制御部40は、バルブV1を開放するとともに、バルブV2,V3を閉鎖する。
【0052】
イオンを含む被処理水が電極11,13が通電された脱塩部10に流入する。被処理水が電極11,13間の電極間流路15を通過すると、被処理水中のマイナスイオンが陰イオン交換膜12を透過して電極11に吸着し、プラスイオンが陽イオン交換膜14を透過して電極13に吸着する。これにより、被処理水中からイオンが除去される。
【0053】
イオンが除去された被処理水は、処理水として脱塩部10から排出され、処理水排出路23を通過し、脱塩処理装置の系外へ排出されて回収される。
【0054】
(再生工程)
脱塩工程を所定時間実施した後、制御部40は、電極11がマイナスに、電極13がプラスになるように、各電極11,13に電圧を印加する。すなわち、電極は「逆」の通電状態となる。制御部40は、電極11,13の通電状態を逆にするのと同時に、バルブV1を閉鎖するとともにバルブV2を開放する。これにより、再生工程が開始される。
【0055】
再生工程において、脱塩工程で吸着されたイオンが電極11,13から脱離され、電極間流路15に放出される。放出されたイオンは、後述する供給工程時に電極間流路15に流体を流通させることにより、脱塩部10から排出される。
再生工程の終了時には、清浄な水(清水)や処理水などのイオン濃度が低い水が供給され、電極間流路15に放出されたイオンとともに脱塩部10から排出される。この再生工程により、電極11,13及び電極間流路15に残留するイオン量は大幅に低減される。脱塩部10から排出された水は、濃縮水として濃縮水排出路24を通過して脱塩処理装置4の系外へ排出される。
【0056】
上記の脱塩工程と再生工程は、所定時間毎に交互に実施される。例えば、脱塩工程は1〜10分間実施され、再生工程は1〜5分実施される。
【0057】
図4に示すように、再生工程でイオンが電極間流路15に放出されることにより、脱塩部10内(電極間流路15内)のイオン濃度が増大することになる。脱塩部10内のスケール成分の濃度が飽和濃度を超えると、スケールが析出しやすい状況となる。そこで、本実施形態では、脱塩部10内のスケール成分濃度が所定値を超えると、脱塩部10にスケール防止剤または低イオン濃度水、あるいは、スケール防止剤及び低イオン濃度水の両方が供給される。
制御部40は、スケール成分の濃度に基づいて、供給部20から被処理水中にスケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給する期間を取得する。本実施形態では、
図3に示すように脱塩処理装置4に計測部30を常設し、処理を行いながら計測部30でスケール成分イオンの濃度を取得し、スケール成分イオンの濃度からスケール成分の濃度を取得して、スケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給する期間を取得しても良い。あるいは、予備試験時、試運転時または調整運転時にのみ計測部30を設置してスケール成分イオンの濃度の時間変化を取得しておき、その濃度を用いてスケール成分の濃度の変化を取得して、実際の水処理におけるスケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給する期間を取得しても良い。
【0058】
まず、処理中に計測部30で取得されたスケール成分イオンの濃度からスケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給する期間を取得する方法を説明する。
(計測工程)
計測部30は脱塩工程中及び再生工程中の脱塩部10から排出された水中に含まれるスケール成分となるイオンの濃度を計測し取得する。計測部30は、取得したイオンの濃度を制御部40に送信する。
【0059】
(供給工程)
脱塩部10の運転中にスケール防止剤または低イオン濃度水、あるいは、スケール防止剤及び低イオン濃度水の両方を供給する供給工程を説明する。
制御部40は、計測部30から送信されたスケール成分イオンの濃度を用いて、スケール成分の濃度を取得する。
【0060】
上述のように、Ca
2+などの陽イオン及びSO
42−、CO
32−、F
−などの陰イオンの濃度がそれぞれ計測された場合は、陽イオン濃度及び陰イオン濃度からスケール成分の濃度が取得される。
あるいは、陽イオンまたは陰イオンのみの濃度が計測されて、スケール成分の溶解度積からスケール成分濃度が取得されても良い。この場合、濃度変動の大きい方のイオン濃度が計測されると良い。例えば、CaSO
4の場合、溶解度積はK=[Ca]
2[SO4]
2である。SO
42−の濃度は一定であると仮定される。この時、SO
42−の濃度が高めの値に設定されると良い。計測部30で計測されたCa
2+の濃度を用いて、溶解度積から飽和溶解度に対するCaSO
4の濃度が推定され、CaSO
4の濃度が取得される。他のスケール成分についても同様にして濃度が取得される。
【0061】
電気伝導度とスケール成分濃度との間には正の相関関係がある。予め電気伝導度とスケール成分濃度との相関が取得され、制御部40に格納される。計測部30が計測した電気伝導度の値が制御部40に送信され、制御部40が上記相関関係からスケール成分濃度を取得する。
【0062】
制御部40は、スケール成分濃度の閾値A(第1の閾値)を格納する。閾値Aは、スケール成分の飽和濃度値、あるいは、飽和濃度値より高い値である。具体的に、閾値Aはスケール成分の飽和濃度の1倍〜1000倍の範囲内の値、好ましくは100倍〜200倍の範囲内の値である。飽和濃度値より高い値を閾値Aとして設定する場合は、事前にスケール析出までの所要時間を試験により確認し、スケール析出までの時間が十分長い時間となる濃度とする。
【0063】
制御部40は、n−1(n≧2)回目の脱塩工程及び再生工程で、n−1回目の脱塩工程が開始された時間を0として、計測部30の計測値から取得したスケール成分濃度が閾値Aに到達した時間t1
n−1を取得する。
【0064】
計測部30は脱塩部10の下流に設置されるため、脱塩部10内の被処理水中の実際のスケール成分濃度は、脱塩部10内に被処理水が滞留する時間(滞留時間)分だけ遅れて計測部30で計測されることになる。滞留時間trは、式(1)で表される。
tr=W/Q …(1)
W:脱塩部の保有水量(m
3)
Q:供給水流量(m
3/h)
すなわち、脱塩部10内でスケール成分濃度が閾値Aに到達した時間は、t1
n−1−trである。制御部40は、時間t1
n−1−trをn回目の脱塩工程及び再生工程でV3を開放する供給開始時間T1
nとして取得し、メモリに格納する。
【0065】
制御部40は、n−1(n≧2)回目の脱塩工程及び再生工程で、n−1回目の脱塩工程が開始された時間を0として、計測部30の計測値から取得されたスケール成分濃度が閾値A’(第2の閾値)に到達した時間t2
n−1を取得する。閾値A’は、閾値Aの0.5〜1倍の範囲内の値である。なお、1倍の場合はA=A’を意味する。この場合は、制御部40はスケール成分濃度の経時変動をモニタリングし、濃度が増加している場合を閾値A、濃度が減少している場合を閾値A’と判断することができる。
上記と同様に、脱塩部10内でスケール成分濃度が閾値A’に到達した時間はt2
n−1−trである。制御部40は、時間t2
n−1−trをn回目の脱塩工程及び再生工程でV3を閉鎖する供給停止時間T2
nとして取得し、メモリに格納する。
上記工程により、制御部40は、T1
nとT2
nの間がスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給が実施される期間Taとなる。
【0066】
制御部40は、n回目の脱塩工程及び再生工程において、取得された供給開始時間T1
nでバルブV3を開放する。制御部40は、取得された供給停止時間T2
nでバルブV3を閉鎖する。
図4のタイミングチャートは、再生工程中に供給開始時間T1
nがあり、再生工程中に供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nがある場合の例である。
図5のタイミングチャートは、脱塩工程中に供給開始時間T1
nがあり、再生工程中に供給停止時間T2
nがある場合の例である。
【0067】
制御部40は、n回目の脱塩工程及び再生工程において、バルブV3の開閉を行うと同時に、上述の工程によりn+1回目の脱塩工程及び再生工程における供給開始時間T1
n+1及び供給停止時間T2
n+1を取得し、期間Taを決定する。
1回目の再生工程の場合は、試運転等の別途行う試験により取得された供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nで、制御部40がバルブV3の開放及び閉鎖を行う。
【0068】
供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nは、n−1回目の工程で取得したスケール成分濃度を用いて以下の方法により取得しても良い。
制御部40は、n−1回目の脱塩工程及び再生工程で、時間t1
n−1−tr及び時間t2
n−1−trでのスケール成分濃度C1,C2をそれぞれ取得する。
【0069】
制御部40は、n回目の脱塩工程及び再生工程において、スケール成分濃度がC1に到達した時刻を供給開始時間T1
nとして取得する。取得された供給開始時間T1
nでバルブV3を開放する。同様に、スケール成分濃度がC2に到達した時刻を供給停止時間T2
nとして取得する。制御部40は、取得された供給停止時間T2
nでバルブV3を閉鎖する。
【0070】
予備試験あるいは試運転を行う場合には、予備試験時、試運転時、または、調整運転時に計測部30によりスケール成分イオンの濃度の時間変化を予め取得する。
脱塩工程及び再生工程の時間は予め設定されている。従って、脱塩工程あるいは再生工程を行う時間と、スケール成分イオン濃度の時間変化とが関連付けられる。予め取得されたイオンの濃度変化から、上述の供給工程と同様の手法にて、スケール成分濃度が取得され、n回目の脱塩工程及び再生工程での供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nが取得される。
【0071】
上述のように脱塩工程及び再生工程は数分〜十数分のサイクルで繰り返されるため、被処理水の水質はn−1回目とn回目とで緩やかに変動していく。n−1回目の脱塩工程及び再生工程で計測部30が計測したスケール成分濃度が閾値Aに到達しない場合、制御部40は供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nを取得しない。この場合、n回目の脱塩工程及び再生工程ではバルブV3は開放されない。
【0072】
供給部20のタンク21に低イオン濃度水が貯蔵される場合、バルブV3の開閉により、期間Taで所定量の低イオン濃度水が脱塩部10に供給される。これにより、電極間流路15を流通する水中のイオン濃度が低減し、スケール成分の濃度が飽和濃度値以下となって、スケール生成が防止できる。制御部40は、期間Taに脱塩部10に低イオン濃度水のみを流通させても良いし、スケール成分濃度が飽和濃度以下を保持できれば、低イオン濃度水と被処理水とを混合させて流通させても良い。
【0073】
なお、閾値Aを用いて、スケール成分濃度に応じて供給される低イオン濃度水の流量が制御されても良い。この場合、バルブV3は開度調節可能なバルブとされる。
n−1回目の脱塩工程及び再生工程においてバルブV3が開放されて低イオン濃度水が供給されている間、計測部30はスケール成分イオンの濃度をモニタリングする。計測部30で計測されるスケール成分イオンから取得されるスケール成分濃度が閾値A以上である場合、制御部40は、n回目の脱塩工程及び再生工程における供給工程においてバルブV3の開度を増加させて、低イオン濃度水の流量を増加させる。
【0074】
供給工程において、制御部40は低イオン濃度水を間欠的に供給することもできる。この場合、制御部40のメモリには、期間Taの間にバルブV3の開放及び閉鎖を繰り返す時間間隔が予め入力されており、制御部40はn回目の脱塩工程及び再生工程でこの時間間隔でバルブV3の開閉を実行する。この時間間隔は、試運転等において取得された脱塩部10のスケール成分濃度の変動を基にして適宜設定される。
あるいは、n−1回目の脱塩工程及び再生工程において、脱塩部10内のスケール成分濃度の値が閾値Aを挟んで変動するような場合には、制御部40は複数の供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nを取得する。すなわち、n回目の脱塩工程及び再生工程での期間Taが複数取得される。そして、n回目の脱塩工程及び再生工程において、各々の供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nでバルブV3が開閉されて、低イオン濃度水が脱塩部10に間欠的に供給される。
【0075】
上記の制御方法では、制御部が閾値A’(閾値Aの0.5倍から1倍未満)を用いて低イオン濃度水の流量を制御することもできる。この場合、脱塩部のスケール成分濃度が飽和濃度を超えるのを確実に防止することができる。
【0076】
タンク21にスケール防止剤が貯蔵される場合、制御部40は、期間Taで所定量のスケール防止剤を被処理水または低イオン濃度水に供給する。スケール防止剤は被処理水または低イオン濃度水の流れにより脱塩部10内に搬送されることにより、スケール防止剤が脱塩部10に供給される。スケール防止剤が存在すると、スケール成分の飽和濃度を超えても析出限界以下となるため、スケール生成が防止できる。
スケール防止剤の効果を得るためには、期間Taでスケール防止剤が脱塩部10内に搬送されれば良い。このため、供給工程での被処理水の流量は、脱塩工程での被処理水の流量よりも少なくても十分である。被処理水は連続的に供給されても良いし、間欠的に供給しても良い。
【0077】
低イオン濃度水によりスケール防止剤を搬送させることは、供給部20を2つ設ける場合を意味する。この場合は、低イオン濃度水を貯蔵する供給部20が、スケール防止剤を貯蔵する供給部20よりも上流側に設置されることが好ましい。
このように、供給工程でスケール防止剤と低イオン濃度水とを供給する場合は、制御部40は、上述した供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nで2つの供給部20のバルブV3の開閉を同時に行っても良い。すなわち、制御部40は、スケール防止剤と低イオン濃度水とを同じタイミングで脱塩部10に供給する。
【0078】
あるいは、制御部40は、スケール防止剤の供給開始時間と低イオン濃度水の供給開始時間とをずらすこともできる。
スケール防止剤を先に供給する場合、制御部40は、スケール防止剤が貯蔵される供給部20について上述のように取得した供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nでバルブV3の開閉を行う。n−1回目の脱塩工程及び再生工程においてスケール防止剤を供給しても脱塩部10内のスケール成分濃度がスケール発生の恐れがある値(閾値A”とする)を超える場合には、制御部40は閾値A”を用いて低イオン濃度水が貯蔵される供給部20’のバルブV3’の供給開始時間T1
n”及び供給開始時間T2
n”を取得する。そして、制御部40は、n回目の脱塩工程及び再生工程の供給開始時間T1
n”及び供給停止時間T2
n”でバルブV3’の開放及び閉鎖を行い、低イオン濃度水を脱塩部10に供給する。
低イオン濃度水を先に供給する場合、制御部40は、供給部20’について上述のように取得した供給開始時間T1
n及び供給停止時間T2
nでバルブV3の開閉を行う。n−1回目の脱塩工程及び再生工程において低イオン濃度水を供給しても脱塩部10内のスケール成分濃度が閾値Aに到達する場合には、制御部40はスケール防止剤が貯蔵される供給部20のバルブV3の供給開始時間T1
n”及び供給
停止時間T2
n”を取得する。そして、制御部40は、n回目の脱塩工程及び再生工程の供給開始時間T1
n”及び供給停止時間T2
n”でバルブV3の開放及び閉鎖を行い、スケール防止剤を脱塩部10に供給する。
【0079】
なお、スケール防止剤及び低イオン濃度水の両方を供給する場合も、制御部40は、上述と同様にして低イオン濃度水の供給量を調整したり、低イオン濃度水を間欠的に供給することができる。
【0080】
次に、脱塩部10が停止した場合にスケール防止剤または低イオン濃度水を供給する供給工程を説明する。
脱塩部10への被処理水供給量が規定値以下である場合や、処理水量が規定値に到達した場合、制御部40は、脱塩部10に被処理水を供給するポンプ(不図示)と脱塩部10とを停止させる。複数の脱塩部
10を並列に配列した場合は、一の脱塩部10が停止され、他の脱塩部10での脱塩工程及び再生工程が継続される状態となる。
【0081】
脱塩部10が停止状態になると、制御部40はバルブV1を閉鎖し、バルブV2を開放する。再生時に脱塩部10が停止した場合は、バルブV1の閉鎖及びバルブV2の開放が維持される。
【0082】
n回目の脱塩工程及び再生工程中の時間Ts
nで停止したとする。
Ts
nが期間Taの間である場合、バルブV3が開放された状態で脱塩部10が停止する。制御部40は、バルブV3の開放を維持させ、スケール防止剤及び/または低濃度イオン水の供給を継続させる。
【0083】
制御部40は、n−1回目の脱塩工程及び再生工程におけるスケール成分の濃度を取得している。このスケール成分の濃度の取得にあたっては、運転時に計測部30で計測されたイオン濃度の値を用いても良いし、予備試験結果等を用いても良い。制御部40は、n−1回目の脱塩工程及び再生工程におけるスケール成分の濃度から、上記運転中の供給工程と同様にして、脱塩部10内でスケール成分濃度が閾値A’に到達した時間を供給停止時間T2
nとして取得し、メモリに格納する。そして、取得した供給停止時間T2
nにおいて、バルブV3を閉鎖する。
【0084】
Ts
nが期間Taの間でない場合、バルブV3が閉鎖された状態で脱塩部10が停止する。脱塩部10の電極間流路15のスケール成分濃度が高い状態で脱塩部10が停止すると、電極間流路15はスケール成分濃度が高い状態が長時間維持され、スケールが析出しやすい状況となる。
計測部30は、時間Tsn以後のスケール成分イオン濃度を計測し、制御部40に送信する。制御部40は、時間Ts
n以後の時間Tでのスケール成分イオン濃度からスケール成分濃度を取得し、スケール成分濃度と閾値Aとを比較する。制御部40は、時間Tでのスケール成分濃度が閾値Aに到達したと判断すると、バルブV3を開放し、供給部20からスケール防止剤及び/または低濃度イオン水を供給させる。計測部30は、バルブV3開放後にスケール成分濃度が閾値A’に到達すると、バルブV3を閉鎖する。上記の制御を行うことにより、脱塩部10の停止以降に脱塩部10内のスケール成分の濃度が上昇した場合でも、スケール析出を防止することが可能である。
【0085】
予備試験、試運転、または、調整運転を行う場合には、予備試験時、試運転時、または、調整運転時に計測部30によりスケール成分イオンの濃度の時間変化、及び、脱塩部停止後のスケール成分イオンの経時変動を予め計測して取得しておく。制御部40は、上記時間変化から脱塩部10が停止した時のスケール成分濃度を取得する。制御部40は、取得したスケール成分濃度と上記の経時変動とから、脱塩部停止後の脱塩部内のスケール成分濃度を推定する。推定スケール成分濃度が閾値Aに到達すると予想される場合、制御部40はバルブV3を開放し、供給部20からスケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給する。また、閾値A’に到達されると予想される場合は、制御部40はバルブV3を閉鎖し、供給部20からのスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給を停止する。
【0086】
このように本実施形態に依れば、脱塩工程、再生工程、あるいは脱塩部の停止時のいずれにおいても、脱塩部10内のスケール成分濃度に応じた期間でスケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給することが可能である。
【0087】
脱塩工程と再生工程とを繰り返し実施すると、電極11,13に吸着したイオンが再生工程で十分に脱離されない、スケール成分が析出する、固形分が堆積する等により、脱塩能力が低下する。そこで、定期的に、電極交換等の脱塩処理装置4のメンテナンスを実施する。メンテナンスの実施は、脱塩工程で計測部30で計測されたイオン濃度が所定値を超えた場合、あるいは、所定の使用時間(例えば1か月)経過後に実施する。使用時間によりメンテナンス時期を管理する場合は、脱塩工程において計測部30で計測されるイオン濃度の値に応じて使用時間を設定すると良い。
【0088】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の脱塩処理装置の概略図である。
図6において、
図3と同じ構成要素には同じ符号が付されている。第2実施形態の脱塩処理装置も、
図1の水再生システム1を構成することができる。
【0089】
第2実施形態の脱塩処理装置104は、循環部150が設置される。循環部150は、排出路22と供給部20のタンク21とを連結する配管151、及び、排出路22とタンク21との間のバルブV4を有する。バルブV4は制御部140に接続する。
【0090】
第2実施形態においても、計測部30は、必ずしも処理中の脱塩処理装置104に常設されなくても良い。
【0091】
第2実施形態の制御部140は、スケール成分濃度の閾値Bを格納する。閾値Bは被処理水の水質を考慮して適宜設定可能である。例えば閾値Bは、スケール成分の飽和濃度値の1倍未満の値、好ましくは0.1〜0.5倍の範囲内の値に設定される。
【0092】
以下では、脱塩処理装置104に計測部30が常設される場合を例に挙げて第2実施形態の脱塩処理装置104を用いた水再生方法を説明する。
【0093】
制御部140は、再生工程の開始(バルブV1の閉鎖)と同時に、バルブV4を開放する。但し、第2実施形態では、再生工程の開始と同時にバルブV2は開放されない。これにより、濃縮水が排出路22から循環部150を経由してタンク21内に貯蔵される。
制御部140は、計測部30で取得したイオンから取得されるスケール成分濃度が閾値Bに到達した時間T3で、バルブV4を閉鎖し、バルブV2を開放する。これにより、濃縮水の貯蔵が停止される。
【0094】
上記の工程は、予備試験時、試運転時、あるいは調整運転時に計測部30により取得されたスケール成分イオンの濃度の時間変化に基づいて実施されても良い。この場合、予め取得されたイオンの濃度の時間変化からスケール成分濃度の時間変化を取得し、スケール成分濃度が閾値Bに到達した時間T4を取得する。実際の水処理運転では、制御部は再生開始時から時間T4の間において上記の濃縮水の貯蔵を実施する。
【0095】
本実施形態では、タンク21に貯蔵されたスケール成分濃度が低い濃縮水を、低イオン濃度水として脱塩部10に供給する。供給方法は、第1実施形態と同じである。再生工程の初期及び終期の脱塩部10内に残留するスケール成分濃度は低い。このため、再生工程の初期及び終期で排出された濃縮水を脱塩部10に循環させても、スケール成分の濃度が閾値Aを超えてスケールが発生する恐れが無い。
このような構成を採用することによって、濃縮水の一部を利用することができ、低イオン濃度水として系外からの清浄な水を供給する必要がなくなるので、効率良く水再生を実施することができる。
【0096】
<第3実施形態>
第3実施形態は、脱塩処理装置104において、処理水の一部を低イオン濃度水として循環させて利用する構成である。
【0097】
制御部140は、第1実施形態で説明した脱塩工程中に、バルブV1を閉鎖するとともにバルブV4を開放する。これにより、処理水が排出路22から循環部150を経由してタンク21内に供給され、処理水の貯蔵が開始される。制御部140は、所定時間経過後、あるいは、タンク21内の処理水が規定量に到達した時に、バルブV4を閉鎖するとともにバルブV1を開放する。これにより処理水の貯蔵が停止される。
【0098】
制御部140は、第1実施形態と同様の工程で、タンク21に貯蔵された処理水を低イオン濃度水として脱塩部10に供給する。本実施形態の場合、脱塩部10内のスケール成分濃度に応じて、低イオン濃度水としての処理水の流量を制御すると、循環させる処理水の量を低減させることができる。この結果、回収率を大幅に低下させることなく、系外からの水の供給量も抑制することも可能となる。
【0099】
なお、制御部140は、第2実施形態及び第3実施形態で説明した工程により、処理水及びスケール成分イオン濃度が低い濃縮水の両方をタンク21に貯蔵し、低イオン濃度水として処理水及びスケール成分イオン濃度が低い濃縮水の混合液を供給しても良い。
【0100】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態の脱塩処理装置の概略図である。
図7において、
図3と同じ構成要素には同じ符号が付されている。第4実施形態の脱塩処理装置も、
図1の水再生システム1を構成することができる。
【0101】
図7の脱塩処理装置204は、脱塩部110に計測部30及び供給部20が接続される。供給部20は、当該電極間流路を流通する被処理水中に、スケール防止剤や低イオン濃度水を供給可能となっている。スケール防止剤及び低イオン濃度水の両方を脱塩部110に供給する場合は、2つの供給部20が脱塩部110に接続される。なお、第4実施形態においても、計測部30は、必ずしも処理中の脱塩処理装置204に常設されなくても良い。
【0102】
第4実施形態の脱塩処理装置204では、実際に脱塩部110内を流通する被処理水中のスケール成分イオン濃度を検出する。すなわち、第1実施形態のように滞留時間分だけの計測遅れは発生しない。
【0103】
従って、第4実施形態の脱塩処理装置204を用いた水再生方法では、制御部240が、n−1回目の脱塩工程及び再生工程で取得した時間t1
n−1を、n回目の脱塩工程及び再生工程でV3を開放する供給開始時間T1
nとして取得する。同様に、制御部240が、n−1回目の脱塩工程及び再生工程で取得した時間t2
n−1を、n回目の脱塩工程及び再生工程でV3を閉鎖する供給停止時間T2
nとして取得する。制御部
240は、T1
nとT2
nの間をスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給が実施される期間Taと決定する。制御部240は、脱塩工程及び再生工程中の期間Taの間で供給部20に所定量のスケール防止剤及び/または低イオン濃度水を被処理水中に供給させる。
【0104】
第4実施形態では、上述の期間Taを決定する工程以外は、第1実施形態と同様の工程で供給工程が行われる。第4実施形態においても、Taの決定は、処理を行いながら計測部30で計測されたスケール成分イオンの濃度を用いても良い。または、予備試験時、試運転時、または調整運転時に予め計測されたスケール成分イオンの濃度からスケール成分濃度を得て、スケール防止剤及び/または低イオン濃度水を供給するタイミングを取得し、実際の水処理運転では取得したタイミングでスケール防止剤及び/または低イオン濃度水の供給を行っても良い。
【0105】
図7の脱塩処理装置204においても、
図6と同様に循環部を設け、スケール成分の濃度が低い濃縮水、あるいは、処理水の一部を低イオン濃度水として再利用することができる。