特許第6162406号(P6162406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162406
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】振れ止め装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 1/00 20060101AFI20170703BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20170703BHJP
   F24F 13/32 20060101ALN20170703BHJP
【FI】
   F16B1/00 A
   F16B7/18 E
   F16B1/00 B
   !F24F1/00 426
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-1904(P2013-1904)
(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公開番号】特開2014-134236(P2014-134236A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小崎 良男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕之
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−210253(JP,A)
【文献】 実開昭47−021415(JP,U)
【文献】 特開平10−205052(JP,A)
【文献】 特開2011−027229(JP,A)
【文献】 特開2010−112558(JP,A)
【文献】 実開昭49−107810(JP,U)
【文献】 実開昭50−096309(JP,U)
【文献】 実開昭55−007488(JP,U)
【文献】 米国特許第06415560(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0189462(US,A1)
【文献】 特開2009−185940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 1/00
F16B 7/00− 7/22
F16F 15/00−15/08
F24F 1/00− 1/04
F24F 13/08−13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に取り付けられた複数の吊下げ部材によって前記構造物から吊り下げられる吊下げ機器の振れを防止する振れ止め装置であって、
少なくとも3カ所以上ある前記構造物と前記複数の吊下げ部材との各取付部分に一端が各々取り付けられる複数の振れ止め部材を有する第1の振れ止め部材群と、
少なくとも3カ所以上ある前記吊下げ機器と前記複数の吊下げ部材との各取付部分に一端が各々取り付けられる複数の振れ止め部材を有する第2の振れ止め部材群と、
前記第1の振れ止め部材群および前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材の他端同士を締結する締結部材と、を備え
前記締結部材は、前記第1の振れ止め部材群および前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材の他端同士を、各振れ止め部材の他端に取り付けた部材に各々設けた孔または各振れ止め部材の他端に各々設けた孔に挿通した挿通部材により締結し、
前記各振れ止め部材は、前記締結部材による締結が緩んでいる場合は、前記挿通部材を中心にして各々独立して遊動自在である、
振れ止め装置。
【請求項2】
前記第1の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材は、一端が前記複数の吊下げ部材のうち前記構造物側の各部分に取り付けられ、
前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材は、一端が前記複数の吊下げ部材のうち前記吊下げ機器側の各部分に取り付けられる、
請求項1に記載の振れ止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下げ機器の振れを防止する振れ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に取り付ける設備類の一種として、天井等の構造物から吊り下げる吊下げ機器がある。例えば、特許文献1には、天井から吊り下げられた空調ダクトが開示されている。このような吊下げ機器には、建物が揺れた場合でも振れることが無いよう、例えば、特許文献2−4に開示されているように、各種の振れ止め装置類が取り付けられている。機器類を取り付ける場合、例えば、特許文献5に開示されているように、棒材等を斜めに配することにより、機器の安定性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−210253号公報
【特許文献2】特開2008−232183号公報
【特許文献3】特開2011−163544号公報
【特許文献4】特開2002−174296号公報
【特許文献5】特開平8−42785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な建材としても普及している棒ネジ等の棒材を吊下げ機器の振れ止めとして用いる場合、長尺物の運搬が煩わしい。また、吊下げ機器が振れないようにするためには多数の棒材が必要であるが、天井付近の高所作業において多数の棒材を取り付けることは煩わしい。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、取り付けが容易な振れ止め装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、吊り下げ機器を吊り下げる構造物側に一端が各々取り付けられる複数の振れ止め部材の各他端同士と、吊り下げ機器側に一端が各々取り付けられる複数の振れ止め部材の各他端同士とを締結することにした。
【0007】
詳細には、構造物に取り付けられた複数の吊下げ部材によって前記構造物から吊り下げられる吊下げ機器の振れを防止する振れ止め装置であって、前記構造物と前記複数の吊下げ部材との各取付部分に一端が各々取り付けられる複数の振れ止め部材を有する第1の振れ止め部材群と、前記吊下げ機器と前記複数の吊下げ部材との各取付部分に一端が各々取り付けられる複数の振れ止め部材を有する第2の振れ止め部材群と、前記第1の振れ止め部材群および前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材の他端同士を締結する締結部材と、を備える。
【0008】
ここで、構造物と吊下げ部材との取付部分とは、吊下げ機器を構造物から吊り下げる吊下げ部材の構造物側の各部分に限定されるものでなく、構造物のうち吊下げ部材が取り付けられている部位に近い部分を含む概念である。
【0009】
上記振れ止め装置であれば、振れ止め部材が第1の振れ止め部材群と第2の振れ止め部
材群とに分けられているため、一般的な建材としても普及している棒ネジ等の棒材を吊下げ機器の振れ止めとして用いる場合に比べると各部材が短尺であり、運搬が容易である。
【0010】
また、上記振れ止め装置であれば、第1の振れ止め部材群および第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材同士が締結部材によって締結されているため、多数の振れ止め部材を纏まった状態で取り扱い可能であり、高所作業における取り付け作業が容易である。
【0011】
なお、前記締結部材は、前記第1の振れ止め部材群および前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材の他端同士を、各振れ止め部材が前記締結部材を中心にして各々独立して遊動自在な状態で締結するものであってもよい。上記振れ止め装置がこのように構成されていれば、第1の振れ止め部材群および第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材を束ねた状態にすることができるため、運搬や取り付けが容易である。
【0012】
また、前記締結部材は、前記第1の振れ止め部材群および前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材の他端同士を、各振れ止め部材の他端に取り付けた部材に各々設けた孔または各振れ止め部材の他端に各々設けた孔に挿通した挿通部材により、各振れ止め部材が前記挿通部材を中心にして各々独立して遊動自在な状態で締結するものであってもよい。上記振れ止め装置がこのように構成されていれば、各振れ止め部材同士を、第1の振れ止め部材群のものと第2の振れ止め部材群のものとで各々束ねることができるため、運搬や取り付けが容易である。
【0013】
また、前記第1の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材は、一端が前記複数の吊下げ部材のうち前記構造物側の各部分に取り付けられ、前記第2の振れ止め部材群が有する各振れ止め部材は、一端が前記複数の吊下げ部材のうち前記吊下げ機器側の各部分に取り付けられるものであってもよい。上記振れ止め装置がこのように構成されていれば、振れ止め部材を取り付けるための部材を構造物や吊下げ機器に予め設ける必要が無いため、取り付けが容易である。
【発明の効果】
【0014】
上記振れ止め装置であれば、取り付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る振れ止め装置の斜視図の一例である。
図2】締結部材を拡大した図の一例である。
図3】締結部材の構造を示した図の一例である。
図4】振止棒を束ねた状態の振れ止め装置を示した図の一例である。
図5】取付部材の構造を示した図の一例である。
図6】吊下げ式の空調機に適用した振れ止め装置を斜め上から見た図の一例である。
図7】吊下げ式の空調機に適用した振れ止め装置を斜め下から見た図の一例である。
図8】従来例に係る振れ止め装置の一例である。
図9】第1変形例に係る振れ止め装置の締結部材の構造を示した図の一例である。
図10】第2変形例に係る振れ止め装置の斜視図の一例である。
図11】第2変形例に係る振れ止め装置の取付部材の取り付け状態を示した図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0017】
<振れ止め装置の実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る振れ止め装置1の斜視図の一例である。振れ止め装置1は、図1に示すように、8本の振止棒(本発明でいう「振れ止め部材」の一例である)10−1〜8、振止棒10−1〜8の各端部同士を締結する締結部材20、及び振止棒10−1〜8を吊下げ機器の吊下げ部材に取り付ける取付部材30−1〜8を備える。
【0018】
振止棒10−1〜8は、建材としても一般的に普及している金属製の棒ネジであり、長手方向の一端から他端まで棒材の外周面全体にネジ山が形成されている。振止棒10−1〜8は、何れも同様の部材であり、長さやネジの径が同じである。
【0019】
図2は、締結部材20を拡大した図の一例である。締結部材20は、振止棒10−1の端部と接続される金具21−1〜8、締結ボルト(本発明でいう「挿通部材」の一例である)24および締結ナット25を有する。締結部材20が有する金具21−1〜8は、何れも同様の部材であるため、以下、金具21−1について詳しく説明する。
【0020】
図3は、締結部材20の構造を示した図の一例である。金具21−1は、振止棒10−1の端部が挿通される孔22−1と、各金具21−1〜8を相互に締結する締結ボルト24が挿通される孔23−1とを有する。金具21−1は、細長で板状の金属材の長手方向の両端を互いに反対方向に折り曲げた部材であり、孔22−1のある端部を略垂直に折り曲げ、孔23−1のある端部を適当な角度に折り曲げた部材である。金具21−2〜8も金具21−1と同様である。孔22−1に挿通される振止棒10−1の端部は、振止棒10−1と螺合するナット36−1,36−1により金具21−1に固定される。また、孔23−1に挿通される締結ボルト24は、各金具21−1〜8を相互に締結するボルトであり、締結ボルト24に螺合する締結ナット25を締め付けることにより、各金具21−1〜8同士の締結状態を保持する。孔22−1の中心軸と孔23−1の中心軸との相対角度は、振れ止め装置1を設置する箇所に応じて適宜変更可能であり、取り付け場所に応じて金具21−1〜8を適当に変形させて調整する。なお、当該相対角度が45度程度であれば、振れ止め装置1は、ほとんどの個所で実用上支障なく取り付け可能と考えられる。
【0021】
各金具21−1〜8は、締結ボルト24によって相互に締結されるものであるため、締結ボルト24および締結ナット25を緩めた状態にすると、締結ボルト24を軸にして各金具21−1〜8を各々独立して自在に回動させることが可能である。すなわち、締結部材20は、各振止棒10−1〜8の他端(10−1〜4は吊り下げ機器を取り付ける構造物と反対側、10−5〜8は振れ止め対象となる機器と反対側)同士を、各振止棒10−1〜8が締結ボルト24を中心にして各々独立して遊動自在な状態で締結している。
【0022】
図4は、振止棒10−1〜8を束ねた状態の振れ止め装置1を示した図の一例である。振止棒10−1〜8は、締結部材20を中心にして各々独立して遊動自在である。このため、例えば、図4に示したように、振止棒10−1〜4と振止棒10−5〜8とを各々束ねることが可能である。振れ止め装置1は、このように、振止棒10−1〜4と振止棒10−5〜8とを各々束ねた状態にすることができるため、運搬や取り付けが容易である。また、締結ボルト24を完全に外せば、振止棒10−1〜8を一束に纏め、振れ止め装置1を更に半分の大きさにすることができる。なお、振れ止め装置1は、締結ボルト24の径に対する孔23−1〜8の径の大きさが大きい程、振止棒10−1〜8をより自在に束ねることが可能となる。図4は、機器に取付けた状態からみて、金具21−1〜4同士、金具21−5〜8同士がそれぞれ同じ向きになるように回動させた状態を示しているが、締結ボルト24の径に対する孔23−1〜8の径の大きさが十分に大きければ回動させることなく束ねることも可能である。
【0023】
図5は、取付部材30−5の構造を示した図の一例である。ここでは、取付部材30−5について説明するが、取付部材30−1〜4,6〜8の何れも同様である。取付部材30−5は、図5に示すように、金具31−5と金具32−5とを有する。金具31−5は、振止棒10−5の他端部が挿通される孔33−5と、吊下げ機器を吊り下げる棒ネジ(本発明でいう「吊下げ部材」の一例である)2−1を挿通可能な大きさの切り欠き34−5とを有する。また、金具32−5は、吊下げ機器を吊り下げる棒状の吊下げ部材を挿通可能な大きさの切り欠き35−5を有する。孔33−5に挿通される振止棒10−5の端部は、振止棒10−5と螺合するナット37−5,37−5により金具31−5に固定可能である。また、切り欠き34−5に挿通される棒ネジ2−1は、切り欠き34−5の開放部分を金具32−5の切り欠き35−5で塞ぐように金具32−5を金具31−5に重ねた状態でナット38−5,38−5を締め付けることにより、金具31−5を棒ネジ2−1に固定可能である。
【0024】
以下、振れ止め装置1の適用例について説明する。図6は、吊下げ式の空調機(本発明でいう「吊下げ機器」の一例である)4に適用した振れ止め装置1を斜め上から見た図の一例である。また、図7は、吊下げ式の空調機4に適用した振れ止め装置1を斜め下から見た図の一例である。なお、振れ止め装置1は、図6,7に示すように、吊下げ式の空調機4への適用に限定されるものでなく、例えば、空調ダクトや照明機器、表示装置や看板、その他のあらゆる吊下げ機器に適用可能である。振れ止め装置1は、適用箇所に応じて振止棒10−1〜8の長さを適宜変更してもよい。また、振れ止め装置1は、天井3から吊り下げる機器の振れを止めるものに限定されるものでなく、例えば、天井スラブ、天井ボード、あるいはボードなどがなく、露出した鋼材などに直接吊下げるものでもよい。
【0025】
振れ止め装置1は、天井3に取り付けられた棒ネジ2−1〜4によって天井3から吊り下げられる空調機4の振れを防止するために設置される。振れ止め装置1は、天井3と棒ネジ2−1〜4との各取付部分に振止棒10−1〜4(本発明でいう「第1の振れ止め部材群」の一例である)の一端が各々取り付けられ、空調機4と棒ネジ2−1〜4との各取付部分に振止棒10−5〜8(本発明でいう「第2の振れ止め部材群」の一例である)の一端が各々取り付けられている。そして、振止棒10−1〜8の他端同士が締結部材20によって相互に締結されている。
【0026】
上記振れ止め装置1は、このように取り付けられることにより、空調機4が振れるような力が空調機4に加わった場合であっても、棒ネジ2−1〜4に対して斜めに配された振止棒10−1〜8に作用する張力により、空調機4の振れを防止することができる。
【0027】
また、上記振れ止め装置1は、天井3側に取り付けられている振止棒10−1〜4と空調機4側に取り付けられている振止棒10−5〜8とが締結部材20によって相互に締結されているため、例えば、1本の棒材の両端が天井3と空調機4とに各々取り付けられ、各棒材同士の交点を固定しない場合に比べると、空調機4の振れをより強固に防止することができ、また、棒ネジ2−1〜4が捻れる方向に作用する力に対しても十分に振れを防止できる。
【0028】
また、上記振れ止め装置1は、空調機4を吊り下げる棒ネジ2−1〜4で囲まれた空間の内側に取り付けるものであるため、例えば、図8に示す従来例のように、棒ネジ2−1〜4で囲まれた空間の外側に振れ止め100−1〜4を取り付ける場合に比べると、周囲に設置されるダクトや配管、配線等の工作物が障害となったり、天井3にアンカーを打設する必要に迫られたり、空調機4の上側の有効スペースを無駄にしたりすることが無い。また、空調ダクトのように長尺な部材を吊下げる場合は複数箇所で吊下げるので、各々の吊下げ箇所で振れ止めを行えば、従来の振れ止め装置でも十分な振れ止め効果が得られるが、上記振れ止め装置1であれば単独で十分な振れ止め効果が得られるので、例えば空調
機などのように小さい領域内で吊下げる機器において特に有効である。
【0029】
また、上記振れ止め装置1は、締結ボルト24を緩めることにより、締結部材20を中心にして各振止棒10−1〜8を自由に動かすことができるため、取り付け作業が容易である。また、各振止棒10−1〜8は両端がナットで固定されているため、1本の棒材の両端を天井と吊下げ機器とに各々取り付ける場合に比べると、取り付けの際の長さ調整等が容易であり、ナットの位置調整のみで様々な大きさの機器に幅広く対応できる。また、上記振れ止め装置1は、棒ネジ2−1〜4の長さが極めて長いような場合であっても、振れ止め装置1を2段、あるいは3段といった具合に多段に設置することで対応可能である。
【0030】
<第1変形例>
なお、上記実施形態に係る振れ止め装置1は、例えば、次のように変形してもよい。図9は、実施形態に係る振れ止め装置1を変形した第1変形例に係る振れ止め装置の締結部材20Aの構造を示した図の一例である。本変形例に係る振れ止め装置は、上記実施形態に係る振れ止め装置1の締結部材20を変形したものである。すなわち、本変形例に係る振れ止め装置の締結部材20Aは、各振止棒10A−1〜8の他端同士を、各振止棒10A−1〜8の他端に各々設けた孔11A−1〜8に挿通した締結ボルト24Aにより、各振止棒10A−1〜8が締結ボルト24Aを中心にして各々独立して遊動自在な状態で締結されている。
【0031】
このような振れ止め装置であっても、実施形態に係る振れ止め装置1と同様、振止棒10A−1〜8に作用する張力により、空調機4の振れを防止可能である。
【0032】
<第2変形例>
また、上記実施形態に係る振れ止め装置1や第1変形例は、例えば、次のように変形してもよい。図10は、実施形態に係る振れ止め装置1を変形した第2変形例に係る振れ止め装置1Bの斜視図の一例である。上記実施形態に係る振れ止め装置1では、振止棒10−1〜8が棒ネジ2−1〜4に取り付けられていた。すなわち、上記実施形態に係る振れ止め装置1において、振止棒10−1〜4は、一端が棒ネジ2−1〜4のうち天井3側の各部分に取り付けられており、振止棒10−5〜8は、一端が棒ネジ2−1〜4のうち空調機4側の各部分に取り付けられていた。しかし、本変形例に係る振れ止め装置1Bでは、振止棒10−1〜4の一端が取付部材30B−1〜4を介して天井3に各々直接取り付けられ、振止棒10−5〜8の一端が取付部材を介して空調機4に各々直接取り付けられている。この場合、振止棒10−1〜4は、例えば、天井3に打設したアンカー等により取り付ける。また、振止棒10−5〜8は、例えば、空調機4の筐体に係合するボルト等により取り付ける。
【0033】
図11は、第2変形例に係る振れ止め装置1Bの取付部材30B−1の取り付け状態を示した図の一例である。取付部材30B−1は、振止棒10−1が挿通される孔41−1と、天井3に設けられたアンカーボルト40−1が挿通される孔42−1とを有する。孔41−1に挿通される振止棒10−1の端部は、振止棒10−1と螺合するナット37−1,37−1により取付部材30B−1に固定される。また、取付部材30B−1は、孔42−1に挿通されたアンカーボルト40−1と螺合するナット39−1を締め付けることにより、天井3に固定される。取付部材30B−2〜4も取付部材30B−1と同様であり、また、振止棒10−5〜8の一端を空調機4に取り付ける取付部材も取付部材30B−1と同様である。
【0034】
このような振れ止め装置1Bであっても、実施形態に係る振れ止め装置1と同様、天井3に取り付けられた振止棒10−1〜4や空調機4に取り付けられた振止棒10−5〜8
に作用する張力により、空調機4の振れを防止可能である。
【0035】
<その他の変形例>
また、上記実施形態や各変形例に係る振れ止め装置は、例えば、天井側に配される振止棒の長さと空調機側に配される振止棒の長さとを互い違いにしてもよいし、振止棒はその他の形状の部材で代用してもよいし、振止棒は上記締結部材20以外の各種の締結部材により締結してもよい。
【0036】
また、上記実施形態や各変形例に係る振れ止め装置の締結部材の金具や、取付部材の金具は、振止棒と締結ボルトとの相対角度、或いは棒ネジと振止棒との相対角度が変更可能なように、ボルト、ピン或いはリベット等によって実現される角度調整機能を有するものであってもよい。
【0037】
また、上記実施形態や各変形例に係る振れ止め装置は、例えば、天井側および空調機側に配される振止棒を各々4本ではなく、3本以下または5本以上にしてもよい。また、振止棒は、空調機を吊り下げる全ての棒ネジに対して各々取り付けられていてもよいし、空調機を吊り下げる複数の棒ネジのうち何れか1以上の棒ネジについては取り付けを省略してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1,1B・・振れ止め装置:2−1〜4・・棒ネジ:3・・天井:4・・空調機:10−1〜8,10A−1〜8,10−1〜8・・振止棒:11A−1〜8・・孔:20,20A・・締結部材:21−1〜8・・金具:22−1〜8,23−1〜8,41−1,42−1・・孔:24,24A・・締結ボルト:25・・締結ナット:30−1〜8,30B−1〜8・・取付部材:31−1〜8・・金具:32−1〜8・・金具:33−1〜8・・孔:34−1〜8,35−1〜8・・切り欠き:36−1〜8,37−1〜8,38−1〜8,39−1・・ナット:40−1・・アンカーボルト:100−1〜4・・振れ止め
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11