(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162425
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】金属調化粧板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/04 20060101AFI20170703BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20170703BHJP
B32B 37/10 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
B32B27/04 A
B32B15/08 H
B32B37/10
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-34106(P2013-34106)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-162079(P2014-162079A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 広和
【審査官】
清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−290542(JP,A)
【文献】
特開2011−025589(JP,A)
【文献】
特開2012−192733(JP,A)
【文献】
特開2012−171329(JP,A)
【文献】
特開2012−076356(JP,A)
【文献】
特開2008−247016(JP,A)
【文献】
特開2001−138469(JP,A)
【文献】
特開2010−214790(JP,A)
【文献】
特開平08−118539(JP,A)
【文献】
実開平01−078146(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0101692(US,A1)
【文献】
特開平03−218832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレートフィルム間に金属蒸着層が形成された金属蒸着フィルムと、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が含浸された接着性シートと、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が含浸されたコア材とが積層され、熱圧一体化されてなり、最表層が紫外線硬化型樹脂層である金属調化粧板。
【請求項2】
ポリエチレンテレフタレートフィルム間に金属蒸着層が形成された金属蒸着フィルムと、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が含浸された接着性シートと、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が含浸されたコア材とが積層され、温度125〜160℃、圧力40〜70kg/cm2で熱圧一体化されてなり、最表層が紫外線硬化型樹脂層である金属調化粧板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属調化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミン化粧板は豊富な色柄と、表面強度、メインテナンス性など優れた特徴を有することから店舗、医療福祉施設など公共施設の家具・什器から住宅家具まで幅広い用途で使用されている。
【特許文献1】特開平8−118539号公報
【特許文献2】特開平8−290542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年内装デザインの分野においては、益々意匠に関する価値観が多様化し、従来の印刷紙による方法では金属感の表現には限界があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
ポリエチレンテレフタレートフィルム間に金属蒸着層が形成された金属蒸着フィルムと、接着シートと、コア材が積層され、熱圧一体化してなる金属調化粧板である。
【発明の効果】
【0005】
本発明では金属調フィルムを用いることにより、金属板を用いた意匠と同様の金属感を表現でき、フィルムでることから切削加工も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係わる金属蒸着フィルムの構成断面図、
図2は金属調化粧板の製造方法を示す構成断面図である。
【0007】
図1において、金属蒸着フィルム(8)の構成は、上から順に、紫外線硬化型樹脂層(1)、印刷層(2)、厚み30μmのプラスチックフィルム(3)、接着剤層(4)、厚みが0.0023μmの金属蒸着層(5)、厚みが25μmで透明プラスチックフィルム(6)、接着剤層(7)となっている。
【0008】
紫外線硬化型樹脂層(1)に用いられる紫外線硬化型樹脂は、分子中にアクリル基又はメタクリル基を有しているものが好ましく、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレートなどが挙げられる。
【0009】
接着剤層(4)、(7)には、ゴム系接着剤、合成ゴム系接着剤、変性ゴム系接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、ニトロセルロース系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ケイ酸ソーダ系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリル樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、不飽和ポリエステル樹脂系接着剤、エチレン・酢酸ビニル系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、脂肪族あるいは芳香族ポリウレタン系接着剤、共重合ナイロン系接着剤などが使用されるが、接着強度、耐熱性などからポリウレタン系接着剤が好適に用いられる。本発明では、接着剤層(4)には、ポリウレタン系接着剤を用いている。
【0010】
基材のフィルム(3)、(6)には、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6やナイロン12などのポリアミド、ポリビニルアルコールなどが用いられ、本発明では、耐熱性、引っ張り強度に優れるPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いている。
【0011】
蒸着される金属には、金、銀、銅、すず、インジウム、アルミニウム、ケイ素、クロムやニッケルなどが適用できるが特にこれらに限定はされない。
【0012】
接着性シート(9)は化粧板用の熱圧成形後に透明となる含浸紙、具体的には、化粧板用のオーバーレイ原紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含浸し、乾燥したオーバーレイ樹脂含浸紙が適用でき、含浸率は数1で示される算出方法で220〜320%となるように含浸し、乾燥したものが適用できる。
【数1】
【0013】
コア材(10)としては化粧板用のコア紙にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含浸し、乾燥した樹脂含浸コア紙が適用でき、含浸率は数1で示される算出方法で、40〜100%となるように製造する。
【0014】
削除
【0015】
熱圧成形の条件は、温度125〜160℃、圧力40〜70kg/cm
2とする。
【実施例1】
【0016】
上から順に、ウレタンアクリレート樹脂層(1)、印刷層(2)、厚み30μmのPETフィルム(3)、ポリウレタン系接着剤層(4)、厚みが0.0023μmの銅蒸着層(5)、厚みが25μmで透明PETフィルム(6)、ポリウレタン系接着剤層(7)とから構成された銅蒸着フィルム(8)を用意した。
26g/m
2のオーバーレイ原紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を含浸率が130%となるように含浸、乾燥して接着性シート(9)を得た。
198g/m
2のクラフト紙にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を含浸率が53%となるように含浸、乾燥してフェノール樹脂含浸コア紙を得た。
下から順に、コア材(10)としてフェノール樹脂含浸コア紙を4枚、接着性シート(9)紙を1枚、銅蒸着フィルム(8)を1枚積層し、132℃、70kg/cm
2の熱圧条件で成形して金属調化粧板を得た。
【実施例2】
【0017】
実施例1において、銅蒸着フィルムに代えてアルミニウム蒸着フィルムを用いた以外は同様に実施した。
【0018】
比較例1
実施例1において、厚みが25μmで透明PETフィルム(6)のない銅蒸着フィルムを用いた以外は同様に実施した。
【0019】
比較例2
実施例1において、接着性シート(9)を用いなかった以外は同様に実施した。
【0020】
比較例3
実施例1において、銅蒸着フィルムに代えて厚み1mmのステンレス板を用い、接着性シートを用いなかった以外は同様に実施した。
【0021】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0022】
評価方法
外観:目視による。欠点なしを○、コア層の地合いを拾い凹凸があるものを×とした。
層間密着性:沸騰水の中に2時間浸漬後、80℃の恒温槽に24時間放置し、金属蒸着フィルム層の剥離が無かったものを○、剥離および亀裂があったものを×とした。
カット性:木工用の刃物で切削しても端部の欠けがなく、問題なきを○、木工用の刃物での切削ができなかったものを×とした。
【符号の説明】
【0024】
1 紫外線硬化型樹脂層
2 印刷層
3 プラスチックフィルム
4 接着剤層
5 金属蒸着層
6 プラスチックフィルム
7 接着剤層
8 金属蒸着フィルム
9 接着性シート
10 フェノール樹脂含浸コア紙
20 金属調化粧板