(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面全体を通して同じ参照番号が対応する構造を表す図面を参照し、特に
図1を参照すると、
図1は、ガントリ100と他のデバイスもしくはユニットとを含むスペクトルX線CTの装置もしくはスキャナを示す。ガントリ100は側面から示されている。ガントリ100は、X線管101と、環状フレーム102と、多列または2次元アレイ型のX線検出器103とをさらに有する。X線管101およびX線検出器103は、被検体Sを横切って正反対に、回転軸RA周りに回転可能に支持される環状フレーム102に搭載される。被検体Sが軸RAに沿って、図示されたページの奥へまたは手前に移動されている間に、回転部107が、環状フレーム102を0.4秒/回転などの高速で回転させる。
【0010】
マルチスライスX線CT装置は、X線管101がX線を発生するために、スリップリング108を介してX線管101に印加される管電圧を発生させる高電圧発生器109をさらに有する。X線は、断面領域が円で表される被検体Sに向けて照射される。X線検出器103は、被検体Sを透過した照射X線を検出するために、被検体Sを横切ってX線管101の反対側に配置される。X線検出器103は、従来の積分検出器である個別の検出器素子またはユニットをさらに有する。電流調整器117は、管電流を調整するために高電圧発生器109を制御する。
【0011】
図1を参照すると、スペクトルX線CTの装置1またはスキャナは、X線検出器103から検出された信号を処理するための他のデバイスをさらに有する。データ収集回路すなわちデータ収集システム(DAS)104は、各チャネルに対するX線検出器103からの信号出力を電圧信号に変換する。DAS104は、変換された電圧信号を増幅する。DAS104は、増幅した電圧信号をディジタル信号にさらに変換する。X線検出器103およびDAS104は、所定の1回転当たりの総投影数(TPPR:total number of projection per rotation)を処理するように構成される。所定のTPPRの大部分は、900TPPR、900TPPR乃至1800TPPR、および900TPPR乃至3600TPPRである。
【0012】
上記述べたデータは、非接触データ伝送器105を介して、ガントリ100の外部のコンソール内に収納される前処理デバイス106に送られる。前処理デバイス106は、送られたデータ(生データ)に対する感度補正など、一定の補正を実行する。次いで、記憶デバイス112は、再構成処理の直前の段階における投影データとも呼ばれる結果として生じたデータを記憶する。記憶デバイス112は、再構成デバイス114、入力デバイス115、表示デバイス116およびスキャン計画支援装置117と共に、データ/制御バスを介してシステム制御器110に接続される。スキャン計画支援装置117は、画像技術者がスキャン計画を立てることを支援するための機能を有する。
【0013】
X線検出器は、種々の世代のCTスキャナシステムの間で、被検体に対して回転されるかまたは固定されるかのいずれかである。上記で説明されたCTシステムは、X線管101およびX線検出器103を環状フレーム102に正反対に搭載した第3世代の幾何学的配置の一例である。環状フレーム102を回転軸RA周りに回転させるとき、X線管101およびX線検出器103は、被検体Sの周りに回転される。一方、第4世代における幾何学的配置は、被検体の周りに固定して設置される複数のX線検出器103と、被検体の周りを回転するX線管101とを有する。
【0014】
次に
図2を参照すると、
図2は、CTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)を配置するための実施形態を示す図である。一例示的実施形態では、
図2は単に、スキャンされる対象物OBJと、X線管101と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNとの間の相対的関係を示している。簡潔にするために、
図2は、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットを除外している。一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、それぞれ市販のデバイスであり、所定の複数のエネルギー成分それぞれに対して光子計数を出力する。ある実施形態では、およそ100〜300個の光子計数検出器が使用されるが、上記の複数の光子計数検出器の個数に関する数字の範囲は単なる例であり、本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器に関する何らかの特定の数に限定されない。
【0015】
また、
図2を参照すると、一実施形態は、所定の数の複数の光子計数検出器(PCD)を有する。複数の光子計数検出器(PCD)は、円などの所定の形状において対象物OBJの周りに疎らに設置される。例えば、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、ガントリ100内の所定の円形の構成要素200上に固定して設置される。さらに、一実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の等距離の位置において、円形の構成要素200上に固定して設置されてもよい。別の実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の不等距離の位置において、円形の構成要素200上に固定して設置されてもよい。円形の構成要素200は、対象物OBJに対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。一方、X線管101は、ガントリ100内の環状フレーム102などの回転部分300上に搭載される。X線管101が疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNの内側で対象物OBJの周りを回転するとき、X線管101は、対象物OBJに向けて所定の線源ファンビーム角度θAでX線を投影する。その結果、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDN各々は、所定の検出器ファンビーム角度θBで、対象物OBJを通って透過してくるX線を検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDN各々は、所定のエネルギー成分それぞれに対して光子の数を出力する。
【0016】
上記実施形態において、光子計数検出器(PCD)は、対象物OBJ(または回転軸RA)の周りの第1の円形の経路に沿って疎らに、かつ固定して設置される。加えて、少なくとも1つのX線管101は、対象物OBJの周りの第2の円形の経路に沿って回転する。さらに、上記実施形態は、第1の円形の経路が、対象物OBJの周りの第2の円形の経路より大きく、その外側にあることを示している。図に示されていないが、一代替実施形態は、任意に第1および第2の円形の経路の相対的関係を逆にしてもよい。このとき、X線管101に対する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りで疎らに設置された光子計数検出器PCD1乃至PCDNに関する第1の円形の経路より大きくなり、かつ第1の円形の経路の外側になる。
【0017】
本実施形態に関するCTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)を設置するための他の代替実施形態がある。図に示されていないが、第2の代替実施形態は、任意に、2つ以上のX線管101を有する。複数のX線管101は、互いに所定の角度で環状フレーム102などの回転部分300上に搭載される。ある実施形態では、X線管101のうちの少なくとも1つは、任意に、単一のエネルギー源である。同様に、第3の代替実施形態は、X線管101の移動中に任意に、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV(管電圧)−スイッチング(間電圧切り替え)機能を実行するように構成されるX線管101を有する。
【0018】
次に
図3を参照すると、
図3は、CTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置にハイブリッド検出器を設置するための一実施形態を示す。1つの例示的ハイブリッド検出器は、光子計数検出器(PCD)と積分検出器(INTD)との両方を有する。一例示的実施形態では、図は単に、スキャンされる対象物OBJと、X線管101と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと、積分検出器INTD1乃至INTDNとの間の相対的関係を示す。簡潔にするために、
図3は、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットを除外している。一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDN各々は、市販のデバイスであり、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子計数を出力する。ある実施形態では、およそ100〜300個の光子計数検出器が使用される。上記の複数の光子計数検出器の個数の数字の範囲は単なる例であり、本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器の何らかの特定の数に限定されない。同様に、積分検出器INTD1乃至INTDN各々は、市販のデバイスであり、エネルギー成分全体に対してひとつの積分値を出力する。ある実施形態では、およそ100〜300個の積分検出器が使用される。上記の積分検出器の個数の数字の範囲は単なる例であり、本実施形態は、必ずしも、積分検出器の何らかの特定の数に限定されない。
【0019】
図3を参照すると、一実施形態は、所定の数の光子計数検出器(PCD)と積分検出器(INTD)とを有する。両検出器は、本実施形態におけるCTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置に設置される。複数の光子計数検出器(PCD)は、円周に沿った複数の一定の位置における円のような所定の形状において、対象物OBJの周りに疎らに設置される。実施形態は、隣接する光子計数検出器(PCD)の間に設置される積分検出器(INTD)をさらに有する。例えば、積分検出器INTD1は、ガントリ100内の所定の円形の構成要素200上に、2つの隣接する光子計数検出器PCD1とPCD2との間に、固定して設置される。さらに、一実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。別の実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の不等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。円形の構成要素200は、対象物OBJに対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。
【0020】
上記で説明された実施形態は、ガントリ100内の環状フレーム102などの回転部分300上に搭載されるX線管101をさらに有する。環状フレーム102はデータ収集中に回転する。このため、X線管101は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNおよび複数の積分検出器INTD1乃至INTDNの内側で対象物OBJの周りを回転する。このとき、X線管101は、対象物OBJに向けて所定の線源ファンビーム角度θAでX線を投影する。その結果、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJを通って透過してくるX線を、所定の検出器ファンビーム角度で個別に検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子の数を出力する。同時に、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNもまた、対象物OBJを通って透過してくるX線を個別に検出して、ひとつの値を出力する。従って、上記で説明された例示的実施形態は、2種類の検出器から2セットの投影データを収集する。
【0021】
一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200に沿って疎らに配置される。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、疎なビュー投影データを収集する。収集された投影データは、一定の疎なビュー再構成技術を用いる少なくとも二重エネルギー再構成に対しては十分である。また、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNは、投影データの第2のセットを収集する。複数の積分検出器INTD1乃至INTDNからの投影データは、画質を全体的に改善するために使用される。投影データの収集において、線源(X線管)の軌道上のサンプリングは、任意に、空間分解能を高めるために、密に行われる。一方、ハイブリッド検出器のチャネル方向において散乱線除去グリッドは使用されないため、収集されたデータにおけるX線の散乱成分を低減させるために、ソフトウェア補正は、任意選択で必要とされる。
【0022】
上記の実施形態では、複数の光子計数検出器(PCD)および複数の積分検出器(INTD)は、少なくとも1つのX線管101が同じ対象物OBJの周りを第2の円形の経路に沿って回転する間、対象物OBJの周りの第1の円形の経路に沿って固定して設置される。さらに、上記の実施形態は、第1の円形の経路が対象物OBJの周りの第2の円形の経路より大きいことを示している。また、上記の実施形態は、第1の円形の経路が対象物OBJの周りの第2の円形の経路の外側にあることを示している。図に示されていないが、代替の一実施形態は、任意選択で、第1と第2の円形の経路の相対的関係を逆にしてもよい。すなわち、X線管101に対する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りに、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNおよび積分検出器INTD1〜INTDに関する第1の円形の経路より大きい。換言すると、X線管101に対する第2の円形の経路は、第1の円形の経路の外側に位置する。
【0023】
次に
図4を参照すると、
図4は、本CTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置において2つ以上のX線管101と1つのハイブリッド検出器とを有する第2の代替実施形態を示す図である。
図3に関して説明したように、1つの例示的ハイブリッド検出器は、複数の光子計数検出器(PCD)と複数の積分検出器(INTD)との両方を有する。一例示的実施形態では、
図4は単に、スキャンされる対象物OBJと、1対のX線管101−1、101−2と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNとの間の相対的関係を示している。簡潔にするために、
図4では、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素とユニットとを除外している。代替実施形態において、任意選択で、1対のX線管101−1および101−2が、互いに所定の角度で環状フレーム102などの回転部分300上に、S1およびS2などの所定の位置に搭載されてもよい。
図4に関して、いくつかの他の構成要素およびユニットは、
図2または
図3において同じ参照番号および参照記号によって指示されるものと実質的に同一であるので、さらには説明されない。
【0024】
2つのX線管101−1および101−2は、ガントリ100内の環状フレーム102などの回転部分300上に、S1およびS2の位置にそれぞれ搭載される。2つのX線管101−1および101−2は、同じ中心周りに対象物OBJの周りを同時に回転する。一例示的代替実施形態では、回転部分300上の位置S1とS2との間の角度は、ほぼ90度であるが、角度は、必ずしも特定の角度に限定されない。回転部分300はデータ収集中に回転する。このとき、X線管101−1および101−2は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと複数の積分検出器INTD1乃至INTDNとの内側で対象物OBJの周りを回転する。X線管101−1および101−2の回転の間に、X線管101−1および101−2各々は、対象物OBJに向けて所定の線源ファンビーム角度θAでX線を投影する。その結果、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の検出器ファンビーム角度θBで、対象物OBJを通って透過してくるX線をそれぞれ検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定のエネルギー成分のそれぞれに対して光子の数を出力する。同時に、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNもまた、対象物OBJを通って透過してくるX線を個別に検出して、単一の値を出力する。2つのX線管101−1および101−2は、異なる角度で同じ対象物に向けてX線を同時に照射する。このため、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNおよび複数の積分検出器INTD1乃至INTDNからなる2つのセットの検出器群は、2つのX線管101−1および101−2にそれぞれ対応する透過されたX線を同時に検出する。従って、1対のX線管101−1および101−2によって、上記で説明された例示的実施形態は、2種類の検出器から4セットの投影データを収集する。
【0025】
一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200に沿って疎らに位置付けられる。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、疎なビュー投影データを収集する。
図3に関して既に説明されたように、収集された投影データは、一定の疎なビュー再構成技術を用いる少なくとも二重エネルギー再構成に対しては十分である。加えて、1対のX線管101−1および101−2によって、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNからの追加のセットの投影データは、潜在的に時間分解能を2倍にする。また、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNは、第2の1対の投影データを収集する。複数の積分検出器INTD1乃至INTDNからの投影データは、一般的に画質を全体的に改善するために使用される。投影データの収集において、線源(X線管)の軌道上のサンプリングは、空間分解能を高めるために、任意選択で、密に行われる。一方、ハイブリッド検出器上のチャネル方向において散乱線除去グリッドは使用されないため、収集されたデータにおける散乱成分を低減するために、ソフトウェア補正は、任意選択で必要とされる。さらに、交差散乱は、適切に処理されるために、任意選択で必要とされる。
【0026】
上記の実施形態では、複数の光子計数検出器(PCD)および複数の積分検出器(INTD)は、対象物OBJの周りに第1の円形の経路に沿って固定して設置される。このとき、2つのX線管101−1および101−2は、同じ対象物OBJの周りを第2の円形の経路に沿って回転する。さらに、上記の実施形態は、第1の円形の経路が対象物OBJの周りの第2の円形の経路より大きいことを示している。また、上記実施形態は、第1の円形の経路が第2の円形の経路の外側にあることを示している。図に示されていないが、一代替実施形態は、任意に第1および第2の円形の経路の相対的関係を逆にしてもよい。このとき、X線管101−1および101−2に対する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りで疎らに設置された光子計数検出器PCD1乃至PCDNに関する第1の円形の経路より大きくなり、かつ第1の円形の経路の外側になる。加えて、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200上で、所定の等距離の位置かまたは所定の不等距離の位置のいずれかにおいて、固定して設置される。
【0027】
次に
図5を参照すると、
図5は、本CTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置において2つ以上のX線管101と1つのハイブリッド検出器とを有する第3の代替実施形態を示す図である。
図3に関して説明したように、1つの例示的ハイブリッド検出器は、複数の光子計数検出器(PCD)と複数の積分検出器(INTD)との両方を有する。一例示的実施形態では、
図5は単に、スキャンされる対象物OBJと、3つのX線管と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNとの間の相対的関係を示している。簡潔にするために、
図5では、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素とユニットとを除外している。代替実施形態において、任意選択で、3つのX線管101−1、101−2および101−3が、互いに所定の角度で環状フレーム102などの回転部分300上に、S1、S2およびS3などの所定の位置に搭載されてもよい。
図5に関して、いくつかの他の構成要素およびユニットは、
図2、
図3または
図4において同じ参照番号および参照記号によって指示されるものと実質的に同一であるので、さらには説明されない。
【0028】
3つのX線管101−1、101−2および101−3は、ガントリ100内の環状フレーム102などの回転部分300上に、S1、S2およびS3の位置にそれぞれ搭載される。3つのX線管101−1、101−2および101−3は、同じ中心周りに対象物OBJの周りを同時に回転する。一例示的代替実施形態では、回転部分300上の位置S1とS2との間の角度または位置S2とS3との間の角度は、ほぼ60度であるが、角度は、必ずしも特定の角度に限定されない。回転部分300はデータ収集中に回転する。このとき、X線管101−1、101−2および101−3は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと複数の積分検出器INTD1乃至INTDNとの内側で対象物OBJの周りを回転する。X線管101−1、101−2および101−3の回転の間に、X線管101−1、101−2および101−3各々は、対象物OBJに向けて所定の線源ファンビーム角度θAでX線を投影する。その結果、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の検出器ファンビーム角度θBで、対象物OBJを通って透過してくるX線をそれぞれ検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定のエネルギー成分のそれぞれに対して光子の数を出力する。同時に、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNもまた、対象物OBJを通って透過してくるX線を個別に検出して、単一の値を出力する。3つのX線管101−1、101−2および101−3は、異なる角度で同じ対象物に向けてX線を同時に照射する。このため、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNおよび複数の積分検出器INTD1乃至INTDNからなる3つのセットの検出器群は、3つのX線管101−1、101−2および101−3にそれぞれ対応する透過されたX線を同時に検出する。従って、3つのX線管101−1、101−2および101−3によって、上記で説明された例示的実施形態は、2種類の検出器から6セットの投影データを収集する。
【0029】
一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200に沿って疎らに位置付けられる。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、疎なビュー投影データを収集する。
図3に関して既に説明されたように、収集された投影データは、一定の疎なビュー再構成技術を用いる少なくとも二重エネルギー再構成に対しては十分である。加えて、3つのX線管101−1、101−2および101−3によって、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNからの3セットの投影データは、潜在的に時間分解能を2倍にする。また、複数の積分検出器INTD1乃至INTDNは、3セットの投影データを収集する。複数の積分検出器INTD1乃至INTDNからの投影データは、一般的に画質を全体的に改善するために使用される。投影データの収集において、線源(X線管)の軌道上のサンプリングは、空間分解能を高めるために、任意選択で、密に行われる。一方、ハイブリッド検出器上のチャネル方向において散乱線除去グリッドは使用されないため、収集されたデータにおける散乱成分を低減するために、ソフトウェア補正は、任意選択で必要とされる。さらに、交差散乱は、適切に処理されるために、任意選択で必要とされる。
【0030】
上記の実施形態では、複数の光子計数検出器(PCD)および複数の積分検出器(INTD)は、対象物OBJの周りに第1の円形の経路に沿って固定して設置される。このとき、3つのX線管101−1、101−2および101−3は、同じ対象物OBJの周りを第2の円形の経路に沿って回転する。さらに、上記の実施形態は、第1の円形の経路が対象物OBJの周りの第2の円形の経路より大きいことを示している。また、上記実施形態は、第1の円形の経路が第2の円形の経路の外側にあることを示している。図に示されていないが、一代替実施形態は、任意に第1および第2の円形の経路の相対的関係を逆にしてもよい。このとき、X線管101−1、101−2および101−3に対する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りで疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに関する第1の円形の経路より大きくなり、かつ第1の円形の経路の外側になる。加えて、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200上で、所定の等距離の位置かまたは所定の不等距離の位置のいずれかにおいて、固定して設置される。
【0031】
図3、
図4および
図5に関して、本CTスキャナシステムにおいて、所定の第4世代の幾何学的配置において、複数の光子計数検出器(PCD)と複数の積分検出器(INTD)とを設置するための他の代替実施形態がある。ある代替実施形態は、X線管101のうちの少なくとも1つは、任意に、単一のエネルギー源である。同様に、付加的代替実施形態は、任意に、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV(管電圧)−スイッチング機能を実行するように構成されるX線管101を有する。
【0032】
次に
図6を参照すると、
図6は、CTスキャナシステムにおいて、所定の第3世代の幾何学的配置にX線検出器と、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)とを組み合わせた実施形態を示す図である。一例示的実施形態では、
図6は単に、スキャンされる対象物OBJと、X線管101と、X線検出器103と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNとの間の相対的関係を示している。簡潔にするために、
図6は、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットを除外している。一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、それぞれ市販のデバイスであり、所定の複数のエネルギー成分それぞれに対して光子計数を出力する。ある実施形態では、およそ100〜300個の光子計数検出器が使用されるが、上記の複数の光子計数検出器の個数に関する数字の範囲は単なる例であり、本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器に関する何らかの特定の数に限定されない。第4世代における幾何学的配置において疎に配置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに加えて、
図6の実施形態は、CTスキャナシステム内で、所定の第3世代の幾何学的配置に配置された検出器103などのX線検出器をさらに有する。例示的実施形態では、一般的に、X線検出器103における検出器素子は、光子計数検出器(PCD)よりも密に、X線検出器表面に沿って設置される。
【0033】
図6を参照すると、一実施形態は、所定の数の光子計数検出器(PCD)を有する。複数の光子計数検出器(PCD)は、円のような所定の形状において対象物OBJの周りに疎らに設置される。例えば、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、ガントリ100内の所定の円形の構成要素200上に固定して設置される。さらに、一実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。別の実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の不等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。円形の構成要素200は、対象物OBJに対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。
【0034】
X線管101とX線検出器103との両方は、対象物OBJの周りを回転する。このとき、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJに対して静止している。一例示的実施形態では、X線管101は、ガントリ100内の環状フレーム102など第1回転部分300上に搭載される。X線管101は、対象物OBJに向けて所定の線源(X線管)ファンビーム角度θAでX線を投影する。このとき、X線管101は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNの内側で対象物OBJの周りを回転する。加えて、追加のX線検出器103は、CTスキャナシステムに関する上記の例示的実施形態における第3世代の幾何学的配置において、第2回転部分400上に搭載される。第2回転部分400は、X線管101の位置に対して対象物OBJを横切った正反対の位置にX線検出器103を搭載する。第2回転部分400は、据え付けの円形の構成要素200の外側で回転する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、据え付けの円形の構成要素200に、所定の疎らな手法で固定して設置される。
【0035】
一実施形態では、第1回転部分300および第2回転部分400は、X線管101とX線検出器103とが異なる半径で対象物OBJの周りを回転するときに、X線管101とX線検出器103との間の角度を180度で維持するために、環状フレーム102などの単一の構成要素として一体に構成される。任意選択の実施形態では、第1回転部分300および第2回転部分400は分離した構成であるが、第1回転部分300および第2回転部分400は、対象物OBJを横切った180度で対向する固定的な位置で、X線管101およびX線検出器103を維持するために、同調して回転する。さらに、第1回転部分300の回転面に垂直な所定の方向に対象物を移動させているとき、X線管101は、任意選択で、らせん形の経路を進む。
【0036】
X線管101およびX線検出器103は対象物OBJの周りを回転するため、複数の光子計数検出器PCDおよびX線検出器103は、データ収集中に透過されたX線をそれぞれ検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJを透過してくるX線を、所定の検出器ファンビーム角度θBで断続的に検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子の数を個別に出力する。一方、X線検出器103における複数の検出器素子は、対象物OBJを通って透過してくるX線を連続的に検出する。複数の検出器素子は、X線検出器103が回転しているとき、検出された複数の信号を出力する。X線検出器103における複数の検出器素子の付加的な特性は、後で詳細に説明されるが、X線検出器103の一実施形態は、X線検出器の表面上で所定のチャネルおよびセグメントの方向に、積分検出器を密に設けている。
【0037】
上記の例示的実施形態では、X線管101、複数の光子計数検出器(PCD)、およびX線検出器103は、異なる半径の3つの所定の円形の経路を集合的に形成する。複数の光子計数検出器(PCD)は、対象物OBJの周りに第1の円形の経路に沿って疎らに設置される。このとき、少なくとも1つのX線管101は、対象物OBJの周りに第2の円形の経路に沿って回転する。さらに、X線検出器103は、第3の円形の経路に沿って進む。上記の例示的実施形態は、第3の円形の経路が最大であり、対象物OBJの周りの第1および第2の円形の経路の外側にあることを示している。
図6に示されていないが、代替実施形態は、任意選択で、第1および第2の円形の経路の相対的関係を変化させてもよい。このとき、X線管101に関する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りに疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに関する第1の円形の経路より大きくなる。すなわち、代替実施形態は、第2の円形の経路が第1の円形の経路の外側にあるように構成されてもよい。さらに、別の代替実施形態では、X線管101は、また、任意選択で、X線検出器103と同じような第3の円形の経路上を進んでもよい。さらに、上記の代替実施形態は、X線管101が疎らに設置された複数の光子計数検出器(PCD)に関する第1の円形の経路の外側を進むため、短距離で後から曝射される複数の光子計数検出器(PCD)各々のために、任意選択で、保護用背面カバーを設けてもよい。
【0038】
図15は、上記代替の実施形態の一例を示す図である。
図15に示すように、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、回転軸RAを中心とした第1の円形の経路200上において、所定の間隔で設けられた複数の固定位置にそれぞれ配置される。
図15において記号Sで示されたX線管101は、第1円形の経路の外側であって、第1の円形の経路(円周)に関する直径より大きい直径を有する第2の円形の経路上を回転する第1回転部分300に設けられる。複数の検出器素子(積分検出器)を有するX線検出器103は、第2の円形の経路に関する直径と同じ直径を有する第3の円形の経路上を回転する第2回転部分400に設けられる。すなわち、第1回転部分300に関する回転半径と第2回転部分400との回転半径とは、等しくなる。また、
図15に示すように、第1回転部分300の回転に関する回転中心と、第2回転部分400の回転に関する回転中心と、複数の光子計数検出器を疎らに配置させる円周の中心とは略一致する。
図15に示すように、X線管101は、対象物OBJを挟んでX線検出器103に対向する。なお、第1回転部分300と第2回転部分400とは一体構造である環状フレーム102であってもよい。
【0039】
本実施形態に関するCTスキャナシステムにおいて、所定の第3世代の幾何学的配置にX線検出器103と、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)とを組み合わせた他の代替の実施形態がある。ある実施形態では、X線管101のうちの少なくとも1つは、任意に、単一のエネルギー源である。同様に、付加的代替実施形態は、任意に、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV(管電圧)−スイッチング機能を実行するように構成されるX線管101を有する。
【0040】
一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200に沿って疎らに位置付けられる。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、疎なビュー投影データを収集する。
図3に関して既に説明されたように、収集された投影データは、一定の疎なビュー再構成技術を用いる少なくとも二重エネルギー再構成に対しては十分である。加えて、X線検出器103は、別のセットの投影データを収集する。X線検出器103からの投影データは、画質を全体的に改善するために使用される。X線検出器103が、散乱線除去グリッドを有する積分検出器(INTD)から構成される場合、X線検出器103からの投影データは、複数の光子計数検出器(PCD)からの投影データに対して散乱を補正するために使用される。上記の代替実施形態では、積分検出器(INTD)は、所定の円形の構成要素200および光子計数検出器(PCD)のうちのいくつかを通るX線の透過を考慮して、任意選択で、較正されることを必要とする。投影データの収集において、空間分解能を高めるために、線源(X線管)の軌道上のサンプリングが、任意選択で、密に行われる。
【0041】
図7を参照すると、
図7は、CTスキャナシステムにおいて、所定の第3世代の幾何学的配置における2つのX線管および2つのX線検出器と、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)とを組み合わせた別の実施形態を示す図である。一例示的実施形態では、
図7は単に、スキャンされる対象物OBJと、2つのX線管101−1および101−2と、2つのX線検出器103−1および103−2と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNとの間の相対的関係を示している。簡潔にするために、
図7は、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットを除外している。既に説明されたように、ある実施形態では、およそ100乃至300個の市販の光子計数検出器PCD1乃至PCDNが、一般的に使用される。上記の光子計数検出器の個数に関する数字の範囲は単なる例である。本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器の個数について、何らかの特定の数に限定されない。第4世代の幾何学的配置における疎らな複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに加えて、
図7の例示的実施形態は、本CTスキャナシステム内で、所定の第3世代の幾何学的配置における少なくとも2つのX線検出器をさらに有する。
【0042】
図7を参照すると、一実施形態は、所定の数の光子計数検出器(PCD)を有する。複数の光子計数検出器(PCD)は、円のような所定の形状において対象物OBJの周りに疎らに設置される。例えば、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、ガントリ100内の所定の円形の構成要素200上に固定して設置される。さらに、一実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。別の実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の不等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。円形の構成要素200は、対象物OBJに対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。
【0043】
X線管101−1およびX線検出器103−1と、X線管101−2およびX線検出器103−2とによる2つの対は、対象物OBJの周りを回転する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJに対して静止する。各対に対して、第2回転部分400は、X線管101−1および101−2から対象物OBJを横切って正反対の位置にX線検出器103−1および103−2をそれぞれ搭載する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の疎らな形で円形の構成要素200の上に固定して設置される。第2回転部分400は、静止した円形の構成要素200の外側で回転する。加えて、上記の例示的実施形態において、X線管101−1とX線検出器103−1との第1の対は、X線管101−2とX線検出器103−2との第2の対に対して、実質的に垂直になるように、ガントリ100内の環状フレーム102に搭載される。X線管101−1および101−2各々は、対象物OBJに向けて所定の線源ファンビーム角度θAでX線を投影する。このとき、X線管101−1および101−2は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNの内側で対象物OBJの周りを回転する。
【0044】
一実施形態では、X線管101−1、101−2とX線検出器103−1、103−2とが異なる半径で対象物OBJの周りを回転するときに、X線管101−1とX線検出器103−1との間、およびX線管101−2とX線検出器103−2との間の角度を180度で維持するために、第1回転部分300および第2回転部分400は、環状フレーム102などの単一の構成要素として一体に構成される。任意選択の実施形態では、第1回転部分300および第2回転部分400は分離した構成であるが、第1回転部分300および第2回転部分400は、対象物OBJを横切って180度で固定的に対向する位置で、X線管101−1とX線検出器103−1、ならびにX線管101−2とX線検出器103−2を維持するために、同調して回転する。さらに、第1回転部分300の回転面に垂直な所定の方向に対象物を移動させているとき、X線管101−1および101−2は、任意選択で、らせん形の経路を進む。
【0045】
X線管101−1、101−2およびX線検出器103−1、103−2は対象物OBJの周りを回転するため、複数の光子計数検出器PCDおよびX線検出器103−1、103−2は、データ収集中に透過されたX線をそれぞれ検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJを透過してくるX線を、所定の検出器ファンビーム角度θBで断続的に検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子の数を個別に出力する。一方、X線検出器103−1および103−2における複数の検出器素子は、対象物OBJを通って透過してくるX線を連続的に検出する。複数の検出器素子は、X線検出器103−1および103−2が回転しているとき、検出された複数の信号を出力する。X線検出器103−1および103−2における複数の検出器素子の付加的な特性は、後で詳細に説明されるが、X線検出器103−1および103−2の一実施形態は、X線検出器103の表面上で所定のチャネルおよびセグメントの方向に、積分検出器を密に設けている。
【0046】
上記の例示的実施形態では、X線管101−1、101−2と、複数の光子計数検出器(PCD)、およびX線検出器103−1、103−2とは、異なる半径の3つの所定の円形の経路を集合的に形成する。複数の光子計数検出器(PCD)は、対象物OBJの周りに第1の円形の経路に沿って疎らに設置される。このとき、X線管101−1および101−2は、対象物OBJの周りに第2の円形の経路に沿って回転する。さらに、X線検出器103−1と103−2の両方は、第3の円形の経路に沿って進む。上記の例示的実施形態は、第3の円形の経路が最大であり、対象物OBJの周りの第1および第2の円形の経路の外側にあることを示している。
図7に示されていないが、代替実施形態は、任意選択で、第1および第2の円形の経路の相対的関係を変化させてもよい。このとき、X線管101−1および101−2に関する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りに疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに関する第1の円形の経路より大きくなる。すなわち、代替実施形態は、第2の円形の経路が第1の円形の経路の外側にあるように構成されてもよい。さらに、別の代替実施形態では、X線管101−1および101−2は、また、任意選択で、X線検出器103−1および103−2と同じような第3の円形の経路上を進んでもよい。さらに、上記の代替実施形態は、X線管101−1および101−2が疎らに設置された複数の光子計数検出器(PCD)に関する第1の円形の経路の外側を進むため、短距離で後から曝射される複数の光子計数検出器(PCD)各々のために、任意選択で、保護用背面カバーを設けてもよい。
【0047】
本実施形態に関するCTスキャナシステムにおいて、所定の第3世代の幾何学的配置に2つのX線管と2つのX線検出器と、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)とを組み合わせた他の代替の実施形態がある。ある実施形態では、X線管101−1および101−2のうちの少なくとも1つは、任意に、単一のエネルギー源である。同様に、付加的代替実施形態は、任意に、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV(管電圧)−スイッチング機能を実行するように構成されるX線管101−1およびまたは101−2を有する。
【0048】
一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200に沿って疎らに位置付けられる。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、疎なビュー投影データを収集する。
図3に関して既に説明されたように、収集された投影データは、一定の疎なビュー再構成技術を用いる少なくとも二重エネルギー再構成に対しては十分である。加えて、X線検出器103−1および103−2は、別のセットの投影データをそれぞれ収集する。X線検出器103−1および103−2からの投影データは、画質を全体的に改善するために使用される。X線検出器103−1および103−2が、散乱線除去グリッドを有する積分検出器(INTD)から構成される場合、X線検出器103−1および103−2からの投影データは、複数の光子計数検出器(PCD)からの投影データに対して散乱を補正するために使用される。上記の代替実施形態では、積分検出器(INTD)は、所定の円形の構成要素200および光子計数検出器(PCD)のうちのいくつかを通るX線の透過を考慮して、任意選択で、較正されることを必要とする。投影データの収集において、空間分解能を高めるために、線源(X線管)の軌道上のサンプリングが、任意選択で、密に行われる。
【0049】
図8を参照すると、
図8は、本CTスキャナシステムにおいて、所定の第3世代の幾何学的配置における2つのX線管および唯一のX線検出器と、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)とを組み合わせた代替の実施形態を示す図である。一例示的実施形態では、
図8は単に、スキャンされる対象物OBJと、2つのX線管101−1および101−2と、1つのX線検出器103と、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNとの間の相対的関係を示している。簡潔にするために、
図8は、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットを除外している。既に説明されたように、ある実施形態では、およそ100乃至300個の市販の光子計数検出器PCD1乃至PCDNが、一般的に使用される。上記の光子計数検出器の個数に関する数字の範囲は単なる例である。本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器の個数について、何らかの特定の数に限定されない。第4世代の幾何学的配置における疎らな複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに加えて、
図8の例示的実施形態は、本CTスキャナシステム内で、2つのX線管101−1および101−2のうちの実質的にいずれか一方から透過されたX線を検出するために、所定の第3世代の幾何学的配置における一つのX線検出器をさらに有する。
【0050】
図8を参照すると、一実施形態は、所定の数の光子計数検出器(PCD)を有する。複数の光子計数検出器(PCD)は、円のような所定の形状において対象物OBJの周りに疎らに設置される。例えば、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、ガントリ100内の所定の円形の構成要素200上に固定して設置される。さらに、一実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。別の実施形態では、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の不等距離の位置で円形の構成要素200上に固定して設置される。円形の構成要素200は、対象物OBJに対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。
【0051】
X線管101−1およびX線検出器103と、X線管101−2とによる2つの対は、対象物OBJの周りを回転する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJに対して静止する。各対に対して、第2回転部分400は、X線管101−1および101−2から対象物OBJを横切って正反対の位置にX線検出器103を搭載する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の疎らな形で円形の構成要素200の上に固定して設置される。第2回転部分400は、静止した円形の構成要素200の外側で回転する。加えて、上記の例示的実施形態において、X線管101−1とX線検出器103−1との対は、ガントリ100内の環状フレーム102に、X線管101−2の中心の投影方向に対して実質的に垂直な形で搭載される。X線管101−1および101−2各々は、対象物OBJに向けて所定の線源ファンビーム角度θAでX線を投影する。このとき、X線管101−1および101−2は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNの内側で対象物OBJの周りを回転する。
【0052】
一実施形態では、X線管101−1とX線検出器103−1とが異なる半径で対象物OBJの周りを回転するときに、X線管101−1とX線検出器103との間の角度を180度で維持するために、第1回転部分300および第2回転部分400は、環状フレーム102などの単一の構成要素として一体に構成される。任意選択の実施形態では、第1回転部分300および第2回転部分400は分離した構成であるが、第1回転部分300および第2回転部分400は、対象物OBJを横切って180度で固定的に対向する位置で、X線管101−1とX線検出器103を維持するために、同調して回転する。さらに、第1回転部分300の回転面に垂直な所定の方向に対象物を移動させているとき、X線管101−1および101−2は、任意選択で、らせん形の経路を進む。
【0053】
X線管101−1、101−2およびX線検出器103は対象物OBJの周りを回転するため、複数の光子計数検出器PCDおよびX線検出器103は、データ収集中に透過されたX線をそれぞれ検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、対象物OBJを透過してくるX線を、所定の検出器ファンビーム角度θBで断続的に検出する。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子の数を個別に出力する。一方、X線検出器103における複数の検出器素子は、対象物OBJを通って透過してくるX線を連続的に検出する。複数の検出器素子は、X線検出器103が回転しているとき、検出された複数の信号を出力する。X線検出器103における複数の検出器素子の付加的な特性は、後で詳細に説明されるが、X線検出器103の一実施形態は、X線検出器の表面上で所定のチャネルおよびセグメントの方向に、積分検出器を密に設けている。
【0054】
上記の例示的実施形態では、X線管101−1、101−2と、複数の光子計数検出器(PCD)、およびX線検出器103とは、異なる半径の3つの所定の円形の経路を集合的に形成する。複数の光子計数検出器(PCD)は、対象物OBJの周りに第1の円形の経路に沿って疎らに設置される。このとき、X線管101−1および101−2は、対象物OBJの周りに第2の円形の経路に沿って回転する。さらに、X線検出器103は、第3の円形の経路に沿って進む。上記の例示的実施形態は、第3の円形の経路が最大であり、対象物OBJの周りの第1および第2の円形の経路の外側にあることを示している。
図8に示されていないが、代替実施形態は、任意選択で、第1および第2の円形の経路の相対的関係を変化させてもよい。このとき、X線管101−1および101−2に関する第2の円形の経路は、対象物OBJの周りに疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNに関する第1の円形の経路より大きくなる。すなわち、代替実施形態は、第2の円形の経路が第1の円形の経路の外側にあるように構成されてもよい。さらに、別の代替実施形態では、X線管101−1および101−2は、また、任意選択で、X線検出器103と同じような第3の円形の経路上を進んでもよい。さらに、上記の代替実施形態は、X線管101−1および101−2が疎らに設置された複数の光子計数検出器(PCD)に関する第1の円形の経路の外側を進むため、短距離で後から曝射される複数の光子計数検出器(PCD)各々のために、任意選択で、保護用背面カバーを設けてもよい。
【0055】
本実施形態に関するCTスキャナシステムにおいて、所定の第3世代の幾何学的配置に2つのX線管と1つのX線検出器と、所定の第4世代の幾何学的配置に光子計数検出器(PCD)とを組み合わせた他の代替の実施形態がある。ある実施形態では、X線管101−1および101−2のうちの少なくとも1つは、任意に、単一のエネルギー源である。同様に、付加的代替実施形態は、任意に、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV(管電圧)−スイッチング機能を実行するように構成されるX線管101−1およびまたは101−2を有する。
【0056】
一般的に、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、円形の構成要素200に沿って疎らに位置付けられる。複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、疎なビュー投影データを収集する。
図3に関して既に説明されたように、収集された投影データは、一定の疎なビュー再構成技術を用いる少なくとも二重エネルギー再構成に対しては十分である。加えて、X線検出器103は、別のセットの投影データをそれぞれ収集する。X線検出器103からの投影データは、画質を全体的に改善するために使用される。X線検出器103が、散乱線除去グリッドを有する積分検出器(INTD)から構成される場合、X線検出器103からの投影データは、複数の光子計数検出器(PCD)からの投影データに対して散乱を補正するために使用される。上記の代替実施形態では、積分検出器(INTD)は、所定の円形の構成要素200および光子計数検出器(PCD)のうちのいくつかを通るX線の透過を考慮して、任意選択で、較正されることを必要とする。投影データの収集において、空間分解能を高めるために、線源(X線管)の軌道上のサンプリングが、任意選択で、密に行われる。
【0057】
図9を参照すると、
図9は、本CTスキャナシステムにおいて、基本的なハイブリッド検出器の一実施形態を示す。ハイブリッド検出器の一実施形態において、検出器アレイ103Aは、所定の交互パターンで、複数の光子計数検出器(PCD)と積分検出器(INTD)とを有する。複数の検出器素子は、検出器アレイ103Aに矢でそれぞれ示されるように、セグメント方向およびチャネル方向に設置される。一実施形態では、チャネル方向に沿って、光子計数検出器(PCD)ユニットまたは光子計数検出器(PCD)が、固定された位置に疎らにかつ等距離に設置される。図示された実施形態では、積分検出器(INTD)ユニットまたは積分検出器(INTD)は、第1の積分検出器INTD1を除いて、光子計数検出器(PCD)のうちの2つの隣接する光子計数検出器の間に設置される。複数の光子計数検出器(PCD)各々は、N×1個のPCD検出器素子から構成される。一方で、積分検出器(INTD)各々は、64×24など、N×M個の積分検出器素子から構成される。チャネルサイズにおける上記の差に起因して、光子計数検出器(PCD)は、積分検出器(INTD)に対してチャネル方向に疎らに配置される。
【0058】
図9を参照すると、ハイブリッド検出器は、第3世代の幾何学的配置および第4世代の幾何学的配置におけるX線検出器において用いられる。検出器アレイ103Aは、弧を形成する。弧の中間部分は、第3世代のCTの幾何学的配置における所定のX線管101の中心に合わせられる。一実施形態では、検出器アレイ103Aは、X線検出器103の表面上に搭載される。また、検出器アレイ103Aは、任意選択で、円筒形を形成する。円筒形の中心は、第4世代のCTの幾何学的配置において、アイソセンタに設定される。別の実施形態では、複数のPCDおよび複数のINTDは、任意選択で、サンプリング中の散乱を実質的に低減するために、トンネルまたはグリッドなどの異なる表面上に設置されてもよい。ハイブリッド検出器の他の実施形態は、図示されたパターンまたは上記で詳述された行/列構成に限定されない。一代替実施形態は、積分検出器(INTD)なしに、所定の等距離の位置に疎らに位置付けられた光子計数検出器(PCD)のみを有していてもよい。
【0059】
次に
図10Aと
図10Bとを参照すると、
図10Aと
図10Bとは、それぞれ、疎な複数のビューと疎な複数の検出器とを表している。
図10Aは、複数のX線管の位置P1乃至PNと、撮像視野(FOV)と、疎なビューサンプリングにおけるFOV内の任意の画像点Aとの間の関係を示す図である。複数のX線管の位置P1乃至PNのという限定された数によって表されるように、疎なビューサンプリングは、FOV内の点Aを通過する投影が複数の方向において疎であることをもたらす。同様に、FOV内の任意の点は、同様の疎サンプリングレベルを有する。
【0060】
図10Bは、疎らな検出器サンプリングにおける半径に従って、検出器の疎なレベルを示す図である。各円は、光子計数検出器を表している。このとき、円に接する各線は、スペクトル情報を有するサンプルデータを表す。半径は、任意の画像点BとアイソセンタICとの間の距離であるように定義される。
図10Bは、半径が増加するにつれて、円に対する接線の数が、所与の半径内で増加することを表す。増加した接線の数は、より密なサンプリングのレベルを意味する。一方、図はまた、半径が減少するにつれて、円に対する接線の数が、所与の半径内で減少することを表す。減少した接線の数が、疎らなサンプリングのレベルを意味する。一般的に、中央領域は、より疎らなサンプリングレベルを有する。一方、周辺領域は、より密なサンプリングのレベルを有する。加えて、投影の角度範囲は、180°より小さい。
【0061】
一実施形態では、
図10Bに関して説明された上の関係に基づいて、複数の光子計数検出器(PCD)ユニットまたは複数の光子計数検出器(PCD)は、固定された位置において等距離に設置されるものではない。すなわち、一実施形態では、複数の光子計数検出器(PCD)のうちのより大きな数のPCDが、中央領域を覆うために使用される。一方で、複数のPCDのうちのより少ない数のPCDが周辺領域を覆うために使用される。上で説明された構成における実施形態は、パイルアップ効果を大幅に低減する。また、この実施形態は、PCDに関連する高コストを大幅に低減する。
【0062】
次に
図11A、
図11Bおよび
図11Cを参照すると、複数の図は、本CTスキャナシステムにおけるハイブリッド検出器のある実施形態において、光子計数検出器(PCD)および積分計数器(ITGD)の種々の不等距離構成パターンを表す。
図11Aおよび
図11Bでは、パイルアップは中央領域において発生せずに、周辺領域において発生することが想定されている。これらの理由により、中央の光子計数検出器PCD−Cは、チャネル方向において中央領域の近傍または内部に限って密に設置される。一方、周辺の複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、チャネル方向において中央領域の外側で疎らに設置される。周辺の複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと組み合わせて、積分検出器INTD1〜INTDNは、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNのうちの2つの隣接するPCDの間にそれぞれ設置される。例えば、積分検出器INTD2は、2つの隣接する光子計数検出器PCD1とPCD2との間に設置される。
【0063】
図11Cでは、パイルアップはどこでも許容される。適切な補正が、隣接する積分検出器INTSによって実行される。中央の光子計数検出器PCD−Cは、チャネル方向において周辺領域よりも、中央領域の近傍または内部でより密に設置されるが、中央の光子計数検出器PCD−Cは、中央領域において排他的ではない。同時に、周辺の複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNは、チャネル方向において中央領域の外側で疎らに設置される。周辺の複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNと組み合わせて、積分検出器INTD1乃至INTDNは、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCDNのうちの2つの隣接するPCDの間に設置される。
【0064】
次に
図12を参照すると、図は、本CTスキャナシステムにおいて、フライフォーカルスポット(焦点位置切り替え)と組み合わせて疎らに設置された複数の光子計数検出器と複数の積分検出器とを示す。
図12の右手側は、疎らに設置された複数の光子計数検出器PCD1乃至PCD3と、積分検出器INTD1およびINTD2とを部分的に示している。積分検出器INTD1およびINTD2は、トンネルおよび散乱線除去グリッドを有さない複数の積分検出器の同一表面上であって、2つの隣接する光子計数検出器PCD1乃至PCD3の間にそれぞれ設置される。
図12の中央では、2つの同心円と同心円の中心とは、それぞれ、複数の光子計数検出器PCD1乃至PCD3をそれぞれ示している。
図12の左手側は、X線管101から複数の光子計数検出器PCD1乃至PCD3への投影を、部分的に示している。一実施形態では、X線管101の位置は、任意選択で、所定のXY平面上でフライフォーカルスポットによって移動される。別の実施形態では、X線管101の位置は、任意選択で、所定のXY平面に加えてZ方向に、フライフォーカルスポットによって移動される。中心円上の接点は、測定されたデータを表している。
【0065】
図12を参照すると、データの十分性は、フライフォーカルスポットによって改善される。固定された焦点を有する疎らな複数の光子計数検出器(PCD)は、二重エネルギー再構成に対して十分なデータをもたらすことができない。一方、疎らな複数の光子計数検出器(PCD)と組み合わされたフライフォーカルスポットは、任意選択で、十分なデータを提供する。さらに、積分検出器(INTD)からのデータは、ノイズおよび分解能に関して画質を任意選択として改善するために、フライフォーカルスポットにより冗長となる。ソフトウェア補正は、任意選択で、収集されたデータにおける散乱成分を低減するために必要となる。反復再構成において、ソフトウェア散乱補正が正確であることが判明する。
【0066】
図13を参照すると、フローチャートは、本実施形態における疎らな複数の光子計数検出器を使用するスペクトルCTのためのデータを収集するプロセスまたは方法に関連するステップまたは行為を示している。一例示的実施形態では、フローチャートは単に、スキャンされる対象物と、X線管101と、光子計数検出器とに関連する行為またはステップを示している。簡潔にするために、フローチャートは、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットに関連する行為またはステップを除外している。一般的に、光子計数検出器はそれぞれ、市販のデバイスであり、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子計数を出力する。
【0067】
ステップS100において、およそ100〜300個の光子計数検出器は、対象物の周りの第1の円形の経路のような所定の第4世代の幾何学的配置であって、スキャンされる対象物の周りに固定された構成要素上に、疎らに設置される。円形の構成要素は、対象物に対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。一実施形態では、複数の光子計数検出器は、所定の等距離の位置において固定して設置される。一方、別の実施形態では、複数の光子計数検出器は、所定の不等距離の位置において固定して設置される。上記の複数の光子計数検出器の個数に関する数字の範囲は単なる例であり、本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器に関する何らかの特定の数に限定されない。
【0068】
ステップS200において、少なくとも単一のX線管101が、ガントリ内の環状フレーム102などの回転部分に搭載される。環状フレーム102は、対象物を取り巻く第2の円形の経路である。一方法では、第1の円形の経路は、第2の円形の経路より大きく、第2の円形の経路の外側にある。複数の光子計数検出器は、第1の円形の経路に沿って、疎らに設置される。X線管101は、第2の円形の経路上に搭載される。別の方法では、本実施形態を実行するために、X線管101に関する第2の円形の経路は、任意選択で、対象物の周りに疎らに設置された光子計数検出器の第1の円形の経路より大きく、第1の円形の経路の外側にある。さらに別の方法では、複数のX線管が、互いに所定の角度で回転部分に搭載される。
【0069】
ステップS300において、X線管101は、対象物の周りを回転する。一方法では、ステップS300において、X線管101は、疎らに設置された光子計数検出器の内側で、対象物の周りを回転する。別の方法では、ステップS300において、X線管101は、疎らに設置された光子計数検出器の外側で対象物の周りを回転する。短距離で後からX線を受ける光子計数検出器を保護するために、追加のステップが、任意選択で必要とされる。
【0070】
一方法では、ステップS400において、X線管101は、対象物に向けて所定の線源ファンビーム角度でX線を照射する。このとき、ステップS300において、X線管101は同時に回転する。ある方法では、X線管のうちの少なくとも1つは、任意選択で、単一のエネルギー源である。同様に、ステップS400において、代替方法は、任意選択で、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV−スイッチング機能を実行するように構成されるX線管101を有する。
【0071】
ステップS500において、複数の光子計数検出器は、所定の検出器ファンビーム角度で、ステップS400で対象物を通って透過してくるX線を個別に検出する。複数の光子計数検出器は、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子計数を出力する。このようにして、ステップS500は、データを収集する。収集されたデータに基づいて再構成デバイスにより、画像が発生される。
【0072】
上記で説明された方法のステップまたは行為は単に示され、データを収集する方法は、本実施形態による疎らな複数の光子計数検出器を使用するスペクトルCTに対して異なる手法で動作する。ステップS100乃至ステップS500は、一方法における単一の一連の事象または行為において説明されるが、方法内のいくつかのステップは、繰り返し実行され、一方で、他の方法は、最初だけ実行される。さらに、方法のいくつかのステップは、反復実行の間に同時に実行される。
【0073】
図14を参照すると、フローチャートは、本実施形態において、疎らな複数の光子計数検出器と積分検出器との組合せを使用するスペクトルCTに関するデータを収集する方法または方法に関連するステップまたは行為を示している。一例示的実施形態では、フローチャートは単に、スキャンされる対象物と、X線管101と、複数の積分検出器と、複数の光子計数検出器とに関連する行為またはステップを示している。簡潔にするために、フローチャートは、データの収集および処理、ならびに収集されたデータに基づく画像の再構成に必要な他の構成要素およびユニットに関連する行為またはステップを除外している。一般的に、光子計数検出器はそれぞれ市販のデバイスであり、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子計数を出力する。
【0074】
ステップS1000において、およそ100〜300個の光子計数検出器は、対象物の周りの第1の円形の経路のような所定の第4世代の幾何学的配置であって、スキャンされる対象物の周りに固定された構成要素上に、疎らに設置される。円形の構成要素は、対象物に対して静止状態のままであり、データ収集中に回転しない。一実施形態では、複数の光子計数検出器は、所定の等距離の位置において固定して設置される。一方、別の実施形態では、複数の光子計数検出器は、所定の不等距離の位置において固定して設置される。上記の複数の光子計数検出器の個数に関する数字の範囲は単なる例であり、本実施形態は、必ずしも、光子計数検出器に関する何らかの特定の数に限定されない。
【0075】
ステップS1100において、X線管101およびX線検出器103は、回転部分に搭載される。少なくとも単一のX線管が、ガントリ内の環状フレームなどの第1の回転部分に搭載される。環状フレーム102は、対象物を取り巻く第2の円形の経路である。一方法では、第1の円形の経路は、第2の円形の経路より大きく、第2の円形の経路の外側にある。複数の光子計数検出器は、第1の円形の経路に沿って、疎らに設置される。X線管101は、第2の円形の経路上に搭載される。別の方法では、本実施形態を実行するために、X線管101に関する第2の円形の経路は、任意選択で、対象物の周りに疎らに設置された光子計数検出器の第1の円形の経路より大きく、第1の円形の経路の外側にある。さらに別の方法では、複数のX線管が、互いに所定の角度で回転部分に搭載される。
【0076】
また、ステップS1100において、X線検出器103は、ステップS1000で疎らに設置された複数の光子計数検出器の外側で、第3世代の幾何学的配置で、第2の回転部分上に搭載される。一方法では、X線検出器103は、複数の積分検出器素子から構成される。別の方法では、X線検出器103は、所定の構成において、積分検出器素子と光子計数検出器素子との組合せから構成される。一方法では、第1の回転部分と第2の回転部分とが、一体方式で形成される。別の方法では、第1の回転部分と第2の回転部分とは、分離して形成され、独立に回転可能である。
【0077】
ステップS1200において、X線管101およびX線検出器103は、対象物の周りを回転する。一方法では、ステップS1200において、X線管101は、疎らに設置された複数の光子計数検出器の内側で、対象物の周りを回転する。別の方法では、ステップS1200において、X線管101は、疎らに設置された複数の光子計数検出器の外側で対象物の周りを回転する。このとき、短距離で後からX線を受ける複数の光子計数検出器を保護するために、追加のステップが、任意選択で必要とされる。ステップS1200において、X線検出器103は、対象物の周りを回転してもよい。一方法では、X線検出器103は、ステップS1000で疎らに設置された光子計数検出器の外側で、対象物の周りを回転してもよい。
【0078】
一方法では、ステップS1300において、X線管101は、対象物に向けて所定の線源ファンビーム角度でX線を照射する。このとき、X線管101はステップS1200で同時に回転する。ある方法では、X線管101のうちの少なくとも1つは、任意選択で、単一のエネルギー源である。同様に、代替方法は、ステップS1300で、任意選択で、所定の高レベルエネルギーおよび所定の低レベルエネルギーでX線を照射するために、kV−スイッチング機能を実行するように構成されるX線管101を有する。
【0079】
ステップS1400で、複数の光子計数検出器は、ステップS1300で対象物を通って透過してくるX線を、所定の検出器ファンビーム角度で個別に検出する。複数の光子計数検出器は、所定の複数のエネルギー成分各々に対して光子計数を出力する。ステップS1400で、X線検出器103は、ステップS1300で対象物を通って透過してくるX線を検出する。このようにして、ステップS1400はデータを収集する。収集されたデータに基づいて再構成デバイスにより、画像が発生される。
【0080】
上記で説明された方法のステップまたは行為は、単に示されている。データを収集する方法は、本実施形態による疎らな複数の光子計数検出器を使用するスペクトルCTに関する異なるやり方で動作する。ステップS1000乃至ステップS1400は、一方法における単一の一連の事象または行為において説明されるが、方法内のいくつかのステップは、繰り返し実行され、一方で、他の方法は、最初だけ実行される。さらに、方法のいくつかのステップは、反復実行の間に同時に実行される。
【0081】
以上に述べた構成によれば以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、回転軸を中心とした円周に沿って所定の間隔で複数の光子計数検出器を配置させたスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置を提供することができる。これにより、パイルアップおよびコストの大幅な低減が可能となる。加えて、本実施形態に係るスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置によれば、臨床的に可視の画像を再構成するために、ビーム硬化、時間分解能、ノイズ、不十分な検出器応答、不十分なエネルギー分離などの課題を解決することができる。以上のことから、本実施形態によれば、パイルアップ効果、散乱効果、空間分解能、時間分解能、および線量効率などの実施上の課題を解決することできる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要
旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示され
ている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実
施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実
施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された請求項19乃至33、および
請求項35に係る発明を付記する。
[19]回転軸周りに回転可能な回転部分と、前記回転部分における第1所定位置に搭載され、X線を発生する少なくとも一つのX線管と、前記回転部分における第2所定位置に搭載され、前記X線を検出するX線検出器と、前記回転軸を中心とした円周に沿って所定の間隔で設けられた複数の固定位置にそれぞれ配置され、前記X線の光子数を計数する複数の光子計数検出器と、を具備することを特徴とするスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[20]前記回転部分の回転により前記X線管が移動される所定の経路は、前記光子計数検出器が配置される前記円周の内側に位置すること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[21]前記回転部分の回転により前記X線管が移動される所定の経路は、前記光子計数検出器が配置される前記円周の外側に位置すること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[22]前記X線検出器は、前記光子計数検出器が配置される前記円周の外側に配置されること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[23]前記X線検出器および前記少なくとも一つのX線管は、前記光子計数検出器が配置される前記円周の外側に配置されること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[24]前記X線管は、一つのエネルギー源を有すること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[25]前記回転部分の回転により所定の経路に沿って移動される前記X線管は、前記所定の経路の移動中に、管電圧を切り替え可能な管電圧切り替えX線管を有すること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[26]前記回転部分には、2つ以上の前記X線管が搭載されること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[27]前記回転部分には、前記2つ以上のX線管にそれぞれ対応する複数の前記X線検出器が搭載されること、付記[26]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[28]前記X線検出器は、前記光子計数検出器と積分検出器とを組み合わせた構成パターンを有すること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[29]前記X線管は、前記X線の発生に関する焦点位置を切り替え可能な焦点切り替えX線管であること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[30]前記所定の間隔は、等距離であること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[31]前記所定の間隔は、不等距離であること、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[32]前記X線管は、被検体に対して所定のらせん軌道に沿って進むこと、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[33]前記X線管は、被検体に対して所定の円軌道に沿って進むこと、を特徴とする付記[19]に記載のスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置。
[35]X線の光子数を計数する複数の光子計数検出器を、回転軸を中心とした円周に沿って所定の間隔で設けられた複数の固定位置にそれぞれ配置し、前記回転軸周りに回転可能な第1回転部分の第1所定位置に、X線を発生する少なくとも一つのX線管を搭載し、前記回転軸周りに回転可能な第2回転部分の第2所定位置に、X線を検出するX線検出器を搭載し、前記第1回転部分および前記第2回転部分を回転させ、前記X線管が所定の経路に沿って進む間に、前記X線管によりX線を発生し、前記光子計数検出器によりデータを収集し、前記収集されたデータに基づいて、画像を発生すること、を特徴とするスペクトルX線コンピュータ断層撮影装置を用いた画像発生方法。