特許第6162453号(P6162453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京電力株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社関電工の特許一覧 ▶ 管清工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162453
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】管補修機及び管補修方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/16 20060101AFI20170703BHJP
   B29C 63/34 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   F16L55/16
   B29C63/34
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-69653(P2013-69653)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190530(P2014-190530A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】592185666
【氏名又は名称】管清工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 正則
(72)【発明者】
【氏名】秦 正典
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−215192(JP,A)
【文献】 特開平08−014476(JP,A)
【文献】 特開2007−253339(JP,A)
【文献】 特開2000−098711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/16−55/179
B29C 63/26
B29C 63/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)筒状の形状を有し、閉鎖空間に媒体が供給されることによって径方向において膨張させられ、媒体が供給されなくなると径方向において収縮させられる弾性体と、
(b)該弾性体上に配設され、弾性体が径方向において膨張させられ、収縮させられるのに伴って、径方向において大きくなり、小さくなる剥離部材と、
(c)該剥離部材上に配設され、前記剥離部材が径方向に大きくなるのに伴って径方向に大きくなり、管体の内周面に貼着させられる補修材と、
(d)該補修材上に着脱自在に配設され、管補修機が管体の補修位置に置かれると、前記補修材から除去される保護部材とを有するとともに、
(e)該保護部材は、シートを反転部で折り返すことによって形成され、内側シート部及び外側シート部を重ねた状態で前記補修材に巻き付けられることを特徴とする管補修機
【請求項2】
(a)記内側シート部は補修材を包囲して配設され、
(b)前記外側シート部の所定の箇所に、保護部材を回収するための回収用部材が取り付けられる請求項に記載の管補修機。
【請求項3】
管体外で前記回収用部材を引くことによって、外側シート部が後方に引かれ、内側シート部が補修材から引き剥がされる請求項に記載の管補修機。
【請求項4】
前記外側シート部の所定の箇所に、前記保護シートを剥離部材に留める留め部材が取り付けられる請求項1〜のいずれか1項に記載の管補修機。
【請求項5】
前記管体における補修位置の外周面に加熱体が被覆される請求項1〜のいずれか1項に記載の管補修機。
【請求項6】
(a)筒状の形状を有する弾性体、及び該弾性体上に配設された剥離部材を備える補修機本体の前記剥離部材上に補修材を配設し、
(b)該補修材上に、シートを反転部で折り返すことによって形成され、内側シート部及び外側シート部を重ねた状態の保護部材を配設して管補修機を形成し、
(c)該管補修機を管体内に挿入して管体の補修位置に置き、
(d)前記保護部材を補修材から除去して回収し、
(e)前記弾性体内の閉鎖空間に媒体を供給することによって、弾性体を径方向に膨張させ、剥離部材及び補修材を径方向に大きくし、補修材を管体の内周面に貼着し、
(f)前記閉鎖空間から媒体を排出することによって、弾性体を径方向に収縮させ、剥離部材を径方向に小さくし、補修機本体を管体内から取り出すことを特徴とする管補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管補修機及び管補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、送電鉄塔においては、主柱材、斜材等が管体としての鋼管によって形成されているものがある。
【0003】
ところで、送電鉄塔は、風雨、大気等の厳しい自然環境下に立地されているので、建設されてから20〜30年が経過している場合、経年劣化によって、鋼管の内周面に錆、腐食等が発生していることがある。その場合、内周面に錆、腐食等が発生した鋼管を新しいものに取り替えることが考えられるが、送電鉄塔においては、主柱材、斜材等の全体を取り替えることになり、取り替えるための作業が大掛かりになり、コストが高くなるだけでなく、作業が行われる間、送電を停止させる必要がある。
【0004】
そこで、内周面における錆、腐食等が発生した部分、すなわち、劣化部分において鋼管を応急的に補修し、送電に支障がない所定の時期に鋼管を取り替える等の延命策が採られている。
【0005】
図2は劣化部分において鋼管が補修された状態を示す図、図3は従来の管補修機の正面図、図4は従来の管補修方法を説明するための第1の図、図5は従来の管補修方法を説明するための第2の図、図6は従来の管補修方法を説明するための第3の図である。
【0006】
図において、Eは鋼管、12は該鋼管Eの内周面において錆、腐食等が発生した劣化部分、13は鋼管Eの内周面に貼着され、劣化部分12をコーティングすることによって鋼管Eを補修する補修材としてのライニング材である。該ライニング材13は、劣化部分12をコーティングすることによって外気から遮断し、錆、腐食等が進行するのを抑制する。
【0007】
また、21は鋼管Eの内周面に前記ライニング材13を貼着するための管補修機であり、該管補修機21は、両端が密封され、筒状の形状を有するスリーブユニット23、該スリーブユニット23に巻き付けられて、複数の層を形成する剥離シート24、該剥離シート24の両端の近傍に巻き付けられ、剥離シート24をスリーブユニット23に固定するビニルテープ28、前記剥離シート24の中央部側に巻き付けられて、複数の層を形成する前記ライニング材13、該ライニング材13の両端の近傍に巻き付けられ、ライニング材13を剥離シート24に対して仮止めする紙テープ29、前記スリーブユニット23の後端に取り付けられたエアホース31等を備える。
【0008】
次に、管補修方法について説明する。
【0009】
まず、図4に示されるように、管補修機21を鋼管E内に挿入し、鋼管E内を前進させて、ライニング材13が劣化部分12と対向する位置、すなわち、補修位置に置く。
【0010】
次に、前記エアホース31を介して圧縮空気をスリーブユニット23内に供給し、スリーブユニット23を膨張させる。これに伴って、図5に示されるように、剥離シート24は、各ビニルテープ28より中央部側の部分において、各層が互いに擦れながら伸展させられ、径方向において大きくなる。そして、剥離シート24の伸展に伴って、ライニング材13が伸展させられ、径方向において大きくなり、鋼管Eの内周面に当接させられる。このとき、紙テープ29は、剥離シート24及びライニング材13と共に伸展させられるか、又は破断される。
【0011】
そして、ライニング材13には硬化性樹脂があらかじめ含浸させられていて、スリーブユニット23の膨張に伴って、ライニング材13の外周面が鋼管Eの内周面に押し付けられ、その後、所定の時間が経過すると、硬化性樹脂が硬化し、ライニング材13が鋼管Eの内周面に貼着される。
【0012】
続いて、前記エアホース31を介して圧縮空気をスリーブユニット23内から排出し、スリーブユニット23を収縮させると、図6に示されるように、剥離シート24が径方向において小さくなる。したがって、ライニング材13が鋼管Eの内周面に貼着された状態で、管補修機21におけるライニング材13及び紙テープ29以外の部分、すなわち、スリーブユニット23、剥離シート24、ビニルテープ28等から成る補修機本体35を鋼管E内から取り出すことができる。このようにして、鋼管Eが補修される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2012−215192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前記従来の管補修機21においては、紙テープ29の材質、紙テープ29をライニング材13に巻き付ける位置等によっては、紙テープ29の巻付力が小さくなり、管補修機21が鋼管E内を移動させられる間に、紙テープ29の巻付けが緩くなったり、紙テープ29が破断したりすることがあり、その場合、ライニング材13が変形したり、剥離シート24に対してずれたりしてしまう。また、紙テープ29の巻付力が大きくなると、スリーブユニット23を膨張させたときに、剥離シート24及びライニング材13を径方向において十分に大きくすることができず、ライニング材13を鋼管Eの内周面に確実に当接させることができなくなってしまう。
【0015】
その結果、ライニング材13を鋼管Eの内周面に適正に貼着することができなくなってしまう。
【0016】
また、前記従来の管補修機21においては、鋼管E内を移動させられる間に、ライニング材13の外周面が汚れるだけでなく、ライニング材13が鋼管Eの内周面に当接させられるときに、紙テープ29が、ライニング材13と共に鋼管Eの内周面に当接させられ、ライニング材13の貼着後に、ライニング材13と鋼管Eとの間に残ってしまうので、ライニング材13を鋼管Eの内周面に確実に貼着することができなくなってしまう。
【0017】
本発明は、前記従来の管補修機21の問題点を解決して、補修材を管体の内周面に適正に、かつ、確実に貼着することができる管補修機及び管補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そのために、本発明の管補修機においては、筒状の形状を有し、閉鎖空間に媒体が供給されることによって径方向において膨張させられ、媒体が供給されなくなると径方向において収縮させられる弾性体と、該弾性体上に配設され、弾性体が径方向において膨張させられ、収縮させられるのに伴って、径方向において大きくなり、小さくなる剥離部材と、該剥離部材上に配設され、前記剥離部材が径方向に大きくなるのに伴って径方向に大きくなり、管体の内周面に貼着させられる補修材と、該補修材上に着脱自在に配設され、管補修機が管体の補修位置に置かれると、前記補修材から除去される保護部材とを有する。
そして、該保護部材は、シートを反転部で折り返すことによって形成され、内側シート部及び外側シート部を重ねた状態で前記補修材に巻き付けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、管補修機においては、筒状の形状を有し、閉鎖空間に媒体が供給されることによって径方向において膨張させられ、媒体が供給されなくなると径方向において収縮させられる弾性体と、該弾性体上に配設され、弾性体が径方向において膨張させられ、収縮させられるのに伴って、径方向において大きくなり、小さくなる剥離部材と、該剥離部材上に配設され、前記剥離部材が径方向に大きくなるのに伴って径方向に大きくなり、管体の内周面に貼着させられる補修材と、該補修材上に着脱自在に配設され、管補修機が管体の補修位置に置かれると、前記補修材から除去される保護部材とを有する。
そして、該保護部材は、シートを反転部で折り返すことによって形成され、内側シート部及び外側シート部を重ねた状態で前記補修材に巻き付けられる。
【0020】
この場合、保護部材は、補修材上に着脱自在に配設され、管補修機が鋼管の補修位置に置かれると、補修材から除去されるので、管補修機が管体内を移動させられる間に、補修材が変形したり、剥離部材に対してずれたりすることがない。また、弾性体を膨張させたときに、剥離部材及び補修材を径方向において十分に大きくすることができるので、補修材を管体の内周面に確実に当接させることができる。したがって、補修材を管体の内周面に適正に貼着することができる。
【0021】
また、管補修機が管体内を移動させられる間に、補修材の外周面が汚れることがなく、補修材の全体を管体の内周面に当接させることができるので、補修材を管体の内周面に確実に貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施の形態における管補修機の断面図である。
図2】劣化部分において鋼管が補修された状態を示す図である。
図3】従来の管補修機の正面図である。
図4】従来の管補修方法を説明するための第1の図である。
図5】従来の管補修方法を説明するための第2の図である。
図6】従来の管補修方法を説明するための第3の図である。
図7】本発明の第1の実施の形態におけるスリーブユニットの正面図である。
図8】本発明の第1の実施の形態におけるスリーブユニットの平面図である。
図9】本発明の第1の実施の形態におけるスリーブユニットの側面図である。
図10】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第1の概念図である。
図11】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第2の概念図である。
図12】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第3の概念図である。
図13】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第4の概念図である。
図14】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第5の概念図である。
図15】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第6の概念図である。
図16】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第7の概念図である。
図17】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第8の概念図である。
図18】本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第9の概念図である。
図19】本発明の第1の実施の形態における管補修機を鋼管内に挿入する方法を説明するための第1の図である。
図20】本発明の第1の実施の形態における管補修機を鋼管内に挿入する方法を説明するための第2の図である。
図21】本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第1の図である。
図22】本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第2の図である。
図23】本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第3の図である。
図24】本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第4の図である。
図25】本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第5の図である。
図26】本発明の第2の実施の形態における管補修方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の第1の実施の形態における管補修機の断面図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるスリーブユニットの正面図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるスリーブユニットの平面図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるスリーブユニットの側面図である。
【0025】
図において、51は管補修機であり、該管補修機51は、管体としての鋼管E(図2)内を矢印A方向に移動させられて前進させられ、矢印B方向に移動させられて後退させられ、鋼管E内の補修位置に置かれて鋼管Eを補修する。
【0026】
そのために、前記管補修機51は、両端が密封され、筒状の形状を有するスリーブユニット23、該スリーブユニット23上に、スリーブユニット23を包囲して配設された剥離部材としての剥離シート24、該剥離シート24の両端の近傍に取り付けられ、剥離シート24をスリーブユニット23に固定する固定部材としての結束バンド30、前記剥離シート24上に、剥離シート24を包囲して配設され、鋼管Eの内周面に貼着され、劣化部分12(図2)をコーティングすることによって鋼管Eを補修する補修材としてのライニング材13、該ライニング材13上に、ライニング材13を包囲して着脱自在に配設された保護部材としての保護シート52、該保護シート52の所定の箇所、本実施の形態においては、前端(図1における右端)の近傍に取り付けられ、保護シート52を剥離シート24に留める留め部材としての輪ゴム79、前記スリーブユニット23の後端(図1における左端)に取り付けられたエアホース31等を備える。該エアホース31は、弾性材料、本実施の形態においては、ウレタン樹脂から成り、媒体供給源としての図示されない圧縮機と連結される。
【0027】
前記スリーブユニット23は、外力が加わったときに変形しやすく、弾性率が小さい弾性材料、本実施の形態においては、ゴム材(天然ゴム)によって形成された弾性体61、該弾性体61の前端及び後端に配設され、弾性体61の前端及び後端を閉鎖することによって弾性体61内に閉鎖空間を形成する金属製の閉鎖部材62、63、並びに該閉鎖部材62、63にそれぞれ螺合によって取り付けられた連結要素としてのステンレス鋼製の第1、第2のアイボルト(輪付きボルト)65、66を備える。該第1、第2のアイボルト65、66には、それぞれ、ワイヤ、ロープ等の牽引具、本実施の形態においては、ワイヤの一端が結び付けられ、作業者が鋼管E外でワイヤの他端を引き寄せることによって、管補修機51が鋼管E内を移動させられる。
【0028】
前記閉鎖空間はエアホース31と連通させられ、前記圧縮機を駆動することによって発生させられた媒体としての圧縮空気が閉鎖空間に供給される。なお、圧縮空気の圧力は、鋼管Eの径に対応させて設定され、例えば、鋼管Eの径が89. 1〔mm〕である場合、0.3〔MPa〕にされる。
【0029】
前記弾性体61は、前端及び後端が閉鎖部材62、63に融着によって固定され、筒状の形状を有する本体部68、及び該本体部68の前端及び後端を包囲して、かつ、本体部68に融着させて形成され、弾性体61を閉鎖部材62、63に押し付けるスリーブ端69を備える。なお、前記本体部68の断面は円筒形の形状を有するのに対して、閉鎖部材62、63の横方向の断面は偏平な形状、本実施の形態においては、楕円形状を有するので、図9に示されるように、スリーブ端69の断面も楕円形状を有する。
【0030】
前記本体部68には、長手方向に延在させて、かつ、円周方向において所定のピッチで、規制材としての複数の糸状の繊維71が埋設され、前記スリーブ端69には、円周方向に延在させて、かつ、長手方向において所定のピッチで、規制材としての複数の糸状の繊維72が埋設される。そして、弾性体61内の閉鎖空間に圧縮空気が供給されたときに、前記繊維71は、本体部68が長手方向において膨張するのを規制するとともに、本体部68が径方向において膨張するのを許容し、また、前記繊維72は、スリーブ端69が径方向において膨張するのを規制する。
【0031】
したがって、弾性体61内の閉鎖空間に圧縮空気が供給されると、本体部68において、膨張が許容される部分、すなわち、本体部68の長手方向におけるスリーブ端69より中央側の部分(以下「膨張許容部」という。)pt1が径方向において膨張させられ、圧縮空気が排出されると、膨張許容部pt1が径方向において収縮させられる。この場合、閉鎖空間に圧縮空気が供給されたときに、膨張許容部pt1が弾性体61の長手方向において膨張するのが規制されるので、供給する圧縮空気の量を少なくすることができる。また、閉鎖空間に圧縮空気が供給されたときに、スリーブ端69が径方向において膨張するのが規制されるので、結束バンド30が剥離シート24から外れるのを防止することができる。
【0032】
前記本体部68及びスリーブ端69は、シート状のゴム材を筒状に巻き、積層されたシート状のゴム材同士を加硫によって融着することにより形成される。なお、本体部68の厚さが薄いほど、閉鎖空間に供給される圧縮空気の圧力を低くすることができるが、圧縮空気の圧力が低くなると、膨張許容部pt1を均一に膨張させるのがその分困難になる。そこで、本実施の形態においては、本体部68の径が32〔mm〕にされ、本体部68の厚さが5〔mm〕程度にされる。
【0033】
前記剥離シート24は、帯状のシートを前記スリーブユニット23の外周面に複数回巻き付けて積層することによって形成され、前記膨張許容部pt1が露出することがないように、少なくとも膨張許容部pt1を包囲する。そして、前記結束バンド30が、剥離シート24の前端及び後端の近傍に、剥離シート24をスリーブ端69に押し付けるように取り付けられ、結束バンド30によって剥離シート24がスリーブユニット23に固定される。
【0034】
したがって、弾性体61内の閉鎖空間に圧縮空気が供給され、膨張許容部pt1が径方向において膨張させられると、剥離シート24における膨張許容部pt1と対向する部分が径方向外方に向けて押され、積層されたシート同士が互いに擦れながら伸展させられ、径方向において大きくなる。
【0035】
なお、積層されたシート同士が擦れやすくなるように、また、鋼管Eの内周面に貼着された後のライニング材13から剥離シート24を剥がしやすくするために、剥離シート24の少なくとも一方の面、本実施の形態においては、両面にシリコン等の潤滑剤が塗布される。
【0036】
前記結束バンド30は、樹脂製のバンドであり、一端にロック用の穴が、他端に係止部が形成され、剥離シート24に取り付けられた後、係止部を穴に通し、係止部に形成された歯と穴のエッジとを係止させることによって結束され、剥離シート24をスリーブユニット23に固定する。なお、前記歯は、結束バンド30に外力が加わっても係止部が穴から外れないような形状に形成される。
【0037】
本実施の形態において、前記ライニング材13としてはガラスマットが使用され、該ガラスマットは、母材としてのガラスシートに、貼着材として硬化性樹脂を含浸させることによって形成される。そして、管補修機51の長手方向におけるガラスマットの寸法、すなわち、ガラスマットの幅は、鋼管Eの劣化部分12の大きさに対応させて設定され、例えば、50〔cm〕にされ、管補修機51の円周方向におけるガラスマットの寸法、すなわち、ガラスマットの長さは、鋼管Eの内周面に所定のマージン、本実施の形態においては、5〔cm〕を加えた値にされる。
【0038】
前記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を主剤とし、主剤に、硬化剤として変性ポリアミンを加え、添加剤としてカップリング剤、界面活性剤等を添加したものが使用される。また、硬化性樹脂は、所定の時間が経過すると硬化し、例えば、外気温が23〔℃〕である場合、約3〔時間〕で硬化する。なお、圧縮空気の温度を高くすることによってライニング材13を加熱すると、硬化性樹脂が硬化するのに必要な時間を短くすることができる。
【0039】
したがって、ライニング材13の外周面を鋼管Eの内周面の劣化部分12と対向させて、弾性体61内の閉鎖空間に圧縮空気を供給すると、前述されたように、スリーブユニット23の膨張許容部pt1が径方向において膨張させられ、それに伴って、剥離シート24が径方向において大きくなり、ライニング材13が径方向外方に向けて押され、ガラスマットが伸展させられ、径方向において大きくなり、鋼管Eの内周面に押し付けられる。そして、所定の時間が経過すると、硬化性樹脂が硬化し、ライニング材13が鋼管Eの内周面に貼着される。このようにして、鋼管Eを補修することができる。
【0040】
なお、本実施の形態において、鋼管Eの内周面に貼着される前のライニング材13の厚さは、0.6〔mm〕以上、かつ、1.0〔mm〕以下であるが、貼着後のライニング材13の厚さは、0.5〔mm〕以上、かつ、0.65〔mm〕以下になる。
【0041】
前記保護シート52は、管補修機51を鋼管E内に挿入してから鋼管E内を移動させて補修位置に置くまでの間、ライニング材13が汚れたり、変形したり、剥離シート24に対してずれたりすることがないように、ライニング材13を包囲して配設され、ライニング材13を保護する。そして、管補修機51が補修位置に置かれると、保護シート52は除去されて回収され、ライニング材13が鋼管Eの内周面の劣化部分12と対向させられる。
【0042】
ところで、鋼管E内で管補修機51を移動させるときに鋼管Eの内周面で発生する摩擦力が大きくなると、管補修機51を円滑に移動させることができない。また、保護シート52の硬度が高いと、保護シート52をライニング材13から除去して回収するときにライニング材13が剥離シート24に対してずれてしまう場合がある。
【0043】
そこで、本実施の形態においては、保護シート52を軟質プラスチック、本実施の形態においては、ポリエチレン樹脂から成るシートによって形成することにより、ライニング材13が剥離シート24に対してずれるのを抑制するようにしている。また、保護シート52の所定の箇所に、保護シート52を回収するための回収用部材としての、かつ、引張部材としてのロープ53が取り付けられ、鋼管E外で作業者がロープ53を引くと、保護シート52がライニング材13から除去されて回収される。
【0044】
ところで、ライニング材13は、ガラスシートに硬化性樹脂を含浸させることによって形成され、保護シート52がある程度の付着力で付着させられているので、鋼管E外で作業者がロープ53を引いて保護シート52を後方に引き寄せることによってライニング材13から除去しようとすると、ロープ53を引く力、すなわち、引張り力を極めて大きくする必要がある。
【0045】
そこで、本実施の形態においては、保護シート52を、帯状のシートを二つ折りにし、反転部Fで折り返して反転させることによって形成し、内側シート部55と外側シート部56とを重ねた状態でライニング材13に巻き付けるようにしている。そして、内側シート部55によってライニング材13が包囲され、外側シート部56の所定の箇所、本実施の形態においては、外側シート部56の後端の近傍の内周面に、ロープ53の一端が、第1の貼付部材としてのガムテープ54によって固定される。また、外側シート部56の他の所定の箇所、本実施の形態においては、外側シート部56の前端の近傍に前記輪ゴム79が取り付けられ、保護シート52が剥離シート24に留められる。
【0046】
この場合、作業者がロープ53によって外側シート部56を後方に引くと、引張り力が外側シート部56を介して反転部Fに伝達され、反転部Fにおいて内側シート部55がライニング材13から垂直方向に引き剥がされ、ライニング材13から除去されることになる。したがって、ロープ53の引張り力を小さくすることができ、小さい引張り力で、保護シート52を確実に除去することができる。なお、内側シート部55はライニング材13から引き剥がされるのに伴って反転させられ、反転させられた部分が外側シート部56になる。したがって、輪ゴム79及び反転部Fが後方に移動させられ、ライニング材13から引き剥がされた分だけ、内側シート部55は短くなり、外側シート部56は長くなる。
【0047】
なお、作業者がロープ53を引く量をρとすると、外側シート部56は距離L1
L1=ρ
だけ後方に移動させられ、反転部Fは距離L2
L2=ρ/2
だけ後方に移動させられる。
【0048】
また、前述されたように、管補修機51が鋼管E内の補修位置に置かれるまでの間、ライニング材13が汚れたり、変形したり、剥離シート24に対してずれたりすることがないように、ライニング材13を保護する必要があるので、保護シート52の前端、すなわち、当初の反転部Fはライニング材13の前端より前方に、本実施の形態においては、剥離シート24上におけるライニング材13の前端と結束バンド30との間の所定の位置に置かれる。このとき、外側シート部56とライニング材13とが接触すると、外側シート部56がライニング材13に付着し、ロープ53の引張り力を外側シート部56を介して反転部Fに伝達するのが困難になる。そこで、内側シート部55の後端は、ライニング材13の後端より後方に、本実施の形態においては、ライニング材13の後端と結束バンド30との間の所定の位置に置かれる。なお、外側シート部56の後端は、ロープ53によって外側シート部56を後方に引くことが可能であれば、管補修機51上の任意の箇所に置くことができるが、ライニング材13に保護シート52を巻き付けたときに外側シート部56が短いと、ロープ53によって外側シート部56を後方に引いたときの引張り力を反転部Fの全体に均一に伝達することができない。その結果、内側シート部55を均一に反転させることができなくなってしまう。そこで、本実施の形態においては、外側シート部56の後端が、内側シート部55の後端より後方の、スリーブユニット23の後端とほぼ同じ位置に置かれ、外側シート部56が十分に長くされる。
【0049】
次に、前記管補修機51の製造方法について説明する。
【0050】
図10は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第1の概念図、図11は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第2の概念図、図12は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第3の概念図、図13は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第4の概念図、図14は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第5の概念図、図15は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第6の概念図、図16は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第7の概念図、図17は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第8の概念図、図18は本発明の第1の実施の形態における管補修機の製造方法を説明するための第9の概念図である。
【0051】
まず、図10に示されるように、帯状のシート81を、両縁をスリーブユニット23の各スリーブ端69上に置き、前記スリーブユニット23の外周面に複数回巻き付けることによって剥離シート24を形成する。続いて、図11に示されるように、前記剥離シート24の前端及び後端の近傍に結束バンド30を取り付け、剥離シート24をスリーブユニット23に固定する。これにより、管補修機51の本体、すなわち、補修機本体35が形成される。
【0052】
次に、図12〜14に示されるように、ガラスマット82を前記剥離シート24の外周面に巻き付けることによってライニング材13を形成する。
【0053】
続いて、図15に示されるように、帯状のシート84を二つ折りにすることによって、反転部Fで反転させて内側シート部55及び外側シート部56から成る保護シート52を形成し、図16及び17に示されるように、内側シート部55と外側シート部56とを重ねた状態で、補修機本体35に巻き付け、内側シート部55の各縁間を第2の貼付部材としてのビニルテープ86によって連結する。また、このとき、外側シート部56の後端の近傍の内周面に、ロープ53の一端を、ガムテープ54によって固定する。
【0054】
次に、図18に示されるように、外側シート部56の各縁間を第3の貼付部材としてのビニルテープ87によって連結する。そして、外側シート部56の前端の近傍に輪ゴム79を取り付け、保護シート52を剥離シート24に留める。このようにして、管補修機51が形成される。
【0055】
次に、管補修機51を鋼管E内に挿入する方法について説明する。
【0056】
図19は本発明の第1の実施の形態における管補修機を鋼管内に挿入する方法を説明するための第1の図、図20は本発明の第1の実施の形態における管補修機を鋼管内に挿入する方法を説明するための第2の図である。
【0057】
例えば、送電鉄塔においては、主柱材、脚、斜材等が複数の鋼管Ei(i=1、2、…)を所定のもの同士を接続することによって形成され、図19に示されるように、二つの鋼管E1、E2(便宜上、図19においては鋼管E1だけが示される。)を接続する場合は、一方の鋼管E1の端部に接続プレート91が、他方の鋼管E2の端部に接続プレート92が溶接によって固定され、接続プレート91、92が、ボルト93及びナット94によって連結される。この場合、接続プレート91、92は、各鋼管E1、E2の端部において断面の中心を通り、径方向に延在するように固定されるので、例えば、鋼管E1を補修する際に、管補修機51は、接続プレート91、92のうちの一方、例えば、接続プレート91と鋼管E1の円弧部分との間の、半円形の形状を有する狭い隙間から成る挿入部ARを介して鋼管E1内に挿入される。
【0058】
また、図20に示されるように、主柱材が鋼管E3によって、斜材が鋼管E4〜E6によって形成される場合、鋼管E3と鋼管E4〜E6とを接続するために、鋼管E3の端部以外の所定の箇所に接続プレート95が、各鋼管E4〜E6の端部に接続プレート96が溶接によって固定され、接続プレート95、96が、ボルト93及びナット94によって連結される。この場合、例えば、鋼管E4を補修する際に、管補修機51を鋼管E4内に挿入しようとすると、管補修機51と鋼管E3とが干渉する。そこで、管補修機51は、鋼管E3側から挿入されず、矢印方向に反転させて挿入される。
【0059】
なお、管補修機51において、閉鎖部材62、63(図7)の横方向の断面は楕円形状を有するので、本体部68における閉鎖部材62、63に融着させられる部分、及びスリーブ端69の横方向の断面も楕円形状を有するが、膨張許容部pt1(図7)の横方向の断面は円形の形状を有する。そこで、本実施の形態においては、弾性体61内の閉鎖空間から圧縮空気を抜くことによって、又は弾性体61を外側から押すことによって、管補修機51の全体を偏平にして、管補修機51を挿入部ARを介して鋼管E1、E4内に挿入するようしている。なお、閉鎖空間を減圧することによって弾性体61を偏平にすることができる。
【0060】
次に、管補修方法について説明する。
【0061】
図21は本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第1の図、図22は本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第2の図、図23は本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第3の図、図24は本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第4の図、図25は本発明の第1の実施の形態における管補修方法を説明するための第5の図である。
【0062】
図において、Eは鋼管、51は管補修機である。
【0063】
まず、作業者は、図示されないカメラを、鋼管E内に挿入し、カメラに取り付けられたワイヤ等で移動させて、鋼管Eの内周面を撮影する。そして、カメラによって撮影された鋼管Eの内周面の画像に基づいて、劣化部分12(図2)の位置を特定する。このとき、鋼管E内に粉塵、鳥の営巣等が存在する場合はブロワー、ブラシ等で除去する。
【0064】
次に、鋼管Eにおける管補修機51を挿入する側の端部を挿入端とし、反対側の端部を非挿入端とし、非挿入端から、図示されない第1のワイヤを挿入し、該第1のワイヤの先端を挿入端から引き出し、前記管補修機51の前端に配設された第1のアイボルト65(図7)に結ぶ。また、前記管補修機51の後端に配設された第2のアイボルト66に図示されない第2のワイヤを結ぶ。そして、前記スリーブユニット23にエアホース31を接続し、前記非挿入端側において第1のワイヤを引き、管補修機51を挿入部ARを介して鋼管E内に挿入する。なお、このとき、閉鎖空間に圧縮空気は供給されていない。
【0065】
続いて、第1、第2のワイヤを選択的に引き、鋼管E内で管補修機51を移動させ、図21に示される、ライニング材13が劣化部分12と対向する補修位置に置く。
【0066】
次に、作業者は、ロープ53によって外側シート部56を後方に引く。これにより、図22に示されるように、反転部Fにおいて内側シート部55はライニング材13から引き剥がされ、輪ゴム79及び反転部Fは後方に移動させられる。
【0067】
そして、図23に示されるように、保護シート52がライニング材13から除去され、ライニング材13が露出させられると、作業者は、前記圧縮機を駆動し、エアホース31を介して圧縮空気をスリーブユニット23内に供給し、スリーブユニット23を膨張させる。これに伴って、図24に示されるように、剥離シート24における各結束バンド30より中央部側の部分において、各層が互いに擦れながら伸展させられ、剥離シート24が径方向において大きくなる。その結果、ライニング材13が径方向外方に向けて押され、ガラスマット82(図12)が伸展させられ、径方向において大きくなり、鋼管Eの内周面に押し付けられる。そして、所定の時間が経過すると、硬化性樹脂が硬化し、ライニング材13が鋼管Eの内周面に貼着される。
【0068】
続いて、前記エアホース31を介して圧縮空気をスリーブユニット23内から排出し、スリーブユニット23を収縮させると、図25に示されるように、剥離シート24が径方向において小さくなる。この状態で、第2のワイヤを引くと、補修機本体35を鋼管E内から取り出すことができる。
【0069】
このように、本実施の形態においては、保護シート52が、ライニング材13上に着脱自在に配設され、管補修機51が鋼管Eの補修位置に置かれるとライニング材13から除去されるので、管補修機51が鋼管E内を移動させられる間に、ライニング材13が変形したり、剥離シート24に対してずれたりすることがない。また、スリーブユニット23を膨張させたときに、剥離シート24及びライニング材13を径方向において十分に大きくすることができるので、ライニング材13を鋼管Eの内周面に確実に当接させることができる。したがって、ライニング材13を鋼管Eの内周面に適正に貼着することができる。
【0070】
また、管補修機51が鋼管E内を移動させられる間に、ライニング材13の外周が汚れることがなく、ライニング材13の全体を鋼管Eの内周面に当接させることができるので、ライニング材13を鋼管Eの内周面に確実に貼着することができる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0072】
図26は本発明の第2の実施の形態における管補修方法を説明するための図である。
【0073】
図において、Eは管体としての鋼管、101は該鋼管Eの外周面に被覆された加熱体としてのリボンヒータ、102は該リボンヒータ101に電力を供給する電源装置、103は鋼管Eの補修位置の近傍の温度を設定し、かつ、調整するための温度調整装置、104は前記鋼管Eの外周面とリボンヒータ101との間に配設され、鋼管Eの温度を検出する温度検出部としてのセンサである。
【0074】
前記温度調整装置103は、センサ104によって検出された温度に基づいて鋼管Eの補修位置の近傍の温度を制御し、設定した温度、すなわち、設定温度に保つ。なお、作業者は、外気温に応じて温度調整装置103における設定温度を変更することができる。
【0075】
本実施の形態においては、鋼管Eの補修位置の近傍の温度を制御して、設定温度に保つことができるので、硬化性樹脂が硬化するのに必要な時間、すなわち、ライニング材13の鋼管Eの内周面への貼着が完了するまでの時間を短くすることができる。例えば、外気温が0〔℃〕程度であっても、鋼管Eの補修位置の近傍の温度を20〔℃〕程度にすることができるので、冬季においても、鋼管Eの補修を迅速に行うことができる。
【0076】
前記各実施の形態においては、管補修機51に一つのスリーブユニット23が配設されるようになっているが、管補修機51に複数のスリーブユニット23を配設することができる。その場合、スリーブユニット23において弾性率が大きい弾性材料を使用することができる。
【0077】
また、ライニング材13として、透明度が高いガラスマットを使用することができる。その場合、鋼管Eの内周面にライニング材13が貼着された後に、劣化部分12に適切に貼着されたかどうかをカメラによって確認することができる。そして、透明度が高いガラスマットを使用する場合に、顔料を混入させることができる。その場合、カメラ等によってライニング材13を監視し、ライニング材13の厚さを推定したり、保守・管理を行ったりすることができる。
【0078】
さらに、前記ライニング材13においては、ガラスシートに硬化性樹脂が含浸させられるようになっているが、ガラスシート以外の材料に硬化性樹脂を含浸させることができる。
【0079】
また、前記各実施の形態においては、閉鎖空間に圧縮空気が供給されるようになっているが、圧縮空気に代えて、液体を供給することができる。その場合、液体の温度を高くすることによって、硬化性樹脂が硬化するのに必要な時間を短くすることができる。
【0080】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0081】
13 ライニング材
24 剥離シート
51 管補修機
52 保護シート
61 弾性体
E 鋼管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26