特許第6162477号(P6162477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162477
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】熱侵食試験機
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/00 20060101AFI20170703BHJP
   B22C 5/04 20060101ALI20170703BHJP
   G01N 33/24 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B22C1/00 L
   B22C5/04 Z
   G01N33/24 C
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-101940(P2013-101940)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-221485(P2014-221485A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】513119059
【氏名又は名称】ウェスタン・ミシガン・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】Western Michigan University Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】サム・エヌ、ラームラッタン
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−234541(JP,A)
【文献】 特開平06−226395(JP,A)
【文献】 特開昭60−021144(JP,A)
【文献】 特開平08−010897(JP,A)
【文献】 特開昭52−134794(JP,A)
【文献】 特開昭59−073143(JP,A)
【文献】 特開昭55−103256(JP,A)
【文献】 特開2000−301288(JP,A)
【文献】 特開昭54−002792(JP,A)
【文献】 特開2012−110948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00, 5/04, 9/00
G01N 33/24
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂試料に対して熱侵食試験を行う装置であって、
前記砂試料を支持する試料ホルダーと、
前記試料ホルダーの下に配置されるとともにモーターによって動作可能に回転される回転発熱体であって、該回転発熱体は、前記モーターによって動作可能に回転されている間に、前記試料ホルダー内の開口部を貫通して前記砂試料に接触するように構成される回転発熱体と、
前記試料ホルダーの下に配置される漏斗であって、前記砂試料との前記回転発熱体の接触によって前記砂試料から研磨され緩んだ砂を捕捉するように構成される漏斗と、
前記緩んだ砂の重量を検出するように構成される計量部材と
を備える装置。
【請求項2】
前記回転発熱体を動作可能に回転させる前記モーターは変速モーターである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転発熱体は、前記砂試料と接触する接触面を更に有し、該接触面はテクスチャー加工されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記接触面の模様は、隆起した長手方向リブを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記計量部材は、前記緩んだ砂の重量を、前記熱侵食試験中に少なくとも2回から前記熱侵食試験中にほぼ連続的に測定するとともに、データをデータ収集システムに送信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記回転発熱体は、前記試料ホルダー内の開口部を貫通して所定の圧力で前記砂試料を押圧するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記漏斗は透明な材料から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
砂試料に対して熱侵食試験を行う装置であって、
発熱体と、
前記発熱体と動作可能に係合するとともに前記発熱体が前記砂試料と接触すると該発熱体を回転させるモーターと、
前記発熱体の上で前記砂試料を支持する砂試料支持部材と、
前記発熱体の前記回転によって前記砂試料から研磨され緩んだ砂を回収する部材と
前記緩んだ砂の重量を検出する部材と
を備え
前記発熱体は、前記熱侵食試験中に前記砂試料と接触するために持ち上げられるとともに、前記熱侵食試験中に所定の圧力を前記砂試料に加えるように構成される、装置。
【請求項9】
前記発熱体は、概ね円錐形又は円錐台形である形状を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記発熱体は、前記砂試料と接触している間に、約1/4回転〜約1回転だけ回転する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記発熱体は、溶融金属の鋳造温度に近似する前記熱侵食試験中の温度に維持されるように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記発熱体の前記回転によって前記砂試料から研磨され緩んだ砂を回収する前記部材は漏斗であり、該漏斗は透明である、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
砂試料に対して破砕性試験を行う方法であって、
内部にテーパー状の孔を有する前記砂試料を発熱体の上に支持するステップと、
前記発熱体及び前記砂試料を、該発熱体が該砂試料の前記テーパー状の孔に隣接した状態で接触させるステップと、
前記発熱体を所定の程度回転させるステップと、
前記砂試料から研磨され緩んだ砂を回収するステップと、
前記緩んだ砂を計量するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記緩んだ砂の色を観察するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記緩んだ砂を計量するステップは、前記破砕性試験中、前記緩んだ砂を連続的に計量することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記破砕性試験中、経過時間に対する前記緩んだ砂の重量のグラフ表示を作成するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記発熱体を所定の程度回転させるステップは、前記発熱体が前記砂試料と接触している間、該発熱体を約1/4回転〜約1回転だけ回転させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記発熱体を溶融金属の鋳造温度に近似する温度まで加熱するステップと、
前記砂試料及び前記発熱体を所定の圧力でともに押圧するステップと
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
概ねディスク状の基部に取り外し可能に連結されるテーパー状の円筒形ガイド部及び中空管を準備するステップであって、前記テーパー状の円筒形ガイド部が前記ディスク状基部の中心部分から概ね垂直に延びた状態であり、前記中空管が前記テーパー状の円筒形ガイド部から半径方向外側に配置された状態であり、前記テーパー状の円筒形ガイド部と前記中空管との間にスペースが画定されるステップと、
砂を前記テーパー状の円筒形ガイド部と前記中空管との間の前記スペース内で成形して前記砂試料を形成するステップと
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱侵食試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
砂と、粘土又は化学粘結剤と、任意選択的には耐火剤被膜との混合物を含む結合された砂中子及び砂型は、金属鋳造技術の重要な部分である。結合された砂中子及び砂型、又は生中子及び生砂型の性質は、溶融金属と接触させられる際に、これらの砂中子及び砂型を用いて形成される金属鋳物の品質を制御するために重要である。砂混合物の破砕性は、結合された砂中子又は砂型を用いた鋳物の品質に影響を与える1つの要因である。
【0003】
破砕性は、固形物質がより小さな片へと砕ける性能であり、砂混合物の破砕性は、砂の耐磨耗性の尺度と見なされる。破砕しやすい砂混合物は、鋳造中に溶融金属の侵食流に耐えることができない砂混合物である。破砕しやすい砂混合物は、流れる溶融ストリームに砂粒が流され、緩んだ砂は、更なる侵食及び介在物欠陥を引き起こす。金型において用いられる砂混合物の破砕性が増大するにつれ、深い空洞を型抜きする性能が落ち、金型の上半分からの砂が金型の下半分内に落下し、鋳造における欠陥をもたらす。混合プロセス中に中子の砂又は新たな砂及び新たな接着剤の流入が多すぎる場合、型砂混合物は非常に砕けやすくなる。新たな接着剤は、その特性が発現する前にミキサーを通る幾つかのパスを必要とする。
【0004】
破砕性は、成形性に反比例する。成形性が低いほど、破砕性は高くなる。幾つかの型砂は、それらの組成並びに水分含有量及び/又は粘土含有量に応じて、それらの成形性に対して極めて感湿性が高い。
【0005】
現在の標準的なAFS破砕性試験では、2つの標準的なAFS砂試料(直径5cm(2インチ)×高さ5cm(2インチ)の円筒形状である試料)が、18cm(7インチ)径の円筒形スクリーン内に並んで配置され、次いでそのスクリーンが1分間回転されることによって、試料が回転して互いに擦り合う。試験は通常、試料作成直後に行われるが、種々の空気乾燥間隔後に試験してもよい。試料が回転するにつれ、表面から研磨された砂は受皿内に回収される。重量損失は通常、(双方の試料の)元の出発重量で割るとともに「百分率による破砕性」をもたらすように100をかけた砂試料の重量損失として表される。AFS生砂試験委員会の研究では、10%未満の破砕性レベルが金型及び中子の使用には概ね満足なものであることが示唆されている。砂混合物の破砕性が10%超である場合、砂混合物を混和する金型は、溶融金属とともに用いられる場合に侵食及び介在物型の欠陥を招きやすい。
【0006】
現在用いられているAFS破砕性試験は、室温で行われるものであり、2つの室温の砂試料を擦り合わせることを伴う。現在の破砕性試験はまた、ある高さから溶融金属を注ぐ際に生じる圧力を考慮しない。現在用いられている破砕性試験はまた、砂に対する金属の比を表す仕組み等を一切有していない。したがって、2つの試料を擦り合わせる現在の試験では、実際の鋳造状況において起きることを正確には反映していない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様は、砂試料に対して熱侵食試験を行う装置であって、この装置は、砂試料を支持する試料ホルダーを備える。回転発熱体が、試料ホルダーの下に配置されるとともにモーターによって動作可能に回転される。回転発熱体は、モーターによって動作可能に回転されている間に、試料ホルダー内の開口部を貫通して試料に接触するように構成される。漏斗が試料ホルダーの下に配置され、試料との回転発熱体の接触によって試料から研磨され緩んだ砂を捕捉するように構成される。計量部材が緩んだ砂の重量を検出するように構成される。
【0008】
本発明の別の態様は、砂試料に対して熱侵食試験を行う装置であって、この装置は発熱体を備える。モーターは、発熱体と動作可能に係合するとともに、発熱体が砂試料と接触すると発熱体を回転させる。発熱体の回転によって砂試料から研磨され緩んだ砂を回収する部材が設けられる。
【0009】
本発明の別の態様は、砂試料に対して破砕性試験を行う方法である。本方法は、砂試料を発熱体の上方に支持するステップを含む。砂試料は、内部にテーパー状の孔を有する。発熱体及び砂試料を、発熱体が砂試料のテーパー状の孔に隣接した状態で接触させる。発熱体を所定の程度回転させ、砂試料から研磨され緩んだ砂を回収し、緩んだ砂を計量する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】熱侵食試験機の実施形態の上方斜視図である。
図1A】熱侵食試験を行うために適所にある、図1に示される熱侵食試験機の上方斜視図である。
図2】ガイド部が上に設置された状態である、砂試料生成基部の上方斜視図である。
図3】ガイド部及び円筒管が上に設置された状態である、砂試料生成基部の上方斜視図である。
図4】ガイド部及び円筒管が上に設置されており、砂を成形するのにプッシャーが用いられている状態である、砂試料生成基部の上方斜視図である。
図5】砂試料生成基部の砂を成形するサンドスクイーザーの上方斜視図である。
図6図1に示される熱侵食試験機によるデータの回収を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図1Aに示される、砂試料12の破砕性を試験する熱侵食試験機(「TET」)10の好ましい実施形態は、砂試料12を保持する円筒管14と、管状試料ホルダー16と、回転を制御する変速モーター20が取り付けられている回転発熱体18と、砂試料12から研磨されて緩んだ砂26を捕捉する漏斗22と、熱侵食試験中に砂試料12から研磨されて緩んだ砂26を計量する計量部材24とを備えている。
【0012】
図1に最もよく示されるように、砂試料12は好ましくは、中空円筒形の砂を含んでいる。本明細書で用いられる場合、「砂」は、限定ではないが、砂、砂及び粘結剤の混合物、又は耐火剤被膜を表面に有する砂及び粘結剤の混合物を含む。これに応じて、「砂試料」は、前述のタイプの砂のうちの任意のものから形成される試料を含む。砂試料12は、周縁の周りに上方に延びる持ち上がり縁32を有する概ねディスク状の基部30を用いて作られる。図2に示される実施形態に示されるように、基部30よりも小さな直径を有する円筒形ガイド部34は、基部30の中心部分に嵌り、この中心部分から上方に延びている。基部30に組み付けられると、基部30に隣接して配置される円筒形ガイド部34の端部部分33は、テーパー状である。テーパー状部分は、好ましくは、円筒形ガイド部34の長さのうち約5cm(約2インチ)の部分である。図3に示される実施形態に示されるように、次いで、中空円筒管14、好ましくは、AFS標準の5cm(2インチ)の内径の管が基部30の上に配置され、持ち上がり縁32によって適所に保持され、円筒形ガイド部34と中空円筒管14との間に開口部36がもたらされる。次いで、中心にテーパー状の孔37を有するとともに高さが5cm(2インチ)でありかつ直径が5cm(2インチ)である試料を形成するのに十分な砂が計量されて開口部36に注がれる。
【0013】
図4に示される実施形態に示されるように、プッシャー38を円筒形ガイド部34の周りに配置して手で押し下げて、砂を開口部36内に詰めるとともに、自動サンドスクイーザー40の使用のためにそのサンプルを準備する。図5に示される実施形態に示されるように、自動サンドスクイーザー40は、約0.966MPa(約140psi)の圧力が砂試料12に加えられるまで作動され、この圧力は約3秒間維持される。砂試料12の成形後、基部30と、円筒形ガイド部34と、プッシャー38とを砂試料12から取り外し、中心を通るテーパー状の孔37を有する砂試料12が円筒管14内に残る。
【0014】
図1及び図1Aに示されるTET10の実施形態に示されるように、砂試料12及び円筒管14は、操作中、熱侵食試験機10の管状試料ホルダー16上に配置される。図1及び図1Aに示されるように、管状試料ホルダー16は開口部41を有し、この開口部は、回転発熱体18を砂試料12のテーパー状の孔37内へ上方に通過させることを可能にする。回転発熱体18は、好ましくは、砂試料12に、その中心を通るテーパー状の孔37の全長に沿って接触するよう、砂試料12のテーパー状の孔37に適合するような形状にされる。例えば、回転発熱体18の形状は、概ね円錐形又は円錐台形とすることができる。回転発熱体18は、好ましくは、砂試料12に接触して砂試料12を研磨するテクスチャー加工表面43を有する。そのようなテクスチャー加工表面43の1つの例が、長手方向リブ状パターンである。回転発熱体18は、鋳造に使用される場合、砂型に注がれる溶融金属の温度に一致するように所定の温度まで加熱される。管状試料ホルダー16は、回転発熱体18が砂試料12の中空部分内にある状態で砂試料12を回転発熱体18に接触させるよう、回転発熱体18の上方に下げることができる。代替的には、回転発熱体18を、砂試料12に接触するように持ち上げることができる。回転発熱体18を、例えば油圧部材42を用いて持ち上げることができる。回転発熱体18及び砂試料12は、好ましくは、砂試料12と回転発熱体18との接触の結果として又は砂試料12の高速運動の結果として砂試料12の損失を回避するようにゆっくりと接触させられる。
【0015】
所定の圧力を回転発熱体18によって砂試料12に加えることができるよう、砂試料12が回転発熱体18上に置かれて砂試料自体の重量によって回転発熱体上に保持されるか、又は砂試料12は回転発熱体18に当接して適所に固定することができる。回転発熱体18を、変速モーター20によって可変速度で回転させることができる。次いで、回転発熱体18を約1/4回転〜約1回転だけ回転させ、この回転中に回転発熱体18は砂試料12と擦れ合い、その砂のうちの幾らかを緩ませて侵食する。好ましくは、測定可能でありかつ再現性のある結果を生むように十分な回転が提供される。さらに、回転速度は、好ましくは、同じタイプの砂試料12を用いて砂損失の再現性を高めるように選択される。
【0016】
漏斗22が回転発熱体18の下に配置され、そのため、研磨されて緩んだ砂26は砂試料12から落下すると、漏斗22内に捕捉される。漏斗22は、好ましくは、ガラス材料又はプラスチック材料である。計量部材24は、漏斗22内に回収された砂の質量を測定する。研磨されて緩んだ砂26の重量及び外観は、熱侵食試験の持続時間を通して監視することができる。
【0017】
熱侵食試験中又はその後に、砂の色合いを試験作業者が観察することができる。高い温度は、砂中の粘土含有量又は化学粘結剤に影響を与えて損耗させる。室温において研磨される砂試料12において、研磨される砂はチャコールブラック色を有し、この色は、砂試料12がミキサーから出てくる際にその砂試料において用いられる砂と同じ色である。砂試料12が300℃において試験される場合、研磨された砂は灰色であり、砂試料12が700℃において試験される場合、研磨された砂は薄い灰色である。
【0018】
図6に示されるように、TET10は、高温での砂試料12のバルク表面磨耗を測定する。TET10は、熱侵食試験の経過時間を測定するセンサー50と、回転発熱体18の温度を測定するセンサー52と、砂試料12から研磨された砂の重量を測定するセンサー54とを備え、これらのセンサーは全て、好ましくはリアルタイムに測定を行う。センサー50、52、54によって回収されたデータは、データ収集システム56に送信される。データ収集システム56は、これらのセンサー50、52、54によって回収されたデータを、任意選択的には熱侵食試験の持続時間を通して連続的に記録する。好ましくは、データがデータ収集システム56によって回収されると、曲線のようなグラフ表示58もデータ収集システム56によって生成され、時間の関数として砂試料12の質量の変化を示す。
【0019】
本明細書に記載される熱侵食試験機10は、砂型が溶融金属を鋳造するのに用いられる場合、その砂型の反応をより厳密に再現する。熱侵食試験機10によって、作業者は、研磨中に熱が砂試料12に加えられる場合、砂試料12の反応を評価することができる。金型に用いられる砂のタイプは概して、粘土及び/又は他の粘結剤を含有するため、熱は、砂の破砕性を大幅に変化させる場合がある。粘土及び他の粘結剤は、金型の、金型−金属接点において加熱される場合、変性して破損する。したがって、金型−金属接点の予想温度における破砕性を測定することは、金型の実際の性能のより正確な判定を提供する。本明細書に記載される熱侵食試験はまた、溶融金属をある高さから金型内に注ぐ際に生じる圧力を考慮し、溶融金属が砂型内に注がれる際に直面する実際の状況のより正確な表現も提供する。種々の砂及び粘結剤システムを試験した結果を比較して、サンプルの相対的な耐食性を判定することができる。
【0020】
本発明の一態様は、砂試料に対して熱侵食試験を行う装置であって、砂試料を支持する試料ホルダーを備える装置である。回転発熱体は、試料ホルダーの下に配置されるとともにモーターによって動作可能に回転される。回転発熱体は、モーターによって動作可能に回転されている間に、試料ホルダー内の開口部を貫通して砂試料に接触するように構成される。漏斗が試料ホルダーの下に配置され、砂試料との回転発熱体の接触によって砂試料から研磨され緩んだ砂を捕捉するように構成される。計量部材が緩んだ砂の重量を検出するように構成される。
【0021】
本発明の別の態様は、砂試料に対して熱侵食試験を行う装置であって、発熱体を備える装置である。モーターは、発熱体と動作可能に係合するとともに発熱体が砂試料と接触すると発熱体を回転させる。発熱体の回転によって砂試料から研磨され緩んだ砂を回収する部材が設けられる。
【0022】
本発明の別の態様は、砂試料に対して破砕性試験を行う方法である。本方法は砂試料を発熱体の上に支持するステップを含む。砂試料は内部にテーパー状の孔を有する。発熱体及び砂試料を、発熱体が砂試料のテーパー状の孔に隣接した状態で接触させる。発熱体を所定の程度回転させ、砂試料から研磨され緩んだ砂を回収し、緩んだ砂を計量する。
【0023】
明細書の前述部分において、本発明の特定の実施形態が説明されている。しかしながら、当業者は、種々の変更及び変形を、添付の特許請求の範囲に示される本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解する。それに応じて、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示な意味におけるものとして見なされるべきであり、全てのそのような変更は、本発明の範囲内に含まれるものとして意図される。あらゆる利益、利点、又は解決策を生むか又はより明白にすることができる利益、利点、問題に対する解決策、及びあらゆる要素は、幾つかの請求項又は全ての請求項のうちの重要で必要な、すなわち必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。本発明は、本願の係属中に行われる全ての補正、及び発行されるようなそれらの特許請求項の全ての等価物を含め、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6