特許第6162496号(P6162496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162496
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】X線検査用車両の搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20170703BHJP
   G01N 23/04 20060101ALN20170703BHJP
   G01V 8/20 20060101ALN20170703BHJP
【FI】
   B65G43/08 E
   !G01N23/04
   !G01V9/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-128738(P2013-128738)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-3777(P2015-3777A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198318
【氏名又は名称】株式会社IHI検査計測
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】杉安 剛
(72)【発明者】
【氏名】菅井 孝郎
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−349546(JP,A)
【文献】 特開2009−113909(JP,A)
【文献】 特開平07−041265(JP,A)
【文献】 特開平04−166576(JP,A)
【文献】 実開昭51−160874(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00−43/10
B65G 47/00−47/20
G01N 23/00−23/227
G01V 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検車両をパレット上に搭載してX線検査をするX線検査用車両の搬送装置であって、
前記パレット上に設けられ、前記被検車両が所定の停車位置に停車することと、前記被検車両が慣性力によって前記停車位置から前方又は後方に移動したこととを検出するセンサ装置と、
パレットの搬送中に前記被検車両が前記停車位置から移動したときに、前記パレットの搬送を停止する制御装置と、を備え、
前記センサ装置は、
前記パレットの幅方向に向けて複数の第1レーザ光を照射する第1照射装置と、
前記幅方向における前記第1照射装置と向かい合った位置に設けられ、前記複数の第1レーザ光を受光する第1受光装置と、を有し、
前記複数の第1レーザ光は、前記パレットの進行方向に間隔を隔てて位置しており、
前記停車位置は、前記第1照射装置と前記第1受光装置との間であり、
前記制御装置は、前記第1受光装置が受光する複数の前記第1レーザ光の数が変化したときに、前記搬送装置を停止し、
前記センサ装置は、さらに、前記パレット上における前記被検車両の前記停車位置よりも前記進行方向の前方又は後方に設けられ、前記パレットの幅方向に向けて複数の第2レーザ光を照射する第2照射装置と、
前記幅方向における前記第2照射装置と向かい合った位置に設けられ、前記複数の第2レーザ光を受光する第2受光装置と、を有し、
前記複数の第2レーザ光は、前記パレットに対し鉛直方向に間隔を隔てて位置しており、
前記制御装置は、前記第2受光装置が受光する前記第2レーザ光の数が変化したときに、前記搬送装置を停止する、ことを特徴とするX線検査用車両の搬送装置。
【請求項2】
前記センサ装置は、前記被検車両の前輪の停止位置を検出する、ことを特徴とする請求項1に記載のX線検査用車両の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検車両を搭載するパレットを駆動台車により搬送しながらX線検査をするX線検査用車両の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ等を運搬する車両をX線検査するX線検査装置が非特許文献1に開示され、その車両を運搬する装置が、特許文献1,2に開示されている。
【0003】
非特許文献1の「コンテナ貨物大型X線検査装置」は、コンテナをトラックの荷台に搭載したままX線検査する装置である。
【0004】
このX線検査装置において、車両運転手は、建屋の進入ヤードに入り、所定の場所でコンテナを載せた車両(コンテナ車両)を停止させ下車する。次いで、第1搬送装置が、車両の前輪部分を持ち上げ、入口側遮蔽扉が開いた後、X線検査トンネル内を自動走行し、X線検査トンネル内でコンテナ車両を開放して、第1搬送装置は進入ヤードに戻る。次に、第2搬送装置が、X線検査トンネル内で車両の前輪部分を持ち上げ、退出ヤードに向かって自動走行し、その走行中にX線発生装置からX線が照射され、コンテナ車両をX線検査するようになっている。
【0005】
特許文献1の「X線検査方法」は、X線を照射する遮蔽室の下方に、台車用通路を形成し、その通路を自走する搬送台車で、車両の前輪を持ち上げて、遮蔽室を通過させるものである。
【0006】
特許文献2の「搬送装置」は、X線を照射する遮蔽室の下方には台車用通路を形成せず、車両の前方から車両の前輪を持ち上げて自走する地上牽引式搬送台車である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「コンテナ貨物大型X線検査装置」、石川島播磨技報 Vol.43 No.3 (2003−5)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−287507号公報、「X線検査方法」
【特許文献2】特開2007−331852号公報、「搬送装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のX線検査用車両の搬送装置は、車両の前輪を持ち上げて車両の搬送を行うものである。
これに対し、図1に示すように車両31をパレット32に搭載し、これを駆動台車33によって牽引することによって車両31の搬送を行うものがある。このような搬送装置においては、駆動台車33が走行する走行レール35と、駆動台車33によるパレット32の牽引を補助するためのローラコンベア34とが設けられている。
【0010】
このパレット32を用いた搬送装置に車両31を搭載する場合、パレット32の搬送開始時等に発生する慣性力によってパレット32上で車両31が移動してしまうことを防止する必要がある。そのため、パレット32上における車両31の停車時に、サイドブレーキを用いて停止することを義務付けている。
しかし、車両31の運転者がこれを失念し、車両31の停車時においてサイドブレーキが用いられない可能性がある。この場合、パレット32の搬送時においてパレット32上に搭載された車両31が移動し、さらに車両31がパレット32から落下する可能性があった。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、被検車両を搭載したパレットを搬送する場合において、被検車両がパレット上で移動し続けることを防止するX線検査用車両の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、被検車両をパレット上に搭載してX線検査をするX線検査用車両の搬送装置であって、
前記パレット上に設けられ、前記被検車両が所定の停車位置に停車することと、前記被検車両が慣性力によって前記停車位置から前方又は後方に移動したこととを検出するセンサ装置と、
パレットの搬送中に前記被検車両が前記停車位置から移動したときに、前記パレットの搬送を停止する制御装置と、を備え、
前記センサ装置は、
前記パレットの幅方向に向けて複数の第1レーザ光を照射する第1照射装置と、
前記幅方向における前記第1照射装置と向かい合った位置に設けられ、前記複数の第1レーザ光を受光する第1受光装置と、を有し、
前記複数の第1レーザ光は、前記パレットの進行方向に間隔を隔てて位置しており、
前記停車位置は、前記第1照射装置と前記第1受光装置との間であり、
前記制御装置は、前記第1受光装置が受光する複数の前記第1レーザ光の数が変化したときに、前記搬送装置を停止し、
前記センサ装置は、さらに、前記パレット上における前記被検車両の前記停車位置よりも前記進行方向の前方又は後方に設けられ、前記パレットの幅方向に向けて複数の第2レーザ光を照射する第2照射装置と、
前記幅方向における前記第2照射装置と向かい合った位置に設けられ、前記複数の第2レーザ光を受光する第2受光装置と、を有し、
前記複数の第2レーザ光は、前記パレットに対し鉛直方向に間隔を隔てて位置しており、
前記制御装置は、前記第2受光装置が受光する前記第2レーザ光の数が変化したときに、前記搬送装置を停止する、ことを特徴とするX線検査用車両の搬送装置が提供される。
【0014】
また、本発明の実施形態によれば、前記センサ装置は、前記被検車両の前輪の停止位置を検出する。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の構成によれば、パレット上の所定の位置に設けられ、被検車両が所定の位置に停車したことを検知するセンサ装置と、停車位置から被検車両が移動した際に、これを検知して搬送装置を停止する制御装置と、を備えていることによって、パレット上において被検車両が移動した場合には搬送装置を停止することが可能になる。
よって、被検車両を搭載したパレットを搬送する場合において、被検車両がパレット上で移動し続けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術によるX線検査用車両の搬送装置の構成図である。
図2】本発明によるX線検査用車両の搬送装置の構成図である。
図3】本発明によるX線検査用車両の搬送装置の上面図及び側面図である。
図4】本発明による第1照射装置及び第1受光装置の説明図である。
図5】本発明によるX線検査用車両の搬送装置の正面図である。
図6】本発明による第2照射装置及び第2受光装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
本発明のX線検査用車両の搬送装置は、被検車両をパレット上に搭載してX線検査をするものである。
以下、本発明のX線検査用車両の搬送装置を単に「搬送装置」と略称する。
【0020】
図2は、本発明によるX線検査用車両の搬送装置の構成図である。
【0021】
この図において、1は被検車両であり、コンテナ車両のような大型車両、又は乗用車や小型トラック等の小型車両である。これらの被検車両1は、自走してパレット2に乗り込み、このパレット2を介して搬送される。また、被検車両1は、パレット2上を走行することが可能である。
【0022】
図2において、本発明の搬送装置20は、被検車両1の走行路上に設置され、幅方向に間隔を保ちながら搬送方向に向けて水平に延びる1対のローラコンベア4を備えている。
搬送装置20は、例えば、内部が中空であって一方向に延びる形状を有する検査室(図示しない)に設置されている。この検査室の床面は被検車両1が自走できるように水平になっており、搬送装置20は、この床面の一部に設置されているものを想定している。
なお、検査室の床面から後述するパレット2の上面までは一定の高さがあるため、被検車両1は、斜面を有する乗り込み装置(図示しない)を用いることによってパレット2の上面に乗り込むようになっている。
【0023】
ローラコンベア4は、この例においては、パレット2がローラコンベア4の上を通過する位置に設置されている。これによって、被検車両1の走行時において被検車両1を搭載したパレット2を下方向から支える。また、パレット2は、図2に示すように、駆動装置3によって搬送方向前方から牽引される構成であってよく、又は搬送方向後方から押進される構成であってもよい。なお、駆動装置3は、後述するパレット案内装置5とその車輪3aとが係合することで案内されながら前進又は後退するものであってもよい。
【0024】
また、上述した1対のローラコンベア4は、それぞれ被検車両1の車輪1a部分の鉛直下方向に少なくともその一部が位置しており、被検車両1は、パレット2を介さずにその上面を走行できるようになっているように位置していることが好ましい。
この構成によって、パレット2におけるローラコンベア4によって支えられていない部分に被検車両1の全重量の集中することを防止することができるため、パレット2の破損を避けることが可能になる。
さらに、この構成によって、後述するように被検車両1がパレット2から落下した場合においても、被検車両1の車輪1aをローラコンベア4の上に位置させることが可能なる。そのため、その状態からパレット2上まで、被検車両1が自走することによって移動することが可能になる。
【0025】
また、この例においては、図2のようにパレット2の幅方向端部について下端部が二つに分割しているガイド装置6が設けられており、また、ローラコンベア4の幅方向外方には、ローラコンベア4と平行して延びており、パレット2の下面に設けられたガイド装置6と嵌合しながらパレット2を搬送方向に向けて案内するパレット案内装置5が設けられている。このパレット案内装置5は、例えば、走行レール(軌道)を想定している。
この構成によって、パレット案内装置5とガイド装置6とは嵌合することが可能になるため、パレット2は、蛇行することなくパレット案内装置5と平行姿勢を保ちながら被検車両1を搬送することが可能になる。
【0026】
遮蔽扉7は、この例においてはローラコンベア4と交差する位置に設けられ、パレット2を通過させるために開閉可能であって、X線を遮蔽可能であるものである。この遮蔽扉7は、この例においては、被検車両1の搬入位置と被検車両1のX線照射位置(図示しない)との間、及び被検車両1のX線照射位置と被検車両1の搬出位置との間にそれぞれ設けられているものを想定している。
この構成によって、被検車両1のX線検査時には遮蔽扉7の外部に対してX線を遮蔽することができる。
【0027】
図3(A)は、本発明によるX線検査用車両の搬送装置の側面図であり、図3(B)は、その上面図である。また、図4は、本発明による第1照射装置及び第1受光装置の説明図である。
この例において、搬送装置20は、センサ装置14と、制御装置15とを備えている。
【0028】
センサ装置14は、パレット2上に設けられ、被検車両1が所定の停車位置に停車することと、その停車位置から移動したこととを検出するものである。
なお、ここでいう「所定の停車位置」とは、センサ装置14によって検出可能な位置のことであり、詳しくは後述する第1照射装置11と第1受光装置13との間の位置をいう。
【0029】
図3におけるセンサ装置14は、具体的に、第1照射装置11と、第1受光装置13とからなるものを想定している。
【0030】
第1照射装置11は、パレット2の幅方向に向けて複数の第1レーザ光12を照射するものである。また、第1受光装置13は、幅方向における第1照射装置11と向かい合った位置に設けられ、複数の第1レーザ光12を受光するものである。
具体的に、この例における第1照射装置11及び第1受光装置13は、図3(A)及び図3(B)に示すように、パレット2の幅方向両端にそれぞれ位置しているものを想定しており、この間の位置(上述した所定の停車位置)に、被検車両1が停車することができる広さを有している必要がある。
なお、この例においては、センサ装置14は、被検車両1の前輪の停止位置を検出するものを想定しているが、例えば被検車両1の先端部を検出するものであってもよい。
【0031】
第1照射装置11が照射する複数の第1レーザ光12は、この例においては、パレット2の進行方向に間隔を隔てて位置しているものを想定している。
例えば、図3図4の例においては、3つの第1レーザ光12a、12b、12cがパレット2の進行方向に感覚を隔てて位置しているものである。
【0032】
第1受光装置13は、第1照射装置11から照射された第1レーザ光12を受光するものである。そのため、図4の例において、第1照射装置11と第1受光装置13との間に障害物(被検車両1等)がない場合には、第1受光装置13は3つの第1レーザ光12a、12b、12cを受光することになる。
具体的に、例えば被検車両1が図4(A)の状態で停車した場合、3つの第1レーザ光12a、12b、12cのうち第1レーザ光12bは、被検車両1によって遮られることになる。そのため、図4(A)の状態における第1受光装置13は、2つの第1レーザ光12a、12cのみを検知することになる。
なお、この例においては、単一の第1照射装置11は、3つの第1レーザ光12a、12b、12cを照射しているものについて説明したが、単一の第1照射装置11からは1つの第1レーザ光のみ照射可能であり、この第1照射装置11を複数設ける構成であってもよい。また、この例においては、3つの第1レーザ光12a、12b、12cによって被検車両1の検出を行っているが、1、2又は4以上の第1レーザ光12によって、この検出を行うものであってもよい。
【0033】
制御装置15は、パレット2の搬送中に被検車両1が停車位置から移動したときに、その搬送を停止するものである。
以下、この制御装置15の機能について詳細する。
【0034】
被検車両1が、停車している状態(図4(A)に示す状態)から、後方に移動した場合(図4(B)に示す状態になった場合)、図4(B)の場合においては、第1レーザ光12b、12cが遮られる。よって、第1受光装置13は、第1レーザ光12aのみを受光することになり、第1受光装置13が受光していた第1レーザ光12に関する信号(以下、第1信号)は、図4(A)の状態から変化することになる。
これに対して制御装置15は、この第1信号を監視しておくことで、第1受光装置13が受光していた第1レーザ光12の数又は種類が変化したことを検知することができる。よって、これを契機として搬送装置20の搬送を停止することが可能になる。
つまり、制御装置15は、第1信号の変化を検知した場合には、被検車両1(車輪1a)がパレット2上において移動しているものと推定して、搬送装置20を停止するというものである。
【0035】
被検車両1が、停車している状態(図4(A)に示す状態)から、前方に移動した場合(図4(C)に示す状態になった場合)、図4(C)に示すように、第1レーザ光12a、12bが遮られる。よって、第1受光装置13は、第1レーザ光12cのみを検知することになり、第1信号は、図4(A)の状態から変化することになる。
この場合においても、上述した場合と同様に、被検車両1(車輪1a)がパレット2上において移動しているものと推定して、搬送装置20を停止する。
【0036】
上記本発明によれば、この構成を有することによって、パレット2上において被検車両1が移動した場合には搬送装置20を停止することが可能になる。
よって、被検車両1を搭載したパレット2を搬送する場合において、被検車両1がパレット2上で移動し続けることを防止することができる。
さらに、これによって、被検車両1がパレット2から落下することを防止することができる。
【0037】
なお、制御装置15は、第1信号が変化したことを検知した場合において、即座に搬送装置20を停止させるものではなく、第1信号の変化量が所定の閾値を超えた場合に、パレット2の搬送を停止するものであってもよい。
なお、ここでいう「所定の閾値」とは、例えば複数の第1レーザ光12のうち2以上の第1レーザ光12に関する信号が変化した場合等を想定している。これによって、例えば、パレット2の振動等に起因する第1信号の変化(1つの第1レーザ光12についての第1信号の変化)によって、搬送装置20を停止してしまうことを防止することが可能になる。
【0038】
図5は、本発明によるX線検査用車両の搬送装置の正面図であり、図6は、本発明による第2照射装置及び第2受光装置の説明図である。
この例において、16は柱部材、17は第2照射装置、19は第2受光装置である。
【0039】
第2照射装置17は、パレット2上における被検車両1の停車位置よりも進行方向の前方又は後方に設けられ、パレット2の幅方向に向けて複数の第2レーザ光18を照射するものである。また、第2受光装置19は、幅方向における第2照射装置17と向かい合った位置に設けられ、複数の第2レーザ光18を受光するものである。
【0040】
第2照射装置17が照射する複数の第2レーザ光18は、この例においては、パレット2に対し鉛直方向に間隔を隔てて位置しているものを想定している。
例えば、図5図6の例においては、3つの第2レーザ光18a、18b、18cがパレット2に対して鉛直方向に位置している。
【0041】
第2受光装置19は、第2照射装置17から照射された第2レーザ光18を受光するものである。そのため、図6の例において、第2照射装置17と第2受光装置19との間に障害物(被検車両1等)がない場合には、第2受光装置19は3つの第2レーザ光18a、18b、18cを受光することになる。
具体的に、例えば被検車両1が図6(A)の状態で停車した場合、3つの第2レーザ光18a、18b、18cは、被検車両1によって遮られていないため、図6(A)の状態における第2受光装置19は、3つの第2レーザ光18a、18b、18cを検知することになる。
【0042】
また、第2照射装置17及び第2受光装置19においても、第1照射装置11及び第1受光装置13の場合と同様に、制御装置15によって、第2受光装置19が受光していた第2レーザ光18に関する信号(以下、第2信号)が変化した場合にこれを検知して、これに基づいてパレット2の搬送を停止するものを想定している。
以下、この場合における制御装置15の機能について詳細する。
【0043】
被検車両1が、停車している状態(図6(A)に示す状態)から、前方に移動した場合(図6(B)に示す状態になった場合)、図6(B)の場合においては、第2レーザ光18cが遮られる。よって、第1受光装置13は、第2レーザ光18a、18bの2つのみを受光することになり、第2信号は、図6(A)の状態から変化することになる。
これに対して制御装置15は、この第2信号を監視しておくことで、第2受光装置19が受光していた第2レーザ光18の数又は種類が変化したことを検知することが可能になる。よって、これを契機として搬送装置20の搬送を停止することが可能になる。
【0044】
なお、この例においては、制御装置15は、第2照射装置17及び第2受光装置19の制御を行うものを装置しているが、これらの制御を別途行う制御装置(図示しない)を設ける構成であってもよい。
【0045】
また、第2レーザ光18は、鉛直方向に間隔を隔てて位置しているものであるため、第2照射装置17及び第2受光装置19は、この例においては駆動装置3の幅方向両端に設けられた柱部材16に取り付けられているものを想定している。なお、この柱部材16は、パレット2の進行方向前方の幅方向両端に設けられているものであってもよく、また、図5に示すように、門型からなるものであってもよい。
【0046】
さらに、この例における第2照射装置17及び第2受光装置19は、パレット2の進行方向前方に設けられており、被検車両1が前方に移動した場合においてこれを検知するものを想定しているが、これらをパレット2の進行方向後方に設けることによって、被検車両1が後方に移動した場合においてこれを検知するものであってもよい。
【0047】
上記本発明の構成によれば、パレット2上の所定の位置に設けられ、被検車両1が所定の位置に停車したことを検知するセンサ装置14と、停車位置から被検車両1が移動した際に、これを検知して搬送装置20を停止する制御装置15と、を備えていることによって、パレット2上において被検車両1が移動した場合には搬送装置20を停止することが可能になる。
よって、被検車両1を搭載したパレット2を搬送する場合において、被検車両1がパレット2上で移動し続けることを防止することができる。
【0048】
さらに、上記構成に加えて、パレット2の進行方向前方(又は進行方向後方)に第2照射装置17及び第2受光装置19を設けることによって、パレット2上における被検車両1の移動を検知するまでの時間をさらに短縮することが可能になる。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 被検車両、1a 車輪、2 パレット、
3 駆動装置、3a 車輪、4 ローラコンベア、
5 パレット案内装置、
6 ガイド装置、7 遮蔽扉、
11 第1照射装置、
12、12a、12b、12c 第1レーザ光、
13 第1受光装置、
14 センサ装置、15 制御装置、
16 柱部材、
17 第2照射装置、
18、18a、18b、18c 第2レーザ光、
19 第2受光装置、
20 搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6