(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノイズ抑制部は、前記デジタルの磁気共鳴信号及び前記アナログの磁気共鳴信号の少なくとも一方の共鳴周波数帯域におけるノイズを抑制するようにチューニングされる請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記ノイズ抑制部は、前記デジタルの磁気共鳴信号を前記撮影室内において2つの電圧信号に差動変換して送信し、前記撮影室内又は撮影室外において前記2つの電圧信号を比較することによって前記デジタルの磁気共鳴信号にシングルエンド変換する低電圧差動シグナリングシステムを有する請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記ノイズ抑制部は、前記ADコンバータ、前記信号処理部及び前記ADコンバータと前記信号処理部との間における前記デジタルの磁気共鳴信号の伝送路の少なくとも1つを電磁気的に遮蔽するシールドを有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記ノイズ抑制部は、前記ADコンバータと前記信号処理部との間における前記デジタルの磁気共鳴信号の伝送路を構成するコネクタとして電磁気的に遮蔽されたシールドコネクタを有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記ノイズ抑制部は、前記ADコンバータと前記信号処理部との間における前記デジタルの磁気共鳴信号の伝送路を構成するコネクタとしてグランドプレーンで保護されたコネクタを有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図である。
【0012】
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内側に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23及びRFコイル24を備えている。
【0013】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31及びコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35及び記憶装置36が備えられる。
【0014】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0015】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0016】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内側において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24にはガントリに内蔵されたRF信号の送受信用の全身用コイル(WBC: whole body coil)や寝台37や被検体P近傍に設けられるRF信号の受信用の局所コイルなどがある。
【0017】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0018】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27y及びZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0019】
RFコイル24は、送信器29及び受信器30の少なくとも一方と接続される。送信用のRFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能を有し、受信用のRFコイル24は、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0020】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29及び受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRF信号を発生させる機能を有する。
【0021】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるMR信号の検波及びA/D (analog to digital)変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0022】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0023】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムの少なくとも一部に代えて、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
【0024】
具体的には、コンピュータ32の演算装置35には、パルスシーケンスを含む撮像条件を設定してシーケンスコントローラ31に出力する機能、シーケンスコントローラ31から出力されたMR信号にフーリエ変換(FT: Fourier transform)を含む画像再構成処理を施すことによってMR画像データを生成する機能、MR画像データに様々な画像処理を施す機能が備えられる。
【0025】
すなわち、コンピュータ32は、デジタルのMR信号に基づいてMR画像データを生成する画像生成システムとしての機能を有している。一方、静磁場用磁石21、傾斜磁場コイル23及びRFコイル24を用いて被検体PからアナログのMR信号を収集し、アナログのMR信号をデジタルのMR信号に変換するデータ収集システムが形成される。
【0026】
次に、データ収集システムを構成する受信器30の詳細構成及び詳細機能について説明する。受信器30は受信用のRFコイル24により受信されたMR信号を周波数変換せずにAD変換するダイレクトサンプリングによってMR信号のサンプリングを行うように構成されている。
【0027】
図2は、
図1に示す受信器30の詳細構成を示す機能ブロック図である。
【0028】
受信器30は、アンプ40、バンドパスフィルタ(BPF: band pass filter)41、ADコンバータ(ADC: AD converter)42及び信号処理部43を有する。アンプ40、BPF41及びADC42は、静磁場用磁石21、傾斜磁場コイル23及びRFコイル24が設置されるシールドルームとしての撮影室内に設置することができる。従って、受信器30の一部を受信用のRFコイル24と一体化してもよい。特に、RFコイル24が無線によってMR信号を送信するタイプのコイルである場合には、通常、受信器30の一部が受信用のRFコイル24の構成要素となっている。一方、信号処理部43は、撮影室内又は撮影室外に設置される。
【0029】
受信用のRFコイル24により受信されたMR信号は、アンプ40で増幅されてBPF41に入力する。BPF41における周波数帯域の制限によってMR信号の受信帯域外におけるノイズが除去されたアナログのMR信号は周波数変換されることなくADC42においてデジタル変換される。すなわち、ADC42において、RFコイル24で受信されたアナログのMR信号がダウンコンバージョンされることなくデジタルのMR信号に変換される。これにより、受信器30におけるMR信号のデジタルサンプリングが実行される。
【0030】
一方、信号処理部43では、デジタルのMR信号のダウンコンバージョンを含む信号処理が実行される。具体的には、ノイズを除去するためのデシメーションフィルタ等を用いたデジタルフィルタ処理が実行される。また、必要に応じてIQ分離処理、IQ合成処理、リサンプリング等の処理が実行される。
【0031】
図2に示すように、ADC42を撮影室内に設置すると、デジタル化されたMR信号に起因して生じるノイズが問題となる。デジタル化されたMR信号は量子化されて複数のビット情報となり、各ビットがADC42から信号処理部43に伝送される。この結果、RFコイル24により受信されるMRエコー信号の周波数帯域に成分を有するスプリアスノイズが発生する。
【0032】
特にADC42を撮影室内に設置する場合には、高感度なRFコイル24がADC42の近傍に存在することになる。このため、ADC42の出力側において生じたスプリアスノイズがグランド(GND)、信号線、電源ライン及び空間を通してRFコイル24に回り込む可能性が高い。RFコイル24にノイズが回り込むとアーチファクトの発生に繋がる。
【0033】
図3は、
図2に示すADC42によって生じるデジタルノイズの一例を示す図である。
【0034】
図3(A), (B), (C)において横軸は周波数を示し、縦軸は相対信号強度を示す。また、
図3において(A)は、シンク(sinc)関数の波形を、(B)はシミュレーションによって作成したADC42の後段において生じるデジタルノイズの疑似波形を、(C)は(A)に示すsinc波形に(B)に示すデジタルノイズによってアーチファクトが生じた状態を、それぞれ示している。
【0035】
図3(A)に示すような63.86[MHz]の中心周波数を有するsinc波形を、8[bit]、100MSPS(Megasamples per second)、2の補数で量子化したときのノイズは
図3(B)のようになる。
【0036】
図4は、
図3(B)に示すデジタルノイズの計算方法を示す図である。
【0037】
図4に示すように、各時刻におけるsinc波形の強度を表す8[bit]のうちビットの値が1となるビットの個数を放射されるノイズのレベルと考えることができる。この方法でノイズを計算すると、
図3(B)の点線枠内に示すようなデジタルノイズの波形が得られる。すなわち、MR信号の受信帯域を中心周波数とするデジタルノイズが発生する。
【0038】
そして、
図3(B)に示すようなデジタルノイズが、GND、信号線、電源ライン、空間を通してRFコイル24に回り込むと、
図3(C)の点線枠で示す周波数領域にアーチファクトが発生する。
【0039】
デジタルノイズを数式を用いて表すと、以下のようになる。RFコイル24により受信されるアナログのMR信号Sa(t)は式(1)のように表すことができる。
Sa(t) = Acos{2πf
0t+φ(t)} (1)
但し、式(1)においてtは時間、AはMR信号の振幅、f
0はMR信号の中心周波数、φ(t)はMR信号の位相である。
【0040】
式(1)で表されるアナログのMR信号Sa(t)をN [bit]で量子化するとデジタル化されたMR信号Sd(t)は、式(2)のように表すことができる。
Sd(t) = Acos{2πf
0t+φ(t)}≒Σ[Acos{2πf
0t+φ(t)}C
n(t)2
(n-1)] (2)
但し、式(2)においてΣは、n=1からn=Nまでの和を示し、C
nはn番目のビットの重み係数である。
【0041】
式(2)からADC42の後段において生じるデジタルノイズnoise(t)は、式(3)のように表される。
noise(t)∝Σ[Acos{2πf
0t+φ(t)}C
n(t)] (3)
【0042】
式(3)からMR信号に重み係数C
n(t)がミキシングされることによって変調された信号がデジタルノイズnoise(t)として発生することが分かる。
【0043】
以上のようにADC42を撮影室内に設置すると、デジタル化されたMR信号に起因してMR信号の受信周波数帯域にデジタルノイズが生じる。従って、デジタルノイズがRFコイル24に回り込むことを効果的に抑制することが重要である。更に、ADC42の前段には、RFコイル24の他、プリアンプ、信号切換用のスイッチ回路、ゲイン増幅用アンプ等のノイズに敏感な素子が存在する。このため、RFコイル24を含む複数の回路へのノイズの回り込みを防止することが望ましい。
【0044】
そこで、ADC42の内部から信号処理部43までのMR信号の経路に沿ってノイズ抑制部44を設けることができる。ノイズ抑制部44は、ADC42と信号処理部43との間及びADC42の少なくとも一方においてデジタルのMR信号に起因して生じるノイズを抑制する機能を有している。
【0045】
デジタルノイズをより効果的に抑制する観点からは、ノイズ抑制部44を、デジタルのMR信号及びアナログのMR信号の少なくとも一方の共鳴周波数帯域におけるノイズを抑制するようにチューニングすることが好適である。尚、デジタルのMR信号の共鳴周波数帯域は、誤差によりアナログのMR信号の共鳴周波数帯域から僅かに変化する可能性があるが、アナログのMR信号の共鳴周波数帯域と実質的に同一とみなすことができる。
【0046】
ノイズ抑制部44は、複数の構成要素を用いて構成することができる。例えば、エンコード部45及びデコード部46でノイズ抑制部44を構成することが効果的である。更に、低電圧差動シグナリング(LVDS: Low Voltage Differential Signaling)システム47、電気的な地表を作るための金網や金属板等のグランドプレーン(GND plane: ground plane)48、シールド49、ノイズ抑制効果のあるコネクタ50の少なくとも1つをノイズ抑制部44の構成要素として併用することができる。もちろん、他の構成要素をノイズ抑制部44に付加することもできる。
【0047】
エンコード部45は、ランダマイザ及びビット反転回路の少なくとも一方を用いてデジタルのMR信号を撮影室内においてエンコードする回路である。ランダマイザは、規則性を有するデジタルのMR信号を規則性のないデジタルのMR信号に変換する回路である。また、ビット反転回路は、デジタルのMR信号を構成する偶数ビット又は奇数ビットを反転させる回路である。一方、デコード部46は、エンコード部45によってエンコードされたデジタルのMR信号をデコードする回路である。
【0048】
すなわち、ADC42から出力されるデジタルのMR信号をエンコード部45でエンコードして信号処理部43に伝送し、エンコードされたデジタルのMR信号を信号処理部43側においてデコードすることができる。従って、エンコード部45は、ADC42の内部又はADC42の出力側に設けられる。一方、デコード部46は、信号処理部43の内部又は信号処理部43の入力側に設けられる。
【0049】
ADC42と信号処理部43との間における伝送路51からのデジタルノイズの発生を効果的に抑制する観点からは、
図2に示すように、エンコード部45をADC42の内部に設け、デコード部46を信号処理部43の内部に設けることが好適である。すなわち、ノイズ抑制部44を、ADC42の内部でデジタルのMR信号をエンコードし、信号処理部43の内部でデジタルのMR信号をデコードするように構成することが好適である。
【0050】
図5は、
図2に示すエンコード部45及びデコード部46の一例を示す回路図である。
【0051】
図5に例示されるように、第1のビット反転回路60Aと第1のランダマイザ61Aとを直列に接続することによってエンコード部45を構成することができる。一方、第2のビット反転回路60Bと第2のランダマイザ61Bとを直列に接続することによってデコード部46を構成することができる。
【0052】
図5に示す例では、0[bit]から(N-1)[bit]までのN[bit]のうち奇数[bit]が第1のビット反転回路60Aを構成する各NOTゲートによって反転される。もちろん、偶数[bit]を反転するようにしてもよい。また、ビット反転後のMR信号は、XORゲートを用いた第1のランダマイザ61Aによって不規則なMR信号に変換される。一方、デコード部46では、同様な第2のビット反転回路60B及び第2のランダマイザ61Bによって、ビット反転前かつ不規則化処理前のMR信号が復元される。
【0053】
図6は、
図5に示すエンコード部45及びデコード部46によるビット反転処理及び不規則化処理によるデジタルノイズの抑制効果を示す図である。
【0054】
図6(A)はデジタルのMR信号に対してエンコードを行わずにADC42から信号処理部43に伝送した場合におけるデジタルノイズの周波数特性を示し、
図6(B)はデジタルのMR信号に対してビット反転及びランダマイジングを行ってADC42から信号処理部43に伝送した場合におけるデジタルノイズの周波数特性を示す。
【0055】
図6によれば、ビット反転及びランダマイジングを含むMR信号のエンコードによって、デジタルノイズが抑制されることが確認できる。尚、ビット反転及びランダマイジングのいずれか一方を行っても、デジタルノイズの抑制効果を得ることができる。但し、ビット反転及びランダマイジングの双方を行うことが、sinc関数に対するデジタルノイズの抑制に、より効果的であることが確認された。
【0056】
デジタルノイズの抑制には、ADC42と信号処理部43との間におけるMR信号の伝送に、LVDSシステム47を採用することも効果的である。LVDSシステム47は、デジタルのMR信号を2つの電圧信号に差動変換して送信し、2つの電圧信号を比較することによってデジタルのMR信号にシングルエンド変換(復元)するシステムである。LVDSシステム47をADC42と信号処理部43との間に設ければ、撮影室内においてデジタルのMR信号を2つの電圧信号に差動変換し、撮影室内又は撮影室外においてデジタルのMR信号をシングルエンド変換することができる。
【0057】
また、デジタルノイズは、ADC42と信号処理部43との間におけるMR信号の伝送路51から放射されることが多い。従って、ADC42と信号処理部43との間におけるMR信号の伝送路51は、出来るだけ短くすることが好ましい。
【0058】
更に、ADC42と信号処理部43との間におけるデジタルのMR信号の伝送路51を構成するコネクタ50としてGNDプレーンで保護されたコネクタを使用することも効果的である。これにより、伝送路51におけるインピーダンスを安定させることができる。代替案として、ADC42と信号処理部43との間におけるデジタルのMR信号の伝送路51を構成するコネクタ50として電磁気的に遮蔽されたシールドコネクタを使用することもできる。
【0059】
また、図示されるようにADC42と信号処理部43との間におけるデジタルのMR信号の伝送路51についても、GNDプレーン48で覆うことが効果的である。
【0060】
GNDプレーン48に加えて、或いは、GNDプレーン48の代替案として、ADC42、信号処理部43及びADC42と信号処理部43との間におけるデジタルのMR信号の伝送路51の少なくとも1つをシールドで電磁気的に遮蔽することも有効である。但し、ADC42をシールドケースで遮蔽すると、放熱を十分に行うことが困難となる恐れがある。そこで、図示された例では、伝送路51及び信号処理部43がシールド49で覆われている。これにより、伝送路51及び信号処理部43から放射されるデジタルノイズをブロックすることができる。
【0061】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、MR信号のダイレクトサンプリングを行うADC42の後段から生じるデジタルノイズをノイズ抑制部44によって抑制することにより、受信器30を構成する少なくともADC42よりも前段の回路を、撮影室内に設置できるようにしたものである。
【0062】
このため、磁気共鳴イメージング装置20によれば、MR信号をダイレクトサンプリングした場合においてADC42及びADC42の後段におけるMR信号の伝送路51において生じるデジタルノイズを減衰させることができる。特に、エンコードされたMR信号を伝送させることによって、伝送路51におけるノイズの漏洩を効果的に防ぐことができる。これにより、デジタルノイズが受信用のRFコイル24に回り込むことを防止し、アーチファクトを抑制することができる。その結果、受信器30のADC42等を撮影室に設置しても、良好な画質でMRイメージングを行うことが可能となる。
【0063】
尚、MR信号のダイレクトサンプリングを行わない受信器においても、ADC42の出力側にノイズ抑制部44を設けることによって、デジタルノイズの抑制効果を得ることができる。
【0064】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。