特許第6162543号(P6162543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162543
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20170703BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20170703BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170703BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20170703BHJP
【FI】
   F21S8/12 123
   F21S8/10 180
   F21W101:10
   F21Y101:00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-172812(P2013-172812)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-41554(P2015-41554A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】植木 隆二
(72)【発明者】
【氏名】小池 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 能子
(72)【発明者】
【氏名】内田 光裕
(72)【発明者】
【氏名】川野辺 祥子
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−220631(JP,A)
【文献】 特開2005−190990(JP,A)
【文献】 特開2010−257934(JP,A)
【文献】 特開2012−169189(JP,A)
【文献】 特開2008−041542(JP,A)
【文献】 特開平07−101291(JP,A)
【文献】 特開平10−40709(JP,A)
【文献】 特開平7−181309(JP,A)
【文献】 特開2010−123327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
B60Q 1/00− 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が凹面状のリフレクターと、
前記リフレクターの前面側に設けられ、正面から見て前記リフレクターの中央部に配置された光源と、を備え、
前記リフレクターの前面の上下中央部には、複数の走行用配光形成反射面が形成され、前記リフレクターの前面であって前記走行用配光形成反射面の上側及び下側には、複数の対向車側照明反射面が形成され、
前記複数の走行用配光形成反射面が、前記光源により発せられた光を前方へ反射させて、前記リフレクターに正対する仮想スクリーンに走行用ビームとしての配光を形成し、
前記複数の対向車側照明反射面が、前記光源により発せられた光を、前記仮想スクリーンのうち前記光軸から対向車側にずれているとともに互いに一部重なり合った複数の領域に向けて反射させ、
前記複数の対向車側照明反射面によって反射される光の光度がそれぞれ625cd以下である、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記複数の対向車側照明反射面のうち、前記複数の領域のうち同一の領域に向けて反射させる対向車側照明反射面同士が互いに離れている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
走行用ビーム(ハイビーム)の配光を前方に形成する走行用前照灯は、車両から遠く離れた前方を照明するものである。そのため、走行用ビームは、車両のドライバーにとっては前方の視認性が高いが、前走車、対向車及び歩行者にグレアを与えてしまう。
一方、すれ違い用ビーム(ロービーム)の配光を前方に形成するすれ違い用前照灯は、灯具光軸を通る水平面よりも下の領域を照明するものである。そのため、すれ違い用ビームは、前走者、対向車及び歩行者にグレアを与えないが、車両のドライバーにとっては前方の視認性が低い。
配光可変型前照灯も開発されているが(例えば、特許文献1〜4参照)、そのような配光可変型前照灯は前走車及び対向四輪車に対する眩しさ軽減に有効であるが、対向二輪車及び歩行者にとっては眩しさを与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−39648号公報
【特許文献2】特開2002−289008号公報
【特許文献3】特開2009−220631号公報
【特許文献4】特開平1−244934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行用前照灯、すれ違い用前照灯及び配光可変型前照灯は何れも一長一短である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車両のドライバーにとって前方の視認性が良く、更に対向車及び対向車側の歩行者を照明することができ、対向車及び歩行者に眩しさを与えないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するべく、請求項1に係る発明は、前面が凹面状のリフレクターと、前記リフレクターの前面側に設けられ、正面から見て前記リフレクターの中央部に配置された光源と、を備え、前記リフレクターの前面の上下中央部には、複数の走行用配光形成反射面が形成され、前記リフレクターの前面であって前記走行用配光形成反射面の上側及び下側には、複数の対向車側照明反射面が形成され、前記複数の走行用配光形成反射面が、前記光源により発せられた光を前方へ反射させて、前記リフレクターに正対する仮想スクリーンに走行用ビームとしての配光を形成し、前記複数の対向車側照明反射面が、前記光源により発せられた光を、前記仮想スクリーンのうち前記光軸から対向車側にずれているとともに互いに一部重なり合った複数の領域に向けて反射させ、前記複数の対向車側照明反射面によって反射される光の光度がそれぞれ625cd以下であることを特徴とする車両用前照灯である。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記複数の対向車側照明反射面のうち、前記複数の領域のうち同一の領域に向けて反射させる対向車側照明反射面同士が互いに離れていることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行用ビームとしての配光が走行用配光形成反射面によって形成されるから、この車両用灯具が取り付けられた車両のドライバーにとって前方の視認性が良い。
光源によって発せられた光が複数の対向車側照明反射面によって対向車側へ向けて反射されるから、対向車及び対向車側の歩行者を照明することができる。
対向車側照明反射面によって反射される光の光度が625cd以下である。対向車側の歩道にいる歩行者等にとっては、これら対向車側照明反射面によって反射された光が別々の方角から進行してきているように見える。そのため、歩行者等にとっては眩しさを感じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両用前照灯の正面図である。
図2】車両が通行する道路の平面図である。
図3】車両が通行する道路の側面図である。
図4】車両用前照灯に正対する仮想スクリーン上において走行用ビームの規格を満たす光度を説明するための図面である。
図5】車両用前照灯に正対する仮想スクリーン上における反射光の照射領域を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
図1は、マルチリフレクター型の車両用前照灯1の正面図である。図1に示す左右は、車両の進行方向に向かって見て定めたものである。
【0011】
この車両用前照灯1は、走行用ビーム(ハイビーム)の前照灯であって、対向車の乗員又は歩行者に与える眩しさを低減させるものである。そのため、対向車又は歩行者が車両の前方にいても、この車両用前照灯1を消灯せずに済み、この車両用前照灯1は夜間中に常時点灯して使用可能なものである。この車両用前照灯1は2つで一組のセットを構成し、一方の車両用前照灯1が車両の右前部に取り付けられ、他方の車両用前照灯1が車両の左前部に取り付けられている。
【0012】
この車両用前照灯1はバルブ2及びリフレクター10を備える。
バルブ2は、ハロゲン電球、白熱電球、放電灯(例えば、高輝度放電灯(HID)、高圧金属蒸気放電灯等)その他のバルブである。
リフレクター10が前側で開口した椀状に形作られ、リフレクター10の前面が凹面状に形成され、リフレクター10の後面が凸面状に形成されている。リフレクター10の中央部を装着孔11が前後に貫通し、バルブ2がリフレクター10の後ろから装着孔11に差し込まれ、バルブ2の基部がリフレクター10に固定され、そのバルブ2がリフレクタ10の前面の前側に配置されている。正面から見て、リフレクター10の直径が100mmであることが好ましい。
【0013】
リフレクター10の前面が複数の領域に格子状に分割され、それら領域には反射面12a,13a,13b,14a,14b,15a,15b,16a〜16d,17a〜17dがそれぞれ形成されている。反射面12a,13a,13b,14a,14bが走行用配光形成反射面であり、反射面15a,15b,16a〜16d,17a〜17dが対向車側照明反射面である。リフレクター10の前面のうち上下方向の中央部に反射面12a,13a,13bが配置され、その前面のうち上部に反射面15a,16a,16b,17a,17bが配置され、その前面のうち下部に反射面15b,16c,16d,17c,17dが配置されている。
【0014】
反射面12aはリフレクター10の前面の中央部に形成され、装着孔11が反射面12aによって囲繞されている。
反射面13a,13bは反射面12aの左右にそれぞれ形成されている。反射面13aの左側に反射面14aが形成され、反射面13bの右側に反射面14bが形成されている。
反射面15a,15bは反射面12aの上下にそれぞれ形成されている。
反射面16a,16bが反射面15aの左右にそれぞれ形成されている。反射面16c,16dが反射面15bの左右にそれぞれ配置されている。反射面16aの左側に反射面17aが形成され、反射面16bの右側に反射面17bが形成され、反射面16cの左側に反射面17cが形成され、反射面16dの右側に反射面17dが形成されている。反射面16a,16cが反射面13aの上下にそれぞれあり、反射面16b,16dが反射面13bの上下にそれぞれあり、反射面17a,17cが反射面17b,17dが反射面14bの上下にそれぞれある。
【0015】
反射面15a,15b,16a〜16d,17a〜17dの総面積は33.75cm2以上である。
【0016】
バルブ2によって発せられた光が反射面12a,13a,13b,14a,14b,15a,15b,16a〜16d,17a〜17dによって前方へ反射され、これにより車両の前方が照明される。
【0017】
ここで、次のような条件を想定して(図2及び図3参照)、車両用前照灯1の配光が定められる。
(条件1) 道路を片側一車線の道路とし、通行区分を左側通行であり、車両を道路中央よりも左側の部分に配置する。
(条件2) 車線の幅員を3.5mとし、車両を走行車線の幅方向中央に配置する
(条件3) 歩道の幅員を1.0mとする。
(条件4) 歩行者を対向車線側の歩道の幅方向中央に配置する。その歩行者の顔の高さを1.0〜1.8mとする。
(条件5) 車両用前照灯1の設置高さを路面から0.75mとする。
(条件6) 2つの車両用前照灯1の間隔を1.4mとする。
【0018】
図4を参照して、上記条件1〜6における車両右前部の車両用前照灯1によって必要な光度について説明する。図4は、車両用前照灯1及びリフレクター10に正対する仮想スクリーンを示した図面である。図4において、原点Oは車両用前照灯1の光軸と仮想スクリーンの交点であり、H線は車両用前照灯1の光軸を通った水平面と仮想スクリーンとの交線であり、V線は車両用前照灯1の光軸を通った鉛直面と仮想スクリーンとの交線である。また、H線に沿った横軸は車両用前照灯1の光軸に対する光の照射方向の水平角を示し、V線に沿った縦軸は車両用前照灯1の光軸に対する光の照射方向の鉛直角を示す。
【0019】
車両用前照灯1は以下の(1)〜(6)に記載のような光度の光を照射する。
(1) 光軸に沿って進行する光の光度が40500cdである。これは、車両用前照灯1が走行用ビームの前照灯としての規格を満たすために必要な光度である。
【0020】
(2) 鉛直角がゼロ°で且つ水平角が右へ2.5°の方向へ照射される光の光度が20300cであり、鉛直角がゼロ°で且つ水平角が左へ2.5°の方向へ進行する光の光度が20300cdである。これは、車両用前照灯1が走行用ビームの前照灯としての規格を満たすために必要な光度である。
【0021】
(3) 鉛直角がゼロ°で且つ水平角が右へ5°の方向へ照射される光の光度が5100cdであり、鉛直角がゼロ°で且つ水平角が左へ5°の方向へ進行する光の光度が5100cdである。これは、車両用前照灯1が走行用ビームの前照灯としての規格を満たすために必要な光度である。
【0022】
(4) 鉛直角が上へ0.3〜1.2°の範囲で且つ水平角が右へ3°の方向へ照射される光の光度が15000cd以上である。これは、車両から100m先の前方を狙って照明するために必要な光度である。車両から100m先の前方で3Lxの照度を得れば、車両のドライバーが100m先の前方にある物・人を視認することができ、そのような照度を得るために必要な光度が15000cdである。
【0023】
(5) 鉛直角が上へ0.15〜0.6°の範囲で且つ水平角が右へ6°の方向へ照射される光の光度が3750cd以上である。これは、車両から50m先の前方を狙って照明するために必要な光度である。車両から50m先の前方で3Lxの照度を得れば、車両のドライバーが50m先の前方にある物・人を視認することができ、そのような照度を得るために必要な光度が3750cdである。
【0024】
(6) 鉛直角が上へ0.15〜1.2°の範囲で且つ水平角が右へ3〜6°の範囲へ照射される光の光度が3750〜15000cdであり、右への水平角が大きくなるにつれて光度が漸減する。これは、車両から50〜100m先の前方を狙って照明するために必要な光度である。車両から80m先の前方で3Lxの照度を得れば、車両のドライバーが80m先の前方にある物・人を視認することができ、そのような照度を得るために必要な光度が9600cdである。
【0025】
図5を参照して、反射面12a,13a,13b,14a,14b,15a,15b,16a〜16d,17a〜17dによって反射される光の向き及び範囲について説明する。ここで、図5は、車両用前照灯1に正対する仮想スクリーンを示した図面である。
【0026】
反射面12aはバルブ2により発せられた光を車両用前照灯1の光軸の方向へ反射させ、仮想スクリーン上におけるその反射光の照射範囲は原点Oを中心とした領域Aである。
反射面13a,13bはバルブ2により発せられた光を車両用前照灯1の光軸の方向へ反射させ、仮想スクリーン上におけるその反射光の照射範囲は原点Oを中心とした領域Bである。領域Bの中心と領域Aの中心が原点Oで重なり、領域Aの方が領域Bよりも広い。
反射面14a,14bはバルブ2により発せられた光を車両用前照灯1の光軸の方向へ反射させ、仮想スクリーン上におけるその反射光の照射範囲は原点Oを中心とした領域Cである。領域Cの中心と領域Bの中心が原点Oで重なり、領域Bの方が領域Cよりも広い。
【0027】
領域A,B,Cが重なり、リフレクター10の中央部の反射面12a,13a,13b,14a,14bによって反射された光が上述の(1)〜(3)に示すような光度を満たす。従って、反射面12a,13a,13b,14a,14bの反射光の配光が走行用ビーム(ハイビーム)の規格を満たす。そのため、車両の前方の遠くを照明することができ、車両のドライバーにとって前方の視認性が良い。
【0028】
反射面15a,15bは、バルブ2により発せられた光を領域Dに向けて反射させる。領域Dは、鉛直角が上へ0〜1.0°の範囲であって、水平角が右へ2.5〜6.0°の範囲である。反射面15a,15bの組み合わせによって反射された光の光度は625cd以下である。なお、反射面15a,15bによって反射された光がそれぞれ625cd以下であってもよい。
【0029】
反射面16a,16b,16c,16dは、バルブ2により発せられた光を領域Eに向けて反射させる。領域Eは、鉛直角が上へ0〜1.5°の範囲であって、水平角が右へ2.5〜5.0°の範囲である。反射面16a,16b,16c,16dの組み合わせによって反射された光の光度は625cd以下である。反射面16a,16b,16c,16dによって反射された光がそれぞれ625cd以下であってもよい。
【0030】
反射面17a,17b,17c,17dは、バルブ2により発せられた光を領域Eに向けて反射させる。領域Fは、鉛直角が上へ0〜1.5°の範囲であって、水平角が右へ2.5〜3.5°の範囲である。反射面17a,17b,17c,17dの組み合わせによって反射された光の光度は625cd以下である。また、反射面17a,17b,17c,17dによって反射された光がそれぞれ625cd以下であってもよい。
【0031】
625cdの光度は対向車及び歩行者にグレアを与えない範囲での最大値であり、光の光度が625cdを超えると対向車及び歩行者にグレアを与える虞がある。
【0032】
領域D,E,Fの明部が一部重なり合うことによって、上述の(4)〜(6)に示すような光度を満たす。そのため、車両のドライバーが対向車側の歩道にいる歩行者等を視認することができる。ここで、反射面15a,15b,16a〜16d,17a〜17dの総面積は33.75cm2以上であるから、車両から100m先の前方で3Lxの照度を得るために必要な輝度(反射面15a,15b,16a〜16d,17a〜17dの反射光の輝度)は4444444cd/m2であり、車両から80m先の前方で3Lxの照度を得るために必要な輝度(反射面15a,15b,16a〜16d,17a〜17dの反射光の輝度)は2844444cd/m2であり、車両から100m先の前方で3Lxの照度を得るために必要な輝度(反射面15a,15b,16a〜16d,17a〜17dの反射光の輝度)は1111111cd/m2である。このような面発光照明とすることによって、対向車側の歩道にいる歩行者等にとっては眩しさを感じにくい。
【0033】
一方、反射面15a,15bの反射光の光度、反射面16a,16b,16c,16dの反射光の光度、反射面17a,17b,17c,17dの反射光の光度が625cd以下であり、対向車側の歩道にいる歩行者等にとってはこれらの反射光が別々の方角から進行してきているように見えるので、歩行者等にとっては眩しさを感じにくい。これは、対向車のドライバーにとっても同様である。
【0034】
反射面15a,15bの間隔は可能な限り離れていることが好ましい。つまり、反射面15a,15bによって反射された光が同一の領域Dに照射され、これらの反射面15a,15bが離れているから、対向車側の歩道にいる歩行者或いは対向車のドライバー等にとっては面発光しているように見えるので、歩行者又は対向車のドライバー等にとっては眩しさを感じにくい。反射面16a,16b,16c,16dについても同様であり、反射面17a,17b,17c,17dについても同様である。
【0035】
この車両用前照灯1のほかにすれ違い用前照灯も車両の前部に取り付けられ、すれ違い用前照灯と車両用前照灯1を同時に点灯してもよい。
また、車両のフロントのグリル部に面発光照明器を設け、この面発光照明器と車両用前照灯1を同時に点灯してもよい。面発光照明器を追加することによって全体の発光面積が増大するから、車両用前照灯1の輝度を下げることができ、歩行者又は対向車のドライバー等にとっては眩しさを感じにくい。
【0036】
本発明は上記実施形態及び変形例に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、車両用前照灯1が右側通行用の前照灯である場合、反射面15a,15bによって反射される光の照射範囲(領域D)は、鉛直角が上へ0〜1.0°の範囲であって、水平角が左へ2.5〜6.0°の範囲であり、反射面16a,16b,16c,16dによって反射される光の照射範囲(領域E)は、鉛直角が上へ0〜1.5°の範囲であって、水平角が左へ2.5〜5.0°の範囲であり、反射面17a,17b,17c,17dによって反射された光の照射範囲(領域F)は、鉛直角が上へ0〜1.5°の範囲であって、水平角が左へ2.5〜3.5°の範囲である。
【符号の説明】
【0037】
1 車両用前照灯
2 バルブ(光源)
10 リフレクター
12a,13a,13b,14a,14b 反射面(走行用配光形成反射面)
15a,15b,16a〜16d,17a〜17d 反射面(対向車側照明反射面)
図1
図2
図3
図4
図5