特許第6162562号(P6162562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162562
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】新規結合剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/02 20060101AFI20170703BHJP
   C08F 22/02 20060101ALI20170703BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20170703BHJP
   D04H 1/58 20120101ALI20170703BHJP
【FI】
   C09J133/02
   C08F22/02
   D06M15/263
   D04H1/58
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-200416(P2013-200416)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-67634(P2015-67634A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼田 健二
【審査官】 大木 みのり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−138026(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/075245(WO,A1)
【文献】 特表平10−509485(JP,A)
【文献】 特開2005−036204(JP,A)
【文献】 特開2014−070222(JP,A)
【文献】 特表2013−544318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0248753(US,A1)
【文献】 特開2013−079340(JP,A)
【文献】 特開2012−072278(JP,A)
【文献】 特表2003−511520(JP,A)
【文献】 米国特許第06841608(US,B1)
【文献】 特開平10−077597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00 − 19/44
C08F 6/00 −246/00
C08F 301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸基を有する重合体を含む結合剤であって、該重合体は下記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位み、前記酸基を有する重合体に含まれる酸基の一部について、酸基100モル%に対し、20〜40モル%が1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンで中和されている、結合剤。
【化1】
上記一般式(1)において、nは1〜5の数を表し、Mはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基を表す。
【請求項2】
前記酸基を有する重合体は、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、前記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を20モル%以上含む、請求項1に記載の結合剤。
【請求項3】
前記1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンが1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアルカノールアミンである、請求項1又は2に記載の結合剤。
【請求項4】
前記1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンがジエタノールアミンである、請求項1又は2に記載の結合剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸基を有する重合体を含む結合剤に関する。より詳しくは、ガラス繊維や粉末ガラスの結合剤として有用な、酸基を有する重合体を含む結合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維等にバインダーを付着させ、成形した耐熱性積層体が住居や倉庫、装置や機器等の断熱材等として広く使用されている。
例えば、特許文献1には、A)5〜100重量%がエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなる、ラジカル重合により得られたポリマー、およびB)少くとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミン、A)とB)の和に対して1.5重量%より少ないリン含有反応促進剤を含有するホルムアルデヒド不含の水性結合剤が開示されている。該結合剤は、ガラス繊維フリースのための結合剤として使用できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−506940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、ガラス繊維等の結合剤が種々提案されているものの、耐熱性積層体の高機能化の要望から、ガラス繊維や粉末ガラスの結合力がより優れた結合剤が要望されているのが実情である。
【0005】
本発明は、上記の事情に着目してなされたものであって、優れたガラス繊維や粉末ガラスの結合力を発現する結合剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、結合剤が所定の重合体を含むことにより、ガラス繊維や粉末ガラスの結合力が従来より優れたものとなることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、酸基を有する重合体を含む結合剤であって、該重合体は下記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を含む、結合剤である。
【0008】
【化1】
【0009】
上記一般式(1)において、nは1〜5の数を表し、Mはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基を表す。
【発明の効果】
【0010】
本発明の結合剤は、優れたガラス繊維や粉末ガラスの結合力を発現する。よって、本発明の結合剤は、例えばガラス繊維や粉末ガラスの結合剤として、有用に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
【0012】
[酸基を有する重合体]
本発明の結合剤は、酸基を有する重合体を含み、該重合体は、上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位含む。本発明の結合剤の必須成分である上記重合体を、以下、「本発明の重合体」ともいう。
上記一般式(1)において、nは1〜5の数を表すが、好ましくは1又は2である。nが1のとき、上記一般式(1)で表される単量体はイタコン酸(塩)であり、nが2のとき、上記一般式(1)で表される単量体はメチレングルタル酸(塩)である。
【0013】
上記一般式(1)において、Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基を表す。金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子等のアルカリ金属原子;カルシウム原子、マグネシウム原子等のアルカリ土類金属原子;鉄原子、アルミニウム原子等の遷移金属原子;等が例示される。有機アンモニウム基としては、メチルアミン、n−ブチルアミン等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン;等に由来するアンモニウム残基が例示される。例えばMがジエタノールアミンに由来するアンモニウム残基の場合、上記一般式(1)で表される単量体はカルボン酸のジエタノールアミン塩基、−C(=O)O(CHCHOH)を含むことになる。なお、有機アンモニウム基とは、有機アミンが酸により中和されて形成される基である。
【0014】
本発明の重合体は、上記のとおり酸基を有するが、本発明の重合体に含まれる酸基100モル%に対し、50〜90モル%が、未中和の酸基(すなわち、酸型の酸基)であることが好ましい。より好ましくは55〜85モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。上記範囲であることにより、本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体(本発明の結合剤で処理されたガラス繊維や粉末ガラス等をいう)の機械強度が向上する傾向にある。
【0015】
後述するとおり、本発明の重合体に含まれる酸基の一部が、1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンで中和されていることが好ましい。これにより、本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体の機械強度が向上する傾向にある。本発明の重合体に含まれる酸基100モル%に対し、10〜50モル%が、1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンで中和されていることが好ましく、より好ましくは15〜45モル%であり、さらに好ましくは20〜40モル%である。
【0016】
本発明において、「上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位」とは、上記一般式(1)で表される単量体が重合して形成される構造単位を意味する。ただし、上記一般式(1)で表される単量体が重合して形成される構造単位と同じ構造であれば、上記一般式(1)で表される単量体を重合する以外の方法で得られた構造単位も、「上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位」に含まれる。
具体的には、「上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位」とは、上記一般式(1)で表される単量体の炭素炭素二重結合が、炭素炭素の単結合になった構造単位をいい、下記一般式(2)で表すことができる。
【0017】
【化2】
【0018】
上記一般式(2)において、nは1〜5の数を表し、Mはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基を表す。なお、一般式(2)の左右のアステリスクマークは上記一般式(2)の構造単位が結合している原子を表し、上記一般式(2)の構造単位には含まれない。
【0019】
本発明の重合体は、全単量体に由来する構造単位(上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位と後述するその他の単量体に由来する構造単位)100モル%に対して、上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を5モル%以上、100モル%以下含むことが好ましく、10モル%以上、100モル%以下含むことがより好ましく、20モル%以上、100モル%以下含むことがさらに好ましい。上記範囲で含むことにより、本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体の機械強度が向上する傾向にある。
【0020】
本発明の重合体は、上記一般式(1)で表される単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」とも言う)に由来する構造単位を有していても良い。
その他の単量体としては、特に制限はないが、具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、αーヒドロキシアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸及びその誘導体等の、不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩等;フマル酸、マレイン酸等の上記一般式(1)で表される単量体以外の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩(一塩であっても二塩であっても良い);3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩等のスルホン酸系単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン、およびこれらの4級化物や塩等のアミノ基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコール系単量体;上記不飽和アルコール系単量体にアルキレンオキシドを付加した構造を有するポリアルキレングリコール系単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;イソブチレン、オクテン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;が挙げられる。また、上記他の単量体は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上を併用しても良い。上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が例示される。
【0021】
本発明において、その他の単量体に由来する構造単位とは、その他の単量体が重合して形成される構造単位であり、具体的には、その他の単量体の炭素炭素二重結合が単結合になった構造である。例えば、その他の単量体がアクリル酸ブチル(CH=CHCOOC)である場合、その他の単量体に由来する構造単位は、−CH−CH(COOC)−、で表すことができる。
【0022】
本発明の重合体は、その他の単量体に由来する構造単位を、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、0モル%以上、95モル%以下有することが好ましく、0モル%以上、90モル%以下有することがより好ましく、0モル%以上、80モル%以下有することがさらに好ましい。
【0023】
本発明の重合体が共重合体の場合には、各構成単位は、ブロック状であっても、ランダム状であっても、規則的に存在していても構わない。
【0024】
本発明の重合体の重量平均分子量は特に制限はないが、1,000以上、500,000以下であることが好ましく、1,500以上、100,000以下であることが好ましく、2,000以上、20,000以下であることがより好ましい。
なお、上記重量平均分子量は後述する測定方法により測定することができる。
【0025】
本発明の重合体は、上記一般式(1)で表される単量体と、必要に応じてその他の単量体を重合する工程を含んで製造することが好ましい。上記工程において、上記一般式(1)で表される単量体とその他の単量体の合計の使用量100モル%に対して、上記一般式(1)で表される単量体を5〜100モル%とすることが好ましく、10〜100モル%とすることがより好ましく、20〜100モル%とすることがさらに好ましい。一方、上記工程におけるその他の単量体の使用量は、上記一般式(1)で表される単量体とその他の単量体の合計の使用量100モル%に対して、0〜95モル%であることが好ましく、0〜90モル%であることがより好ましく、0〜80モル%であることがさらに好ましい。
【0026】
上記重合する工程における重合は、従来公知の種々の方法、例えば、溶液重合法、バルク重合、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、或いは注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等を採用することができる。特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。また、上記重合工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。
【0027】
上記重合する工程において、重合を行なう際には、重合開始剤を用いることが好ましい。上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩が好ましく、過硫酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記重合開始剤の使用量としては、単量体(上記一般式(1)で表される単量体およびその他の単量体)の使用量1モルに対して、0.1g以上、10g以下であることが好ましく、0.1g以上、7g以下であることがより好ましく、0.1g以上、5g以下であることがさらに好ましい。
【0028】
上記重合する工程においては、必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタン等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸(塩)(これらの水和物を含む);亜リン酸、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸(塩);亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸(塩);亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の重亜硫酸(塩);亜ジチオン酸ナトリウム等の亜ジチオン酸(塩);ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸(塩);などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤の使用量としては、単量体(上記一般式(1)で表される単量体およびその他の単量体)の使用量1モルに対して、0g以上、15g以下であることが好ましく、1g以上、10g以下であることがより好ましく、1g以上、7g以下であることがさらに好ましい。
【0029】
上記重合工程は、反応促進等を目的として、重金属イオンを使用しても良い。本発明で重金属イオンとは、比重が4g/cm以上の金属のイオンを意味する。重金属イオンを使用することで、重合開始剤の使用量を低減することが可能となる。上記重金属イオンは、イオンの形態として含まれるものであれば特に限定されないが、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いる方法を用いると、取り扱い性に優れるため好適である。上記重金属化合物としては、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マンガン等が例示される。
上記重金属イオンの使用量としては、重合反応液全量に対して、0ppm以上、100ppm以下であることが好ましく、0ppm以上、50ppm以下であることがより好ましい。
【0030】
上記重合工程は、溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、水を含むことが好ましく、溶媒全量に対して、水を50質量%以上、100質量%以下含むことがより好ましく、80質量%以上、100質量%以下含むことがさらに好ましい。上記重合工程で使用可能な溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で試用されてもよい。
溶媒の使用量としては、単量体100質量%に対して40〜200質量%が好ましい。より好ましくは、45質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。また、より好ましくは、180質量%以下であり、更に好ましくは、150質量%以下である。溶媒の使用量が40質量%未満であると、得られる重合体の分子量が高くなるおそれがあり、200質量%を超えると、得られる重合体の濃度が低くなり、保管等のコストが高額になるおそれがある。
【0031】
上記重合工程における重合は、通常、0℃以上で行われることが好ましく、また、150℃以下で行われることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、60℃以上であり、特に好ましくは、80℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、110℃以下である。
上記重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
【0032】
上記重合工程における重合時間は特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、さらに好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜300分である。なお、本発明において、「重合時間」とは、特に断らない限り、単量体を添加している時間を表す。
【0033】
上記重合工程において、重合中の単量体に含まれる酸基の中和率(中和されている酸基のモル数/(中和されている酸基のモル数+未中和の酸基のモル数)×100)は、0%以上、10%以下が好ましく、0%以上、5%以下がより好ましい。
【0034】
上記重合工程における反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れであってもよいが、得られる重合体の分子量の点で、常圧下、又は、反応系内を密閉し、加圧下で行うのが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点で、常圧(大気圧)下で行うのが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気であっても良く、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換しても良い。
【0035】
本発明の重合体は、任意であるが、上記重合工程以外の工程を含んで製造しても構わない。例えば、熟成工程、中和工程、重合開始剤や連鎖移動剤の失活工程、希釈工程、乾燥工程、濃縮工程、精製工程等が挙げられる。
【0036】
[本発明の結合剤]
本発明の結合剤は、本発明の重合体のみを含んでいても良いが、本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体の機械強度が向上する傾向にあることから、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、水酸基および/またはアミノ基を、1分子中に少なくとも2つ有する化合物が例示される。そのような化合物としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のポリオール;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン等のポリアミン;モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン等の1分子に1つの水酸基と1つのアミノ基を有する化合物;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミン;などが例示される。これらの中でも、1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンを含むことが好ましい。
本発明の結合剤は、架橋剤を、本発明の結合剤に含まれる重合体(本発明の重合体)に含まれる酸基100モル%に対し、10〜50モル%含んでいることが好ましく、15〜45モル%含んでいることがより好ましく、20〜40モル%含んでいることが特に好ましい。
【0037】
上記のとおり、本発明の結合剤は、1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンを含むことがこのましい。これにより、本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体の機械強度が顕著に向上する傾向にある。
本発明の結合剤において、上記1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンは、酸性物質で中和されていても、中和されていなくても構わない。本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合に硬化反応が進みやすくなることから、本発明の重合体に含まれる酸基の一部が、上記1分子に少なくとも2つの水酸基を有するアミンで中和されていることが好ましい。
【0038】
本発明の結合剤は、本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体の機械強度が向上する傾向にあることから、硬化促進剤を含むことが好ましい。
硬化促進剤としては、プロトン酸[リン酸系化合物(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸二水素化物、ポリリン酸、アルキルホスフィン酸等)、硫酸、カルボン酸、炭酸等]、およびその塩[金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族、4A族、4B族、5B族等)塩、アンモニウム塩等]、金属(上記のもの)の、酸化物、塩化物、水酸化物およびアルコキシド等が挙げられ、これらは単独使用でも2種類以上併用してもいずれでもよい。
本発明の結合剤は、上記硬化促進剤を、本発明の結合剤に含まれる重合体(本発明の重合体)100質量%に対し、0.1〜20質量%含んでいることが好ましく、0.5〜10質量%含んでいることがより好ましく、1.6〜7質量%含んでいることが最も好ましい。 本発明の結合剤は、溶剤を含んでいても良い。溶剤としては、有機溶剤でも構わないが、水を含むことが好ましく、溶剤全量に対して、50質量%以上が水であることが好ましい。
本発明の結合剤は、溶媒を、本発明の結合剤100質量%に対し、0〜75質量%含むことが好ましく、30〜70質量%含むことがより好ましく、30〜60質量%含むことがさらに好ましい。
【0039】
本発明の結合剤は、本発明の重合体を結合剤100質量%に対し、25〜100質量%含むことが好ましく、30〜70質量%含むことがより好ましく、40〜70質量%含むことがさらに好ましい。
【0040】
[本発明の結合剤の用途]
本発明の結合剤は、ガラス繊維、ロックウール、カーボン繊維等の無機繊維;ガラス粒子、鉱物粒子等の無機粒子(無機粉体);羊毛、綿、麻、ナイロン、ポリエステル等の有機物の繊維;ナイロン微粒子、ポリエステル微粒子等の有機物の粒子(有機物の粉体);等の結合剤として、使用することができる。好ましくはガラス繊維や粉末ガラスの結合剤として使用することができる。
【0041】
[本発明の結合剤の使用方法]
本発明の結合剤による処理は、本発明の結合剤を、ガラス繊維や粉末ガラス等の対象物質(被結合物質)に接触させる工程を必須とする。上記工程は、本発明の結合剤が溶剤を含む場合には、そのままで、または所望により濃度等を調節して、(i)被結合物質を本発明の結合剤に含浸させるか、または(ii)被結合物質に本発明の結合剤を散布することにより、行うことが好ましい。本発明の結合剤が溶剤を含まない場合には、本発明の結合剤を過熱・溶融させて被結合物質に接触させても構わないが、処理物(被結合体)の強度にむらが生じやすくなる傾向にあるので、溶剤に溶解し、上記(i)または(ii)を行うことが好ましい。
中でも、被結合物質に対する本発明の結合剤の添加量を調節しやすいことから、上記(ii)が好ましい。
上記本発明の結合剤を、被結合物質に接触させる工程における、被結合物質に対する本発明の結合剤の添加量は、本発明の結合剤の固形分が、被結合物質100質量%に対し、1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜15質量%であることがさらに好ましい。本発明の結合剤を上記範囲で使用すると、被結合体の機械強度が向上する傾向にある。
なお、「被結合物質に接触させる工程における、被結合物質に対する本発明の結合剤の添加量」とは、上記(i)の工程においては被結合物質を含浸後、被結合物質に実際に付着した結合剤の量をいい、上記(ii)の工程においては、被結合物質に散布した後、被結合物質に実際に付着した結合剤の量をいう。
【0042】
本発明の結合剤が架橋剤を含む場合には、本発明の結合剤による処理は、上記接触させる工程で得られた被結合体を、加熱処理する工程を含むことが好ましい。加熱処理を行なうことにより、架橋反応が促進され、被結合体の機械強度が向上する傾向にある。
上記加熱処理工程は、100〜400℃で行うことが好ましく、120〜350℃で行うことがより好ましく、150〜300℃で行うことがさらに好ましい。
【0043】
本発明の結合剤が溶剤を含む場合には、本発明の結合剤による処理は、上記接触させる工程で得られた被結合体を、乾燥する工程を含んでいても良い。上記乾燥する工程は、常圧下で行っても良いし、減圧下で行ってもよい。乾燥を加熱して行なう場合には、その条件は上記加熱処理する工程と同様である。
【0044】
本発明の結合剤が溶剤を含む場合には、本発明の結合剤による処理は、上記接触させる工程で得られた被結合体を、養生する工程を含んでいてもよい。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0046】
<重量平均分子量の測定条件>
装置:東ソー製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSK−GEL G4000PWXL,G3000PWXL
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学社製 POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
【0047】
<重合体の固形分測定方法>
150℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物0.3g+水1.0g)を20分間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)を算出した。
【0048】
<結合剤による硬化物試験片の作成>
(i)重合体水溶液を固形分11%に調整する。
(ii)粒径0.35〜0.50mmのガラスビーズに、上記(i)で得られた重合体水溶液を、ポリマー固形分がガラスビーズ質量の3%となるように添加し、十分に混合する。
(iii)離型処理した140mm×20mm×5mmの型枠に(ii)で得られた混合物を押し入れて成型し、110℃のオーブンで45分間乾燥後、デシケータに移し30分冷却する。
(iv)冷却後、190℃のオーブンで30分間加熱処理後、デシケータに移し30分冷却することで試験片を得る。
【0049】
<試験片の機械的強度>
JIS K7171に準じ、2mm/minの試験速度で曲げ強さを測定した。試験片3枚の曲げ強さを測定し、平均値を算出した。
【0050】
<実施例1>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、純水53.7gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80質量%アクリル酸水溶液(以下「80%AA」と称する)45g(すなわち0.5mol)を180分間と、30質量%イタコン酸水溶液216.8g(すなわち0.5mol)を180分間と、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する)5.01gを195分間と、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下「45%SHP」と称する)1.1g(対単量体投入量に換算すると0.5g/mol)を18分間と更に続いて5.3gを192分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に45%SHP11.7gを投入した後、反応溶液を放冷しながら80質量%ジエタノールアミン水溶液65.1g(すなわち0.5mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和を行った(本発明の結合剤(1))。該結合剤の固形分値は36.9%、重量平均分子量(Mw)は5800だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、21.46Nであった。
【0051】
<実施例2>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量0.5リットルのセパラブルフラスコに、純水123.7g、2−メチレングルタル酸72.0g(すなわち0.5mol)を仕込み(初期仕込)、攪拌下、80℃まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に15%NaPS10.0gを60分間と、35質量%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下「35%SBS」と称する)2.9gを60分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。滴下終了後、さらに60分間に渡って反応溶液を80℃に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に45%SHP9.1gを投入した後、反応溶液を放冷しながら80質量%ジエタノールアミン水溶液43.4g(すなわち0.33mol)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和を行った(本発明の結合剤(2))。該結合剤の固形分値は41.7%、重量平均分子量(Mw)は10600だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、19.42Nであった。
【0052】
<比較例1>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水231.8gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80%AA611.8g(すなわち6.8mol)を180分間と、15%NaPS32.3g(対単量体投入量に換算すると0.71g/mol)を185分間、45%SHP11.6g(対単量体投入量に換算すると0.77g/mol)を18分間と更に続いて46.1gを162分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに10分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に純水187.4g、45%SHP81.3gを投入した後、反応溶液を放冷しながら80質量%ジエタノールアミン水溶液297.8g(アクリル酸の33.3mol%中和分)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和を行った(比較結合剤(1))。該結合剤の固形分値は51.2%、重量平均分子量(Mw)は6000だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、16.12Nであった。
【0053】
<比較例2>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水251.5gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80%AA624.0g(すなわち6.9mol)を180分間と、15%NaPS34.7g(対単量体投入量に換算すると0.75g/mol)を195分間、45%SHP9.2g(対単量体投入量に換算すると0.6g/mol)を18分間と更に続いて43.6gを192分間と2段階の供給速度で、純水180.2gを重合開始92分後から88分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に45%SHP53.0gを投入した後、反応溶液を放冷しながら80質量%ジエタノールアミン水溶液303.7g(アクリル酸の33.3mol%中和分)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和を行った(比較結合剤(2))。該結合剤の固形分値は51.3%、重量平均分子量(Mw)は8200だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、17.51Nであった。
<比較例3>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水179.5gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80%AA473.7g(すなわち5.3mol)を180分間と、15%NaPS26.4g(対単量体投入量に換算すると0.75g/mol)を195分間、45%SHP5.8g(対単量体投入量に換算すると0.5g/mol)を18分間と更に続いて28.1gを192分間と2段階の供給速度で、純水160.3gを重合開始92分後から88分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に45%SHP61.7g、純水23.1gを投入した後、反応溶液を放冷しながら80質量%ジエタノールアミン水溶液228.3g(アクリル酸の33.3mol%中和分)を攪拌下、反応溶液に徐々に滴下して中和を行った(比較結合剤(3))。該結合剤の固形分値は49.7%、重量平均分子量(Mw)は10500だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、18.25Nであった。
【0054】
<比較例4>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水297.4g、無水マレイン酸(以下「MA」と称する)192.2g(すなわち2.0mol)、80質量%ジエタノールアミン水溶液257.8g(すなわち2.0mol)を仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80%AA176.5g(すなわち2.0mol)を265分間と、15%NaPS56.4gを270分間、35質量%過酸化水素(以下「35%HP」と称する)47.1gを265分間と、純水94.0gを重合開始150分後から145分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに55分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に35%SBS14.5g、45%SHP64.1gを投入した(比較結合剤(4))。該結合剤の固形分値は45.5%、重量平均分子量(Mw)は1500だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、18.46Nであった。
【0055】
表1に試験片の評価結果をまとめた。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示した結果から、本発明の結合剤で処理したガラスビーズの硬化物は、従来の結合剤で処理したガラスビーズの硬化物と比較して、優れた機械強度を有することが明らかとなった。よって、本発明の結合剤は、例えばガラス繊維や粉末ガラスの結合剤として、有用に使用することができることが明らかとなった。