(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
照度センサを有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、灯具探索によって各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定装置であって、
灯具探索時に前記エリア内の所定箇所に配置される発光部と、
通信によって前記発光部の輝度を制御する制御部と、
前記制御部によって前記発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定する処理部と、
を備える、灯具特定装置。
照度センサを有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、灯具探索によって各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定方法であって、
(A)灯具探索時に前記エリア内の所定箇所に配置される発光部の輝度を、通信によって制御するステップと、
(B)前記ステップ(A)によって前記発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定するステップと、
を備える、灯具特定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された調光制御システムにおいて、調光端末器によって所望の照明器具の調光率を制御するためには、調光端末器によって複数の照明器具の各々を個別に特定する必要がある。つまり、MACアドレス又は製品シリアル番号等の各照明器具の識別情報と、各照明器具の設置箇所とを、予め関連付けておく必要がある。
【0005】
しかしながら、照明器具の識別情報と設置箇所とは通常は無関係であるため、これらの関連付けを行うためには、システムを導入する際に作業者が識別情報と設置箇所とを個別に確認しながら照明器具を設置し、あるいは照明器具をランダムに設置した後に作業者が各照明器具の識別情報を確認して関連付けを行う必要がある。従って、その作業が煩雑であり、処理に長時間を要するとともに、作業ミスによって誤った関連付けがなされる可能性もある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易に、高速に、かつ確実に関連付けることが可能な、灯具特定装置、照明システム、及び灯具特定方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る灯具特定装置は、照度センサを有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、灯具探索によって各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定装置であって、灯具探索時に前記エリア内の所定箇所に配置される発光部と、通信によって前記発光部の輝度を制御する制御部と、前記制御部によって前記発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定する処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る灯具特定装置によれば、処理部は、制御部によって発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定する。これにより、灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易に、高速に、かつ確実に関連付けることが可能となる。また、調光制御のために各灯具に備えられている照度センサを用いて照度値を検出するため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る灯具特定装置は、第1の態様に係る灯具特定装置において特に、前記発光部は、同一直線上に並ばない三つの発光部を含むことを特徴とするものである。
【0010】
第2の態様に係る灯具特定装置によれば、発光部は、同一直線上に並ばない三つの発光部を含む。従って、複数の灯具が行列状に設置されている状況であっても、各灯具から三つの発光部の各々までの三つの距離情報を用いることにより、各灯具の設置箇所を正確に特定することが可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る灯具特定装置は、第2の態様に係る灯具特定装置において特に、前記制御部が前記三つの発光部の輝度を順に変化させることにより、前記処理部は各発光部から各灯具までの距離情報を順に取得し、前記処理部は、各灯具から前記三つの発光部の各々までの三つの距離情報に基づいて、各灯具の設置箇所を特定することを特徴とするものである。
【0012】
第3の態様に係る灯具特定装置によれば、制御部が三つの発光部の輝度を順に変化させることにより、処理部は各発光部から各灯具までの距離情報を順に取得する。従って、三つの発光部の輝度を互いに異なる周波数で変化させる制御や、所定時間蓄積した照度データを周波数解析する処理が不要となるため、簡易な制御及び処理によって各灯具の設置箇所を特定することが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る灯具特定装置は、第3の態様に係る灯具特定装置において特に、前記発光部の輝度を変化させる前に各照度センサによって検出された照度に関する第1の照度データを保持する第1のレジスタと、前記発光部の輝度を変化させた後に各照度センサによって検出された照度に関する第2の照度データを保持する第2のレジスタと、をさらに備え、前記処理部は、前記第1のレジスタが保持している前記第1の照度データと、前記第2のレジスタが保持している前記第2の照度データとに基づいて、各照度センサに関する照度の変化量を算出し、当該変化量と前記相関情報とに基づいて、各灯具から各発光部までの距離を求めることを特徴とするものである。
【0014】
第4の態様に係る灯具特定装置によれば、発光部の輝度を変化させる前に各照度センサによって検出された照度に関する第1の照度データは、第1のレジスタに保持され、発光部の輝度を変化させた後に各照度センサによって検出された照度に関する第2の照度データは、第2のレジスタに保持される。そして、処理部は、第1のレジスタが保持している第1の照度データと、第2のレジスタが保持している第2の照度データとに基づいて、照度の変化量を算出する。これにより、発光部の輝度を変化させる前後における照度の変化量を、簡易かつ正確に算出することが可能となる。また、発光部の輝度を変化させる前後で検出された照度の変化量に基づいて灯具の特定が行われるため、外光の影響を受けることなく各灯具の設置箇所を正確に特定することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る灯具特定装置は、第2の態様に係る灯具特定装置において特に、前記制御部は、前記三つの発光部の輝度を互いに異なる周波数で同時に変化させ、前記処理部は、各照度センサが検出する照度データを所定時間蓄積し、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値に基づいて各発光部から各灯具までの距離情報を取得し、前記処理部は、各灯具から前記三つの発光部の各々までの三つの距離情報に基づいて、各灯具の設置箇所を特定することを特徴とするものである。
【0016】
第5の態様に係る灯具特定装置によれば、処理部は、制御部によって三つの発光部の輝度を互いに異なる周波数で同時に変化させることにより、各照度センサが検出する照度データを所定時間蓄積する。また、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値に基づいて各発光部から各灯具までの距離情報を取得する。そして、各灯具から三つの発光部の各々までの三つの距離情報に基づいて、各灯具の設置箇所を特定する。従って、一度の探索処理によって複数の灯具を一括して特定できるため、複数の灯具を順次に探索する場合と比較して処理の高速化を図ることが可能となる。また、三つの発光部の輝度を互いに異なる周波数で変化させるため、周波数解析によって各発光部を明確に区別することができ、その結果、各発光部から各灯具までの距離を正確に求めることが可能となる。さらに、各発光部の輝度を固有の周波数で変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具を特定することが可能となる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る灯具特定装置は、第5の態様に係る灯具特定装置において特に、前記発光部の輝度を変化させる前に各照度センサによって検出された照度に関する第1の照度データを記憶する第1の記憶部と、前記発光部の輝度を変化させた後に各照度センサによって検出された照度に関する第2の照度データを記憶する第2の記憶部と、をさらに備え、前記処理部は、前記第1の記憶部が記憶している前記第1の照度データと、前記第2の記憶部が記憶している前記第2の照度データとに基づいて、前記周波数毎の照度値を算出することを特徴とするものである。
【0018】
第6の態様に係る灯具特定装置によれば、発光部の輝度を変化させる前に各照度センサによって検出された照度に関する第1の照度データは、第1の記憶部に記憶され、発光部の輝度を変化させた後に各照度センサによって検出された照度に関する第2の照度データは、第2の記憶部に記憶される。そして、処理部は、第1の記憶部が記憶している第1の照度データと、第2の記憶部が記憶している第2の照度データとに基づいて、周波数毎の照度値を算出する。これにより、発光部の周波数と同一の又は近似する周波数で変動する外光の影響を除去することができるため、周波数毎の照度値を簡易かつ正確に算出することが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記相関情報を記憶する記憶部と、前記処理部による灯具特定の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記相関情報を補正する補正部と、をさらに備えることを特徴とするものである。
【0020】
第7の態様に係る灯具特定装置によれば、補正部は、処理部による灯具特定の結果に基づいて、記憶部に記憶されている相関情報を補正する。従って、予め準備した相関情報に誤差が生じていた場合であっても、実測結果に基づいて相関情報を補正することにより、それ以降は灯具を正確に特定することが可能となる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る灯具特定装置は、第1〜第7のいずれか一つの態様に係る灯具特定装置において特に、前記処理部は、複数の探索対象灯具を順に更新することにより、前記複数の灯具を順に特定することを特徴とするものである。
【0022】
第8の態様に係る灯具特定装置によれば、複数の探索対象灯具を順に更新することにより、複数の灯具が順に特定される。これにより、エリア内に設置されている複数の灯具の全てを特定することが可能となる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る灯具特定装置は、第8の態様に係る灯具特定装置において特に、前記処理部は、特定が完了した灯具又は特定に失敗した灯具を、更新対象から除外することを特徴とするものである。
【0024】
第9の態様に係る灯具特定装置によれば、特定が完了した灯具又は特定に失敗した灯具は、更新対象から除外される。特定が完了した灯具を更新対象から除外することにより、特定済みの灯具に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。また、特定に失敗した灯具を更新対象から除外することにより、特定できない灯具に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。特定に失敗した灯具が存在する場合には、灯具特定装置の配置箇所を変えて特定処理をやり直すことにより、当該灯具を特定することができる。
【0025】
本発明の第10の態様に係る照明システムは、照度センサを有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、前記複数の灯具の各々に接続され、接続された灯具を調光制御する灯具制御装置と、前記エリアの環境要因に基づいて前記複数の灯具を調光制御するために、前記灯具制御装置を制御する主制御装置と、を備え、前記主制御装置は、灯具探索時に前記エリア内の所定箇所に配置される発光部と、通信によって前記発光部の輝度を制御する制御部と、前記制御部によって前記発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定する処理部と、を有することを特徴とするものである。
【0026】
第10の態様に係る照明システムによれば、処理部は、制御部によって発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定する。これにより、灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易に、高速に、かつ確実に関連付けることが可能となる。また、調光制御のために各灯具に備えられている照度センサを用いて照度値を検出するため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。
【0027】
本発明の第11の態様に係る灯具特定方法は、照度センサを有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、灯具探索によって各灯具の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定方法であって、(A)灯具探索時に前記エリア内の所定箇所に配置される発光部の輝度を、通信によって制御するステップと、(B)前記ステップ(A)によって前記発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0028】
第11の態様に係る灯具特定方法によれば、ステップ(B)では、ステップ(A)によって発光部の輝度を変化させ、それによって複数の灯具の各照度センサが検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具の設置箇所を特定する。これにより、灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易に、高速に、かつ確実に関連付けることが可能となる。また、調光制御のために各灯具に備えられている照度センサを用いて照度値を検出するため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、調光機能を有する複数の灯具が所定のエリア内に設置された照明システムにおいて、各灯具の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易に、高速に、かつ確実に関連付けることが可能な、灯具特定装置、照明システム、及び灯具特定方法を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0032】
<実施の形態1>
図1,2は、本発明の実施の形態1に係る照明システムの設置環境の一例を示す図である。本実施の形態の例において、照明システムは、オフィス内の一部屋であるエリア1に設置される。エリア1内には、調光機能を有する複数の灯具2(この例では9個の灯具2A〜2I)がグリッド状に一定間隔で整列して設置されている。灯具2は、例えば、直管形のHfランプ又はLEDランプである。各灯具2A〜2Iには、調光制御を行うための照度センサ5A〜5Iがそれぞれ備えられている。
【0033】
各灯具2には、MACアドレス又は製品シリアル番号等の固有の識別情報が付与されている。但し、各灯具2の設置箇所はランダムであり、灯具2の識別情報と設置箇所との間に直接的な関連性はない。なお、本実施の形態に係る照明システムは、オフィスに限らず、学校、病院、図書館、駅、空港、店舗等、一定のエリア内に複数の灯具が設置される任意の環境に適用することができる。
【0034】
図3は、本実施の形態に係る照明システムの構成例を示す図である。照明システムは、主制御装置4と、各灯具2に接続された灯具制御装置3とを備えて構成されている。この例では、灯具制御装置3A〜3Iが灯具2A〜2Iにそれぞれ接続されている。
【0035】
灯具制御装置3は、主制御装置4からの命令に基づき、PWM(Pulse Width Modulation)、PAM(Pulse Amplitude Modulation)、PDM(Pulse Density Modulation)、PFM(Pulse Frequency Modulation)等の任意の制御方式によって、自身に接続されている灯具2を調光制御する。主制御装置4は、エリア1の様々な環境要因(外光照度又は人物の存否等)に基づいて灯具2A〜2Iを調光制御するために、無線通信、PLC通信、専用の有線を用いた通信、汎用のイーサネット(登録商標)を用いた通信等の任意の通信方式(複数の通信方式を組み合わせてもよい)によって、灯具制御装置3A〜3Iを制御する。調光制御において、各灯具2A〜2Iの設置箇所における外光照度は、照度センサ5A〜5Iによってそれぞれ検出される。また、主制御装置4は、灯具探索時に各灯具2の識別情報と設置箇所とを関連付けるための灯具特定装置としても機能する。
【0036】
図4,5は、灯具探索が行われる状況を示す図である。灯具探索においては、少なくとも三つの発光部6(この例では3個の発光部6X〜6Z)が、エリア1内の規定の位置に配置される。発光部6は、灯具2と同様にHfランプ又はLEDランプであり、エリア1内の所定の箇所に配置される。3個の発光部6X〜6Zは、同一直線上に並ばない位置関係で配置され、この例では、発光部6X,6Y,6Zがそれぞれ照度センサ5A,5B,5Dの真下に配置されている。
【0037】
図6は、照明システムを構成する装置間の通信態様を示す図である。主制御装置4は、灯具制御装置3及び発光部6と直接に通信可能である。各装置間の通信は、上記任意の通信方式によって行われる。
【0038】
図7は、照度センサ5の内部構成を簡略化して示すブロック図である。
図7の接続関係で示すように、照度センサ5は、受光素子10、増幅回路11、ローパスフィルタ12、及び電流電圧変換回路13を備えて構成されている。受光素子10としては、フォトダイオード等が使用される。
【0039】
図8は、灯具制御装置3の内部構成を簡略化して示すブロック図である。
図8の接続関係で示すように、灯具制御装置3は、ADコンバータ14、CPU15、通信部16、及び、PWMドライバ等の制御部17を備えて構成されている。
【0040】
図9は、主制御装置4の内部構成を簡略化して示すブロック図である。
図9の接続関係で示すように、主制御装置4は、CPU20、入力部21、通信部22、レジスタ24,25、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記憶部23、ディスプレイ等の出力部26、及び、ROM及びRAM等のメモリ27を備えて構成されている。CPU20は、メモリ27に格納されている所定のプログラムに従って動作することにより、処理部31、制御部32、及び補正部33として機能する。記憶部23には、照度と距離との相関情報を表すルックアップテーブル30が記憶されている。入力部21は、主制御装置4に設けられた操作スイッチ若しくはタッチパネル等から入力されたデータ、又は、主制御装置4に接続されたキーボード若しくはマウス等を用いて入力されたデータ、又は、PC若しくは携帯端末等の汎用端末からLAN等の任意の通信路を経由して受信したデータを、CPU20に入力する。
【0041】
図10は、灯具探索において主制御装置4が実行する灯具特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
まず、灯具特定処理を開始する前に、エリア1の環境に応じたルックアップテーブル30を処理部31によって予め作成して、当該ルックアップテーブル30を記憶部23に記憶する。
【0043】
オペレータは、エリア1の天井高さ、作業面高さ(机の高さ)、灯具2の設置状況(間隔、方向、個数、レイアウト等)、配光曲線、及び直射水平面照度特性等に関するデータを、入力部21から入力する。処理部31は、入力されたこれらのデータに基づいて、灯具2の設置環境に応じたグリッドデータを作成する。
【0044】
図11は、グリッドデータの一例を示す図である。グリッドの交点P1〜P9は、各灯具2の中心点に対応する。この例において、X方向に関する灯具2の設置間隔は1.6mであり、Y方向に関する灯具2の設置間隔は1.85mである。また、天井高さは2.7mであり、作業面高さは0.7mである。
【0045】
処理部31は、交点P1〜P9のうちの任意の一点(この例では中央の交点P5)に対応する灯具2のみを所定輝度(例えば最高輝度)で点灯させ、他の全ての灯具2を消灯した状況を想定した場合の、各交点P1〜P9における作業面高さでの照度を算出する。照度の算出には、逐点法等の任意の照度計算方法を用いることができる。逐点法では、照度は距離の逆二乗に比例する。具体的に、一つの点光源による、ある面上の点における直射水平面照度Eは、入射角をθ、θ方向の光度(cd)をI、光源からその点までの距離(m)をLとすると、
E=(I/L
2)*cosθ
で求められる。この例の場合、交点P5での照度は249lx、交点P2,P8での照度は117lx、交点P4,P6での照度は84lx、交点P1,P3,P7,P9での照度は54lxとなる。処理部31は、照度算出の結果に基づいて、水平面照度と水平面距離との相関をパラメータ化することにより、照度と距離との相関情報を表すルックアップテーブル30を作成する。そして、作成したルックアップテーブル30を記憶部23に記憶する。
【0046】
また、オペレータは、主制御装置4の発光部6X〜6Zを、エリア1内の規定の箇所(この例では照度センサ5A,5B,5Dの真下)に配置する。発光部6X〜6Zは、作業面高さに配置してもよいし、床面に配置してもよい。そして、発光部6X〜6Zの配置箇所に関する情報を入力部21から入力する。
【0047】
図10を参照して、ステップSP101において処理部31は、探索条件の設定を行う。具体的には、
図11に示したグリッド上に、発光部6X〜6Zの配置箇所を設定する。
図12は、発光部6X〜6Zの配置箇所が設定されたグリッドデータを示す図である。この例では、交点P1,P7,P9上に発光部6X〜6Zがそれぞれ配置されている。
【0048】
図10を参照して、次にステップSP102において処理部31は、更新対象から除外する灯具2を示す探索除外灯具リストを初期化する。
【0049】
次にステップSP103において処理部31は、全灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させる。これにより、エリア1内で作業を行う作業者の照明が確保される。具体的に、処理部31は、全灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させる命令を制御部32に入力する。制御部32は、灯具2を一定輝度で点灯させる命令を、通信部22を介して各灯具制御装置3A〜3Iに一括して送信する。これにより、灯具制御装置3A〜3Iは、灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させる。
【0050】
次にステップSP104において照度センサ5A〜5Iは、全灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させた状況での、各灯具2A〜2Iの設置箇所における照度を検出する。
図7,8を参照して、受光素子10から出力された電流値は、増幅回路11によって増幅され、ローパスフィルタ12によってノイズが除去された後、電流電圧変換回路13によって電圧値に変換される。電流電圧変換回路13から出力された電圧値は、ADコンバータ14によってディジタル値に変換された後、照度データとしてCPU15に入力される。CPU15は、入力された照度データを、通信部16を介して主制御装置4に送信する。
図9を参照して、CPU20は、灯具制御装置3から送信された照度データを、通信部22を介して受信する。処理部31は、受信した照度データをそれぞれレジスタ24に保存する。レジスタ24には、灯具制御装置3A〜3I毎(照度センサ5A〜5I毎)の照度データが保存される。
【0051】
図10を参照して、次にステップSP105において処理部31は、全ての発光部6X〜6Zの中から一つの発光部6を選択する。この例では、発光部6X〜6Zの識別情報がそれぞれIDX〜IDZである場合に、識別情報IDXの発光部6Xを選択する。
【0052】
次にステップSP106において処理部31は、ステップSP105で選択した発光部6Xを一定輝度(この例では最高輝度)で点灯させる。具体的に、処理部31は、発光部6Xを一定輝度で点灯させる命令を制御部32に入力し、制御部32は、当該命令を、通信部22を介して発光部6Xに送信する。これにより、発光部6Xが一定輝度で点灯する。
【0053】
次にステップSP107において照度センサ5A〜5Iは、発光部6Xを点灯させた状況での、各灯具2A〜2Iの設置箇所における照度を検出する。
図7,8を参照して、受光素子10から出力された電流値は、増幅回路11によって増幅され、ローパスフィルタ12によってノイズが除去された後、電流電圧変換回路13によって電圧値に変換される。電流電圧変換回路13から出力された電圧値は、ADコンバータ14によってディジタル値に変換された後、照度データとしてCPU15に入力される。CPU15は、入力された照度データを、通信部16を介して主制御装置4に送信する。
図9を参照して、CPU20は、灯具制御装置3から送信された照度データを、通信部22を介して受信する。処理部31は、受信した照度データをレジスタ25に保存する。レジスタ25には、灯具制御装置3A〜3I毎(照度センサ5A〜5I毎)の照度データが保存される。
【0054】
図10を参照して、次にステップSP108において処理部31は、レジスタ24,25に保存されている照度値に基づいて、照度センサ5A〜5I毎の照度の変化量を算出する。
【0055】
なお、以上の説明では、ステップSP106で一つの発光部6Xを点灯させることにより、照度の変化量を算出する例を述べたが、これとは逆に、ステップSP103で全ての発光部6X〜6Zを点灯させた後、ステップSP106で一つの発光部6Xを消灯させることにより、照度の変化量を算出してもよい。
【0056】
次にステップSP109において処理部31は、照度センサ5A〜5I毎の照度の変化量と、ルックアップテーブル30とに基づいて、発光部6Xの配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離を推定する。
図11を参照して、例えば、照度の変化量が249lxである場合には水平面距離は0mと推定され、照度の変化量が117lxである場合には水平面距離は1.6mと推定され、照度の変化量が84lxである場合には水平面距離は1.85mと推定される。処理部31は、発光部6Xの配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離に関する距離情報を、記憶部23に保存する。なお、予めルックアップテーブル30を作成して記憶部23に記憶しておくのではなく、逐点法等によって照度の変化量から水平面距離を算出する演算を、ステップSP109で行ってもよい。
【0057】
次にステップSP110において処理部31は、全ての発光部6X〜6Zの中に未選択の発光部6が存在するか否かを判定する。未選択の発光部6が存在する場合には、その未選択の発光部6を選択してステップSP105以降の処理を繰り返す。この例では、発光部6Xに続いて発光部6Yが選択されることにより、発光部6Yの配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離に関する距離情報が、記憶部23に保存される。また、発光部6Yに続いて発光部6Zが選択されることにより、発光部6Zの配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離に関する距離情報が、記憶部23に保存される。また、処理部31は、各発光部6X〜6Zと各灯具2A〜2Iとの水平面距離を、各発光部6X〜6Zの識別情報IDX〜IDZ及び各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと関連付けることによって、発光部−灯具間距離情報を作成し、その発光部−灯具間距離情報を記憶部23に保存する。
【0058】
次にステップSP111において処理部31は、発光部−灯具間距離情報に識別情報が記述されている全ての灯具2A〜2Iの中から、設置箇所の特定が完了していない任意の一つの灯具(以下の例では灯具2Aとする)を選択する。
【0059】
次にステップSP112において処理部31は、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離に基づいて、当該水平面距離が灯具2Aの設置箇所を特定できる範囲内であるか否かを判定する。発光部6の配置箇所から灯具2Aの設置箇所までの距離が長すぎる場合には、発光部6の輝度変化が検出照度に及ぼす影響が小さいため、照度の変化量が小さくなり、ステップSP109での推定距離が長くなる。従って、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離の少なくとも一つが所定の閾値よりも大きくなった場合には灯具特定の精度が低下するため、処理部31は、その場合には特定可能範囲外であるとして、灯具2Aの識別情報IDAを探索除外灯具リストに追加する(ステップSP114)。探索除外灯具リストは、特定可能範囲外と判定された灯具の識別情報を列挙して管理するためのサブリスト(以下「範囲外リスト」と称す)と、特定が完了した灯具の識別情報を列挙して管理するためのサブリスト(以下「特定完了リスト」と称す)とを有している。ある灯具に関する推定距離が上記閾値よりも大きくなった場合には、処理部31は、その灯具の識別情報を範囲外リストに追加する。
【0060】
一方、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離がいずれも上記閾値未満である場合には、次にステップSP113において処理部31は、グリッド上の交点P1〜P9のうち灯具2Aに対応する交点を特定する。各発光部6X〜6Zの配置箇所は既知であり、また、発光部6X〜6Zは同一直線上に並ばない位置関係で配置されている。従って、灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離(三つの距離情報)に基づいて、灯具2Aと発光部6X〜6Zとの相対的な位置関係を推定でき、この位置関係を
図12に示したグリッドデータと照らし合わせることで、灯具2Aに対応する交点を特定することができる。この例では、灯具2Aに対応する交点は交点P1であると特定される。
【0061】
ここで、ステップSP113の後、オペレータによって交点の特定結果の正誤判定を行ってもよい。交点の特定結果が誤っている場合には、ルックアップテーブル30の設定(つまり照度と距離との相関)が誤っている可能性がある。そこで、正しい特定結果が得られるようにルックアップテーブル30の設定値を見直し、現在の設定値から正しい設定値に補正するための補正値を、入力部21から入力してもよい。
図9を参照して、補正部33は、入力された補正値に基づいて、ルックアップテーブル30を補正する。なお、補正値を入力するのではなく、正しい交点P1を示す情報を入力部21から入力することにより、補正部33が自ら補正値を算出してルックアップテーブル30を補正する構成としてもよい。
【0062】
図10を参照して、次にステップSP114において処理部31は、特定が完了した灯具2Aの識別情報IDAを、探索除外灯具リストに追加する。具体的には、灯具2Aの識別情報IDAを特定完了リストに追加する。
【0063】
次にステップSP115において処理部31は、上記の発光部−灯具間距離情報に識別情報が記述されている全ての灯具2の中に未選択の灯具が存在するか否かを判定する。未選択の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP111以降の処理を繰り返す。例えば、識別情報IDA→IDB→IDC→・・・→IDIの順に更新されることにより、灯具2A→2B→2C→・・・→2Iの順に設置箇所の特定が行われる。
【0064】
次にステップSP116において処理部31は、全灯具2A〜2Iの探索が完了したか否かを判定する。未探索の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP103以降の処理を繰り返す。ここで、探索除外灯具リスト(範囲外リスト及び特定完了リスト)にリストアップされている識別情報については、更新対象から除外される。一方、未探索の灯具2が存在しない場合(つまり全灯具2A〜2Iの探索が完了した場合)には、灯具特定処理を終了する。
【0065】
灯具特定処理が終了することにより、各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと設置箇所とがそれぞれ関連付けられる。主制御装置4は、この識別情報と設置箇所との関連付けに関する情報に基づき、灯具制御装置3A〜3Iによって所望の灯具2A〜2Iに対する調光制御を行う。
【0066】
なお、以上の説明では、3行×3列の9個の灯具2A〜2Iがグリッド状に設置された環境を想定して、灯具特定装置5によって各灯具2を特定する例について述べたが、この例には限定されない。受光感度の高い照度センサ5を用いることにより、より多数の灯具2が設置されたより広い環境においても、主制御装置4によって各灯具2の特定を行うことが可能である。
【0067】
<実施の形態2>
以下、上記実施の形態1との相違点を中心に、本発明の実施の形態2に係る照明システムについて説明する。
【0068】
図13は、主制御装置4の内部構成を簡略化して示すブロック図である。
図13の接続関係で示すように、主制御装置4は、CPU20、入力部21、通信部22、レジスタ24、記憶部23、出力部26、メモリ27、及び、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記憶部28を備えて構成されている。なお、記憶部28は記憶部23と共用してもよい。
【0069】
図14は、灯具探索が行われる状況を示す図である。上記実施の形態1と同様に、3個の発光部6X,6Y,6Zがそれぞれ照度センサ5A,5B,5Dの真下に配置されている。
【0070】
図15は、灯具探索において主制御装置4が実行する灯具特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0071】
上記実施の形態1と同様に、灯具特定処理を開始する前にルックアップテーブル30が予め作成されて、記憶部23に記憶される。
【0072】
また、オペレータは、主制御装置4の発光部6X〜6Zを、エリア1内の規定の箇所(この例では照度センサ5A,5B,5Dの真下)に配置する。そして、発光部6X〜6Zの配置箇所に関する情報を入力部21から入力する。
【0073】
ステップSP201において処理部31は、探索条件の設定を行う。具体的には、
図11に示したグリッド上に、発光部6X〜6Zの配置箇所を設定する。
【0074】
次にステップSP202において処理部31は、探索除外灯具リストを初期化する。
【0075】
次にステップSP203において処理部31は、全灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させる。これにより、エリア1内で作業を行う作業者の照明が確保される。
【0076】
次にステップSP204において処理部31は、3個の発光部6X〜6Zに対して、互いに異なる周波数を設定する。一例として処理部31は、発光部6Xに対して基本周波数の1倍の周波数Fx(例えば100Hz)を設定し、発光部6Yに対して基本周波数の2倍の周波数Fy(例えば200Hz)を設定し、発光部6Zに対して基本周波数の3倍の周波数Fz(例えば300Hz)を設定する。
【0077】
次にステップSP205において処理部31は、全発光部6X〜6Zの輝度を、所定の上限輝度と下限輝度との間で、各発光部6X〜6Zに設定された周波数Fx〜Fzで同時に周期変化させる。処理部31は、輝度変動が正弦波となるように、各発光部6X〜6Zの輝度を周期変化させる。また、処理部31は、輝度変動の開始タイミングを制御することにより、全発光部6X〜6Zの輝度変動を同時に開始させる。本実施の形態の例では、輝度の変動量を大きくして灯具の特定精度を向上すべく、上限輝度を最高輝度に設定し、下限輝度を最低輝度(つまり消灯)に設定することにより、最高輝度での点灯と消灯とを周期的に繰り返す。例えば発光部6Xに関して、処理部31は、最高輝度での点灯と消灯とを周波数Fxで繰り返させる命令を制御部32に入力し、制御部32は、処理部31から入力された当該命令を、通信部22を介して発光部6Xに送信する。これにより、発光部6Xは、最高輝度での点灯と消灯とを周波数Fxで繰り返す。他の発光部6Y,6Zについても同様である。その結果、周波数Fx〜Fzでの輝度変動が全発光部6X〜6Zに関して同時に行われる。なお、高感度の照度センサ5を用いること等により微少な輝度変動量でも十分な灯具特定精度を確保できる場合には、上限輝度を最高輝度よりも低く設定し、あるいは下限輝度を最低輝度よりも高く設定してもよい。十分な灯具特定精度を確保できれば、発光部6の輝度変動量は人間が感知できないレベルであってもよい。
【0078】
次にステップSP206において照度センサ5A〜5Iは、全発光部6X〜6Zの輝度を周波数Fx〜Fzで同時に周期変化させた状況下で、各灯具2A〜2Iの設置箇所における照度を所定時間連続して検出する。この所定時間は、周波数Fx〜Fzの中の最低周波数に対応する最長周期以上の時間(望ましくは最長周期の数倍以上の時間)に設定されている。
図7,8を参照して、受光素子10から出力された電流値は、増幅回路11によって増幅され、ローパスフィルタ12によってノイズが除去された後、電流電圧変換回路13によって電圧値に変換される。電流電圧変換回路13から出力された電圧値は、ADコンバータ14によってディジタル値に変換された後、照度データとしてCPU15に入力される。CPU15は、入力された照度データを、通信部16を介して主制御装置4に送信する。
図13を参照して、CPU20は、灯具制御装置3から送信された照度データを、通信部22を介して受信する。処理部31は、受信した照度データをそれぞれ記憶部28に記憶する。記憶部28には、灯具制御装置3A〜3I毎(照度センサ5A〜5I毎)の照度データが蓄積される。
【0079】
次にステップSP207において処理部31は、ステップSP206で記憶部28に蓄積された照度データに対して、周知のフーリエ級数展開等の数学的手法を用いた周波数解析を行うことによって、周波数毎の照度の変化量を表すスペクトルを算出する。具体的に処理部31は、各照度センサ5A〜5Iで検出された照度の差分値(最高照度値と最低照度値との差分値)に対応するスペクトルを算出する。そして、周波数Fx〜Fz毎の照度の差分値をレジスタ24に保存する。なお、本実施の形態では全発光部6X〜6Zの輝度変動が同時に開始され、記憶部28への照度データの記録も全発光部6X〜6Zに関して同時に開始されるため、正弦波成分の振幅と余弦波成分の振幅との二乗平均として各周波数のスペクトルを算出するのではなく、正弦波成分の振幅をそのままスペクトルとして算出することができる。つまり、スペクトルを算出するための演算を簡略化することができる。
【0080】
次にステップSP208において処理部31は、周波数Fx〜Fz毎の照度の差分値と、ルックアップテーブル30とに基づいて、各発光部6X〜6Zの配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離を推定する。また、処理部31は、各発光部6X〜6Zと各灯具2A〜2Iとの水平面距離を、各発光部6X〜6Zの識別情報IDX〜IDZ及び各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと関連付けることによって、発光部−灯具間距離情報を作成し、その発光部−灯具間距離情報を記憶部23に保存する。なお、予めルックアップテーブル30を作成して記憶部23に記憶しておくのではなく、逐点法等によって照度の差分値から水平面距離を算出する演算を、ステップSP208で行ってもよい。
【0081】
次にステップSP209において処理部31は、発光部−灯具間距離情報に識別情報が記述されている全ての灯具2A〜2Iの中から、設置箇所の特定が完了していない任意の一つの灯具(以下の例では灯具2Aとする)を選択する。
【0082】
次にステップSP210において処理部31は、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離に基づいて、当該水平面距離が灯具2Aの設置箇所を特定できる範囲内であるか否かを判定する。灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離の少なくとも一つが所定の閾値よりも大きくなった場合には灯具特定の精度が低下するため、処理部31は、その場合には特定可能範囲外であるとして、灯具2Aの識別情報IDAを探索除外灯具リストに追加する(ステップSP212)。
【0083】
一方、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離がいずれも上記閾値未満である場合には、次にステップSP211において処理部31は、グリッド上の交点P1〜P9のうち灯具2Aに対応する交点を特定する。この例では、灯具2Aに対応する交点は交点P1であると特定される。
【0084】
次にステップSP212において処理部31は、特定が完了した灯具2Aの識別情報IDAを、探索除外灯具(特定完了リスト)に追加する。
【0085】
次にステップSP213において処理部31は、上記の発光部−灯具間距離情報に識別情報が記述されている全ての灯具2の中に未選択の灯具が存在するか否かを判定する。未選択の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP209以降の処理を繰り返す。
【0086】
次にステップSP214において処理部31は、全灯具2A〜2Iの探索が完了したか否かを判定する。未探索の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP203以降の処理を繰り返す。
【0087】
<第1の変形例>
図16は、グリッドデータの一例を示す図である。病院の待合室やオフィスの大会議室等のように、エリア1が広大でその中に多数の灯具2が設置されている環境では、照度センサ5の受光感度にも依存するが、一度の探索だけで全ての灯具2を特定するのは困難である。そこで、このような場合には、エリア1を複数のサブエリアR1〜R9に分割し、サブエリアR1〜R9毎に発光部6X〜6Zの配置箇所を移動させながら、順に探索を行うことができる。あるいは、各サブエリアR1〜R9に少なくとも三つの発光部6をそれぞれ配置することにより、全サブエリアR1〜R9に関して同時に探索を行うこともできる。発光部6X〜6Zの配置箇所を移動させながら順に探索を行う場合には、ある配置箇所での探索において範囲外リストに識別情報が追加された灯具に関しては、次の配置箇所での探索の開始時に範囲外リストが初期化されることにより、当該次の配置箇所での探索対象に含められる。一方、ある配置箇所での探索において特定完了リストに識別情報が追加された灯具に関しては、それ以降の配置箇所での探索の開始時には特定完了リストを初期化しないことにより、それ以降の配置箇所での探索対象から除外される。探索が進むにつれて、特定が完了した灯具の識別情報が特定完了リストに徐々に蓄積されていく。そのため、後の探索ほど探索対象の灯具数が減少し、その結果、探索所要時間が短縮される。
【0088】
<第2の変形例>
図17は、主制御装置4の内部構成を簡略化して示すブロック図である。
図17の接続関係で示すように、主制御装置4は、CPU20、入力部21、通信部22、レジスタ24,25、記憶部23、出力部26、メモリ27、及び、半導体メモリ又は磁気ディスク等の記憶部28,29を備えて構成されている。なお、記憶部28,29は記憶部23と共用してもよい。
【0089】
図18は、上記実施の形態2の変形例に関して、灯具探索において主制御装置4が実行する灯具特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
上記と同様に、灯具特定処理を開始する前にルックアップテーブル30が予め作成されて、記憶部23に記憶される。
【0091】
また、オペレータは、主制御装置4の発光部6X〜6Zを、エリア1内の規定の箇所(この例では照度センサ5A,5B,5Dの真下)に配置する。そして、発光部6X〜6Zの配置箇所に関する情報を入力部21から入力する。
【0092】
ステップSP301において処理部31は、探索条件の設定を行う。具体的には、
図11に示したグリッド上に、発光部6X〜6Zの配置箇所を設定する。
【0093】
次にステップSP302において処理部31は、探索除外灯具リストを初期化する。
【0094】
次にステップSP303において処理部31は、全灯具2A〜2Iを一定輝度で点灯させる。これにより、エリア1内で作業を行う作業者の照明が確保される。
【0095】
次にステップSP304において照度センサ5A〜5Iは、各灯具2A〜2Iの設置箇所における照度を所定時間連続して検出する。処理部31は、各照度センサ5A〜5Iによって検出された照度データを灯具制御装置3A〜3Iから受信し、受信した照度データを記憶部28に記憶する。記憶部28には、灯具制御装置3A〜3I毎(照度センサ5A〜5I毎)の照度データが蓄積される。
【0096】
次にステップSP305において処理部31は、3個の発光部6X〜6Zに対して、互いに異なる周波数Fx〜Fzを設定する。
【0097】
次にステップSP306において処理部31は、全発光部6X〜6Zの輝度を、所定の上限輝度(この例では最高輝度)と所定の下限輝度(この例では最低輝度)との間で、各発光部6X〜6Zに設定された周波数Fx〜Fzで同時に周期変化させる。
【0098】
次にステップSP307において照度センサ5A〜5Iは、全発光部6X〜6Zの輝度を周波数Fx〜Fzで同時に周期変化させた状況下で、各灯具2A〜2Iの設置箇所における照度を所定時間連続して検出する。処理部31は、各照度センサ5A〜5Iによって検出された照度データを灯具制御装置3A〜3Iから受信し、受信した照度データを記憶部29に記憶する。記憶部29には、灯具制御装置3A〜3I毎(照度センサ5A〜5I毎)の照度データが蓄積される。
【0099】
次にステップSP308において処理部31は、記憶部28,29に蓄積されている照度データに対して周波数解析を行うことによってスペクトルを算出する。具体的に処理部31は、ステップSP304で記憶部28に蓄積された照度データに基づいて周波数Fx〜Fz毎の第1の照度差分値を算出し、その第1の照度差分値をレジスタ24に保存する。また、ステップSP307で記憶部29に蓄積された照度データに基づいて周波数Fx〜Fz毎の第2の照度差分値を算出し、その第2の照度差分値をレジスタ25に保存する。そして、周波数Fx〜Fz毎に第2の照度差分値から第1の照度差分値を減算することにより、周波数Fx〜Fz毎の照度差分値を算出する。
【0100】
次にステップSP309において処理部31は、周波数Fx〜Fz毎の照度差分値と、ルックアップテーブル30とに基づいて、各発光部6X〜6Zの配置箇所と各灯具2A〜2Iの設置箇所との間の水平面距離を推定する。また、処理部31は、各発光部6X〜6Zと各灯具2A〜2Iとの水平面距離を、各発光部6X〜6Zの識別情報IDX〜IDZ及び各灯具2A〜2Iの識別情報IDA〜IDIと関連付けることによって、発光部−灯具間距離情報を作成し、その発光部−灯具間距離情報を記憶部23に保存する。
【0101】
次にステップSP310において処理部31は、発光部−灯具間距離情報に識別情報が記述されている全ての灯具2A〜2Iの中から、設置箇所の特定が完了していない任意の一つの灯具(以下の例では灯具2Aとする)を選択する。
【0102】
次にステップSP311において処理部31は、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離に基づいて、当該水平面距離が灯具2Aの設置箇所を特定できる範囲内であるか否かを判定する。灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離の少なくとも一つが所定の閾値よりも大きくなった場合には、特定可能範囲外であるとして、灯具2Aの識別情報IDAを探索除外灯具リストに追加する(ステップSP313)。
【0103】
一方、発光部−灯具間距離情報に記述されている灯具2Aと各発光部6X〜6Zとの水平面距離がいずれも上記閾値未満である場合には、次にステップSP312において処理部31は、グリッド上の交点P1〜P9のうち灯具2Aに対応する交点を特定する。この例では、灯具2Aに対応する交点は交点P1であると特定される。
【0104】
次にステップSP313において処理部31は、特定が完了した灯具2Aの識別情報IDAを、探索除外灯具(特定完了リスト)に追加する。
【0105】
次にステップSP314において処理部31は、上記の発光部−灯具間距離情報に識別情報が記述されている全ての灯具2の中に未選択の灯具が存在するか否かを判定する。未選択の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP310以降の処理を繰り返す。
【0106】
次にステップSP315において処理部31は、全灯具2A〜2Iの探索が完了したか否かを判定する。未探索の灯具2が存在する場合には、識別情報を更新した後、ステップSP303以降の処理を繰り返す。
【0107】
<第3の変形例>
上記実施の形態2では、処理部31は、ステップSP205で全発光部6X〜6Zの輝度を周波数Fx〜Fzで同時に周期変化させることにより、全灯具2A〜2Iの位置特定を一括して行った。これに代えて、処理部31は、各発光部6X〜6Zの輝度を周波数Fx〜Fzで順次に周期変化させてもよい。例えば、まず発光部6Xの輝度を周波数Fxで周期変化させることによって発光部6Xと各灯具2A〜2Iとの距離情報を取得し、次に発光部6Yの輝度を周波数Fyで周期変化させることによって発光部6Yと各灯具2A〜2Iとの距離情報を取得し、次に発光部6Zの輝度を周波数Fzで周期変化させることによって発光部6Zと各灯具2A〜2Iとの距離情報を取得する。そして、これらの距離情報に基づいて、上記と同様に灯具2A〜2Iの位置特定を行う。
【0108】
<第4の変形例>
上記実施の形態1では3個の発光部6X〜6Zをエリア1内の3箇所に同時に配置したが、1個の発光部6Xをエリア1内の3箇所に順に配置してもよい。まず第1の箇所に発光部6Xを配置した状態で一回目の測定を行い、当該一回目の測定に関して、照度の検出・保存(ステップSP107)、照度の変化量の算出(ステップSP108)、及び距離推定(ステップSP109)を行う。次に発光部6Xを移動して第2の箇所に発光部6Xを配置した状態で二回目の測定を行い、当該二回目の測定に関して同様の処理(ステップSP107〜SP109)を行う。次に発光部6Xを移動して第3の箇所に発光部6Xを配置した状態で三回目の測定を行い、当該三回目の測定に関して同様の処理(ステップSP107〜SP109)を行う。その後、ステップSP111以降の灯具特定処理を実行する。
【0109】
また、上記実施の形態1,2では3個の発光部6X〜6Zを用いたが、4個以上の発光部6を用いてもよい。
【0110】
<まとめ>
上記実施の形態1,2に係る主制御装置4(灯具特定装置)によれば、処理部31は、制御部32によって発光部6の輝度を変化させ、それによって複数の灯具2の各照度センサ5が検出した照度値と、照度及び距離の相関情報とに基づいて、各灯具2の設置箇所を特定する。これにより、灯具2の識別情報と設置箇所とを、人手によらずに簡易に、高速に、かつ確実に関連付けることが可能となる。また、調光制御のために各灯具2に備えられている照度センサ5を用いて照度値を検出するため、システムの導入コストの増加を最小限に抑えることができる。
【0111】
また、上記実施の形態1,2に係る主制御装置4によれば、発光部6は、同一直線上に並ばない三つの発光部6X〜6Zを含む。従って、複数の灯具2が行列状に設置されている状況であっても、各灯具2から三つの発光部6X〜6Zの各々までの三つの距離情報を用いることにより、各灯具2の設置箇所を正確に特定することが可能となる。
【0112】
また、上記実施の形態1に係る主制御装置4によれば、制御部32が三つの発光部6X〜6Zの輝度を順に変化させることにより、処理部31は各発光部6から各灯具2までの距離情報を順に取得する。従って、三つの発光部6X〜6Zの輝度を互いに異なる周波数で変化させる制御や、所定時間蓄積した照度データを周波数解析する処理が不要となるため、簡易な制御及び処理によって各灯具2の設置箇所を特定することが可能となる。
【0113】
また、上記実施の形態1に係る主制御装置4によれば、発光部6の輝度を変化させる前に各照度センサ5によって検出された照度に関する第1の照度データは、第1のレジスタ24に保持され、発光部6の輝度を変化させた後に各照度センサ5によって検出された照度に関する第2の照度データは、第2のレジスタ25に保持される。そして、処理部31は、第1のレジスタ24が保持している第1の照度データと、第2のレジスタ25が保持している第2の照度データとに基づいて、照度の変化量を算出する。これにより、発光部6の輝度を変化させる前後における照度の変化量を、簡易かつ正確に算出することが可能となる。また、発光部6の輝度を変化させる前後で検出された照度の変化量に基づいて灯具2の特定が行われるため、外光の影響を受けることなく各灯具2の設置箇所を正確に特定することが可能となる。
【0114】
また、上記実施の形態2に係る主制御装置4によれば、処理部31は、制御部32によって三つの発光部6X〜6Zの輝度を互いに異なる周波数Fx〜Fzで同時に変化させることにより、各照度センサ5が検出する照度データを所定時間蓄積する。また、当該照度データを周波数解析することによって周波数毎の照度値を算出し、当該周波数毎の照度値に基づいて各発光部6から各灯具2までの距離情報を取得する。そして、各灯具2から三つの発光部6X〜6Zの各々までの三つの距離情報に基づいて、各灯具2の設置箇所を特定する。従って、一度の探索処理によって複数の灯具2を一括して特定できるため、複数の灯具2を順次に探索する場合と比較して処理の高速化を図ることが可能となる。また、三つの発光部6X〜6Zの輝度を互いに異なる周波数で変化させるため、周波数解析によって各発光部6を明確に区別することができ、その結果、各発光部6から各灯具2までの距離を正確に求めることが可能となる。さらに、各発光部6の輝度を固有の周波数で変化させることから外光との区別も容易であるため、外光の影響を受けることなく正確に灯具2を特定することが可能となる。
【0115】
また、上記第2の変形例に係る主制御装置4によれば、発光部6の輝度を変化させる前に各照度センサ5によって検出された照度に関する第1の照度データは、第1の記憶部28に蓄積され、発光部6の輝度を変化させた後に各照度センサ5によって検出された照度に関する第2の照度データは、第2の記憶部29に蓄積される。そして、処理部31は、第1の記憶部28が記憶している第1の照度データと、第2の記憶部29が記憶している第2の照度データとに基づいて、周波数毎の照度値を算出する。これにより、発光部6の周波数と同一の又は近似する周波数で変動する外光の影響を除去することができるため、周波数毎の照度値を簡易かつ正確に算出することが可能となる。
【0116】
また、上記実施の形態1,2に係る主制御装置4によれば、補正部33は、処理部31による灯具特定の結果に基づいて、記憶部23(第3の記憶部)に記憶されているルックアップテーブル30(相関情報)を補正する。従って、予め準備した相関情報に誤差が生じていた場合であっても、実測結果に基づいて相関情報を補正することにより、それ以降は灯具2を正確に特定することが可能となる。
【0117】
また、上記実施の形態1,2に係る主制御装置4によれば、複数の探索対象灯具を順に更新することにより、複数の灯具2が順に特定される。これにより、エリア1内に設置されている複数の灯具の全てを特定することが可能となる。
【0118】
また、上記実施の形態1,2に係る主制御装置4によれば、特定が完了した灯具又は特定に失敗した灯具2は、更新対象から除外される。特定が完了した灯具2を更新対象から除外することにより、特定済みの灯具2に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。また、特定に失敗した灯具2を更新対象から除外することにより、特定できない灯具2に対して再度の特定処理が実行される事態を回避できる。特定に失敗した灯具が存在する場合には、主制御装置4の配置箇所を変えて特定処理をやり直すことにより、当該灯具2を特定することができる。