(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記造形材は紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化インクであり、着滴した当該造形材に対して紫外線を照射する硬化部を設けることを特徴とした請求項1又は2に記載の三次元造形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来は、造形対象物の成形完了後に、硬化させた支持材を水等の特定の液体に浸漬させることで除去している。これが為、従来の三次元造形装置は、その様な液体によって溶解しない造形材と、その様な液体によって溶解する支持材と、を用意しなければならず、造形材(つまり造形対象物の材料)の選択の幅を狭め、延いては造形対象物の硬度の選択の幅をも狭めてしまう虞がある。よって、従来の三次元造形装置は、所望の用途の造形対象物を成形できない可能性がある。一方、その為に支持体を造形対象物と同じ造形材で成形した場合には、例えば、その造形対象物と支持体とが固着し、これらを分離させることが難しくなってしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、様々な用途に対応した造形対象物の成形が可能な三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、造形対象物と支持体とを容易に分離させることが可能な三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明に係る三次元造形装置は、造形材をステージの作業面に向けて吐出する造形材吐出部と、三次元の造形対象物と当該造形対象物を支持する支持体との間の分離を容易にする為の離型剤を前記作業面に向けて吐出する離型剤吐出部と、前記造形材吐出部と前記離型剤吐出部を少なくとも前記作業面に対して平行に走査する駆動部と、前記造形対象物の三次元データを複数の層に分割し、該造形対象物の層毎の形状データに基づいて前記造形材吐出部と前記離型剤吐出部と前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記形状データに基づいて、前記造形対象物を形作る為の前記造形材を着滴させる造形材着滴領域と、前記支持体を形作る為の前記造形材を支持材として着滴させる支持材着滴領域と、前記造形材着滴領域と当該支持材着滴領域との間に前記離型剤を着滴させる離型剤着滴領域と、を層毎に演算し、且つ、前記駆動部を制御して、前記造形材着滴領域又は前記支持材着滴領域に向けた前記造形材の吐出位置へと前記造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させると共に、前記離型剤着滴領域に向けた前記離型剤の吐出位置へと前記離型剤吐出部が到達した際に当該離型剤を吐出させ、該造形材と離型剤の吐出を最下層から最上層まで層毎に実行することを特徴としている。
【0007】
この三次元造形装置に依れば、造形対象物と支持体とに夫々同じ材料(造形材)を使用することができる。また、この三次元造形装置に依れば、造形対象物と支持体の間に離型材を介在させるので、造形対象物を支持体から容易に取り外すことができる。また、この三次元造形装置に依れば、その離型剤を各層毎に造形材と同じ工程で吐出させるので、その離型剤の積層に伴う離型部を容易且つ安価に作り出すことができる。
【0008】
ここで、性質の異なる前記造形材を前記作業面に向けて個別に吐出する複数の前記造形材吐出部を設け、前記制御部は、前記造形対象物の三次元データと当該造形対象物の部位毎の性質データとに基づいて、該造形対象物を形作る為の複数種類の前記造形材を各々個別に着滴させる当該造形材毎の前記造形材着滴領域を層毎に演算し、且つ、前記駆動部を制御して、該造形材毎の前記造形材着滴領域の内の少なくとも1つに向けた前記造形材の吐出位置へと当該造形材の前記造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させ、前記支持材着滴領域に向けた前記造形材の吐出位置へと当該造形材の前記造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させ、前記離型剤着滴領域に向けた前記離型剤の吐出位置へと前記離型剤吐出部が到達した際に当該離型剤を吐出させ、該造形材と離型剤の吐出を最下層から最上層まで層毎に実行することが望ましい。
【0009】
この三次元造形装置に依れば、単一の硬度からなる三次元の造形対象物と同等の生産性で、硬度の異なる複数の部位を有する三次元の造形対象物を形作ることができる。
【0010】
また、前記造形材は紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化インクであり、着滴した当該造形材に対して紫外線を照射する硬化部を設けることが望ましい。
【0011】
この三次元造形装置に依れば、造形材を紫外線で素早く硬化させることができるので、造形対象物の成形時間の短縮化が図れる。
【0012】
また、前記制御部は、前記支持体の分割が可能になる前記支持材着滴領域を層毎に演算すると共に、該分割した支持体の構成部材の間に前記離型剤を介在させるべく、隣設する当該構成部材の間を各層における前記離型剤着滴領域とすることが望ましい。
【0013】
この三次元造形装置に依れば、造形対象物と支持体の分離が更に容易になる。
【0014】
また、前記造形材吐出部と前記離型剤吐出部とを備えるインクジェット式のヘッドを設けることが望ましい。
【0015】
この三次元造形装置に依れば、造形対象物の成形が安価になる。
【0016】
更に、上記目的を達成する為、本発明に係る三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物の三次元データを複数の層に分割し、該造形対象物の層毎の形状データを演算する工程と、前記形状データに基づいて、前記造形対象物を形作る為の造形材を着滴させる造形材着滴領域と、前記造形対象物を支持する支持体を形作る為の前記造形材を支持材として着滴させる支持材着滴領域と、前記造形材着滴領域と当該支持材着滴領域との間に前記造形対象物と前記支持体との間の分離を容易にする為の離型剤を着滴させる離型剤着滴領域と、を層毎に演算する工程と、を有し、前記造形材をステージの作業面に向けて吐出する造形材吐出部と前記離型剤を当該作業面に向けて吐出する離型剤吐出部とを当該作業面に対して平行に走査して、前記造形材着滴領域又は前記支持材着滴領域に向けた前記造形材の吐出位置へと前記造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出し、且つ、前記離型剤着滴領域に向けた前記離型剤の吐出位置へと前記離型剤吐出部が到達した際に当該離型剤を吐出する工程を最下層から最上層まで層毎に実施することを特徴としている。
【0017】
この三次元造形対象物の成形方法に依れば、造形対象物と支持体とに夫々同じ材料(造形材)を使用することができる。また、この三次元造形対象物の成形方法に依れば、造形対象物と支持体の間に離型材を介在させるので、造形対象物を支持体から容易に取り外すことができる。また、この三次元造形対象物の成形方法に依れば、その離型剤を各層毎に造形材と同じ工程で吐出させるので、その離型剤の積層に伴う離型部を容易且つ安価に作り出すことができる。
【0018】
ここで、性質の異なる前記造形材を前記作業面に向けて個別に吐出する複数の前記造形材吐出部を有する場合、前記造形材着滴領域の演算の際には、前記造形対象物の三次元データと当該造形対象物の部位毎の性質データとに基づいて、前記造形対象物を形作る為の複数種類の前記造形材を各々個別に着滴させる当該造形材毎の造形材着滴領域を層毎に演算し、前記造形材と前記離型剤の層毎の吐出の工程では、前記造形材吐出部と前記離型剤吐出部とを前記作業面に対して平行に走査して、前記造形材毎の前記造形材着滴領域の内の少なくとも1つに向けた前記造形材の吐出位置へと当該造形材の前記造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出し、前記支持材着滴領域に向けた前記造形材の吐出位置へと当該造形材の前記造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出し、前記離型剤着滴領域に向けた前記離型剤の吐出位置へと前記離型剤吐出部が到達した際に当該離型剤を吐出することが望ましい。
【0019】
この三次元造形対象物の成形方法に依れば、単一の硬度からなる三次元の造形対象物と同等の生産性で、硬度の異なる複数の部位を有する三次元の造形対象物を形作ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物と支持体の夫々の材料(造形材)に同じものを使用することができるので、その材料の選択の幅が広がる。従って、この三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法は、例えば造形対象物の硬度の選択の幅を拡げることができる。つまり、この三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法は、様々な用途に対応した造形対象物を成形することができる。
【0021】
また、この三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法では、造形対象物と支持体の間に離型部を介在させるので、造形対象物を支持体から容易に取り外すことができる。また、この三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法では、各層における造形材の吐出工程において離型剤も吐出しているので、その離型部を容易且つ安価に作り出すことができる。つまり、この三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物の生産性の低下や原価の高騰を抑えつつ、様々な用途に対応した造形対象物を成形することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0024】
この三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物の三次元データに基づいて当該造形対象物を上下方向に複数の層に分割し、その造形対象物の層毎の形状データに基づいて造形材を最下層から順に積層していくことで、その三次元データに合わせた造形対象物を形作るものである。その造形材とは、三次元の造形対象物を形作る為の材料であり、光の照射や加熱によって硬化する。
【0025】
三次元造形装置には、その各種動作を制御する制御部が設けられている。その制御部は、造形対象物の三次元データを上下方向に複数の層に分割し、その造形対象物の層毎の形状データを演算する。その夫々の形状データは、夫々の層における造形対象物を形作る為の造形材の着滴領域(以下、「造形材着滴領域」と云う。)となる。
【0026】
この三次元造形装置には、造形材をステージの作業面に向けて吐出する造形材吐出部と、その作業面に対して平行に造形材吐出部を走査する駆動部と、が設けられている。制御部は、その造形材吐出部と駆動部を制御し、造形材着滴領域に向けた造形材の吐出位置へと造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させる。この三次元造形装置は、その造形材着滴領域への造形材の吐出を最下層から最上層へと層毎に実施し、この造形材を積層していくことで、三次元の造形対象物を形作る。
【0027】
また、この三次元造形装置の制御部は、造形対象物の層毎の形状データに基づいて、この造形対象物を支持する支持体の層毎の形状データも演算する。その支持体は、造形対象物と同じ造形材を支持材として用いて成形する。従って、造形材吐出部は、造形対象物を形作る為の造形材を吐出すると共に、支持体を形作る為の造形材の吐出も行う。ここで演算される支持体の夫々の形状データは、夫々の層における支持材(支持体を形作る為の造形材)の着滴領域(以下、「支持材着滴領域」と云う。)となる。制御部は、造形材吐出部と駆動部を制御し、支持材着滴領域に向けた造形材の吐出位置へと造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させる。この三次元造形装置は、その支持材着滴領域への造形材の吐出を同一の層における造形材着滴領域への造形材の吐出工程と同一の工程で実施する。従って、この三次元造形装置は、その造形材着滴領域と支持材着滴領域への造形材の吐出を最下層から最上層へと層毎に実施し、夫々の造形材を積層していくことで、三次元の造形対象物と支持体を形作る。
【0028】
その着滴した造形材は、所定の条件下で硬化する。例えば、この三次元造形装置には、その造形材を硬化させることが可能な硬化部が設けられている。その硬化部は、その所定の条件に沿った硬化動作を行う。例えば、この硬化部は、光源であり、着滴した造形材に紫外線等の所定の光を照射することで、この造形材を硬化させる。
【0029】
ここで、支持体は、造形対象物の成形完了後に除去される。しかしながら、この支持体は、造形対象物と同じ材料(造形材)で出来ているので、従来の様に水等の液体を用いて溶解させることができない。そこで、この三次元造形装置は、造形対象物と支持体との間の分離を容易にする為に、その間に離型剤を介在させる。その離型剤は、造形材と同じ様に最下層から最上層へと積層していく。これが為、この三次元造形装置は、その離型剤をステージの作業面に向けて吐出する離型剤吐出部も備えている。
【0030】
三次元造形装置の制御部は、造形対象物の層毎の形状データに基づいて、離型剤の層毎の形状データも演算する。その演算に際しては、支持体の層毎の形状データも利用してよい。その夫々の離型剤の形状データは、夫々の層における離型剤の着滴領域(以下、「離型剤着滴領域」と云う。)となる。制御部は、離型剤吐出部と駆動部を制御し、離型剤着滴領域に向けた離型剤の吐出位置へと離型剤吐出部が到達した際に当該離型剤を吐出させる。この三次元造形装置は、その離型剤着滴領域への離型剤の吐出を同一の層における造形材着滴領域と支持材着滴領域への造形材の吐出工程と同一の工程で実施する。従って、この三次元造形装置は、その造形材着滴領域及び支持材着滴領域への造形材の吐出と離型剤着滴領域への離型剤の吐出とを最下層から最上層へと層毎に実施し、造形材と離型剤を積層していくことで、三次元の造形対象物と支持体を形作ると共に、この造形対象物と支持体との間に離型剤からなる離型部を介在させる。
【0031】
その離型剤としては、着滴した際に隣の造形材に混合されない又は混合されにくい性質のものを用いる。また、この離型剤には、造形対象物や支持体に固着しない性質のものを用いる。また、この離型剤は、硬化部によって硬化が促されるものであってもよく、硬化しないものであってもよい。前者の場合には、着滴した離型剤に紫外線等の所定の光を照射することで、この離型剤を硬化させる。
【0032】
この三次元造形装置は、1つの層における造形材と離型剤の吐出を全て終えた後、造形材吐出部とステージとの間、そして、離型剤吐出部とステージとの間を上下方向に広げ、次の層の造形材と離型剤の吐出を実施する。この三次元造形装置は、この吐出を最下層から最上層まで層毎に繰り返していくことで、間に離型部を介在させた三次元の造形対象物と支持体を形作る。
【0033】
また、少なくとも造形材が上述した硬化部による硬化対象になっている場合には、1つの層における着滴した造形材に対して少なくとも硬化動作を実行し、この層の全ての硬化対象に対する硬化動作を終えた後、造形材吐出部及び離型剤吐出部とステージとの間を上下方向に広げ、次の層の造形材と離型剤の吐出を実施する。この三次元造形装置は、硬化対象が完全に硬化してから(つまり完全硬化の状態で)次の層の吐出作業に移るものであってもよく、変形しない程度に硬化対象が硬化してから(つまり半硬化の状態で)次の層の吐出作業に移るものであってもよい。この三次元造形装置は、この吐出と硬化動作を最下層から最上層まで層毎に繰り返していくことで、間に離型部を介在させた三次元の造形対象物と支持体を形作る。
【0034】
[実施例]
本発明に係る三次元造形装置及び三次元造形対象物の成形方法の具体的な実施例を
図1から
図5に基づいて説明する。
【0035】
図1の符号1は、本実施例の三次元造形装置を示す。この三次元造形装置1は、ステージ100の作業面100aに造形材を積層していくことで、その作業面100aの上に三次元の造形対象物を形作っていく。
【0036】
この三次元造形装置1には、造形材と離型剤とを吐出するヘッド10が少なくとも1つ設けられている。この例示のヘッド10は、インクジェット式であり、造形対象物の成形を安価に行うことができる。具体的に、この例示のヘッド10は、上述した造形材吐出部11と離型剤吐出部12とを保持している。尚、この三次元造形装置1では、造形材吐出部11を保持するヘッドと、離型剤吐出部12を保持するヘッドと、に分けて各々少なくとも1つずつ配置してもよい。
【0037】
造形材吐出部11は、造形材を吐出する所謂ノズルであり、その吐出方向がステージ100の作業面100aに向くようにして配置する。この造形材吐出部11には、造形材貯留部(図示略)に溜められている造形材が供給される。その供給には、例えば電動ポンプの駆動力を利用する。また、その造形材貯留部は、所謂カートリッジ式のものであってもよい。この例示の造形材としては、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化インクを用いる。従って、この例示では、この造形材を紫外線で素早く硬化させることができるので、造形対象物の成形時間の短縮化が図れる。
【0038】
一方、離型剤吐出部12は、離型剤を吐出する所謂ノズルであり、その吐出方向がステージ100の作業面100aに向くようにして配置する。この離型剤吐出部12には、離型剤貯留部(図示略)に溜められている離型剤が供給される。その供給には、例えば電動ポンプの駆動力を利用する。また、その離型剤貯留部は、所謂カートリッジ式のものであってもよい。この例示の離型剤には、造形対象物と支持体への固着等を抑制でき、且つ、着滴した際に造形材との混合も抑制できるものを用いる。例えば、この離型剤には、着滴した造形材と混ざらない高粘度の液体を用いる。尚、この例示では硬化しない離型剤を用いるが、この離型剤には、その性質を保つことができるのであれば、紫外線硬化インク等の硬化型のものを用いてもよい。
【0039】
ヘッド10は、上述した駆動部21によって、造形材吐出部11と離型剤吐出部12と共に作業面100aに対して平行に走査される。この例示では、X方向とY方向とに(前後左右に)ヘッド10を走査することができる。尚、駆動部21は、例えば、電動機と歯車群とで構成される。
【0040】
上述した様に、この例示では、造形材に紫外線硬化インクを用いている。従って、この三次元造形装置1には、紫外線の照射が可能な上述した硬化部30を設ける。その硬化部30は、ステージ100の作業面100aの全体に紫外線を照射できるものであってもよく、単独で又はヘッド10と共に走査されながら、着滴した造形材に対して紫外線の照射を行うものであってもよい。この硬化部30を走査させる場合、その走査は、ヘッド10と同じ駆動部21で行ってもよく、専用の駆動部を用意して行ってもよい。この例示では、走査可能な硬化部30を例に挙げる。
【0041】
この三次元造形装置1には、そのヘッド10(造形材吐出部11及び離型剤吐出部12)と駆動部21と硬化部30の動作を各々制御する上述した制御部40が設けられている。
【0042】
制御部40は、その制御を造形対象物の三次元データに基づいて実行する。その三次元データは、ステージ100の作業面100aの上で成形される造形対象物の三次元形状を表したデータである。この三次元データは、作業者が入力装置51で入力したものを使用してもよく、データ取得部52の取得したものを使用してもよい。この場合の入力装置51とは、例えばCAD(Computer Aided Design)端末等のことである。一方、データ取得部52とは、例えばレーザ装置等の様な造形対象物又は当該造形対象物の元になる三次元造形対象物の三次元形状の解析装置のことである。このデータ取得部52は、ステージ100の作業面100a又は別のステージの作業面に載せられた造形対象物等の三次元形状を解析する。制御部40は、造形対象物の元になる三次元造形対象物が所望の大きさとは異なる場合、このデータ取得部52の取得した三次元データに基づいて、作業面100aに載せることのできる範囲内で大きさを変えた三次元データを作成できる。また、造形対象物の三次元データは、通信によって送られてきたものを使用してもよく、記録媒体に記憶されているものを読み込んで使用してもよい。
【0043】
制御部40は、作業面100aを基準にして造形対象物の三次元データを上下方向(Z方向)に複数の層に分割し、その造形対象物の層毎の形状データを演算する。そして、この制御部40は、その形状データに基づいて、上述した造形材着滴領域と支持材着滴領域と離型剤着滴領域とを層毎に演算する。
【0044】
ここで、この三次元造形装置1においては、成形完了後の造形対象物を作業面100aから取り外しやすくする為、最下層の造形材等の吐出を行う前に、作業面100aの上に離型剤を塗布しておく。その離型剤は、作業者が自らの手で作業面100aの上に塗りつけてもよい。しかし、その離型剤は、着滴した造形材と混ざらない高粘度の液体であることが望ましい。これが為、この離型剤には、上述した造形対象物と支持体との間に介在させる離型剤と同じものを用いることができる。従って、この三次元造形装置1の制御部40は、最下層の造形材等の吐出を行う前に、ヘッド10(離型剤吐出部12)と駆動部21とを制御し、離型剤吐出部12から作業面100aに向けて離型剤を吐出させることで、その作業面100aの上に離型剤からなる離型層110を形成する(
図2)。
【0045】
制御部40は、離型層110を作った後、上述した最下層における造形材着滴領域と支持材着滴領域と離型剤着滴領域の情報に基づいてヘッド10(造形材吐出部11及び離型剤吐出部12)と駆動部21を制御し、ヘッド10を走査しながら夫々の着滴領域に向けて造形材又は離型剤を吐出させる。その際には、造形材吐出部11が最下層の造形材着滴領域に向けた造形材の吐出位置へと到達したならば、この造形材吐出部11に造形材を吐出させることで、この造形材を造形材着滴領域に着滴させる。また、造形材吐出部11が最下層の支持材着滴領域に向けた造形材の吐出位置へと到達したときには、この造形材吐出部11に造形材を吐出させることで、この造形材を支持材着滴領域に着滴させる。また、離型剤吐出部12が最下層の離型剤着滴領域に向けた離型剤の吐出位置へと到達したときには、この離型剤吐出部12に離型剤を吐出させることで、この離型剤を離型剤着滴領域に着滴させる。
【0046】
この制御部40は、駆動部21と硬化部30を制御して、硬化部30を走査しながら着滴後の造形材に向けて紫外線を照射し、その造形材を完全硬化又は半硬化させる。これにより、作業面100aの上には、造形対象物と支持体の最下層が形成されると共に、これらの間に介在する離型剤の最下層も形成される(
図3)。その
図3は、後述する造形対象物121と支持体122と離型部123の最下層を表している。
【0047】
次に、制御部40は、駆動部22を制御して、ステージ100を下降させる。駆動部22は、例えば電動機と歯車群とで構成されたものであり、ステージ100を上下方向(Z方向)に移動させる。その後、制御部40は、次の層(最下層の1つ上の層)における造形材着滴領域と支持材着滴領域と離型剤着滴領域の情報に基づいて再びヘッド10(造形材吐出部11及び離型剤吐出部12)と駆動部21を制御し、ヘッド10を走査しながら夫々の着滴領域に向けて造形材又は離型剤を吐出させる。そして、この制御部40は、再び硬化部30を走査しながら、この層の造形材を紫外線で完全硬化又は半硬化させる。これにより、作業面100aの上では、先に形成された造形対象物と支持体の最下層の上に、造形対象物と支持体の次の層が形成されると共に、これらの間に介在する離型剤の次の層も形成される。
【0048】
制御部40は、その造形材と離型剤の吐出工程と、着滴した造形材の硬化工程と、ステージ100の下降工程と、を最上層が形成されるまで順次繰り返す。この三次元造形装置1においては、その繰り返しによって、作業面100aの上に三次元の造形対象物と支持体とが成形される。例えば、この三次元造形装置1は、
図4及び
図5に示す様な造形対象物121と支持体122とを作り出す。その造形対象物121は、作業面100aに平行な円形の断面を有するものであり、その断面の面積が最下層から最上層へと近づくにつれて大きくなる。支持体122は、その造形対象物121の側面を覆う環状の物体である。
【0049】
作業者は、その1つに纏まっている造形対象物121と支持体122を三次元造形装置1から取り出す。この取り出しの際には、作業面100aと造形対象物121及び支持体122との間に上述した離型層110が介在しているので、造形対象物121と支持体122の作業面100aからの取り外しが容易になっている。続いて、作業者は、支持体122から造形対象物121を取り外す。この取り外しの際には、造形対象物121と支持体122との間に離型部123が介在しているので、造形対象物121と支持体122の分離が容易になっている。
【0050】
以上示した様に、本実施例の三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物が作業面100a側から上に向かうにつれて断面積の大きくなる形状を有していたとしても、この造形対象物の成形が可能になる。
【0051】
また、この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物と支持体の夫々の材料(造形材)に同じものを使用することができるので、その材料の選択の幅が広がる。従って、この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、例えば造形対象物の硬度の選択の幅を拡げることができる。つまり、この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、様々な用途に対応した造形対象物を成形することができる。
【0052】
但し、造形対象物と支持体とを同じ材料で成形した場合には、その支持体のみを従来の様に溶解させることは難しいので、成形完了後に成形型の如き支持体から造形対象物を抜き出す必要がある。この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法では、造形対象物と支持体の間に離型部123を介在させるので、造形対象物を支持体から容易に取り外すことができる。また、この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法では、各層における造形材の吐出工程において離型剤も吐出しているので、その離型部123を容易且つ安価に作り出すことができる。つまり、この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、造形対象物の生産性の低下や原価の高騰を抑えつつ、様々な用途に対応した造形対象物を成形することができる。
【0053】
[変形例1]
前述した実施例で例に挙げた造形対象物121は、上下方向に押すことで支持体122から取り外すことができる。しかしながら、例えば、
図6及び
図7に示す様な作業面100aに平行な断面が上下方向の複数箇所で大小変化する瓢箪形状の如き造形対象物131の場合、この造形対象物131は、その側面を覆う支持体132から抜き出すことができない。そこで、本変形例の三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、支持体132を複数に分割できるように成形する。
【0054】
本変形例の三次元造形装置1は、実施例の三次元造形装置1と同一の構成のものであり、制御部40による制御を一部変更したものである。
【0055】
具体的に、本変形例の制御部40は、層毎の支持材着滴領域を演算する際に、支持体132から造形対象物131を容易に取り外すことができるよう当該支持体132の分割位置を演算する。尚、その分割位置は、作業者が入力装置51から指示するものであってもよい。制御部40は、その分割位置と造形対象物131の層毎の形状データとに基づいて、分割が可能な支持体132の層毎の形状データを演算する。例えば、支持体132を上下方向に沿って分割させる場合には、1つの層に少なくとも2つの構成部材(
図6及び
図7に示す支持体132の場合には6つの構成部材132a〜132f)の形状データが存在することになる。その夫々の構成部材の形状データは、支持材着滴領域となる。つまり、制御部40は、上記の分割位置と造形対象物131の層毎の形状データとに基づいて、成形完了後の支持体132の分割が可能になる支持材着滴領域を層毎に演算する。
【0056】
また、本変形例の三次元造形装置1においては、支持体132の分割が容易に行えるように、隣接する構成部材132a〜132fの間に離型剤を介在させる。これが為、本変形例の制御部40は、造形対象物131の層毎の形状データと支持体132の構成部材132a〜132fの層毎の形状データとに基づいて、その造形対象物131と構成部材132a〜132fとの間を実施例と同じ様に離型剤の層毎の形状データとして演算すると共に、隣接する構成部材132a〜132fの間についても離型剤の層毎の形状データとして演算する。その夫々の離型剤の形状データは、離型剤着滴領域となる。つまり、制御部40は、造形対象物131の層毎の形状データと支持体132の構成部材132a〜132fの層毎の形状データとに基づいて、実施例と同じ様に造形対象物131と支持体132(構成部材132a〜132f)との間を離型剤着滴領域として演算し、更に、分割した支持体132の構成部材132a〜132fの間に離型剤を介在させるべく、隣接する構成部材132a〜132fの間についても各層における離型剤着滴領域として演算する。
【0057】
本変形例の三次元造形装置1は、実施例における支持材着滴領域と離型剤着滴領域の演算に際して、その様な支持体132の分割構造に対応させた演算を行う。そして、この三次元造形装置1は、実施例と同じ様にして造形材と離型剤の積層を行い、三次元の造形対象物131と支持体132を形作る。
【0058】
その1つに纏まっている造形対象物131と支持体132においては、造形対象物131と構成部材132a〜132fとの間に離型剤からなる離型部133が介在しており、且つ、その隣り合う構成部材132a〜132fの間にも離型剤からなる離型部134が介在している。これが為、作業者は、三次元造形装置1から取り出した後、構成部材132a〜132f毎に支持体132を造形対象物131から容易に分離させることができる。
【0059】
この様に、本変形例の三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、実施例と同じ効果を得られるだけでなく、作業面100aに平行な断面が上下方向の複数箇所で大小変化する複雑な形状の造形対象物であっても、周囲を覆う支持体から造形対象物を容易に分離させることができる。従って、この三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、実施例と比較して生産性を向上させることができる。
【0060】
[変形例2]
前述した実施例と変形例1の三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法は、1種類の造形材で造形対象物を成形している。しかしながら、造形対象物には、部位毎に異なる性質を持たせたい場合、例えば部位毎に硬度を変化させたい場合がある。本変形例は、その点を考慮したものである。
【0061】
図8の符号2は、本変形例の三次元造形装置を示す。この三次元造形装置2は、実施例又は変形例1の三次元造形装置1において、インクジェット式のヘッド10をインクジェット式のヘッド60に置き換えると共に、制御部40による制御を一部変更したものである。この三次元造形装置2には、そのヘッド60が少なくとも1つ設けられている。ヘッド60は、駆動部21によって、作業面100aに対して平行に走査される。
【0062】
この三次元造形装置2は、性質の異なる造形材を作業面100aに向けて個別に吐出する複数の造形材吐出部(
図8では2つの第1及び第2の造形材吐出部61,62を例示)を設けたものである。本変形例のヘッド60は、第1及び第2の造形材吐出部61,62並びに離型剤吐出部63を保持している。離型剤吐出部63は、実施例又は変形例1の離型剤吐出部12と同じものである。
【0063】
第1造形材吐出部61は、第1造形材を吐出する所謂ノズルであり、その吐出方向がステージ100の作業面100aに向くようにして配置する。この第1造形材吐出部61への第1造形材の供給は、実施例又は変形例1の造形材吐出部11と同じである。また、第2造形材吐出部62は、第2造形材を吐出する所謂ノズルであり、その吐出方向がステージ100の作業面100aに向くようにして配置する。この第2造形材吐出部62への第2造形材の供給は、実施例又は変形例1の造形材吐出部11と同じである。
【0064】
第1造形材と第2造形材は、共に紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化インクを用いる。一方、この例示の第1造形材には、第2造形材よりも硬度の低いものを用いる。
【0065】
ここで、本変形例の三次元造形装置2においては、少なくとも1種類の造形材吐出部が保持されるヘッドを設ける。そして、離型剤吐出部については、そのヘッドに保持させてもよく、別のヘッドに保持させてもよい。つまり、この三次元造形装置2では、
図8のものを例に挙げるのであれば、上記の構成に替えて、第1造形材吐出部61を保持するヘッドと、第2造形材吐出部62を保持するヘッドと、離型剤吐出部63を保持するヘッドと、に分けて各々少なくとも1つずつ配置してもよい。また、この三次元造形装置2では、第1及び第2の造形材吐出部61,62を保持するヘッドと、離型剤吐出部63を保持するヘッドと、に分けて各々少なくとも1つずつ配置してもよい。また、この三次元造形装置2では、第1造形材吐出部61及び離型剤吐出部63を保持するヘッドと、第2造形材吐出部62及び離型剤吐出部63を保持するヘッドと、に分けて各々少なくとも1つずつ配置してもよい。
【0066】
図9には、この三次元造形装置2で成形される造形対象物141の具体例の1つを挙げている。その造形対象物141は、作業面100a側の円柱141aの上に円錐台141bを載せ置いた形状のものであり、その円錐台141bの硬度を円柱141aの硬度よりも高くしたものである。従って、この造形対象物141は、円柱141aが上記の第1造形材で成形され、円錐台141bが上記の第2造形材で成形される。尚、この造形対象物141は、説明の便宜上、上下方向で層の切り替わりと共に硬度を変化させている。しかしながら、本変形例の三次元造形装置2は、後述する様に、造形対象物のどの部位の性質が異なるものであろうとも(例えば、或る層においては単一の性質だけから成り、これとは別の層においては複数の性質が混在しているものであっても)、この造形対象物を成形することができる。
【0067】
次に、本変形例の制御部40について説明する。
【0068】
制御部40は、造形対象物の三次元データに加えて、この造形対象物の部位毎の性質データも取得する。例えば、
図9の具体例では、円柱141aと円錐台141bからなる造形対象物141の三次元データを取得し、且つ、その円柱141aの性質データと円錐台141bの性質データを取得する。その夫々の性質データは、円錐台141bの硬度が円柱141aの硬度よりも高いと云うデータである。具体的には、例えば、円柱141aと円錐台141bの夫々の材料(造形材)を指定するデータである。この性質データは、作業者が入力装置51から指示する。
【0069】
制御部40は、造形対象物の三次元データと部位毎の性質データとに基づいて、この造形対象物を形作る為の複数種類の造形材を各々個別に着滴させる当該造形材毎の造形材着滴領域を層毎に演算する。具体的に、この制御部40は、造形対象物の三次元データと部位毎の性質データとを取得した後、例えば、この三次元データに部位毎の性質データを割り当てて、その部位毎に識別可能な三次元データを作る。そして、この制御部40は、その三次元データを上下方向に複数の層に分割し、部位毎の識別が可能な造形対象物の層毎の形状データを演算する。例えば、
図9の具体例では、その夫々の形状データにおいて、円柱141aの存在している部分を第1造形材の着滴領域(以下、「第1造形材着滴領域」と云う。)として演算し、円錐台141bの存在している部分を第2造形材の着滴領域(以下、「第2造形材着滴領域」と云う。)として演算する。
【0070】
また、その造形材毎の造形材着滴領域の演算については、次の様にして行ってもよい。先ず、制御部40は、実施例又は変形例1と同じ様に、造形対象物の三次元データを上下方向に複数の層に分割し、この造形対象物の層毎の形状データを演算する。そして、この制御部40は、例えば、その形状データの位置情報と性質データを有する部位毎の位置情報とを照らし合わせ、夫々の形状データに部位毎の性質データを割り当てることで、部位毎の識別が可能な造形対象物の層毎の形状データを演算する。
【0071】
本変形例においては、支持材着滴領域と離型剤着滴領域の演算について、実施例又は変形例1と同じ様にして行う。
【0072】
制御部40は、夫々の着滴領域を演算した後、作業面100aの上に離型層110を形成し、最下層から最上層まで造形材と離型剤を積層させていく。この制御部40は、離型層110を作った後、最下層における造形材毎の造形材着滴領域の内の少なくとも1つに向けた造形材の吐出位置へと当該造形材の造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させ、最下層における支持材着滴領域に向けた造形材の吐出位置へと当該造形材の造形材吐出部が到達した際に当該造形材を吐出させ、最下層における離型剤着滴領域に向けた離型剤の吐出位置へと離型剤吐出部が到達した際に当該離型剤を吐出させる。
図9に具体例を挙げるならば、制御部40は、離型層110を作った後、最下層における第1及び第2の造形材着滴領域の内の少なくとも1つと支持材着滴領域と離型剤着滴領域の情報に基づいてヘッド60(第1造形材吐出部61,第2造形材吐出部62及び離型剤吐出部63)と駆動部21を制御し、ヘッド60を走査しながら夫々の着滴領域に向けて造形材又は離型剤を吐出させる。その際には、最下層における第1造形材着滴領域に向けた第1造形材の吐出位置へと当該第1造形材の第1造形材吐出部61が到達したならば、その第1造形材吐出部61から第1造形材を吐出させ、この第1造形材を第1造形材着滴領域に着滴させる。
【0073】
尚、支持材着滴領域と離型剤着滴領域に対しては、夫々の層において、実施例又は変形例1と同じ様にして造形材と離型剤とが吐出される。ここで、その支持材着滴領域に着滴させる造形材は、第1造形材であってもよく、第2造形材であってもよい。何れの造形材を支持材として利用するかについては、例えば、作業者が入力装置51から指定をすればよい。
【0074】
制御部40は、最下層の造形材が着滴した後、駆動部21と硬化部30を制御して、硬化部30を走査しながら着滴後の造形材に向けて紫外線を照射し、その造形材を完全硬化又は半硬化させる。
図9の具体例では、着滴した第1造形材が紫外線によって完全硬化又は半硬化する。これにより、作業面100aの上には、造形対象物と支持体の最下層が形成されると共に、これらの間に介在する離型剤の最下層も形成される。
【0075】
次に、制御部40は、駆動部22によってステージ100を下降させ、次の層(最下層の1つ上の層)における造形材毎の造形材着滴領域の内の少なくとも1つと支持材着滴領域と離型剤着滴領域の情報に基づいて再びヘッド60と駆動部21を制御し、ヘッド60を走査しながら夫々の着滴領域に向けて、これに該当する造形材又は離型剤を吐出させる。そして、この制御部40は、再び硬化部30を走査しながら、この層の造形材を紫外線で完全硬化又は半硬化させる。これにより、作業面100aの上では、先に形成された造形対象物と支持体の最下層の上に、造形対象物と支持体の次の層が形成されると共に、これらの間に介在する離型剤の次の層も形成される。
図9の具体例では、未だ第2造形材着滴領域が現れないので、第1造形材による造形対象物の次の層が形成される。
【0076】
制御部40は、その造形材と離型剤の吐出工程と、着滴した造形材の硬化工程と、ステージ100の下降工程と、を最上層が形成されるまで順次繰り返す。
図9の具体例では、その過程において或る層まで達すると、第1造形材着滴領域が無くなって第2造形材着滴領域が現れる。これが為、その際には、第2造形材吐出部62が第2造形材着滴領域に向けた第2造形材の吐出位置へと到達したならば、この第2造形材吐出部62に第2造形材を吐出させることで、この第2造形材を第2造形材着滴領域に着滴させる。
【0077】
この三次元造形装置2においては、その夫々の工程の繰り返しによって、作業面100aの上に、硬度の異なる複数の部位を有する三次元の造形対象物が支持体と共に成形される。尚、
図9の具体例では、造形対象物141と共に、この造形対象物141を側面から覆う支持体142と、その造形対象物141と支持体142との間の離型部143と、が形作られる。
【0078】
この様に、本変形例の三次元造形装置2及び三次元造形対象物の成形方法は、実施例又は変形例1の三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法に対して、使用する造形材の種類に応じた数の造形材吐出部を設けると共に、制御部40の制御形態を変更するだけで、単一の硬度からなる実施例における三次元の造形対象物と同等の生産性で、硬度の異なる複数の部位を有する三次元の造形対象物を形作ることができる。従って、この三次元造形装置2及び三次元造形対象物の成形方法は、実施例又は変形例1の三次元造形装置1及び三次元造形対象物の成形方法と同じ効果を得られるだけでなく、硬度の異なる複数の部位を有する三次元の造形対象物について、原価の大幅な高騰を抑えつつ成形することができる。