(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるモータの構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。なお
図2では、モータに取り付けられた外部機器のセット側取付板200をあわせて示している。
【0025】
図1および
図2を参照して、本実施の形態のモータは、ロータがステータの内径側に設けられたインナーロータ型モータであり、外部機器(セット)に対して取り付けられた場合に、外部機器を駆動するものである。モータは、ロータ10と、ステータ20と、軸受ホルダ(軸受保持部の一例)31と、軸受32(第1の軸受の一例)および33(第2の軸受の一例)と、カバー41と、ハウジング42と、取付板43と、止めリング44と、予圧バネ45と、回路基板46とを備えている。
【0026】
ロータ10は、シャフト11(回転軸の一例)と、ロータヨーク12と、マグネット13とを含んでいる。
【0027】
シャフト11は、ロータ10の回転の中心である回転軸Rを含んでおり、
図2中横方向に延在している。シャフト11における
図2中左側(左方向)が出力軸側(出力軸方向)となっており、回転軸Rに沿った
図2中右側(右方向)が反出力軸側(反出力軸方向)となっている。
【0028】
ロータヨーク12はシャフト11に固定されている。ロータヨーク12は、ロータヨーク円筒部12aと、ロータヨーク固定部12bとを含んでいる。ロータヨーク円筒部12aはシャフト11と間隔をおいて、回転軸R方向に延在している。ロータヨーク固定部12bは、ロータヨーク円筒部12aの反出力軸側端部において内径方向に延在している。ロータヨーク固定部12bは、ロータヨーク円筒部12aをシャフト11に固定している。
【0029】
マグネット13は円筒形状を有しており、ロータヨーク12の外径面におけるステータ20と対向する位置に固定されている。マグネット13の外周面は着磁されている。マグネット13の外周面には、周方向に沿ってN極とS極とが交互に形成されている。
【0030】
ステータ20は、ステータコア21と、励磁コイル22(コイルの一例)と、インシュレータ23とを含んでいる。
【0031】
ステータコア21は、環状のバックヨーク21aと、複数のティース21bとを含んでいる。複数のティース21bの各々は、バックヨーク21aの周方向に沿って等間隔で設けられており、バックヨーク21aの内径面から内径方向に突出している。
【0032】
励磁コイル22は、インシュレータ23を隔てて複数のティース21bの各々に巻き付けられている。
【0033】
インシュレータ23は、ステータコア21と励磁コイル22とを絶縁している。
【0034】
カバー41は、カバー円筒部41aと、カバー端部41bと、挿入孔41cとを含んでいる。カバー円筒部41aは、回転軸R方向に延在している。カバー端部41bは、カバー円筒部41aの反出力軸側端部において内径方向に延在している。挿入孔41cは、カバー端部41bの中心部に形成されている。
【0035】
ハウジング42は、ハウジング円筒部42a(円筒部分の一例)と、ハウジング延在部42b(延在部分の一例)と、固定孔42cとを含んでいる。ハウジング円筒部42aは、回転軸R方向に延在しており、ステータ20の外径側に設けられている。ハウジング円筒部42aの内径面には、ステータコア21のバックヨーク21aが固定されている。ハウジング延在部42bは、ハウジング円筒部42aの出力軸側端部において、ハウジング円筒部42aから内径方向に延在している。固定孔42cは、ハウジング延在部42bの中心部に形成されている。
【0036】
取付板43は、板部43aと、固定孔43bとを含んでいる。板部43aは、円板状を有している。固定孔43bは、板部43aの中心部に形成されている。
【0037】
止めリング44は、軸受32よりも出力軸側の位置において、シャフト11に固定されている。止めリング44は、軸受32および33に予圧を与える予圧バネ45の位置決めを行う。
【0038】
予圧バネ45は、止めリング44と軸受32との間に配置されており、軸受32を反出力軸方向に付勢している。予圧バネ45は、たとえば板バネよりなっている。
【0039】
回路基板46は、ステータ20の反出力軸側端部に取り付けられている。回路基板46は、ロータ10の回転を制御するための回路が形成されている。
【0040】
軸受ホルダ31は、軸受32および33の外径部分を保持している。軸受32および33は、軸受ホルダ31に圧入固定されている。このように、1つの軸受ホルダ31に対して2つの軸受32および33を収納することにより、リアハウジングとフロントハウジングとに別個に軸受を収納する一般的な構造と比べて、2つの軸受の同軸度(同芯度)を容易に向上することができる。その結果、ステータ21の内径と、軸受32および33との同軸度が向上し、ロータ10の振動による騒音を低減することができる。加えて、モータの組立て作業が容易になり、コストを低減することができる。
【0041】
軸受32および33は、回転軸Rに沿った方向に並べて配置されており、軸受32は軸受33よりも出力軸側に配置されている。軸受32および33の各々は、ステータ20に対してシャフト11を回転可能に支持し、シャフト11との間で玉軸受を構成する。軸受32および33は玉軸受である場合の他、たとえば滑り軸受などであってもよい。
【0042】
図3は、本発明の第1の実施の形態における軸受ホルダ31の構成を示す拡大断面図である。(a)は、軸受ホルダ31と軸受32および33との関係を示す断面図である。(b)は、
図2のA部付近の拡大断面図である。
【0043】
図3を参照して、軸受ホルダ31は、ステータ20、ハウジング42、および取付板43の内径側の位置に設けられている。軸受ホルダ31は、ホルダ本体101と、反出力軸方向延在部102と、挿入孔103とを含んでいる。
【0044】
ホルダ本体101は、反出力軸方向延在部102の外径よりも大きな外径を有している。反出力軸方向延在部102は、ホルダ本体101の反出力軸側端部から反出力軸方向に延在している。挿入孔103は、ホルダ本体101および反出力軸方向延在部102の各々の中心部に形成されている。挿入孔103には軸受32および33が圧入されている。
【0045】
反出力軸方向延在部102は、径方向においてシャフト11とロータヨーク12との間に延在している。これにより、ロータヨーク12の内径側の空間に軸受ホルダ31の一部が非接触で収容され、ロータヨーク12と軸受ホルダ31とが径方向で重なるので、モータの長さ(
図3中横方向の長さ)を小さくすることができ、モータの小型化を図ることができる。
【0046】
ホルダ本体101は、出力軸方向突出部101aと、外径面101bと、外径面101cと、外径面101eとを含んでいる。
【0047】
出力軸方向突出部101a(回転軸方向突出部の一例)は、ハウジング42および取付板43から出力軸方向に突出している。出力軸方向突出部101aは、モータを外部機器のセット側取付板200(
図2)に対して取り付ける際のインローを構成する。
【0048】
外径面101bは、ホルダ本体101の出力軸側端部に位置する外径面である。外径面101bは、間隔を空けて固定孔42cおよび43bの内径面と対向している。なお、外径面101bは、固定孔42cおよび43bの内径面と接触していてもよい。この場合には、軸受ホルダ31は、ハウジング42(ハウジング延在部42b)および取付板43の各々の内径面に固定される。
【0049】
外径面101cは、外径面101bの反出力軸側に位置する外径面であり、外径面101bおよび101eの各々の直径よりも大きい直径を有している。軸受ホルダ31における外径面101cを構成する部分104(外径方向突出部の一例)は、ホルダ本体101を構成する他の部分よりも外径方向に突出している。部分104は、回転軸R方向においてステータ20(ステータコア21)とハウジング42との間に挟まれている。これにより、軸受ホルダ31は回転軸R方向への移動が抑制され、軸受32および33を安定的に保持する。
【0050】
外径面101cは、間隔を空けてインシュレータ23と対向している。なお、外径面101cはインシュレータ23と接触していてもよい。
【0051】
外径面101eは、外径面101cの反出力軸側(ホルダ本体101の反出力軸側端部)に位置する外径面であり、外径面101cの直径よりも小さい直径を有している。外径面101eは、ステータコア21における複数のティース21bの各々の内径面と直接接触(嵌合)している。これにより、軸受ホルダ31はステータ20の内径側端部に固定されている。このように、軸受ホルダ31の外径面101eをステータ20の内径面と直接接触させることにより、軸受ホルダ31の位置決めをステータ20の内径面を用いて行うことができる。
【0052】
ホルダ本体101は、反出力軸側端部に固定部111を有している。固定部111は、軸受32を保持する部分であり、固定部111の挿入孔103の内径面には、軸受32が固定されている。反出力軸方向延在部102は、反出力軸側端部に固定部112を有している。固定部112は、軸受33を保持する部分であり、固定部112の挿入孔103の内径面には、軸受33が固定されている。
【0053】
固定部111の径方向の厚みW1と、固定部112の径方向の厚みW2とは互いに異なっている。本実施の形態では、厚みW1は厚みW2よりも大きい。
【0054】
本実施の形態では、軸受ホルダ31の反出力軸側端部から固定部111にかけての挿入孔103の直径は単調減少している。固定部111の挿入孔103の直径(軸受32の外径)D1は、固定部112の挿入孔103の直径(軸受33の外径)D2よりも小さい。なお、直径D1と直径D2は上述のように互いに異なっていてもよいし、等しくてもよい。
【0055】
なお、軸受ホルダ31は、たとえば樹脂などよりなっている。また軸受ホルダ31は、アルミニウム、マグネシウム、および亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む物質よりなる成形品であってもよい。軸受ホルダ31の材質は、必要な強度および精度や、コストなどを考慮して選択されればよい。
【0056】
本実施の形態によれば、ステータ20の内径面と軸受ホルダ31の外径面101eとが接触しているので、ステータ20の内径面を基準として軸受ホルダ31ならびに軸受32および33を位置決めすることができ、ステータ20の内径面と軸受32および33との同軸度を向上することができる。
【0057】
加えて、軸受32を固定する部分である固定部111の径方向の厚みW1と、軸受33を固定する部分である固定部112の径方向の厚みW2とは互いに異なるので、軸受32および33に加わる荷重などに応じて厚みW1およびW2の各々を自由に設定することができる。これにより、モータ長が長い場合であっても、軸受に加わる荷重などにより軸受ホルダ31が変形するのを防ぐことができ、ステータ20の内径面と軸受32および33との同軸度を向上することができる。また、軸受ホルダ31の厚みを厚くできるので強度が向上し、信頼性の高いインナーロータ型モータを提供することができる。
【0058】
ステータ20の内径面と軸受32および33との同軸度が向上すると、ひいてはステータ20とロータ10の同軸度が向上する。これにより、ステータ20とロータ10との距離のばらつきが小さくなり、ステータ20とロータ10との間の隙間を狭く設定することができる。その結果、モータの磁気効率を向上することができ、高出力のモータとなる。加えて、ステータの内径面と軸受との同軸度が向上するので、ロータの回転時の振動および騒音を抑止することができる。
【0059】
なお、モータを高出力にする必要がない場合には、コイルの巻数を減らしたり、マグネットを小さくしたり、ステータコアの積層数を減らしたり(モータ長を短く)することができるので、コスト低減や小型化を図ることができる。
【0060】
また、モータを外部機器に取り付ける際に、出力軸方向突出部101aが凸状のインローとなるので、出力軸方向突出部101aと、外部機器のセット側取付板200側に設けられた凹状のインローとを嵌合することにより、外部機器を正確に位置決めすることができる。
【0061】
さらに、軸受ホルダ31の反出力軸側端部から固定部111にかけての挿入孔103の直径が単調減少しているので、軸受32および33の組み込み時に、挿入孔103の反出力側端部の開口を軸受挿入口として、軸受32および33を
図3中右から左へ向かって挿入孔103内に挿入することができる。
【0063】
図4は、本発明の第2の実施の形態におけるモータの構成を模式的に示す断面図である。なお、以降の
図4〜
図6は、
図1のII−II線に沿う断面図を示している。
【0064】
図4を参照して、本実施の形態におけるモータは、軸受ホルダ31の形状が第1の実施の形態の場合と異なっている。軸受ホルダ31において、軸受32を固定する部分である固定部111の挿入孔103の直径D1、および軸受33を固定する部分である固定部112の挿入孔103の直径D2はいずれも、固定部111と固定部112との間の部分である肉厚部113の直径D3よりも大きい。
【0065】
予圧バネ45は、軸受32と軸受33との間に配置されており、軸受32を出力軸方向に付勢している。
【0066】
なお、上述以外のモータの構成は、
図1〜
図3に示す第1の実施の形態のモータの構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0067】
本実施の形態によれば、固定部111の挿入孔103の直径D1、および固定部112の挿入孔103の直径D2がいずれも、肉厚部113の直径D3よりも大きいので、軸受32および33の組み込み時に、挿入孔103の出力側端部の開口を軸受挿入口として、軸受32を
図4中左から右へ向かって挿入孔103内に挿入し、挿入孔103の反出力側端部の開口を軸受挿入口として、軸受33を
図4中右から左へ向かって挿入孔103内に挿入することができる。加えて、肉厚部113の厚みW3を大きくすることができるので、軸受ホルダ31の強度を向上することができる。
【0069】
図5は、本発明の第3の実施の形態におけるモータの構成を模式的に示す断面図である。
【0070】
図5を参照して、本実施の形態におけるモータは、軸受ホルダ31の形状が第1の実施の形態の場合と異なっている。軸受ホルダ31の出力軸側端部から固定部112にかけての挿入孔103の直径は単調減少している。固定部111の挿入孔103の直径(軸受32の外径)D1は、固定部112の挿入孔103の直径(軸受33の外径)D2よりも大きい。固定部111の径方向の厚みW1は、固定部112の径方向の厚みW2よりも大きい。
【0071】
予圧バネ45(本実施の形態では予圧バネ45としてコイルバネを例示している)は、軸受32と軸受33との間に配置されており、軸受33を反出力軸方向に付勢している。
【0072】
なお、上述以外のモータの構成は、
図1〜
図3に示す第1の実施の形態のモータの構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0073】
本実施の形態によれば、軸受ホルダ31の出力軸側端部から固定部112にかけての挿入孔103の直径が単調減少しているので、軸受32および33の組み込み時に、挿入孔103の出力側端部の開口を軸受挿入口として、軸受32および33を
図5中左から右へ向かって挿入孔103内に挿入することができる。
【0075】
図6は、本発明の第4の実施の形態におけるモータの構成を模式的に示す断面図である。
【0076】
図6を参照して、本実施の形態におけるモータは、軸受ホルダー31の形状が第1の実施の形態の場合と異なっている。軸受ホルダ31の反出力軸側端部から固定部111にかけての挿入孔103の直径は一定である。固定部111の挿入孔103の直径D1は、固定部112の挿入孔103の直径D2と同一である。軸受32および33は同一の外径を有している。また、止めリングの代わりに、スペーサーリング47が軸受32と軸受33との間に予圧バネ45と共に配置されている。予圧バネ45は軸受32を出力軸方向に付勢している。また、ティース部21bとバックヨーク部21aとは分離しておらず、一体化している。
【0077】
なお、上述以外のモータの構成は、
図1〜
図3に示す第1の実施の形態のモータの構成と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0078】
本実施の形態によれば、軸受ホルダ31の内径は一定であるので、軸受ホルダ31の加工や成形が容易になるばかりか、軸受の組み付け作業なども容易に行うことができる。
【0080】
上記実施の形態は適宜組み合わせることができる。止めリングおよび予圧バネは省略されてもよい。軸受ホルダの径方向の厚みは、必要な強度に応じて設計されればよい。
【0081】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。