(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記稼働情報取得手段が、前記乾燥機へ穀物が装入されたときの当該穀物の特性を示す張り込み穀物特性を、複数の乾燥機から前記稼動情報として取得し、前記乾燥機案内手段が、前記張り込み穀物特性と比較して、前記データ収集手段で収集した穀物特性、或いは、前記圃場案内手段によって案内された圃場に対応する穀物グループが許容範囲内にある穀物に対して、当該穀物を乾燥させる乾燥機を案内することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の農業支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2に示すように、圃場で栽培された稲や麦などの穀物が実ると、農業機械の1つであるコンバイン2を用いて当該穀物が収穫される。収穫された穀物は運搬車の1つであるトラック3に積まれた収容部材10に入れられて、当該トラック3によってライスセンターやカントリーエレベータなどの処理設備4に運ばれ、当該処理設備4で乾燥処理等が行われる。本発明の農業支援システムは、特に、穀物の収穫から運搬を経て乾燥までの農作業を支援するシステムである。
【0022】
まず、コンバイン2の構成について説明する。
図2に示すように、コンバイン2は、左右一対の走行装置11を備えた機体12に、運転席13、エンジン14、脱穀処理する脱穀装置15、脱穀された穀物を貯留するグレンタンク16等を備えて構成されたもので、機体12の前側には、穀物を刈り取る刈取部17が設けられている。
【0023】
このコンバイン2は、農作業を行ったときの農作業情報として穀物の水分量、タンパク量、収穫量などを測定する測定装置18を備えている。具体的には、測定装置18は、穀物に含まれる水分量(例えば、水分含有率)を測定する水分測定部20と、穀物のタンパク量(例えば、タンパク含有率)を計測する食味測定部21と、穀物の収穫量(例えば、重量)を測定する収穫量測定部22とを備えている。水分測定部20及び食味測定部21は、グレンタンク16の内部、又は、グレンタンク16の周囲に設けられている。収穫量測定部22は、グレンタンク16の下部に設けられている。
【0024】
食味測定部21は、グレンタンク16に入る穀物に対して近赤外光を照射して、透過光の分光分析に基づいて吸収スペクトルを解析し、その解析結果に基づいて、穀物に含まれるタンパク質等の成分量(含有率)をタンパク量として求める。水分測定部20は、穀物の誘電率を用いて当該穀物の水分量(含有率)を測定するセンサか、或いは穀物の電気抵抗を用いて当該穀物の水分量(含有率)を測定するセンサで構成されている。収穫量測定
部22は、グレンタンク16の重量を測定して当該グレンタンク16の重量を収穫量に換算するロードセル等で構成されている。食味測定部21、水分測定部20及び収穫量測定部22は上述した構成に限定されない。
【0025】
このようなコンバイン2では、圃場で栽培した穀物を刈取部17で刈り取ると共に刈り取った穀物をグレンタンク16に貯留することができる。また、このコンバイン2では刈り取った直後の穀物の水分量、タンパク量、収穫量を測定することができる。なお、コンバイン2の構成は上述したものに限定されない。
圃場で収穫されグレンタンク16に貯留された穀物は、グレンタンク16から運搬車3の収容部材10(10A、10B、10C、・・・)に移し替えられて処理設備4へ運ばれる。
【0026】
次に、処理設備4の構成について説明する。
図2に示すように、処理設備4は、少なくとも、穀物を乾燥させる乾燥機4A(4A−1、4A−2、・・・)を複数台備えている。乾燥機4Aは、主に、穀物を投入する投入口30と、穀物を一時的に貯留する貯留部31と、貯留部31で貯留された穀物が供給されて当該供給された穀物を乾燥させる乾燥部32とを備えている。また、処理設備4は、投入口30に投入された穀物を貯留部31に運搬する機構や、乾燥部32で乾燥した穀物を再び貯留部31に戻して循環する機構を備えている。
【0027】
このような処理設備4は上述した乾燥機4Aを備えているため、投入部30に装入した(張り込みした)穀物を貯留部31で一時的に貯留しながら乾燥部32に供給することで、当該乾燥部32で乾燥することができる。また、乾燥部32で乾燥した穀物を貯留部31に戻すことによって、穀物を循環させながら乾燥することができる。なお、処理設備4は、乾燥機4Aで乾燥した穀物の籾摺りを行う籾摺機4B、異物を除去する石貫機4C、選別を行う選別機4D、計量を行う計量機4Eを備えたものであってもよい。
【0028】
図1は、農業支援システム1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示す農業支援システム1は、データ収集装置(データ収集手段)5と、サーバ6とを備えている。
データ収集装置5は、コンバイン2で収穫した穀物に関する穀物情報を収集するもので、コンバイン2に搭載されている。このデータ収集装置5は、測定装置18によって得られた穀物情報を一時的に記憶する記憶部41と、記憶部41に記憶された穀物情報を外部に出力可能な入出力部42とを備えている。
【0029】
記憶部41は、例えば、不揮発性のメモリ等から構成され、食味測定部21で検出されたタンパク量(タンパク含有率など)、水分測定部20で検出された水分量(水分含有率など)、収穫量測定部22で検出された収穫量(重量など)を、穀物情報として記憶する。なお、穀物情報を記憶部41に記憶する際には、穀物情報に当該穀物情報を取得した時刻を関連付けて記憶してもよい。
【0030】
入出力部42は、記憶部41に記憶された穀物情報などを、無線通信によって外部に出力する通信機器(以下、通信機器42という)で構成されている。この通信機器42は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズに準拠したWi−Fi(登録商標)による無線通信を行う。詳しくは、通信機器42は、外部から受信したデータをデータ収集装置5の通信方式に変換してコンバイン2に設けられた車載ネットワークに出力し、上述の検出装置(食味測定部21、水分測定部20、収穫量測定部22)で検出された穀物情報(タンパク量、水分量、収穫量)等のデータをIEEE802.11シリーズの通信方式に変更して外部に出力する。つまり、通信機器42は、外部から受信したデータ(信号)をコンバイン2の本体側に出力し、コンバイン2の本体側から出力されたデータ(信号)を外部に送信する。
【0031】
また、
図1に示すように、農業支援システム1は、コンバイン2の位置(作業機位置という)を検出する位置検出装置(位置取得手段)45を備えている。この位置検出装置45は、コンバイン2に搭載されて測位衛星(例えば、GPS衛星)の信号に基づいて作業機位置(例えば、緯度、経度)を検出する機器から構成されている。この位置検出装置45は、例えば、コンバイン2の運転席の周囲に設置されている。
【0032】
なお、位置検出装置45は、コンバイン2の位置(作業機位置)を検出するものであればどのようなものでもよく、例えば、GPS衛星等の信号を受信して位置を検出する機能を有する携帯端末(タブレットPCや電話機能を有するスマートフォン等)で構成してもよい。この場合、コンバイン2を操作する作業者が携帯端末を持参して当該コンバイン2に乗車するか、又は、携帯端末をコンバイン2内の運転席の周囲などに設置すれば、当該携帯端末の位置検出装置45で取得した位置が作業機位置となる。
【0033】
また、本実施形態では、位置検出装置45とデータ収集装置5とは車載ネットワーク等によって接続されていて、位置検出装置45で取得した作業機位置は、データ収集装置5の記憶部41に記憶される。作業機位置を記憶部41に記憶する際は、作業機位置及び当該作業機位置を取得した時刻を記憶部41に格納してもよいし、作業機位置を当該作業機位置と同時に取得した穀物情報に関連付けて格納してもよい。
【0034】
図1に示すように、農業支援システム1は、外部と通信が可能な通信端末7(第1通信端末7という)を備えている。第1通信端末7は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズに準拠したWi−Fi(登録商標)によってデータ収集装置5の入出力部42との無線通信が可能なもので、入出力部42から送信された様々なデータ(穀物情報、作業機情報等)を受信したり、入出力部42にデータを送信する。また、第1通信端末7は、例えば、データ通信網や携帯電話通信網などによりサーバ6との無線通信を行うこともできる。
【0035】
この第1通信端末7は、コンバイン2に設置される固定型の通信機器、或いは、持ち運びができる携帯型の通信機器である。この実施形態では、第1通信端末7として、携帯型の通信機器である携帯端末を採用している。即ち、携帯端末で構成した第1通信端末7は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等である。携帯端末で構成した第1通信端末7は、コンバイン2を操作する作業者に割り当てられたものである。言い換えれば、第1通信端末7は、収穫作業に携わる作業者が所持して持ち運びができるものである。なお、第1通信端末7として、携帯型の通信機器(携帯端末)を例にあげ説明するが、上述したように、コンバイン2に固定されて当該コンバイン2と一体的に移動する固定型の通信機器であってもよい。
【0036】
以上の構成によれば、農業支援システム1は、データ収集装置5を備えているため、コンバイン2によって穀物を収穫したときに、当該収穫された穀物に関する穀物情報(タンパク量、水分量、収穫量)を取得することができる。また、農業支援システム1は、位置検出装置45を備えているため、コンバイン2によって穀物を収穫したときのコンバイン2の位置(作業機位置)を取得することもできる。さらに、農業支援システム1は、通信端末(第1通信端末)7を備えているため、穀物の収穫時に得られた穀物情報(タンパク量、水分量、収穫量)及び作業機位置をコンバイン2の作業者が取得できる。
【0037】
このように得られた穀物情報や作業機位置は、サーバ6等で処理及び蓄積され、収穫した穀物をトラック3(運搬車3)に搭載して搬送する際、或いは、穀物を乾燥機4Aで乾燥処理を行う際、或いは、収穫作業や乾燥作業の報告をする際、或いは、次の年に穀物を収穫する際などあらゆる農作業時に活用することができる。
さて、
図1に示すように、農業支援システム1は、運搬車3を操作する作業者に割り当てられ且つ外部と通信が可能な通信端末8を備えている。言い換えれば、農業支援システム1は、外部と通信が可能で且つ運搬作業に携わる作業者が所持する通信端末8を備えている。
【0038】
通信端末(第2通信端末という)8は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等の携帯端末であって、例えば、データ通信網や携帯電話通信網などにより後述するサーバ6との無線通信を行うことができる。
第2通信端末8は、運搬車3の位置(運搬車位置という)を検出する位置検出装置(位置取得手段)52を備えている。この位置検出装置52は、測位衛星(例えば、GPS衛星)の信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出するもので、運搬車3を操作する作業者が第2通信端末8を携帯して当該作業車3に乗車するか、又は、第2通信端末8を運搬車3に設置すれば、当該第2通信端末8の位置検出装置52で取得した位置が運搬車位置となる。また、位置検出装置52で取得した運搬車位置は、第2通信端末8の記憶部53に記憶される。運搬車位置を記憶部53に記憶する際は、運搬車位置を取得した時刻及び運搬車位置を関連付けて記憶部53に格納する。
【0039】
さて、
図1に示すように、処理設備4は、データ通信網や携帯電話通信網などの通信ネットワークNに接続されていて、この通信ネットワークNを介して、サーバ6や携帯端末7、8とデータの送受信が可能となっている。具体的に、処理設備4は、当該処理設備4の運転時における情報(処理設備4の稼働情報)をデータとして、サーバ6や通信端末7、8に出力可能である。処理設備4の稼働情報とは、処理設備4が有する各設備(乾燥機4A、籾摺機4B、石貫機4C、選別機4D、計量機4E)の稼働情報であって、例えば、処理設備4が乾燥機4Aを備えている場合には、当該稼働情報は、乾燥機4Aに張り込まれる(又は、張り込まれた)穀物の張込量(乾燥機4Aに装入される(装入された)穀物の重量)、乾燥機4Aに装入される(又は、装入された)穀物の水分量、乾燥機4Aに装入される(又は、装入された)穀物のタンパク量、乾燥機4Aの乾燥を始める(又は、始めた)乾燥開始時間、乾燥が終了する(又は、終了した)乾燥終了時間、乾燥機4Aの稼働の有無を示す稼働状態等である。処理設備4の稼働情報は、当該処理設備4の稼働について得られる情報であれば何でもよく、上述したものに限定されない。
【0040】
さて、上述の農業支援システム1によって、コンバイン2のデータ収集装置(データ収集手段)5は、収穫された穀物の特性(穀物特性ともいう)である籾の穀物情報として、タンパク含有率、水分含有率及び収穫量(kg又はt)等を収集する。このとき同時に、コンバイン2の位置検出装置45は、当該籾を収穫しているときのコンバイン2の位置を作業機位置として取得している。
【0041】
そこで、データ収集装置5の入出力部42は、収集した穀物情報を第1通信端末7に送信し、位置検出装置45は、当該収穫と同時に取得した作業機位置を第1通信端末7に送信する。穀物情報及び作業機位置を受信した第1通信端末7は、受信した穀物情報及び作業機位置をサーバ6に送信する。
サーバ6が第1通信端末7から穀物情報及び作業機位置を受信すると、サーバ6に格納されたプログラム等から構成された対応付け手段60は、穀物情報に作業機位置を対応付ける。この対応付けによって、
図3に示すような穀物情報と作業機位置が対応付けられたテーブルが得られる。サーバ6の対応付け手段60は、
図3に示すようなテーブルと、サーバ6に格納された圃場の位置を示すデータ(圃場マップデータ)と、
図3に示すようなテーブルとを用いて、当該作業機位置に基づいて圃場を特定し、特定した圃場の識別情報及び/又は作業機位置を、データ収集装置5によって収集された穀物情報に関連付けて記憶する。
【0042】
即ち、位置検出装置45によって取得された作業機位置は、穀物情報を収集した籾を収穫した圃場の位置に対応しているので、サーバ6の対応付け手段60により、
図4に示すように、収集された穀物情報を圃場毎に関連付けて保持することができる。
図4は、圃場A〜Cの各々で収集された穀物情報を例示している。
その後、運搬車3によって、例えば3つの圃場A〜Cの各圃場で収穫された籾を収集する。運搬車3は、籾を収集するためのコンテナ等の容器である収容部材10(10A〜10C)を3つ積載して圃場A〜Cの各圃場を巡回して籾を収集する。
【0043】
このとき、
図5に示すように収容部材10A〜10Cの3つの容器を積載した運搬車3は、圃場A〜Cを巡回し、識別情報として荷受ID(00KB1)が付与された収容部材10Aに圃場Aで収穫された籾を収集し、荷受ID(00KB2)が付与された収容部材10Bに圃場Bで収穫された籾を収集し、荷受ID(00KB3)が付与された収容部材10Cに圃場Cで収穫された籾を収集する。
【0044】
各圃場でコンバイン2(2A〜2C)から収容部材10(10A〜10C)に籾が移(収集)されているときに、運搬車3の第2通信端末8は、当該収集が行われているときの運搬車位置と、籾が移されている収容部材10の荷受IDをサーバ6に送信する。
サーバ6の対応付け手段60は、
図6に示すように、第2通信端末8から送信された運搬車位置に基づいて、送信された荷受IDと運搬車位置とを関連付ける。
図6は、荷受ID(00KB1)が運搬車位置(経度:34.15233度、緯度:136.167784度)に、荷受ID(00KB2)が運搬車位置(経度:34.560518度、緯度:135.427667度)に、荷受ID(00KB3)が運搬車位置(経度:34.065815度、緯度:134.965285度)に関連付けられたテーブルを示している。
【0045】
この時点で対応付け手段60は、
図3に示すテーブル、
図4に示すテーブル、及び
図6に示すテーブルを有している。
図6のテーブルに示す関連付けによって、各荷受IDに対応する運搬車位置が明確になるので、サーバ6は、
図3のテーブル示す作業機位置と
図6のテーブルに示す運搬車位置とを比較する。この比較によって
図6の運搬者位置に非常に近接する作業機位置を
図3のテーブルに見つけることができるので、この近接する作業機位置に対応する圃場を、当該運搬車位置に対応する圃場と判断する。
【0046】
運搬車位置に対応する圃場を特定することができれば、
図6において当該圃場に対応する荷受IDが決まる。従って、
図4のテーブルに基づいて、荷受IDに穀物情報を関連付けることができ、
図7に示すような、荷受ID(00KB1〜00KB3)の各々に対して
図4のテーブルに示された穀物情報が関連付けられたテーブルが得られる。
これによってサーバ6の関連付け手段60は、
図4に示すように圃場毎の穀物情報を保持することができると共に、
図7に示すように荷受ID毎の穀物情報を保持することができる。上述の説明では、1つの圃場で収穫された籾を1つの収容部材10で収集したので、サーバ6は、圃場毎且つ荷受ID毎の穀物情報を保持することができる。
【0047】
上述のように、複数の圃場(圃場A〜C)において、コンバイン2(2A〜2C)で籾(穀物)を収穫し、収穫した籾(穀物)を、運搬車3の複数の収容部材(10A〜10C)に移すまで一連の作業を行った際に、サーバ6側では、穀物情報と作業機位置とを関連付けたテーブル(
図3のテーブル)と、圃場と穀物情報とを関連付けたテーブル(
図4のテーブル)と、荷受IDと運搬車位置とを関連付けたテーブル(
図6のテーブル)と、荷受IDと穀物情報とを関連付けたテーブル(
図7のテーブル)とを得る。
【0048】
農業支援システム1では、このように得られたテーブル(情報)と、乾燥機4Aの稼動情報とを用いて、効率よく穀物の乾燥を進めることができるようにしている。例えば、複
数の圃場(圃場A〜C)から複数の収容部材(10A〜10C)に分けて収集された籾を、特性の異なる籾(穀物)が混ざらないように乾燥機4Aに装入することや、乾燥機4Aの容量をほぼ満たす量の穀物を確実に乾燥機4Aに装入することを可能とする。
【0049】
以下、農業支援システム1の構成及び動作をさらに詳細に説明する。
図1に示すように、農業支援システム1は、上述のデータ収集装置(データ収集手段)5に加えて、稼働情報取得手段61と、乾燥機案内手段62とを備えている。
データ収集装置5は、上述の通り、穀物である籾の特性(穀物の特性)として、タンパク量(タンパク含有率)、水分量(水分含有率)、収穫量(重量)などの穀物情報を収集する。
【0050】
稼働情報取得手段61は、籾を乾燥させる乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働情報を取得する手段であり、プログラムなどで構成されて、サーバ6に備えられる。
以下の説明において、乾燥機4Aの稼働情報として、例えば、乾燥機4Aに張り込まれた張込量を用いる。また、乾燥機4Aの稼働情報として、乾燥機4Aに張り込まれた穀物の特性(タンパク含有率)を用いる。説明の便宜上、乾燥機4への張り込み時の穀物の特性を「張り込み穀物特性」という。また、稼動情報として、乾燥機4Aの稼働の有無(稼働状態にあるか否か)示す情報を用いる。
【0051】
乾燥機案内手段62は、収穫された籾を乾燥させる乾燥機4A(4A−1〜4A−3)を案内する手段であり、稼働情報取得手段61で取得した稼働情報とデータ収集装置5で取得した穀物の特性(具体的には、
図7に示すテーブル)とに基づいて、当該籾を装入する(張り込む)乾燥機4A(4A−1〜4A−3)を案内する。この乾燥機案内手段62もプログラムなどで構成されて、サーバ6に備えられる。
【0052】
図面を参照して、収穫された籾を乾燥させる乾燥機4A(4A−1〜4A−3)を案内するための、稼働情報取得手段61及び乾燥機案内手段62の動作を説明する。
運搬車3は、圃場A〜Cで収穫された籾が収容された3つの収容部材10A〜10C(荷受ID:00KB1〜00KB3)を積載している。運搬作業者は、収容部材10A〜10Cを積載した運搬車3を処理設備4へ向けて運転し、これら収容部材に収容された籾を乾燥機4Aへ運ぶ。
【0053】
その際、運搬作業者は、第2通信端末8に設けられたボタン等を操作して、収容部材10A〜10Cの荷受ID(00KB1〜00KB3)を指定することで、当該荷受IDに対応する収容部材の籾を受け入れ可能な乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の案内を受ける。
運搬作業者が第2通信端末8に対して荷受ID(00KB1〜00KB3)の一部又は全部を指定すると、第2通信端末8は、指定された荷受IDをサーバ6に送信する。
【0054】
サーバ6の稼働情報取得手段61は、第2通信端末8から送信された荷受IDを受信すると、処理設備4に対して乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働情報を要求する。
稼働情報取得手段61の要求を受けて、処理設備4は、稼働情報として、例えば、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)に受け入れられている(又は、受け入れ可能な)籾のタンパク含有率を、サーバ6(稼働情報取得手段61)へ送信する。即ち、乾燥機4へ籾(穀物)を張り込んだ(装入した)ときの当該籾の穀物特性である「張り込み穀物特性」であるタンパク含有率を、サーバ6(稼働情報取得手段61)へ送信する。
【0055】
また、稼働情報取得手段61の要求を受けて、処理設備4は、稼働情報として、例えば、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)に装入されている(又は、装入可能な)籾の重量(t)、及び乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働の有無を示す情報をサーバ6(稼働
情報取得手段61)へ送信する。
稼働情報取得手段61は、処理設備4から稼働情報を受信すると、受信した稼働情報を乾燥機案内手段62へ出力する。
【0056】
乾燥機案内手段62は、稼働情報取得手段61から稼働情報を受け取ると共に、サーバ6から、
図7に示す荷受ID毎の穀物情報を取得する。
乾燥機案内手段62は、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働情報から、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)のそれぞれに装入されている籾のタンパク含有率(張り込み穀物特性)を抽出し、取得した
図7の穀物情報と比較して、稼働情報から抽出した各乾燥機のタンパク含有率に近い(近似)しているタンパク含有率の荷受IDを抽出する。
【0057】
例えば、稼働情報から抽出された張り込み穀物特性であるタンパク含有率が、乾燥機4A−1では7.1%、乾燥機4A−2では7.5%、乾燥機4A−3では8.0%であった場合、7.1%を示す乾燥機4A−1に対しては、タンパク含有率が許容範囲内(例えば−0.2%以内)にある7.0%を示す荷受ID(00KB1)と6.9%を示す荷受ID(00KB2)が抽出され、7.5%を示す乾燥機4A−2に対してはタンパク含有率が許容範囲内にある7.4%を示す荷受ID(00KB3)が抽出される。8.0%を示す乾燥機4A−3に対しては該当するタンパク含有率の荷受IDが存在しないとする。
【0058】
これら一連の処理は、例えば、乾燥機4Aに既に張り込まれている穀物と、後から張り込まれる品質の低い穀物とが互いに混ざることを防ぎ、乾燥機4Aに張り込まれた穀物全体としての品質(ランク)が低下することを防止することを意図している。即ち、乾燥機案内手段62では、既に乾燥機4Aに装入された穀物の張り込み穀物特性と、これから乾燥機4Aに装入される穀物特性との間に生じる差について、許容できる範囲(上述の許容範囲)は予め定められている。例えば、後述するように、乾燥機4Aに「Aランク」の穀物特性を有する穀物が既に装入されている状況下において、全体としての品質(ランク)が、既に装入されている穀物の「Aランク」とは別のランクに変化してしまうような(例えば、より低いランクの)穀物特性を有する穀物を後から装入しないこととしており、このような考え等に基づいて許容範囲は定められている。
【0059】
さらに、乾燥機案内手段62は、取得した
図7の穀物情報において、既に抽出された荷受IDの収量(重量)を取得する。
例えば、乾燥機案内手段62は、抽出した荷受ID(00KB1)の収量(重量)として0.85(t)を取得し、抽出した荷受ID(00KB2)の収量(重量)として0.72(t)を取得し、抽出した荷受ID(00KB3)の収量(重量)として0.98(t)を取得する。
【0060】
乾燥機案内手段62は、
図7の穀物情報(つまり、データ収集装置5で取得した籾の特性)に基づいてこれら収量を取得した後に、乾燥機4Aの稼働情報から(乾燥機4Aの稼働情報に基づいて)、乾燥機4Aが受け入れ可能な籾の重量を抽出して、取得した荷受IDの収量(重量)と比較する。その上で乾燥機案内手段62は、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)が受け入れ可能な重量の荷受IDに対して、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の何れかへの張り込みを案内する。
【0061】
例えば、
図8に示すように、乾燥機案内手段62は、稼働情報から抽出した乾燥機4A−1の「受け入れ可能な籾の重量(受入可能重量)」が2.00tであった場合、先に乾燥機4A−1に対応する荷受IDとして抽出した荷受ID(00KB1)の収量(0.85t)と荷受ID(00KB2)の収量(0.72t)の合計(1.57t)を、受入可能重量(2.00t)比較する。比較の結果、収量の合計(1.57t)が受入可能重量(2.00t)よりも小さく、乾燥機4A−1への張り込みが可能であるので、乾燥機案内手
段62は、荷受ID(00KB1)と荷受ID(00KB2)に対して、乾燥機4A−1への張り込みを指示する表示を第2通信端末8のモニタなどの表示部55に表示させる。
【0062】
また、稼働情報から抽出した乾燥機4A−2の「受け入れ可能な籾の重量(受入可能重量)」が0.80tであった場合、先に乾燥機4A−2に対応する荷受IDとして抽出した荷受ID(00KB3)の収量(0.98t)を、受入可能重量(0.80t)比較する。比較の結果、収量(0.98t)が受入可能重量(0.80t)よりも大きく、荷受ID(00KB3)の全量を乾燥機4A−2へ張り込むことはできない。そこで、乾燥機案内手段62は、荷受ID(00KB3)に対して、乾燥機4Aへの全量の張り込みができない旨、又は乾燥機4A−2へ0.80tだけ受け入れ可能な旨の表示を第2通信端末8のモニタなどの表示部55に表示させる。
【0063】
これによって、ほぼ同じタンパク含有率の籾、つまり、ほぼ同じ特性の籾だけを乾燥機4Aに装入するように案内することができる。
ここで、稼働情報から抽出した乾燥機4A−1の「受け入れ可能な籾の重量(受入可能重量)」が0.90tであった場合、荷受ID(00KB1)の収量(0.85t)と荷受ID(00KB2)の収量(0.72t)との両方を同時に受け入れることはできない。そこで、乾燥機案内手段62は、荷受ID(00KB1)及び荷受ID(00KB2)のいずれかを、乾燥機4A−1にて受け入れることが可能な旨を、第2通信端末8のモニタなどの表示部55に表示させる。そして、受け入れることができなかった荷受IDに対しては、乾燥機案内手段62は、他の乾燥機4Aの稼動情報に基づいて、運搬車3が処理設備4に到着した時点で最も早く乾燥処理が終了している乾燥機4Aを割り出し、最も待ち時間が少ない乾燥機4Aを案内する。
【0064】
或いは、荷受ID(00KB1)の収量(0.85t)と、荷受ID(00KB2)の収量(0.72t)との両方を同時に受け入れることはできない場合、まず、乾燥機案内手段62は、荷受ID(00KB1)の収量(0.85t)と、荷受ID(00KB2)の収量(0.72t)とを比較し、乾燥機4A−1の受入可能重量(0.90t)に近い荷受ID(00KB1)の収量(0.85t)に対して、乾燥機4Aへの張り込みを指示する表示を第2通信端末8のモニタなどの表示部55に表示させる。荷受ID(00KB2)に対しては、上述したように、乾燥機案内手段62は、運搬車3が処理設備4に到着した時点で最も早く乾燥処理が終了している乾燥機4Aを割り出し、最も待ち時間が少ない乾燥機4Aを案内する。
【0065】
これによって、乾燥機4A−1への張り込み可能な重量の残りが0.05t(0.90−0.85)となり、荷受ID(00KB2)を張り込んだ場合の残りの重量0.18t(0.90−0.72)よりも、乾燥機4A−1の容量を満たした状態で乾燥機4Aを運転(稼働)することができ、乾燥機4A−1の運転効率(稼働効率)を高く維持することができる。
【0066】
尚、乾燥機案内手段62は、稼働情報取得手段61から受け取った稼働情報に示されている乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働の有無を参照して、稼働状態が「有」となっている、つまり現在稼働している乾燥機4Aのみについて上述の乾燥機案内手段62の処理対象とする。
ここで、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)には、受け入れるタンパク含有率の範囲(穀物特性の範囲)が予め決められていると、乾燥機案内手段62の処理は簡便となる。
【0067】
例えば、乾燥機4A−1が受け入れるタンパク含有率の範囲を7.1%以下、乾燥機4A−2が受け入れるタンパク含有率の範囲を7.1%超7.5%以下、乾燥機4A−2が受け入れるタンパク含有率の範囲を7.5%超と予め決めておく。このような複数の乾燥機
4Aと、タンパク含有率の範囲(穀物特性の範囲)との割り当て情報は、サーバ6に記憶されている。
【0068】
乾燥機案内手段62は、まず、
図7に示すような荷受ID毎の穀物情報(タンパク含有率)と、サーバ6側で予め定められた乾燥機4Aの穀物特性の許容範囲(タンパク含有率の許容範囲)とを比較する。そして、乾燥機案内手段62は、穀物特性の許容範囲内の荷受IDに対して、当該穀物特性の許容範囲に対応する乾燥機4Aを案内する。例えば、荷受ID(00KB1)及び荷受ID(00KB2)に対しては、乾燥機4A−1を案内し、荷受ID(00KB3)に対しては、乾燥機4A−2を案内する。なお、このように、乾燥機4Aを案内する場合も稼働情報取得手段61は、乾燥機4Aが穀物を受け入れ可能であるか否かを稼動情報として取得し、乾燥機案内手段62は、乾燥機4Aが穀物を受け入れできる場合に乾燥機4Aの案内を行う。
【0069】
このように乾燥機4Aのそれぞれが受け入れるタンパク含有率の範囲を予め決めておけば、乾燥機案内手段62は、乾燥機4Aの各々の「受け入れ可能な籾の重量(受入可能重量)」と
図7の穀物情報から抽出された各荷受IDの収量(重量)とを比較するだけで、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)を案内することができる。このように、複数の乾燥機4Aと、タンパク含有率の許容範囲(穀物特性の許容範囲)との関係は、サーバ6に格納されている。
【0070】
尚、稼働情報取得手段61及び乾燥機案内手段62は、必ずしもサーバ6に備えられている必要はなく、運搬者側の第2通信端末8に備えられてもよい。第2通信端末8が稼働情報取得手段61及び乾燥機案内手段62を備えている場合、サーバ6は、荷受ID毎の穀物情報を示す
図7のテーブル、及び乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働情報を第2通信端末8へ適宜提供する。運搬作業者が第2通信端末8に設けられたボタン等を操作して、収容部材10A〜10Cの荷受ID(00KB1〜00KB3)を指定したときなど、サーバ6は、適切な時期に
図7のテーブル及び稼働情報を第2通信端末8に提供(アップロード)すればよい。
【0071】
当該テーブル及び稼働情報を取得した第2通信端末8の稼働情報取得手段61及び乾燥機案内手段62は上述の動作を行い、第2通信端末8のモニタなどの表示部55に、各荷受IDの籾ついて受入可能な乾燥機4A(4A−1〜4A−3)を案内(表示)する。
上述の農業支援システム1で、データ収集装置5は、収穫された籾の特性であるタンパク含有率や水分含有率などの穀物情報を収集したが、
図4のテーブルに示すように、収集された穀物情報は、サーバ6の対応付け手段60においてその穀物情報に対応する籾が収穫された圃場(例えば、圃場A〜圃場C)と関連付けられている。
【0072】
そこで、
図9に示すように、サーバ6に、対応付け手段60によって関連付けられた籾(穀物)が収穫された圃場と当該穀物の特性(穀物情報)の関連付けを記憶する記憶手段63を設ける。
つまり、記憶手段63は、
図4のテーブルに示すような圃場名に対応する穀物情報(タンパク質、水分及び収量)を関連付けたテーブルを対応付け手段60から受け取って、収穫の対象となる全ての圃場について穀物情報の関連付けられたテーブル作成し記憶する。ここで、記憶手段63は、このテーブルに限らず、圃場名に穀物情報(タンパク含有率、水分含有率及び収量)が関連付けられていれば、
図10に示すように、圃場の位置に穀物情報が関連付けられた地図(マップ)を作成して記憶してもよい。これらテーブルやマップによって、記憶手段63は、複数の圃場で収穫された籾の穀物情報を当該籾が収穫された圃場に関連付けて記憶(格納)する。
【0073】
従って、記憶手段63が格納するテーブルやマップは、各圃場における前回以前の収穫
においてデータ収集手段5によって収集された穀物情報を用いて作成されることになる。稲作のように1年に1回だけ収穫される穀物については、前年以前の収穫において収集された穀物情報を用いて、例えば
図10に示すマップやテーブルが作成される。
図9を参照して、サーバ6は、記憶手段63に加えて、穀物である籾の特性(穀物情報)を複数の穀物グループに分類する分類手段64を有している。例えば、分類手段64は、穀物情報の一つであるタンパク含有率を複数の群(穀物グループ)に分類し、7.1%以下のタンパク含有率を「Aランク」と示される穀物グループに、7.1%超7.8%以下のタンパク含有率を「Bランク」と示される穀物グループに、7.8%超のタンパク含有率を「Cランク」と示される穀物グループに分類する。この分類によって、
図4に示すテーブルには穀物グループを付与することが可能となり、
図11に示すように、穀物情報のタンパク含有率に対応する穀物グループが付されたテーブルが、例えば対応付け手段60に保持される。
【0074】
このとき、「Aランク」と「Bランク」を分ける基準値である第1基準値(第1閾値ともいう)は7.1%であり、「Bランク」と「Cランク」を分ける基準値である第2基準値(第2閾値ともいう)は7.8%である。このように、分類手段64は、第1基準値及び第2基準値といった複数の基準値に基づいて、穀物の特性(穀物情報)を複数の穀物グループに分類する。
【0075】
これら第1基準値及び第2基準値は、処理設備4のオペレータ等の操作によって、又は乾燥機4Aの稼働情報に基づいてサーバ6に対して入力される値であって、サーバ6に入力されると分類手段64に設定される。従って、これら複数の基準値は変更可能な値であるので、基準値の変更方法については後に説明する。
サーバ6は、さらに、記憶手段63に記憶された圃場のうち、例えば「Aランク」〜「Cランク」の複数の穀物グループの何れかに対応する特性である穀物特性(タンパク含有率)を有する穀物が収穫された圃場を案内する圃場案内手段65を有している。この圃場案内手段65は、サーバ6に格納されたプログラム等から構成されている。
【0076】
サーバ6が第1通信端末7から収穫の通知を受けると、圃場案内手段65は、当該コンバイン2を操作する作業者に割り当てられた第1通信端末7に、例えば、「Aランク」に分類された穀物特性(タンパク含有率)を有する穀物が収穫された圃場を表示する。詳しくは、圃場案内手段65は、
図11に示すようなテーブルから「Aランク」のみの圃場名(例えば、圃場Aなど)を抽出し、圃場Aの位置を圃場のマップに示して第1通信端末7に提供する。
【0077】
コンバイン2を操作する作業者は、圃場案内手段65によって案内された通りに収穫作業を行うことによって、収穫時に穀物情報をコンバイン2側で直接、測定しなくても、前回以前の収穫で得られた穀物情報に基づいて、例えば圃場Aで収穫した穀物特性(タンパク含有率)を把握することが可能である。
そして、収穫後は、第1通信端末7から作業機位置を送信すると共に、第2通信端末8から荷受ID及び運搬車位置をサーバ6に送信する。
【0078】
サーバ6は、まず、第1通信端末7から送信された作業機位置と、圃場案内手段65で案内した圃場の位置とに基づき、コンバイン2が圃場案内手段65で案内した通りに収穫作業を行ったか否かを判断する。例えば、圃場Aで収穫を行っているか否かを判断する。ここで、圃場Aで収穫を行っていると判断された場合(圃場案内手段65で案内した圃場Aに適合する作業機位置が得られた場合)、サーバ6(対応付け手段60)は、圃場Aで穀物を収穫したものとし、圃場Aに対応する
図11の穀物情報(例えば、ランクAの穀物情報)と、第2通信端末8から送信された荷受ID及び運搬車位置に基づき、
図7に示すような荷受IDと穀物情報とを関連付けたテーブルを作成する。そして、荷受IDと穀物
情報とが関連付けられたテーブルと、稼働情報取得手段61によって得られた稼動情報とに基づいて、乾燥機案内手段62は荷受IDに対応する乾燥機4Aを案内する。
【0079】
上述した実施形態では、乾燥機4Aの稼動状況とは関係なく、圃場案内手段65によって、所定のランクに分類された穀物を収穫可能な圃場を案内していたが、乾燥機4Aの稼動状況(稼動情報)に応じて、圃場を案内してもよい。
即ち、圃場案内手段65は、乾燥機4Aの稼働情報に応じて、圃場グループに関連づけられて収穫の対象となる圃場を案内する。これによって、圃場案内手段65は、例えば「Aランク」に関連付けられた圃場であって、タンパク含有率が7.1%以下の籾を収穫した実績のある圃場名や当該圃場の位置及び当該圃場での収量を案内(出力)する。
【0080】
以下、記憶手段63、分類手段64及び圃場案内手段65を有する上述の農業支援システム1における乾燥器案内手段62の動作について説明する。
第2通信端末8から収穫を行う通知をサーバ6が受けると、乾燥機案内手段62は、上述したように、処理設備4に対して、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働情報を要求する。
【0081】
処理設備4は、稼働情報取得手段61の要求を受けて、稼働情報として、例えば、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)に装入可能な籾の穀物グループ、及び乾燥機4A(4A−1〜4A−3)が受け入れている(又は、受け入れ可能な)籾の重量(t)などを稼働情報取得手段61へ送信する。
稼働情報取得手段61は、処理設備4から稼働情報を受信すると、受信した稼働情報を乾燥機案内手段62及び圃場案内手段65へ出力する。
【0082】
圃場案内手段65は稼働情報を受け取り、受け取った稼働情報に基づいて、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の各々が受入可能な籾の穀物情報を取得する。このとき、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の各々の稼働情報は以下のとおりであるとする。乾燥機4Aの各々において、受入可能な籾のタンパク含有率は「Aランク」、水分量は「任意」、受入可能な籾の重量は「6t」である。
【0083】
圃場案内手段65は、このような稼働情報に基づいて、記憶手段63に記憶された圃場のマップから、タンパク含有率が「Aランク」の圃場を抽出すると共に、抽出された圃場の中から、当該圃場の穀物情報に基づいて、3台の乾燥機4A(4A−1〜4A−3)で受入可能な受入可能な籾の重量である18t(6t×3台)分の収量が確保できる圃場を選定する。このとき、圃場案内手段65は、コンバイン2や運搬車3の移動経路が最も短くなる、或いは移動時間が最も短くなるなど経済的に籾を収集できるように圃場を選定するとよい。
【0084】
その上で圃場案内手段65は、選定した圃場を乾燥機案内手段62に出力する。乾燥機案内手段62は、稼働情報取得手段61から稼働情報を受け取ると共に、圃場案内手段65から、選定された圃場の圃場名や当該圃場の位置及び当該圃場での収量を取得する。
その上で、乾燥機案内手段62は、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の稼働情報を参照すると共に選定された各圃場での収量を参照して、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の各々の容量全てをほぼ満たす収量の組み合わせとなるように選定された圃場を組み合わせる。これによって、乾燥機案内手段62は、組み合わされた圃場の位置や収穫の順序を第2通信端末8のモニタに表示すると共に、組み合わされた圃場で収穫された籾に対して対応する乾燥機4A(4A−1〜4A−3)への張り込みを案内する。
【0085】
このように複数の乾燥機4A(4A−1〜4A−3)が存在する場合、乾燥機4A−1には「Aランク」の籾を、乾燥機4A−2には「Bランク」の籾を、乾燥機4A−3には
「Cランク」の籾をというように、乾燥機に対して、複数の穀物グループのうち、乾燥させる穀物に対応する穀物グループを予め割り当てることができる。
この場合、圃場案内手段65は、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の各々の容量の全てをほぼ満たす収量の組み合わせとなるように、記憶手段63に記憶された圃場のマップから、「Aランク」〜「Cランク」の穀物グループごとに圃場を選択する。これによって、乾燥機案内手段62は、穀物グループごとに選択された圃場の位置や収穫の順序を第2通信端末8のモニタに表示すると共に、穀物グループごとに選択された圃場で収穫された籾に対して、当該穀物グループが予め割り当てられた乾燥機4A(4A−1〜4A−3)への張り込みを案内することができる。
【0086】
これによって、ほぼ同じタンパク含有率の籾、つまり、ほぼ同じ特性の籾だけを1つの乾燥機に装入するように案内することができ、特性の異なる籾が混ざらないように籾を乾燥させることができる。
また、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の各々の容量を満たした状態で乾燥機4A(4A−1〜4A−3)を運転(稼働)することができ、乾燥機4A(4A−1〜4A−3)の運転効率(稼働効率)を高く維持することができる。
【0087】
尚、記憶手段63、分類手段及64及び圃場案内手段65は、必ずしもサーバ6に備えられている必要はなく、第2通信端末8に備えられてもよい。第2通信端末8が記憶手段63、分類手段64及び圃場案内手段65を備えている場合、第2通信端末8は、適切な時期にサーバ6から必要な情報を取得すれば良く、分類手段64に設定される基準値は第2通信端末8のモニタ等に表示される入力画面などを介して設定されればよい。
【0088】
最後に、
図12及び
図13を参照しながら、穀物である籾の特性(穀物情報)を複数の穀物グループに分類するための基準値(第1基準値及び第2基準値)などを変更する方法について説明する。以下の説明では、第1基準値を変更する方法について説明する。
基準値の変更方法は、サーバ6の記憶手段63が圃場の位置に穀物情報が関連付けられたマップ又はテーブルを有していない場合と、有している場合とで異なる。従って、第1基準値を変更する方法を、マップ又はテーブルを有していない場合と、有している場合とに分けて説明する。
【0089】
まず
図12を参照して、記憶手段63がマップ又はテーブルを有していない場合を説明する。
図12は、9月10日(9/10)〜10月16日(10/16)にわたって、第1基準値を変更しながら上述の農業支援システム1を用いて収穫を行ったときの収穫実績を示す表である。
図12の表では、9月10日(9/10)〜10月16日(10/16)で収穫した籾のうちタンパク含有率6.8%〜7.4%を示す籾について、各タンパク含有率以下の籾の累積構成比を3つの期間(9/10−12、9/10−19、9/10―10/16)で示している。例えば、期間9/10−12において、タンパク含有率が6.8%以下の籾の全収穫量に対する累積構成比は2.1%であり、6.8%を含む6.9%以下の籾の累積構成比は11.9%であった。つまり、期間9/10−12の3日間で収穫された籾の11.9%は、タンパク含有率6.9%以下で占められていたことがわかる。
【0090】
図12の表に示す収穫は、「Aランク」の籾を他のランクの籾と混合することなく20.0%以上確保することを狙って行われたものである。この収穫では開始からの3日間(9/10−12)は、可能な限り良好な食味の籾だけを収集するために、第1基準値を「Aランク」の下限である7.1%よりも低い(つまり、より食味が良いとされる)7.0%として「Aランク」を7.0%以下とし、タンパク含有率が7.0%以下の籾だけを他の籾から分けて乾燥させた。
【0091】
しかし、第1基準値を7.0%として期間9/10−12の3日間収穫を行った結果、
タンパク含有率が7.0%以下の籾の累積構成比率は21.0%であって、4日目以降の収穫によっては20.0%を割ってしまう可能性があった。そこで、第1基準値を7.0%から「Aランク」の下限である7.1%に変更して4日目以降の収穫を行った。
その結果、期間9/10−19の10日間に収穫された「Aランク」(7.1%以下)の籾の累積構成比は25.2%、全期間9/10−10/16においても「Aランク」の籾の累積構成比は22.8%となって、「Aランク」の籾を他のランクの籾と混合することなく20.0%以上確保することに成功した。
【0092】
仮に、第1基準値を7.0%から変更しなければ、7.1%の籾は「Bランク」の籾と混ぜて乾燥機4Aに張り込まれる可能性があるので、第1基準値を適切に変更することは重要である。いうまでもなく、第1基準値が7.0%のままで必要な累積構成比を確保できるのなら、第1基準値を変更する必要はなく、第1基準値を7.0%より低い値に変更できる可能性もある。
【0093】
第1基準値を7.0%のままで維持する、又は7.0%より低い値に変更できれば、より低いタンパク含有率の籾だけを「Aランク」として得ることができ、より食味の良い籾だけを必要量確保することができる。
次に、
図13を参照して、記憶手段63がマップ又はテーブルを有している場合を説明する。
図13は、サーバ6の記憶手段63が格納するマップ又はテーブルに基づいて作成されたグラフである。
図13のグラフは、第1基準値であるタンパク仕切値と、前回以前の収穫で得られた籾の収量を、そのタンパク仕切値以下のタンパク含有率の「Aランク」とそれ以外の「Bランク」に仕分けたときの収量の割合(仕切割合)との関係を示す。
【0094】
上述の説明では、タンパク含有率が7.1%以下の籾を「Aランク」として扱ったが、以下の説明では、タンパク仕切値以下のタンパク含有率であれば「Aランク」として扱う。
具体的には、記憶手段63が格納するマップ又はテーブルに保持された前回以前の収穫におけるタンパク含有率及び収量に対して、第1基準値(タンパク仕切値)を様々に変更しつつ、前回以前の収穫で収穫された籾の収量を「Aランク」とそれ以外の「Bランク」に仕分ける。
図13のグラフは、その各タンパク仕切値における「Aランク」の収量の割合と「Bランク」の収量の割合を示している。ここでは、収穫された籾の全てを「Aランク」又は「Bランク」に仕分けているので、「Aランク」と「Bランク」の割合の合計は100%であり、両者の割合の増減はトレードオフの関係となっている。
【0095】
図13のグラフにおいて、タンパク仕切値が7.0%のとき、「Aランク」の仕分割合は約15%である。このグラフによれば、タンパク仕切値を7.1%にすることで「Aランク」の仕分割合を20%以上とすることができるので、第1基準値を収穫の開始から7.1%とすることができる。
ところが、
図13のグラフに示すタンパク仕切値と仕分割合の関係は、収穫が行われて新たな穀物情報が得られる度に変わってしまう。従って、直近の収穫で得られた穀物情報に基づくタンパク仕切値と仕分割合の関係など、最も信頼性が高いと思われるタンパク仕切値と仕分割合の関係を用いてタンパク仕切値(第1基準値)を変更することができる。
【0096】
ここで、
図14に示すタンパク仕切値と平均タンパク値の関係を用いて第1基準値を補正することもできる。
図14は、前回以前の収穫におけるタンパク含有率及び収量に対して、タンパク仕切値を様々に変更したときの「Aランク」のタンパク含有率の平均(平均タンパク含有率)とそれ以外の「Bランク」の平均タンパク含有率を示すグラフである。
図14のグラフによれば、タンパク仕切値を7.1%に設定した場合、「Aランク」として得られた籾の平均タンパク含有率は7.0%であり、タンパク仕切値(第1基準値)を7.5%に設定した場合、「Aランク」の籾の実際のタンパク含有率の平均は7.1%程
度であったことがわかる。そこで、仮に、
図13のグラフにおいて、タンパク仕切値を7.1%にしても「Aランク」の仕分割合を20%以上とできない場合、
図14のグラフを参照すれば、タンパク仕切値(第1基準値)の変更を7.5%まで許容できることがわかる。
【0097】
このように、前回以前の収穫でえられた穀物情報を基にして、
図14の平均タンパク値を用いたグラフに示す関係をもちいれば、
図13の仕分割合を用いたグラフに示す関係を基に変更(設定)された第1基準値を補正することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。