【0008】
本願発明は、
(1)Si基板上に複数層からなる絶縁膜及び第1の下地絶縁膜バリア層(TiN)を形成し、選択的に開孔し、Si基板表面から第1の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層を成長させる。
(2)第1の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層の側面の一部から第1の下地絶縁膜バリア層(TiN)上に第1の横(水平)方向エピタキシャルSi層を成長させる。(下層半導体層の形成)
(3)第1の下地絶縁膜バリア層(TiN)直上の絶縁膜及び下層半導体層(Si)直下以外の第1の下地絶縁膜バリア層(TiN)を除去し、形成された開孔部に素子分離用の絶縁膜を平坦に埋め込み、下層半導体層の素子分離領域を形成する。
(4)下層半導体層上を含む全面に複数層からなる層間絶縁膜及び第2の下地絶縁膜バリア層(TiN)を形成し、選択的に開孔し、第1の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層の表面を露出させる。
(5)第1の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層上に第2の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層を成長させる。
(6)第2の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層の側面の一部から第2の下地絶縁膜バリア層(TiN)上に第2の横(水平)方向エピタキシャルSi層を成長させる。(上層半導体層の形成)
(7)上層半導体層の一部、直下の第2の下地絶縁膜バリア層(TiN)、層間絶縁膜の一部、第2及び第1の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層を除去し、開孔部を形成する。
(8)開孔部下の下層半導体層の一部にp
+型ソースドレイン領域を形成する。
(9)第2の下地絶縁膜バリア層(TiN)直上の絶縁膜及び上層半導体層(Si)直下以外の第2の下地絶縁膜バリア層(TiN)を除去し、形成された3段の開孔部に素子分離用の絶縁膜を平坦に埋め込み、上層半導体層の素子分離領域及び下層半導体層の素子分離領域の一部を形成する。
(10)上層半導体層上を含む全面に複数層からなる第1のマスク層を形成して後、チャネル部に相当する箇所の第1のマスク層の一部を除去し、第1段目の開孔部を形成する。
(11)異方性ドライエッチングにより、第1段目の開孔部の側壁に第2のマスク層を形成する。
(12)第2のマスク層により、チャネル部に相当する箇所の残りの第1のマスク層、上層半導体層、第2の下地絶縁膜バリア層、上層半導体層の素子分離用絶縁膜、層間絶縁膜、下層半導体層、第1の下地絶縁膜バリア層、下層半導体層の素子分離用絶縁膜及び下層絶縁膜の一部を選択的に順次異方性ドライエッチングし、第2段目の開孔部を形成する。
(13)開孔部を通じ、第1及び第2の下地絶縁膜バリア層を若干等方性エッチングし、上層及び下層半導体層下に間隙部を形成する。
(14)間隙部に絶縁膜を埋め込む。(以後形成する変形一体化包囲型ゲート電極と下地絶縁膜バリア層とを絶縁分離する。)
(15)第2のマスク層をエッチング除去し、2段になった第1段目及び第2段目の開孔部を形成する。
(16)露出した上層及び下層半導体層の側面間にそれぞれチャネル領域形成用のSi層を成長する。(直下は空孔で、完全な単結晶半導体層を形成、MIS電界効果トランジスタのチャネル領域形成用半導体層)
(17)チャネル領域形成用のそれぞれの半導体層の周囲にゲート絶縁膜を形成する。
(18)ゲート絶縁膜上から下層半導体層及び上層半導体層に閾値電圧制御用の不純物を順次イオン注入する。
(19)開孔部に変形一体化包囲型ゲート電極(上下に一体化(共通化)された、上層半導体層の上面部のゲート電極長が上層半導体層の側面部、下面部及び下層半導体層の全周囲のゲート電極長より長い包囲型ゲート電極)を平坦に埋め込む。(Nチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタの変形一体化包囲型ゲート電極形成)
(20)残りの第1のマスク層をすべてエッチング除去して後、変形一体化包囲型ゲート電極及び上層半導体層の素子分離領域をマスク層として、露出した上層半導体層及び層間絶縁膜を除去し、変形一体化包囲型ゲート電極に自己整合して下層半導体層にp
+型ソースドレイン領域を形成する。
(21)露出した上層半導体層の側面から空孔上にソースドレイン領域形成用の上層半導体層を再形成する。
(22)変形一体化包囲型ゲート電極あるいは側壁に形成したサイドウォールに自己整合してn型ソースドレイン領域あるいはn
+型ソースドレイン領域を上層半導体層に順次形成する。
(23)さらに層間絶縁膜を形成後、ビア及び配線を形成し、下層及び上層半導体層に形成したMIS電界効果トランジスタを適宜接続する。
等の技術を使用して、
1)変形一体化包囲型ゲート電極の形成によるバックチャネルリークの改善
2)ソースドレイン領域形成用の不純物のイオン注入後のエピタキシャル成長半導体層の低温化
等を考慮して、
半導体基板上に複数層からなる絶縁膜を介して下層半導体層が設けられ、さらに積層された層間絶縁膜及び空孔を介して上層半導体層が設けられ、自己整合して、下層及び上層半導体層の一部の周囲にゲート絶縁膜を介して包囲する構造に、上下に一体化(共通化)し、部分的にゲート電極長が異なる、ゲート電極(変形一体化包囲型ゲート電極)が設けられ、変形一体化包囲型ゲート電極に自己整合して、下層及び上層半導体層にそれぞれ異なる導電型のソースドレイン領域が設けられた積層構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型半導体装置を形成したものである。
【実施例1】
【0009】
以下本発明を図示実施例により具体的に説明する。
全図を通じ同一対象物は同一符号で示す。ただし、側断面図における斜線は主要な絶縁膜のみに記載し、配線は若干の前後のずれを含んで描かれており、また発明の要部を示すため、水平方向及び垂直方向のサイズは正確な寸法を示していない。
図1〜
図34は本発明の半導体装置における第1の実施例で、
図1はチャネル長方向で、チャネル領域部の模式側断面図、
図2はチャネル幅方向で、チャネル領域部の模式側断面図、
図3はチャネル長方向で、変形一体化包囲型ゲート電極部の模式側断面図、
図4〜
図34は製造方法の工程断面図である。
【0010】
図1〜
図3はシリコン(Si)基板を使用し、TSSG構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型半導体集積回路の一部を示しており、1は10
15cm
−3程度のp型のシリコン(Si)基板、2は100nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)、3は80nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)、4は20nm程度の下地絶縁膜バリア層(TiN)、5は70nm程度の素子分離領域のシリコン窒化膜(Si
3N
4)、6は20nm程度の埋め込みシリコン酸化膜(SiO
2)、7は10
17cm
−3程度のn型のエピタキシャルSi層(下層半導体層、ソースドレイン領域形成部)、8は10
17cm
−3程度のn型のエピタキシャルSi層(下層半導体層、チャネル領域形成部)、9は10nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)、10は5nm程度のゲート酸化膜(SiO
2)、11は長さ30nm程度、厚さ100nm程度の変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)、12は10
20cm
−3程度のp
+型ソース領域、13は10
20cm
−3程度のp
+型ドレイン領域、14は70nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)、15は70nm程度の素子分離領域のシリコン窒化膜(Si
3N
4)、16は空孔、17は10
17cm
−3程度のp型のエピタキシャルSi層(上層半導体層、ソースドレイン領域形成部の一部)、18は10
17cm
−3程度のp型のエピタキシャルSi層(上層半導体層、、チャネル領域形成部)、19はp型のエピタキシャルSi層(上層半導体層、ソースドレイン領域形成部の一部)、20は10
20cm
−3程度のn
+型ソース領域、21は5×10
17cm
−3程度のn型ソース領域、22は5×10
17cm
−3程度のn型ドレイン領域、23は10
20cm
−3程度のn
+型ドレイン領域、24は20nm程度のサイドウォール(SiO
2)、25は300nm程度の燐珪酸ガラス(PSG)膜、26は20nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)、27は10nm程度のバリアメタル(TiN)、28は導電プラグ(W)、29は500nm程度の絶縁膜(SiOC)、30は10nm程度のバリアメタル(TaN)、31は500nm程度のCu配線(Cuシード層含む)、32は20nm程度のバリア絶縁膜(Si
3N
4)を示している。
【0011】
図1はチャネル長方向で、チャネル領域部の模式側断面図を示しており、p型のシリコン基板1上にシリコン窒化膜(Si
3N
4)2が設けられ、シリコン窒化膜(Si
3N
4)2上には、選択的にシリコン酸化膜(SiO
2)3が設けられ、シリコン酸化膜(SiO
2)3上には、選択的に下地絶縁膜バリア層(TiN)4あるいは埋め込みシリコン酸化膜(SiO
2)6が設けられ、下地絶縁膜バリア層(TiN)4あるいは埋め込みシリコン酸化膜(SiO
2)6上には、n型の一対のSi層7が設けられ、一対のSi層7の対向する側面間にn型のSi層8が挟まれて設けられている構造からなる下層半導体層(7、8)が設けられ、下層半導体層(7、8)上には、選択的にシリコン窒化膜(Si
3N
4)9及び空孔16を介してp型の一対のSi層19が設けられ、一対のSi層19の対向する側面間に、p型のSi層18を左右から挟んだ一対のSi層17が挟まれている構造からなる上層半導体層(17、18、19)が設けられ、下層半導体層(7、8)及び上層半導体層(17、18、19)は、素子分離領域のシリコン窒化膜(Si
3N
4)(5、15)によりそれぞれ島状に絶縁分離されている。積層されたSi層8及びSi層18(一部Si層17の上面部も含む)の周囲にはゲート酸化膜(SiO
2)10を介して、一体化(共通化)し、部分的にゲート電極長が異なる、包囲型ゲート電極(Si層18の上面部のゲート電極長がSi層18の側面部及び下面部且つSi層8のすべての面のゲート電極長より長い、変形一体化包囲型ゲート電極)11がシリコン窒化膜(Si
3N
4)2上に設けられ、変形一体化包囲型ゲート電極11の上面部の側壁にはサイドウォール24が設けられ、Si層7には、概略p
+型ソースドレイン領域(12、13)が設けられ、Si層8には、概略チャネル領域が設けられている(実際にはp
+型ソースドレイン領域(12、13)が若干横方向拡散されている)PチャネルのMIS電界効果トランジスタが下層半導体層(7、8)に形成されており、一方Si層17及びSi層19には、概略n型ソースドレイン領域(21、22)及びn
+型ソースドレイン領域(20、23)が設けられ、Si層18には、概略チャネル領域が設けられている(実際にはn型ソースドレイン領域(21、22)が若干横方向拡散されている)LDD構造からなるNチャネルのMIS電界効果トランジスタが上層半導体層(17、18、19)に形成されている。またp
+型ソースドレイン領域(12、13)及びn
+型ソースドレイン領域(20、23)には、それぞれバリアメタル(TiN)27を有する導電プラグ(W)28を介してバリアメタル(TaN)30を有するCu配線31が接続されている。
【0012】
図2はチャネル幅方向で、チャネル領域部の模式側断面図を示しており、p型のシリコン基板1上にシリコン窒化膜(Si
3N
4)2が設けられ、シリコン窒化膜(Si
3N
4)2上には、ゲート酸化膜(SiO
2)10を介して変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11に包囲された構造を有するSi層8及びSi層18が設けられている。変形一体化包囲型ゲート電極11の一部には、バリアメタル(TiN)27を有する導電プラグ(W)28を介してバリアメタル(TaN)30を有するCu配線31が接続されている。
【0013】
図3はチャネル長方向で、変形一体化包囲型ゲート電極部の模式側断面図を示しており、p型のシリコン基板1上にシリコン窒化膜(Si
3N
4)2が設けられ、シリコン窒化膜(Si
3N
4)2上には、選択的にシリコン酸化膜(SiO
2)3が設けられ、シリコン酸化膜(SiO
2)3上には、シリコン窒化膜(Si
3N
4)5、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9、シリコン酸化膜(SiO
2)14及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15が積層され、シリコン酸化膜(SiO
2)3、シリコン窒化膜(Si
3N
4)5、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9、シリコン酸化膜(SiO
2)14及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15が設けられていない箇所のシリコン窒化膜(Si
3N
4)2上には、変形一体化包囲型ゲート電極11が形成されている。この側断面図では、本来Si層7、Si層17及びSi層19は存在しないが、変形一体化包囲型ゲート電極11との位置関係を明確にするために、少し奥に存在するSi層7、Si層17及びSi層19を破線で示している。本図は変形一体化包囲型ゲート電極11の上層半導体層(17、18、19)の上面部のゲート電極長が、上層半導体層(17、18、19)の側面部及び下面部のゲート電極長且つ下層半導体層(7、8)のすべての面のゲート電極長より長いことを明示するために描かれたものであり、製造方法は後述するが、ゲート電極長の長短は自己整合的になされているものである。
【0014】
したがって、通常の安価な半導体基板を使用して、エピタキシャル成長による半導体層の成長時において、エピタキシャル成長半導体層と下地絶縁膜が接触しないように、下地絶縁膜の上面に下地絶縁膜バリア層(TiN)を設けて、エピタキシャル成長半導体層を形成することにより、下地絶縁膜の影響による部分非晶質化を防止した完全な単結晶半導体層からなる下層半導体層及び上層半導体層(SOI基板)を設け、積層した上下のSOI基板において、それぞれのSOI基板のチャネル領域形成箇所の周囲にゲート酸化膜を介して一体化(共通化)した変形(部分的にゲート電極長が異なる)包囲型ゲート電極を設け、チャネル領域を形成し、概略残りのSOI基板に一導電型あるいは反対導電型のソースドレイン領域を設けた積層SOI構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを形成できるため、ソースドレイン領域の接合容量の低減(実質ゼロ)、空乏層容量の低減、ソースドレイン領域の耐圧改善及びサブスレッショルド特性を改善できることによる閾値電圧の低減、低電力化等が可能である。
また半導体層のチャネル領域形成箇所を、ゲート酸化膜を介して完全に包囲する包囲型ゲート電極を形成でき、且つ上下層に積層した半導体層に形成したPチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極とNチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極を自己整合して一体化(共通化)した一体化包囲型ゲート電極を形成でき、さらに部分的にゲート電極長が異なる変形一体化包囲型ゲート電極を自己整合して形成できるため、チャネル以外の電流経路を遮断でき、完全なチャネル制御が可能であり、バックチャネルリークを改善する(CMOSのSOI化を実現するために絶対に克服しなくてはならない課題)ことができることによる高信頼性及び高性能化を、4面(上下面及びチャネル幅方向の2側面)にチャネルを形成できるため、表面(上面)の占有面積を増やすことなくチャネル幅を増加できるので、駆動電流を増加できることによる高速化及び高集積化を、下層半導体層に形成したPチャネルMIS電界効果トランジスタの直上に上層半導体層に形成したNチャネルMIS電界効果トランジスタを積層して形成できることによる表面(上面)の占有面積の微細化による高集積化を、PチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極とNチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極を自己整合して一体化できることによるゲート電極配線の高集積化を達成でき、さらに上層半導体層に形成するNチャネルMIS電界効果トランジスタにおいて、実効チャネル長(ソースドレイン領域間の最短距離)を規定する上面部のゲート電極長と、実効チャネル長の規定には関与しない側面部及び下面部のゲート電極長を別扱いし、自己整合して側面部及び下面部のゲート電極長を上面部のゲート電極長より短くすることにより、側面部及び下面部の包囲型ゲート電極とソースドレイン領域との重なりを縮小し、浮遊容量を低減できることによる高速化を、半導体層に対向する包囲型ゲート電極の面積を縮小できることにより、ゲート容量を低減できることによる高速化を、達成することが可能である。
また成長するシリコン窒化膜(Si
3N
4)の膜厚により、下層半導体層及び上層半導体層(SOI基板)の膜厚を決定できるため、大口径ウエハーによる製造にも対応できる、完全空乏型のSOI構造の半導体層を容易に形成することが可能である。
また下層半導体層及び上層半導体層(SOI基板)を形成するために必要な、それぞれの縦(垂直)方向エピタキシャル半導体層を自己整合して素子分離領域の一部を形成する埋め込み絶縁膜に変換できることによる高信頼性及び高集積化を可能にすることができる。
またエピタキシャル成長半導体層形成後に、自己整合的に埋め込みシリコン酸化膜(SiO
2)を形成できるため、完全な単結晶半導体層を得るために必要な下地絶縁膜バリア層(TiN)とバックチャネルリークを防止するために必要な変形一体化包囲型ゲート電極とを絶縁分離することが可能である。
また下層半導体層及び上層半導体層間に空孔を設けることにより、通常のシリコン酸化膜が形成された構造に比較し、p
+型ソースドレイン領域とn
+型ソースドレイン領域間の容量を大幅に低減することが可能(該当箇所では、空気とシリコン酸化膜(SiO
2)との誘電率の相違で約1/4になる)で、高速化を可能にすることもできる。
また微細な、結晶性が極めて良好な半導体層の一部(チャネル領域形成箇所)に自己整合して、MIS電界効果トランジスタの構成要素(低濃度及び高濃度のソースドレイン領域、ゲート酸化膜及び変形一体化包囲型ゲート電極)を微細に形成することも可能である。
即ち、高速大容量通信装置、携帯情報端末、車載用機器、各種電子機械機器、宇宙関連機器等に対応可能な大規模半導体集積回路の製造を可能とする、高速、高信頼、高性能及び高集積を併せ持つ極めて低電力なCMOS型半導体装置を得ることができる。
【0015】
次いで本発明に係る半導体装置における第1の実施例の第1の製造方法について
図1〜
図34を参照し、チャネル長方向を示す模式側断面図を用いて説明するが、主要な工程においてはチャネル幅方向の模式側断面図も適宜追加して説明する。ただし、ここでは本発明の半導体装置の形成に関する製造方法のみを記述し、一般の半導体集積回路に搭載される各種の素子(他のトランジスタ、抵抗、容量等)の形成に関する製造方法の記述は省略する。
【0016】
図4(チャネル長方向、チャネル領域部)
化学気相成長により、p型のシリコン基板1上にシリコン窒化膜(Si
3N
4)2を100nm程度成長する。次いで化学気相成長により、80nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)3を成長する。次いで化学気相成長により、20nm程度の下地絶縁膜バリア層(TiN)4を成長する。次いで化学気相成長により、エピタキシャル半導体層膜厚規定用絶縁膜となるシリコン窒化膜(Si
3N
4)33を50nm程度成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)33、下地絶縁膜バリア層(TiN)4、シリコン酸化膜(SiO
2)3及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)2を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0017】
図5(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露出したp型のシリコン基板1上にn型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層34を成長する。次いで化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing 以後CMPと略称)し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)33の平坦面より突出した縦(垂直)方向エピタキシャルSi層34を平坦化する。次いで選択化学気相成長法により30nm程度のタングステン膜35を成長する。
【0018】
図6(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)33を異方性ドライエッチングし、縦(垂直)方向エピタキシャルSi層34の一部側面及び下地絶縁膜バリア層(TiN)4の一部上面を露出する開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0019】
図7(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露出した縦(垂直)方向エピタキシャルSi層34の側面から下地絶縁膜バリア層(TiN)4上にn型の横(水平)方向エピタキシャルSi層7を成長し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)33の開孔部を埋め込む。ここで成長したSi層7は下地絶縁膜バリア層(TiN)4により下地のシリコン酸化膜(SiO
2)3の影響を受けない完全な単結晶半導体層となる。(この下地絶縁膜バリア層(TiN)4がないと下地のシリコン酸化膜(SiO
2)3の影響を受け一部が非晶質化した半導体層となってしまい、ソースドレイン領域間に微少な電流リークを生じる原因となる。)
【0020】
図8
次いでSi層7をマスク層として、タングステン膜35、シリコン窒化膜(Si
3N
4)33及び下地絶縁膜バリア層(TiN)4を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いで化学気相成長により、70nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)を成長する。次いでSi層7の平坦面上のシリコン窒化膜(Si
3N
4)を化学的機械研磨(CMP)し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)5を開孔部に平坦に埋め込み素子分離領域を形成する。
【0021】
図9(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9を10nm程度成長する。次いで化学気相成長により、70nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)14を成長する。次いで化学気相成長により、20nm程度の下地絶縁膜バリア層(TiN)36を成長する。次いで化学気相成長により、エピタキシャル半導体層膜厚規定用絶縁膜となるシリコン窒化膜(Si
3N
4)37を50nm程度成長する。
【0022】
図10(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)37、下地絶縁膜バリア層(TiN)36、シリコン酸化膜(SiO
2)14及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)9を順次異方性ドライエッチングし、Si層34上に開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0023】
図11(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露出したSi層34上にp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層38を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)37の平坦面より突出した縦(垂直)方向エピタキシャルSi層38を平坦化する。次いで選択化学気相成長法により30nm程度のタングステン膜39を成長する。
【0024】
図12(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)37を異方性ドライエッチングし、縦(垂直)方向エピタキシャルSi層38の一部側面及び下地絶縁膜バリア層(TiN)36の一部上面を露出する開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0025】
図13(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露出した縦(垂直)方向エピタキシャルSi層38の側面から下地絶縁膜バリア層(TiN)36上にp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層17を成長し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)37の開孔部を埋め込む。ここで成長したSi層17は下地絶縁膜バリア層(TiN)36により下地のシリコン酸化膜(SiO
2)14の影響を受けない完全な単結晶半導体層となる。(この下地絶縁膜バリア層(TiN)36がないと下地のシリコン酸化膜(SiO
2)14の影響を受け一部が非晶質化した半導体層となってしまい、ソースドレイン領域間に微少な電流リークを生じる原因となる。)
【0026】
図14(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、タングステン膜39、Si層38、Si層34、Si層17、下地絶縁膜バリア層(TiN)36及びシリコン酸化膜(SiO
2)14を順次異方性ドライエッチングし、2段の開孔部を形成する。次いで露出したシリコン窒化膜(Si
3N
4)9を通してSi層7に硼素をイオン注入し、p
+型ソースドレイン領域(12、13)の一部を形成する。この際、露出したp型のシリコン基板1にも硼素がイオン注入されるが、特に問題はない。次いでレジスト(図示せず)を除去する。(ここではp
+型ソースドレイン領域の活性化及び深さ制御用の熱処理工程は行わないが、p
+型ソースドレイン領域は図示しておく。)
【0027】
図15(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いでSi層17をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)(37、9)及び下地絶縁膜バリア層(TiN)36を順次異方性ドライエッチングする。この際、開孔部は3段になる。
【0028】
図16(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、150nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)を成長する。次いでSi層17の平坦面より上に存在するシリコン窒化膜(Si
3N
4)を化学的機械研磨(CMP)し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)15を開孔部に平坦に埋め込み素子分離領域を形成する。
【0029】
図17(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、10nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)40を成長する。次いで化学気相成長により、90nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)41を成長する。次いで化学気相成長により、30nm程度の多結晶シリコン膜(polySi)42を成長する。次いで化学気相成長により、20nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)43を成長する。
【0030】
図18(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図19(チャネル幅方向、チャネル領域部)
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)43、多結晶シリコン膜(polySi)42及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)41を選択的に順次異方性ドライエッチングし、シリコン酸化膜(SiO
2)40の一部を露出する開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0031】
図20(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図21(チャネル幅方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、3nm程度のタングステン膜(W)44を成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、開孔部の側壁にのみタングステン膜(W)44を残す。
【0032】
図22(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図23(チャネル幅方向、チャネル領域部)
次いでタングステン膜(W)44及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)43をマスク層として、シリコン酸化膜(SiO
2)40、Si層17及び下地絶縁膜バリア層(TiN)36を順次異方性ドライエッチングする。次いでタングステン膜(W)44をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)15(Si層17の幅方向の両側に存在)を異方性ドライエッチングする。(その際、シリコン窒化膜(Si
3N
4)43もエッチング除去される。)次いでタングステン膜(W)44及び多結晶シリコン膜(polySi)42をマスク層として、シリコン酸化膜(SiO
2)14、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)5(Si層7の幅方向の両側に存在)を順次異方性ドライエッチングする。次いでタングステン膜(W)44をマスク層として、露出したSi層7の一部を異方性ドライエッチングする。(その際、多結晶シリコン膜(polySi)42もエッチング除去される。)次いでタングステン膜(W)44及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)41をマスク層として、下地絶縁膜バリア層(TiN)4及びシリコン酸化膜(SiO
2)3を選択的に順次異方性ドライエッチングし、シリコン窒化膜(Si
3N
4)2の一部を露出する開孔部を形成する。
【0033】
図24(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで下地絶縁膜バリア層(TiN)(36、4)を20nm程度等方性ドライエッチングし、Si層(17、7)の一部下に間隙部を形成する。
【0034】
図25(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、10nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)6成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、間隙部以外のシリコン酸化膜(SiO
2)を除去し、間隙部にシリコン酸化膜(SiO
2)6を埋め込む。(このシリコン酸化膜(SiO
2)6は後に形成する変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11と下地絶縁膜バリア層(TiN)(36、4)とを絶縁分離するためのものである。)
【0035】
図26(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図27(チャネル幅方向、チャネル領域部)
次いでタングステン膜(W)44をエッチング除去し、2段の開孔部を形成する。次いで低温成長(500℃以下)が可能なECRプラズマCVD装置(electron coupling resonance plasma enhanced chemical vapor deposition system)により側面がそれぞれ露出しているSi層7及びSi層17の側面間にn型の横(水平)方向エピタキシャルSi層8及びSi層18を成長し、下部に空孔を有する下層半導体層(7、8)及び上層半導体層(17、18)を形成する。(この際、空孔直上は下地の影響が全くない完全な単結晶半導体層となる。)
【0036】
図28(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図29(チャネル幅方向、チャネル領域部)
次いで露出しているシリコン酸化膜(SiO
2)40を異方性ドライエッチングする。次いで露出しているSi層8及びSi層18の全周囲に5nm程度のゲート酸化膜(SiO
2)10を成長する。次いでSi層18を貫通する、25kev程度の加速電圧でSi層8に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。次いで10kev程度の加速電圧でSi層18に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。次いで化学気相成長により、上下層ゲート酸化膜(SiO
2)10の全周囲を含む全面に残された開孔部を完全に埋め込むように100nm程度のタングステンシリサイド膜(WSi)を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)41上に成長されたタングステンシリサイド膜(WSi)を除去し、平坦化する。こうして深い開孔部に平坦に埋め込まれた変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11が形成される。次いで800℃程度でランニングし、チャネル領域を活性化する。
【0037】
図30(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いでシリコン窒化膜(Si
3N
4)41及びシリコン酸化膜(SiO
2)40をエッチング除去する。次いで変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15をマスク層として、露出しているSi層17、下地絶縁膜バリア層(TiN)36及びシリコン酸化膜(SiO
2)(14、6)を順次異方性ドライエッチングして、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9を露出する開孔部を形成する。
【0038】
図31(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15をマスク層として、Si層7に2回目のp
+型ソースドレイン領域(12、13)形成用の硼素のイオン注入をおこなう。(ここではp
+型ソースドレイン領域の活性化及び深さ制御用の熱処理工程は行わないが、p
+型ソースドレイン領域は図示しておく。)次いで低温成長(500℃以下)が可能なECRプラズマCVD装置により露出しているSi層17の側面にp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層19を成長し、下部に空孔16を有する上層半導体層(17、18、19)を形成する。
【0039】
図32(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)を成長する。次いで変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15をマスク層として、Si層19にn型ソースドレイン領域(21、22)形成用の燐のイオン注入をおこなう。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)をエッチング除去する。次いで化学気相成長により、20nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)を成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11の上面部の側壁にサイドウォール(SiO
2)24を形成する。次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)を成長する。次いでサイドウォール(SiO
2)24及び変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11をマスク層として、n
+型ソースドレイン領域(20、23)形成用の砒素のイオン注入をおこなう。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)をエッチング除去する。次いでRTP(Rapid Thermal Processing)法によりアニールをおこない、n型ソースドレイン領域(21、22)、n
+型ソースドレイン領域(20、23)及びp
+型ソースドレイン領域(12、13)を形成する。
【0040】
図33(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、300nm程度のPSG膜25を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、平坦化する。次いで化学気相成長により、20nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)26を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)26、PSG膜25及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15を順次異方性ドライエッチングし、ビアを形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0041】
図34(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、バリアメタルとなるTiN27を成長する。次いで化学気相成長により、タングステン(W)28を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)により、ビアに平坦に埋め込み、バリアメタル(TiN)27を有する導電プラグ(W)28を形成する。
【0042】
図1(チャネル長方向、チャネル領域部)、
図2(チャネル幅方向、チャネル領域部)及び
図3(チャネル長方向、変形一体化包囲型ゲート電極部)
次いで化学気相成長により、500nm程度の絶縁膜(SiOC)29を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、絶縁膜(SiOC)29を異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。(この際、シリコン窒化膜(Si
3N
4)26がエッチングストッパー膜となる。)次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで化学気相成長により、10nm程度のバリアメタル(TaN)30を成長する。次いでスパッタにより、Cuシード層を成長する。次いで電解メッキ法により500nm程度のCuを成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、開孔部にCuを平坦に埋め込み、バリアメタル(TaN)30を有するCu配線31を形成する。次いで化学気相成長により、Cuのバリア絶縁膜となるシリコン窒化膜(Si
3N
4)32を成長し、本願発明の積層TSSG構造のNチャネル及びPチャネルのMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を完成する。
【実施例5】
【0046】
図38(チャネル長方向、チャネル領域部)、
図39(チャネル幅方向、チャネル領域部)、
図40(チャネル幅方向、ソースドレイン領域部)及び
図41(チャネル長方向、変形一体化包囲型ゲート電極部)は本発明の半導体装置における第5の実施例の模式側断面図で、シリコン(Si)基板を使用し、TSSG構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型半導体集積回路の一部を示しており、1〜16、18〜32は
図1と同じ物を、51は空孔を包囲するシリコン酸化膜(SiO
2)を示している。
同図においては、NチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極長を長く、PチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極長を短く形成していること、上層半導体層のn
+型ソースドレイン領域直下に直接空孔が形成される替りに薄いシリコン酸化膜51で包囲された構造の空孔が形成されていること及び変形一体化包囲型ゲート電極の中間部(NチャネルMIS電界効果トランジスタの下面部)の側面にはシリコン酸化膜(SiO
2)14が形成されていないこと以外は
図1とほぼ同じ構造の半導体装置が形成されている。
本実施例においては第1の実施例と同様の効果を得ることができ、また製造方法がやや複雑になるが、NチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極長とPチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極長を独立して設定することが可能であり、またn
+型ソースドレイン領域とp
+型ソースドレイン領域間の電流リーク特性を強化することも可能である。
【0047】
次いで本発明に係る半導体装置における第5の実施例の製造方法について
図42〜
図55及び
図38〜
図41を参照して説明する。ただし、ここでは本発明の半導体装置の形成に関する製造方法のみを記述し、一般の半導体集積回路に搭載される各種の素子(他のトランジスタ、抵抗、容量等)の形成に関する製造方法の記述は省略する。
【0048】
図4〜
図16の工程をおこなった後、
図42〜
図55の工程をおこなう。
【0049】
図42(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、10nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)40を成長する。次いで化学気相成長により、90nm程度のシリコン窒化膜(Si
3N
4)41を成長する。次いで化学気相成長により、30nm程度の多結晶シリコン膜(polySi)42を成長する。
【0050】
図43(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、多結晶シリコン膜(polySi)42、シリコン窒化膜(Si
3N
4)41、シリコン酸化膜(SiO
2)40、シリコン窒化膜(Si
3N
4)15(Si層17の幅方向の両側に存在)、Si層17、下地絶縁膜バリア層(TiN)36及びシリコン酸化膜(SiO
2)14を選択的に順次異方性ドライエッチングし、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9の一部を露出する開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0051】
図44(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、3nm程度のタングステン膜(W)44を成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、開孔部の側壁にのみタングステン膜(W)44を残す。
【0052】
図45(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いでタングステン膜(W)44及び多結晶シリコン膜(polySi)42をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)5(Si層7の幅方向の両側に存在)を順次異方性ドライエッチングする。次いでタングステン膜(W)44をマスク層として、露出したSi層7の一部を異方性ドライエッチングする。(その際、多結晶シリコン膜(polySi)42もエッチング除去される。)次いでタングステン膜(W)44及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)41をマスク層として、下地絶縁膜バリア層(TiN)4及びシリコン酸化膜(SiO
2)3を選択的に順次異方性ドライエッチングし、シリコン窒化膜(Si
3N
4)2の一部を露出する開孔部を形成する。
【0053】
図46(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで下地絶縁膜バリア層(TiN)4を20nm程度等方性ドライエッチングし、Si層7の一部下に間隙部を形成する。
【0054】
図47(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで化学気相成長により、10nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)6成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、間隙部以外のシリコン酸化膜(SiO
2)を除去し、間隙部にシリコン酸化膜(SiO
2)6を埋め込む。(このシリコン酸化膜(SiO
2)6は後に形成する変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11と下地絶縁膜バリア層(TiN)4とを絶縁分離するためのものである。)
【0055】
図48(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いでタングステン膜(W)31をエッチング除去し、2段の開孔部を形成する。次いで低温成長(500℃以下)が可能なECRプラズマCVD装置により側面がそれぞれ露出しているSi層7及びSi層17の側面間にn型の横(水平)方向エピタキシャルSi層8及びSi層18を成長し、下部に空孔を有する下層半導体層(7、8)及び上層半導体層(17、18)を形成する。(この際、空孔直上は下地の影響が全くない完全な単結晶半導体層となる。)
【0056】
図49(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで露出しているSi層8及びSi層18の全周囲に5nm程度のゲート酸化膜(SiO
2)10を成長する。次いでSi層18を貫通する、25kev程度の加速電圧でSi層8に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。次いで10kev程度の加速電圧でSi層18に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。次いで化学気相成長により、上下層ゲート酸化膜(SiO
2)10の全周囲を含む全面に残された開孔部を完全に埋め込むように100nm程度のタングステンシリサイド膜(WSi)を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、シリコン窒化膜(Si
3N
4)41上に成長されたタングステンシリサイド膜(WSi)を除去し、平坦化する。こうして深い開孔部に平坦に埋め込まれた変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11が形成される。次いで800℃程度でランニングし、チャネル領域を活性化する。
【0057】
図50(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いでシリコン窒化膜(Si
3N
4)41及びシリコン酸化膜(SiO
2)40をエッチング除去する。次いで変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15をマスク層として、露出しているSi層17、下地絶縁膜バリア層(TiN)36及びシリコン酸化膜(SiO
2)14を順次異方性ドライエッチングして、シリコン窒化膜(Si
3N
4)9を露出する開孔部を形成する。
【0058】
図51(チャネル長方向、チャネル領域部)
次いで変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15をマスク層として、Si層7に2回目のp
+型ソースドレイン領域(12、13)形成用の硼素のイオン注入をおこなう。(ここではp
+型ソースドレイン領域の活性化及び深さ制御用の熱処理工程は行わないが、p
+型ソースドレイン領域は図示しておく。)次いで低温成長(500℃以下)が可能なECRプラズマCVD装置により露出しているSi層18の側面にp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層19を成長し、下部に空孔16を有する上層半導体層(18、19)を形成する。
【0059】
図52(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図53(チャネル幅方向、ソースドレイン領域部)
次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)を成長する。次いで変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びシリコン窒化膜(Si
3N
4)15をマスク層として、Si層19にn型ソースドレイン領域(21、22)形成用の燐のイオン注入をおこなう。(ここではn型ソースドレイン領域の活性化及び深さ制御用の熱処理工程は行わないが、n型ソースドレイン領域は図示しておく。)次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)をエッチング除去する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)、変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11及びSi層19をマスク層として、シリコン窒化膜(Si
3N
4)15(Si層19の幅方向の両側に存在)及びシリコン酸化膜(SiO
2)14を選択的に順次異方性ドライエッチングし、Si層19の幅方向の両側に空孔16に達する間隙部(幅40nm程度)を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0060】
図54(チャネル長方向、チャネル領域部)及び
図55(チャネル幅方向、ソースドレイン領域部)
次いで化学気相成長により、20nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)を成長する。次いで全面異方性ドライエッチングすることにより、Si層19とシリコン窒化膜(Si
3N
4)15の間隙部を埋め込み、Si層19の下面、変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11の中間部の側面、シリコン窒化膜(Si
3N
4)15の側面、シリコン酸化膜(SiO
2)14の側面、Si層7上のシリコン窒化膜(Si
3N
4)9の上面に20nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)51を形成し、シリコン酸化膜(SiO
2)51に包囲された空孔16を設け、ゲート酸化膜(SiO
2)10を介した変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11の上面部の側壁にサイドウォール(SiO
2)24を形成する。次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)を成長する。次いでサイドウォール(SiO
2)24及び変形一体化包囲型ゲート電極(WSi)11をマスク層として、n
+型ソースドレイン領域(20、23)形成用の砒素のイオン注入をおこなう。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO
2、図示せず)をエッチング除去する。次いでRTP法によりアニールをおこない、n型ソースドレイン領域(21、22)、n
+型ソースドレイン領域(20、23)及びp
+型ソースドレイン領域(12、13)を形成する。
【0061】
次いで
図33〜
図34の工程をおこなった後、
図38〜
図41の工程をおこなう。
【0062】
図38(チャネル長方向、チャネル領域部)、
図39(チャネル幅方向、チャネル領域部)、
図40(チャネル幅方向、ソースドレイン領域部)及び
図41(チャネル長方向、変形一体化包囲型ゲート電極部)
次いで化学気相成長により、500nm程度の絶縁膜(SiOC)29を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、SiOC膜29を異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。(この際、シリコン窒化膜(Si
3N
4)26がエッチングストッパー膜となる。)次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで化学気相成長により、10nm程度のバリアメタル(TaN)30を成長する。次いでスパッタにより、Cuシード層を成長する。次いで電解メッキ法により500nm程度のCuを成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、開孔部にCuを平坦に埋め込み、バリアメタル(TaN)30を有するCu配線31を形成する。次いで化学気相成長により、Cuのバリア絶縁膜となるシリコン窒化膜(Si
3N
4)32を成長し、本願発明のTSSG構造のNチャネル及びPチャネルのMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を完成する。
【0063】
上記実施例においては、半導体層を成長させる場合に化学気相成長を使用しているが、これに限定されず、分子線成長法(MBE)によっても、有機金属気相成長法(MOCVD)によっても、原子層結晶成長法(ALE)によっても、また他のいかなる結晶成長法を利用してもよい。
また上記実施例においては、下層半導体層にPチャネルMIS電界効果トランジスタを形成し、上層半導体層にNチャネルMIS電界効果トランジスタを形成したCMOS型半導体集積回路を形成しているが、これを逆にして形成してもよい。
またゲート電極、ゲート酸化膜、下地絶縁膜バリア層、バリアメタル、導電プラグ、配線、絶縁膜等は上記実施例に限定されず、同様の特性を有する材料であればどのような材料を使用してもよい。
また上記実施例においては、2層のSOI基板を形成する場合を説明しているが、4層以上のSOI基板を形成する場合にも本願発明を利用すれば製造は容易である。
また上記実施例においては、異なる導電型のMIS電界効果トランジスタを上下2つの半導体層にそれぞれ形成したCMOS型半導体集積回路を形成しているが、同じ導電型のMIS電界効果トランジスタを形成する場合に利用することも可能である。