特許第6162593号(P6162593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6162593-コンクリート構造物の構築方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162593
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】コンクリート構造物の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20170703BHJP
   E04B 2/84 20060101ALI20170703BHJP
   E04G 9/10 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   E04G21/02 103Z
   E04B2/84 F
   E04G9/10 102A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-262388(P2013-262388)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-117532(P2015-117532A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 裕生
(72)【発明者】
【氏名】浅井 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 健一
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−107030(JP,A)
【文献】 特開2012−202859(JP,A)
【文献】 米国特許第06405508(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
E04B 2/84
E04G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひび割れに起因する浸水を検知する機構を備えたコンクリート構造物を構築する、コンクリート構造物の構築方法において、
ひび割れ検知用のモニターコンクリート部を前記コンクリート構造物の内部となる所定の位置に配置する工程と、
前記コンクリート構造物を構築した後にその外部から前記モニターコンクリート部を視認できるように該コンクリート構造物の表面が配置される位置から前記モニターコンクリート部まで視認用のパイプ部材を配置する工程と、
該パイプ部材の開口の側から水や異物が浸入しないように該開口を蓋部材で閉塞する工程と、
該パイプ部材の内の少なくとも前記開口及び前記蓋部材が露出された状態で前記モニターコンクリート部及び前記パイプ部材が埋設されるように生コンクリートを打設して前記コンクリート構造物を構築する工程と、
を備え、
該モニターコンクリート部の圧縮強度が、該モニターコンクリート部の周囲のコンクリートの圧縮強度と同等か低く設定された、
ことを特徴とする、コンクリート構造物の構築方法。
【請求項2】
前記モニターコンクリート部は、前記パイプ部材の内部に開口するように上下方向に穿設された少なくとも1つの縦孔を有し、
該モニターコンクリート部の周囲のコンクリートにて発生したひび割れが該モニターコンクリート部にまで伝播した場合に、該ひび割れが前記縦孔を介して前記パイプ部材に連通するように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載の、コンクリート構造物の構築方法。
【請求項3】
前記モニターコンクリート部を配置する工程及び前記パイプ部材を配置する工程を複数回実施して、該モニターコンクリート部及び該パイプ部材を複数組配置し、
該複数のパイプ部材のいずれかで浸水を確認した場合には、該浸水が確認されたパイプ部材に隣接するパイプ部材からグラウトを注入できるようにする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の、コンクリート構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひび割れに起因する浸水を検知する機構を備えたコンクリート構造物を構築する、コンクリート構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物の内部にひび割れや該ひび割れに伴う浸水が発生しにくいように施工段階にて種々の対策がなされている。また、該コンクリート構造物を構築した後にひび割れの検知や浸水の検知を行う方法についても種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図2は、コンクリート構造物の内部に生じるひび割れを検知する従来のシステムの構成の一例を示す模式図であり、図中の符号100は、コンクリート構造物101の内部に埋め込まれたひび割れセンサを示し、符号102は、該センサ100からのデータの受信等を行う受信機を示し、符号103は、該データの解析を行うパソコンを示している。また、図3は、コンクリート構造物の内部に生じる浸水を検知する従来のシステムの構成の一例を示す模式図であり、図中の符号201は、コンクリート構造物(トンネルの天井)を示し、符号201aは、該コンクリート構造物201に生じたひび割れを示し、符号200は、該ひび割れ201aからの浸水(漏水)を電気的に検知するセンサを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−107030号公報
【特許文献2】特開2013−167551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図2図3に示すように電気的にひび割れや浸水を検知するものでは、断線等の故障の心配がある。
【0006】
本発明は、上述の問題を解消することのできる、コンクリート構造物の構築方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、図1に例示するものであって、ひび割れ(C)に起因する浸水を検知する機構を備えたコンクリート構造物(1)を構築する、コンクリート構造物の構築方法において、
ひび割れ検知用のモニターコンクリート部(2)を前記コンクリート構造物(1)の内部となる所定の位置に配置する工程と、
前記コンクリート構造物(1)を構築した後にその外部から前記モニターコンクリート部(2)を視認できるように該コンクリート構造物(1)の表面が配置される位置から前記モニターコンクリート部(2)まで視認用のパイプ部材(3)を配置する工程と、
該パイプ部材(3)の開口(3a)の側から水や異物が浸入しないように該開口(3a)を蓋部材(不図示)で閉塞する工程と、
該パイプ部材(3)の内の少なくとも前記開口(3a)及び前記蓋部材が露出された状態で前記モニターコンクリート部(2)及び前記パイプ部材(3)が埋設されるように生コンクリートを打設して前記コンクリート構造物(1)を構築する工程と、
を備え、
該モニターコンクリート部(2)の圧縮強度が、該モニターコンクリート部(2)の周囲のコンクリートの圧縮強度と同等か低く設定されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記モニターコンクリート部(2)が、前記パイプ部材(3)の内部に開口するように上下方向に穿設された少なくとも1つの縦孔(不図示)を有し、
該モニターコンクリート部(2)の周囲のコンクリートにて発生したひび割れ(C)が該モニターコンクリート部(2)にまで伝播した場合に、該ひび割れ(C)が前記縦孔を介して前記パイプ部材(3)に連通するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記モニターコンクリート部(2)を配置する工程及び前記パイプ部材(3)を配置する工程を複数回実施して、該モニターコンクリート部(2)及び該パイプ部材(3)を複数組配置し、
該複数のパイプ部材(3)のいずれかで浸水を確認した場合には、該浸水が確認されたパイプ部材(3)に隣接するパイプ部材(3)からグラウトを注入できるようにすることを特徴とする。
【0010】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び2に係る発明によれば、コンクリート構造物の外部から容易に浸水の有無を検知することができる。また、電気的なセンサを使用していないので断線等の心配もない。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、グラウトを注入していないパイプ部材を使ってさらなる浸水の有無を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係るコンクリート構造物の構築方法の一例を示す斜視図である。
図2図2は、コンクリート構造物の内部に生じるひび割れを検知する従来のシステムの構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、コンクリート構造物の内部に生じる浸水を検知する従来のシステムの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
本発明に係るコンクリート構造物の構築方法は、ひび割れに起因する浸水を検知する機構を備えたコンクリート構造物を構築する方法である。そして、該構築方法は、
・ ひび割れ検知用のコンクリート部(以下、“モニターコンクリート部”とする)2を前記コンクリート構造物1の内部となる所定の位置(そのコンクリート構造物においてひび割れCが発生し易い部分)に配置する工程と、
・ 前記コンクリート構造物1を構築した後にその外部から前記モニターコンクリート部2を視認できるように該コンクリート構造物1の表面(或いは表面の近傍)が配置される位置から前記モニターコンクリート部2まで視認用のパイプ部材3を配置する工程と、
・ 該パイプ部材3の開口3aの側から水や異物が浸入しないように該開口3aを蓋部材(不図示)で閉塞する工程と、
・ 該パイプ部材3の内の少なくとも前記開口3a及び前記蓋部材が露出された状態で前記モニターコンクリート部2及び前記パイプ部材3が埋設されるように生コンクリートを打設して前記コンクリート構造物1を構築する工程と、
からなり、また、該モニターコンクリート部2の圧縮強度は、該モニターコンクリート部2の周囲のコンクリートの圧縮強度と同等か低く設定されている。この場合、前記パイプ部材3は樹脂製であっても良いが、コンクリート構造物1の強度維持の見地からは金属製(鉄鋼製)が好ましい。
【0016】
本発明によれば、前記モニターコンクリート部2の圧縮強度は、その周囲のコンクリートの圧縮強度と同等か低く設定されているため、後者(つまり、前記モニターコンクリート部2の周囲のコンクリート)でひび割れCが発生すると該ひび割れCは図1に示すように前記モニターコンクリート部2にまで到達し得る。そして、該ひび割れCに雨水等が浸入すると前記パイプ部材3の底部に水が溜まり易いこととなる。したがって、コンクリート構造物1の外部から容易に浸水の有無を検知することができる。また、本発明によれば、電気的なセンサを使用していないので断線等の心配もない。
【0017】
この場合、前記モニターコンクリート部2は、前記パイプ部材3の内部に開口するように上下方向に穿設された少なくとも1つの縦孔(不図示)を有し、該モニターコンクリート部2の周囲のコンクリートにて発生したひび割れCが該モニターコンクリート部2にまで伝播した場合に、該ひび割れCが前記縦孔を介して前記パイプ部材3に連通するように構成すると良い。そのようにした場合には、該ひび割れCに伴う浸水の発生をより正確に検知できる。
【0018】
また、前記モニターコンクリート部2を配置する工程及び前記パイプ部材3を配置する工程を複数回実施して、該モニターコンクリート部2及び該パイプ部材3を複数組配置し、該複数のパイプ部材3のいずれかで浸水を確認した場合には、該浸水が確認されたパイプ部材3に隣接するパイプ部材3からグラウトを注入できるようにするようにしても良い。そのようにした場合には、グラウトを注入していないパイプ部材3を使ってさらなる浸水の有無を検知することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 コンクリート構造物
1a コンクリート構造物の穴
2 モニターコンクリート部
3 パイプ部材
3a パイプ部材の開口
図1
図2
図3