(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間構造体は、互いに間隔をあけて機体前後方向に延びた第1部材と第2部材、及び前記第1部材と前記第2部材との前部同士を連結する前連結部材と前記第1部材と前記第2部材との後部同士を連結する後連結部材とを含み、前記係合部は、前記第1部材の両端部及び前記第2部材の両端部に形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のミッドマウント型草刈機。
エンジン動力を前記ブレードハウジングに設けられているブレードに供給する動力伝達機構が機体側動力伝達機構とモアー側動力伝達機構とに分割され、前記機体側動力伝達機構の出力軸と前記モアー側動力伝達機構の入力軸とを連結する動力連結機構が前記中間構造体に支持されている請求項1から8のいずれか一項に記載のミッドマウント型草刈機。
前記動力連結機構は、前記出力軸と連結する第1連結端部及び前記入力軸と着脱自在に連結する第2連結端部を有するカップリング本体と、前記カップリング本体を保持するカップリング保持部と、前記カップリング保持部を機体前後方向で変位可能に前記中間構造体に取り付ける取り付けユニットとを備えている請求項9に記載のミッドマウント型草刈機。
前記取り付けユニットは、前記カップリング保持部を、前記第2連結端部の前記入力軸との連結が実現する連結位置と、第2連結端部の前記入力軸からの連結解除が実現する解除位置との間を直進移動させる請求項10に記載のミッドマウント型草刈機。
前記ブレードハウジングには、前記ブレードハウジングの対地高さを変更するためのゲージ輪ユニットが設けられており、前記ゲージ輪ユニットは、異なる対地高さを作り出す設定位置に切り替え可能であり、前記設定位置には、前記ブレードハウジングの少なくとも一部を対地接触させる位置が含まれている請求項1から11のいずれか一項に記載のミッドマウント型草刈機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記実情に鑑み、従来の昇降リンク機構に対して構造的な制約を与えずに、機体へのモアーユニットの連結を可能にするミッドマウント型草刈機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による、機体の下方で前輪と後輪との間にモアーユニットを装備するミッドマウント型草刈機は、機体前後方向で間隔をあけて前記機体に設けられた前リンクと後リンクとを含む昇降リンク機構と、前記前リンクの一端と前記後リンクの一端とを揺動軸芯を介して連結している中間構造体と、前記中間構造体の係合部と係合可能な被係合部を設けたブレードハウジングと、機体の前後方向の移動に伴って、地面に載置された前記ブレードハウジングと前記中間構造体とが連結するように前記係合部と前記被係合部とを係合位置に導く案内面とを備えている。
【0009】
この構成では、昇降リンク機構にブレードハウジングを自動的に連結するために、昇降リンク機構とブレードハウジングとの連結を中継する中間構造体が備えられている。この中間構造体は、昇降リンク機構に対しては、昇降リンク機構を構成する前リンクの一端と後リンクの一端とに揺動可能に連結されているだけであり、ブレードハウジングとの自動連結のために機能する係合部と被係合部とは、中間構造体とブレードハウジングとに設けられている。したがって、実質的には、従来の昇降リンク機構がそのまま利用できる。しかも、連結時に達成されなければならない係合部と被係合部との位置合わせは、案内面によって導かれるので、機体の前後方向の移動におけるある程度の位置ずれが許容され、機体運転者の負担が軽減される。
【0010】
中間構造体を軽量かつ強固に製作するためは、板材や棒材を枠状に構成することが好都合である。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記中間構造体は、互いに間隔をあけて機体前後方向に延びた第1部材と第2部材、及び前記第1部材と前記第2部材との前部同士を連結する前連結部材と前記第1部材と前記第2部材との後部同士を連結する後連結部材とを含み、前記係合部は、前記第1部材の両端部及び前記第2部材の両端部に形成されている。この構成では、第1部材と第2部材と前連結部材と後連結部材とで枠が作り出され、その枠体の前後方向に距離をあけた位置に、ブレードハウジングに設けられた被係合部と係合する係合部が配置されるので、中間構造体とブレードハウジングとの間に安定した連結が実現する。
【0011】
機体の前後方向の移動に伴う、中間構造体とブレードハウジングとの間の自動的な連結をスムーズに行うための簡単な構成として、孔―ピン係合形式が好適である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記係合部と前記被係合部は、機体前後方向に延びるとともに機体後方向に開口する長孔と前記長孔に係入する係合ピンとからなる孔―ピン係合形式で形成されている。
【0012】
機体の前後方向の移動に伴って係合部と被係合部とを係合位置に導く案内面の簡単な構成は、係合部及び被係合部を作り出す部材の相互に対向する面を案内面とすることである。特に、移動に伴ってスムーズに自動位置合わせをするためには、相互接触する傾斜面を案内面として用いることが好ましい。
【0013】
機体に搭載されたエンジンからブレードハウジングに回転可能に支持されているブレードに回転動力を伝達する場合、その動力伝達機構を中間で分離する構造が採用される。その際、エンジン動力を前記ブレードハウジングに設けられているブレードに供給する動力伝達機構が機体側動力伝達機構とモアー側動力伝達機構とに分割され、前記機体側動力伝達機構の出力軸と前記モアー側動力伝達機構の入力軸とを連結する動力連結機構が前記中間構造体に支持される実施形態が好都合である。この構成では、中間構造体とブレードハウジングとの連結及び動力系の連結が中間構造体の領域で行うことができるので、本発明における自動連結にとって利点がある。
【0014】
このような動力連結機構を中間連結体上で構築するための好適な実施形態では、前記動力連結機構は、前記出力軸と連結する第1連結端部及び前記入力軸と着脱自在に連結する第2連結端部を有するカップリング本体と、前記カップリング本体を保持するカップリング保持部と、前記カップリング保持部を機体前後方向で変位可能に前記中間構造体に取り付ける取り付けユニットとを備える。その際、前記取り付けユニットは、前記カップリング保持部を、連結が実現する連結位置と、連結解除が実現する解除位置との間を直進移動させるように構成する。第1連結端部と出力軸とは予め連結しておくことができるが、第2連結端部と入力軸とは、ブレードハウジングの連結または連結解除時に連結または連結解除を行わなければならない。この実施形態では、ブレードハウジングとの連結が完了した中間連結体は、ブレードハウジングとの位置関係が正確に規定されているので、その連結完了後に第2連結端部と入力軸との連結を行うようにすれば、単純にカップリング保持部を直進移動するだけで確実な第2連結端部と入力軸との連結が実現する。
【0015】
中間連結体とブレードハウジングとの連結を確実に維持するためには係合部と被係合部との係合連結をロックする必要がある。また、動力伝達機構の動力連結機構を連結状態に確実に維持するためにはカップリング保持部を連結位置にロックする必要がある。ここでは、前記カップリング保持部を前記連結位置にロックするロック機構が第1ロック機構と称せられ、前記係合部と前記被係合部とを前記係合位置でロックするロック機構が第2ロック機構と称せられている。好適な実施形態の1つでは、この第1ロック機構と第2ロック機構とが一体的に構成される。そのような一体化されたロック機構では、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構とが共通の回動操作軸を有し、前記回動操作軸に設けられた第1作用部の回動変位により前記第1ロック機構は前記カップリング保持部を前記連結位置にロックし、前記回動操作軸に設けられた第2作用部の回動変位により前記第2ロック機構は前記係合部と前記被係合部とを前記係合位置でロックする。この構成では、第1作用部は、共通の回動操作軸の回動変位によって、カップリング保持部が前記連結位置から離脱することを阻止するようにカップリング保持部に作用する。また第2作用部は、共通の回動操作軸の回動変位によって、係合部が被係合部との係合位置から離脱することを阻止するように係合部に作用する。このように第1ロック装置と第2ロック装置とにおけるロックまたはロック解除をもたらす回動変位を共通の回動操作軸から得ることで、ロック装置が簡単化される。さらに、好適な実施形態として、この共通の回動操作軸に対する回動操作を、運転座席周辺まで延びた操作アームによって行われるように構成するならば、2つのロック装置のロック操作が簡単にかつ同時に行うことができる。
【0016】
通常のブレードハウジングにはゲージ輪によってブレードハウジングの下端が浮かされているので、地面に載置されたブレードハウジングを乗り越えていく機体前進移動によって、中間連結体とブレードハウジングとの連結を行う場合、その連結時にブレードハウジングが動いてしまう可能性がある。ブレードハウジングが動くと連結位置が確保されず、連結が不能になる。これを防ぐために、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ブレードハウジングには、前記ブレードハウジングの対地高さを変更するためのゲージ輪ユニットが設けられているが、前記ゲージ輪ユニットは、異なる対地高さを作り出す設定位置に切り替え可能であり、前記設定位置には、前記ブレードハウジングの少なくとも一部を対地接触させる位置が含まれている。したがって、連結作業時には、前もってゲージ輪ユニットの位置を、ブレードハウジングの少なくとも一部が対地接触するように調整しておけば、ブレードハウジングの移動を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるミッドマウント型草刈機の具体的な実施形態を説明する前に、
図1を用いて本発明を特徴付けている基本的な構成を説明する。
図1で図示されたミッドマウント型草刈機(以下単に草刈機と称する)は、機体フレーム10を中核要素として構成されている機体1の下方で前輪2aと後輪2bとの間にモアーユニット4を装備することができる。機体1の下部には、左右一対の前リンク31と後リンク32とからなる昇降リンク機構3が設けられている。前リンク31の自由端と後リンクの自由端とによって中間構造体6が吊り下げられている。前リンク31の自由端及び後リンク32の自由端は揺動軸芯を介して中間構造体6に連結しており、昇降リンク機構3の揺動によって中間構造体6は地面に対して昇降変位する。つまり、昇降リンク機構3と中間構造体6とによって、モアーユニット4を機体1に装備するための上部構造体9が構築されている。ここでは、この上部構造体9によって、モアーユニット4の中核部材であるブレードハウジング40と離脱可能に連結される。つまり、1つの実施形態では、上部構造体9は、機体1と
モアーユニット4を昇降可能に連結するアダプタとして機能する。また、別の実施形態では、中間構造体6は、昇降リンク機構3とモアーユニット4とを連結するためのアダプタとして機能する。このため、中間構造体6には係合部610が備えられ、モアーユニット4のブレードハウジング40には前記係合部610と連結可能な被係合部620が設けられている。
【0019】
図1の(a)は中間構造体6とモアーユニット4との連結の直前状態を示しており、
図1の(b)は連結直後の状態を示している。連結時の前輪2aの軌跡が
図1の(a)において点線で示されている。
図1の(a)と(b)とから理解できるように、草刈機が地面に横置きで配置されたモアーユニット4を乗り越え走行することで、ブレードハウジング40の被係合部620に中間構造体6の係合部610が係合することで、モアーユニット4と中間構造体6とが連結し、結果的にはモアーユニット4と草刈り機の機体1との連結が実現する。この機体1の前後方向の移動に伴う中間構造体6の係合部610とブレードハウジング40の被係合部620との係合を容易にするために、機体1の前後方向の移動に伴って、係合部610が被係合部620と係合する係合位置に当該係合部610を導く案内面630が、中間構造体6またはモアーユニット4あるいはその両方に形成されている。
【0020】
係合部610と被係合部620の係合形式としては種々のものを採用可能であるが、構造の簡単なものとしては、機体移動方向に延びた長孔と当該長孔に係入する係合ピンとからなる孔(スリット)−ピン係合形式が適している。あるいは、機体移動方向に開口している曲面凹部と当該曲面凹部に入り込む球状体からなる凹部−球体形式なども好適である。案内面630の簡単な構成は、機体移動方向に対して傾斜して機体1の進行とともに適切な位置に案内する傾斜面が適しており、特にこの傾斜面を係合部610または被係合部620あるいはその両方に設けると構造が簡素化され好都合である。
【0021】
一般に、モアーユニット4は動力源を備えていないので、ブレードハウジング40に設けられているブレード43を回転させるために、草刈機に搭載されているエンジン23からの動力を、作業用動力伝達機構25を介して受け取る。作業用動力伝達機構25は、機体側動力伝達機構25Aとモアー側動力伝達機構25Bとに分割されている。機体側動力伝達機構25Aの自由軸端(以下出力軸とも称する)とモアー側動力伝達機構25Bの自由軸端(以下入力軸とも称する)とを連結することで、エンジン動力がブレード43に伝達される。機体側動力伝達機構25Aの出力軸とモアー側動力伝達機構25Bの入力軸とは動力連結機構7によって連結される。この動力連結機構7は中間構造体6に支持されるのが好ましいが、モアーユニット4に支持されてもよい。動力連結機構7は、出力軸と連結する第1連結端部及び前記入力軸と着脱自在に連結する第2連結端部を有するカップリング本体7
0を備えている。カップリング本体70は、機体側動力伝達機構25Aとモアー側動力伝達機構25Bと連結が実現する連結位置との連結解除が実現する解除位置との間で相対変位、好ましくは直線相対移動する。
【0022】
中間構造体6を介しての昇降リンク機構3とモアーユニット4との連結を実現する係合部610と被係合部620の連結位置、及びカップリング本体70の連結位置を機械的
に保持するロック機構が備えられているが、
図1では図示されていない。そのようなロック機構は、ばね付勢機構や係止機構で構築することができる。ロック機構の操作は運転座席21の周辺まで延びた操作体によって行われると好都合である。特に、係合部610と被係合部620の連結位置及びカップリング本体70の連結位置は共通のロック機構によってロックされることが好ましいが、それぞれ別々に構築してもよい。
【0023】
ブレードハウジング40には、ブレードハウジング
40の対地高さを変更するために機体前方側縁に前ゲージ輪ユニット45が、機体後方側縁に後ゲージ輪ユニット46が設けられている。前ゲージ輪ユニット45と後ゲージ輪ユニット46とからなるゲージ輪ユニッ
トに含まれている少なくとも1つのゲージ輪がブレードハウジング40の少なくとも一部を対地接触させる位置に変更可能である。ブレードハウジング40の少なくとも一部を対地接触することにより、草刈機のモアーユニット4に対する乗り越え走行を含む、モアーユニット4の連結作業において、モアーユニット4が動くことが抑制される。
【0024】
なお、
図1と
図2を用いた説明では、中間構造体6と昇降リンク機構3とが、別個の構成要素である実施形態で説明していたが、この説明は、中間構造体6と昇降リンク機構3とが一体化された上部構造体9が、モアーユニット4に対する取付アダプタとして機能する実施形態にも流用可能である。モアーユニット4に対する取付アダプタとしての中間構造体6の機能と、モアーユニット4を昇降させる昇降リンク機構3の機能とが実現するならば、中間構造体6と昇降リンク機構3との構成は自由である。本発明では、中間構造体6と昇降リンク機構3とがそれぞれ単一の構成要素であることに限定していない。
【0025】
次に、図面を用いて、本発明による草刈機の具体的な実施形態の1つを説明する。
図2は、草刈機の側面図である。この草刈機は、前輪2aと後輪2bとの間にモアーユニット4を装備しているが、モアーユニット4を取り外すことで一般的なトラクタとして使用することも可能である。
草刈機は、機体フレーム10の前半部に、ボンネット11によって覆われた水冷式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)23を備え、機体フレーム10の後半部に運転座席21を備えている。前輪2aは、ステアリングホイール22によって操作される操舵輪であり、同時に駆動輪でもある。この4輪駆動であり、後輪2bも駆動輪である。機体フレーム10の後半部には、トランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)13が備えられている。
【0026】
エンジン23からの動力は、動力伝達機構24を構成する伝動軸(図示せず)を介してT/Mケース13の前部に連結した静油圧式無段変速装置(以下、HSTと称する)15に伝達され、HST15の出力は、T/Mケース13の内部に備えたギヤ式変速装置(図示せず)に伝達される。ギヤ式変速装置からの動力は、T/Mケース13の内部において前輪駆動用動力と後輪駆動用動力とに分配される。前輪駆動用の動力は、T/Mケース13から左右の前輪2aにわたる前輪動力伝達機構(動力伝達機構24を構成する)を介して左右の前輪2aに伝達される。後輪駆動用の動力は、T/Mケース13から左右の後輪2bにわたる後輪動力伝達機構(動力伝達機構24を構成する)を介して左右の後輪2bに伝達している。
【0027】
一方、HST15に入力した動力が、T/Mケース13の後端部に備えた後向きの第1動力取出軸16と、T/Mケース13の底部に備えた前向きの第2動力取出軸17とに伝達される。第1動力取出軸16と第2動力取出軸17とは作業用動力伝達機構25を構成しており、第2動力取出軸17はモアーユニット4に動力を供給する。
【0028】
T/Mケース13の後部には、その内部に備えたリフトシリンダ(図示せず)の作動によって上下揺動する左右一対のリフトアーム18、及び、これらのリフトアーム18の上下揺動に連動して上下方向に昇降揺動するリンク機構19、などを備えている。リフトシリンダには単動型の油圧シリンダを採用している。リンク機構19は、ロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置(図示せず)の着脱を可能にする左右一対の下部リンク19aなどを備えて構成している。
【0029】
この草刈機は、
図1を用いて説明した本発明の基本構成を備えている。前輪2aと後輪2bとの間の機体フレーム10の下方には、モアーユニット4が装備されている。機体フレーム10とモアーユニット4との間には、昇降リンク機構3と中間構造体6とが介在している。昇降リンク機構3は、中間構造体6を介してモアーユニット4を昇降可能に吊り下げ支持する。中間構造体6はアダプタとして機能しており、一方では昇降リンク機構3と連結しており、他方ではモアーユニット4と連結している。
【0030】
昇降リンク機構3は、後下がり傾斜姿勢で機体フレーム10の前部と中間構造体6の前部とを連結する左右一対の前リンク(揺動リンク)31、及び後下がり傾斜姿勢で機体フレーム10の前後中間部と中間構造体6の後部とを連結する左右一対の後リンク(揺動リンク)32を備え、中間構造体6を介してモアーユニット4を所定の刈り取り姿勢で昇降させる平行リンクを構成している。左右の後リンク32は、連係機構34を介してリンク機構19の左右の下部リンク19aに連係している。
【0031】
連係機構34は、機体フレーム10に回動可能に装備した左右向きの回動軸341、回動軸341から車体前方に向けて延出する状態で回動軸341に一体装備した左右一対の第1連係アーム342、回動軸341から車体上方に向けて延出する状態で回動軸341に一体装備した左右一対の第2連係アーム343、T/Mケース13の後部に備えた左右一対の連動アーム344、左右の第1連係アーム342を対応する後リンク32の遊端側に連係する左右一対の第1連係ロッド345、及び、左右の第2連係アーム343を対応する連動アーム344に連係する左右一対の第2連係ロッド346、などにより構成されている。左右の連動アーム344は、対応する下部リンク19aの支軸347に相対揺動可能に外嵌している。左右の連動アーム344の上部には、左右の後リンク32にかかる荷重等による連動アーム344の揺動を制限するストッパとして、リンク機構19の下部リンク19aの上縁に上方から片当たりする当接片部が屈曲形成されている。
【0032】
つまり、機体フレーム10に昇降リンク機構3と中間構造体6とを介してモアーユニット4が連結され、かつ、昇降リンク機構3を、連係機構34を介してリンク機構19に連係することにより、モアーユニット4が、トラクタの下腹部で昇降可能となる。
【0033】
図2では詳しくは示されていないが、回動軸341には、車体後方に向けて延出する単一の第3連係アーム348を一体装備している。機体フレーム10には、左右の後リンク32の下降揺動に連動して上昇揺動する第3連係アーム348を受け止めることにより、左右の後リンク32の下降揺動を阻止する下限設定機構35が装備されている。下限設定機構35は、搭乗運転部からの縦軸心周りの回動操作が可能な操作体36、操作体36と縦軸心周りに一体回動する筒状の受止部37、などから構成されている。そして、第3連係アーム348を受け止める受止部37の下縁を周方向において高さの異なる階段状に形成している。
【0034】
この構成から、搭乗運転部から操作体36を縦軸心周りに回動操作することにより、受止部37による第3連係アーム348の受け止め高さ位置を任意の高さ位置に変更することができ、左右の後リンク32の機体フレーム10に対する下降限界位置(以下、後リンク32の下限位置と称する)を簡単に設定変更することができる。
【0035】
つまり、この下限設定機構35によって、左右の後リンク32の下限位置を設定変更する
ことができ、結果的にモアーユニット4の機体フレーム10に対する下降限界高さが変更される。
【0036】
図2では、昇降リンク機構3と、中間構造体6と、モアーユニット4が示されており、ここでは中間構造体6とモアーユニット4とが連結された状態である。
図3では、モアーユニット4だけが示されている。
図4と
図5と
図6には、昇降リンク機構3と連結した中間構造体6が示されており、
図6では、前リンク31と後リンク32と中間構造体6とが分離した状態で示されている。
図3から明らかなように、モアーユニット4は、
図3では確認されないが平面視で機体横断方向に並んだ3枚のブレード
43を右回りに回転させる縦向きの回転軸43aと、これらのブレード
43を上方から覆うブレードハウジング40、などを備えている。ブレードハウジング40は、天板41とこの天板41の周縁から下方に延びた側板42とを有する。ブレードハウジング40の天板41には、ブレード駆動用の動力分配機構44が、設けられている。又、動力分配機構44のベルト伝動機構44cを上方から覆う伝動カバーが着脱可能に取り付けられるが、
図3では省略されている。ブレードハウジング40は、その前側領域において左右にわたって上向きに膨出部を形成することにより、その内部に刈草用の搬送経路を作り出している。その搬送経路の排出口となるブレードハウジング40の右端に排出カバー40aが取り付けられている。
【0037】
つまり、モアーユニット4は、3枚のブレード
43によって刈り取った草を、各ブレード
43の回転に伴って発生する搬送風により、ブレードハウジング40の内部に形成された搬送経路を通して、右端の排出口から外部に排出するサイドディスチャージ仕様に構成されている。
【0038】
図3に示すように、ブレードハウジング40の前部及び後部の左右両端箇所にはそれぞれ高さ調節可能な前ゲージ輪ユニット45と高さ調節可能な後ゲージ輪ユニット46が設けられている。なお、
図7では、後ゲージ輪ユニット46だけが拡大して示されている。前ゲージ輪ユニット45は、縦ボス部45cを有する支持ブラケット45bと、当該縦ボス部45cに摺動可能に挿入される摺動支軸45dに固定された車軸に設けられた前ゲージ輪45aとを備えている。摺動支軸45dは選択された位置にピン固定により固定される。後ゲージ輪ユニット46は、
図7に詳しく示されているように、跳ね上げ機構47によって上方に跳ね上げられる縦ボス部46cを備えた支持ブラケット46bと、当該縦ボス部46cに摺動可能に挿入される摺動支軸46dに固定された車軸に設けられた後ゲージ輪46aとを備えている。摺動支軸46dも選択された位置にピン固定により固定される。跳ね上げ機構47は、この実施形態では、支持ブラケット46bに対して横軸芯周りに揺動可能に支持されている縦ボス部46cをばね付勢された揺動アームで係止することで摺動支軸45dの垂直姿勢を保持する(
図7の(a)参照)とともにと、揺動アームの係止を外すことで摺動支軸45dを傾斜姿勢にする(
図7の(b)参照)構成を有する。つまり、この跳ね上げ機構47は、ばね付勢を解除することで後ゲージ輪46aを上方に跳ね上げる機能を有している。後ゲージ輪46aが上方に跳ね上げられると、ブレードハウジング40の側板42の下端が地面と接触する。これにより、ブレードハウジング40と地面との間に大きな摩擦力が働くので、外部から力が加わっても、ブレードハウジング40の動きは抑制される。
【0039】
図8でわかりやすく図示されているが、動力分配機構44は、ブレードハウジング40の中央に配備したハウジング44aから後向きに延出した入力軸(モアー側動力伝達機構25Bの構成要素)44b、入力軸44bが受け取った動力を、それぞれブレード43を固定した3つの回転軸43aに分配するベルト伝動機構44cを備えている。
【0040】
次に、
図4、
図5、
図6、及び
図9と
図10を用いて中間構造体6の実施形態を説明する。この中間構造体6は、互いに間隔をあけて機体前後方向に延びた第1部材61と第2部材62、及び第1部材61と第2部材62との前部同士を連結する前連結部材63と、第1部材61と第2部材62との後部同士を連結する後連結部材64とから構成される枠構造を有する。前連結部材63は、中央部を凸状に突出させた棒体であり、その突出部に、昇降リンク機構3の前リンク31のフック状の自由端部が揺動可能に係止されている。第1部材61と第2部材62の後部に、昇降リンク機構3の後リンク32の自由端部が揺動可能に揺動可能にリンクピン39を通じてピン連結されている。
【0041】
中間構造体6とブレードハウジング40とを連結するために、中間構造体6には係合部610が設けられており、ブレードハウジング40の天板41には、係合部610と係合可能な被係合部620が設けられている。この実施形態では、係合部610は、第1部材61の前連結部材63との接合領域に形成された屈曲部である機体側第1前ガイド611と、第2部材62の前連結部材63との接合領域に形成された屈曲部である機体側第2前ガイド612と、第1部材61の後端部に設けられた外側に突き出したブラケット状部材である機体側第1後ガイド613と、第1部材61の後端部に設けられた外側に突き出したブラケット状部材である機体側第2後ガイド614とによって構成されている。
【0042】
被係合部620は、天板41の前側領域に左右振り分けて立設されたモアー側第1前ガイド621及びモアー側第2前ガイド622と、天板41の後側領域に左右振り分けて立設されたモアー側第1後ガイド623及びモアー側第2後ガイド624とによって構成されている。モアー側第1前ガイド621と機体側第1前ガイド611、モアー側第2前ガイド622と機体側第2前ガイド612、モアー側第1後ガイド623と機体側第1後ガイド613、モアー側第2後ガイド624と機体側第2後ガイド614、これらは、中間構造体6とブレードハウジング40との連結状態において、相互係合する位置に配置されている。
【0043】
この実施形態では、機体側第1前ガイド611と機体側第2前ガイド612とには、それぞれ、斜め前方向で水平に延びた係合ピン69Aが設けられており、機体側第1後ガイド613と機体側第2後ガイド614には斜め方向水平に延びて前方側に開口している長孔69Cが設けられている。さらに、モアー側第1前ガイド621とモアー側第2前ガイド622とには、それぞれ、斜め後方向で水平に延びて後方側に開口している長孔69Bが設けられている。
【0044】
また、天板41の後側領域には、後で詳しく説明する、ロック機構8の回動操作軸80が、車体横断方向(横方向)に延びており、この回動操作軸80は、機体側第1後ガイド613及び機体側第2後ガイド614の長孔69Cが係入する係合ピンとして機能する。
【0045】
機体側第1前ガイド611、機体側第2前ガイド612、機体側第1後ガイド613、機体側第2後ガイド614、及びモアー側第1前ガイド621、モアー側第2前ガイド622、モアー側第1後ガイド623、モアー側第2後ガイド624は、それぞれ前方に行くほど機体長手中心線に近づく傾斜面を備えており、それぞれ対応する傾斜面は、中間構造体6とブレードハウジング40との連結状態において、実質的に接当するように形成されている。つまり、これらの傾斜面は、地面に載置されたブレードハウジング40に対して草刈機が前進していく際に、中間構造体6をブレードハウジング40との連結位置に導く案内面として機能する。つまり、中間構造体6の係合部610とブレードハウジング40の被係合部620とのそれぞれに傾斜面としての案内面が形成されており、それらの案内面は機体前後方向移動に伴って相互接触する。
【0046】
第2動力取出軸17は、モアーユニット4の動力分配機構44の入力軸44b(
図6参照)に動力を伝達するが、その間の作業用動力伝達機構25は、機体側動力伝達機構25Aとモアー側動力伝達機構25Bとに分割されており、両者は中間構造体6に設けられた動力連結機構7によって連結・分離可能である。この実施形態では、第1自在継手25bと、モアー側動力伝達機構25Bには入力軸44bが含まれており、機体側動力伝達機構25Aには、中継軸25aと、第1自在継手25bと、第2自在継手25cとが含まれている。第1自在継手25bは第2動力取出軸17と中継軸25aとを連結する。第2自在継手25cは、機体側動力伝達機構25Aの出力軸として機能する中継軸25aとモアー側動力伝達機構25Bの入力軸として機能する入力軸44bとを連結する。この第2自在継手25cには、入力軸44bに対する連結と離脱とを可能にするスプライン式の連結部が形成されている。この連結と離脱を行うための機構が、動力連結機構7である。動力連結機構7の離脱状態が
図9に示され、その連結状態が
図10に示されている。
【0047】
図9と
図10とから理解できるように、動力連結機構7は、この実施形態では第2自在継手25cであるカップリング本体70と、このカップリング本体70を外囲してその内周面でカップリング本体70を保持するカップリング保持部73と、このカップリング保持部73を機体前後方向で変位可能
に中間構造体
6に取り付ける取り付けユニット75とから構成されている。カップリング本体70は、中継軸25aと連結する第1連結端部71と、入力軸44bと連結する第2連結端部72とを有し、第2連結端部72は、入力軸44bに形成されたスプラインと係合するスプラインを形成した内周面を有する。カップリング保持部73は、両側に突出部を有するボス体であり、このボス体のボス孔にカップリング本体70を固定しており、動力分配機構44の入力軸44bの方に移動することにより、入力軸44bと第2連結端部72とをスプライン係合させる機能を有する。そのようなカップリング保持部73の移動を実現するのが取り付けユニット75である。このため、取り付けユニット75は、カップリング保持部73を移動させるためのスライダ機構として構成されている。このスライダ機構に外部から力(例えば、運転者による操作力)を作用させることで、カップリング保持部73が移動し、動力連結機構7の連結が実現する。この実施形態では、カップリング保持部73を並進移動させるため、左右一対のスライダロッドとしての第1脚部75aと第2脚部75b、及び各スライダロッドのためのスライドガイドとしてガイド孔が備えられている。第1脚部75aは、カップリング保持部73の左側端部に固定されて後方に延びている棒状部材であり、第2脚部75bはカップリング保持部73の右側端部に固定されて後方に延びている棒状部材である。ガイド孔は、以下に説明するように、第1部材61と第2部材62とに設けられた第1ブラケット65a及び第2ブラケット65bに形成された貫通孔である。第1脚部75aと第2脚部75bとはこの貫通孔に挿入されることにより、第1ブラケット65a及び第2ブラケット65bにスライド可能に支持される。なお、この実施形態では、取り付けユニット75は第1部材61と第2部材62とに支持されていたが、つまり中間構造体6に支持されていたが、これに代えて機体フレーム10など、機体1に支持されてもよい。
【0048】
中間構造体6は、第1部材61に端部を固定されるとともに第2部材62に向かって延びている、平面視でU字状の第1ブラケット65aと、第2部材62に端部を固定されるとともに第1部材61に向かって延びている、平面視でU字状の第2ブラケット65bが備えられている。第1ブラケット65aの先端と第2ブラケット65bの先端との間には、中継軸25aが通過可能となる隙間が形成されている。第1ブラケット65aの先端領域には、第1脚部75aが挿通される孔が、第2ブラケット65bの先端領域には、第2脚部75bが挿通される孔が設けられており、これにより、第1脚部75aと第2脚部75bとが取り付けユニット75に機体前後方向に移動可能に支持されている。中間構造体6がブレードハウジング40に連結された状態において、取り付けユニット75とともにカップリング保持部73を動力分配機構44の入力軸44bの方に所定の連結位置まで移動させることにより、カップリング本体(第2自在継手25c)の第2連結端部72が入力軸44bとスプライン結合する。
【0049】
なお、
図9と
図10に示されているように、動力分配機構44の第1脚部75aと第1ブラケット65aとの間及び第2脚部75bと第2ブラケット65bの間には、カップリング保持部73に保持されたカップリング本体70と動力分配機構44の入力軸44bとの連結が外れる方向に付勢するばね76が配置されている。したがって、ロック機構8がロック解除される方向に回動されると、自動的にカップリング本体70は入力軸44bから抜け出る。
図9では、ばね76は伸張した状態、つまり入力軸44bと第2連結端部72とがスプライン係合する前の状態が示されており、
図10では、ばね76は圧縮された状態、つまり入力軸44bと第2連結端部72とがスプライン係合した後の状態が示されている。
【0050】
次に、
図8から
図16を用いて、この実施形態ではブレードハウジング40に設けられたロック機構8を説明する。
図8では平面視で示されているように、ロック機構8は、この実施形態では、カップリング保持部73を連結位置でロックする第1ロック機構8Aと、係合部610と被係合部620とを係合位置でロックする第2ロック機構8Bとを備えている。第1ロック機構8Aと第2ロック機構8Bとは、共通の回動操作軸80を備えており、この回動操作軸80は、ブレードハウジング40の天板41の後端領域を機体横断方向に延びており、複数の軸受台によって回動可能に支持されている。回動操作軸80には、第1ロック機構8Aのための2つの第1作用部81と、第2ロック機構8Bのための2つの第2作用部82が設けられている。第1作用部81は、回動操作軸80の回動にともなって、動力連結機構7の第1脚部75aと第2脚部75bとの後端に設けられた接当部に接当しながらカップリング保持部73を連結位置に押し付けるとともにその連結位置を保持するアームである。第2作用部82は、回動操作軸80の回動にともなって、第1部材61に設けられたピン状の突起61aと第2部材62に設けられたピン状の突起62aとに接当しながら抱き込んで係合部610と被係合部620とを係合位置に保持することで、中間構造体6とブレードハウジング40との連結を保持するフック状アームである。回動操作軸80の一端には、運転座席21の周辺まで延びるロッド状の操作アーム83が固定されており、運転座席21に座った運転者による操作アーム83の操作で、ロック機構8のロック及びロック解除が可能となる。
【0051】
本発明による草刈機は、モアーユニット4を機体1に装備する際に、地面に横置きされたモアーユニット4を前進で乗り越え走行する。このため、ブレードハウジング40には、乗り越え機構5が設けられている。乗り越え機構5は、
図3と
図11に示されているように、左右の前輪2aのそれぞれのために用意されており、その間隔は前輪トレッド幅に対応している。乗り越え機構5は、ブレードハウジング40の天板41に配置されたベルト伝動機構44cの上方を前後方向に延びているブリッジ部50と、ブリッジ部50の前端から地面に向かって傾斜して延びている前補助板51と、ブリッジ部50の後端から地面に向かって傾斜して延びている後補助板52とからなる。ブリッジ部50は、中間部が平坦なアーチ状の一対のロッドと、この一対のロッドの中間部の上面に敷設された踏み板とから構成されており、さらにブリッジ部50の両側には側板53が取り付けられている。前補助板51と後補助板52とは、不使用時にはブリッジ部50内に収納されるようにスライド式に構成されている。このようなスライド式の収納は、ここでは、前補助板51の後端に設けられたガイドピン51aと後補助板52の前端に設けられたガイドピン52aとガイドスリット53aとによって実現させている。ガイドスリット53aは、ガイドピン51aとガイドピン52aのそれぞれが係入して移動の際にガイドされるように、側板53の夫々にほぼ前後方向水平に形成されているが、引き出した状態で前補助板51及び後補助板52の傾斜姿勢を確実に保持するために、端部では垂直なスリット部として形成されている。
【0052】
最初に、トラクタの下腹部にモアーユニット4を装備するには、昇降リンク機構3を操作して、中間構造体6を下限位置まで降下させておく。続いて、前輪2aがモアーユニット4の後方から乗り越え機構5を利用して、ブレードハウジング40の上方を通ってブレードハウジング40を乗り越えるように機体1を前進させる。前輪2aがブレードハウジング40を乗り越えると、ちょうど、ブレードハウジング40に設けられている被係合部620(前後左右の4つのガイド621〜624)に中間構造体6に設けられている係合部610(前後左右の4つのガイド611〜614)が係合する。つまり、機体側第1前ガイド611と機体側第2前ガイド612とに設けられた係合ピン69Aが、それぞれの案内面630に案内され、モアー側第1前ガイド621とモアー側第2前ガイド622とに設けられた長孔69Bに入り込む。その際、機体側第1後ガイド613と機体側第2後ガイド614とが、それぞれモアー側第1後ガイド623とモアー側第2後ガイド624とに面接触しながら、モアー側第1後ガイド623とモアー側第2後ガイド624とによって規制された領域に入り込んでいく。同時に、機体側第1後ガイド613と機体側第2後ガイド614とに設けられた長孔69に、係合ピンとしてのロック機構8の回動操作軸80が相対的に入り込む。前輪2aがブレードハウジング40を乗り越えたのち、機体1を停止させる。
【0053】
この時点で、モアーユニット4の動力分配機構44の機体前後方向で後方に突き出した入力軸44bの軸芯上に、中間構造体6に設けられている動力連結機構7のカップリング本体70の軸芯が位置する。入力軸44bとカップリング本体70とが機体前後方向で同軸上に並ぶ。
【0054】
機体1を停止させた後、運転者がロック機構8の操作アーム83を操作して、回動操作軸80を回動させる(
図13と
図14とを参照)。これにより、ロック機構8の第1作用部81を構成するアームが、中間構造体6に設けられた動力連結機構7の第1脚部75aと第2脚部75bとの後端(接当部)を押し付け、カップリング保持部73をカップリング本体70とともに移動させ、入力軸44bとカップリング本体70とを連結させる(
図16参照)。同時に、第2作用部82を構成する2つのフック状アームが回動しながら、第1部材61に設けられたピン状の突起61aと第2部材62に設けられたピン状の突起62aを抱き込む。これにより、係合部610と被係合部620とが、最終的な係合状態となる。つまり、この実施形態では、機体側第1前ガイド611とモアー側第1前ガイド621、機体側第2前ガイド612とモアー側第2前ガイド622、機体側第1後ガイド613とモアー側第1後ガイド623、機体側第2後ガイド614とモアー側第2後ガイド624とがそれらの最終的な係合状態となる。この係合状態は、第2作用部82である2つのフック状アームがそれぞれ突起61aと突起62aとを押さえ込んでおく限り、保持される。この係合保持状態が
図15で拡大して図示されている。さらに、この係合状態を保持するために、回動操作軸80をその係合回動位置でロックするロック装置84が、操作アーム83と回動操作軸80の接続箇所に設けられている。ロック装置84の構造自体はよく知られているので、詳しく図示されていないが、この実施形態では、係合回動位置においてロックピンがロック孔に係入することで回動操作軸80をロックし、当該ロックピンをロック孔から抜き出すことで回動操作軸80のロックを外す構造である。もちろん、その他のロック構造を採用することも可能である。
【0055】
モアーユニット4を機体1から離脱させる場合には、モアーユニット4が接地するように昇降リンク機構3を下降させた後、運転者がロック機構8の操作アーム83を操作して、ロック機構8の回動操作軸80をロック解除位置に回動する。これにより、入力軸44bとカップリング本体70との連結は解除される。さらに、前輪2aがモアーユニット4の前方から乗り越え機構5を利用して、ブレードハウジング40の上方を通ってブレードハウジング40を乗り越えるように機体1を後進させる。この後進を通じて、中間構造体6に設けられている係合部610(前後左右の4つのガイド611〜614)がブレードハウジング40に設けられている被係合部620(前後左右の4つのガイド621〜624)から抜け出る。前輪2aがブレードハウジング40を乗り越えると、モアーユニット
4はフリーとなるので、自由に運び出すことができる。
【0056】
〔別実施形態〕
〔1〕中間構造体6とブレードハウジング40とを連結するための、中間構造体6に設けられた係合部610及びブレードハウジング40に設けられた被係合部620の係合構造は、機体1の前進走行による、機体前後方向での接近によって係合するとともに機体前後方向での離間によって係合外れするものであれば、孔―ピン係合形式以外の係合形式、例えば爪係合形式などを採用してもよいし、これらを混在させてもよい。係合部610と被係合部620とによって作り出される係合連結点は、上記実施の形態では前後左右の4箇所であったが、2箇所以上あればよい。
【0057】
〔2〕上述した実施の形態では、機体側第1前ガイド611とモアー側第1前ガイド621の互いに接触する板面が案内面630として用いられ、機体側第2前ガイド612とモアー側第2前ガイド622の互いに接触する板面が案内面630として用いられていたが、これに代えて、別個に案内面630を作り出す部材が設けられてもよい。また、機体側第1後ガイド613及び機体側第2後ガイド614に設けられた長孔69Cに係合する係合ピンとしてロック機構8の回動操作軸80が用いられていたが、専用の係合ピンをブレードハウジング40に設けてもよい。
【0058】
〔3〕モアーユニット4としては、刈り取った草をブレードハウジング40の後端に形成した排出口から後方に排出するリアディスチャージ仕様に構成したものであってもよい。
又、ブレード
43によって刈り取った草を、ブレードハウジング40の内部において流動させて細断した後に、ブレードハウジング40の底部の開口から下方の地面に落下させるマルチング仕様に構成したものであってもよい。更に、ミッドマウント
のモアーユニット4に備えるブレード
43の数量やブレード
43に対する伝動構造などは種々の変更が可能である。