(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162615
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】通気口装置および通気弁構造
(51)【国際特許分類】
E03F 5/10 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
E03F5/10 Z
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-17319(P2014-17319)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143442(P2015-143442A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】松田 翔平
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−014313(JP,A)
【文献】
特開2012−172322(JP,A)
【文献】
特表2012−518727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に配備される通気口装置であって、
通気口を有する本体と、
前記通気口を開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて前記通気口を閉じ、前記排水管路からの増加した圧力を受けて上昇することにより前記通気口を開放する弁体と、
前記弁体および前記本体の上方を覆うようにして、前記本体に載せられる蓋体とを、備え、
下方位置にある前記弁体と前記本体に載せられた前記蓋体との間に、前記弁体が上昇可能となる上昇許容空間を有し、かつ、
前記本体とその本体に載せられた前記蓋体との間に、開放した前記通気口と外部とを連通させる連通空間を有し、また、
前記蓋体は、上下に移動可能であって、上昇することにより、前記本体と前記蓋体との間に前記連通空間に付加された付加連通空間が形成される、通気口装置。
【請求項2】
前記本体の上面は、前記蓋体が載せられる載置面と、その載置面よりも下がった位置にあって前記蓋体との間に前記連通空間を形成する連通空間形成面とを備える、請求項1に記載の通気口装置。
【請求項3】
前記蓋体は、前記上昇許容空間を越えて上昇する前記弁体に押されて上昇する、請求項1または2に記載の通気口装置。
【請求項4】
前記弁体と前記本体との間には、前記通気口を取り囲むパッキンが介在し、そのパッキンを介して前記通気口が閉じられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通気口装置。
【請求項5】
前記パッキンは、前記弁体に設けられ、その弁体と一体となって上下に移動し、前記本体には、前記パッキンが当接する座面が設けられる、請求項4に記載の通気口装置。
【請求項6】
前記弁体は、弁体本体と、その弁体本体から下方に向けて延設された被案内軸部とを備え、
前記本体には、前記被案内軸部が挿通される案内孔が設けられて、前記被案内軸部が、前記案内孔に案内されることにより、前記弁体は、上下に移動するように案内される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の通気口装置。
【請求項7】
前記座面は、前記本体の上面から段状に下がって形成されて、前記パッキンは、前記弁体が下方位置にあるとき、前記座面から前記本体の上面までの高さ内にあり、
前記弁体の上面は、その上面の少なくとも外縁側が、その外縁に向かうにつれて低くなるように傾斜して形成される、請求項5に記載の通気口装置。
【請求項8】
前記通気口は、前記本体の中央部分に位置し、
前記本体の上面は、外縁から前記通気口側に向かうにつれて高くなるように傾斜して形成される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の通気口装置。
【請求項9】
前記蓋体は、その周方向に回動不能となるように前記本体に係合する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の通気口装置。
【請求項10】
排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に設けられる通気弁構造であって、
通気口を有する本体と、
前記通気口を開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて前記通気口を閉じ、前記排水管路からの増加した圧力を受けて上昇することにより前記通気口を開放する弁体と、
前記弁体および前記本体の上方を覆うようにして、前記本体に載せられる蓋体とを、備え、
下方位置にある前記弁体と前記本体に載せられた前記蓋体との間に、前記弁体が上昇可能となる上昇許容空間を有し、かつ、
前記本体とその本体に載せられた前記蓋体との間に、開放した前記通気口と外部とを連通させる連通空間を有し、また、
前記本体は、前記通気口内に架設される架設部と、その架設部から立上がる案内軸部とを備え、
前記弁体は、下方に開口し上方が閉塞して下方から前記案内軸部が挿通される穴が設けられた被案内部を備えて、その被案内部が前記案内軸部に案内されることにより、前記弁体は、上下に移動するように案内される、通気弁構造。
【請求項11】
前記弁体は、弁体本体と、その弁体本体から下方に向けて延設された前記被案内部としての筒部とを備えて、その筒部内が前記穴となり、
前記筒部は、前記弁体が下方位置にて、その筒部の下端が前記架設部の上面に当接しない長さとなっている、請求項10に記載の通気弁構造。
【請求項12】
排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に設けられる通気弁構造であって、
通気口を有する本体と、
前記通気口を開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて前記通気口を閉じ、前記排水管路からの増加した圧力を受けて上昇することにより前記通気口を開放する弁体と、
前記弁体および前記本体の上方を覆うようにして、前記本体に載せられる蓋体とを、備え、
下方位置にある前記弁体と前記本体に載せられた前記蓋体との間に、前記弁体が上昇可能となる上昇許容空間を有し、かつ、
前記本体とその本体に載せられた前記蓋体との間に、開放した前記通気口と外部とを連通させる連通空間を有し、また、
前記弁体は、弁体本体と、その弁体本体から下方に向けて延設された被案内軸部とを備え、
前記本体には、上下に貫通して前記被案内軸部が挿通される案内孔が設けられて、前記被案内軸部が、前記案内孔に案内されることにより、前記弁体は、上下に移動するように案内され、かつ、
前記被案内軸部の外周面が、その周方向において部分的に、前記案内孔の内周面から隔てて位置し、あるいは、前記案内孔の内周面が、その周方向において部分的に、前記被案内軸部の外周面から隔てて位置し、その隔てにより、それら被案内軸部の外周面と案内孔の内周面との間に、上下に貫通する逃がし空間が形成される、通気弁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に設けられる、通気口装置および通気弁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設された排水管路に繋がる立上り管を閉鎖する蓋においては、
図15に示すように、何らかの原因で排水管路の圧力が増加した場合に備えて、その圧力を逃がす弁体23が設けられていた(例えば、特許文献1参照)。すなわち、蓋21は、通気口22aを有する本体22と、その本体22の上方を覆い通気口22aを開閉する弁体23とから構成された。そこで、平常時には、弁体23が下がって通気口22aを塞ぐことで、排水管路からの臭気が外に漏れるのを防ぎ(
図15(a)参照)、排水管路の圧力が増加した際には、その増加した圧力を受けて、弁体23が上昇することで、通気口22aを開放し増加した圧力を逃がしていた(
図15(b)参照)。
【0003】
そして、この蓋21にあっては、弁体23が上下に作動するよう、本体22は、通気口22a内に上下方向を軸とする軸孔22bを有し、弁体23は、その軸孔22bに挿入されてその軸方向に案内される作動軸23aを有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5279688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の蓋21にあっては、弁体23の上(つまり、蓋21の上)に物が載ったり人が乗ったりすると、その重みのため、弁体23は、上昇することができず、通気口22aを開放することができなかった。
【0006】
また、大雨などで、ゴミや砂が混じった水が通気口22aを通って内部に流れ込むような場合には、そのゴミや砂が、軸穴22bと作動軸23aとの間に入り込み、弁体23の作動が損なわれる虞があった。
【0007】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、物が載ったり人が乗ったりしても、通気口を開放させることができる、通気口装置および通気弁構造を提供することにある。
【0008】
また、他の目的は、外からゴミや砂が混じった水が浸入するような場合であっても、弁体の作動が損なわれるのを抑えることができる、通気弁構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る通気口装置および通気弁構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る通気口装置は、排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に配備される通気口装置であって、通気口を有する本体と、弁体と、蓋体とを、備える。ここで、前記弁体は、前記通気口を開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて前記通気口を閉じ、前記排水管路からの増加した圧力を受けて上昇することにより前記通気口を開放する。蓋体は、前記弁体および前記本体の上方を覆うようにして、前記本体に載せられる。そこで、下方位置にある前記弁体と前記本体に載せられた前記蓋体との間に、前記弁体が上昇可能となる上昇許容空間を有する。そして、前記本体とその本体に載せられた前記蓋体との間に、開放した前記通気口と外部とを連通させる連通空間を有する。また、前記蓋体は、上下に移動可能であって、上昇することにより、前記本体と前記蓋体との間に前記連通空間に付加された付加連通空間が形成される。
【0010】
この通気口装置によると、通気口を有する本体に対し、通気口を開閉する弁体が設けられ、さらに、蓋体が、弁体および本体の上方を覆って、本体に載せられる。そして、弁体が通気口を閉じた下方位置にあるとき、弁体と蓋体との間には、弁体が上昇可能となる上昇許容空間が確保されている。よって、蓋体が本体に載った状態のまま、弁体は、上昇して通気口を開放することができる。そして、本体とその本体に載せられた蓋体との間には、連通空間があり、この連通空間を通して、開放した通気口と外部とが連通する。したがって、排水管路、そして立上り管内の圧力が増加すると、蓋体が本体に載ったままの状態で、弁体が上昇して、通気口と外部とが連通し、増加した圧力を逃がすことができる。そして、蓋体が本体に載った状態で、弁体が作動することから、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口は、開放する。また、排水管路、そして立上り管内の圧力がさらに増加した場合には、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしていない状態では、蓋体が、上昇する。そして、この蓋体の上昇により、前記本体と前記蓋体との間に前記連通空間に付加された付加連通空間が形成され、増加した圧力を的確に逃がすことができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る通気口装置は、請求項1に記載の通気口装置において、前記本体の上面は、前記蓋体が載せられる載置面と、その載置面よりも下がった位置にあって前記蓋体との間に前記連通空間を形成する連通空間形成面とを備える。
【0012】
また、請求項3に記載の発明に係る通気口装置は、請求項1または2に記載の通気口装置において、前記蓋体は、前記上昇許容空間を越えて上昇する前記弁体に押されて上昇する。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る通気口装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通気口装置において、前記弁体と前記本体との間には、前記通気口を取り囲むパッキンが介在し、そのパッキンを介して前記通気口が閉じられる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る通気口装置は、請求項4に記載の通気口装置において、前記パッキンは、前記弁体に設けられ、その弁体と一体となって上下に移動する。そして、前記本体には、前記パッキンが当接する座面が設けられる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係る通気口装置は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の通気口装置において、前記弁体は、弁体本体と、その弁体本体から下方に向けて延設された被案内軸部とを備える。そして、前記本体には、前記被案内軸部が挿通される案内孔が設けられて、前記被案内軸部が、前記案内孔に案内されることにより、前記弁体は、上下に移動するように案内される。
【0016】
また、請求項7に記載の発明に係る通気口装置は、請求項5に記載の通気口装置において、前記座面は、前記本体の上面から段状に下がって形成されて、前記パッキンは、前記弁体が下方位置にあるとき、前記座面から前記本体の上面までの高さ内にある。そして、前記弁体の上面は、その上面の少なくとも外縁側が、その外縁に向かうにつれて低くなるように傾斜して形成される。弁体の上面をこのように形成することで、弁体の上に水が溜まりにくくなり、その水によって弁体の上昇が妨げられるようなことがない。
【0017】
また、請求項8に記載の発明に係る通気口装置は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の通気口装置において、前記通気口は、前記本体の中央部分に位置し、前記本体の上面は、外縁から前記通気口側に向かうにつれて高くなるように傾斜して形成される。このように、本体の上面を傾斜して形成することで、外の雨水が、本体と蓋体との間から内部に浸入しにくくすることができる。
【0018】
また、請求項9に記載の発明に係る通気口装置は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の通気口装置において、前記蓋体は、その周方向に回動不能となるように前記本体に係合する。このように、蓋体をその周方向に回動不能とすることで、蓋体の上に人が乗るような場合であっても、人が蓋体で足を取られることがない。
【0019】
また、請求項10に記載の発明に係る通気弁構造は、排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に設けられる通気弁構造であって、通気口を有する本体と、弁体と、蓋体とを、備える。ここで、前記弁体は、前記通気口を開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて前記通気口を閉じ、前記排水管路からの増加した圧力を受けて上昇することにより前記通気口を開放する。蓋体は、前記弁体および前記本体の上方を覆うようにして、前記本体に載せられる。そこで、下方位置にある前記弁体と前記本体に載せられた前記蓋体との間に、前記弁体が上昇可能となる上昇許容空間を有する。そして、前記本体とその本体に載せられた前記蓋体との間に、開放した前記通気口と外部とを連通させる連通空間を有する。また、前記本体は、前記通気口内に架設される架設部と、その架設部から立上がる案内軸部とを備える。一方、前記弁体は、下方に開口し上方が閉塞して下方から前記案内軸部が挿通される穴が設けられた被案内部を備えて、その被案内部が前記案内軸部に案内されることにより、前記弁体は、上下に移動するように案内される。
【0020】
この通気弁構造によると、通気口を有する本体に対し、通気口を開閉する弁体が設けられ、さらに、蓋体が、弁体および本体の上方を覆って、本体に載せられる。そして、弁体が通気口を閉じた下方位置にあるとき、弁体と蓋体との間には、弁体が上昇可能となる上昇許容空間が確保されている。よって、蓋体が本体に載った状態のまま、弁体は、上昇して通気口を開放することができる。そして、本体とその本体に載せられた蓋体との間には、連通空間があり、この連通空間を通して、開放した通気口と外部とが連通する。したがって、排水管路、そして立上り管内の圧力が増加すると、蓋体が本体に載ったままの状態で、弁体が上昇して、通気口と外部とが連通し、増加した圧力を逃がすことができる。そして、蓋体が本体に載った状態で、弁体が作動することから、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口は、開放する。また、本体は、通気口内の架設部から立上がる案内軸部を備え、弁体は、上方が閉塞して下方の開口から案内軸部が挿通される穴が設けられた被案内部を備えて、これら案内軸部と被案内部の穴とにより、弁体は、上下に移動するように案内される。そこで、外からゴミや砂が混じった水が浸入した場合に、被案内部の穴は、上方が閉塞し下方の開口から案内軸部が挿通されていることから、その下方の開口からゴミや砂が混じった水が入りにくく、穴がゴミや砂で詰まるのを避けることができる。
【0021】
また、請求項11に記載の発明に係る通気弁構造は、請求項10に記載の通気弁構造において、前記弁体は、弁体本体と、その弁体本体から下方に向けて延設された前記被案内部としての筒部とを備えて、その筒部内が前記穴となる。そして、前記筒部は、前記弁体が下方位置にて、その筒部の下端が前記架設部の上面に当接しない長さとなっている。
【0022】
また、請求項12に記載の発明に係る通気弁構造は、排水管路に繋がる立上り管の地表開口部に設けられる通気弁構造であって、通気口を有する本体と、弁体と、蓋体とを、備える。ここで、前記弁体は、前記通気口を開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて前記通気口を閉じ、前記排水管路からの増加した圧力を受けて上昇することにより前記通気口を開放する。蓋体は、前記弁体および前記本体の上方を覆うようにして、前記本体に載せられる。そこで、下方位置にある前記弁体と前記本体に載せられた前記蓋体との間に、前記弁体が上昇可能となる上昇許容空間を有する。そして、前記本体とその本体に載せられた前記蓋体との間に、開放した前記通気口と外部とを連通させる連通空間を有する。また、前記弁体は、弁体本体と、その弁体本体から下方に向けて延設された被案内軸部とを備える。一方、前記本体には、上下に貫通して前記被案内軸部が挿通される案内孔が設けられて、前記被案内軸部が、前記案内孔に案内されることにより、前記弁体は、上下に移動するように案内される。そして、前記被案内軸部の外周面が、その周方向において部分的に、前記案内孔の内周面から隔てて位置し、あるいは、前記案内孔の内周面が、その周方向において部分的に、前記被案内軸部の外周面から隔てて位置し、その隔てにより、それら被案内軸部の外周面と案内孔の内周面との間に、上下に貫通する逃がし空間が形成される。
【0023】
この通気弁構造によると、通気口を有する本体に対し、通気口を開閉する弁体が設けられ、さらに、蓋体が、弁体および本体の上方を覆って、本体に載せられる。そして、弁体が通気口を閉じた下方位置にあるとき、弁体と蓋体との間には、弁体が上昇可能となる上昇許容空間が確保されている。よって、蓋体が本体に載った状態のまま、弁体は、上昇して通気口を開放することができる。そして、本体とその本体に載せられた蓋体との間には、連通空間があり、この連通空間を通して、開放した通気口と外部とが連通する。したがって、排水管路、そして立上り管内の圧力が増加すると、蓋体が本体に載ったままの状態で、弁体が上昇して、通気口と外部とが連通し、増加した圧力を逃がすことができる。そして、蓋体が本体に載った状態で、弁体が作動することから、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口は、開放する。また、弁体は、弁体本体から下方に向けて延設された被案内軸部を備え、本体には、上下に貫通して被案内軸部が挿通される案内孔が設けられて、これら被案内軸部と案内孔とにより、弁体は、上下に移動するように案内される。そして、被案内軸部の外周面と案内孔の内周面との間に、周方向において部分的に、上下に貫通する逃がし空間が形成されている。そこで、外からゴミや砂が混じった水が浸入して、案内孔内にゴミや砂が混じった水が入っても、その水は、案内孔内の上下に貫通する逃がし空間を通って流れ出るため、案内孔がゴミや砂で詰まるのを避けることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係る通気口装置および通気弁構造によれば、次の効果がある。
【0025】
請求項1ないし9に記載された通気口装置によれば、下方位置にある弁体と本体に載せられた蓋体との間に、弁体が上昇可能となる上昇許容空間を設けることで、蓋体が本体に載った状態で、弁体を作動させることかでき、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口を開放させることができる。
【0026】
また、請求項10および11に記載された通気弁構造によれば、下方位置にある弁体と本体に載せられた蓋体との間に、弁体が上昇可能となる上昇許容空間を設けることで、蓋体が本体に載った状態で、弁体を作動させることかでき、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口を開放させることができる。さらに、外からゴミや砂が混じった水が浸入するような場合であっても、上方が閉塞し下方の開口から案内軸部が挿入された穴が、ゴミや砂で詰まるのを避けることができるため、弁体の作動が損なわれるのを抑えることができる。
【0027】
また、請求項12に記載された通気弁構造によれば、下方位置にある弁体と本体に載せられた蓋体との間に、弁体が上昇可能となる上昇許容空間を設けることで、蓋体が本体に載った状態で、弁体を作動させることかでき、蓋体の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口を開放させることができる。さらに、外からゴミや砂が混じった水が浸入するような場合であっても、被案内軸部との間に上下に貫通する逃がし空間が形成された案内孔が、ゴミや砂で詰まるのを避けることができるため、弁体の作動が損なわれるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明の一実施の形態の、蓋体と弁体の両方が下方位置にあるときの断面図である。
【
図2】同じく、蓋体が下方位置にあって、弁体のみが上昇したときの断面図である。
【
図3】同じく、弁体とともに蓋体が上昇したときの断面図である。
【
図4】同じく、
図1におけるA−A線による拡大断面図である。
【
図5】同じく、受け枠に本体を組み付けた状態の斜視図である。
【
図6】同じく、さらに弁体を組み付けた状態の斜視図である。
【
図9】この発明の他の実施の形態の、蓋体と弁体の両方が下方位置にあるときの断面図である。
【
図10】同じく、蓋体が下方位置にあって、弁体のみが上昇したときの断面図である。
【
図11】同じく、弁体とともに蓋体が上昇したときの断面図である。
【
図12】同じく、受け枠に本体を組み付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明に係る通気口装置および通気弁構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1〜
図8は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、地中に埋設される排水管路(図示せず)に繋がる立上り管を示し、この立上り管1は、例えば、家屋の排水設備と下水本管とを繋ぐ排水管路に対し、その排水管路に繋がる排水枡等からなる。2は、前記立上り管1の地表開口部に配備される通気口装置を示す。3は、前記立上り管1の地表開口部に設けられる通気弁構造を示す。
【0031】
通気口装置2は、通気口5aを有する本体5と、弁体6と、蓋体7とを備える。そして、通気弁構造3にあっても、通気口5aを有する本体5と、弁体6と、蓋体7とを備える。
【0032】
ここで、本体5は、立上り管1の上端に固定される受け枠4に取り付けられる。もっとも、受け枠4が設けられることなく、本体5が立上り管1に直接取り付けられてもよい。弁体6は、本体5の通気口5aを開閉するよう上下に移動可能であって、下方位置にて通気口5aを閉じ(
図1参照)、排水管路からの増加した圧力(つまり、立上り管1内の増加した圧力)を受けて上昇することにより通気口5aを開放する(
図2参照)。詳細には、弁体6は、弁体本体6aと、その弁体本体6aから下方に向けて延設された被案内軸部6bとを備える。一方、本体5には、上下に貫通して被案内軸部6bが挿通される案内孔5bが設けられて、被案内軸部6bが、案内孔5bに案内されることにより、弁体6は、上下に移動するように案内される。
【0033】
また、弁体6と本体5との間には、通気口5aを取り囲むパッキン(弁用パッキン8)が介在し、そのパッキンを介して通気口5aが閉じられる。詳細には、弁用パッキン8は、弁体6に設けられ、その弁体6と一体となって上下に移動する。そして、本体5には、弁用パッキン8が当接する座面5cが設けられる。
【0034】
蓋体7は、弁体6および本体5の上方を覆うようにして、本体5に載せられる。そこで、下方位置にある弁体6と、本体5に載せられた蓋体7との間に、弁体6が上昇可能となる上昇許容空間9を有する(
図1参照)。そして、本体5とその本体5に載せられた蓋体7との間に、開放した前記通気口5aと外部とを連通させる連通空間10を有する。
【0035】
また、蓋体7は、上下に移動可能であって、上昇することにより、本体5と蓋体7との間に前記連通空間10に付加された付加連通空間11が形成される(
図3参照)。図示実施の形態においては、蓋体7は、本体5に載せられた下方位置から、前記上昇許容空間9を越えて上昇する弁体6に押されて上昇する。
【0036】
具体的には、受け枠4は、例えば環状に形成されて、例えば円筒形状の立上り管1の上端に、接着等により固定される。この受け枠4は、立上り管1に嵌められる第1枠部4aと、その第1枠部4aよりも径大となって上方に延びる第2枠部4bとを備える。そして、受け枠4は、第1枠部4aから第2枠部4bに移る内側の段部が、本体5が載せられる受け面4cとなっている(
図1参照)。
【0037】
本体5は、受け枠4内を、通気口5aを残して塞ぐものであり、受け枠4に挿入されて、受け面4cに載せられる(
図1参照)。ここにおいて、通気口5aは、本体5の中央に位置し、本体5を上下に貫通する。そして、本体5の上面5dは、外縁から通気口5a側に向かうにつれて高くなるように傾斜して形成される。また、本体5の上面5dは、蓋体7が載せられる載置面5eと、その載置面5eよりも下がった位置にあって、蓋体7との間に前述の連通空間10を形成する連通空間形成面5fとを備える。詳細には、これら載置面5eと連通空間形成面5fとは、本体5の周方向に交互に並んで形成され、図示実施の形態においては、3組形成されている。そして、蓋体7が上昇すると、連通空間10の上方、そして、載置面5eの上方に、前述の付加連通空間11が現れる(
図3参照)。
【0038】
この本体5における座面5cは、通気口5aの周縁に設けられる。そして、この座面5cは、本体5の上面5d(載置面5eおよび連通空間形成面5f)から段状に下がって形成されて、弁用パッキン8は、弁体6が下方位置にあるとき、座面5cから本体5の上面5dまでの高さ内にある。つまり、弁用パッキン8は、本体5の上面5dからの座面5cの深さ内にある。そして、座面5cが、本体5の上面5dよりも下がることで、弁体6は、本体5の上面5dよりも下に位置し、蓋体7との間に、前述の上昇許容空間9が形成される(
図1参照)。
【0039】
そして、本体5は、通気口5a内に架設される架設部5gを備える。詳細には、この架設部5gは、中央に位置して前述の案内孔5bがあけられた基部5hと、その基部5hから放射状に延びて通気口5aの内周面に渡される架設片5i(図示実施の形態においては、4本の架設片5i、5i)とからなる(
図5参照)。
【0040】
また、本体5には、係止片5jが設けられる。詳細には、この係止片5jは、本体5の外周面の上端部分から側方に突出して形成され、図示実施の形態においては、載置面5eの位置に対応して、周方向に三つ設けられている。そして、係止片5jは、本体の外周面の窪んだ凹部5kの上部に形成されて、その凹部5kが、受け枠4との間に隙間12を形成する。
【0041】
また、本体5は、受け枠4の第1枠部4aと対向するように下方に延びる延出部5mを備える(
図1参照)。そして、その延出部5mと第1枠部4aとの間に封止用パッキン13が設けられる。
【0042】
弁体6は、
図7に示すように、前述の弁体本体6aが、円盤状に形成される。そして、前述の被案内軸部6bが、弁体本体6aの中央から下方に向けて延設される。また、弁体6(詳しくは、弁体本体6a)の上面は、その上面の少なくとも外縁側が、その外縁に向かうにつれて低くなるように傾斜して形成された傾斜面6cとなっている(
図1参照)。すなわち、弁体6の上面は、外縁から中心に向けて高くなっている。図示実施の形態においては、弁体6の上面は、その中央部分6dが平坦に形成され、外縁側が、前記傾斜面6cとなっている。
【0043】
そして、弁体6の被案内軸部6bにあっては、その外周面が、その周方向において部分的に、案内孔5bの内周面から隔てて位置し、あるいは、案内孔5bの内周面が、その周方向において部分的に、被案内軸部6bの外周面から隔てて位置し、(図示実施の形態においては、被案内軸部6bの外周面が、その周方向において部分的に、案内孔5bの内周面から隔てて位置し、)その隔てにより、それら被案内軸部6bの外周面と案内孔5bの内周面との間に、上下に貫通する逃がし空間14が形成されている(
図1〜
図4参照)。詳細には、案内孔5bが、断面円形であるのに対し、被案内軸部6bが、断面十字形となることで、案内孔5bの内周面との間に、前記逃がし空間14が形成される。
【0044】
また、弁体本体6aは、相対的に径大となる上側分割体601と、相対的に径小となる下側分割体602が重ねられて形成され、被案内軸部6bは、下側分割体602から下方に向けて延設される。そして、弁用パッキン8は、円形平板状に形成されて、上側分割体601と下側分割体602とに挟み込まれて保持される。
【0045】
蓋体7は、
図1および
図8に示すように、板状(図示実施の形態においては、円板状)の蓋体本体7aと、その蓋体本体7aの周縁から下方に向けて突出する脚部7bとを備え、蓋体本体7aが、弁体6および本体5の上方を覆うようにして本体5に載せられる。そして、脚部7bには、その下端に被係止片7cが設けられる(図示実施の形態においては、内側に突出するようにして設けられる)。そこで、脚部7bを、本体5と受け枠4との間の隙間12(つまり、本体5の凹部5k)に挿入するようにして、弁体6を本体5に載せる。これにより、蓋体7の脚部7bが、本体5の凹部5kに係合し、蓋体7は、その周方向に回動不能となる。つまり、蓋体7は、その周方向に回動不能となるように本体5に係合する。さらに、蓋体7の脚部7bが、本体5の凹部5k、つまり隙間12に係合することで、蓋体7は、上下に移動するように案内される。そして、脚部7bに設けられた被係止片7cが、本体5の係止片5jと対向し、蓋体7が上昇したとき、被係止片7cが係止片5jに当接して、それ以上の上昇が止められる(
図3参照)。なお、
図1において符号7dは、脚部7bから側方に延出された延出片を示し、この延出片7dは、蓋体7が下方位置にあるとき、受け枠4に載せられる。
【0046】
次に、以上の構成からなる通気口装置2および通気弁構造3の作用効果について説明する。この通気口装置2および通気弁構造3によると、通気口5aを有する本体5に対し、通気口5aを開閉する弁体6が設けられ、さらに、蓋体7が、弁体6および本体5の上方を覆って、本体5に載せられる。そして、弁体6が通気口5aを閉じた下方位置にあるとき、弁体6と蓋体7との間には、弁体6が上昇可能となる上昇許容空間9が確保されている(
図1参照)。よって、蓋体7が本体5に載った状態のまま、弁体6は、上昇して通気口5aを開放することができる(
図2参照)。そして、本体5とその本体5に載せられた蓋体7との間には、連通空間10があり、この連通空間10を通して、開放した通気口5aと外部とが連通する。
【0047】
したがって、排水管路、そして立上り管1内の圧力が、何らかの原因で増加すると、蓋体7が本体5に載ったままの状態で、弁体6が上昇して、通気口5aと外部とが連通し、増加した圧力を逃がすことができ、これによって、排水管路の逆流を防いだり、排水管路の流れが二重トラップ等が原因で滞るようなことを防いだり、あるいは、本体5や蓋体7が、立上り管1から飛び出すのを防いだりすることができる。そして、蓋体7が本体5に載った状態で、弁体6が作動することから、蓋体7の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口5aは、開放する。すなわち、下方位置にある弁体6と、本体5に載せられた蓋体7との間に、弁体6が上昇可能となる上昇許容空間9を設けることで、蓋体7が本体5に載った状態で、弁体6を作動させることかでき、これにより、蓋体7の上に物が載ったり人が乗ったりしても、通気口5aを開放させることができ、また、蓋体7が上昇しないことから、見栄えもよい。
【0048】
また、排水管路、そして立上り管1内の圧力がさらに増加した場合には、蓋体7の上に物が載ったり人が乗ったりしていない状態では、蓋体7が、上昇する(図示実施の形態においては、上昇許容空間9を越えて上昇する弁体6に押されて上昇する(
図3参照)。)。そして、この蓋体7の上昇により、本体5と蓋体7との間に連通空間10に付加された付加連通空間11が形成され、増加した圧力を的確に逃がすことができる。すなわち、排水管路の圧力の増加が小さい間は、弁体6のみの上昇で対応させることができ、例えば、集中豪雨等で排水管路の圧力が異常に高くなった場合には、弁体6の上昇の他に、蓋体7が上昇することで、その圧力を的確に逃がすことができる。
【0049】
また、弁体6は、上面の少なくとも外縁側が、その外縁に向かうにつれて低くなるように傾斜して形成されており、これにより、弁体6の上に水が溜まりにくくなり、その水によって弁体6の上昇が妨げられるようなことがない。
【0050】
また、弁体6は、弁体本体6aから下方に向けて延設された被案内軸部6bを備え、本体5には、上下に貫通して被案内軸部6bが挿通される案内孔5bが設けられて、これら被案内軸部6bと案内孔5bとにより、弁体6は、上下に移動するように案内される。そして、被案内軸部6bの外周面と案内孔5bの内周面との間に、周方向において部分的に、上下に貫通する逃がし空間14が形成されている(
図1〜
図4参照)。そこで、外からゴミや砂が混じった水が浸入して、案内孔5b内にゴミや砂が混じった水が入っても、その水は、案内孔5b内の上下に貫通する逃がし空間14を通って流れ出るため、案内孔5bがゴミや砂で詰まるのを避けることができる。すなわち、外からゴミや砂が混じった水が浸入するような場合であっても、被案内軸部6bとの間に上下に貫通する逃がし空間14が形成された案内孔5bが、ゴミや砂で詰まるのを避けることができるため、弁体6の作動が損なわれるのを抑えることができる。
【0051】
また、本体5の上面5dを、外縁から通気口5a側に向かうにつれて高くなるように傾斜して形成することで、外の雨水が、本体5と蓋体7との間から内部に浸入しにくくすることができる。
【0052】
また、蓋体7は、上下に移動するものの、周方向に回動不能となるように本体5に係合する。このように、蓋体7をその周方向に回動不能とすることで、蓋体7の上に人が乗るような場合であっても、人が蓋体7で足を取られることがない。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、立上り管1が繋がる排水管路は、家屋の排水設備と下水本管とを繋ぐものでなくとも、下水本管そのもの等、その他の排水管賂であってもよい。
【0054】
また、本体5の案内孔5bと弁体6の被案内軸部6bとの関係において、案内孔5bが、断面円形であるのに対し、被案内軸部6bが、断面十字形となっているが、この被案内軸部6bは、断面三角形とか断面四角形等であってもよい。また、これにより、被案内軸部6bの外周面が、その周方向において部分的に、案内孔5bの内周面から隔てて位置するが、反対に、案内孔5bの内周面が、その周方向において部分的に、被案内軸部6bの外周面から隔てて位置し、それら被案内軸部6bの外周面と案内孔5bの内周面との間に、上下に貫通する逃がし空間が形成されてもよい。
【0055】
また、本体5に案内孔5bが設けられ、弁体6に被案内軸部6bが設けられているが、
図9〜
図14に示すように、これら案内孔5bと被案内軸部6bとの関係が逆であってもよい。すなわち、本体5は、通気口5a内に架設される架設部5g(図示実施の形態においては、中央に位置する基部5hと、その基部5hから放射状に延びて通気口5aの内周面に渡される架設片5i、5iとからなる。)と、その架設部5g(詳しくは、基部5h)から立ち上がる案内軸部5xとを備え、弁体6は、下方に開口し上方が閉塞して下方から前記案内軸部5xが挿通される穴6yが設けられた被案内部6xを備えて、これら案内軸部5xと被案内部6xの穴6yとにより(つまり、その被案内部6xが案内軸部5xに案内されることにより)、弁体6が、上下に移動するように案内されてもよい。これにより、外からゴミや砂が混じった水が浸入した場合に、被案内部6xの穴6yは、上方が閉塞し下方の開口から案内軸部5xが挿通されていることから、その下方の開口からゴミや砂が混じった水が入りにくく、穴6yがゴミや砂で詰まるのを避けることができる。すなわち、外からゴミや砂が混じった水が浸入するような場合であっても、上方が閉塞し下方の開口から案内軸部5xが挿入された穴6yが、ゴミや砂で詰まるのを避けることができるため、弁体6の作動が損なわれるのを抑えることができる。
【0056】
そして、この
図9〜
図14に示す実施の形態においては、弁体6は、弁体本体6aと、その弁体本体6aから下方に向けて延設された被案内部6xとしての筒部6zとを備え、その筒部6z内が前記穴6yとなっている。そして、筒部6zは、弁体6が下方位置にて、その筒部6zの下端が架設部5g(詳しくは、基部5h)の上面に当接しない長さとなっている。こうして、筒部6zが架設部5g(詳しくは、基部5h)の上面から離れることで、筒部6zにおける穴6yの下方の開口から、ゴミや砂が混じった水が入ったとしても、その水が排出し易く、穴6yがゴミや砂で詰まるのを一層避けることができる。なお、この実施の形態においては、蓋体7の脚部7bにおける被係止片7cは、脚部7bに設けられた開口7xの下側の周縁部分からなる(
図14参照)。
【0057】
また、蓋体7は、上昇許容空間9を越えて上昇する弁体6に押されて上昇するが、通気口5aから流出する空気、水等の流出物に押されて上昇するものであってもよい。
【0058】
また、連通空間10を形成するにあたって、本体5の上面5dが、載置面5eと、その載置面5eよりも下がった位置にある(つまり、載置面5eから窪む)連通空間形成面5fとを備えるが、反対に、蓋体7の下面が、本体5に載る被載置面と、その被載置面よりも上がった位置にあって(つまり、被載置面から窪み)、本体5との間に連通空間を形成する連通空間形成面とを備えてもよく、さらには、本体5の上面5dが、載置面5eと、その載置面5eよりも下がった位置にある連通空間形成面5fとを備えるともに、蓋体7の下面が、本体5に載る被載置面と、その被載置面よりも上がった位置にある連通空間形成面とを備えてもよい。
【0059】
また、弁体6は、その全体が上下に移動可能となっていなくとも、弁体6の全体を軟質材料で構成し、その弁体6の、例えば中央部分を本体5に固着することで、その固着した部分以外の部分である一部が、撓み変形することにより上下に移動し、その上下の移動により、本体5の座面5cとの間が開閉、つまり通気口5aが開閉するようにしてもよい。そして、この場合には、蓋体7は、通気口5aから流出する空気、水等の流出物に押されて上昇することとなる。
【符号の説明】
【0060】
1 立上り管
2 通気口装置
3 通気弁構造
5 本体
5a 通気口
5b 案内孔
5c 座面
5d 上面
5e 載置面
5f 連通空間形成面
5g 架設部
5x 案内軸部
6 弁体
6a 弁体本体
6b 被案内軸部
6x 被案内部
6y 穴
6z 筒部
7 蓋体
8 弁用パッキン(パッキン)
9 上昇許容空間
10 連通空間
11 付加連通空間
14 逃がし空間