特許第6162708号(P6162708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6162708光学レンズを供給するためのネットワーク接続されたコンピュータシステムにおける保護されたデータ通信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162708
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】光学レンズを供給するためのネットワーク接続されたコンピュータシステムにおける保護されたデータ通信
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20170703BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20170703BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20170703BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20170703BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   G02C13/00
   G02C7/02
   G06Q30/06 300
   G06Q50/04
   G05B19/418 Z
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-539330(P2014-539330)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2015-502568(P2015-502568A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012071636
(87)【国際公開番号】WO2013064582
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】11306420.8
(32)【優先日】2011年11月3日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507229319
【氏名又は名称】エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ・ステフコフ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール・デュヴェルヌイユ
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/040757(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/023941(WO,A1)
【文献】 特開2009−20536(JP,A)
【文献】 特開2011−180733(JP,A)
【文献】 特開2002−202482(JP,A)
【文献】 特開2006−50111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
G05B19/418
G06Q30/06
G06Q50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者に対して適合された少なくとも1つの光学レンズを供給するためのコンピュータ手段によって実装される方法であって、前記光学レンズは、第1レンズ部分と、第2レンズ部分と、を有し、
a)直接的に、又は製造側を介して間接的に、レンズ発注側(LOS)に位置した第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC1、PC3)から、データの第1の組(S1)を受け取るステップであって、前記データの第1の組(S1)は、少なくとも、着用者のデータを有し、前記着用者のデータは、少なくとも、着用者の処方データを有する、ステップと、
b)少なくとも光学レンズ設計情報及び前記着用者の処方データを有するデータの第2の組(S2)をレンズ設計側(LDS)に位置した第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC2)に送信し、且つ、前記第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC2)から、前記第2の組(S2)から算出された少なくとも光学レンズデータ(OLD)を有するデータの第3の組(S3)を受け取るステップであって、前記光学レンズデータ(OLD)は、第1レンズ部分に関係する光学レンズデータの第1の組(OLD1)と、第2レンズ部分に関係する光学レンズデータの第2の組(OLD2)と、を有し、前記光学レンズデータの第1の組(OLD1)及び前記光学レンズデータの第2の組(OLD2)は、前記光学レンズの光学関数(OF)を一緒に規定している、ステップと、
c)レンズ製造側(LMS)に位置した少なくとも第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC3)に、少なくとも前記光学レンズデータの第1の組(OLD1)を送信するステップと、
d)半完成レンズ製造側(SFLMS)に位置した少なくとも第4のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC4)に、少なくとも前記光学レンズデータの第2の組(OLD2)を送信するステップであって、前記レンズ製造側(LMS)と前記半完成レンズ製造側(SFLMS)とは異なる、ステップ
を有し、
光学レンズデータの少なくとも第1及び第2の組(OLD1、OLD2)は、それぞれ、マスキング機能(ENCR)によって少なくとも部分的に変更され(MOLD1、MOLD2)、且つ、前記マスキング機能は、
− 光学レンズデータの第1の変更済みの組(MOLD1)を得るように、前記光学レンズデータの第1の組と、
− 光学レンズデータの第2の変更済みの組(MOLD2)を得るように、前記光学レンズデータの第2の組と
に適用され、
前記光学レンズデータの第1の変更済みの組(MOLD1)及び前記光学レンズデータの第2の変更済みの組(MOLD2)は、前記光学レンズの前記光学関数(OF)と同一の光学関数を一緒に規定する、方法。
【請求項2】
値(AV)を得るように、ステップc)のそれぞれの実行が計数手段によって計数される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC3)及び/又は前
記第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC2)と関連するトークン値がそれぞれの計数の際に減分される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記値(AV)に基づいて会計処理が実行される請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記マスキング機能は、暗号化を有し、且つ、光学レンズデータの第1及び第2の組(OLD1、OLD2)は、暗号化手段及び暗号化キー(ENCR)により、少なくとも部分的に暗号化され、且つ、前記第3及び第4のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC3、PC4)は、暗号解読キー(DECR)により、光学レンズデータの前記第1及び第2の組(OLD1、OLD2)を暗号解読するように、構成されている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光学レンズデータの前記暗号化は、ステップc)において実行される前記データの第3の組(S3)の少なくとも一部分の暗号化の結果としてもたらされ、且つ、ステップc)において実行されるそれぞれの暗号化は、値(AV)を得るように、計数手段によって計数される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの暗号化キー(ENCR1(i)、ENCR2(j)、ENCR3(k))が、それぞれの値(AV1、AV2、AV3)との関連において提供される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップa)〜ステップd)は、少なくともサーバー(SER)及びストレージユニット(MEM)を有するネットワーク接続されたデータ処理装置(DPD)によって実行される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも前記データの第1の組(S1)は、前記ネットワーク接続されたデータ処理装置(DPD)によって稼働するウェブサイトに送信される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学レンズデータの第1の組(OLD1)は、光学レンズデータ(OLD)と関連する製造規則の組を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
着用者に対して適合された少なくとも1つの光学レンズを供給するための光学レンズ供給システムであって、前記光学レンズは、第1レンズ部分と、第2レンズ部分と、を有し、前記システムは、
a)直接的に、又は製造側を介して間接的に、レンズ発注側(LOS)に位置した第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC1、PC3)から、データの第1の組(S1)を受け取り、前記データの第1の組(S1)は、少なくとも、着用者のデータを有し、前記着用者のデータは、少なくとも、着用者の処方データを有し、
b)少なくとも光学レンズ設計情報及び前記着用者の処方データを有するデータの第2の組(S2)をレンズ設計側(LDS)に位置した第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC2)に送信し、且つ、前記第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC2)から、前記第2の組(S2)から算出された少なくとも光学レンズデータ(OLD)を有するデータの第3の組(S3)を受け取り、前記光学レンズデータ(OLD)は、第1レンズ部分に関係する光学レンズデータの第1の組(OLD1)と、第2レンズ部分に関係する光学レンズデータの第2の組(OLD2)と、を有し、前記光学レンズデータの第1の組(OLD1)及び前記光学レンズデータの第2の組(OLD2)は、前記光学レンズの光学関数(OF)を一緒に規定し、
c)レンズ製造側(LMS)に位置した少なくとも第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC3)に、少なくとも前記光学レンズデータの第1の組(OLD1)を送信し、且つ、
d)半完成レンズ製造側(SFLMS)に位置した少なくとも第4のネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(PC4)に、少なくとも前記光学レンズデータの第2の組(OLD2)を送信することであって、前記レンズ製造側(LMS)と前記半完成レンズ製造側(SFLMS)とは異なる、送信すること
ための処理手段(DPD)を有し、
光学レンズデータの少なくとも第1及び第2の組(OLD1、OLD2)は、それぞれ、マスキング機能(ENCR)によって少なくとも部分的に変更され(MOLD1、MOLD2)、且つ、前記マスキング機能は、
− 光学レンズデータの第1の変更済みの組(MOLD1)を得るように、前記光学レンズデータの第1の組と、
− 光学レンズデータの第2の変更済みの組(MOLD2)を得るように、前記光学レンズデータの第2の組と
に適用され、
前記光学レンズデータの第1の変更済みの組(MOLD1)及び前記光学レンズデータの第2の変更済みの組(MOLD2)は、前記光学レンズの前記光学関数(OF)と同一の光学関数を一緒に規定する、システム。
【請求項12】
データ処理装置用のコンピュータプログラムであって、データ処理装置に読み込まれた際に、前記装置に請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令の組を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者に対して適合された少なくとも1つの光学レンズを供給するためのコンピュータ手段及びコンピュータシステムによって実装される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、発注側に位置したアイケアの専門家(eye care professional)は、レンズ発注データを送信することにより、光学レンズを光学ラボに対して発注する。レンズ発注データは、一般に、少なくとも着用者のデータ(並びに、更に詳しくは、着用者の処方データ)、レンズフレームデータ、及びレンズデータを有する。この結果、光学ラボは、レンズ製造側において、レンズ発注データに基づいて光学レンズを製造する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、この状況を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は、着用者に対して適合された少なくとも1つの光学レンズを供給するためのコンピュータ手段によって実装される方法であって、
a)直接的に、又は製造側を介して間接的に、レンズ発注側に位置した第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティから、データの第1の組を受け取るステップであって、データの第1の組は、少なくとも、着用者のデータと、特に、着用者の処方データと、を有する、ステップと、
b)少なくとも光学レンズ設計情報及び着用者の処方データを有するデータの第2の組をレンズ設計側に位置した第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティに送信し、且つ、第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティから、第2の組から算出された少なくとも光学レンズデータを有するデータの第3の組を受け取るステップと、
c)レンズ製造側に位置した少なくとも第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティに、光学レンズデータの少なくとも一部分を有するデータの第4の組を送信するステップであって、データの第4の組の少なくとも光学レンズデータは、マスキング機能によって少なくとも部分的に変更される、ステップと、
を有する方法に関する。
【0005】
又、本発明は、着用者に対して適合された少なくとも1つの光学レンズを供給するための光学レンズ供給システムであって、
a)直接的に、又は製造側を介して間接的に、レンズ発注側に位置した第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティから、データの第1の組を受け取り、データの第1の組は、少なくとも、着用者のデータと、特に、着用者の処方データと、を有し、
b)少なくとも光学レンズ設計情報及び着用者の処方データを有するデータの第2の組をレンズ設計側に位置した第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティに送信し、且つ、第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティから、第2の組から算出された少なくとも光学レンズデータを有するデータの第3の組を受け取り、且つ、
c)レンズ製造側に位置した少なくとも第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティに、光学レンズデータの少なくとも一部分を有するデータの第4の組を送信し、データの第4の組の少なくとも光学レンズデータは、マスキング機能によって少なくとも部分的に変更される、
ための処理手段を有する光学レンズ供給システムを目的としている。
【0006】
更に詳しくは、ステップa)〜ステップc)は、同一の場所において、且つ、恐らくは、同一のネットワーク接続されたデータ処理装置により、実行することが可能であることから、本発明は、ネットワーク接続されたデータ処理装置にも関し、この装置は、
a)直接的に、又は製造側を介して間接的に、レンズ発注側に位置した第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティから、データの第1の組を受け取り、データの第1の組は、少なくとも、着用者のデータと、特に、着用者の処方データと、を有し、
b)少なくとも光学レンズ設計情報及び着用者の処方データを有するデータの第2の組をレンズ設計側に位置した第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティに送信し、且つ、第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティから、第2の組から算出された少なくとも光学レンズデータを有するデータの第3の組を受け取り、且つ、
c)レンズ製造側に位置した少なくとも第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティに、光学レンズデータの少なくとも一部分を有するデータの第4の組を送信し、データの第4の組の少なくとも光学レンズデータは、マスキング機能によって少なくとも部分的に変更される、
ための処理手段(例えば、サーバー、メモリユニット、プロセッサ、又はその他のもの)を有する。
【0007】
本発明は、データ処理装置用のコンピュータプログラムプロダクトを更なる目的としており、このコンピュータプログラムプロダクトは、データ処理装置に読み込まれた際に、データ処理装置に上述の方法のステップを実行させる命令の組を有する。
【0008】
本発明のその他の特徴及び利点については、以下の詳細な説明を参照すると共に添付図面を検討することにより、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による方法を実装する光学レンズ供給システムの一例を概略的に示す。
図2図1に示されているコンピュータエンティティの間のデータ通信を示すシーケンス図である。
図3】本発明の一実施形態によるネットワーク接続されたデータ処理装置のメモリ内のデータコンテンツの一例と、第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3内のメモリコンテンツの一例と、を示す。
図4】本発明の一実施形態による半完成レンズ製造側を有する光学レンズ供給システムの一例を概略的に示す。
図5A図2の代替肢としてのシーケンス図である。
図5B図2の更なる代替肢としてのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、着用者に対して適合された少なくとも1つの光学レンズのコンピュータ手段によって支援された供給に関する。「光学レンズ」とは、限定を伴うことなしに、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、人工水晶体、及びこれらに類似したものを有する眼科レンズを意味している。「着用者に対して適合された」という用語は、光学レンズが少なくとも着用者の眼科処方の要件を満足していることを意味している。
【0011】
図1に一例として示されているシステムは、
− レンズ発注側LOSに(例えば、アイケアの専門家の店内に)位置した第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC1と、
− (例えば、レンズ設計算出エンジンENGIを稼働させている)レンズ設計側LDSに位置した少なくとも第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC2と、
− レンズ製造側LMSに(例えば、光学ラボの店内に)位置した第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3と、
を有する。
【0012】
このシステムは、例えば、サーバーSERと、メモリユニットMEMと、を含むネットワーク接続されたデータ処理装置DPDを更に有し、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、後述するように、第1、第2、及び第3コンピュータとの間の通信を可能にするべくネットワーク接続されている。
【0013】
一実施形態においては、値AVを得るように、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDから(レンズ製造側LMSに位置した)第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3への光学レンズデータOLDのそれぞれの通信を計数手段によって計数することができる(図1)。光学レンズデータの組OLDは、例えば、光学レンズ設計との関係におけるデータを有することができる。従って、計数された値AVは、例えば、第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3を有する所与の光学ラボに対して伝達された(レンズ設計データを含む)光学レンズデータの組の数を示すことができる。このような値AVの計数に関係する詳細(図3に概略的に示されているもの)については、以下において付与することとする。
【0014】
図2を参照すれば、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、光学レンズの発注と関連するデータの第1の組S1を受け取る。このデータの第1の組S1は、少なくとも、着用者のデータと、特に、着用者の処方データと、を有する。
【0015】
以下、「着用者のデータ」は、少なくとも着用者の処方データ(例えば、球面ジオプター(spherical power)、非点収差、非点収差の円筒軸、又はその他のものを含む)を有する。着用者のデータは、例えば、瞳孔間距離、頂点間距離、広角度(pantoscopic angle)、又は着用者に関係する任意のその他のデータのような個別のデータを更に有してもよい。
【0016】
データの第1の組S1は、レンズの担持を目的としたメガネフレームとの関係におけるデータを更に有することができる。従って、このようなデータは、例えば、光学レンズの担持を目的としたメガネフレームの内側リムの形状、リム寸法の計測値、このようなリムの傾斜角、又はその他のものに関係する情報を含む眼鏡フレーム情報を有することができる。更には、アイケアの専門家は、光学レンズのタイプの選択肢に関係するデータ(例えば、レンズの光学設計、レンズの材料、その被覆、又はその他のもの)を送信することもできる。
【0017】
装置DPDは、図1の破線矢印によって示されているように、この第1の組S1をレンズ発注側LOSから直接的に受け取ることができる。図2に示されている代替実施形態においては、装置DPDは、例えば、製造側に位置した機械との関係におけるデータを追加することができる第3コンピュータエンティティPC3を、例えば、通じることにより、第1の組S1をレンズ製造側LMSを介して間接的に受け取っている。このような機械は、レンズ生成器、レンズブロッカ(lens blocker)、レンズ研磨機、及び/若しくはレンズエッジャ(lens edger)、又は、その他のものなどの光学ラボに位置した通常の手段を含むことができる。
【0018】
次いで、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、データの第2の組S2をレンズ設計側LDSに位置した第2コンピュータエンティティPC2に送信している。データの第2の組S2は、少なくとも着用者の処方データを有し、且つ、光学レンズ設計情報OLDIを更に含む。光学レンズ設計情報は、装置DPDとの間における第1コンピュータPC1又は第3コンピュータPC3の通信(図2の破線矢印)の際に、レンズ発注側(LOS)に位置したアイケアの専門家及び/又はレンズ製造側(LMS)における光学ラボのアイケアの専門家によって実行された選択の結果として得ることができる。
【0019】
レンズ設計側(LDS)に位置した第2コンピュータエンティティPC2は、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDに、第2の組S2から算出された少なくとも光学レンズデータOLDを有するデータの第3の組S3を返している。光学レンズデータOLDは、製造対象の光学レンズの幾何学的且つ光学的特性を規定するデータを有する。次いで、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、レンズ製造側(LMS)に対して送信するためのデータの第4の組S4を構築しており、且つ、更に詳しくは、第4の組S4のコンテンツを少なくとも部分的にマスキングする手段を有する。
【0020】
マスキングは、暗号化を有することが可能であり、且つ、可能な一実施形態においては、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、暗号化キーENCRにより、第4の組S4のコンテンツを少なくとも部分的に暗号化するための暗号化手段を有することができる。一変形においては、レンズ設計側(LDS)に位置した第2コンピュータPC2が、この暗号化を実行する暗号化手段を有してもよい。
【0021】
図4に示されている実施形態の一例を参照して後述する一代替又は補完実施形態においては、光学レンズの第1部分との関係における変更済みの光学レンズデータMOLD1及び光学レンズの第2部分との関係における変更済みの光学レンズデータMOLD2を1つ又は複数のレンズ製造側に送信するように、マスキング機能を光学レンズデータOLDに対して、且つ、更に詳しくは、光学レンズの第1及び第2部分との関係における光学レンズデータOLD1、OLD2に対して、適用することができる。
【0022】
通常、光学レンズは、第1部分と、第2部分と、を有するものとして規定することができる。第1部分(又は、第2部分)は、例えば、光学レンズの第1面(又は、第2面)であってもよい。第1面(又は、第2面)は、例えば、光学レンズの前部表面(又は、後部表面)又は後部表面(又は、前部表面)であってもよい。更に一般的には、第1部分(又は、第2部分)は、光学レンズの後部部分(又は、前部部分)及び前部部分(又は、後部部分)に対応する光学レンズの第1容積(又は、第2容積)に対応したものであってもよい。
【0023】
第1部分F1の光学的且つ幾何学的特性は、関数EF1(n,x,y,z)によって規定することが可能であり、ここで、nは、第1部分F1の光学指数であり、且つ、x、y、zは、所与の座標系における空間座標である。第2部分F2の光学的及び幾何学的特性は、関数EF2(n,x,y,z)によって規定することが可能であり、ここで、nは、第2部分F2の光学指数であり、且つ、x、y、zは、所与の座標系における空間座標である。
【0024】
この結果、光学レンズの光学関数OFは、以下のように、前記光学レンズの光学的且つ幾何学的特性を規定する関数hとして規定することが可能であり:
OF=h(EF1(n,x,y,z),EF2(n,x,y,z))
ここで、nは、光学指数であり、且つ、x、y、zは、所与の座標系における空間座標である。
【0025】
光学レンズの光学的及び幾何学的特性は、例えば、前部及び後部表面の表面形状、前部表面との関係における後部表面の位置、及び光学レンズ材料の光学指数nにより、規定することができる。
【0026】
従って、データの第3の組S3は、本発明の一実施形態においては、第1の式であるEF1(n,x,y,z)によって規定された第1仮想部分VF1と、第2の式であるEF2(n,x,y,z)によって規定された第2仮想部分VF2と、を有する(コンピュータファイルにおいて又はデータ通信メッセージにおいて規定された)「仮想的レンズ」として見なすことができる。この結果、式EF1と式EF2により、特に、光学レンズの設計対象である着用者の眼前にそのレンズが位置した際の任意の条件における光学レンズの光学関数OFをシミュレートすることができる。
【0027】
本発明の文脈においては、光学レンズデータOLDは、第1部分(例えば、第1の式であるEF1)に関係する光学レンズデータの第1の組と、第2部分(例えば、第2の式であるEF2)に関係する光学レンズデータの第2の組と、を有することができる。
【0028】
従って、特定の実施形態においては、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、光学レンズデータの第1及び第2の組(OLD1、OLD2)を有するデータの第3の組S3を受け取るように構成されている。ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、暗号化手段ENCRM及び暗号化キーENCRにより、光学レンズデータの第1の組(VF1又はEF1)及び第2の組(VF2又はEF2)のうちの少なくとも1つを暗号化するように更に構成されている。
【0029】
ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、少なくとも部分的に暗号化された少なくとも光学レンズデータCRP(OLD)を有するデータの第4の組S4を最終的に構築する。一代替実施形態においては、データの第4の組S4は、光学レンズデータOLDによって規定された光学レンズを製造するべく製造側に位置した特定の機械の組と共に使用される製造規則の組を更に有することができる。これらの製造規則は、具体的には、光学レンズを機械加工(表面仕上げ、研磨、エッジング、又はその他のもの)を実行するために使用される適切なツール又はパラメータと関係したものであってもよい。
【0030】
次いで、第3コンピュータエンティティPC3は、暗号解読キーDECRによってデータの第4の組S4を暗号解読するための暗号解読手段を有する。従って、製造側に位置した光学ラボは、データの第4の組S4に基づいて、レンズの発注に従って光学レンズを製造することができる。
【0031】
レンズ発注識別子#IDに対するリンクと共に、第4の組のデータをレンズ製造側(LMS)において(例えば、第3コンピュータエンティティPC3のメモリ内に)保存するように、それぞれのデータの組S1、...、S4内に(又は、少なくとも第1及び第4の組内に)光学レンズ発注識別子#IDを含むことができる。
【0032】
ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、アイケアの専門家及び/又は光学ラボによる使用が容易なインターフェイスを提供するべく、サーバーSERに関連するウェブサイトを稼働させるための手段を更に含むことができる。例えば、データの第1の組S1をウェブサイトのポータルページに送信されることが可能であり、且つ、このようなインターフェイスを通じて、第4の組S4を受け取ることもできる。
【0033】
従って、本発明の一利点によれば、例えば、製造側に位置したネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(以上においては、「第3コンピュータエンティティ」と呼ばれているもの)に、レンズ設計側に位置した少なくとも1つのネットワーク接続されたコンピュータエンティティ(以上においては、「第2コンピュータエンティティ」と呼ばれているもの)によって算出された光学レンズデータを供給することができる。
【0034】
アイケアの専門家(及び/又は、光学ラボの要員)が、その独自のレンズ製品仕様及び/若しくはその独自のレンズ設計推奨内容、又は、その他のものをそれぞれが有する異なるレンズ設計者によって提供された複数の選択肢の中から、1つの光学レンズ設計を選択することを選好する場合がある。従って、アイケアの専門家(又は、光学ラボ)が、比較し、且つ、レンズの発注に最も適合した1つの光学レンズ設計を最終的に選択することが便利になる。
【0035】
本発明は、有利には、例えば、サーバー(並びに、恐らくは、ウェブサイト及びデータベースを稼働させる処理手段)を有するネットワーク接続されたデータ処理装置を提供し、恐らくは、異なるレンズ設計者からの光学レンズデータが供給されるように、このデータ処理装置に対して、(製造側に位置した)第3コンピュータエンティティPC3及び/又は発注側に位置したコンピュータエンティティ(以上においては、「第1コンピュータエンティティ」と呼ばれているもの)をネットワークを通じて接続することができる。この結果、アイケアの専門家及び/又は光学ラボは、オンラインで、例えば、複数の可能なレンズを示す仮想的なカタログ内において光学レンズを選択することができる。
【0036】
一実施形態においては、第3コンピュータエンティティは、発注側と製造側が同一の側である場合には、第1コンピュータエンティティと同一のエンティティであり得る。
【0037】
製造側における光学レンズの製造を円滑に実行するために、光学ラボは、着用者のデータ、フレームデータ、又はその他のものを有するデータの組の全体を(レンズ設計側に位置した)第2コンピュータエンティティに送信することが可能であり、且つ、第2コンピュータエンティティは、例えば、着用者のデータやメガネフレームデータに対して適合されたレンズ設計の計算を、但し、恐らくは、特定のレンズ製品仕様データに従って、実行してもよい。次いで、第2コンピュータエンティティは、(製造側に位置した)第3コンピュータエンティティに光学レンズデータを送信し、この光学レンズデータは、例えば、適合されたレンズ設計データの計算結果を含んでもよい。
【0038】
但し、レンズ設計者及び/又はレンズ供給者の光学レンズデータ又は光学レンズ仕様は、個人的な且つ秘密のデータである可能性がある。従って、このようなデータを、例えば、その他のレンズ設計者/供給者のようなその他の関係者と共有することは望ましくない。
【0039】
従って、本発明の一利点によれば、レンズ設計側から受け取る少なくとも光学レンズデータを保護することが提案される。
【0040】
特定の実施形態においては、例えば、メモリMEM内に保存することができる値AVを得るように(図1)、ネットワーク接続されたデータ処理装置PDPによって実行されるデータの第4の組S4のそれぞれの送信をネットワーク接続されたデータ処理装置が有する計数手段によって計数している。一補完又は代替実施形態においては、値AVを得るように、データの第3の組S3の少なくとも一部分のそれぞれの暗号化を計数手段によって計数することができる。例えば、初期値を第3コンピュータエンティティPC3(又は、更に一般的には、光学ラボ)に割り当てることが可能であり、且つ、それぞれの送信又は暗号化の際に、この値をネットワーク接続されたデータ処理装置DPDによって減分することができる。例えば、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDによって送信されるN個の光学レンズ設計データにアクセスするための権限を第3コンピュータエンティティPC3を稼働させている光学ラボ又はアイケアの専門家に付与するトークンを、このようなネットワーク接続されたデータ処理装置からのデータのそれぞれの送信の際に、又は第3コンピュータエンティティPC3のために装置DPDによって実行されるそれぞれの暗号化の際に、減分することができる。一代替実施形態においては、レンズ設計者は、トークンをネットワーク接続されたデータ処理装置DPDに割り当てることが可能であり、それぞれのトークンは、例えば、同一のレンズ設計者によって提供されたN個の光学レンズ設計データにアクセスするための権限を付与する。この結果、トークン値Nを、このような装置DPDからのデータのそれぞれの送信の際に、又はネットワーク接続されたデータ処理装置DPDによって実行されるそれぞれの暗号化の際に、減分することができる。
【0041】
更には、データの第4の組S4のそれぞれの送信の際に且つ/又はそれぞれの暗号化の際に、メモリMEM内に保存されているレコードに基づいて、(例えば、請求目的のために)会計処理を実行することもできる。
【0042】
図3を参照すれば、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDのメモリMEMは、識別子#lab1、#lab2、#lab3などによって識別された個々の製造ラボのそれぞれの値AV1、AV2、AV3などを保存することができる。一代替又は補完実施形態においては、値を個々の製造ラボに且つ/又はレンズ設計算出エンジンENG1、ENG2、...、ENGIに関連付けることができる。例えば、いくつかの値AV1−1、AV1−2、...、AV1−Iを、それぞれ、以下のものに関連付けることができる。
− 所与の光学ラボ(ここでは、識別子#lab1を有するもの)及び、
− そのラボ(#lab1)に最終的に送信された光学レンズデータOLDを供給した算出エンジンENG1、ENG2、...、ENGI。
【0043】
光学レンズデータOLDが算出エンジンENG1、ENG2、...、ENGIによって供給された光学レンズ設計データを有する更なる実施形態においては、値をレンズ設計タイプに関連付けることができる。例えば、いくつかの値AV1−1−a、AV1−1−b、AV−1−1−c、...、AV1−2−a’、AV1−2−b’、AV1−2−c’、...、AV1−I−a’’、AV1−I−b’’、AV1−I−c’’、...を、それぞれ、以下のものに関連付けることができる。
− 所与の光学ラボ(ここでは、識別子#lab1を有するもの)、
− 光学レンズデータOLDを供給した算出エンジンENG1、ENG2、...、ENG1、及び/又は、
− レンズ設計タイプ(算出エンジンENG1によって算出されたレンズ設計データと関連するa、b、cなど、算出エンジンENG2によって算出されたレンズ設計データと関連するa’、b’、c’など、算出エンジンENGIによって算出されたレンズ設計データと関連するa’’、b’’、c’’など)。
【0044】
特定の実施形態においては、一般的な暗号化キーENCR1、ENCR2、ENCR3などをそれぞれのラボ(#lab1、#lab2、#lab3など)に供給しており、且つ、このような暗号化キーは、そのラボに割り当てられた値AV1、AV2、AV3などのそれぞれの変更の際に(例えば、上述の値が減分されるたびに)生成することができる。この実施形態は、対称暗号化において、所謂「派生キー(diversified key)」によって実行することができる。レンズ製造側(図3の右側)においては、第3コンピュータエンティティPC3も、例えば、データの第4の組S4がネットワーク接続されたデータ処理装置DPDから受け取られるたびに減分されるその値AV1を保存することが可能であり、且つ、相応して、暗号解読キーDECR1(i)を生成することができる。
【0045】
当然のことながら、一代替実施形態においては、光学レンズデータのそれぞれの暗号化において、独立した暗号化キーを使用することができる。更には、上述の対称モードに対する代替肢として非対称暗号化モードを使用することもできる。
【0046】
一代替又は補完実施形態においては、光学レンズは、上述のように、第1部分F1及び第2部分F2を有するものと見なすことができる。この結果、光学レンズデータOLDは、第1部分F1に関係する光学レンズデータの第1の組OLD1と、第2部分F2に関係する光学レンズデータの第2の組OLD2と、を有する。光学レンズデータの第1の組OLD1及び光学レンズデータの第2の組OLD2は、上述の光学レンズの光学関数OFを一緒に規定している。
【0047】
次いで、マスキング機能を以下のものに対して適用する。
− 光学レンズデータの第1の変更済みの組MOLD1を得るように、光学レンズデータの第1の組OLD1及び、
− 光学レンズデータの第2の変更済みの組MOLD2を得るように、光学レンズデータの第2の組OLD2。
【0048】
マスキング機能は、具体的には、光学レンズデータの第1の変更済みの組MOLD1及び光学レンズデータの第2の変更済みの組MOLD2が光学レンズの光学関数OFと同一の光学関数を一緒に規定するように、選択される。
【0049】
従って、レンズ製造側LMS(データの第4の組S4を受け取る光学ラボ)は、真の光学レンズデータOLDを、更に詳しくは、光学レンズデータの第1の組OLD1及び光学レンズデータの第2の組OLD2を、判定することができない。実際には、ここでは、変更済みのデータMOLD1及びMOLD2のみがレンズ製造側に付与される。
【0050】
更に一般的には、変更済みのデータMOLD1及びMOLD2は、いくつかの製造側に送信することができる。図4に示されている実施形態の一例においては、第4のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC4が、半完成レンズ製造側SFLMSに位置している。従って、光学レンズデータの第1の変更済みの組MOLD1は、レンズ製造側LMSに位置した第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3に送信することが可能であり、光学レンズデータの第2の変更済みの組MOLD2は、半完成レンズ製造側SFLMSに位置した第4のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC4に送信される。
【0051】
従って、第1ラボ(LMS)は、データの第1部分MOLD1のみを有し、且つ、第1部分F1は変更されており、もう1つのラボ(SFLMS)は、データの第2の部分MOLD2のみを有し、且つ、第2部分も変更されているため、光学レンズデータの全体を秘密に維持することができる。
【0052】
データOLD1に適用することができるマスキング機能は、例えば、秘密の値を伴う操作であってもよく、且つ、対応する逆操作をデータOLD2に対して適用することができる。例えば、第1光学伝達関数による畳込みをデータOLD1に適用することが可能であり、且つ、第2光学伝達関数による畳込みをデータOLD2に適用することが可能であり、第2光学伝達関数は、例えば、第1光学伝達関数の逆関数である。第1光学伝達関数は、(例えば、データの第4の組S4のそれぞれの送信の際にランダムに導出される)第1光学伝達関数の疑似ランダムパラメータを生成するための手段によって生成することができる。従って、レンズ製造側は、例えば、特定の着用者の処方データに対応する真の光学レンズデータOLD又はOLD1を容易に判定することができない。更には、疑似ランダムパラメータは、光学レンズの幾何学的特性に対する光学伝達関数の適用の影響を極小化するように、(例えば、いくつかの導出値の中から)選択することができる。
【0053】
このようにして得られた変更済みのデータMOLD1及びMOLD2は、レンズ製造側LMS及び半完成レンズ製造側SFLMSに対するその個々の送信の前に、更に暗号化することができる。データOLD1及びOLD2の変更は、レンズ設計側LDSに位置した第2のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC2により、又はネットワーク接続されたデータ処理装置DPDにより、実行することができる。
【0054】
例えば、光学レンズデータの暗号化された第2の変更済みの組MOLD2は、(例えば、光学レンズの前面に関係している場合には)、半完成レンズ製造ラボ(SFLMS)に送信することが可能であり、半完成レンズ製造ラボ(SFLMS)は、データMOLD2に従って機械加工された半完成レンズをレンズ製造ラボ(LMS)に送付する。光学レンズデータの暗号化された第1の変更済みの組MOLD1は、(光学レンズの後面に関係している場合には)、レンズ製造側LMSに送信することが可能であり、そこで、光学ラボは、データMOLD1に従って光学レンズの製造を完了させることができる。
【0055】
ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、これらのデータの組を送信する前に、それぞれのコンピュータエンティティPC2、PC3(及び/又は、PC1)ごとに、データの第2の組S2のデータ構造及び/又はデータの第4の組S4のデータ構造(例えば、ファイルフォーマット又はデータ通信メッセージフォーマット)を適合させるための手段を更に有することができる。従って、このような適合手段により、可能な異なるフォーマットの間における変換が可能となる。
【0056】
更には、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、データの第2の組S2をいくつかの第2コンピュータエンティティPC2に更に送信することが可能であり、且つ、レンズ製造側LMSにおいて送信するためのデータの第4の組S4を構築するために、例えば、(第2の組S2に応答して送信されたデータの異なる第3の組S3の中から)、1つ又は複数の基準(価格、可用性、又はその他のもの)に最良に適合する光学レンズデータを選択してもよい。
【0057】
当然のことながら、その他の実施形態も可能であり、且つ、本発明は、一例として上述した実施形態に限定されるものではない。
【0058】
例えば、図5Aを参照すれば、光学レンズが、着用者のデータ、メガネフレームデータなどに、又は、光学レンズの費用、光学的な快適さ、若しくはその他のものなどのその他の基準に、完全に適合することができるかどうかをアイケアの専門家がチェックすることができるように、光学レンズデータS4をアイケアの専門家に送信することができる。アイケアの専門家がレンズ設計に満足した場合には、第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC1は、検証メッセージOK1をネットワーク接続されたデータ処理装置DPDに送信することが可能であり、次いで、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDは、値AVを減分する。第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC1は、更に、光学レンズの機械加工を開始するように、別の検証メッセージOK2を第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3に送信する。
【0059】
図5Bに示されている代替実施形態において、アイケアの専門家がレンズ設計に満足している場合には、第1のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC1は、第1検証メッセージOK1を第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3に送信する。相応して、第3のネットワーク接続されたコンピュータエンティティPC3は、第2検証メッセージOK2をネットワーク接続されたデータ処理装置DPDに送信し、次いで、ネットワーク接続されたデータ処理装置DPDが値AVを減分する。
【0060】
当然のことながら、ウェブサイト上においてレンズ設計を選択する可能性は、アイケアの専門家及び/又は光学ラボにのみ提供されるものではない。例えば、最終ユーザー(通常は、着用者)も、自身の好みに従って、例えば、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ又は携帯型電話機(スマートフォン及びこれに類似したもの)などのその他の端末を使用し、レンズ設計を選択することができる。
【符号の説明】
【0061】
LOS レンズ発注側
LMS レンズ製造側
LDS レンズ設計側
DPD データ処理装置
SER サーバー
MEM メモリ
CRP 光学レンズデータ
ENCRM 暗号化手段
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B