【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および異種イオン(extraneous ions、外来イオン)との混合物が、難燃剤に対する相乗剤として使用可能であることが見出された。この難燃相乗剤は、それ自体は難燃活性をもたなくてもよいが、難燃剤の効果を本質的に高めることができる。この難燃相乗剤を、難燃剤およびさらなるポリマー添加剤と共に、混練および押出により、難燃性ポリマーと混合する。生成するポリマー混合物は、その場合、難燃性である。この加工は、ポリマーが溶融して存在し、短時間の間320℃をかなり上回る場合がある温度で行われる。相乗剤は、その効果を維持するためには、分解されずにこの温度に耐え得る必要がある。驚くべきことに、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および異種イオンとの混合物は、純粋な亜リン酸アルミニウムよりも明らかに熱安定性であることが今や見出された。
【0010】
さらに、従来技術によると、亜リン酸アルミニウム水和物が公知である。不利であるのは、加熱の際に起こる脱水である。この脱水が、相乗剤を難燃性ポリマーへと加工する際に有害となる。本発明による課題は、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および異種イオンとの混合物によって解決されるが、なぜなら、この混合物は、結晶水をほぼ含まないからである。
【0011】
したがって、本発明は、式(I)
Al
2(HPO
3)
3xH
2O (I)
(式中、xは、0〜4を意味する)
の亜リン酸アルミニウムを80〜99.898重量%、
難溶性アルミニウム塩を0.1〜10重量%、および
無窒素異種イオンを0.002〜10重量%含有する、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物に関する。
【0012】
好ましいのは、式(I)(式中、xは0〜4を意味する)の亜リン酸アルミニウムを88〜99.79重量%、
難溶性アルミニウム塩を0.2〜5重量%、および
無窒素異種イオンを0.01〜7重量%含有する混合物である。
【0013】
特に好ましいのは、式(I)(式中、xは0〜0.1を意味する)の亜リン酸アルミニウムを94〜99.4重量%、
難溶性アルミニウム塩を0.3〜3重量%、および
無窒素異種イオンを0.3〜3重量%含有する混合物である。
【0014】
好ましくは、難溶性アルミニウム塩が、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリアルミニウムヒドロキシ化合物、炭酸アルミニウム、ハイドロタルサイト(Mg
6Al
2(OH)
16CO
3 x nH
2O)、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム(NaAl(OH)
2CO
3)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、混合水酸化
酸化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、および/またはミョウバン石である。
【0015】
好ましくは、異種イオンが、塩化物、複合塩化物(komplexe Chloride)、臭化物;水酸化物、過酸化物、ぺルオキシド水和物、亜硫酸塩、硫酸塩、硫酸塩水和物、酸性硫酸塩、硫酸水素塩、ぺルオキソ硫酸塩、ぺルオキソ二硫酸塩;硝酸塩;炭酸塩、過炭酸塩、スズ酸塩;ホウ酸塩、過ホウ酸塩、過ホウ酸塩水和物;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、および/またはアスコルビン酸塩、ならびに/または元素Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、Pb、Sn、Cu、Zn、La、Ce、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Coおよび/もしくはNiのカチオンである。
【0016】
本発明は、補助酸(Hilfssaeure)の存在下に50〜180℃において、溶媒中かつ固体濃度2〜60%におき、比率にして2.5〜3.5モルの非塩型(nichtsalzartig)リン源を2モルの難溶性アルミニウム塩と共に結晶化させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物を製造する方法にも関する。
【0017】
好ましくは、難溶性アルミニウム塩が、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリアルミニウムヒドロキシ化合物、炭酸アルミニウム、ハイドロタルサイト(Mg
6Al
2(OH)
16CO
3 x nH
2O)、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム(NaAl(OH)
2CO
3)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、混合水酸化
酸化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、および/またはミョウバン石であり、非塩型リン源が、亜リン酸、三酸化リン、三塩化リン、および/または次亜リン酸である。
【0018】
好ましくは、補助酸が、塩酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、臭化水素、フッ化水素酸、ヨウ化水素、過ヨウ素酸、過塩素酸、硫酸、硫酸水素塩、亜硫酸、亜硫酸水素塩、ぺルオキソ硫酸、ぺルオキソ二硫酸;硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、ぺルオキソリン酸、次亜リン酸、炭素酸、ケイ酸、ヘキサフルオロケイ酸、ホウ酸、および/または炭酸である。
【0019】
本発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物の、さらなる合成用の中間体、結合剤、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂を硬化する際の架橋剤ないしは促進剤、ポリマー安定剤、植物保護薬剤、金属イオン封鎖剤、鉱物油添加剤、防食剤としての使用、洗剤およびクリーニング剤用途、エレクトロニクス用途における使用にも関する。
【0020】
本発明の対象は、さらに、請求項1〜5のいずれか一つに記載の、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物の、難燃剤、特に、クリアワニスおよび発泡性防炎塗料用の難燃剤、木材および他のセルロース性製品用の難燃剤としての使用、ポリマー用の反応性難燃剤および/もしくは非反応性難燃剤としての使用、難燃性ポリマー成形材料を製造するため、難燃性ポリマー成形体を製造するため、ならびに/またはポリエステル、およびセルロース非混紡布および混紡布を含浸により難燃性に仕上げるための使用、ならびに相乗剤としての使用、および難燃剤混合物中での相乗剤としての使用である。
【0021】
本発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物を0.1〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物を55〜99.9重量%、添加剤を0〜55重量%、および充填材ないしは補強材を0〜55重量%含有する(ただし、これらの成分の合計は100重量%である)、難燃性の熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維にも関する。
【0022】
本発明は、同じく、請求項1〜5のいずれか一つに記載の、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物0.1〜50重量%と難燃剤50〜99.9重量%とを含有する難燃剤混合物を0.1〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物を55〜99.9重量%、添加剤を0〜55重量%、および充填材ないしは補強材を0〜55重量%含有する(ただし、これらの成分の合計は100重量%である)、難燃性の熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維にも関する。
【0023】
好ましくは、前記使用での難燃剤が、ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩、および/またはメラミンの縮合生成物、および/またはメラミンとリン酸との反応生成物、および/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはそれらの混合物;式(NH
4)
yH
3−yPO
4ないしは(NH
4PO
3)
z(式中、yは1〜3およびzは1〜10,000である)の窒素含有リン酸塩;ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、アラントイン、グリコウリル、メラミン、メラミンシアヌラート、ジシアンジアミド、および/またはグアニジン;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ジヒドロタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、水酸化マンガン、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、および/またはスズ酸亜鉛である。
【0024】
特に好ましくは、前記使用での難燃剤が、メラム、メレム、メロン、ピロリン酸ジメラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メロン、および/またはポリリン酸メレム、および/またはそれらの混合ポリ塩、および/またはリン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、および/またはポリリン酸アンモニウムである。
【0025】
好ましくは、前記使用での難燃剤が、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸カルシウム、亜リン酸ナトリウム、モノフェニルホスフィン酸およびその塩、ジアルキルホスフィン酸およびその塩とモノアルキルホスフィン酸およびその塩との混合物、2−カルボキシエチル−アルキルホスフィン酸およびその塩、2−カルボキシエチル−メチルホスフィン酸およびその塩、2−カルボキシエチル−アリールホスフィン酸およびその塩、2−カルボキシエチル−フェニルホスフィン酸およびその塩、オキサ−10−ホスファフェナントレン(DOPO)およびその塩、ならびにパラ−ベンゾキノンないしはイタコン酸およびその塩への付加物でもある。
【0026】
好ましくは、xは、0.01〜0.1も意味する。
【0027】
本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩との混合物は、結晶化の際に強制晶出物(Zwangskristallisat)として生成する。好ましくは、難溶性アルミニウム塩が、コア・シェル晶出物に関して、結晶化される粒子の核を形成する。亜リン酸アルミニウムは、シェルを形成する。好ましくは、亜リン酸アルミニウムが異種イオンを含有する。この異種イオンは、亜リン酸アルミニウム中に化学的に結合しており、精製法を介して除去することはできない。それゆえまた、この混合物は、前記の成分が並存し、場合によっては分離可能である純粋に物理的な混合物と異なる。このことは、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物には当てはまらない。
【0028】
好ましい異種イオンは、Na、K、Ca、Mgである。
【0029】
第7主族元素のアニオンないしはオキソアニオン、例えば、塩化物、複合塩化物、臭化物、塩素酸塩、および過塩素酸塩も好ましい異種イオンである。
【0030】
好ましい異種イオンは、第6主族元素のアニオンないしはオキソアニオン、例えば、水酸化物、過酸化物、ぺルオキシド水和物、亜硫酸塩、硫酸塩、硫酸塩水和物、硫酸水素塩、ぺルオキソ硫酸塩、およびぺルオキソ二硫酸塩である。
【0031】
好ましい異種イオンは、第5主族元素のアニオンないしはオキソアニオン、例えば、亜リン酸水素塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、およびリン酸二水素塩である。
【0032】
好ましい異種イオンは、第4主族元素のアニオンないしはオキソアニオン、例えば、炭酸塩、過炭酸塩、およびスズ酸塩である。
【0033】
好ましい異種イオンは、第3主族元素のアニオンないしはオキソアニオン、例えば、ホウ酸塩、過ホウ酸塩、および過ホウ酸塩水和物である。
【0034】
好ましい異種イオン、例えば、カルボン酸のアニオンは、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、アスコルビン酸塩、および酒石酸塩である。
【0035】
好ましくは、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物は、0.1〜1000μmの粒径、80〜800g/l、特に好ましくは200〜700g/lのかさ密度を有する。
【0036】
本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物は、好ましくは85〜99.9、特に好ましくは90〜98のL色価を有する。
【0037】
本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物は、好ましくは−4〜+9、特に好ましくは−2〜+6のa色価を有する。
【0038】
本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物は、好ましくは−2〜+6、特に好ましくは−1〜+3のb色価を有する。
【0039】
色価は、Hunterに基づく系(CIE−LAB系、Commission Internationale d’Eclairage(国際照明委員会))において記載される。L値は0(黒色)から100(白色)、a値は−a(緑色)から+a(赤色)、そしてb値は−b(青色)から+b(黄色)に至る。
【0040】
本発明による方法においては、前記のように好ましくは難溶性アルミニウム塩であるアルミニウム源と、非塩型リン源とを、補助酸の存在下に結晶化する。任意に、補助酸を無窒素塩基で中和してもよい。
【0041】
好ましい非塩型リン源は、亜リン酸、または本方法の条件下において亜リン酸イオンを形成できる前駆体、例えば、加水分解で亜リン酸を形成できる三酸化リン(P
2O
6)、三塩化リン、または酸化により亜リン酸に変換され得る次亜リン酸である。
【0042】
本発明による方法は、廃水を汚染し、または手間をかけて除去しなければならず、または生成物中に残ると熱安定性を悪化させる恐れのあるテンプレートの使用を回避する。
【0043】
本発明による方法は、易溶性アルミニウム塩ないしは亜リン酸塩の使用も回避し、その代わりに難溶性アルミニウム塩および非塩型リン源を使用する。その際に不利な点は、本来不十分な変換であるが、なぜなら、難溶性亜リン酸アルミニウムは原料上でシェル状に結晶化し(aufkristallisieren)、それにより反応進行を妨げるからである。
【0044】
驚くべきことに、本発明による方法は、それに対して、不溶性アルミニウム源の完全または部分的な溶解により、すべての原料の完全な変換を可能にする。溶解したアルミニウムは、リン源と共に晶出することができる。部分的な溶解は、触媒量ないしは化学量論量未満の補助酸により起こる。その結果、同じ効果を達成するために、亜リン酸が過剰に使用されると思われる場合より、少ない原料(酸)が消費され、少ない廃棄物(塩)が放出される。
【0045】
好ましい補助酸は、元素周期表の第7主族の元素の酸およびオキソ酸、第6主族、第5主族、第4主族の酸およびオキソ酸、またはカルボン酸である。
【0046】
特に好ましいのは、塩酸、フッ化水素酸、塩素酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、亜硝酸、硝酸、炭素酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、アスコルビン酸、および酒石酸である。
【0047】
次いで、補助酸自体は、化学量論量未満の塩基によって中和されることが好ましい。
【0048】
そのために好ましい塩基は、アルカリ水酸化物およびアルカリ土類水酸化物、例えば、さまざまな濃度の苛性ソーダ溶液および苛性カリ溶液、石灰乳、消石灰、および/または重土水である。
【0049】
好ましい反応条件は、0〜300℃、特に好ましくは50〜170℃の温度、および10
−7〜10
2時間の反応時間である。圧力は、1から200MPaの間(=0.00001〜200バール)、好ましくは10Paから10MPaの間を変動し得る。
好ましくは0.083〜10kW/m
3、特に好ましくは0.33〜1.65kW/m
3のエネルギー入力である。
【0050】
好ましい溶媒は、水、ギ酸、酢酸、およびプロトン性有機溶媒、特にエタノール、メタノール、およびプロパノールである。
【0051】
好ましい反応操作(Reaktionsfuehrung)は、アルミニウム源、リン源、および補助酸を溶媒中に入れておき、結晶化後に無窒素塩基を後から添加することである。
【0052】
好ましい反応操作は、アルミニウム源およびリン源を入れておき、結晶化の際に補助酸を計量添加することである。
【0053】
好ましい反応操作は、アルミニウム源およびリン源を入れておき、結晶化の際に補助酸を計量添加し、結晶化後に無窒素塩基を後から添加することである。
【0054】
結晶化の際の好ましいpH値は、0〜7、特に好ましくは0.5〜6、とりわけ好ましくは1〜5である。結晶化の際に使用されるpH値は、本発明による亜リン酸アルミニウム混合物の熱安定性に影響を及ぼし得る。
【0055】
この反応操作が、結晶化において、反応相手の濃度を決定する。その結果、例えば、生成物の粒径および熱安定性が決まる。
【0056】
好ましい固体濃度は、2〜30重量%、特に好ましくは5〜15重量%である。
【0057】
補助酸の、リン源に対する好ましい比率は、リン1モル当たり0.1〜50モル%、特に好ましくは1〜20モル%、とりわけ好ましくは2〜10モル%である。
【0058】
無窒素塩基の、リン源に対する好ましい比率は、リン1モル当たり0.1〜70モル%、特に好ましくは1〜40モル%、とりわけ好ましくは1〜30モル%である。
【0059】
リン源の、アルミニウム源に対する好ましい比率は、3モル/1モル〜1モル/3モル、特に好ましくは2.5モル/2モル〜3.5モル/2モルである。
【0060】
好ましいのは、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物の、難燃相乗剤としての使用である。
【0061】
好ましいジアルキルホスフィン酸またはその塩は、化学式(II)
【0062】
【化1】
のジアルキルホスフィン酸塩またはその塩
(式中、
R
1、R
2は同一または異なり、直鎖状または分岐状のC
1〜C
6−アルキルであって、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、Hおよび/またはプロトン化窒素塩基であって、
mは1〜4を意味する)
である。
【0063】
好ましいジアルキルホスフィン酸塩は、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、およびこれらの混合物である。
【0064】
さらなる難燃剤として適しているのは、その上、特定の窒素含有化合物である(ドイツ公開特許公報第19614424号(特許文献1)、ドイツ公開特許公報第19734437号(特許文献2)、およびドイツ公開特許公報第19737727号(特許文献3))。その際、好ましいのは、化学式(III)〜(VIII)
【0065】
【化2】
のような化合物、またはそれらの混合物
(式中、
R
5〜R
7は、水素、C
1〜C
8−アルキル、C
5〜C
16−シクロアルキル、またはC
5〜C
16−アルキルシクロアルキル(場合によっては一つのヒドロキシ官能基またはC
1〜C
4−ヒドロキシアルキル官能基で置換されている)、C
2〜C
8−アルケニル、C
1〜C
8−アルコキシ、C
1〜C
8−アシル、C
1〜C
8−アシルオキシ、C
6〜C
12−アリール、またはC
6〜C
12−アリールアルキル、−OR
8および−N(R
8)R
9、ならびにN−脂環式またはN−芳香族であり、
R
8は、水素、C
1〜C
8−アルキル、C
5〜C
16−シクロアルキル、またはC
5〜C
16−アルキルシクロアルキル(場合によっては一つのヒドロキシ官能基またはC
1〜C
4−ヒドロキシアルキル官能基で置換されている)、C
2〜C
8−アルケニル、C
1〜C
8−アルコキシ、C
1〜C
8−アシル、C
1〜C
8−アシルオキシ、またはC
6〜C
12−アリール、またはC
6〜C
12−アリールアルキルであり、
R
9〜R
13は、R
8ならびに−O−R
8と同一基であり、
mおよびnは、互いに独立して、1、2、3または4であり、
Xは、トリアジン化合物(III)と付加物を形成することができる酸を意味する)
であるか;またはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラートの、芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマーエステルである。
【0066】
本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物の残存水分量は、0.01〜9%、好ましくは0.05〜0.5%である。
【0067】
難燃性ポリマー成形材料および難燃性ポリマー成形体用の好ましいポリマー添加剤は、UV吸収剤、遮光剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、造核剤、補強材、充填材、および/または相乗剤である。
【0068】
本発明は、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物を1〜50重量%、
ポリスチレンベースのポリマーまたはその混合物を50〜99重量%、
ポリマー添加剤を0〜60重量%、
充填材を0〜60重量%含有する、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維にも関する。
【0069】
本発明において好ましいのは、本発明による難燃性ポリマー成形体の、ランプソケットおよびランプホルダのようなランプ部品、差込プラグおよびテーブルタップ、巻枠体、コンデンサまたは接触器用のケーシング、ならびに遮断器、継電器ケーシング、および反射器としての使用である。
【0070】
本発明は、本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物を1〜50重量%、ならびにポリリン酸アンモニウム、結合剤、起泡剤、充填材、ジアルキルホスフィン酸塩および/またはポリマー添加剤を50〜99重量%含有する発泡性難燃塗料にも関する。
【0071】
好ましくは、ポリマーが、ポリエステル、ポリスチレンまたはポリアミドのような熱可塑性ポリマー、および/または熱硬化性ポリマーの群に由来する。
【0072】
好ましくは、ポリマーが、モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリイソプレン、またはポリブタジエン、ならびにシクロオレフィン、例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー;さらにはポリエチレン(場合によっては架橋されていてもよい)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐低密度ポリエチレン(VLDPE)、ならびにそれらの混合物である。
【0073】
好ましくは、ポリマーが、モノオレフィン同士およびジオレフィン同士のコポリマー、またはモノオレフィンおよびジオレフィンと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびその、低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン−ブテン−1−コポリマー、プロピレン−イソブチレンコポリマー、エチレン−ブテン−1−コポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−メチルペンテンコポリマー、エチレン−へプテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、プロピレン−ブタジエンコポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−アルキルアクリラートコポリマー、エチレン−アルキルメタクリラートコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、およびそれらと一酸化炭素とのコポリマー、またはエチレン−アクリル酸コポリマーおよびその塩(アイオノマー)、ならびにエチレンと、プロピレンと、例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、またはエチリデンノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;さらにはそのようなコポリマー同士の混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、LLDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー、LLDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、およびポリアルキレン/一酸化炭素交互コポリマーまたはポリアルキレン/一酸化炭素ランダムコポリマー、およびこれらと、例えばポリアミドのような他のポリマーとの混合物である。
【0074】
好ましくは、ポリマーが、水素化により改質されたものを含めた(例えば、粘着付与樹脂)炭化水素樹脂(例えば、C
5〜C
9)、およびポリアルキレンとデンプンとの混合物である。
【0075】
好ましくは、ポリマーが、ポリスチレン(ポリスチレン143E(BASF))、ポリ−(p−メチルスチレン)、ポリ−(α−メチルスチレン)である。
【0076】
好ましくは、ポリマーが、スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン、スチレン−アクリルニトリル、スチレン−アルキルメタクリルラート、スチレン−ブタジエン−アルキルアクリラート、スチレン−ブタジエン−アルキルメタクリルラート、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−アクリルニトリル−メチルアクリラート;複数のスチレンコポリマーと、例えば、ポリアクリラート、ジエンポリマー、またはエチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマーのような別の一つのポリマーとからなる、耐衝撃性の高い混合物;ならびにスチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンである。
【0077】
好ましくは、ポリマーが、スチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエンにグラフト重合したスチレン、ポリブタジエン−スチレンコポリマーまたはポリブタジエン−アクリルニトリルコポリマーにグラフト重合したスチレン、ポリブタジエンにグラフト重合したスチレンおよびアクリルニトリル(ないしはメタクリルニトリル);ポリブタジエンにグラフト重合したスチレン、アクリルニトリルおよびメチルメタクリルラート;ポリブタジエンにグラフト重合したスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンにグラフト重合したスチレン、アクリルニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイン酸イミド;ポリブタジエンにグラフト重合したスチレンおよびマレイン酸イミド、ポリブタジエンにグラフト重合したスチレンおよびアルキルアクリラートないしはアルキルメタクリルラート、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーにグラフト重合したスチレンおよびアクリルニトリル、ポリアルキルアクリラートまたはポリアルキルメタクリラートにグラフト重合したスチレンおよびアクリルニトリル、アクリラート−ブタジエンコポリマーにグラフト重合したスチレンおよびアクリルニトリル、ならびに例えば、いわゆるABS、MBS、ASAまたはAES−ポリマーとして公知であるような、それらの混合物である。
【0078】
好ましくは、スチレンポリマーが、EPS(発泡ポリスチレン)、例えばスチロポール(BASF)のようなむしろ粗孔性の発泡体、および/またはXPS(押出ポリスチレン硬質発泡体)、例えばStyrodur(登録商標)(BASF)のような細孔性の発泡体である。ポリスチレン発泡体、例えば、Austrotherm(登録商標)XPS、Styrofoam(登録商標)(Dow Chemical)、Floormate(登録商標)、Jackodur(登録商標)、Lustron(登録商標)、Roofmate(登録商標)、Styropor(登録商標)、Styrodur(登録商標)、Styrofoam(登録商標)、Sagex(登録商標)、およびTelgopor(登録商標)が好ましい。
【0079】
好ましくは、ポリマーが、ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン−イソプレンからなる塩素化および臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化またはクロロスルホン化されたポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびエピクロロヒドリンコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物からなるポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン;ならびにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル−塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル、または塩化ビニリデン−酢酸ビニルである。
【0080】
好ましくは、ポリマーが、α−不飽和酸、β−不飽和酸、およびそれらの誘導体から誘導されるポリマー、例えば、ポリアクリラートおよびポリメタクリラート、ブチルアクリラートで耐衝撃性に改質されたポリメチルメタクリラート、ポリアクリルアミド、およびポリアクリルニトリル、ならびに前記各モノマー同士のコポリマー、または前記各モノマーと他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリルニトリル−ブタジエンコポリマー、アクリルニトリル−アルキルアクリラートコポリマー、アクリルニトリル−アルコキシアルキルアクリラートコポリマー、アクリルニトリル−ハロゲン化ビニルコポリマー、またはアクリルニトリル−アルキルメタクリルラート−ブタジエンターポリマーである。
【0081】
ポリマーが、不飽和アルコールおよび不飽和アミンないしはそれらのアシル誘導体またはアセタールから誘導されるポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタラート、ポリアリルメラミン;ならびにそれらの、オレフィンとのコポリマーであることが好ましい。
【0082】
好ましくは、ポリマーが、環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはそれらの、ビスグリシジルエーテルとのコポリマーである。
【0083】
好ましくは、ポリマーが、ポリオキシメチレンのようなポリアセタール、ならびにコモノマー、例えばエチレンオキシドを含有するようなポリオキシメチレン;熱可塑性のポリウレタン、アクリラート、またはMBSで改質されているポリアセタールである。
【0084】
好ましくは、ポリマーが、ポリフェニレンオキシドおよびポリフェニレンスルフィド、ならびにそれらの、スチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物である。
【0085】
好ましくは、ポリマーが、一方の側で、末端水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル、およびポリブタジエン、他方の側で、脂肪族ポリイソシアナートまたは芳香族ポリイソシアナートから誘導されるポリウレタン、ならびにそれらの前駆体である。
【0086】
好ましくは、ポリマーが、ジアミンとジカルボン酸とから、および/またはアミノカルボン酸、または対応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド2/12、ポリアミド4(ポリ−4−アミノ酪酸、Nylon(登録商標)4、DuPont社)、ポリアミド4/6(ポリ(テトラメチレン−アジパミド)、ポリ−(テトラメチレン−アジピン酸ジアミド)、Nylon(登録商標)4/6、DuPont社)、ポリアミド6(ポリカプロラクタム、ポリ−6−アミノヘキサン酸、Nylon(登録商標)6、DuPont社、Akulon(登録商標)K122、DSM社;Zytel(登録商標)7301、DuPont社;Durethan(登録商標)B29、Bayer社)、ポリアミド6/6(ポリ(N,N’−ヘキサメチレンアジピンジアミド)、Nylon(登録商標)6/6、DuPont社、Zytel(登録商標)101、DuPont社;Durethan(登録商標)A30、Durethan(登録商標)AKV、Durethan(登録商標)AM、Bayer社;Ultramid(登録商標)A3、BASF社)、ポリアミド6/9(ポリ(ヘキサメチレンノナンジアミド)、Nylon(登録商標)6/9、DuPont社)、ポリアミド6/10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、Nylon(登録商標)6/10、DuPont社)、ポリアミド6/12(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド)、Nylon(登録商標)6/12、DuPont社)、ポリアミド6/66(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−カプロラクタム)、Nylon(登録商標)6/66、DuPont社)、ポリアミド7(ポリ−7−アミノへプタン酸、Nylon(登録商標)7、DuPont社)、ポリアミド7,7(ポリへプタメチレンピメラミド、Nylon(登録商標)7,7、DuPont社)、ポリアミド8(ポリ−8−アミノオクタン酸、Nylon(登録商標)8、DuPont社)、ポリアミド8,8(ポリオクタメチレンスベラミド、Nylon(登録商標)8,8、DuPont社)、ポリアミド9(ポリ−9−アミノノナン酸、Nylon(登録商標)9、DuPont社)、ポリアミド9,9(ポリノナメチレンアゼラミド、Nylon(登録商標)9,9、DuPont社)、ポリアミド10(ポリ−10−アミノデカン酸、Nylon(登録商標)10、DuPont社)、ポリアミド10,9(ポリ(デカメチレンアゼラミド)、Nylon(登録商標)10,9、DuPont社)、ポリアミド10,10(ポリデカメチレンセバカミド、Nylon(登録商標)10,10、DuPont社)、ポリアミド11(ポリ−11−アミノウンデカン酸、Nylon(登録商標)11、DuPont社)、ポリアミド12(ポリラウリルラクタム、Nylon(登録商標)12、DuPont社、Grillamid(登録商標)L20、Ems Chemie社)、m−キシレン、ジアミン、およびアジピン酸に由来する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン、およびイソフタル酸および/またはテレフタル酸から製造されたポリアミド(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ならびに場合によっては、改質剤としてのエラストマーをさらに加えて製造されたポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミドである。前記各ポリアミドの、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー、または化学結合もしくはグラフト重合されたエラストマーとのブロックコポリマー;またはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、もしくはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーである。さらに、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはABSで改質されたポリアミドまたはコポリアミド;ならびに加工の際に縮合されたポリアミド(「RIM−ポリアミド系」)である。
【0087】
好ましくは、ポリマーが、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、およびポリベンズイミダゾールである。
【0088】
好ましくは、ポリマーが、ジカルボン酸とジアルコールとから、および/またはヒドロキシカルボン酸、または対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社;Ultradur(登録商標)、BASF社)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタラート、ポリヒドロキシベンゾアート、ならびにヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;さらにはポリカルボナートまたはMBSで改質されたポリエステルである。
【0089】
好ましくは、ポリマーが、ポリカルボナート、およびポリエステルカルボナートである。
【0090】
好ましくは、ポリマーが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルケトンである。
【0091】
好ましくは、ポリマーが、一方の側でアルデヒド、他方の側でフェノール、尿素またはメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0092】
好ましくは、ポリマーが、乾性アルキド樹脂、および不乾性アルキド樹脂である。
【0093】
好ましくは、ポリマーが、飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルから、ならびにビニル化合物を架橋剤として、誘導される不飽和ポリエステル樹脂、ならびにそのハロゲン含有、難燃性の改質体である。
【0094】
好ましくは、ポリマーが、置換アクリル酸エステル、例えば、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、またはポリエステルアクリラートから誘導される架橋性アクリル樹脂である。
【0095】
好ましくは、ポリマーが、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアナート、イソシアヌラート、ポリイソシアナートまたはエポキシ樹脂と架橋されている、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリラート樹脂である。
【0096】
好ましくは、ポリマーが、脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族のグリシジル化合物から誘導される架橋エポキシ樹脂、例えば、無水物またはアミンのような通常の硬化剤を利用して、促進剤を伴って、または伴わずに架橋される、例えば、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテルからの生成物である。
【0097】
好ましくは、ポリマーが、前記ポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ポリアミド/EPDMまたはポリアミド/ABS(ポリアミド/エチレン−プロピレン−ジエンゴムまたはポリアミド/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC/EVA(ポリ塩化ビニル/エチレン酢酸ビニル)、PVC/ABS(ポリ塩化ビニル/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PVC/MBS(ポリ塩化ビニル/メタクリラート−ブタジエン−スチレン)、PC/ABS(ポリカルボナート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PBTP/ABS(ポリブチレンテレフタラート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、PC/ASA(ポリカルボナート/アクリルエステル−スチレン−アクリルニトリル)、PC/PBT(ポリカルボナート/ポリブチレンテレフタラート)、PVC/CPE(ポリ塩化ビニル/塩素化ポリエチレン)、PVC/アクリラート(ポリ塩化ビニル/アクリラート)、POM/熱可塑性PUR(ポリオキシメチレン/熱可塑性ポリウレタン)、PC/熱可塑性PUR(ポリカルボナート/熱可塑性ポリウレタン)、POM/アクリラート(ポリオキシメチレン/アクリラート)、POM/MBS(ポリオキシメチレン/メタクリラート−ブタジエン−スチレン)、PPO/HIPS(ポリフェニレンオキシド/High impact polystyrol(耐衝撃性ポリスチレン))、PPO/PA6.6(ポリフェニレンオキシド/ポリアミド6.6)、およびコポリマー、PA/HDPE(ポリアミド/High Density Polyethylen(高密度ポリエチレン))、PA/PP(ポリアミド/ポリエチレン)、PA/PPO(ポリアミド/ポリフェニレンオキシド)、PBT/PC/ABS(ポリブチレンテレフタラート/ポリカルボナート/アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)、および/またはPBT/PET/PC(ポリブチレンテレフタラート/ポリエチレンテレフタラート/ポリカルボナート)である。
【0098】
ポリマー成形材料の製造に使用可能な、適した配合装置は、例えば、Berstorff GmbH社(ハノーファー)および/またはLeistritz社(ニュルンベルク)の単軸押出機ないしは単軸スクリュー押出機、ならびに、スリーゾーンスクリューおよび/またはショートコンプレッションスクリューを含むマルチゾーンスクリュー押出機、ならびに、例えば、Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG社(シュトゥットガルト(ZSK25、ZSK30、ZSK40、ZSK58、ZSK MEGAcompounder 40、50、58、70、92、119、177、250、320、350、380))、および/またはBerstorff GmbH社(ハノーファー)、Leistritz Extrusionstechnik GmbH(ニュルンベルク)の二軸スクリュー押出機である。
【0099】
スクリュー有効長さ(L)は、単軸押出機ないしは単軸スクリュー押出機の場合、20〜40Dであって、マルチゾーンスクリュー押出機の場合、例えば、入口ゾーン(L=10D)、移行ゾーン(L=6D)、放出ゾーン(L=9D)を含む25D;二軸スクリュー押出機の場合、8〜48Dである。
【0100】
例えば、Coperion Buss Compounding Systems社(プラッテルン(スイス))の共混練機、例えば、MDK/E46−11Dおよび/またはラボ用混練機(Buss社(スイス)の、L=11DのMDK46)も適した配合装置である。
【0101】
異方向回転二軸スクリューを装備した配合機、例えば、Krauss−Maffei Berstorff社のCompex 37型ないしは70型、ならびに例えば、スタティックコアの周りを回転する3〜12個の小さなスクリューのリングを有する、3+Extruder GmbH社(ラウフェン)のリング押出機、および/または例えば、Entex社(ボーフム)の遊星ローラ押出機、および/またはベント式押出機、および/またはカスケード押出機、および/またはMailleferスクリューも使用可能な配合装置である。
【0102】
難燃性のプラスチック成形材料およびプラスチック成形体の製造、加工、および検査
難燃成分を、ポリマー顆粒および場合によっては添加剤と混合し、二軸スクリュー押出機(Leistritz LSM 30/34型)上で、230〜260℃(PBT−GV)ないしは260〜280℃(PA 66−GV)の温度において混合した。均質化されたポリマーストランドを引き抜き、水浴中で冷却してから顆粒化した。
【0103】
十分に乾燥させた後に、この成形材料を射出成形機(Aarburg Allrounder型)上で、240〜270℃(PBT−GV)ないしは260〜290℃(PA 66−GV)の融解温度において、検査試料へと加工した。
【0104】
それぞれの混合物からなる検査試料に関し、厚さ1.5mmの検査試料を用いて燃焼性等級(Brandklasse)UL 94(Underwriter Laboratories)を決定した。UL 94に基づくと、以下の燃焼性等級が与えられる:
V−0:残炎が10秒を超えず、10回の接炎時の総残炎時間が50秒を超えず、燃焼滴下物がなく、試料の完全燃焼がなく、接炎終了後には試料の残じんが30秒を超えない。
V−1:接炎終了後に残炎が30秒を超えず、10回の接炎時の総残炎時間が250秒を超えず、接炎終了後には試料の残じんが60秒を超えず、残りの基準はV−0と同様。
V−2:燃焼滴下物による綿の発火、残りの基準はV−1と同様。
分類不可能(nkl):燃焼性等級V−2を満たさない。
【0105】
熱安定性およびホスフィン形成の試験
本発明による、亜リン酸アルミニウムと難溶性アルミニウム塩および無窒素異種イオンとの混合物の熱安定性に関する重要な基準は、分解が開始し毒性のホスフィン(PH
3)が形成される温度である。ホスフィンの放出は、難燃性ポリマーを製造する際には絶対に回避する必要がある。定量するために、試料を管状炉中において窒素流入下に(30l/g)、温度を徐々に上げることにより加熱する。Draeger社の検出チューブを用いて1ppm超のPH
3を検出することができたとき(リン化水素を対象とする短時間測定用チューブ(Kurzzeitroehrchen))、分解温度に達する。
【0106】
結晶水含有率(残存水分量)の決定
300℃に加熱した、Nabertherm社のマッフル炉中でサンプルを15分間、恒量まで加熱する。秤量(Einwaage)に対する残渣質量を百分率で計算して100から差し引きすると重量ロスになる。
【0107】
本発明を以下の例により説明する。さらなるデータ(秤量、条件、収率、および分析)を、表1および2に示す。