(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に突設された突起バンプから成るオス端子部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記オス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有するオスコネクタと、
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に形成されたパッド部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記パッド部およびそれが位置する前記絶縁フィルムの箇所を厚み方向に貫通して形成されたスリット開口から成るメス端子部と、前記メス端子部を包摂する断面広さを有し、かつ前記金属ガイド部材を厚み方向に貫通して形成された貫通孔と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記メス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有するメスコネクタとを備え、
前記オスコネクタの前記オス端子部を前記メスコネクタの前記メス端子部に挿入して用いられることを特徴とするコネクタ構造。
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に形成されたパッド部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記パッド部およびそれが位置する前記絶縁フィルムの箇所を厚み方向に貫通して形成されたスリット開口から成るメス端子部と、前記メス端子部を包摂する断面広さを有し、かつ前記金属ガイド部材を厚み方向に貫通して形成された貫通孔と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記メス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有してなり、
組み付け相手のオスコネクタのオス端子部を前記メス端子部に挿入して用いられることを特徴とするメスコネクタ。
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に突設された突起バンプから成るオス端子部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記絶縁フィルムにおける他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記オス端子部と電気的に接続されている実装用パッド端子とを有してなり、
組み付け相手のメスコネクタのメス端子部を前記オス端子部に挿入して用いられることを特徴とするオスコネクタ。
【背景技術】
【0002】
各種の電気・電子機器の小型化、薄型化、多機能化、軽量化の進展に伴い、これら機器に組み込まれる回路基板に実装する各種の部品に対しても小型化、薄型化の要求が強まっている。このようなことからして、回路基板間や部品間を電気的に接続するための中継点であるコネクタ構造に対しても、その小型化(省スペース化)と薄型化(低背化)の要求が強まっている。
【0003】
従来、メスコネクタやオスコネクタ、とりわけメスコネクタの場合、薄い金属板材を金型で所定形状に打ち抜き加工し、その面内の両側端部に長手方向に沿って2列のメス端子部を形成し、各メス端子部から側方に出入力端子をムカデの足状に引き出し、そして全体を樹脂封止して製造された2列タイプのものが主流になっている。このメスコネクタの出入力端子を所定の回路基板のパッドにはんだ付けして実装し、そしてそのメスコネクタに相手材であるオスコネクタを組み付けることにより目的とするコネクタ構造が形成されていた。
【0004】
しかしながら、この方法で形成されていた従来のコネクタ構造の場合、両コネクタの接続部の高さを1.0mm以下に低背化させることは困難であり、また出入力端子間のピッチ(間隔)を0.4mm以下に狭ピッチ化することも困難であり、そのため、コネクタ構造の更なる省スペース化、低背化という点で限界にぶつかっていた。
【0005】
このような問題を解決するために、フレキシブル回路基板を基材として用い、これにめっき技術とフォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用して、当該フレキシブル回路基板に、例えばスリット開口から成るメス端子部をマトリックス状に配列したメスコネクタを一体的に形成し、これに、同じくフレキシブル回路基板に例えば銅めっきを施してなるバンプ形状のオス端子部を有するオスコネクタを形成し、そのオス端子部を前記メス端子部に挿入することによりこれら両コネクタを組み付けたコネクタ構造が提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
また、絶縁フィルムにめっき技術とフォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用して、メス端子部がマトリックス状に配列した構造から成る単品のメスコネクタを製造し、また同じく絶縁フィルムにオス端子部をマトリックス状に配列した構造から成る単品のオスコネクタを製造し、両者を組み付けたコネクタ構造が提案されている。その場合、メスコネクタとオスコネクタは、いずれも、メス端子部とオス端子部の背面に位置する所定箇所をそれぞれが搭載される回路基板のパッドにはんだ付けして実装され、その箇所がそれぞれの回路基板の出入力端子部として機能することになる(特許文献2を参照)。
【0007】
これら特許文献が開示するコネクタ構造の場合、従来の2列タイプのコネクタ構造に比べると、両コネクタの接続部はマトリックス状に配列しているので大幅に省スペース化が実現されており、また基材として薄い絶縁フィルムを用いているので低背化もまた実現されている。更には省スペース化を確保しながら、接続部の多ピン化が可能となるため、各部品の多機能化の要請にも応えることができる。
【0008】
これら特許文献が開示する核心的技術は、メスコネクタのメス端子部が可撓性を有する薄い絶縁フィルムとその表面を被覆する金属材料とから成るパッド部に形成されたスリット開口から成り、ここにオス端子部を挿入することにより、絶縁フィルムと金属材料の弾性でオス端子部を保持すると同時に電気的な導通構造を形成するところにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した先行技術のコネクタ構造は、全体の省スペース化、オスコネクタとメスコネクタの接続部の低背化という点で優れた性能を発揮する。しかし、他方では次のような問題がある。
【0011】
まず、上記した特許文献2のコネクタ構造におけるオスコネクタとメスコネクタの場合、いずれも、出入力端子部を所定の回路基板の表面に形成されているパッドにはんだ付けして実装することにより実使用される。そして、これら両コネクタの出入力端子部は、いずれもオス端子部やメス端子部が形成されている面と反対側の面の全体にマトリックスをなして形成されている。そのため、回路基板のパッドに各コネクタのこれら出入力端子部をはんだ付けして実装するときに、その実装箇所はそれぞれのコネクタの裏面の全体に位置することになる。
【0012】
そのため、このコネクタ構造の場合、それぞれのコネクタの回路基板へのはんだ実装の作業時に、各コネクタの裏面中央部に位置する実装箇所に関しては、そこに適正な状態ではんだフィレットが形成されていて適正な実装状態が実現しているのか否かの判定を目視で評価することが極めて困難である。その点で、このコネクタ構造の場合、実装作業の作業性の低下、または実装信頼性を低下させるという不都合な問題を抱えているといえる。
【0013】
また、特許文献2のコネクタ構造の場合、オスコネクタとメスコネクタとの挿抜動作を繰り返していると、しだいにメス端子部の弾性が低下してオス端子部に対する保持力が低下し、そのため例えば外部から衝撃を受けたときに両コネクタが分離してしまうこともある。そして保持力の低下に伴い、両端子部間の接触抵抗も上昇することがある。
更には、このコネクタ構造の形状は非常に小さく、また非常に薄いので、両コネクタを組み付ける作業は慎重かつ煩雑な作業になるという問題もある。
【0014】
本発明は、上記した先行技術のコネクタ構造におけるオス端子部とメス端子部の接続構造(導通構造)は維持しつつも、はんだ実装時における上記問題点を解決するために、まず、オスコネクタとメスコネクタのいずれにおいても、出入力端子部を実装用パッド端子として各コネクタの裏面の全体にマトリックス状にではなく、裏面中央部には形成することなく、裏面の両側部に配列することにより、回路基板へのはんだ実装時に作業者が実装箇所を視認することができるようにした構造のメスコネクタとオスコネクタとから成るコネクタ構造、並びに、それに用いて好適なメスコネクタとオスコネクタの提供を目的とする。
【0015】
また本発明は、メスコネクタのパッド部を高強度・高弾性の金属材料で形成し、同時にオスコネクタのオス端子部の形状を好適化することにより、メスコネクタとオスコネクタを組み付けたときに、両端子部の接続部では、オス端子部がメス端子部で強固に保持され、したがって両端子部間の接触抵抗の上昇も抑制されるコネクタ構造、並びに、それに用いて好適なメスコネクタとオスコネクタの提供を目的とする。
【0016】
また本発明は、メスコネクタとオスコネクタの組み付け作業時における当該組み付け作業を確実に行うことができ、その作業性を高めたコネクタ構造、並びに、それに用いて好適なメスコネクタとオスコネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、本発明においては、
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に突設された突起バンプから成るオス端子部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記オス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有するオスコネクタ、および、
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に形成されたパッド部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記パッド部およびそれが位置する前記絶縁フィルムの箇所を厚み方向に貫通して形成されたスリット開口から成るメス端子部と、前記メス端子部を包摂する断面広さを有し、かつ前記金属ガイド部材を厚み方向に貫通して形成された貫通孔と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記メス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有するメスコネクタとを備え、
前記オスコネクタの前記オス端子部を前記メスコネクタの前記メス端子部に挿入して用いられることを特徴とするコネクタ構造が提供される。
【0018】
その場合、前記オスコネクタの前記オス端子部、または/および、前記メスコネクタの前記メス端子部が、それぞれの絶縁フィルムの長手方向に沿って2列の配列または千鳥模様の配列をなして形成されていることを好適とする。
また、前記オスコネクタの前記実装用パッド端子、または/および、前記メスコネクタの前記実装用パッド端子が、それぞれの絶縁フィルムの両側から櫛歯状に張りだして形成されていることを好適とする。
また、前記メスコネクタの前記パッド部は、前記オスコネクタの前記オス端子部を前記メス端子部に挿入したときの保持力が、100回の挿抜動作を反復した後であっても、初期値対比で50%以上の値を示す金属材料で形成されていることを好適とし、また前記メスコネクタまたは前記オスコネクタのいずれか一方のコネクタにおける長手方向の両端には、両コネクタを組み付けるときの位置決め用の係止ガイド部材が突設され、かつ他方のコネクタにおける長手方向の両端には、前記係止ガイド部材と嵌合可能な切欠ガイド部または貫通孔ガイド部が形成されていることを好適とし、更には、前記オス端子部がその中腹部位がくびれた形状になっていることを好適とする。
【0019】
また、本発明においては、
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に形成されたパッド部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記パッド部およびそれが位置する前記絶縁フィルムの箇所を厚み方向に貫通して形成されたスリット開口から成るメス端子部と、前記メス端子部を包摂する断面広さを有し、かつ前記金属ガイド部材を厚み方向に貫通して形成された貫通孔と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記メス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有してなり、
組み付け相手のオスコネクタのオス端子部を前記メス端子部に挿入して用いられることを特徴とするメスコネクタが提供される。
【0020】
その場合、前記メス端子部が、前記絶縁フィルムの長手方向に沿って2列の配列または千鳥模様の配列をなして形成されていることを好適とし、また前記実装用パッド端子が、前記絶縁フィルムの両側から櫛歯状に張りだして形成されていることを好適とする。更には、前記パッド部が、オス端子部を前記メス端子部に挿入したときの保持力が、100回の挿抜動作を反復した後にあっても、初期値対比で50%以上の値を示す金属材料で形成されていることを好適とする。
【0021】
また、本発明においては、
可撓性を有する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの一方の面に突設された突起バンプから成るオス端子部と、前記絶縁フィルムの他方の面を被覆して固定配置され、かつ絶縁被覆が施されている金属ガイド部材と、前記絶縁フィルムにおける前記他方の面の両側部に形成され、表面が前記金属ガイド部材の表面よりも突出し、かつ基部が前記オス端子部のそれぞれと電気的に接続されている実装用パッド端子とを有してなり、
組み付け相手のメスコネクタのメス端子部に前記オス端子部を挿入して用いられることを特徴とするオスコネクタが提供される。
【0022】
その場合、前記オス端子部が、前記絶縁フィルムの長手方向に沿って2列の配列または千鳥模様の配列をなして形成されていることを好適とし、また前記実装用パッド端子が、前記絶縁フィルムの両側から櫛歯状に張りだして形成されていることを好適とする。更には、前記オス端子部は、その中腹部位がくびれた形状になっていることを好適とする。
【発明の効果】
【0023】
まず、本発明のコネクタ構造の場合、用いるオスコネクタとメスコネクタは、いずれも、それを所定の回路基板にはんだ実装するための実装用パッド端子が、コネクタの裏面(すなわち実装側の面)の中央部には形成されることなく、裏面の両側部に、好ましくは例えば櫛歯状に張りだした状態で配列して形成されているので、はんだ実装時に作業者は、実装箇所にはんだフィレットが適正に形成されているのか否かを容易に視認することができ、また既設の検査機器で検査することができる。
【0024】
そして、本発明のコネクタ構造におけるオスコネクタとメスコネクタは、いずれも、前記した特許文献の技術の場合と同じように、非常に薄い絶縁フィルムにフォトリソグラフィー技術とエッチング技術とめっき技術を適用して製造されるので、省スペース化と低背化が実現されている。例えば、1列25ピンから成る50ピンの2列タイプで、出入力端子部がムカデの足状になっている樹脂封止型の従来のコネクタ構造に比べると、同じピン数の2列タイプのコネクタ構造の場合、大幅に狭幅が実現して全体として50%以上の省スペースが可能となる。またオス端子部とメス端子部の接続部では30%以上の低背化を実現することができる。
【0025】
また、メスコネクタのパッド部が高強度・高弾性の金属材料で形成されているので、オス端子部の挿抜動作を繰り返してもパッド部の弾性低下は起こりづらく、そのためオス端子部に対する保持力の低下が抑制され、同時に両端子部間の接触抵抗の上昇も抑制される。このとき、オス端子部の形状を中腹部位がくびれた形状にしておくと、上記した効果が相乗される。
【0026】
更には、一方のコネクタの長手方向の両端には係止ガイド部が突設され、他方のコネクタの両端には前記係止ガイド部と嵌合する切欠ガイド部や貫通孔ガイド部が形成されているので、両コネクタの組み付け時に、突設するその係止ガイド部を切欠ガイド部や貫通孔ガイド部に嵌め込むことにより、同時に全ての端子部の接続構造を実現することができて、組み付け時の作業性は大幅に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
最初に、本発明のコネクタ構造を構成するオスコネクタとメスコネクタのうち、オス端子部がコネクタの長手方向に沿って2列に配列されているオスコネクタC1と同じくメス端子部が2列に配列されているメスコネクタC2について、その基本構造を図面に則して説明する。
【0029】
まずオスコネクタC1について説明する。
図1は、オスコネクタC1において、オス端子部が突設して形成されている一方の面(以下、A面という)の1例を示す平面図であり、
図2は、オスコネクタC1の他方の面(以下、B面という)の1例を示す平面図であり、
図3は
図1のIII−III線に沿う断面図である。ここで、B面がオスコネクタC1の裏面であって、こちら側の面がオスコネクタC1を所定の回路基板にはんだ実装するときの実装側の面となる。
【0030】
このオスコネクタC1では、可撓性を有する絶縁フィルム1を基材とする。絶縁フィルム1としては、例えばポリイミド、ポリエステル、液晶ポリマー、ポリエーテルケトンなどの絶縁性樹脂のフィルムを用いることができる。とくに、厚み25〜50μmのポリイミドフィルムは好適である。
【0031】
絶縁フィルム1のA面1aの両側部には、所定の間隔を置いて1列8個から成る2列構造のパッド部2が形成されている。パッド部2の平面視形状は
図1のような四角形に限定されるものではなく、円形など適宜な形状を選択することができ、その大きさはそこに立設される突起バンプの外径やオスコネクタC1の全体的な広さとの関係を勘案して適宜な大きさに設計される。そして各パッド部の中心箇所には、例えばめっき銅から成る突起バンプ3が突設されている。突起バンプ3の高さは、150〜300μm程度であることが好ましい。このようにして絶縁フィルム1のA面1aに、その長手方向に配列して2列構造の突起バンプが形成され、これが、後述するように、オス端子部Dとして機能する。
【0032】
これらパッド部2は、絶縁フィルム1のA面1aに例えば銅のような所定材料のめっき膜を製膜し、そのめっき膜にフォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用して形成することができる。また例えば市販の銅張絶縁フィルムの表面銅箔にフォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用しても形成することができる。このとき、パッド部2に対してフォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用することにより、突起バンプ3を同時に形成することもできる。
【0033】
なお、突起バンプ3を、
図4で示したように、中腹部位がくびれた形状の突起バンプ3’となるように形成すると、後述するメスコネクタC2のメス端子部にこの突起バンプ3’(オス端子部Dである)を挿入したときの両者間の保持力が大きくなり、両者の挿抜動作を繰り返した場合でも両者間の保持力の低下が抑制され、同時に両者間の接触抵抗の上昇も抑制されて好適である。外径が例えば200μm程度の突起バンプである場合、その中腹部位に5〜20μm程度小径のくびれ部を形成すると、上記した保持力の向上にとって有効である。しかし、あまり大きなくびれた形状にすると、挿抜動作における抜脱作業が困難となり、極端な場合はメスコネクタC2のパッド部8を破損することもあるので、上記したように、くびれ部の径は全体の外径よりも5〜20μm程度小径にすることが好ましい。また、
図4で示したように、先端部に例えば研磨処理を施して当該先端部を曲面形状に加工すると、メスコネクタC2のメス端子部への挿入が円滑に行えるので好適である。
【0034】
この突起バンプ3’はパッド部2に立設されているのであるが、それは、所定の外径と高さを有する突起バンプを形成したのち、その頂部をマスキングした状態で中腹部位に選択的なエッチング処理を施してその部位を減径することによって形成することができる。
【0035】
また、絶縁フィルム1のA面1aにおける長手方向の両端には、
図1で示したように、後述するメスコネクタC2を組み付けるときの位置決め用の係止ガイド部4が突設されている。この係止ガイド部4は、その高さをパッド部2の厚みよりも50μm程度厚くしておくことが好ましい。この係止ガイド部4もまた、絶縁フィルム1にフォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用して形成することができる。
【0036】
一方、絶縁フィルム1のB面1bの両側部には、
図2で示したように、A面1aの両側部に配列して形成されている突起バンプ3のそれぞれの位置に対応した箇所に、例えばめっき銅から成る所定厚みの実装用パッド端子5が形成されている。そして、各実装用パッド端子5の基部は、
図3で示したように、絶縁フィルム1の厚み方向に形成されている導電ビア6を介してA面1aのパッド部2とそれぞれ電気的に接続されている。
【0037】
これら実装用パッド端子5は、このオスコネクタC1を所定の回路基板にはんだ付けして実装するときのはんだとの接続部であるが、同時にオスコネクタC1の出入力端子部でもある。
なお、はんだ実装時の作業性の観点からすると、実装用パッド端子5は絶縁フィルム1のB面1aの両側部に形成させることを好適とするのであるが、その場合、
図1と
図2で示した態様で形成することが好ましい。
【0038】
すなわち、
図1と
図2で示した実装用パッド端子5の場合、それぞれの実装用パッド端子の間は切欠構造になっていて、各実装用パッド端子5はその先端が絶縁フィルム1の両側部から櫛歯状に張りだした態様で絶縁フィルム1の長手方向に配列している。このような態様で実装用パッド端子5が形成されていると、このオスコネクタC1を所定の回路基板にはんだ付けして実装するときに、作業者は、各実装用パッド端子と回路基板のパッドとのはんだ接続状態を確実に視認することができ、また従来から使用されていた検査機器を用いて検査することもできて好適である。
【0039】
このような切欠構造は、例えば、絶縁フィルム1のA面1aにパッド部2用のめっき膜を製膜し、またB面1bに実装用パッド端子5用のめっき膜をそれぞれ製膜したのち、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用して、まず切欠くべき部分に存在するパッド部用のめっき膜または実装用パッド端子用のめっき膜だけを除去し、続いて、そこに表出した絶縁フィルム1の部分を例えばレーザー照射技術を適用して除去し、最後に、切欠くべき部分に残っている他のめっき膜をエッチング除去することにより形成することができる。
【0040】
絶縁フィルム1のB面1bのうち、前記した実装用パッド端子5が形成されていない面には、そこを被覆して絶縁被覆が施された金属ガイド部材7が固定配置されている。
【0041】
この金属ガイド部材の厚みは、実装用パッド端子5の厚みよりも薄く、例えば20〜100μm程度の厚みに設定され、実装用パッド端子5の表面が金属ガイド部材7の表面よりも10〜30μm程度突出するようになっていることが好ましい。
このようにすると、オスコネクタC1を回路基板にはんだ付けして実装するときに、金属ガイド部材7が溶融はんだと接触して濡れることを防止できるからである。
【0042】
この金属ガイド部材7は、このオスコネクタC1を後述するメスコネクタC2に組み付けるときに、当該オスコネクタC1が撓んだり、反ったりして両コネクタの組み付け不良が起こらないように、オスコネクタC1全体の機械的強度を高めるために絶縁フィルム1に固定配置される。
そして、同じB面1b内で互いに隣接して配置されている実装用パッド端子5との間で短絡事故が起こることを防ぐために、この金属ガイド部材7の表面全体は絶縁被覆されている。具体的には、金属ガイド部材7の表面は、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの絶縁性樹脂でコーテイングされている。とくに、ポリイミド樹脂を用いると、製膜されたコーテイング膜は電気絶縁性が良好で、電着による均一製膜も可能であり、またエポキシ樹脂を用いてフレキシブル回路基板にも接着できるという点で好適である。なお、金属ガイド部材7のベースを構成する金属材料としては、格別限定されるものではなく、たとえば銅、ステンレス鋼などをあげることができる。
【0043】
この金属ガイド部材7をB面1bに固定配置する場合、平面視形状が
図2で示した形状の金属部材を所定の金属箔で別体として製造し、その表面全体に絶縁被覆を施したのち、それを例えば接着剤を用いて絶縁フィルム1のB面1bに貼着すればよい。
【0044】
次に、
図5〜
図7に基づいて、オスコネクタC1に組み付けるメスコネクタC2について説明する。
図5はメス端子部が配列している一方の面(以下、A面という)の1例を示す平面図であり、
図6は他方の面(以下、B面という)を示す平面図であり、
図7は
図6のVII−VII線に沿う断面図である。
このメスコネクタC2の場合、そのA面に配列するメス端子部に、オスコネクタC1のA面に配列するオス端子部が挿入されて両コネクタの組み付けが行われる。
メスコネクタC2の基材としては、前記したオスコネクタC1の場合と同じように絶縁フィルム1が使用される。
【0045】
絶縁フィルム1のA面1aの両側部には、組み付け相手のオスコネクタC1の突起バンプ3(オス端子部D)と同じ間隔で1列8個から成るパッド部8が、絶縁フィルム1の長手方向に沿って2列構造で形成されている。各パッド部8の中心箇所には、パッド部8と絶縁フィルム1を貫通して例えば十文字形状をしたスリット開口9が形成されている。このパッド部8のスリット開口9には、オスコネクタC1のオス端子部D(突起バンプ3)がA面側から挿入されることにより、ここがメス端子部Eとして機能する。
【0046】
一方、絶縁フィルム1のB面1bの両側部には、A面のパッド部8と対応する位置にそれぞれ8個の実装用パッド端子10が形成され、かつ各実装用パッド端子10の基部は絶縁フィルム1の厚み方向に形成された導電ビア6を介してA面1aのパッド部8と電気的に接続されている。
【0047】
また、絶縁フィルム1のB面1bのうち、実装用パッド端子10が形成されていない面には、前記したオスコネクタC1の場合と同じように、表面全体に絶縁被覆が施された金属ガイド部材7’が固定配置されている。そして、この金属ガイド部材7’には、それがスリット開口9と接触する箇所では、その箇所に、スリット開口9の全体を包摂する断面広さを有し、かつ厚み方向に貫通する貫通孔11が形成されていて、パッド部8に形成されているスリット開口9と金属ガイド部材7’に形成されている貫通孔11は連通状態になっている。
【0048】
そして、このメスコネクタC2を所定の回路基板にはんだ付けして実装するときの接続部でもある実装用パッド端子10の表面が、金属ガイド部材7’の表面よりも突出していること、その好ましい突出量が10〜30μm程度であることなどは前記したオスコネクタC1の場合と同様である。
【0049】
また、
図5と
図6で示したように、メスコネクタC2の場合も、前記したオスコネクタC1の場合と同様に、それぞれの実装用パッド端子10の間を切欠構造とし、各実装用パッド端子10の先端を絶縁フィルム1の両側から櫛歯状に張りだした態様で形成されている。こうすることにより、メスコネクタC2を所定の回路基板にはんだ付けして実装するときに、作業者による実装作業の作業性を向上させることができるからである。
【0050】
更に、このメスコネクタC2の場合、その長手方向の両端には、組み付ける相手材であるオスコネクタC1の両端に突設して形成された位置決め用の係止ガイド部4を嵌め込むことができる切欠ガイド部12が形成されている。この切欠ガイド部12の形状は、相手材の係止ガイド部の形状に対応していて、相手材の係止ガイド部が例えば円柱状の突起であれば、その突起を嵌め込める円形貫通孔のガイド部であってもよい。
【0051】
なお、本発明のコネクタ構造の場合、オスコネクタC1の係止ガイド部4をメスコネクタC2の方に突設し、それに対応して、メスコネクタC2の切欠ガイド部12や貫通孔ガイド部をオスコネクタC1の方に形成してもよい。
【0052】
このメスコネクタC2のスリット開口9(メス端子部E)に前記したオスコネクタC1の突起バンプ3(オス端子部D)を挿入して両コネクタを組み付けたときの両端子部の接続構造を
図8に示す。
【0053】
両コネクタを組み付けると、スリット開口9に挿入された突起バンプ3は、当該スリット開口を押し広げながら貫通孔11の方に挿入されていく。そのとき、スリット開口9は突起バンプ3の挿入方向に撓む。そのため、スリット開口9が形成されているパッド部8と絶縁フィルム1には復元力が発生するので、パッド部8の表面は突起バンプ3の中腹部位と圧接し、ここに突起バンプ3がスリット開口9の復元力で保持されると同時に、両コネクタ間には導通構造が形成される。
【0054】
なお、
図7と
図8からも明らかなように、メスコネクタC2の金属ガイド部材7’の厚みは、実装用パッド端子10の厚みよりも薄く、かつ挿入された突起バンプ3(オス端子部D)の高さよりも厚くなるように設定されている。すなわち、貫通孔11に挿入された突起バンプ3が金属ガイド部材7’の上面から突出しないような厚みに設定される。
【0055】
両コネクタの組み付け時に、スリット開口9は、メス端子部Eとして機能すると同時に、オス端子部Dを保持するための保持部としても機能する。そして、保持部としては、スリット開口9へのオス端子部Dの挿抜動作を反復しても、保持力は低下せず、同時に両端子部間の接触抵抗の上昇も起こらないような保持部であることが好ましい。
【0056】
その場合、保持力としては、100回の挿抜動作を反復した後であっても、最初に挿入したときの保持力(初期値)と対比して50%以上の値を示すようになることが好ましい。このような保持力が上記保持部で確保されていれば、両端子部間の接触抵抗の上昇も抑制され、また例えば外部から衝撃を受けても両コネクタが分離するという不都合も防ぐことができるからである。より好ましくは、100回の挿抜動作後の保持力が初期値対比で65%以上の場合である。
【0057】
このようなことからすると、メスコネクタC2のパッド部8としては、高強度・高弾性の金属材料で構成されることが好ましい。そのような金属材料としては、ステンレス鋼、銅合金、鉄合金などを好適例としてあげることができる。とくに、ステンレス鋼やコルソン合金(銅合金)は好適である。また、これら金属材料で形成したパッド部の表面に金や銅などのめっきが施されていてもよい。
【0058】
次に、リジッド回路基板にオスコネクタC1をはんだ実装し、フレキシブル回路基板にメスコネクタC2をはんだ実装した場合のコネクタ構造について説明する。
【0059】
まず、
図9で示したように、表面に所定形状のパッド13aが2列に配列するリジッド回路基板13の上にオスコネクタC1を配置し、その裏面に配列する実装用パッド端子5とパッド13aの間をはんだ付けする。その結果、
図10で示したように、実装用パッド端子5とパッド13aの間にはんだフィレット14が形成され、オスコネクタC1はリジッド回路基板の上にはんだ実装される。
【0060】
このはんだ付けの作業過程で、実装用パッド端子5の厚みは金属ガイド部材7の厚みよりも厚くなっているので、当該金属ガイド部材7が溶融はんだと接触して濡れることはない。また、このはんだ付け作業は、オスコネクタC1の両側から櫛歯状に張りだしている実装用パッド端子5とパッド13aとのはんだ付け作業となるので、作業者ははんだフィレットの形成状態を目視で確認したり、または従来から使用されている検査機器を用いてはんだフィレットの形成状態の良否を検査することもできる。
【0061】
メスコネクタC2をフレキシブル回路基板にはんだ実装する場合も同様である。すなわち、
図7で示したメスコネクタC2のB面に2列構造をなして突出している実装用パッド端子10とフレキシブル回路基板の表面に同じく2列構造をなして配列されているパッドをはんだ付けして、当該メスコネクタC2をそこに実装する。この場合も、実装用パッド端子10は、櫛歯状にメスコネクタC2の両側から側方に張りだしているので、作業者ははんだフィレットの形成状態を視認することができる。
【0062】
ついで、
図11で示したように、メスコネクタCがはんだ実装されている実装箇所に対応するフレキシブル回路基板15の裏面に、平面視形状が実装されているメスコネクタC2と同じ形状をした補強板16を例えば接着剤を用いて固定配置する。このとき、メスコネクタC2の両端に形成されている(したがって補強板の両端にも形成されている)切欠ガイド部12から表出しているフレキシブル回路基板の部分は例えばレーザー照射して除去する。
このようにして、フレキシブル回路基板の先端部には、メスコネクタC2、フレキシブル回路基板15、補強板16が切欠ガイド部12を共有した状態で一体化する。
【0063】
なお、補強板16としては、例えばステンレス鋼シートや銅合金シートをエッチング加工したもの、またはフォトリソグラフィー技術と電鋳加工を組み合わせてニッケル合金にパターン形成したものなどを用いればよい。
【0064】
そして、
図11で示したように、メスコネクタC2のA面をオスコネクタC1のA面と対向配置し、オスコネクタC1の両端に突設されている位置決め用の係止ガイド部4に切欠ガイド部12を嵌合する。そのとき同時に、メスコネクタC2のパッド部8のスリット開口9にオスコネクタC1の突起バンプ3が挿入されて、
図12で示したように、両コネクタが組み付けられ、リジッド回路基板13とフレキシブル回路基板15を電気的に接続するコネクタ構造が形成される。
【0065】
次に、
図13〜
図16に、オス端子部が千鳥模様をなして配列しているオスコネクタF1と、このオスコネクタF1の組み付け相手材であり、メス端子部が同じく千鳥模様をなして配列しているメスコネクタF2を示す。
【0066】
図13は、このオスコネクタF1においてオス端子部が突設されている一方の面(A面)の1例を示す平面図であり、
図14は、絶縁フィルムの両側部に実装用パッド端子が形成されている他方の面(B面)の1例を示す平面図である。
図15は、メスコネクタF2においてメス端子部が配列する一方の面(A面)の1例を示す平面図であり、
図16は、絶縁フィルムの両側部に実装用パッド端子が形成されている他方の面(B面)を示す平面図である。
【0067】
このオスコネクタF1の場合、
図13からも明らかなように、A面から千鳥模様をなして突設している突起バンプ3(オス端子部D)の個数は34ピンである。したがって、これら突起バンプ3をその中心箇所に立設させているパッド部2の個数も34個である。また、このオスコネクタF1の場合、前記したオスコネクタC1ではその長手方向の両端に突設して形成されている位置決め用の係止ガイド部4に代えて、両端の4隅にはそれぞれ円柱突起4’が係止ガイド部として合計4個形成されている。
【0068】
そして、B面の両側部からは、
図14からも明らかなように、片側17個、両側で34個の実装用パッド端子5がその先端部を約50μmほど櫛歯状に張りだした状態で形成されている。そして、これら実装用パッド端子の形成箇所以外のB面には絶縁被覆が施された金属ガイド部材7’が固定配置されていることはオスコネクタC1の場合と同じである。
【0069】
突起バンプ3を千鳥模様に形成したことに伴い、
図13で示したように、A面の中央部に2列構造で配列するそれぞれのパッド部2からはリード2’を両側部まで引き出し、それと、B面の両側部に配列する実装用パッド端子5との間が電気的に接続されている。その場合、絶縁フィルムの厚み方向に形成された導電ビアを介して、実装用パッド端子5の基部と上記したリード2’が電気的に接続されることはオスコネクタC1の場合と同様である。
【0070】
メスコネクタF2の場合、
図15からも明らかなように、そのA面には、オスコネクタF1における突起バンプ3の配列に対応した千鳥模様をなして、34個のパッド部8が形成され、それぞれのパッド部8には、十文字形状をしたスリット開口9がメス端子部Eとして形成されている。また、このメスコネクタF2の長手方向の両端には、前記したメスコネクタC2に形成されていた切欠ガイド部12に代えて、前記したオスコネクタF1の円柱突起(係止ガイド部)4’と嵌合可能な4個の貫通孔12’が貫通孔ガイド部として形成されている。
【0071】
そして、B面の両側からは、
図16からも明らかなように、片側17個、両側で34個の実装用パッド端子10がその先端部を約50μm程度側方に櫛歯状に張りだした状態で形成されている。
【0072】
これら実装用パッド端子10の形成箇所以外のB面には、絶縁被覆が施された金属ガイド部材7’が固定配置されていること、そしてその金属ガイド部材7’が前記スリット開口9と重なり合う箇所では、その厚み方向に、スリット開口9を包摂する断面広さを有する貫通孔11が形成されることにより、当該貫通孔11とスリット開口9が連通状態になっていることは、メスコネクタC2の場合と同じである。
【0073】
パッド部8を千鳥模様で配列したことに伴い、
図15で示したように、A面の中央部に2列構造で配列するそれぞれのパッド部8からはリード8’を引き出し、それと、B面の両側部に配列する実装用パッド端子10の基部との間が、絶縁フィルムの厚み方向に形成された導電ビアを介して電気的に接続されていることはメスコネクタC2の場合と同様である。
【0074】
ここで、メス端子部が2列構造で形成されているメスコネクタC2とメス端子部が千鳥模様をなして全体として4列構造で形成されている上記したメスコネクタF2を対比すると、例えば、両コネクタの全長も幅も同じで、かつ形成するメス端子部の個数が同じである場合には、メスコネクタF2のメス端子部の平面的な広さはメスコネクタC2の場合に比べて小さくなる。
【0075】
メス端子部の平面的な広さが小さくなると、ここにオスコネクタの突起バンプ(オス端子部)がスリット開口を押し広げながら挿入されたときに、スリット開口の部分のパッド部の塑性変形量が大きくなり、そのため、挿抜動作の初期段階で、早々と両端子部間の保持力の低下、ひいては接触抵抗の上昇を招きやすくなるという問題が生じる。
このように、両端子間の接続信頼性の点からすると、メス端子部の平面的な広さは広い方がよいのであるが、しかしそれは、コネクタの長さや幅を拡張することになり、省スペース化を犠牲にすることになる。
【0076】
この点、
図15と
図16で示したメスコネクタF2の場合、同じ34個のメス端子部を有する2列構造のメスコネクタC2に比べると、全長は同じであるが、その幅は約1.6倍と広幅になっている。しかし、メス端子部における貫通孔11の直径はメスコネクタC2の貫通孔11の直径の約1.5倍になっていて、パッド部8の塑性変形がメスコネクタC2の場合よりも小さくなるように設計されている。すなわち、このメスコネクタF2の場合、省スペース化は多少犠牲にしても、両端子間の接続信頼性を高めるように設計されている。
【0077】
上記したオスコネクタF1は、
図11で示した2列タイプのオスコネクタC1の場合と同じように、B面の実装用パッド端子5を例えばリジッド回路基板13のパッドにはんだ付けして当該リジッド回路基板13にはんだ実装される。またメスコネクタF2は、
図11で示した2列タイプのメスコネクタC2の場合と同じように、B面の実装用パッド端子10を例えばフレキシブル回路基板15のパッドにはんだ付けして当該フレキシブル回路基板15にはんだ実装され、更にフレキシブル回路基板に4個の貫通孔ガイド部12’が形成され、そしてその裏面に補強板16が固定配置される。そして両者の組み付けが行われる。
【0078】
まず、
図17で示したように、互いのA面を対向配置し、オスコネクタF1に突設されている4個の円柱突起4’をメスコネクタF2に形成されている4個の貫通孔12’のそれぞれに嵌め込み、全体を圧接する。
【0079】
その結果、
図18で示したように、オスコネクタF1の突起バンプ3(オス端子部D)は、メスコネクタF2におけるパッド部8のスリット開口9から金属ガイド部材7’の貫通孔11に挿入され、ここにコネクタ構造が形成される。
【0080】
このときのパッド部8の塑性変形の状態を、
図19で示したメスコネクタC2のパッド部8の塑性変形の状態と比較して、
図20に示す。
図からも明らかなように、メスコネクタF2の場合、メス端子部の平面的な広さが大きいので、パッド部8の塑性変形は、メス端子部の平面的な広さが小さいメスコネクタC2の塑性変形に比べて大幅に小さくなっている。
【0081】
なお、上記した説明では、千鳥タイプのオスコネクタF1およびメスコネクタF2は、2列タイプのオスコネクタC1及びメスコネクタC2と比較して、幅が広くなっている。しかしながら、オスコネクタF1のパッド部2及び突起バンプ3(オス端子部D)やメスコネクタF2におけるパッド部8の大きさや配置間隔などを調整することにより、例えば、
図13〜
図16に示したパッド部2及び突起バンプ3、並びにパッド部8の相互の配置間隔を狭めることにより、2列タイプのオスコネクタC1及びメスコネクタC2と同程度の幅とすることももちろん可能である。
【0082】
また、上記した説明では、オスコネクタC1,F1とメスコネクタC2,F2の組み合わせで提供しているが、いずれか一方のみを上記した本発明の構成として、金属製のバンプ等が用いられた他の形式のオスコネクタ又はメスコネクタと組み合わせることもできる。もっとも、上記した本発明のオスコネクタC1,F1及びメスコネクタC2,F2の組み合わせからなる2列タイプのコネクタ構造として用いることが薄型化、省スペース化、低背化のためにより好ましいことはもちろんである。