特許第6162716号(P6162716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162716
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】対象周波数多重経路長ミキサ
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20170703BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20170703BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20170703BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20170703BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170703BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B01J19/00 321
   B01F3/08 Z
   B01F5/00 D
   B01F15/02 A
   G01N37/00 101
   G01N35/08 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-547315(P2014-547315)
(86)(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公表番号】特表2015-505732(P2015-505732A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】US2012068438
(87)【国際公開番号】WO2013090141
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】61/570,487
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509131764
【氏名又は名称】ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュリーブ,ジョシュア
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−048428(JP,U)
【文献】 特開2005−211857(JP,A)
【文献】 特許第4043718(JP,B2)
【文献】 実開昭62−095727(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0192217(US,A1)
【文献】 特開2007−090262(JP,A)
【文献】 特開2010−082533(JP,A)
【文献】 特開昭51−091175(JP,A)
【文献】 特開2009−208052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00
B01F 1/00−5/26
B01F 15/00−06
G01N 35/00−10
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体分離システムで使用するためのミキサであって
混合ウェルと、
周知のノイズ特性を有する溶媒組成物の流入流を受けるための分配ウェルと、
分配および混合ウェルの間に設けられた輪郭表面と
を含み、
輪郭表面が、分配ウェルから混合ウェルまで延在する複数の流路を含み、各流路は対向して上方に傾斜した土手によって画定された異なる谷を通過し、溶媒組成の流れは分配ウェルにおいて流路と同じ数のストリームに分割し、流路は、流路の各々によって担持される溶媒組成物の流れの割合を決定する、異なるドエル容積を有し、流路のドエル容積は、溶媒組成物の流れにおいて周知のノイズ特性を対象にするように構成されており、ストリームは、ノイズ特性を減衰させた出力組成ストリームを生成するために流路のドエル容積によって決定された割合にしたがって、混合ウェルにおいて再結合
隣り合う谷が稜線で当接し、溶媒組成物は隣り合う谷の間の稜線からあふれることが可能な、ミキサ。
【請求項2】
流路が異なる長さを有する、請求項1に記載のミキサ。
【請求項3】
流路が異なる断面積を有する、請求項1に記載のミキサ。
【請求項4】
任意の流路のドエル容積は、任意の流路の長さと断面積の関数である、請求項1に記載のミキサ。
【請求項5】
周知のノイズ特性が、溶媒組成物の流れを提供する低圧勾配ポンプシステムによって生成される、請求項1に記載のミキサ。
【請求項6】
周知のノイズ特性が、溶媒組成物の流れを提供する高圧勾配ポンプシステムによって意図的に生成される、請求項1に記載のミキサ。
【請求項7】
マイクロ流体分離システムであって、
周知のノイズ特性を有する溶媒組成物の流れをポンプ圧送するポンプシステムと、
混合ウェル、周知のノイズ特性を有する溶媒組成物の流れを受けるための分配ウェル、および分配および混合ウェルの間に設けられた輪郭表面を備えるミキサと
を含み、
輪郭表面が、分配ウェルから混合ウェルまで延在する複数の流路を備え、各流路は対向して上方に傾斜した土手によって画定された異なる谷を通過し、溶媒組成の流れは分配ウェルにおいて流路と同じ数のストリームに分割し、流路は、流路の各々によって担持される溶媒組成物の流れの割合を決定する、異なるドエル容積を有し、流路のドエル容積は、溶媒組成物の流れにおいて周知のノイズ特性を対象にするように構成されており、ストリームは、ノイズ特性を減衰させた出力組成ストリームを生成するために流路のドエル容積によって決定された割合にしたがって、混合ウェルにおいて再結合
隣り合う谷が稜線で当接し、溶媒組成物の流れは隣り合う谷の間の稜線からあふれることが可能な、マイクロ流体分離システム。
【請求項8】
流路が異なる長さを有する、請求項7に記載のマイクロ流体分離システム。
【請求項9】
流路が異なる断面積を有する、請求項7に記載のマイクロ流体分離システム。
【請求項10】
任意の流路のドエル容積が、任意の流路の長さと断面積の関数である、請求項7に記載のマイクロ流体分離システム。
【請求項11】
ポンプシステムが、周知のノイズ特性を生成する低圧勾配ポンプシステムである、請求項7に記載のマイクロ流体分離システム。
【請求項12】
ポンプシステムが、周知のノイズ特性を生成するために意図的に動作させられる高圧勾配ポンプシステムである、請求項7に記載のマイクロ流体分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、「Targeted Frequency Multiple Path Length Mixers対象」と題された、2011年12月14日出願の同時係属米国仮出願第61/570,487号明細書の恩典および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、主にマイクロ流体分離システムに関する。より具体的には、本発明は、溶媒組成物を混合するためにマイクロ流体分離システム内で使用される、多重経路ミキサに関する。
【背景技術】
【0003】
クロマトグラフィは、混合物をその成分に分離するための一連の技術である。一般的に、液体クロマトグラフィ分析において、ポンプは高圧で液体溶媒の組成物を取り込んでサンプルマネージャに送達し、そこでサンプル(すなわち、分析対象の物質)は混合物への注入を待つ。ポンプとサンプルマネージャとの間に設けられて、ミキサは液体溶媒を均質な組成物に配合する。サンプルマネージャから、液体溶媒と流入サンプルとの混合物を含む結果的に得られる組成物は、粒子状物質のカラムなどの使用点まで移動する。組成物をカラムに通すことにより、サンプル中の様々な成分が異なる速度で互いに分離し、こうして異なる時点でカラムから溶離する。検出器は、カラムから溶出液を受け取り、アナライトの同定および量が判定される元になり得る出力を生成する。
【0004】
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)は、定組成溶離および勾配溶離の2つの基本的溶離モードを使用する。定組成溶離モードでは、純粋溶媒または溶媒の混合物のいずれかを含む移動相は、クロマトグラフィの実行中ずっと同じままである。勾配溶離モードでは、移動相の組成は分離の間に変化する。勾配の形成は複数の溶媒の混合を伴うが、その割合は所定の時間割にしたがって経時的に変化する。いくつかのHPLCシステムは、ポンプの出口側で、下流の溶媒を混合することによって、高圧の下で勾配を生じる。このようなHPLCシステムは、本明細書において高圧勾配システムと称される。その他のHPLCシステムは、最大4つの溶媒から選択するために勾配比例弁を使用し、単一の吸引ポンプの吸入側で複数の溶媒を混合し、時間をかけて溶媒の比率を変化させることによって、低圧の下で勾配を生じる。このようなHPLCシステムは、本明細書において低圧勾配システムと称される。
【0005】
高圧および低圧勾配システムの間での選択は、様々なトレードオフを伴う。1つには、溶媒混合は、ポンプの吸入側の前ではなくポンプの後に行われるので、高圧勾配システムは低圧勾配システムよりも少ないドエル容積を有する。その一方で、低圧勾配システムは1つのポンプのみで勾配を生じることができ、それに対して高圧勾配システムは一般的に各溶媒ごとに1つのポンプを必要とする。したがって、低圧勾配システムは高圧勾配システムよりも三成分および四成分勾配の影響を受けやすく、このため圧倒的にこのようなクロマトグラフィ用途での使用を見出しており、その一方で高圧勾配システムは一般的に、二成分勾配に関わる。
【0006】
低圧および高圧勾配システムによって生成された溶媒組成物の出力ストリームは通常、組成ノイズと称される、クロマトグラフィベースラインにおける検出可能な摂動を有する。勾配ポンプが2つの流体の混合物を出力するとき、動作周波数は組成出力中の振動として現れる。
【0007】
組成ノイズを低減するための従来の手法は、大容量ミキサをポンプシステムの出力に連結することである。しかしながらこのミキサはクロマトグラフィシステムに望ましくない量の遅延量を追加する可能性があり、これは正確で再現可能な勾配の送達に影響を及ぼし、液体クロマトグラフィシステムのサイクル時間に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、ミキサは実際には、組成ノイズを十分に低減する効果はないかも知れない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、マイクロ流体分離システムで使用するためのミキサを特徴とし、これは:混合ウェルと、周知のノイズ特性を有する溶媒組成物の流入流を受けるための分配ウェルと、分配ウェルから混合ウェルまで延在する複数の流路と、を含む。溶媒組成物の流れは、分配ウェルにおいて流路と同じ数のストリームに分割する。流路は、流路の各々によって担持される溶媒組成物の流れの割合を決定する、異なるドエル容積を有する。流路のドエル容積は特に、溶媒組成物の流れにおいて周知のノイズ特性を対象にするように構成されている。ストリームは、ノイズ特性を減衰させた出力組成ストリームを生成するために流路のドエル容積によって決定された割合にしたがって、混合ウェルにおいて再結合する。
【0009】
別の態様において、本発明は、周知のノイズ特性を有する溶媒組成物の流れをポンプ圧送するポンプシステムと、混合ウェル、周知のノイズ特性を有する溶媒組成物の流れを受けるための分配ウェル、および分配ウェルから混合ウェルまで延在する複数の流路を備えるミキサとを含む、マイクロ流体分離システムを特徴とする。溶媒組成物の流れは、分配ウェルにおいて流路と同じ数のストリームに分割する。流路は、流路の各々によって担持される溶媒組成物の流れの割合を決定する、異なるドエル容積を有する。流路のドエル容積は特に、溶媒組成物の流れにおいて周知のノイズ特性を対象にするように構成されている。ストリームは、ノイズ特性を減衰させた出力組成ストリームを生成するために流路のドエル容積によって決定された割合にしたがって、混合ウェルにおいて再結合する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、マイクロ流体分離システムで使用するためのミキサを特徴とする。ミキサは、混合ウェルと、溶媒組成物の流入流を受けるための分配ウェルと、分配および混合ウェルの間に設けられた輪郭表面とを含む。輪郭表面は、分配ウェルから混合ウェルまで延在する複数の流路を有する。各流路は、対向して上方に傾斜した土手によって画定された異なる谷を通る。溶媒組成物の流入流は、分配ウェルにおいて流路と同じ数のストリームに分割する。ストリームは、出力組成ストリームを生成するために混合ウェルにおいて再結合する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、溶媒組成物の流れをポンプ圧送するポンプシステムと、溶媒組成物の流れを受けるための分配ウェル、混合ウェル、および分配および混合ウェルの間に設けられた輪郭表面を備えるミキサとを含む、マイクロ流体分離システムを特徴とする。輪郭表面は、分配ウェルから混合ウェルまで延在する複数の流路を有する。各流路は、対向して上方に傾斜した土手によって画定された異なる谷を通る。溶媒組成物の流入流は、分配ウェルにおいて流路と同じ数のストリームに分割する。ストリームは、出力組成ストリームを生成するために混合ウェルにおいて再結合する。
【0012】
本発明の上記のおよびさらなる利点は、様々な図面において類似の番号が類似の構造要素および特徴を示す添付図面と併せて、以下の説明を参照することによって、より良く理解されるだろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理を図解する上で強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】多重経路ミキサと連通しているポンプを有する、液体クロマトグラフィシステムの実施形態の機能ブロック図である。
図2】分散経路ミキサとも称される、多重経路ミキサの一実施形態の図である。
図3】ミキサを通じて送られる組成物の段に応えての経時的なミキサ出力の例を示すグラフである。
図4】ミキサに供給される溶媒組成ストリームのノイズ特性の例を示す、周波数領域グラフである。
図5】多重経路ミキサの異なる経路での例示的な移動時間のグラフである。
図6】流入溶媒組成ストリームのノイズ特性を示す図4のグラフに重ね合わされた、ミキサによって溶媒組成ストリーム内に導入される例示的周波数のグラフである。
図7】流入溶媒組成ストリームのノイズ特性に対する、ミキサによって導入された周波数の消去効果を示すグラフである。
図8】分散経路ミキサの別の実施形態の図である。
図9】輪郭表面ミキサとも称される、多重経路ミキサの別の実施形態の図である。
図10】輪郭表面ミキサの実施形態の三次元上面図である。
図11】輪郭表面ミキサおよび類似の分散経路ミキサによって経時的に生成された例示的な出力量を比較するグラフである。
図12】輪郭表面ミキサを通る異なる経路を取る流体によって費やされる時間の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載されるマイクロ流体ミキサは、減衰のため、ミキサの吸入ポート(の上流)に結合されたポンプによって生成された溶媒組成ストリームの特定の周波数または周波数帯を対象にするように、構成されることが可能である。ポンプが2つ以上の流体の混合物を出力するために動作するとき、これらの動作周波数は、ポンプの流体出力の組成物における摂動または振動として現れる。このような振動は、組成ノイズまたは誤差と称される。このノイズは、モータ共振、ボールおよびねじ駆動、歯車、および/またはポンプピストンを駆動する線形運動を発生するためのその他の部品など、ポンプの機械的特徴を含むがこれらに限定されない、様々な源に起因する可能性がある。その他のノイズ源は、ストローク/再補充周期、溶媒圧縮の開始または完了、あるいはポンプチャンバからの溶媒送液の開始などの、物理的現象を含む。
【0015】
ミキサは、特定範囲のこれらの周波数を減衰し、その一方でその他の周波数をそのまま通過させることによって、帯域消去フィルタのように機能する。帯域消去フィルタのような挙動を実現するために、ミキサは、流入溶媒組成ストリームをより小さい複数のストリームに分割する、複数の経路またはチャネルを有する。各経路のドエル容積は、経路の各々を流れる流入溶媒組成ストリームの割合を決定する。ミキサは、各経路のドエル容積を構成するために、固有の経路形状を使用する。任意の経路のドエル容積を決定する因子は、経路長および流れ抵抗を含む。流れ抵抗に影響を及ぼす因子は、経路の断面形状および断面積である。(一般的に、いずれの経路の流量も、その長さと流れ抵抗との積である)。出力溶媒組成ストリームの対象周期誤差を減衰または消去するために、複数のストリームはそれぞれのドエル容積にしたがって再結合する。
【0016】
ミキサの複数の経路は、分散していてもよく(すなわち、互いに分離して独立していてもよく)、あるいは輪郭表面内で実現されてもよく、その輪郭は、周知の容積周波数の組成ノイズを減衰するために、混合特性を制御するように設計されている。加えて、本明細書に記載されるミキサの様々な実施形態は、いずれのタイプのポンプと結合されることも可能である。一般的に、低圧勾配ポンプシステムの容積ノイズ周波数は周知のパラメータであり、ミキサの設計はこの周波数を対象とすることができる。高圧勾配ポンプシステムでは、たとえばポンプストローク長を変化させることによって、特定の固有容積ノイズ周波数が意図的に生成されることが可能である。たとえば経路の数および各経路の形状などのミキサの設計は、減衰のためにこれらのノイズ周波数を特に対象とすることができる。
【0017】
図1は、サンプルをその成分に分離するための、液体クロマトグラフィ(LC)システム10の一部の実施形態を示す。液体クロマトグラフィシステム10は、溶媒送液システム12、多重経路ミキサ14、およびサンプルマネージャ16を含む。一般的に、溶媒送液システム12は、そこから溶媒が引き込まれる溶媒リザーバと流体連通している、1つ以上のポンプ(図示せず)を含む。溶媒送液システム12は、勾配比例弁および複数の溶媒からなる溶媒ストリームを送達する単一のポンプを備える、低圧勾配システムとして実現されることが可能である。あるいは、溶媒送液システム12は、その出口において「T」によって接合された2つのポンプを備える、各ポンプは単一の溶媒を送達する、高圧勾配システムであってもよい。ミキサ14の吸入ポート18は、溶媒組成ストリームを受けるために溶媒送液システム12と流体連通しており、ミキサ14の出口ポート20はサンプルマネージャ16と流体連通している。
【0018】
動作中、溶媒送液システム12は溶媒組成ストリームをミキサ14に送達する。ミキサ14に到達する溶媒組成ストリームは、グラフ22によって示されるような組成ノイズパターンを有する。多重経路ミキサ14は、減衰のための組成ノイズパターンを対象とするような方式で、流入溶媒組成ストリーム中の溶媒を混合する。ミキサ14の実施形態は、以下により詳細に記載されるように、分散経路ミキサおよび輪郭表面ミキサを含む。
【0019】
ミキサ14から、ろ過溶媒組成ストリームはサンプルマネージャ16まで通過する。ろ過溶媒組成ストリームは、グラフ24によって示されるような、低減された組成ノイズパターンを有する。サンプルマネージャ16は、そこからサンプルマネージャ16がサンプルを取得してミキサ14から到達する溶媒組成物に導入する、サンプル源と流体連通している。サンプルマネージャ16から、注入サンプルを含む溶媒組成ストリームはクロマトカラムまで通過する。液体クロマトグラフィシステム10の実施形態は、HPLCおよびUPLC(超高性能液体クロマトグラフィ)システムを含む。
【0020】
図2は、それによって吸入ポート18に到達する組成ストリームが出口ポート20まで通過することができる複数の分散マイクロ流路30−1、30−2、および30−3(まとめて30)を有する多重経路ミキサ14の例示的実施形態を示す。入口チャネル32は、吸入ポート18から分配ウェル36まで延在する。出口チャネル34は、混合ウェル38から出口ポート20まで延在する。各経路30は、分配ウェル36から始まって混合ウェル38で終わる。この例において、経路30−1は3つの経路30のうちで最も長く、経路30−3は最も短く、分配ウェル36と混合ウェル38との間の直線経路である。図2において、線の太さは経路の相対的な断面積を表し、入口および出口チャネル32、34の各々は経路30よりも大きい断面積を有している。各経路30は、異なるドエル容積を有している(ここで、この例においては、ほぼ等しいように示されているその断面積よりも、異なる長さによる)。異なるドエル容積は、異なる割合の流入溶媒組成ストリームを経路に担持させる。
【0021】
簡単にまとめると、流入組成ストリームは吸入ポート18に進入し、入口チャネル32を移動し、分配ウェル36において3つの経路30に対応する3つのストリームに分割する。異なるドエル容積により、各経路は異なる割合の流入組成ストリームを混合ウェル38に送達し、そこでストリームは具体的に対象とする周期誤差を伴わずに出力組成ストリームを生成するために、再結合および混合する。出力組成ストリームは、出口ポート20を通じてミキサを離れる。
【0022】
図3は、ミキサ14を通じて送られる組成物の段に応えて図2の3経路ミキサ14によって生成された例示的なミキサ出力52のグラフ50を示す。組成物の段は、連続ストリームである代わりに設定容積を有し、ここではミキサ14を通じての移動時間に対するドエル容積の効果を説明するために使用されている。一般的に、ミキサ14を通じて送られる組成物の段は、いくつかの小さい段として現れる。時間t0において、ミキサ入力54(段0から100で表される)はミキサ14に進入する。ミキサ内で、入力組成段は、3つの経路にわたって3つの段部に分割する。すなわち、最短経路30−3、中間経路30−2、および最長経路30−1である。
【0023】
時間t1において、最短経路30−3を横切る組成段の部分は、3つのうち最初に混合ウェル38に到達するものである。(この例のため、経路は同じ流れ抵抗を有し、経路長が各経路を通る移動時間を決定する)。ミキサ出力52の容積は、この経路30−3によって担持される容積にしたがって段階的に増加する。時間t2において、中間経路30−2を横切る組成段の部分は混合ウェル38に到達し、そこでこの容積は最短経路30−3を越えて到達する容積に加えられる。最短および中間経路30−3、30−2の結合容積は、ミキサ出力容積にさらなる段を作り出す。時間t3において、最長経路30−1を横切る組成段の部分は混合ウェル38に到達し、そこでこの容積は最短および中間経路30−3、30−2全体に到達する結合容積に加えられる。ミキサ入力54の全体は、ミキサ出力52として現れる。
【0024】
図4は、その成分周波数に分解された、ミキサ14に入力されると溶媒送液システム12(図1)によって提供される、流入組成ストリームの周波数領域グラフ60を示す。x軸には成分周波数があり、y軸にはこれらの周波数における振幅がある。この例において、流入組成ストリームは、振幅が減少している成分周波数fならびに高調波周波数f、f、およびfを明示している。グラフ60は、流入組成ストリーム中の周期誤差の例を提供しており、ミキサ14による減衰または消去のために対象とすべきノイズプロファイルを表すことができる。
【0025】
図5は、たとえば図4のノイズプロファイルなど、特定のノイズプロファイルを対象とする混合プロファイルを生成するように設計された、3つの例示的ミキサ出力段72−1、72−2、および72−3(まとめて72)を伴うグラフ70を示す。x軸は、ミキサ14を流れる組成段の一部の移動時間の量を表す。y軸は、ミキサによる組成出力の量(容積)を表す。ミキサ14は、特定の割合の入力組成段が所定の移動時間にしたがって混合ウェル38に現れるように、これらの出力段を生成するように設計されることが可能な、3つの経路30−1、30−2、30−2を有する。たとえば、経路30−1の形状の設計は、時間tに混合ウェルに容積Vを送達し、経路30−2の形状の設計は、時間tに容積Vを送達し、そして経路30−3の形状の設計は、時間tに容積Vを送達するように目指すことができる。釣り鐘曲線は、入力組成段の各部分が時間ウィンドウにわたってミキサ出力に到達することを示すように、各段72を表している。
【0026】
図6は、ミキサ14によって生成された混合プロファイル(実線)に関連付けて設計された成分周波数が、図4に関連して記載された例示的ノイズプロファイル(破線)に重ね合わされた、周波数領域グラフ80を示す。混合プロファイルのトラフ82は、図7の周波数領域グラフ90に示されるようにこのような周期誤差が減衰または消去された出力組成ストリームを生成するために、ノイズプロファイルの成分および高調波周波数と一致するように、設計されている。
【0027】
図8は、本明細書に記載された原理がその他のミキサ設計にも容易に適用されることを示す目的で、分散経路ミキサ14−2の別の例示的実施形態を示す。この分散経路ミキサ14−2は、吸入ポート118、出口ポート120、およびそれによって吸入ポート118に到達する組成ストリームが分割して出口ポート120まで通過することができる、4つのマイクロ流路100−1、100−2、100−3、および100−4(まとめて、100)を有する。入口チャネル102は、吸入ポート118から分配ウェル106まで延在する。出口チャネル104は、混合ウェル108から出口ポート120まで延在する。各経路100は、分配ウェル106から始まって混合ウェル108で終わる。
【0028】
この例において、経路100−3は、その他の経路100−1、100−2、100−4よりも大きい断面積(線の太さによって表される)と、したがってより低い流れ抵抗とを有する。経路100−4は最長経路であり、経路100−2は最短経路であり、経路100−1、100−3は互いにほぼ等しい長さである。これら2つの経路はほぼ等しい長さの100−1、100−3であるが、その断面積の差のため、経路100−1を通る組成ストリームの移動時間の方が経路100−3を通るよりも長い。
【0029】
これらの経路100の形状は、流入溶媒組成ストリームの周知のノイズ特性に対して消去または減衰効果を協同で生み出す、1組の異なるドエル容積を作り出すように調整されている。この溶媒組成ストリームは吸入ポート118に進入し、入口チャネル102を移動し、分配ウェル106において4つの経路100に対応する4つのストリームに分割する。各経路は、そのドエル容積に応じた割合の流入溶媒組成ストリームを担持する。4つのストリームは、経路100によって担持される割合にしたがって混合ウェル108に到達し、出力組成ストリームを生成するために再結合する。これら特定の混合割合によって達成された混合プロファイルは、ミキサの設計によって具体的に対象とされる周波数、または周波数帯域を減衰または消去するように、作用する。
【0030】
図9は、輪郭表面ミキサと称される、多重経路ミキサ14−3の別の実施形態を示す。ミキサ14−3は、拡散接合によって、またはガスケットを用いて作成される、輪郭表面チャンバを含む。輪郭表面ミキサは、入口ポート134、出口ポート136、および分配ウェル122と混合ウェル124との間の輪郭領域120を有する。輪郭領域120は、4つの主要経路126−1、126−2、126−3、および126−4(まとめて126)を有する。分散経路ミキサと輪郭表面ミキサとの比較を容易にする目的のため、これらの経路126の形状は、図8の分散ミキサの経路100と類似である(すなわち、経路126−1の形状は経路100−1と似ており、経路126−2の形状は経路126−2と似ているなど)。入口チャネル128は、吸入ポート134から分配ウェル122まで延在する。出口チャネル130は、混合ウェル124から出口ポート136まで延在する。各経路126は、分配ウェル122から始まって混合ウェル124で終わる。
【0031】
各経路126は、輪郭領域132によって両側が区切られている。喩えるなら、輪郭領域132の間を通る各経路は、谷底が各川の両側の土手から上方に傾斜している谷を流れる川のようなものである。谷は異なる深さおよび幅を有することができ、いずれの谷もそれ自体が、変動する深さおよび幅を有することができる。単一の輪郭領域132を共有する隣り合う谷は、稜線140(すなわち、分配ウェル122から混合ウェル124まで延在して谷の間の最大隆起部を画定する峰)で合流する。
【0032】
喩えを続けると、各谷は氾濫原のようなものである。分配ウェル122に到達する流入溶媒組成ストリームは、まず4つの経路126に対応する4つのストリームに分割する。流入組成ストリームの容積が経路の容量を超過した場合には、その経路の土手があふれて、組成ストリームは経路が通る谷を満たし始める。有利なことに、谷は、組成ストリーム中の溶媒を混合するための追加領域を提供する。加えて、任意の谷の容量が超過されてもよく、組成ストリームは谷の稜線からあふれて隣り合う谷に流入することが可能である。いくつかの実施形態において、チャンバの被覆表面は、稜線140のうちの1つ以上に接触して、流体が谷から谷へとあふれないように、隣り合う谷を互いに流体的に隔離するように作用する。
【0033】
図10は、輪郭表面ミキサ14−3の実施形態の三次元図である(輪郭領域120の様々な下層要素を示すために、チャンバの上層または被覆を省略している)。分配ウェル122および混合ウェル124は、ミキサ14−3の両端の沈下領域である。各経路126は、分配ウェル122から混合ウェル124まで延在し、上方に傾斜した土手142によって両側が区切られる。峰140は隣り合う谷を分離する。
【0034】
経路および谷の形状は、特定のノイズプロファイルを対象とするように設計されることが可能である。輪郭領域120を通過する経路126の形状、その幅および深さは、ミキサ14−3の主要な特性を決定する。谷の深さおよび幅など、輪郭領域の二次的特徴の形状は、経路によって生成される主要な特性を平滑化または配合するように作用する。谷のドエル容積(そこを通る経路を含む)は、混合ウェル124における混合割合を決定する。
【0035】
図11は、図8の類似の分散経路ミキサ14−2の例示的なミキサ出力144と比較した、図9の4経路輪郭表面ミキサ14−3によって生成される例示的なミキサ出力142のグラフ150を示す。(両方のタイプの多重経路ミキサへの)ミキサ入力146は、時間tにおいてミキサに進入する段として表される。分散経路ミキサ14−2のミキサ出力144は、4つの経路100の各々を通る組成段の各部分の移動時間と一致する、4つの異なる段を有する。4経路輪郭表面ミキサ14−3のミキサ出力142は4つの対応する段を有しているが、これらはミキサ出力144の段ほど急峻ではない。図示されるように、輪郭表面ミキサ14−3を通じて送られる組成物の入力段は、いくつかの配合段として現れる。したがって、輪郭表面ミキサ14−3の輪郭表面は、分散経路ミキサ14−2よりもアナログ的な、ノイズを消去するためのフィルタ効果を実現することができる。
【0036】
図12は、図10の輪郭表面ミキサ14−3を流れる組成物の異なるストリームを示す図である。ピーク容積は、圧倒的に経路126−1、126−2、126−3、126−4を通る。組成物の一部は、経路のいくつかまたは全て(たとえば、126−1)の土手からあふれて、隣り合う谷に流れ込む可能性がある。一般的に流体は、入口チャネル128の真向かいのこれらの経路126−2、126−3においてより短い時間を費やし、外側の経路126−1、126−4ではより長い時間を費やす。
【0037】
本発明は特定の好適な実施形態を参照して図示および説明されてきたが、以下の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細について様々な変更がなされてもよいことは、当業者によって理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12