(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162760
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造
(51)【国際特許分類】
H01H 33/70 20060101AFI20170703BHJP
H01H 33/16 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
H01H33/70 A
H01H33/16
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-155815(P2015-155815)
(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-39145(P2016-39145A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0101818
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100170380
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】イム ウ スン
【審査官】
段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−017929(JP,A)
【文献】
特開平03−274626(JP,A)
【文献】
特開平05−258649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/70
H01H 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス絶縁開閉装置に備えられた遮断器の固定部に連結されて可動部と固定部との接点事故を防止する遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造において、
前記投入抵抗ユニットの前面上端には、一端が前記固定部の上端に前後方向に所定角度回転可能且つ上下方向に所定距離移動可能に連結され、他端が前記投入抵抗ユニットの上端に前後方向に所定角度回転可能且つ上下方向に所定距離移動可能に連結される第1支持板が形成され、
前記投入抵抗ユニットの中心部には、一端が前記固定部の側面に上下方向に所定角度回転可能且つ前後方向に所定距離移動可能に連結され、他端が前記投入抵抗ユニットに連結される第2支持板が形成されることを特徴とする、遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造。
【請求項2】
前記第1支持板の両側に少なくとも1つの第1支持板締結孔がそれぞれ形成され、締結部材が前記第1支持板締結孔を貫通して前記固定部及び前記投入抵抗ユニットにそれぞれ締結されることにより、前記第1支持板の一端は、前記固定部に連結された状態で前後方向に所定角度回転し、前記第1支持板の他端は、前記投入抵抗ユニットに連結された状態で前後方向に所定角度回転する、請求項1に記載の遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造。
【請求項3】
前記第2支持板の一端には前記投入抵抗ユニットが貫通するように貫通孔が形成され、前記第2支持板の他端には少なくとも1つの第2支持板締結孔が形成され、
前記投入抵抗ユニットが前記貫通孔を貫通した状態で締結部材が前記第2支持板締結孔を貫通して前記固定部に締結されることにより、前記第2支持板により前記投入抵抗ユニットが上下方向に所定角度回転する、請求項1に記載の遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造。
【請求項4】
前記締結部材の上部にはヘッドが形成され、前記第2支持板締結孔には前記ヘッドが収容されるヘッド収容部が形成される、請求項3に記載の遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造に関し、特に、遮断器の固定部に固定される投入抵抗ユニットの支持構造を改善して投入抵抗ユニットの構造を安定化させ、遮断器の寿命を延ばす、遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear; GIS)は、六フッ化硫黄(SF
6)ガスを用いた開閉装置である。
【0003】
このようなガス絶縁開閉装置は、優れた消弧性能及び安定した絶縁特性を有する遮断器、開閉器、母線接続部などをSF
6が充填されて密閉された容器内に入れることにより、小型化が可能であるだけでなく、使用時の安定性を向上させることができるので、様々な領域で使用されている。
【0004】
一方、170KV級以上の大容量系統に使用されるガス絶縁開閉装置の遮断器には、可動部を固定部に投入するときに発生する過電圧を抑制するように投入抵抗ユニットが備えられる。
【0005】
図7及び
図8は従来の投入抵抗ユニットが備えられた遮断器を示す概略図であり、
図7は可動部が固定部から分離した状態を示し、
図8は可動部が固定部に当接した状態を示す。
【0006】
図7及び
図8に示すように、170KV級以上の大容量系統に使用されるガス絶縁開閉装置の遮断器は、可動部10、可動部10が挿入されて接触する固定部20、投入抵抗可動部接点31を備えた投入抵抗可動部30、及び投入抵抗可動部接点31に接触する投入抵抗ユニット接点41を備えた投入抵抗ユニット40等から構成される。
【0007】
ここで、可動部10には、可動部10と固定部20の内部に形成された固定接点21aとの接触が安定して行われるように案内ガイド11が形成され、案内ガイド11は、固定部20の内部に形成されたロッド21を可動部10の内部にガイドして、ロッド21の端部に形成された固定接点21aに可動部10が接触するようにする。
【0008】
このように構成された従来のガス絶縁開閉装置の遮断器における可動部10と固定接点21aとの接触は次のように行われる。
【0009】
まず、遮断器の内部に備えられた固定部20の側面に投入抵抗ユニット40が取り付けられた状態で、固定部20側に可動部10が移動すると、固定部20の内部に形成されたロッド21が可動部10の内部に挿入される。
【0010】
ここで、ロッド21の端部に形成された固定接点21aが案内ガイド11にガイドされて可動部10の内部に挿入され、可動部10が固定接点21aに接触する。
【0011】
可動部10が固定接点21aに接触する際には、投入抵抗可動部30の投入抵抗可動部接点31と投入抵抗ユニット40の投入抵抗ユニット接点41との接触が先に行われ、投入抵抗ユニット40に所定の衝撃が加わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、このような従来のガス絶縁開閉装置の遮断器においては、投入抵抗可動部接点31と投入抵抗ユニット接点41との接触による衝撃がそのまま投入抵抗ユニット40やその周辺に伝わるので、投入抵抗ユニット40だけでなく投入抵抗ユニット40の連結部も共に破損することにより、遮断器内での投入抵抗ユニット40の構造的安定性が著しく低下するという問題があった。
【0013】
また、遮断器内での投入抵抗ユニット40の構造的安定性が著しく低下するので、遮断器の寿命が大幅に短縮されるという問題があった。
【0014】
さらに、固定部20への投入抵抗ユニット40の取り付けや固定部20からの投入抵抗ユニット40の取り外しが容易でないという問題があった。
【0015】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、遮断器の固定部に固定される投入抵抗ユニットの支持構造を改善して投入抵抗ユニットの構造を安定化させ、遮断器の寿命を延ばす、遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記目的は、ガス絶縁開閉装置に備えられた遮断器の固定部に連結されて可動部と固定部との接点事故を防止する遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造において、前記投入抵抗ユニットの前面上端には、一端が前記固定部の上端に前後方向に所定角度回転可能に連結され、他端が前記投入抵抗ユニットの上端に前後方向に所定角度回転可能に連結される第1支持板が形成され、前記投入抵抗ユニットの中心部には、一端が前記固定部の側面に上下方向に所定角度回転可能に連結され、他端が前記投入抵抗ユニットに連結される第2支持板が形成されることを特徴とする遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造を提供することにより達成することができる。
【0017】
また、前記第1支持板の両側に少なくとも1つの第1支持板締結孔がそれぞれ形成され、締結部材が前記第1支持板締結孔を貫通して前記固定部及び前記投入抵抗ユニットにそれぞれ締結されることにより、前記第1支持板の一端は、前記固定部に連結された状態で前後方向に所定角度回転し、前記第1支持板の他端は、前記投入抵抗ユニットに連結された状態で前後方向に所定角度回転するようにしてもよい。
【0018】
さらに、前記第2支持板の一端には前記投入抵抗ユニットが貫通するように貫通孔が形成され、前記第2支持板の他端には少なくとも1つの第2支持板締結孔が形成され、前記投入抵抗ユニットが前記貫通孔を貫通した状態で締結部材が前記第2支持板締結孔を貫通して前記固定部に締結されることにより、前記第2支持板により前記投入抵抗ユニットが上下方向に所定角度回転するようにしてもよい。
【0019】
さらに、前記締結部材の上部にはヘッドが形成され、前記第2支持板締結孔には前記ヘッドが収容されるヘッド収容部が形成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明による遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造においては、投入抵抗ユニットを第1支持板及び第2支持板により固定部に連結し、第1支持板により投入抵抗ユニットが固定部を基準として前後方向に動くようにし、第2支持板により投入抵抗ユニットが固定部を基準として上下方向に動くようにすることで、所定の衝撃による投入抵抗ユニットや投入抵抗ユニットと固定部との連結部の破損を防止するという効果がある。
【0021】
また、投入抵抗ユニットや投入抵抗ユニットと固定部との連結部の破損を防止することにより、遮断器内での投入抵抗ユニットの構造的安定性を向上させ、遮断器の寿命を延ばすという効果がある。
【0022】
さらに、第1支持板及び第2支持板により、固定部への投入抵抗ユニットの取り付けや固定部からの投入抵抗ユニットの取り外しが容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による投入抵抗ユニットが固定部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明による投入抵抗ユニットが固定部に取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図3】本発明による投入抵抗ユニットが固定部に取り付けられているときに外部衝撃により後方に移動した状態を示す平面図である。
【
図4】本発明による遮断器の固定部に投入抵抗ユニットが取り付けられた状態を示す概略断面図である。
【
図5】本発明による遮断器の固定部に投入抵抗ユニットが取り付けられた状態を示す平面透視図である。
【
図6】本発明による遮断器の投入抵抗ユニットに連結される第2支持板を示す斜視図である。
【
図7】従来の遮断器において可動部が固定部から分離した状態を示す概略図である。
【
図8】従来の遮断器において可動部が固定部に当接した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による遮断器用投入抵抗ユニットの支持構造について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明による投入抵抗ユニットが固定部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0026】
本発明による遮断器は、その内部に可動部(図示せず)と固定部100とが備えられ、
図1に示すように、固定部100の側面に投入抵抗ユニット200が取り付けられる。
【0027】
投入抵抗ユニット200は、前記可動部の接点と固定部100の接点とが接触するときに発生する接点事故を防止する。
【0028】
すなわち、前記可動部と固定部100とからなる主接点部が接触する前に、前記可動部に備えられた投入抵抗ユニット可動部接点(図示せず)と投入抵抗ユニット200に備えられた投入抵抗ユニット接点210とが先に接触するので、投入抵抗ユニット200により前記可動部と固定部100との接触時に発生する過電圧がある程度抑制される。
【0029】
図2は本発明による投入抵抗ユニットが固定部に取り付けられた状態を示す平面図であり、
図3は本発明による投入抵抗ユニットが固定部に取り付けられているときに外部衝撃により後方に移動した状態を示す平面図であり、
図4は本発明による遮断器の固定部に投入抵抗ユニットが取り付けられた状態を示す概略断面図であり、
図5は本発明による遮断器の固定部に投入抵抗ユニットが取り付けられた状態を示す平面透視図であり、
図6は本発明による遮断器の投入抵抗ユニットに連結される第2支持板を示す斜視図である。
【0030】
図2〜
図6に示すように、投入抵抗ユニット200の前面上端には第1支持板220が形成され、投入抵抗ユニット200の中心部には第2支持板230が形成される。
【0031】
第1支持板220は、投入抵抗ユニット200の前面上端に回転可能に連結されるが、一端は固定部100の上端に固定部100を基準として前後方向に所定角度回転可能に連結され、他端は投入抵抗ユニット200の上端に固定部100を基準として前後方向に所定角度回転可能に連結される。
【0032】
ここで、第1支持板220の両側には、少なくとも1つの第1支持板締結孔221がそれぞれ形成され、ボルトなどの締結部材223が第1支持板締結孔221を貫通して固定部100及び投入抵抗ユニット200にそれぞれ締結されることにより、第1支持板220の両端が固定部100と投入抵抗ユニット200に連結された状態で所定角度回転する。
【0033】
よって、投入抵抗ユニット200は、外部から所定の衝撃が加わると、第1支持板220により固定部100を基準として前後方向に移動し、加わった衝撃を吸収する。
【0034】
第2支持板230は、投入抵抗ユニット200の中心部に備えられ、投入抵抗ユニット200が固定部100を基準として上下方向に移動可能にする。
【0035】
ここで、第2支持板230の一端には貫通孔231が形成され、第2支持板230の他端には少なくとも1つの第2支持板締結孔233が形成される。
【0036】
貫通孔231には投入抵抗ユニット200が貫通して挿入され、第2支持板締結孔233には締結部材240が貫通して固定部100に締結される。
【0037】
つまり、第2支持板230の一端は、投入抵抗ユニット200が貫通孔231に挿入されることにより投入抵抗ユニット200に連結され、第2支持板230の他端は、締結部材240が第2支持板締結孔233を貫通して固定部100に締結されることにより固定部100に所定角度回転可能に連結される。
【0038】
よって、投入抵抗ユニット200は、外部から所定の衝撃が加わると、第2支持板230により固定部100を基準として上下方向に移動し、加わった衝撃を吸収する。
【0039】
第2支持板締結孔233には、締結部材240のヘッド241が収容されるようにヘッド収容部233aが形成される。よって、締結部材240が第2支持板締結孔233を貫通して固定部100に締結される際に、ヘッド241がヘッド収容部233aに収容されるので、ヘッド241が外部に突出しないだけでなく、締結部材240が第2支持板締結孔233を貫通した状態でさらに強固に固定部100に締結される。
【0040】
本発明においては、前記可動部の投入抵抗ユニット可動部接点と投入抵抗ユニット200の投入抵抗ユニット接点210とが接触するときに発生する衝撃を、投入抵抗ユニット200が第1支持板220により前後方向に移動して吸収すると共に第2支持板230により上下方向に移動して吸収するようにし、外部衝撃により投入抵抗ユニット200が破損したり投入抵抗ユニット200と固定部100との連結部が破損することを防止し、投入抵抗ユニット200の構造的安定性を向上させる。
【0041】
また、投入抵抗ユニット200が強固に固定部100に取り付けられるので、遮断器を長時間使用しても投入抵抗ユニット200が固定部100から分離しにくくなり、遮断器の寿命が延びる。
【0042】
さらに、第1支持板220及び第2支持板230を用いて投入抵抗ユニット200が固定部100に取り付けられるので、固定部100への投入抵抗ユニット200の取り付けや固定部100からの投入抵抗ユニット200の取り外しが容易になる。
【0043】
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、様々な変化、変更及び均等物を用いることができ、上記実施形態を適切に変形して同様に応用することができることは明らかである。よって、上記記載内容は添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0044】
100 固定部
200 遮断器用投入抵抗ユニット
210 投入抵抗ユニット接点
220 第1支持板
221 第1支持板締結孔
223 締結部材
230 第2支持板
231 貫通孔
233 第2支持板締結孔
233a ヘッド収容部
240 締結部材
241 ヘッド