(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162787
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】局およびアクセスポイントを含むワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法
(51)【国際特許分類】
H04W 84/12 20090101AFI20170703BHJP
H04W 16/18 20090101ALI20170703BHJP
H04W 24/06 20090101ALI20170703BHJP
【FI】
H04W84/12
H04W16/18 110
H04W24/06
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-500849(P2015-500849)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公表番号】特表2015-518306(P2015-518306A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2013055275
(87)【国際公開番号】WO2013139679
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】12305320.9
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】カレル ヴァン ドアシーラー
(72)【発明者】
【氏名】クーン ヴァン オースト
(72)【発明者】
【氏名】シルバン デュメ
【審査官】
田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−125951(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0060150(US,A1)
【文献】
北尾 光司郎、市坪 信一,400MHz〜8GHz帯郊外地伝搬損失,電子情報通信学会2005年総合大会講演論文集 通信1,日本,社団法人電子情報通信学会,2005年 3月 7日,第29頁
【文献】
トラン ゴクハオ (et al),5GHz帯以上を用いたセルラーシステムにおけるエリア構築法の検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年12月 8日,Vol.111 No.345,第195頁−第200頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/28−12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局およびアクセスポイントを含むワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法であって、
前記局から前記アクセスポイントに、より低い周波数帯域でブロードキャストパケットを送出し、確認を求めて待機することと、
前記より低い周波数帯域でのパケット損失を、送出および確認されたブロードキャストパケットの数に基づき計算することと、
より高い周波数帯域に対するパケット損失を、前記より低い周波数帯域での前記計算されたパケット損失を考慮することにより、および、前記より低い周波数帯域と前記より高い周波数帯域との間の相関関数を使用することにより計算することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記アクセスポイントにより、前記確認として、受信されたブロードキャストパケットに応答して、ユニキャスト応答メッセージを送出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブロードキャストパケットは、アドレス解決プロトコルパケットである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤレス通信ネットワークは、IEEE 802.11勧告の1つによる通信ネットワークである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ブロードキャストパケットを、再送なしで、前記IEEE 802.11勧告の1つによる最も低い推奨される変調速度によって送出することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変調速度は、1MHzから5MHzの範囲内である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記より低い周波数帯域は、例えば2.4GHz ISM帯域などの、2.4GHz帯域であり、前記より高い周波数帯域は、例えば5GHz U−NII帯域などの、5GHz帯域である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記より高い周波数帯域に対するビデオ性能を、前記相関関数から決定することを含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の方法を利用する、局。
【請求項10】
局の内部のアプリケーション用のコンピュータ実行可能プログラムコードであって、コンピュータに、請求項1から8のいずれかに記載の方法を、後のプログラムステップとして実行させる、前記コンピュータ実行可能プログラムコード。
【請求項11】
コンピュータに、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ実行可能プログラムコードを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記コンピュータにより可読である、請求項10に記載のコンピュータ実行可能プログラムコードを含む、非一時的プログラム記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局およびアクセスポイントを含むワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法に関し、特に、ビデオ品質を決定するために局とアクセスポイントとの間のパケット損失を計算するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローカルエリアネットワーク用のワイヤレス送信(WLAN)は、一方で、エンドユーザに対して良好に設定された技術である。ローカルエリアネットワークの本質的な部分は、ローカルエリアネットワークをインターネットに接続するレジデンシャルゲートウェイである。ワイヤレスデバイスをローカルエリアネットワークに接続するための機構はWi−Fiと呼ばれ、Wi−Fiは、ワイヤレス送信用の規格のIEEE 802.11ファミリーを使用するデバイス用のブランド名である。IEEE 802.11勧告とも呼ばれるIEEE 802.11規格は、ワイヤレスアクセスポイントとしてレジデンシャルゲートウェイを規定し、レジデンシャルゲートウェイに接続されるワイヤレスデバイスは局と呼ばれる。IEEE 802.11規格は、家の至る所に分散されているワイヤレスデバイスが、何らのデータケーブルも必要とすることなくレジデンシャルゲートウェイに接続され得るものであるように規定される。
【0003】
IEEE 802.11bおよび802.11g規格は2.4GHZ ISM帯域を使用し、後に開発された802.11g規格が最高54Mbit/sのデータ速度を可能にし、そのデータ速度は、原則的に、リアルタイムアプリケーション用の高品質ビデオストリーミングを提供するために十分でさえある。しかしながらWi−Fi技術は、それ自体の成功の被害者となり、データ送信用に選定され得るいくつかの非重複周波数チャネルが存在する場合でも(欧州では4つ、米国では3つ)、近傍のWi−Fiデバイスからの干渉が、都市部では深刻な問題となっている。加えて、2.4GHZ ISM帯域を使用する他のデバイス、例えばBluetoothデバイス、電子レンジ、ベビーフォン(babyphone)、および他のものもまた存在する。
【0004】
したがって、2.4GHz ISM帯域によるビデオストリーミングは、高い信頼性で機能しないことになるということ、および、5GHz U−NII帯域が、干渉を回避するために使用されなければならないということが、当業界での総意である。さらに、現在の802.11gワイヤレスデバイスは、データ移送用に設計されており、高品質ビデオ送信を考慮に入れたものではない。それらは、54Mbit/sの最大物理層ビット速度で動作し、そのことは、約22Mbit/s平均データスループットをもたらす。一方で、Wi−Fiデバイスを製造する主要な会社は、専用の5GHz Wi−Fiソリューションに取り組みはじめており、そのソリューションは、具体的には、新しいIEEE 802.11n規格によるビデオアプリケーション用に調整され、5GHz帯域での所与の無線周波数経路に対して十分なスループットおよびパケット損失を定めることを可能にする。
【0005】
しかしながら、そのようなアプリケーションに関心のあるユーザに対しては、依然として問題が残っており、その問題は、彼が、彼の自宅でのビデオ送信のためのものである、局とアクセスポイントとの間のRF経路損失に関して何らの情報も有さないということである。壁、キャビネット、または他の障害物による追加的な経路損失を含む、局とアクセスポイントとの間の距離をベースにしたRF経路損失を計算するための、信頼性の高いモデルもまた存在しない。例えば、従来のコンクリート床により引き起こされる減衰は約5dBであり得るが、コンクリート床が金属のスクリード補強メッシュを入れている場合は、25dBと相当なものになる場合があり、そのことはユーザには視認可能でない。
【0006】
例えばユーザは、
図1に示されるように、彼の自宅の部屋R1内に2.4GHz帯域で動作するWi−FiアクセスポイントAPを、および、部屋R2内に場所L1で局STA1、例えばコンピュータを所有している。しかしながら彼は、現在のアクセスポイントAPを、先進的な5GHzビデオオーバーWi−FiアクセスポイントAP2、5GHz U−NII帯域で動作するレジデンシャルゲートウェイにより置換し、それを、場所L2で5GHzビデオオーバーWi−FiセットトップボックスSTA2とともに使用することを望んでいる。セットトップボックスSTA2は、部屋R2内のテレビセットTVの近くに配置されなければならない。
【0007】
新しい5GHzアクセスポイントAP2の文書類では、それが、40Mb/sのデータスループット、および、90dbの経路損失以下の10〜16パケット/秒未満のパケット損失を保証することが可能であるということを約束しており、そのことが、2つの異なる高解像度映画を同時に視聴および記録することを可能にするが、ユーザは、そのソリューションが、彼の家の中で、彼がレジデンシャルゲートウェイAP2およびセットトップボックスSTA2について構想する場所で、実際に十分に機能することになるかどうかの情報を持たない。部屋R1内に、例えば、レジデンシャルゲートウェイAP2とセットトップボックスSTA2との間の直線的なライン内に、煙突または大きなキャビネットCが存在する場合がある。そのため、真相を得るための方法は、店で機器を購入し、それが、望まれる場所で動作することを願うこと、または、可能であるならば、新しいアクセスポイントAP2を供与する会社により行われる現地サービスを受けることのいずれかとなる。
【0008】
特許文献1では、無線周波数信号を放出する目標デバイスの位置を、目標デバイスから受信される放出の強度に関係があるデータをベースにして推定するための方法を説明している。目標デバイスの位置は、目標デバイスからの、および基準デバイスからの、受信される放出に関連する受信信号強度データをベースにして推定される。目標デバイスは、例えば、IEEE 802.11 WLANデバイスの動作に干渉するエネルギーを放出するデバイス、例えば電子レンジ、Bluetoothデバイス、またはコードレス電話であり得る。方法は、複数の経路損失モデル、例えば、低い障害密度を伴う領域に対する経路損失モデル、および、高い障害密度に対する別の経路損失モデルを使用する。経路損失モデル用の具体的な係数は、経験的に見出され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7317419号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、局およびアクセスポイントを含むワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法であって、前記局から前記アクセスポイントに、より低い周波数帯域でブロードキャストパケットを送出し、確認を求めて待機するステップと、前記より低い周波数帯域でのパケット損失を、送出および確認されたブロードキャストパケットの数をベースにして計算するステップと、より高い周波数帯域に対するパケット損失を、前記より低い周波数帯域の前記計算されたパケット損失を考慮することにより、および、前記より低い周波数帯域と前記より高い周波数帯域との間の相関関数を使用することにより計算するステップと、を含む、前記方法を説明する。
【0011】
前記ワイヤレス通信ネットワークは、特に、IEEE 802.11勧告の1つによる通信ネットワークであり、前記ブロードキャストパケットは、再送なしで、前記IEEE 802.11勧告の1つによる最も低い推奨される変調速度で、例えば1MHzから5MHzの範囲内である変調速度で送出される。
【0012】
本発明のさらなる態様では、前記方法は、前記より低い周波数帯域に対するビデオ性能を決定するために、前記より低い周波数帯域に対するパケット損失を計算し、前記パケット損失データを前記より低い周波数帯域に前記相関関数によって変換するために、受信されたブロードキャストパケットに応答して、ユニキャスト応答メッセージを送出するステップであって、前記ブロードキャストパケットは、特に、アドレス解決プロトコルパケットである、送出するステップを含む。
【0013】
本発明における前記局は、例えば、前記局の内部に含まれるコンピュータ実行可能プログラムコードを使用することにより、前記方法を利用する。前記方法を遂行するための前記コンピュータ実行可能プログラムコードは、ソフトウェアプログラムとして前記局の内部に含まれる場合があり、または、前記コンピュータ実行可能プログラムコードを含むコンピュータ可読記憶媒体から前記コンピュータ実行可能プログラムコードをコピーすることにより前記局の内部に記憶される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の好ましい実施形態が、概略的な図面を参照して例によって下記でより詳細に解説される。
【
図1】エンドユーザの自宅内に設けられる局およびアクセスポイントを含むワイヤレス通信ネットワークの図である。
【
図2】
図1に関して説明されるような現地に対して5GHz帯域でのパケット損失を決定するためのシナリオの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
理解されたいのは、本発明の図および説明は、本発明の明確な理解のために関連性のある要素を例示するように単純化されており、一方で明瞭性を目的として、典型的なワイヤレス配信方法およびシステムで見出される多くの他の要素を除去しているということである。それでも、そのような要素は当技術分野でよく知られているので、そのような要素の詳細な論考は本明細書では提供されない。本明細書での開示は、当業者に知られているすべてのそのような変形および修正に向けられたものである。例示的な実施形態はIEEE 802.11の枠組の範囲内にあるが、本発明は、この特定の環境に制限されず、他の周波数を利用する他のワイヤレスの枠組の範囲内でもまた適用され得る。
【0016】
ワイヤレス通信ネットワークを試験するための本発明の方法は、局およびアクセスポイントを含み、より低い周波数帯域でのパケット損失を計算するためにブロードキャストパケットを使用する。次いでパケット損失が、より高い周波数帯域に対して、より低い周波数帯域で計算されたパケット損失を考慮することにより、および、より低い周波数帯域とより高い周波数帯域との間の相関関数を使用することにより計算される。ワイヤレス通信ネットワークは、特に、IEEE 802.11勧告の1つによるワイヤレスネットワークであり、より低い周波数帯域は2.4GHz帯域であり、より高い周波数帯域は5GHz帯域である。
【0017】
次に、ワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法が
図2に関して例示されており、
図2は、
図1に関して説明されるような現地を試験するためのアクセスポイントAP3および局STA3を示す。アクセスポイントAP3は任意の古いWi−Fiアクセスポイントであり得るものであり、局STA3は任意の古いラップトップであり得るものであり、それらのアクセスポイントAP3および局STA3は、
図1に関して説明されるような、新しいレジデンシャルゲートウェイAP2および新しいセットトップボックスSTA2について構想される場所間の、経路損失、および特にパケット損失を決定するために無線経路を試験するための、IEEE 802.11勧告の任意の1つによる2.4GHz Wi−Fiを有するものである。
【0018】
ワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法は、例えば、アクセスポイントAP2とセットトップボックスSTA2との間の無線経路に対する経路損失を決定するための、Wi−Fiが装備された、局STA3、例えばラップトップ、ネットブック、またはスマートフォンにさえもインストールされ得るアプリケーションとして提供される。局STA3は部屋R2内であちこちに動かされ、セットトップボックスSTA2の使用に関して関心を引くすべての場所が試験され得る。したがって多数の測定が、部屋R2の場所Ciで、局STA3によって2.4GHz帯域で、各々の場所Ciに対してパケット損失データを決定するために行われる。対応する測定が、アクセスポイントAP3によっていくつかの場所Diでもまた行われ得る。
【0019】
ワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法は、例えば、隣人が彼のアパート内で、部屋R3内でアクセスポイントAP’を使用することにより引き起こされ得る、2.4GHz帯域での何らかの既存の干渉に可能な限り左右されないものでなければならない。アクセスポイントAP’の範囲RAが、円として、単純化された様式で示されており、部屋R2の一部に及ぶ。2.4GHz帯域で取得された経路損失の結果が、次いで、2.4GHzと5GHzとの間の経路損失についての良好な相関によって、5GHz帯域での経路損失に変換される。ブロードキャストパケットを使用することにより、ソリューションは結果として、2,4GHz帯域でのWi−Fi干渉に左右されないが、非Wi−Fi干渉には左右される。その点で試験は、5GHz帯域に対する予測される性能の条件では悲観的な結果を与えることになる。
【0020】
古いレジデンシャルゲートウェイAPと局STA3との間の経路損失を決定するための方法は、局STA3の放射電力、およびアクセスポイントAPの受信感度に左右されるが、Wi−Fi性能をもたらすアルゴリズム、例えば速度整合およびワイヤレス再送アルゴリズムに関する実施選定には左右されない。5GHz性能に対しては、計算は、新しいアクセスポイントAP2の法律的に許される最大の放射電力、および新しいセットトップSTA2の最新の受信感度を想定することになる。様々な無線経路を有する様々な場所で、2.4GHzアクセスポイントAP3および2.4GHz局STA3によって取得される、最新の2.4GHzソリューションによる、5GHzと2.4GHz試験結果との間の相関が、5GHzソリューションが、2つの所与の場所間で、例えば、新しいアクセスポイントAP2および新しいセットトップボックスSTA2の場所に対して、十分に機能することになるかどうかを、(悲観的に)予測することを可能にすることになる。
【0021】
より詳細には、古い2.4GHzアクセスポイントAP3は任意のモデルの類であり得るものであり、実施または機能性に対しての制御機構は必要とされない。アクセスポイントAP3は、例えば、IEEE 802 11bによる古いレジデンシャルゲートウェイである場合さえある。局STA3に関しては、例えば、試験アプリケーションが実行されている、ラップトップ、ネットブック、またはスマートフォンが使用され得る。試験アプリケーションは、例えばインターネットウェブページからダウンロードされる場合があり、または、サービスDVDによって提供される場合がある。
【0022】
2.4GHz帯域で起こり得る干渉のために、試験方法は、スループット試験を、またはラウンドトリップ時間を利用することが可能ではない。また、2.4GHzアクセスポイントAP3および2.4GHz局STA3に関する制約を制限したいという要望のために、試験方法は、受信信号強度指標(RSSI)値を利用することができない。試験方法は有利には、パケット損失のみをベースにする。試験方法は、アクセスポイントAP3および局STA3により使用される速度セットを制御することを必要とせず、パケット損失に非常に大きな影響力をもつ、再送に対しての制御および再送制限を必要としない。試験方法は有利には、ブロードキャストパケット、例えばアドレス解決プロトコル(ARP)パケットを使用し、それらのパケットは常に、最も低いWi−Fi変調速度、例えば最も低いIEEE 802.11bまたは802.11g変調速度で、再送なしで送出される。試験方法は、受信の確認または確認応答が、送出する局STA3に自動的にフィードバックされるように選択される、ブロードキャストパケットを使用する。
【0023】
アドレス解決プロトコルは、リンク層アドレスへのネットワーク層アドレスの解決のために使用される電気通信プロトコルである。アドレス解決プロトコルは、1つのブロードキャストアドレス解決要求、および、求められる受信するデバイスから送出側に返送されるユニキャスト応答を使用する、単純なメッセージフォーマットを規定する。
【0024】
局STA3は場所Ciで、例えば2.4GHzARPブロードキャストパケットをアクセスポイントAP3に送出し、アクセスポイントAP3は返信を送出する。返信はユニキャストメッセージであり、したがって再送を前提とするため、ブロードキャストパケットの送出が、アクセスポイントAP3の再送挙動に左右されず、パケット損失に対して支配的となる。送出されるブロードキャストパケットの数、および受信メッセージの数から、パケット損失がパーセント単位で、場所Ciに対して計算され得る。
【0025】
試験アプリケーションは、次のステップで、2.4GHz範囲から5GHz範囲にパケット損失を転換して、5GHzビデオ性能に関する推定値を提供する相関関数を含む。最初に相関関数が、様々な場所Ciまたは/およびDiで取得される、2.4GHzでの多数のパケット損失値2.4RefAP3および2.4RefSTA3と、5GHzパケット損失値との間で規定される必要がある。2.4GHz予測試験結果(2.4RefAP3@場所Ci;2.4RefSTA3@場所Di)がYi%パケット損失を与え、ビデオ性能(5GHzAP2@場所Di;5GHzSTA2@場所Ci)が、Zi任意単位をもたらすことになる。領域(Yi,Zi)から、相関関数が、Ziが相関関数(Yi)により近似され得るように適合され得る。
【0026】
ユーザが、彼の家で、構想される場所での彼の古い機器によって、2.4GHz予測試験を行うとき、彼は、場所D1でのアクセスポイントAP2および場所L2での局STA2に対してX%パケット損失である、2.4GHz予測試験結果を取得する。上記から、構想される場所での5GHzソリューションに対するビデオ性能、場所D1での5GHzアクセスポイントAP2および場所L2での5GHz局STA2に対するビデオ性能は、相関関数(X)と同じ、または相関関数(X)より良好になるということが、高い信頼性で導出され得る。
【0027】
この方法が有する利点は、ユーザが、彼が新しい機器を購入する前に、アクセスポイントAP2と新しい局STA2との間のビデオ送信が機能することになるかどうか、および、それがどこで機能することになるかの最初の推定値を有するということである。この試験は、任意のWi−Fi certified 2.4GHzレジデンシャルゲートウェイ、および任意のWi−Fi certifiedラップトップまたはネットブックであり得る、彼の古い機器によって前もって遂行され得る。新しい機器による試行錯誤は必要とされず、特殊な試験機器を用いる現地訪問は必要でない。
【0028】
特許請求の範囲で出現する参照番号は、単に例示のためのものであり、特許請求の範囲の範囲に制限的な影響を与えないことになる。本説明、特許請求の範囲、および図面で開示される特徴は、独立的に、または任意に適切に組み合わされて提供され得るものであり、適切であるならば、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせで実現され得る。また、本発明の他の実施形態が、当業者により、本発明の範囲から逸脱することなく利用され得る。したがって本発明は、本明細書の後に添付される特許請求の範囲に存するものである。
[付記1]
局(STA3)およびアクセスポイント(AP3)を含むワイヤレス通信ネットワークを試験するための方法であって、
前記局(STA3)から前記アクセスポイント(AP3)に、より低い周波数帯域でブロードキャストパケットを送出し、確認を求めて待機するステップと、
前記より低い周波数GHz帯域でのパケット損失を、送出および確認されたブロードキャストパケットの数をベースにして計算するステップと、
より高い周波数帯域に対するパケット損失を、前記より低い周波数帯域での前記計算されたパケット損失を考慮することにより、および、前記より低い周波数帯域と前記より高い周波数帯域との間の相関関数を使用することにより計算するステップと、
を含む、前記方法。
[付記2]
前記アクセスポイント(AP3)により、前記確認として、受信されたブロードキャストパケットに応答して、ユニキャスト応答メッセージを送出するステップを含む、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記ブロードキャストパケットは、アドレス解決プロトコルパケットである、付記1または2に記載の方法。
[付記4]
前記ワイヤレス通信ネットワークは、IEEE 802.11勧告の1つによる通信ネットワークである、付記1乃至3のいずれかに記載の方法。
[付記5]
前記ブロードキャストパケットを、再送なしで、前記IEEE 802.11勧告の1つによる最も低い推奨される変調速度によって送出するステップを含む、付記4に記載の方法。
[付記6]
前記ブロードキャストパケットを、1MHzから5MHzの範囲内である変調速度によって送出するステップを含む、付記4または5に記載の方法。
[付記7]
前記より低い周波数帯域は2.4GHz ISM帯域であり、前記より高い周波数帯域は5GHZ U−NII帯域である、付記1乃至6のいずれかに記載の方法。
[付記8]
前記より高い周波数帯域に対するビデオ性能を、前記相関関数から決定するステップを含む、付記1乃至7のいずれかに記載の方法。
[付記9]
付記1乃至8のいずれかに記載の方法を利用する、局(STA3)。
[付記10]
局(STA3)の内部のアプリケーション用のコンピュータ実行可能プログラムコードであって、付記1乃至8のいずれかに記載の方法ステップを、後のプログラムステップとして実行する、前記コンピュータ実行可能プログラムコード。
[付記11]
付記1乃至8のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能プログラムコードを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
[付記12]
コンピュータにより可読である、付記10に記載のコンピュータ実行可能プログラムコードを含む、非一時的プログラム記憶媒体。