特許第6162790号(P6162790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162790
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】タイルを整列およびレベリングする装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/18 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   E04F21/18 J
【請求項の数】27
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-503649(P2015-503649)
(86)(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公表番号】特表2015-515561(P2015-515561A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2013034637
(87)【国際公開番号】WO2013149166
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/617,487
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/853,523
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511129649
【氏名又は名称】ダビンチ イタリア/ユーエスエー グループ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エー.カフナー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ バーギン
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−002163(JP,A)
【文献】 特表2008−531881(JP,A)
【文献】 特表2012−527551(JP,A)
【文献】 特開2013−204318(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0263304(US,A1)
【文献】 米国特許第05675942(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0118115(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0283401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/00
E04F 21/18
E04F 13/00−13/30
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルを置設しレベリングする装置であって、
上側と底側とを有する底板と、
第1の端部と第2の端部とを有する可撓性部材と、
前記底板を前記可撓性部材に結合する中間部材であって、前記可撓性部材の前記第1の端部が前記中間部材に枢着され、それにより前記可撓性部材が第1の位置と第2の位置の間で枢動可能である、中間部材と、
前記可撓性部材を前記第2の位置に保持可能な保持機構と、を具備する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記可撓性部材の前記第2の端部が、前記第2の位置では底板に近く、前記第1の位置では底板に遠い、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記保持機構が、開口部に受容可能にされた固定部材である、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記固定部材が前記可撓性部材に結合されており、前記開口部が前記中間部材内にある、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が異なる厚さのタイルと共に使用できるように前記開口部が前記固定部材よりも大きくされている、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記保持機構が、係止爪組立体である、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
1個以上の前記保持機構が前記可撓性部材に結合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
さらに、前記中間部材が、中間部材の他の部分よりも構造的に弱い分離ポイントを有しており、前記中間部材が前記底板から分離できる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記可撓性部材が異なる厚さのタイルを収容できるように異なる位置に保持できる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
さらに、シャフトを具備し、前記シャフトが弾性を有しており、第1の位置から第2の位置への長さに沿って、長手方向に延びることが可能にされており、前記シャフトが第1の位置へ付勢されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記底板が、下地材料 の浸入を可能ならしめる、少なくとも1個の穴を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記可撓性部材の前記第2の端部は丸められて前記可撓性部材が第2の位置に向かって移動する際のタイルとの間の摩擦を低減するようにされている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記底板が、さらに、前記底板の上面の上方に延伸し、押圧位置と後退位置の間で移動可能である可撓性部分を有し、前記可撓性部分は前記後退位置に付勢されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
タイルを置設しレベリングする装置であって、
上側と底側とを有する底板と、
第1の端部と第2の端部とを有する可撓性部材と、
前記底板を前記可撓性部材に結合する中間部材であって、前記可撓性部材の前記第1の端部が前記中間部材に枢着されており、それにより前記可撓性部材が前記底板に遠い第1の位置と底板に近い第2の位置の間で枢動可能にされている、中間部材と、
具備し、
前記可撓性部材が前記第2の位置にある時に、タイルと係止的に係合するようにされている、
ことを特徴とする装置。
【請求項15】
前記中間部材が前記底板から分離できるように、前記中間部材が、さらに、中間部材の他の部分よりも構造的に弱い分離ポイントを有しており、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記底板が少なくとも1個の穴を有し、下地材料 の浸入を可能ならしめている、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記底板が、さらに、前記底板の上面の上方に延伸し、押圧位置と後退位置の間で移動可能である可撓性部分を有し、前記可撓性部分は前記後退位置に付勢されている、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
タイルを置設しレベリングする装置であって、
上面を有する底板と、
前記底板の上面に結合され、そこから上方に延伸するシャフトと、
前記シャフトを受容するようにされている開口部を有する中間部材と、
前記中間部材に結合され、第1の端部と第2の端部とを有する可撓性部材と、を具備し、
前記可撓性部材の前記第1の端部が中間部材に枢着され、それにより前記可撓性部材が底板に遠い第1の位置と底板に近い第2の位置の間で枢動可能とされ、
前記可撓性部材が前記第2の位置にある時に、タイルと係止的に係合するようにされており、
さらに、前記中間部材と前記シャフトを作用的に結合するロック機構を具備し、前記ロッキング機構は前記中間部材をシャフトに沿って第1の方向に移動することは可能にするが、シャフトに沿って第2の方向に移動することは可能にしない、
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
前記シャフトが、さらに、シャフトの他の部分よりも構造的に弱い分離ポイントを有しており、前記中間部材が前記底板から分離できる、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記底板が、下地材料 の浸入を可能ならしめる少なくとも1個の穴を有している、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記底板が、さらに、前記底板の上面の上方に延伸し、押圧位置と後退位置の間で移動可能である可撓性部分を有し、前記可撓性部分は前記後退位置に向かって付勢されている、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項22】
タイルを置設しレベリングする装置であって、
上面を有する底板と、
前記底板の上面に結合され、そこから上方に延伸するシャフトと、
前記シャフトを受容するようにされている開口部を有する中間部材と、
前記中間部材に結合され、第1の端部と第2の端部とを有する可撓性部材であって、前記可撓性部材の前記第1の端部が前記中間部材に枢着され、それによって前記可撓性部材が前記底板に遠い第1の位置と前記底板に近い第2の位置の間で枢動可能とされている可撓性部材と、
前記可撓性部材を前記第2の位置に保持可能な保持機構と、
前記中間部材と前記シャフトを作用的に結合する係止機構を具備し、
前記係止機構は前記中間部材を前記シャフトに沿って第1の方向に移動することは可能ならしめるが、前記シャフトに沿って第2の方向に移動することは可能ならしめない、
ことを特徴とする装置。
【請求項23】
前記シャフトが、さらに、シャフトの他の部分よりも構造的に弱い分離ポイントを有しており、前記シャフトが前記底板から分離できる、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記保持機構が、開口部に受容可能にされた固定部材である、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記保持機構が、係止爪組立体である、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記底板が、下地材料 の浸入を可能ならしめ少なくとも1個の穴を有している、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記底板が、さらに、前記底板の上面の上方に延伸し、押圧位置と後退位置の間で移動可能である可撓性部分を有し、前記可撓性部分は前記後退位置に付勢されている、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルやスラブの置設およびレベリングの分野に関する。特には、床、壁、カウンター頂面等に置設する際に隣接するタイルを整列し、高さを合わせるための装置に関する。
本出願は、本明細書に全体が参照として援用されている、2012年3月29日付けで出願された米国仮特許出願第61/617487号にもとづいている。
【背景技術】
【0002】
タイルは床、壁、カウンター頂面等に使用される一般的な装飾的、機能的な物品である。
タイル専門職人も、DIY的素人も、タイルを基板の表面上に置設する場合にタイルの整列とレベリングに非常に多くの時間を費やす。
多くの理由から正しいタイルの整列とレベリングが必要である。
1つの理由は、もし1つのタイルが正しく置設されないと、この失敗は隣接するタイルに残り続け、タイル貼着が許容できないものとなってしまい、タイルの取り換え、および、または、タイルの高さが合うまで、あるいは、平らになるまで、タイルを削り、磨くことが必要となる。
また、審美的な理由から正しいタイルの置設が必要であるのに加え、人が躓いたり、転倒したりすることがないようにレベリングされた表面がタイル床には必要である。
「段差(lippage)」は1つのタイルの縁が、隣接するタイルの縁よりも、人が躓くほどに高い場合に発生する。
タイルの取り換えやその他のタイル貼着時の失敗(段差や整列不良等)の修正は時間がかかりトータルコストを上昇させる。
【0003】
タイルの置設およびレベリングは難しい、というのは、屋外のパティオにタイルを置設する場合の地面のように多くの基板が不均一であるからである。
このような場合にはモルタルやその他の物によって基板の低い部分を上昇させてすべてのタイルの高さを合わせることは難しい。
さらに、タイルはモルタルが乾燥するにつれて動いたり、あるいは、モルタルの中に沈み込むことがある。
新しく置設されたタイルをモルタルが乾燥する際に連続的に監視することがタイルの高さを維持するために伝統的に必要とされてきた。
タイル貼り職人は、タイルの貼着工程をできるだけ短くしながらタイル貼着の品質を維持するためにいろいろな道具、方法を用いてきた。
1つの基本的な方法は基板の表面にマーキングすることである。
貼着表面にマーキングするにはマーキングを視認続けられるように注意深くモルタルを塗布しなければならない。
この方法が、タイルの整列を助けるとしても、モルタル内に配置されるにつれタイルの高さは維持されない。
【0004】
タイルの置設およびレベリングに使用される別の装置はタイルを正しい間隔で離間せしめるようにデザインされたフレームである。
このタイプのフレームは典型的には固定された格子であり、それは特定の大きさのタイル用にデザインされている。
この装置の問題点は、異なる大きさのタイルを置設するためにはタイル職人が複数のフレームを持ち歩かなくてはならないことである。
さらなる欠点は、このタイプのフレームは1回に1つのタイプのタイルしか利用できないことである。
【0005】
隣接するタイルを置設して整列するために使用される別の装置は、特許文献1に記載されているようなスペーサである。
このようなタイプのスペーサは典型的には、隣接するタイルを直角に正しくための整列させる四角形の縁と、モルタル表面に対してタイルの高さを調整するための高さ調整手段を提供する。
このタイプの装置の1つの問題点は、複数のスペーサを同じ高さにセットすることが難しいことであり、結果的にしばしば不均一な高さをもたらす。
これらの装置の関連する問題点は、調整手段が、タイルが置設された後はタイルの高さを調整できないということである、なぜならば高さ調整手段はタイルの下に配置されるからである。
【0006】
したがって、タイルがモルタル内に置設された後に、タイルの互いに対する垂直方向の整列が可能な、効率がよく低コストなタイルのレベリングおよび整列装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6625951
【発明の概要】
【0008】
本発明はタイルを整列およびレベリングする装置を含む。
装置は、床、壁、カウンター頂面を含む好適な基板に固定されるタイルを整列およびレベリングするために使用することができる。
いくつかの実施形態においては、装置は、中間部材で結合された少なくとも1つの可撓性部材と底板を含む。
他の実施形態においては、装置は、底板から上方に延伸するシャフトを有する底板と、少なくとも1つの可撓性部材に結合された中間部材とを有し、中間部材はシャフトを受容するようにされた開口部を有する。
可撓性部材は第1の端部と第2の端部とを有する。
第1の端部は中間部材に枢動可能に結合されて、可撓性部材が第1の位置(上方)と第2の位置(下方)の間を枢動することを可能ならしめている。
いくつかの実施形態においては、装置は、可撓性部材を第2の位置に保持する手段を含んでいる。
【0009】
タイルを載置する際の典型的な第1のステップは、セメントやモルタル化合物等の下地を基板に塗布することである。
その後、タイルは下地内に設置される。
これらのステップの間に底板がタイルの下方の下地内に配置されて、中間部材(ある実施形態においてはシャフト)が隣接するタイルの間を上方へ延伸する。
底板は、好ましくは、1以上のタイルと接するように配置される。
可撓性部材はタイルが底板の上に配置される際には第1の位置にある。
その後、可撓性部材は第2の位置に移動し、そこでは可撓性部材の第2の端部がタイルの頂部を押圧し、その結果、タイルの頂部は、最小の段差で、あるいは、段差無しで、同一平面に整列される。
本装置は、タイルの高さを隣接するタイルに対してレベルを合わせるのであって、基板に対してレベルを合わせるのではない。
【0010】
下地が乾燥すると、それによってタイルは基板に固定され、底板をタイルの下方に残置したまま中間部材(ある実施形態においてはシャフト)は底板から分離される。
当業者は、多数のタイルを同時にレベリングするべく基板の上に載置された異なるタイルの間に複数のレベリング装置を同時に使用することができるということが理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の正面図である。
図3】本発明の一実施形態の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態の斜視図である。
図5】追加の保持機構を有する本発明の他の実施形態の斜視図である。
図6】1つのタイルと共に使用されている本発明の装置の正面図である。
図7】2つのタイルと共に使用されている本発明の装置の側面図である。
図8】保持機構がロック爪装置である別の実施形態の斜視図である。
図9】ロック位置での可撓性部材を示す図8の実施形態の正面図である。
図10】底面が可撓性部材を有する実施形態の正面図である。
図11】可撓性部材が異なる厚さのタイルを許容可能なより大きな可撓性を有する曲げを有する実施形態の正面図である。
図12】可撓性部材に開口部を有する実施形態の斜視図である。
図13】1つの可撓性部材が第2の位置にある図11の実施形態の正面図である。
図14】中間部材がシャフトに沿って移動可能にされている実施形態の斜視図である。
図15】タイルと共に使用されている図14の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明はタイルを整列しレベリングする装置を備える。
装置は、床、壁、カウンター頂面等を含む好適な基板に保持されるタイルを整列しレベリングするために使用される。
装置は、少なくとも1つの可撓性部材10と底板12を含む。
図1−13に示される実施形態においては、可撓性部材10と底板12は可撓性部材10と底板12を予め定めた垂直距離に離隔する中間部材18によって結合されている。
可撓性部材10は第1の端部10aと第2の端部10bと保持機構を有する。
第1の端部10aは枢動可能に中間部材18に結合され、それにより可撓性部材10が、可撓性部材10が保持されておらず自由に枢動可能な第1の位置と、可撓性部材10が下向きの/係合した位置に係止されている第2の位置との間で、枢動することを可能にしている。
【0013】
保持機構は可撓性部材10を第2の位置に保持するために使用される。
図1−6に記載の実施形態においては、保持機構は開口部16に受容される突出している固定部材14である。
図1−6に記載の実施形態においては、突出している固定部材14は可撓性部材10に結合され、開口部16は中間部材18内にある。
しかしながら、保持機構の要素の位置は逆にすることもできることに注意されたい。
いかなる好適な保持機構を使用することができる。
【0014】
図1−4は、各可撓性部材10が、1つの保持機構を有する実施形態を示している。
図5は、各可撓性部材10が1より多くの保持機構を有する別の実施形態を示している。
図5は2つの固定部材14を有する可撓性部材10を示している。
第1の固定部材14aは中間部材18の一方の側に配置され、第2の固定部材14bは中間部材18の第2(他)の側に配置されている。
第1、第2の固定部材14a,14bは中間部材18の1つ以上の開口部に受容されている。
【0015】
図8,9は保持機構がラチェットシステム、または、係止爪システムを備える別の実施形態を示している。
このシステムは、突出した係止舌片が可撓性部材10の一方向への動きは可能ならしめるが反対方向への動きは不可能ならしめる結束バンド(cable tie)と似ている。
図示のように、係止爪システムは、可撓性部材10と結合された多数の歯を有するシャフト40を有し、係止爪42が中間部材18に結合されている。
しかしながら、保持機構の要素の位置は逆にすることもできることに注意されたい。
係止爪42は歯と係合し可撓性部材10が第1の方向(下方向)へ移動することを可能ならしめ、第2の(反対の)方向(上方向)へ移動することを防止する。
ある実施形態においては、係止爪42は、使用者により手動で作動可能な解放機構を備え、それは係止爪42と歯の間の係合を解放して、可撓性部材10が第2の方向(上方向)へ移動することを可能ならしめる。
歯は係止爪42と係合し、可撓性部材10が異なる厚さのタイル32を収容するべく複数の係止位置に保持されることを可能ならしめる。
【0016】
図11は中間部材18の開口部16が固定部材14よりも大きくされている実施形態をしめしている。
図示の実施形態においては、開口部16は楕円形とされているが、スロット形、円形を含む他の好適な形状とすることもできる。
大きな開口部16は固定部材14をタイル32の厚さに応じて複数の異なる位置に配置することを可能ならしめる。
換言すれば、厚いタイル32に対しては固定部材14は開口部16のより頂部の方に位置せしめられ、薄いタイル32に対しては固定部材14は開口部16のより底部の方に位置せしめられる。
この特徴は、装置を異なる厚さのタイル32に使用することを可能にしている。
【0017】
図6,7はタイル32と共に使用されている装置を示している。
タイル32を置設する際の典型的な第1のステップは、セメントやモルタルのような下地材料30を基材の表面に塗布することである。
その後、タイル32が下地材料30内に配置される。
これらのステップの間に、底板12がタイル32の下方の下地材料30内に配置され、その結果、中間部材18が隣接するタイル32の間を上方に延伸する。
好ましくは、底板12が複数のタイル32と接するように配置される。
タイル32が底板12の上に置設される際に可撓性部材10はその第1の位置にある。
その後、可撓性部材10は第2の位置に移動せしめられ保持機構により保持される。
第2の位置において、可撓性部材10の第2の端部10bはタイル32の上面を押圧し、タイル32が可撓性部材10の第2の端部10bと底板12の間に挟持されるようになる。
これら2つの要素の間の圧力は複数のタイル32の縁を、最小の段差で、あるいは、段差無しで、同じ平面に整列する。
図2,6に示す実施形態においては、可撓性部材10の第2の端部10bは丸められている。
この丸めは第2の位置に移動の間、第2の端部10bがタイル32の上面を通過するのに伴う第2の端部10bとタイル32の間の抵抗の減少をたすける。
楕円形、円筒形、半円形を含む、あらゆる丸めが抵抗を最小にする。
【0018】
いくつかの実施形態においては、可撓性部材10は、プラスチック複合材料のような、可撓性が小さい、あるいは、バネのような性質を有する、概ね固い材料から成る。
図2に最もよく示されているように、可撓性部材10の一部はカーブしている。
可撓性部材10の可撓性とカーブは、装置を異なる厚さのタイル32と使用することを可能にしている、というのは可撓性部材10は、第2の位置へ移動して保持機構によって保持される際に、厚いタイル32に対して、簡単に曲がり、あるいは、撓む、からである。
可撓性部材10は第1の位置から第2の位置へ移動せしめられて第2の位置に保持される。
正しく機能させるためには、第2の位置において可撓性部材の第2の端部10bがタイル32の上に力を加えることができるように、タイル32は可撓性部材の第2の端部10bと底板12の間の距離D(図2)よりも厚くなくてはならない。
図11,13は、異なる厚さのタイル32を受け入れることができるように、可撓性部材10が図2で示したものよりもさらに撓むことを助勢する曲げ10cを有している実施形態を示している。
ある実施形態においては、中間部材18が部分的に可撓性を有するようにされている。
これは図13に見ることができ、そこでは可撓性部材10が第2の位置にある時に中間部材18の水平部分が、その外側の端部において上方に撓む。
図12は可撓性部材10内に開口部19を有する実施形態を示している。
この開口部19は可撓性部材10が第1の位置から第2の位置に移動するのに応じて中間部材18の一部を受容するようにされている。
これは、それで整列することにより、使用者が保持機構自体を正しい位置に保持することを容易ならしめる。
【0019】
図14,15は底板12がそこから上方に延伸するシャフト15を有し、中間部材18がシャフト15を受容するようにされた開口部を有する別の実施形態を示している。
中間部材18は好適な係止機構によって、シャフト15に沿って上方に移動することが防止されているが、係止機構にはシャフトに沿う第1の方向(底板2に向かう方向)への中間部材18の移動は許容するが、シャフトに沿う第2の方向(逆方向)への中間部材18の移動は防止する係止爪装置(前述の係止爪装置に同じ)が含まれる。
図15に示されているように、一旦、タイル32が正しく配置され、前の実施形態に関して前述したように底板12がタイル32の下方に配置されると、中間部材18はシャフト15をタイル32に向かって下方に移動せしめられる。
そして、可撓性部材10は後退位置(図14)からタイル32に力を与える押圧位置(図15)に移動する。
中間部材18の頂部(ほぼ点10a)とタイル32の頂部の間の距離は、可撓性部材10の長さよりも短い。
これは、押圧位置に向かう際に可撓性部材10が曲がることを誘起し、タイル32に力を与える、というのは、それは自由状態に戻ろうとするからである。
使用者が、可撓性部材10を元に戻す力を与えない限り、可撓性部材10は押圧位置にとどまる。
可撓性部材10はいずれの保持機構からも助勢されること無しに押圧位置にとどまる、というのは、押圧位置においては、可撓性部材10の第2の端部10bは、可撓性部材10の第1の端部10aの下方、あるいは、内部の位置に押されているからである。
可撓性部材10は押圧位置に留置または係止されたままに維持される、というのは、第1の端部10aと第2の端部10bの間の距離は、第1の端部10aとタイル32の間の距離よりも長いからである。
換言すれば、すでに押圧されている可撓性部材10は、押圧位置から後退位置へ移動するためには、さらに押圧される(曲げられる)必要があるということである。
これは、可撓性部材10が、保持機構からの助勢なしに、押圧位置に、係止される、または留置されることを誘起する。
【0020】
図14,15に示され前述された中間部材18がシャフト15に沿ってスライドするようになっている実施形態では、可撓性部材10を下方の位置に保持するために、前述した係止結合手段ではなくて、保持機構(他の実施形態に対して述べたように)を使用することができる。
同様に、中間部材18が(シャフト15を介さず)直接に底板12に結合されており、可撓性部材10を下方位置に保持する保持機構が使用される実施形態では、代わりに、前述の係止結合手段を使用することができる。
【0021】
図1に最も明らかなように、底板12は、好ましくは、1個以上の穴28を備える。
穴28は下地材料が底板12を通って浸出することを可能ならしめている。
この下地材料の浸出は下地材料30が底板12の直接上方のタイル32の一部とのみ接合することを可能にし、それは、逆に下地材料30の大部分とは接合しない。
さらに、この下地材料30の浸出は、タイル32が、レベリング、および、整列の間、底板12、下地材料30、および、または、タイル32に力が付与されるのに際して高さを維持することを助勢する。
もし、下地材料30が底板12を通って浸出することができないと、下地材料30は乾燥するにつれて底板12を上昇せしめ、それは結果的にタイル32のレベリングに影響を及ぼす。
【0022】
下地材料30が乾燥し、タイル32が基板の上に固定されると、使用者はタイル32の上方にあって視認できるこの装置の一部、すなわち、中間部材18、可撓性部材10、シャフト15(一部の実施形態のみ)を除去する。
図1−13に示される実施形態においては、中間部材18は、分離ポイント20を底板12と中間部材18の結合部分の近傍に有する。
図14,15に示される実施形態においては、分離ポイント20は底板12との結合部分に近いシャフト15上にある。
分離ポイント20は構造的に中間部材18(またはシャフト15)の他の部分よりも脆弱化されており、中間部材18(またはシャフト15)が分離ポイント20で破壊されるように、使用者がタイル32の上方で延伸するその部分に力を加えることができる。
ある実施形態においては、分離ポイント20は単一の穴を有し、それが分離ポイント20を構造的に脆弱化し、使用者により適切な力が加えられた時に破壊することを可能ならしめる。
図1,11に示される実施形態においては、分離ポイント20は複数の小さな穴または目打ち線を有し、それが分離ポイント20を構造的に脆弱化し、使用者により適切な力が加えられた時に破壊することが可能である。
図1,2に示される実施形態においては、分離ポイント20は傾斜した部分21を有しており、そこでは中間部材18が両側において内向きに傾斜している。
この外側の傾斜した部分21は、使用者が中間部材18を底板12から分離するのを容易ならしめる。
ある実施形態においては、下地の養生工程が中間部材18(またはシャフト15)から湿気を排出してより脆弱化する。
これは使用者が分離ポイント20で破壊するのを容易ならしめる。
分離ポイント20で分離が行われると底板12はタイル32の下に残存してそれは再利用できない。
中間部材18(またはシャフト15)は好ましくは半剛性を有するナイロンで形成され、それは分離ポイント20での破壊をより容易ならしめる。
【0023】
図10,14は、底板12の少なくとも一部が、可撓性部材10に使用可能な材料と同様な可撓性あるいはバネのような特性を有する材料を備える実施形態を示している。
底板12の可撓性部分50は後退位置と圧迫位置の間を可動である。
底板12の可撓性部分50はその後退位置に付勢されており、そこで可撓性部分50は上方に向かって延伸している。
タイル32の重さ、または使用者により付与された上からの力は、可撓性部分50の圧迫位置への移動を誘起する。
圧迫位置において可撓性部分50はタイル32に後退位置に戻ろうとするような上向きの力を与える。
ある実施形態においては装置が2つのタイル32が集まるところで使用できるように底板12は2つの可撓性部分50を有し、また、ある実施形態においては装置が4つのタイル32が集まるところで使用できるように底板12は4つの可撓性部分50を有している。
図10,14に示されている実施形態においては、可撓性部分50は底板12の中央に近い所から始まり、そこから上側、外側に向かって延伸している。
他の実施形態では可撓性部分50は底板12の外側端部に近いところから始まりそこから、上側、内側に向かって延伸している。
図10に示されているように、底板12の可撓性部分50は先端が細くなるように傾斜が付けられ装置をタイル32の下に容易に挿入できるようにされている。
【0024】
図10,14に示す実施形態の使用においては、可撓性部材10を所定の位置に保持した後に、可撓性部材10はタイル32の上面に向かって下向きの力を加えるが、底板12の可撓性部分50はタイル32の底面に向かって上向きの力を加える。
逆向きの力が作用することでタイル32がしっかりと可撓性部材10と底板12の間に挟持され一様な面の確保を助勢する。
【0025】
図10,14に示す実施形態は、隣接するタイル32が異なる厚さを有する場合にも役立つ。
底板12の可撓性部分50は、厚い(重い)タイル32の場合には押圧されるが、薄い(軽い)タイル32の場合には底板12の可撓性あるいはバネのような特性が底板12を後退位置に維持し、2つのタイル32を同じ高さに保持する。
このように、整列およびレベリングする装置はタイル32の下に置かれた後は自己調整する。
【0026】
現在の、レベリング装置の多くは、工具を必要とし、工具のあるものは非常に高価である。本発明の装置の特徴の1つは、可撓性部材10は使用者の手のみでタイル32に対して力をかけるように作ることができるので、工具を全く必要としないことである。導入に工具を必要としないということが、本装置を、DIY市場において、より手頃なものとしている。
【0027】
以上、実施形態と関連付けて本発明を説明してきたことにより、当業者には、ここで述べた実施形態に対して、発明の精神と範囲を逸脱しない範囲で、多くの改変ができるということが明らかであろう。発明者の発明であるが、当業者に明らかな改良、改変は、添付の特許請求の範囲に含まれるであろう。
【符号の説明】
【0028】
10 可撓性部材
10a 第1の端部
10b 第2の端部
12 底板
14 固定部材
15 シャフト
16 開口部
18 中間部材
20 分離ポイント
28 穴
32 タイル
42 係止爪
50 可撓性部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15