(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162796
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】内燃機関の燃料供給装置及び燃料フィルタの取付方法
(51)【国際特許分類】
B60K 15/077 20060101AFI20170703BHJP
B60K 15/03 20060101ALI20170703BHJP
F02M 37/22 20060101ALI20170703BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
B60K15/077 D
B60K15/03 D
F02M37/22 B
F02M37/22 G
F02M37/22 H
F02M37/00 301D
F02M37/00 301J
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-513419(P2015-513419)
(86)(22)【出願日】2013年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2013062115
(87)【国際公開番号】WO2014174619
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】小川 義章
【審査官】
結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭56−035378(JP,Y2)
【文献】
国際公開第2008/105722(WO,A1)
【文献】
特開2004−074991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/077
B60K 15/063
B60K 15/03
F02M 37/00
F02M 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドフレームの車幅外方に取り付けられる燃料タンクと、
前記燃料タンクに貯蔵された燃料を内燃機関へと供給する燃料供給路に配設された、ドレーンコック及び視認部付きの燃料フィルタと、
を有し、
前記燃料フィルタは、前記燃料タンクの上下を貫通し、かつ、前記ドレーンコック及び視認部が前記燃料タンクの下面から下方に突出するように、前記燃料タンクを上下に貫通する筒部材内に取り付けられる、
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【請求項2】
前記燃料フィルタは、前記燃料タンクの車幅外方寄りの部位に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
【請求項3】
前記内燃機関は、ディーゼルエンジンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
【請求項4】
サイドフレームの車幅外方に取り付けられた燃料タンクに貯蔵された燃料を内燃機関へと供給する燃料供給路に配設された、ドレーンコック及び視認部付きの燃料フィルタを、前記燃料タンクの上下を貫通し、かつ、前記ドレーンコック及び視認部が前記燃料タンクの下面から下方に突出するように、前記燃料タンクを上下に貫通する筒部材内に取り付ける、
ことを特徴とする燃料フィルタの取付方法。
【請求項5】
前記燃料フィルタを、前記燃料タンクの車幅外方寄りの部位に取り付ける、
ことを特徴とする請求項4に記載の燃料フィルタの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃料供給装置及び燃料フィルタの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料供給装置では、燃料タンクに貯蔵された燃料を内燃機関へと供給する燃料供給路に、燃料に混入した異物を取り除く燃料フィルタが配設されている。ディーゼルエンジンでは、燃料噴射装置などの保護のために、燃料から水分を分離する機能を備えた燃料フィルタが利用されている。トラックなどの大型車両では、日常点検において、燃料フィルタで分離された水分の量(水分量)を目視確認し、燃料フィルタの下部に設置されているドレーンコックを適宜操作して水分を排出させる必要がある。このため、特開2007−261349号公報(特許文献1)に記載されるように、車両前後方向に延びるサイドフレームの車幅外方に燃料フィルタが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−261349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サイドフレームの車幅外方に燃料フィルタを取り付けると、燃料フィルタを目視確認する必要があることから、燃料フィルタの外方に補機類などを配置することができなくなってしまう。このため、燃料フィルタの車幅外方にデッドスペースが生じ、車両スペースの有効利用を図ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、車両スペースの有効利用を促進した、内燃機関の燃料供給装置及び燃料フィルタの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
内燃機関の燃料供給装置は、サイドフレームの車幅外方に取り付けられる燃料タンクと、燃料タンクに貯蔵された燃料を内燃機関へと供給する燃料供給路に配設された、ドレーンコック及び視認部付きの燃料フィルタと、を有する。そして、燃料フィルタは、燃料タンクの上下を貫通
し、かつ、ドレーンコック及び視認部が燃料タンクの下面から下方に突出するように、燃料タンクを上下に貫通する筒部材内に取り付けられる。
また、燃料フィルタの取付方法は、サイドフレームの車幅外方に取り付けられた燃料タンクに貯蔵された燃料を内燃機関へと供給する燃料供給路に配設された、ドレーンコック及び視認部付きの燃料フィルタを、燃料タンク
の上下
を貫通
し、かつ、ドレーンコック及び視認部が燃料タンクの下面から下方に突出するように、燃料タンクを上下に貫通する筒部材内に取り付ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料タンクと燃料フィルタとが一体化されるので、車両スペースの有効利用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】コモンレールシステムの一例を示す概要図である。
【
図2】燃料タンク及び燃料フィルタの取付方法の一例を示す平面図である。
【
図3】燃料タンク及び燃料フィルタの取付方法の一例を示す側面図である。
【
図6】燃料タンクに燃料フィルタを取り付ける構造の一例を示す平面図である。
【
図7】燃料タンクに燃料フィルタを取り付ける構造の一例を示す側面図である。
【
図8】燃料タンクに燃料フィルタを取り付ける構造の他の例を示す平面図である。
【
図9】燃料タンクに燃料フィルタを取り付ける構造の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、本実施形態に係る燃料供給装置を備えた、ディーゼルエンジン(内燃機関)のコモンレールシステムの一例を示す。
【0010】
燃料タンク100に貯蔵される燃料(軽油)は、燃料から異物を取り除くと共に燃料から水分を分離する燃料フィルタ110が配設された低圧燃料配管120を介して、ディーゼルエンジンENGにより駆動されるサプライポンプ130に供給される。サプライポンプ130に供給された燃料は、サプライポンプ130によって規定圧力まで昇圧され、高圧燃料配管140を介してコモンレール150に供給される。また、サプライポンプ130において何らかの理由で規定圧力以上まで昇圧した燃料は、内蔵されたリリーフバルブが開弁することで、燃料フィルタ110が配設された燃料戻し配管160を介して燃料タンク100へと戻される。なお、低圧燃料配管120及び燃料戻し配管160としては、燃料圧力が比較的低いことから、例えば、配索が容易なゴムホースを使用することができる。
【0011】
ここで、燃料フィルタ110は、燃料から分離した水分を排出するドレーンコック、及び、燃料から分離した水分量を視認可能な視認部を有している。また、サプライポンプ130には燃料フィルタ110により異物,水分などが取り除かれた燃料が供給されているので、燃料戻し配管160には、必ずしも、燃料フィルタ110が配設されていなくてもよい。さらに、燃料フィルタ110は、高圧燃料配管140に配設されていてもよいが、サプライポンプ130に異物が入り込まないようにすべく、低圧燃料配管120に配設されることが好ましい。なお、低圧燃料配管120及び高圧燃料配管140が、燃料タンク100に貯蔵された燃料をディーゼルエンジンENGへと供給する、燃料供給路の一例として挙げられる。
【0012】
コモンレール150に供給された燃料は、例えば、4気筒のディーゼルエンジンENGの場合、各気筒のシリンダヘッドに取り付けられたインジェクタ170へと分流され、ディーゼルエンジンENGの運転状態に応じた燃料噴射量及び燃料噴射タイミングで燃焼室内へと噴射される。また、インジェクタ170から噴射されなかった燃料は、燃料戻し配管160を介して燃料タンク100へと戻される。
【0013】
コモンレール150には、ここに蓄圧される燃料の圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ180が取り付けられ、その出力信号がコンピュータを内蔵したコントロールユニット190へと入力される。コントロールユニット190は、燃圧センサ180により検出された燃圧が規定圧力になるように、サプライポンプ130に内蔵された流量制御弁を電子制御する。また、コモンレール150には、燃圧が許容上限値に達すると開弁するリリーフバルブ200が取り付けられ、リリーフバルブ200から流出した燃料は、燃料戻し配管160を介して燃料タンク100へと戻される。さらに、コントロールユニット190は、ディーゼルエンジンENGの運転状態に応じた燃料噴射量及び燃料噴射タイミングを決定し、所定タイミングでインジェクタ170に対して作動信号を出力する。
【0014】
図2及び
図3は、燃料タンク100及び燃料フィルタ110の取付方法の一例を示す。
車両前後方向に延びるサイドフレーム(サイドレール)210の車幅外方に位置する外側面には、略L字形状をなす一対のブラケット220が、例えば、ボルト及びワッシャを含む締結部材230によって固定されている。ここで、締結部材230としては、リベットなどを用いることもできる。ブラケット220は、横断面が略ハット形状をなし、材軸が上下方向に延びる第1の部材222と、第1の部材222の下端から材軸が車幅外方に向かって延びる第2の部材224と、を有する。
【0015】
第1の部材222の上端部には、燃料タンク100の上面及び一側面に倣った、略L字形状をなすストラップ240の一端が回動可能、即ち、ストラップ240が開閉可能に固定されている。また、第2の部材224の車幅外方に位置する部分には、ストラップ240の他端に固着されたボルト242が挿通する挿通孔(図示せず)が開設されている。
【0016】
そして、ブラケット220の第2の部材224の上面に、略直方体形状をなす燃料タンク100が載置され、ストラップ240を閉じることで、ブラケット220に対して燃料タンク100が固定される。要するに、燃料タンク100は、ブラケット220を介して、サイドフレーム210の車幅外方に取り付けられる。なお、燃料タンク100は、燃料補充の便宜のために、燃料補充口102が車幅外方に向くように取り付けられる。
【0017】
このとき、ストラップ240の他端に固着されたボルト242は、第2の部材224に開設された挿通孔に挿通され、例えば、ナット及びワッシャを含む締結部材244が、ボルト242の雄螺子部に螺合される。このため、ブラケット220に対する燃料タンク100の固定を確実ならしめることができる。
【0018】
燃料タンク100の車幅外方寄りの部位には、燃料フィルタ110が、燃料タンク100の上下を貫通した状態で取り付けられている。燃料タンク100に対する燃料フィルタ110の固定は、例えば、燃料タンク100の上面に取り付けた小さなブラケットにボルトを螺合するなど、公知の手段によって行えばよい。
【0019】
燃料フィルタ110は、
図4及び
図5に示すように、2系統の入口及び出口が形成されたアッパカバー112と、アッパカバー112の下面に着脱可能に取り付けられたフィルタエレメント114と、アッパカバー112に着脱可能に取り付けられたフィルタボディ116と、を有する。フィルタボディ116は、透明又は半透明(有色又は無色のどちらでもよい)の略有底円筒部材からなり、フィルタエレメント114を内部空間に収容しつつアッパカバー112に着脱可能に固定される。従って、フィルタボディ116の下部が、燃料から分離した水分量を目視確認する視認部として機能する。
【0020】
また、フィルタボディ116の下部には、燃料から分離した水分を排出するドレーンコック118が取り付けられている。従って、ドレーンコック118を操作することで、フィルタボディ116の下部に溜まった水分を外部に排出させることができる。
【0021】
燃料フィルタ110のアッパカバー112に形成された2系統の入口及び出口は、燃料タンク100の上面から上方に突出し、燃料フィルタ110のフィルタボディ116の下部及びドレーンコック118は、燃料タンク100の下面から下方に突出する。このため、フィルタボディ116は、燃料タンク100の上下方向の高さに応じた長さを有し、ここに収納されるフィルタエレメント114もフィルタボディ116に応じた長さを有している。従って、フィルタエレメント114の全長が長くなり、燃料の濾過面積が増加することから、燃料から異物を取り除くフィルタエレメント114の交換間隔を長くすることができる。
【0022】
なお、燃料フィルタ110は、
図4及び
図5に示す構成のものに限らず、燃料から分離した水分量を目視確認する視認部及び水分を排出するドレーンコック118を有していれば、どのような構成をなしていてもよい。また、
図3において符号104で示すものは、燃料タンク100の下面に着脱可能に取り付けられたドレーンボルトである。
【0023】
燃料タンク100に燃料フィルタ110を取り付けるために、燃料タンク100には、
図6及び
図7に示すように、天板と底板との間を上下に貫通する、例えば、略円筒形状をなす筒部材106が取り付けられる。即ち、燃料タンク100の天板及び底板に、例えば、略円形をなす開口が開設され、2つの開口を連通するように筒部材106が溶接などによって固定される。ここでは、燃料タンク100の液密性を確保するため、筒部材106の両端部は、全周溶接などにより燃料タンク100に固定される。
【0024】
なお、筒部材106は、円筒形状に限らず、燃料フィルタ110の外形に倣った、例えば、横断面が楕円形,四角形を含む多角形など各種形状を有していてもよい。また、燃料タンク100の筒部材106と燃料フィルタ110とが直接接触しないようにすべく、両者の間に、例えば、ラバーなどの弾性部材を介在するようにしてもよい。
【0025】
かかるコモンレールシステムによれば、燃料フィルタ110が燃料タンク100と一体化されているため、従来技術において、サイドフレーム210の車幅外方に燃料フィルタ110が取り付けられていたスペースが不要となる。このため、サイドフレーム210の車幅外方において空いたスペースに、例えば、工具箱などの補機類を設置することが可能となり、車両スペースの有効利用を促進することができる。また、燃料タンク100と燃料フィルタ110とを連通接続するホースなどの配管が短くなり、例えば、クリップなどの部品点数を減らすことができる。
【0026】
ここで、燃料フィルタ110のフィルタボディ116の下部及びドレーンコック118は、燃料タンク100の下面から下方に突出しているため、作業者などは、車幅外方から燃料フィルタ110の状態を容易に目視確認できると共に、ドレーンコック118を適宜操作して水分を排出させることができる。特に、燃料フィルタ110が燃料タンク100の車幅外方寄りに取り付けられているため、燃料フィルタ110の状態視認及び水分排出が容易となる。
【0027】
また、燃料フィルタ110は筒部材106の内部に取り付けられているため、燃料タンク100に対して燃料フィルタ110を取り付けても、燃料タンク100の液密性を損なうことがない。さらに、サイドフレーム210に燃料フィルタ110を取り付けるためのブラケットが不要となり、軽量化も促進することができる。
【0028】
燃料タンク100に燃料フィルタ110を取り付けるために、
図8及び
図9に示すように、燃料タンク100の車幅外方に位置する側面を内方に凹ませた凹部108を形成し、この凹部108に燃料フィルタ110を取り付けるようにしてもよい。この場合には、燃料タンク100の側板,天板及び底板を適宜切り取り、ここに横断面が略半円形をなす部材を溶接などで固着すればよい。なお、凹部108は、略半円形の部分を有する形状に限らず、燃料フィルタ110に倣った形状をなしていてもよい。
【0029】
本実施形態に係る燃料供給装置は、コモンレールシステムに限らず、サイドフレーム210の車幅外方に燃料タンク100が取り付けられる車両に適用可能である。また、本実施形態に係る燃料供給装置はディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンを搭載する車両、ハイブリッド車両などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 燃料タンク
106 筒部材
108 凹部
110 燃料フィルタ
116 フィルタボディ
118 ドレーンコック
120 低圧燃料配管
140 高圧燃料配管
210 サイドフレーム
ENG ディーゼルエンジン