(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るカテーテ
ルについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るカテーテル10Aの構成を示す一部省略側面図である。カテーテル10Aは、血管内や体腔内に挿入し、例えば、治療用の薬剤注入や診断用の造影剤注入を行うため、あるいは治療デバイス(バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、ステント等)を血管内の目的位置まで案内するために使用される。従って、カテーテル10Aは、例えば、診断用カテーテル、ガイディングカテーテル等として構成され得る。またカテーテル10Aは、例えば、脳内治療用、心臓治療用、末梢血管治療用として構成され得る。
【0024】
図1に示すように、カテーテル10Aは、細径で長尺なシャフト12と、シャフト12の先端に設けられたソフトチップ14と、シャフト12の基端に接続されたハブ16と、シャフト12のハブ16への接続部に設けられたストレインリリーフ18とを備える。なお、以下の説明において、シャフト12に関し、ハブ16側を基端側とも呼び、ハブ16が接続された側とは反対側を先端側とも呼び、他の各図においても同様とする。
【0025】
シャフト12は、血管等の生体管腔内に挿入されるカテーテル本体を構成するものであって、先端から基端まで連通する内腔13(
図3も参照)が形成された可撓性を有する長尺で細径のチューブ状部材である。シャフト12の長さは、500mm〜2000mm程度、好ましくは、1000mm〜1500mm程度である。
図1において、シャフトは直線状に形成されているが、シャフトの先端部は、予め湾曲又は屈曲した特定の形状(例えば、ジャドキンス形状)が付けられていてもよい。なお、シャフト12の構造の詳細については後述する。
【0026】
図2は、カテーテル10Aの先端部の斜視図である。
図2に示すように、ソフトチップ14は、シャフト12の先端に接続された中空状(図例では中空円筒状)の部材である。ソフトチップ14は、柔軟性に富む材料で構成されており、その先端が好ましくは丸みを帯びた形状をなしている。ソフトチップ14の長さは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜10mm程度、好ましくは0.5mm〜2mm程度に設定される。ソフトチップ14が設けられることにより、湾曲、屈曲、分岐した血管内でも、円滑且つ安全にカテーテル10Aを走行させることができる。
【0027】
ソフトチップ14の構成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0028】
図1に示すように、ハブ16は、その先端にてシャフト12の基端を保持するものであり、基端にはシリンジ等の他の器具が接続可能となっている。ハブ16は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の硬質の樹脂等により構成され得る。
【0029】
ストレインリリーフ18は、シャフト12のハブ16への接続部での屈曲(キンク)を防止するためのものであり、例えば先細りのチューブ状に形成された適度の可撓性及び剛性を有する樹脂製の部材である。ストレインリリーフ18は、シャフト12の構成材料と同様の材料で構成され得る。
【0030】
図3は、カテーテル10Aの先端部の縦断面図である。
図3に示すように、シャフト12は、内腔13が形成された内層20と、内層20の半径方向外側に形成された外層22とを有する。内層20は、長尺管状体である。内層20は、その全長に亘って、同一材料で継ぎ目なく連続的に形成されてもよく、あるいは、硬度が異なる複数の領域が軸方向に連結されて形成されたものであってもよい。
【0031】
内層20は、例えば、適度な柔軟性を有する合成樹脂により構成され得る。内層20は、低摩擦材料により構成されてもよい。そのような低摩擦材料としては、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエステルポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0032】
外層22は長尺管状体である。外層22は、その全長に亘って、同一材料で継ぎ目なく連続的に形成されてもよく、あるいは、硬度が異なる複数の領域が軸方向に連結されて形成されたものであってもよい。硬度が異なる複数の領域は、先端方向に向かうに従って硬度が低下する(柔軟性が増す)ように配置されてもよい。
【0033】
外層22は、適度な柔軟性を有する合成樹脂により構成され得る。外層22の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素系樹脂等の高分子材料あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
内層20及び外層22は、他の材料により構成されてもよい。自然状態(外力が付加されていない状態)での内層20及び外層22の断面形状は、略円形である。
【0035】
シャフト12の内径(内層20の内径)は、シャフト12の全長に亘って一定でもよく、途中で変化してもよい。シャフト12の内径は、先端方向に向かって小さくなってもよい。シャフト12の内径は、例えば、0.2mm〜10mm程度に設定され、好ましくは、0.5mm〜2.8mm程度に設定される。
【0036】
シャフト12の外径(外層22の外径)は、シャフト12の全長に亘って一定でもよく、途中で変化してもよい。シャフト12の外径は、先端方向に向かって小さくなってもよい。シャフト12の外径は、例えば、1mm〜10mm程度に設定され、好ましくは、1mm〜3mm程度に設定される。
【0037】
カテーテル10Aにおいて、内層20の先端部20aの少なくとも一部は、ソフトチップ14の内側に存在する。具体的には、
図2及び
図3に示すように、内層20は、外層22よりも先端側に突出する。内層20の先端部20aは、ソフトチップ14と外層22との境界部23を超えて、ソフトチップ14の内側まで延出する。内層20の先端部20aの最先端位置は、ソフトチップ14の軸方向の途中まで達しており、ソフトチップ14の先端面には達していない。内層20は、ソフトチップ14の先端まで達している部分を有していてもよい。内層20の先端部20aの径方向の厚さは、軸方向に一定である。ソフトチップ14及び内層20の各内径は、軸方向に一定である。
【0038】
内層20の先端部20aは、周方向の各位置での最先端部の軸方向位置が、周方向の少なくとも一部において異なる。本実施形態において、内層20の先端部20aには、先端方向に突出する突出部24が周方向に間隔をおいて複数設けられる。
図2及び
図3において、複数の突出部24は、ソフトチップ14の軸方向に沿って幅が一定である。従って、複数の突出部24は、互いに平行に延在する。各突出部24は、当該突出部24の全長に亘って、ソフトチップ14の軸方向に沿って幅が一定である形状に限らず、当該軸方向に沿って幅が一定である部分を少なくとも有していればよい。
【0039】
複数の突出部24は、相対的に長い突出部24aと、相対的に短い突出部24bとを有する。相対的に長い突出部24aと、相対的に短い突出部24bとは、周方向に交互に配置されている。突出部24の長さは、2パターンに限らず、3パターン以上の異なる長さの突出部24が設けられてもよい。あるいは、複数の突出部24の長さは、すべて同じでもよい。
【0040】
変形例として、相対的に長い突出部24a同士が周方向に間隔をおいて隣接して配置されてもよい。あるいは相対的に短い突出部24b同士が周方向に間隔をおいて隣接して配置されてもよい。他の変形例として、複数の突出部24のうち、一部の突出部24が、他の突出部24に対して傾斜して、すなわち他の突出部24に対して非平行に延在してもよい。
【0041】
複数の突出部24は、少なくとも一部において周方向の間隔が異なってもよい。従って、
図2及び
図3において、複数の突出部24の周方向の各間隔はすべて同じであるが、部分的に間隔が異なってもよい。
【0042】
内層20の最先端位置(本実施形態では、相対的に長い突出部24aの最先端位置)からソフトチップ14の基端面14aまでの軸方向距離は、ソフトチップ14の全長の例えば5〜90%の長さに設定され、好ましくは20〜50%の長さに設定される。
【0043】
図3において突出部24の根元25(突出部24の最基端部)の軸方向位置は、ソフトチップ14の基端面14a(ソフトチップ14と外層22との境界部23)と略一致する。なお、
図4に示すように、突出部24の根元25(突出部24の最基端部)は、外層22の内側に配置されてもよい。すなわち、突出部24は、外層22の内側の位置から延出し、ソフトチップ14と外層22との境界部23を超えて、ソフトチップ14の内側まで達してもよい。先端部20aは、周方向に隣接する突出部24の間に軸方向に垂直な端面24c(
図2参照)を有する。軸方向に垂直な端面24cは、ソフトチップ14と外層22との境界部23に沿って周方向に延在する部分を有する。
【0044】
図3のように、内層20の先端部20aは、内層20の先端部20aよりも基端側の部分(以下、「長尺管状内層21」という)に一体形成されてよい。あるいは、内層20の先端部20aは、長尺管状内層21とは別部材として構成され、
図3において仮想線で示す接合部26で、長尺管状内層21に接合されてもよい。この場合、接合部26は、外層22の内側(ソフトチップ14と外層22との境界部23よりも基端側)に配置されてもよく、ソフトチップ14と外層22との境界部23の内側に配置されてもよく、ソフトチップ14の内側(ソフトチップ14と外層22との境界部23よりも先端側)に配置されてもよい。
【0045】
本発明の一例として、次の構成が挙げられる。ソフトチップ14と外層22との境界部23(接合面)のすべては、周方向のみに形成され軸方向には形成されない。すなわち、当該境界部23のすべては、カテーテル10Aの軸方向に対して垂直な平面上にのみ形成される。ソフトチップ14と外層22とは、軸方向に重なることなく、端面同士で接合されている。従って、ソフトチップ14の径方向内側に外層22は存在しない。また、外層22は、カテーテル10Aの最先端に存在しない。カテーテル10Aの最先端には、ソフトチップ14が存在し、外層22の最先端はソフトチップ14の最先端よりも基端側に位置する。
【0046】
図5は、
図3におけるV−V線に沿った横断面図である。
図5に示すように、内層20の先端部20aを含む横断面において、周方向に沿って、内層20が存在する内層存在領域30と内層20が存在しない内層非存在領域32とが形成される。本実施形態では、突出部24によって内層存在領域30が形成され、周方向に隣接する突出部24の間に存在するソフトチップ14が内層非存在領域32に配置される。また本実施形態では、複数の突出部24が設けられるため、複数の内層存在領域30と、複数の内層非存在領域32とが形成される。
図5において、カテーテル10Aの内径と外径は、周方向に各々一定である。なお、周方向に隣接する突出部24の間には、ソフトチップ14が存在しなくてもよい。
【0047】
図5において、突出部24によって形成される内層存在領域30と、ソフトチップ14とは径方向に直接接触している。すなわち、径方向において内層存在領域30とソフトチップ14との間には、外層22が存在しない。この構成により、ソフトチップ14と、突出部24によって形成される内層存在領域30との接合部分、及び、ソフトチップ14と外層22との接合部分(境界部23)だけで、シャフト12とソフトチップ14の接合強度が得られる。従って、簡単な接合で、シャフト12とソフトチップ14との接続領域における軸方向に沿った柔軟性を調節することができる。
【0048】
ソフトチップ14の内腔13側の面は、内層20と接して内層存在領域30を形成するか、内腔13に露出して内層非存在領域32を形成する。ソフトチップ14のうち、内層存在領域30の周方向に隣接する内層非存在領域32を形成する部分は、内腔13に直接露出している。ソフトチップ14及び外層22のうち、周方向に沿って内層存在領域30と内層非存在領域32とが形成された部分の径方向外側に存在するソフトチップ14及び外層22の径方向の各厚さは、軸方向に一定である。内層存在領域30の径方向外側と、ソフトチップ14の径方向内側とは直接接触しており、内層存在領域30の径方向外側とソフトチップ14の径方向内側との間には外層22は存在しない。
【0049】
カテーテル10Aの体内への挿入は、X線透視下でその位置を確認しつつ行われるため、シャフト12(内層20、外層22の一方又は両方)の構成材料中には、X線(放射線)不透過材料が配合されてもよい。X線不透過材料としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン等が挙げられる。上述したソフトチップ14を構成する材料中に、X線不透過材料が配合されてもよい。なお、X不透過材料により構成され又はX線不透過材料を含むマーカが、シャフト12の先端部に設けられてもよい。
【0050】
図3に示すように、本実施形態では、シャフト12はさらに、内層20と外層22との間に補強層27を有する。補強層27は、シャフト12を補強する単数又は複数の補強線29(線状体)で構成された補強材28を有している。補強材28としては、例えば、補強線29を螺旋状や網状にしたものが挙げられる。具体的には、シャフト12の径方向の肉厚が薄くなるように、ステンレス鋼の線を平板状(帯状)に潰し加工し、それを螺旋状にしたものや、編んだもの(編組体)等が挙げられる。補強線29の構成材料としては、金属、ポリマー、金属とポリマーの複合体、金属合金(例えば、ステンレス)又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
このような補強層27を有することにより、シャフト12の壁厚を増大することなく、すなわち内腔13の直径を比較的大きくとりつつ、十分な剛性と強度を確保することができる。その結果、押込み特性及びトルク伝達性に優れ、キンクや潰れが生じ難いカテーテル10Aが得られる。
【0052】
生体の血管内又は体腔内でカテーテル10Aを走行させるためのカテーテル使用方法は、上記のように構成されたカテーテル10Aを提供する提供ステップと、カテーテル10Aを血管内又は体腔内に挿入し走行させる走行ステップとを含む。走行ステップでは、カテーテル10Aのうち体外から露出した部分を把持して、当該部分を操作する(押し込む又は回転させる)ことで、カテーテル10Aの先端部を血管内又は体腔内の目的位置まで到達させる。また、走行ステップでは、ガイドワイヤを先行させて、ガイドワイヤに沿わせてカテーテル10Aを走行させる。走行ステップの後、例えば、治療用の薬剤注入や診断用の造影剤注入を行い、あるいは、カテーテル10A内に治療デバイス(バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、ステント等)を挿入し、当該治療デバイスを治療部位まで案内する。なお、後述するカテーテル10B〜10Dについても、カテーテル10Aと同様に使用することができる。
【0053】
本実施形態に係るカテーテル10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0054】
カテーテル10Aによれば、内層20の先端部20aを含む横断面において、内層存在領域30と内層非存在領域32とが形成されるため、シャフト12とソフトチップ14との接続領域において軸方向に沿った柔軟性の変化を滑らかにすることができる。これにより、血管内でカテーテル10Aを進める際に、ソフトチップ14が軸方向に変形する(潰れる)ことを防止又は抑制することができる。すなわち、本実施形態と異なり、ソフトチップと内層との境界が、周方向の全周で同一軸方向位置であるカテーテルの場合、軸方向における柔軟性の変化が大きいため、血管内で当該カテーテルを進める際に、ソフトチップが軸方向に潰れる。
【0055】
また、ソフトチップと内層との境界が、周方向の全周で同一軸方向位置であるカテーテルと比較して、本実施形態に係るカテーテル10Aでは、ソフトチップ14と内層20との結合面の面積を大きくとることができるため、結合強度を高めることができる。
【0056】
本実施形態の場合、内層存在領域30と内層非存在領域32は、それぞれ複数形成される。この構成によれば、シャフト12とソフトチップ14との接続領域において軸方向に沿った柔軟性の変化を一層滑らかにすることができる。また、ソフトチップ14と内層20との結合面の面積をより多くすることができ、結合強度を一層高めることができる。
【0057】
本実施形態の場合、内層20の先端部20aには、先端方向に突出する突出部24が周方向に複数設けられるため、ソフトチップ14の内側に複数の内層存在領域30と内層非存在領域32とを容易に形成することができる。
【0058】
本実施形態の場合、複数の突出部24は、ソフトチップ14の軸線に沿って柱状に延在するため、ソフトチップ14と内層20との結合面の面積をより多くすることができ、結合強度を一層高めることができる。
【0059】
本実施形態の場合、複数の突出部24は、少なくとも一部において突出長さが異なるため、シャフト12とソフトチップ14との接続領域において軸方向に沿った柔軟性の変化を一層滑らかにすることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るカテーテル10Bについて説明する。
図6Aは、本発明の第2実施形態に係るカテーテル10Bの先端部の斜視図である。
図6Bは、カテーテル10Bの先端部の縦断面図である。なお、第2実施形態に係るカテーテル10Bにおいて、第1実施形態に係るカテーテル10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0061】
カテーテル10Bにおいて、ソフトチップ14の内側には内層20の先端部20bの一部が存在する。内層20の先端部20bには、先端方向に突出する突出部34が周方向に複数設けられる。具体的には、各突出部34は、先端方向に向かって幅(周方向寸法)が減少する。すなわち、各突出部34は、略三角形状である。各突出部34は、当該突出部34の全長に亘って、先端方向に向かって幅が減少する形状に限らず、当該幅が減少する部分を少なくとも有していればよい。略三角形状の複数の突出部34が周方向に並べて配置されることにより、内層20の先端形状は、周方向にジグザグ状となっている。本図示例では、複数の突出部34の各突出長さは、すべて同じであるが、複数の突出部34のうち、一部の突出部34は、突出長さが異なってもよい。各突出部34の厚み(ソフトチップ14の径方向に沿った寸法)は、軸方向に一定でもよく変化してもよい。従って、少なくとも1つ又は複数の突出部34は、先端方向に向かって厚みが減少する形状、例えば、三角錐、円錐等であってもよい。
【0062】
本図示例では、各突出部34の頂部35の周方向の各間隔は、すべて同じであるが、一部の間隔は、他の部分の間隔と異なってもよい。内層20の最先端位置(本実施形態では、突出部34の頂部35の位置)からソフトチップ14の基端面14aまでの軸方向距離は、ソフトチップ14の全長の例えば5〜90%の長さに設定され、好ましくは10〜70%の長さに設定される。
【0063】
図6Bにおいて突出部34の根元34a(突出部34の最基端部)の軸方向位置は、ソフトチップ14の基端面14a(ソフトチップ14と外層22との境界部23)と略一致する。なお、
図6Bにおいて仮想線で示すように、突出部34の根元34a(突出部34の最基端部)は、外層22の内側に配置されてもよい。すなわち、突出部34は、外層22の内側の位置から延出し、ソフトチップ14と外層22との境界部23を超えて、ソフトチップ14の内側まで達してもよい。
【0064】
図7に示すように、内層20の先端部20bを含む横断面において、周方向に沿って内層20が存在する内層存在領域36と内層20が存在しない内層非存在領域38とが形成される。本実施形態では、突出部34によって内層存在領域36が形成され、周方向に隣接する突出部34の間に存在するソフトチップ14が内層非存在領域38に配置される。また本実施形態では、複数の突出部34が設けられるため、複数の内層存在領域36と、複数の内層非存在領域38とが形成される。なお、周方向に隣接する突出部34の間には、ソフトチップ14が存在しなくてもよい。
【0065】
図7において、突出部34によって形成される内層存在領域36と、ソフトチップ14とは径方向に直接接触している。すなわち、径方向において内層存在領域36とソフトチップ14との間には、外層22が存在しない。
【0066】
ソフトチップ14の内腔13側の面は、内層20と接して内層存在領域36を形成するか、内腔13に露出して内層非存在領域38を形成する。ソフトチップ14のうち、内層存在領域36の周方向に隣接する内層非存在領域38を形成する部分は、内腔13に直接露出している。ソフトチップ14及び外層22のうち、周方向に沿って内層存在領域36と内層非存在領域38とが形成された部分の径方向外側に存在するソフトチップ14及び外層22の径方向の各厚さは、軸方向に一定である。
【0067】
なお、
図6Bの仮想線で示すように、突出部34の根元34aが、外層22の内側に配置される場合、内層非存在領域38の一部が外層22の内側に形成される。
【0068】
第2実施形態に係るカテーテル10Bによれば、内層20の先端部20bを含む横断面において、内層存在領域36と内層非存在領域38とが形成されるため、シャフト12とソフトチップ14との接続領域において軸方向に沿った柔軟性の変化を滑らかにすることができる。従って、第1実施形態と同様に、血管内でカテーテル10Bを進める際に、ソフトチップ14が軸方向に変形する(潰れる)ことを防止又は抑制することができる。また、ソフトチップ14と内層20との結合面の面積を大きくとることができるため、結合強度を高めることができる。その他、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るカテーテル10Cについて説明する。
図8Aは、本発明の第3実施形態に係るカテーテル10Cの先端部の縦断面図である。
図8Bは、
図8AにおけるVIIIB−VIIIB線に沿った横端面図である。なお、第3実施形態に係るカテーテル10Cにおいて、第1実施形態に係るカテーテル10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0070】
カテーテル10Cにおいて、ソフトチップ14の内側には内層20の先端部20cの一部が存在する。内層20の先端部20cには、先端方向に突出する突出部40が周方向に複数設けられる。具体的には、複数の突出部40は、ソフトチップ14の軸方向に対して傾斜する方向に延在する。本図示例では、複数の突出部40の各突出長さは、すべて同じであるが、複数の突出部40のうち、少なくとも一部の突出部40は、突出長さが異なってもよい。
【0071】
本図示例では、各突出部40の頂部41の周方向の各間隔は、すべて同じであるが、一部の間隔は、他の部分の間隔と異なってもよい。内層20の最先端位置(本実施形態では、突出部40の頂部41の位置)からソフトチップ14の基端面14aまでの軸方向距離は、ソフトチップ14の全長の例えば5〜95%の長さに設定され、好ましくは10〜90%の長さに設定される。
【0072】
図8Aにおいて突出部40の根元40a(突出部40の最基端部)の軸方向位置は、ソフトチップ14の基端面14a(ソフトチップ14と外層22との境界部23)と略一致する。なお、
図8Aにおいて仮想線で示すように、突出部40の根元40a(突出部40の最基端部)は、外層22の内側に配置されてもよい。すなわち、突出部40は、外層22の内側の位置から延出し、ソフトチップ14と外層22との境界部23を超えて、ソフトチップ14の内側まで達してもよい。
【0073】
図8Bに示すように、内層20の先端部20cを含む横断面において、周方向に沿って内層20が存在する内層存在領域42と内層20が存在しない内層非存在領域44とが形成される。本実施形態では、突出部40によって内層存在領域42が形成され、周方向に隣接する突出部40の間に存在するソフトチップ14が内層非存在領域44に配置される。また本実施形態では、複数の突出部40が設けられるため、複数の内層存在領域42と、複数の内層非存在領域44とが形成される。なお、周方向に隣接する突出部40の間には、ソフトチップ14が存在しなくてもよい。
【0074】
図8Bにおいて、突出部40によって形成される内層存在領域42と、ソフトチップ14とは径方向に直接接触している。すなわち、径方向において内層存在領域42とソフトチップ14との間には、外層22が存在しない。
【0075】
ソフトチップ14の内腔13側の面は、内層20と接して内層存在領域42を形成するか、内腔13に露出して内層非存在領域44を形成する。ソフトチップ14のうち、内層存在領域42の周方向に隣接する内層非存在領域44を形成する部分は、内腔13に直接露出している。ソフトチップ14及び外層22のうち、周方向に沿って内層存在領域42と内層非存在領域44とが形成された部分の径方向外側に存在するソフトチップ14及び外層22の径方向の各厚さは、軸方向に一定である。
【0076】
なお、
図8Aの仮想線で示すように、突出部40の根元40aが、外層22の内側に配置される場合、内層非存在領域44の一部が外層22の内側に形成される。
【0077】
第3実施形態に係るカテーテル10Cによれば、内層20の先端部20cを含む横断面において、内層存在領域42と内層非存在領域44とが形成されるため、シャフト12とソフトチップ14との接続領域において軸方向に沿った柔軟性の変化を滑らかにすることができる。従って、第1実施形態と同様に、血管内でカテーテル10Cを進める際に、ソフトチップ14が軸方向に変形する(潰れる)ことを防止又は抑制することができる。また、ソフトチップ14と内層20との結合面の面積を大きくとることができるため、結合強度を高めることができる。その他、第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0078】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るカテーテル10Dについて説明する。
図9Aは、本発明の第4実施形態に係るカテーテル10Dの先端部の縦断面図である。
図9Bは、
図9AにおけるIXB−IXB線に沿った横端面図である。なお、第4実施形態に係るカテーテル10Dにおいて、第1実施形態に係るカテーテル10Aと同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0079】
カテーテル10Dにおいて、ソフトチップ14の内側には内層20の先端部20dの一部が存在する。具体的には、内層20の先端部20dには、ソフトチップ14の内周に沿って螺旋状に延在する螺旋形状部46が設けられる。本図示例では、周方向に間隔をおいて複数の螺旋形状部46が設けられる。螺旋形状部46は1つだけ設けられてもよい。本図示例では、複数の螺旋形状部46の最先端位置はすべて同じであるが、複数の螺旋形状部46間での各最先端位置が異なってもよい。
【0080】
本図示例では、複数の螺旋形状部46の周方向の各間隔は、すべて同じであるが、一部の間隔が他の部分の間隔と異なってもよい。内層20の最先端位置(本実施形態では、螺旋形状部46の最先端位置)からソフトチップ14の基端面14aまでの軸方向距離は、ソフトチップ14の全長の例えば5〜95%の長さに設定され、好ましくは10〜90%の長さに設定される。
【0081】
図9Aにおいて螺旋形状部46の根元46a(螺旋形状部46の最基端部)の軸方向位置は、ソフトチップ14の基端面14a(ソフトチップ14と外層22との境界部23)と略一致する。なお、
図9Aにおいて仮想線で示すように、螺旋形状部46の根元46aは、外層22の内側に配置されてもよい。すなわち、螺旋形状部46は、外層22の内側の位置から延出し、ソフトチップ14と外層22との境界部23を超えて、ソフトチップ14の内側まで達してもよい。
【0082】
図9Bに示すように、内層20の先端部20dを含む横断面において、周方向に沿って内層20が存在する内層存在領域48と内層20が存在しない内層非存在領域50とが形成される。本実施形態では、螺旋形状部46によって内層存在領域48が形成され、周方向に隣接する螺旋形状部46の間に存在するソフトチップ14が内層非存在領域50に配置される。また本実施形態では、複数の螺旋形状部46が設けられるため、複数の内層存在領域48と、複数の内層非存在領域50とが形成される。なお、周方向に隣接する螺旋形状部46の間には、ソフトチップ14が存在しなくてもよい。
【0083】
図9Bにおいて、螺旋形状部46によって形成される内層存在領域48と、ソフトチップ14とは径方向に直接接触している。すなわち、径方向において内層存在領域48とソフトチップ14との間には、外層22が存在しない。
【0084】
ソフトチップ14の内腔13側の面は、内層20と接して内層存在領域48を形成するか、内腔13に露出して内層非存在領域50を形成する。ソフトチップ14のうち、内層存在領域48の周方向に隣接する内層非存在領域50を形成する部分は、内腔13に直接露出している。ソフトチップ14及び外層22のうち、周方向に沿って内層存在領域48と内層非存在領域50とが形成された部分の径方向外側に存在するソフトチップ14及び外層22の径方向の各厚さは、軸方向に一定である。
【0085】
なお、
図9Aの仮想線で示すように、螺旋形状部46の根元46aが、外層22の内側に配置される場合、内層非存在領域50の一部が外層22の内側に形成される。
【0086】
第4実施形態に係るカテーテル10Dによれば、内層20の先端部20dを含む横断面において、内層存在領域48と内層非存在領域50とが形成されるため、シャフト12とソフトチップ14との接続領域において軸方向に沿った柔軟性の変化を滑らかにすることができる。従って、第1実施形態と同様に、血管内でカテーテル10Dを進める際に、ソフトチップ14が軸方向に変形する(潰れる)ことを防止又は抑制することができる。また、ソフトチップ14と内層20との結合面の面積を大きくとることができるため、結合強度を高めることができる。その他、第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0087】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。