(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記光警報装置が前記第1状態に設定されているときには、前記第1発光パターンにより規定される第1発光時間と前記第2発光パターンにより規定される第2発光時間との時間差が所定時間以内となるように前記第1発光時間又は前記第2発光時間を補正する、請求項1又は2に記載の光警報装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、
図12に示す如く、従来の光警報装置200は、入出力回路210に入力された入力信号(S+in)が当該入出回路210から出力信号(S+out)として出力されると共に、当該入力信号により電源回路220の電源の生成及びストロボ充電回路230の充電がなされる。そして、電源回路220で生成された電源の供給を受けて制御回路240は、内部クロック250及びストロボ制御回路260を制御すると共に、ストロボ充電回路230に充電された電源を利用して、ランプ230の発光制御を行う。このため、
図13に示す如く、例えば1つの光警報回線KLに複数の光警報装置201,202が並列接続される場合(
図13(a)参照)、発光タイミングのずれを回避すべく、他の光警報装置から入力される入力信号にタイミング情報(例えば入力信号Sin+の立下りで発光という情報)を含ませることが考えられる。
【0006】
しかしながら、発光タイミングを制御しても内部クロックや制御回路の制御処理等の変動(例えばクロックの遅延)により、光警報装置201,202間の発光制御にずれが生じる場合がある(
図13(b)参照)。さらに、例えば光警報装置の製造会社が異なる場合、又は同一製造会社でも異機種である場合は発光制御が異なることも考えられ、この場合発光タイミングのずれがより顕著になる可能性がある。そして、光警報の発光タイミングのずれが所定時間を超え、このような光警報が繰り返された場合、発光のばらつきを原因とする例えば癲癇のような症状が当該光警報の視認者に生じる可能性がある。
【0007】
これを回避するために光警報装置の光警報の制御構成を複雑化することにより、各光警報装置の発光制御のずれを所定時間以内に抑える、言い換えれば同期させることも考えられるが、これでは制御システムの導入等に費用がかかり光警報システムを構築するためのコストが高くなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、他の光警報装置の発光制御との発光制御のずれを簡易な構成で同期させることができる光警報装置及びこれを含む光警報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の光警報装置は、光警報回線に並列接続可能に構成される。この光警報装置は、発光パターンに基づいて発光制御される発光部と、光警報装置を第1状態に設定可能な設定部と、設定部が第1状態に設定されているときには、第1発光パターンに基づいて発光部の発光制御を行なう共に、他の光警報装置の発光制御に用いられ、第1発光パターンにより規定される発光タイミングと発光タイミングのずれが所定時間以内になる第2発光パターンに基づく出力をする制御部と、を備える。
【0010】
このように構成されるため、光警報装置は、設定部が第1状態(例えばマスタ)に設定されているときには、入力信号に基づいて第1発光パターンにより発光部の発光制御を行なうと共に、例えば光警報回線への並列接続時に、下流側に接続される光警報装置の発光制御に用いられ、第1発光パターンにより規定される発光タイミングから所定時間以内に発光する発光制御を行なう第2発光パターンに基づく、例えば信号を出力することができる。ここで、第2発光パターンは、例えば下流側に接続される光警報装置の発光制御に応じて制御部により決定される。
【0011】
したがって、光警報システム内に複数の光警報装置が並列接続された場合に、両者の発光タイミングが異なる場合であっても、これらの光警報装置の発光制御のずれを所定時間以内に抑える、つまり同期させることができる。
【0012】
また、設定部を第1状態(マスタ)と当該第1状態と異なる第2状態(スレーブ)とのいずれかに設定可能にするようにしても良い。そして、制御部は、当該設定部が第2状態(スレーブ)に設定されているときには、第1発光パターンに基づいて発光部の発光を制御すると共に、他の光警報装置の発光制御に用いられ、第1発光パターンと同じ発光タイミングの発光パターンに基づく出力をするように構成する。
【0013】
このように構成した場合、例えばディップスイッチにより構成される設定部の設定切替により、光警報装置を、第1状態又は第2状態として動作させることができる。このため、光警報装置が光警報システムに接続される場合に、当該光警報装置を上流側又は下流側のいずれにも用いることが可能になる。
【0014】
さらに、上記の制御部は、設定部が第1状態に設定されているときには、第1発光パターンにより規定される第1発光時間と第2発光パターンにより規定される第2発光時間との時間差が所定時間以内となるように第1発光時間又は第2発光時間を補正するようにしても良い。
【0015】
このように構成した場合、例えば第1発光パターンに規定される発光時間を短く(又は長く)することにより、当該発光時間と下流側の光警報装置の発光時間との時間差を所定時間以内にするように補正する、言い換えれば、上流側の光警報装置の発光時間を下流側の光警報装置の発光時間に合わせて補正することができる。または、例えば第2発光パターンにより規定される発光時間を短く(又は長く)することにより、当該発光時間と下流側の光警報装置の発光時間との時間差を所定時間以内に補正する、言い換えれば、下流側の光警報装置の発光時間を上流側の光警報装置の発光時間に合わせて補正することができる。
【0016】
したがって、上流側の光警報装置の発光タイミングと下流側の光警報装置の発光タイミングが所定時間以内に制御されても、両光警報装置の発光時間が異なるため光警報にばらつきがでてしまうことを回避することができ、両光警報装置の発光制御のずれを所定時間以内に抑えることができる。
【0017】
また、受信装置から直接又は間接的に引き出される光警報回線に複数の上記光警報装置を並列接続して光警報システムを構成することができる。そして、第1光警報装置の発光パターンと当該第1光警報装置の下流に接続される第2光警報装置の発光パターンとが異なるときには、第1光警報装置の設定部を第1状態に設定するようにしても良い。
【0018】
このように構成した場合、第1光警報装置の発光パターンと当該第1光警報装置の下流に接続される第2光警報装置の発光パターンとが異なるときには、第1光警報装置の設定部を第1状態に設定することにより、例えば第2光警報装置の発光タイミングとのずれを所定時間以内にすることができ、第1光警報装置と第2光警報装置との発光制御を同期させることができる。このため、発光タイミングの異なる光警報装置が混在していても光警報の同期制御を行なうことができる光警報システムを構成することができる。よって、光警報の視認者が例えば癲癇等を引き起こす事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、他の光警報装置の発光制御との発光制御のずれを簡易な構成で同期させることができる光警報装置及びこれを含む光警報システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る光警報システム100の構成を示す図である。
図1に示すように、受信装置2から光警報装置1の制御回線(以下、「光警報回線」という)KL1〜KLn(n:自然数)を引き出し、各光警報回線KL1〜KLnに光警報装置1を複数並列接続している。なお、光警報回線KLはそれぞれ、2本の制御線BL1〜BLn(n:自然数),BLCを一対として成る。また、受信装置2からは光警報回線KL1〜KLnとは別に災害監視回線が引き出され(図示省略)、ここに例えば火災災害検知装置等の災害検知装置が接続される(図示省略)。受信装置2は、従来と同様に、災害監視回線を介して災害検知装置の作動信号を受信し、これに基づいて、転極部(図示省略)が必要な光警報回線KLに印加する電圧の極性設定を切り替えて反転(「転極」という)させ、必要な光警報制御を行なう。なお、光警報回線KL1〜KLnは、例えば所定の管理領域毎(例えば、フロア毎)に設置され、管理領域毎に光警報装置1を発光制御して光警報を行う。
【0023】
また、
図1に示す如く、各光警報回線KL1〜KLnに並列接続される複数の光警報装置1のうち受信装置2に最も近く(上流)の光警報装置1はマスタ(第1状態)として動作し、このマスタとして動作する光警報装置1より下流側の光警報装置1がスレーブ(第2状態)として動作する。光警報装置1は第1状態又は第2状態、即ちここではマスタ又はスレーブの設定に応じて異なる動作を行なうが、これについての詳細は後述する。ここで下流側とは光警報回線KL上での光警報装置1の接続位置が、受信装置2から遠くなる方向であり、上流側とは受信装置2に近くなる方向である。
【0024】
図2は、光警報装置1の構成を示す図である。
図2に示す如く、光警報装置1は、入力回路11、電源回路12、制御回路(制御部)13、設定回路14、内部クロック回路15、ストロボ充電回路16、ストロボ制御回路17、ランプ18、及び出力回路19を有している。
【0025】
入力回路11には、例えば、外部(受信装置2又は自己の上流側に位置する光警報装置1)から、自己が接続されている光警報回線KLを介してランプ18を発光制御させる制御信号が入力される。この入力される制御信号(以下、入力信号という)は、電源回路12及びストロボ充電回路16に入力される。
【0026】
電源回路12は、入力信号を受け取ると電源(所定の電圧・電流)を生成し、生成した電源を制御回路13へ供給する。
【0027】
制御回路13は、光警報装置1をマスタ(第1状態)又はスレーブ(第2状態)として動作させることを設定する設定部としてマスタ/スレーブ設定部13a(
図7等参照)を有している。マスタ/スレーブ設定部13aは、例えばディップスイッチで構成される。マスタ/スレーブ設定部13aがディップスイッチで構成される場合、例えばディップスイッチがオン(接続)の場合、光警報装置1はマスタとして動作し、ディップスイッチがオフ(非接続)の場合、光警報装置1はスレーブとして動作する。
【0028】
また、制御回路13は、電源回路12からの電源供給を受け、マスタ/スレーブ設定部13aの設定に応じた制御を実行する。制御回路13は、マスタ/スレーブ設定部13aがマスタに設定されているときには、外部(受信装置2又は上流側の光警報装置1)から入力される入力信号に応じた第1発光パターンに基づいてランプ18の発光を制御すると共に、他の(例えば下流側の)光警報装置1の発光制御に用いられ、第1発光パターンにより規定される発光タイミングから所定時間以内に発光する発光制御を行なう第2発光パターンに基づく信号を出力する制御を実行する。また、マスタ/スレーブ設定部13aがスレーブに設定されているときには、外部から入力される入力信号に応じた第1発光パターンに基づいてランプ18の発光を制御すると共に、他の光警報装置1の発光制御に用いられ、第1発光パターンと同じ発光タイミングの発光パターンに基づく信号を出力する制御を実行する。
【0029】
さらに、制御回路13は、マスタ/スレーブ設定部13aの設定がマスタに設定されているときには、第1発光パターンにより規定される第1発光時間と第2発光パターンにより規定される第2発光時間との時間差が所定時間以内となるように第1発光時間又は第2発光時間を補正する。例えば、制御回路13は通常時の発光時間が、下流側に接続される光警報装置1の通常時の発光時間と異なる場合に、発光時間のずれが所定時間以内になるようにランプ18の発光時間を補正(長く、又は短く)する。また、例えばランプ18の発光時間の補正に代えて、発光時間のずれが所定時間以内になるように下流側の光警報装置への出力信号を発光時間が長くなるように、又は短くなるように補正しても良い。ここで、本実施の形態において発光パターンが異なるとは発光時間が異なることを意味し、各発光パターンに基づく発光開始タイミングのずれは問わない。
【0030】
設定回路14は、複数のパターンを記録する。設定回路14は、例えば入力回路11から入力される入力信号に対応づけられる入力パターン、ランプ18の発光を制御する発光パターン、出力回路19から出力する出力信号の制御に用いられる出力パターンを記録する。
【0031】
内部クロック回路15は、制御回路13が、例えば
図2に示す複数の回路による各種制御を実行する場合に、制御のタイミングを合わせるために基準となるクロックを生成する。
【0032】
ストロボ充電回路16は、入力回路11からの入力信号よってランプ18を発光させるために必要な電力を充電する。
【0033】
ストロボ制御回路17は、制御回路13から出力される発光パターン及びストロボ充電回路16に充電される電力に基づいて、ランプ18の発光制御を行なう。
【0034】
ランプ18は、例えばキセノンランプ等から構成され、ストロボ制御回路17の制御に基づいて高光度の白色光(フラッシュライト)を所定の間隔で発光する。
【0035】
出力回路19は、制御回路13が第1発光パターン又は第2発光パターンのいずれかに応じた出力パターンに基づいて下流の光警報装置1へ信号を出力する。
【0036】
次に、
図3及び
図4を参照して光警報装置1間の発光制御を同期するために用いる出力信号及び入力信号の具体例について説明する。なお、説明を簡略化するため、受信装置2から2つの光警報装置1(以下、光警報装置A及びBという)が光警報回線KLに並列接続され、終端抵抗(終端器でも良い)Rが接続されている構成(
図3(a)及び
図4(a)参照)を用い説明すると共に、光警報装置Aから光警報装置Bへ流れる信号に着目して説明する。
【0037】
ここで、同期とは、光警報装置A,Bの発光タイミングのずれが所定時間以内であり、かつ、発光時間に所定時間以上の重複部分があることをいう。例えば
図6に示す如く、発光パターンP1と比較して、発光回数が同じ、且つ発光時間が異なる場合(発光パターンP2)であっても、発光時間のずれ(T1〜T4)がそれぞれ所定時間以内である場合は、同期しているとする。また、発光パターンP1と比較して、発光回数が異なり、且つ発光時間が異なる場合(発光パターンP3)であっても、発光時間のずれ(T1,T3)がそれぞれ所定時間以内である場合は同期しているとする。したがって、発光パターンP1からP3は、全て同期する発光パターンであるとする。
【0038】
図3は、光警報システム101の構成を示す図である。光警報システム101において、光警報装置A(マスタ)が受信装置2に直接接続されており、光警報装置Aと光警報装置B(スレーブ)との発光タイミングは同一である。
【0039】
光警報装置Aにおいて、受信装置2の転極部が光警報回線KLに印加する電圧の極性設定を切り替えることにより、
図3(b)に示す如く、入力信号Sin+(例えば所定極性の24Vの電圧)が入力回路11に入力されると、電源回路12の電源供給を受け、制御回路13は、入力信号Sin+に応じた第1発光パターンに基づいてランプ18の発光制御を行なう。また、制御回路13は、当該設定した第1発光パターンと同一の発光タイミングの発光パターン(出力パターン)を設定回路14に設定し、当該設定した発光パターンに基づいて出力回路19(リレー回路r1)を制御し、出力信号Sout+を光警報装置Bへ出力する。
【0040】
一方、光警報装置Bは、スレーブに設定されているため、制御回路13は、入力信号Sin+に基づいてランプ18の発光制御を行なうと共に、出力回路19(リレー回路r2)を制御し、入力信号Sin+と同一の信号となる出力信号Sout+を出力する。したがって、光警報装置Bは、光警報装置Aにより作られた同期信号(同期パルス)に基づいて、同期制御される。なお、以下に光警報装置A,Bと発光タイミングが同一の光警報装置がさらに接続されている場合も同様に同期制御することができる。
【0041】
図4は、光警報システム102の構成を示す図である。光警報システム102において、それぞれのSin+に対する光警報装置A(マスタ)の発光タイミングと光警報装置B(スレーブ)の発光タイミングとは異なっている。具体的には、光警報装置Aは入力信号Sin+の立下りから所定時間経過後に発光するのに対し、光警報装置Bは入力信号Sin+の立下りと同時に発光する。
【0042】
光警報装置Aにおいて、
図4(b)に示す如く、入力信号Sin+が入力回路11に入力されると、電源回路12の電源供給を受け、制御回路13は、入力信号Sin+の立下りから所定時間経過後にランプ18を発光させる第1発光パターンに基づいてランプ18の発光制御を行なう。また、制御回路13は、当該第1発光パターンからの発光タイミングのずれが所定時間以内となる第2発光パターン(出力パターン)を設定回路14に設定し、当該設定した第2発光パターンに基づいて出力回路19(リレー回路r1)を制御し、出力信号Sout+を光警報装置Bへ出力する。ここで、第2発光パターンは、光警報装置Bの発光タイミングが入力信号Sin+の立下りと同時であるため、ランプ18を発光させるのと同時に、出力信号Sout+を立下がるようにする発光パターンとなる。
【0043】
一方、光警報装置Bにおいて、光警報装置Aから出力された出力信号Sout+が入力回路11に入力されると、電源回路12の電源供給を受け、制御回路13は、入力信号Sin+(入力パターン)に応じた第
2発光パターンに基づいてランプ18の発光制御を行なうと共に、出力回路19(リレー回路r2)を制御し、出力信号Sout+を出力する。これにより、入力信号Sin+の立下り、つまり、出力信号Sout+の立下りと同時にランプ18の発光が開始される。このようにして、発光タイミングが異なる光警報装置A,Bの発光制御を同期することができる。
【0044】
なお、
図3及び
図4において、マスタとして動作する光警報装置Aの制御回路13は、入力信号Sin+に基づいてランプ18の発光制御を行なう発光パターンを選択(自動判別)する。例えば制御回路13は、
図3(b)の入力信号Sin+(W1)が入力される場合、
図3(b)の発光信号(発光パターン:W2)を選択し、
図4(b)の入力信号Sin+(W3)が入力される場合、
図4(b)の発光信号(発光パターン:W4)を選択する。なお、設定回路14から選択される発光パターンは、入力信号Sin+に基づいて固定的(1対1)に選択されるようにしても良い。
【0045】
また、
図3及び
図4において、出力信号Sout+は、信号(ON/OFF)で示しているが、通信時間を確実に管理できる(発光タイミングのずれを所定時間以下にできる)場合は、出力信号Sout+に代えてシリアル通信を用いても良い。
【0046】
なお、
図3及び
図4において、信号を出力する構成にリレー回路r1,r2を用いているが、これに限るものでななく、例えばトランジスタやFETなどを用いた、信号の出力を制御できる回路を用いても良い。
【0047】
図5は、光警報装置A,B間の発光タイミングからの発光時間が異なる場合に、マスタとして動作する光警報装置Aが、下流に接続される光警報装置Bとの間で発光制御を同期(発光時間のずれを所定時間以内に)する処理を説明するための図である。
図5に示す如く、光警報装置Aは通常時のランプ18の発光時間が発光タイミングから10msであり、光警報装置Bの通常時のランプ18の発光時間が発光タイミングから15msである。このように発光時間が異なる場合、光警報装置Aの制御回路13は、例えばランプ18の発光時間を5ms長くし、発光タイミングからの発光時間を15msとする。
【0048】
このように、マスタとして動作する光警報装置Aは、発光タイミングからの発光時間を補正することにより、光警報装置Bと通常時の発光時間が異なる場合であっても、発光タイミングからの発光時間を長く(又は短く)することにより、光警報装置A,B間の発光時間を同期させることができる。
【0049】
次に、
図7を参照して、受信装置2から引き出す光警報回線KLに光警報装置1が複数並列接続される光警報システム103を用いて発光制御を同期する作用について説明する。なお、説明の便宜上、発光制御を同期することに着目した構成以外については図示を省略している。
【0050】
図7は、光警報システム103の構成を示す図である。
図7に示す如く、光警報システム103は、受信装置2から引き出す光警報回線KLに光警報装置1が3台(以下、光警報装置A,B,Cとする)並列接続される。なお、光警報装置Aと、光警報装置B及びCとは発光制御が異なっており、光警報装置Bと光警報装置Cとは発光制御が同一である。また、受信装置2に最も近い光警報装置Aのマスタ/スレーブ設定部13aがマスタに設定(接続)されており、光警報装置B,Cのマスタ/スレーブ設定部13aがスレーブに設定(非接続)されている。
【0051】
例えば図示省略の災害検知装置から災害検知信号を受信した場合、受信装置2は、光警報を開始するために、例えば光警報回線KLに印加する電圧の極性設定を反転させる。光警報装置Aの制御回路13は、マスタ/スレーブ設定部13aがマスタに設定されているため、入力信号Sin+に応じて設定回路14から第1発光パターンを選択し、当該選択した第1発光パターンに基づいてランプ18の発光制御を行なう。また、当該制御回路13は、光警報装置Bの発光制御(発光タイミング、発光時間)に用いられる第2発光パターンを設定回路14に設定し、当該設定した第2発光パターンに基づいてリレー回路r1を開閉動作させ、信号を光警報装置Bへ出力する。
【0052】
また、光警報装置Aから出力された出力信号Sout+が入力信号Sin+として光警報装置Bに入力されると、光警報装置Bの制御回路13は、スレーブに設定されているため、当該入力信号Sin+に応じて、つまり、第2発光パターンに基づいてランプ18の発光制御を行なう。また、当該制御回路13は、ランプ18を発光制御する第2発光パターンを設定回路14に設定し、当該設定した第2発光パターンに基づいて、リレー回路r1を開閉動作させ、信号を光警報装置Cへ出力する。
【0053】
さらに、光警報装置Bから出力された出力信号Sout+が入力信号Sin+として光警報装置Cに入力されると、光警報装置Cの制御回路13は、スレーブに設定されているため、光警報装置Bの制御回路13と同様な制御を行なう。
【0054】
このように構成された光警報システム103によると、発光タイミングが異なる光警報装置が混在していても、マスタとして動作する光警報装置Aが、光警報装置Bの発光タイミングに合わせて出力信号Sout+を出力することにより、光警報装置A,B,Cの発光タイミングを所定時間以内にして、発光制御を同期させることができる。
【0055】
また、光警報装置Aの発光時間と、光警報装置B及びCの発光時間とが異なっていても、マスタとして動作する光警報装置Aの制御回路13は、ランプ18を発光させる発光時間を補正(長く又は短く)した第2発光パターンを設定回路14に設定することにより、光警報装置Aと、光警報装置B及びCとの発光時間の時間差を所定時間以内にして、発光制御を同期させることができる。
【0056】
本実施の形態の光警報装置1によると、マスタ/スレーブ設定部13aがマスタに設定されているときには、入力信号に基づいて第1発光パターンによりランプ18の発光制御を行なうと共に、光警報回線KLへの下流側に並列接続される光警報装置1の発光制御に用いられ、第1発光パターンにより規定される発光タイミングから所定時間以内に発光する発光制御を行なう第2発光パターンに基づく信号を出力することができる。したがって、両者の発光タイミングが異なる場合であっても、これらの光警報装置1(例えばA,B)の発光制御のずれを所定時間以内に抑えることができる。このため、光警報装置1を含む光警報システム100が光警報を行なう場合に、ランプ18の発光制御を同期することができ、光警報の視認者が例えば癲癇等を引き起こす事態を防止することができる。
【0057】
また、マスタ/スレーブ設定部13aを切り替えることにより、光警報装置1をマスタとして、又はスレーブとして動作させることが可能になる。
【0058】
さらに、光警報装置1は、マスタ/スレーブ設定部13aがマスタに設定されているときには、第1発光パターンにより規定される第1発光時間と第2発光パターンにより規定される第2発光時間との時間差が所定時間以内となるように第1発光時間又は第2発光時間を補正することができる。したがって、発光タイミングが所定時間以内に制御されても、両光警報装置の発光時間が異なるため光警報の発光時間にばらつきがでてしまうことを回避することができる。
【0059】
なお、本実施の形態においては、受信装置2から光警報回線KL1〜KLnを直接引き出す構成で説明するが、これに限るものではない。例えば光警報システムが受信装置2からベル(ブザーにより警報を行なう音響警報装置)が並列接続されるベル警報回線、当該ベル警報回線と接続される光警報制御装置を含むように構成し、当該光警報制御装置から光警報回線KL1〜KLnを間接的に引き出すように構成しても良い。
【0060】
(変形例)
図8及び
図9は、光警報装置の発光タイミングの制御を、
図6に示すリレー回路とは異なる構成で制御するようにした例である。
【0061】
図8はフォトダイオード13bを用いて発光タイミングを制御するように構成した光警報システム104である。
図8に示す如く、光警報装置B,Cには、制御回路13に接続されるフォトダイオード13bが設けられている。そして、上流側の光警報装置Aがランプ18の発光を開始すると、フォトダイオード13bにランプ18からの光が入力される。これにより光警報装置Bのフォトダイオード13bが動作して制御回路13にランプ18が発光したことを示す情報が入力される。制御回路13は、この情報の入力を受けてランプ18の発光制御を開始する。光警報装置B及びCの間の発光タイミングの制御も同様である。
【0062】
図9は、無線送信器13c、無線受信器13dを用いて発光タイミングを送受信するように構成した光警報システム105である。
図9に示す如く、光警報装置Aには、制御回路13に接続される無線送信器13cが設けられ、光警報装置B及びCには、制御回路13に接続される無線受信器13dが設けられている。なお、光警報装置B及びCは無線送信器13cの無線通信範囲内に設置する。
【0063】
光警報装置Aの制御回路13は、ランプ18の発光制御を開始するのと同時に、無線送信器13cへ発光制御を示す信号を出力する。この信号が入力されると無線送信器13cは、発光制御を示す情報の無線送信を開始する。この無線送信が光警報装置B及びCの無線受信器13dに入力されると、光警報装置B及びCの制御回路13が発光制御を開始する。なお、無線送信器13c及び無線受信器13dを共に無線送受信器とし、光警報装置がマスタとして動作するときには無線送信器13cの機能を発揮し、スレーブとして動作するときには無線受信器13dの機能を発揮するようにしても良い。
【0064】
図8に示す光警報システム104,
図9に示す光警報システム105のように構成しても内部クロックや制御回路の制御処理等の変動の影響を受けずに、光警報装置A、B及びC間の発光制御を同期させることができる。
【0065】
(光警報システムの他の構成例)
図10及び
図11は、大規模な光警報システム106,107の構成を示す図である。
図10は光警報システム106に発光制御が同一な光警報装置1を含む場合であり、
図11は光警報システム107に発光制御が異なる光警報装置1(1A,1B)を含む場合である。
【0066】
図10に示す如く、光警報システム106は、中継器3に光警報回線KLが接続されるように構成し、中継器3と受信装置2とが伝送出力装置4を介して接続されるように光警報システム10
6を構成する。なお、中継器3と各光警報装置1の間までの構成及び制御は、光警報システム100の場合と同様であり、中継器3及び伝送出力装置4を介した制御は従来と同様である。このように構成した場合、光警報システム106は、中継器3に最も近い光警報装置1をマスタとして動作せることにより、これより下流に接続される光警報装置1の発光制御を同期させることができる。よって、光警報システム106のような大規模システムにおいても、光警報の視認者が例えば癲癇等を引き起こす事態を防止することができる。
【0067】
図11に示す如く、光警報システム107は、第1発光パターンに基づく発光制御を行なう光警報装置1(
図11では光警報装置1A)、第1発光パターンと異なる第2発光パターンに基づく発光制御を行なう光警報装置1(
図11では光警報装置1B)とを有している。そして、光警報システム107は、
図10の場合と同様に、中継器3に光警報回線KLが接続されるように構成し、中継器3と受信装置2とが伝送出力装置4を介して接続されるように構成される。そして、中継器3に最も近い光警報装置1A,1Bをマスタに設定し(
図11ではマスタを(M),スレーブを(S)とする)、さらに並列接続の前後で発光制御が異なる場合、その上流側の光警報装置1のマスタ/スレーブ設定部13aをマスタに設定する。このように各光警報装置1A及び1Bのマスタ/スレーブ設定部13aをマスタ又はスレーブに設定することにより、中継器3に並列接続される全ての(つまりフロア毎の)光警報装置1A,1Bの光警報を同期させることができる。よって、このように構成した光警報システム107においても、光警報システム106と同様に、光警報の視認者が例えば癲癇等を引き起こす事態を防止することができる。