特許第6162885号(P6162885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6162885部分的に酸化した金属粒子を含む改良焼結ペースト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162885
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】部分的に酸化した金属粒子を含む改良焼結ペースト
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20170703BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20170703BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20170703BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20170703BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01B1/22 D
   B22F1/02 B
   H01B13/00 Z
   H01B1/00 M
   H01B1/22 A
   B22F1/00 K
   B22F1/00 L
   B22F1/00 M
   B22F1/00 N
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-511071(P2016-511071)
(86)(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公表番号】特表2016-523426(P2016-523426A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2014058891
(87)【国際公開番号】WO2014177645
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】515131116
【氏名又は名称】ヘレウス ドイチェラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ウルフガング
【審査官】 神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−264001(JP,A)
【文献】 特開平06−097316(JP,A)
【文献】 特開2005−200734(JP,A)
【文献】 特表2013−504149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00、13/00
B22F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属粒子と、
(b)式I:R−COR(I)で表される有機化合物であって、
式中、Rは8〜32個の炭素原子を有する脂肪族残基であり、Rは−OM部分または−X−R部分を含み、Mはカチオンであり、XはO、S、N−Rから成る群から選択され、Rは水素原子または脂肪族残基であり、Rは水素原子または脂肪族残基である、有機化合物と、
酸素原子を含む付加的なポリマーと、を含み、
有機化合物(b)中に存在する炭素の、金属粒子(a)中に存在する酸素に対するモル比が3〜50の範囲であり、該酸素原子を含む付加的なポリマーがセルロースである、混合物。
【請求項2】
金属粒子(a)の少なくとも1つの金属が、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、合金、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
金属粒子(a)の少なくとも1つの金属が、銀、銅、および銅と銀の混合物から成る群から選択される、請求項1または2の混合物。
【請求項4】
有機化合物(b)が、C〜C30の脂肪酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項5】
有機化合物(b)が、オクタン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項6】
有機化合物(b)が、粒子(a)上でコーティングの形態で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項7】
化合物(b)が、粒子(a)および化合物(b)の総重量に対して、0.1〜4.0重量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項8】
金属粒子(a)が、金属粒子(a)の重量に対して、0.01〜0.15重量%の酸素含有量を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項9】
有機化合物(b)に含まれる炭素の、金属粒子に含まれる酸素に対するモル比が4〜45である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項10】
(c)分散剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項11】
分散剤(c)が、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、前述のテルピネオールの混合物、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、1−トリデカノール、2−トリデカノール、3−トリデカノール、4−トリデカノール、5−トリデカノール、6−トリデカノール、イソトリデカノール、二塩基性エステル、好ましくはグルタル酸のジメチルエステル、アジピン酸のジメチルエステル、コハク酸のジメチルエステル、またはそれらの混合物、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項10記載の混合物。
【請求項12】
金属粒子(a)、有機化合物(b)、および適用可能な場合、分散剤(c)が混合されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の混合物の生成方法。
【請求項13】
少なくとも第1の成分、第2の成分、および請求項1〜11のいずれか1項に記載の混合物を含む交互重ね配置を提供する工程であって、前記混合物を、前記第1の成分と前記第2の成分との間に位置付ける工程と、
前記交互重ね配置を焼結する工程と、
を含む、少なくとも2つの成分の結合方法。
【請求項14】
前記焼結する工程が、180℃〜250℃の温度で行われる、請求項13記載の結合方法。
【請求項15】
前記焼結が0MPa〜30MPaのプロセス圧力で行われる、請求項13または14に記載の結合方法。
【請求項16】
前記成分の少なくとも1つが金属表面を有し、それらの上に前記混合物が適用される、請求項13〜15のいずれか1項に記載の結合方法。
【請求項17】
a)請求項1〜11のいずれか1項に記載の混合物を第1の成分の成分表面に適用する工程と、
b)前記混合物が前記第1の成分と第2の成分との間に位置するように適切に第2の成分を配置することによって交互重ね配置を提供する工程と、
c)前記交互重ね配置を焼結する工程と、
を含む、請求項13〜16のいずれか1項に記載の結合方法。
【請求項18】
前記混合物が適用される前記成分の表面のうちの少なくとも1つが、非貴金属の表面であることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載の結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼結性混合物およびその混合物を用いた成分の結合方法に関する。さらに本発明は、焼結性混合物の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力工学において、例えば高耐圧性および高温度耐性を有するLEDまたは非常に薄いシリコンチップなどの成分の結合は特に難しい。このため、圧力感受性および温度感受性の成分はしばしば、接着剤を用いて互いに結合される。しかしながら、接着技術は、不十分な熱伝導性および/または電気伝導性しか有さない成分間の接触部位を生じるという欠点を伴う。この問題を解決するために、結合する成分をしばしば焼結する。焼結技術は、安定して成分を結合する非常にシンプルな方法で、焼結ペーストを利用する。
【0003】
例えば、特許文献1は、焼結プロセス、電気伝導性、および熱伝導性を高めるために、少なくとも一部、脂肪酸または脂肪酸誘導体および揮発性分散剤でコーティングされた銀粒子を含む焼結ペーストの使用を記載している。
【0004】
特許文献2は、金属粒子、金属前駆体、溶媒、および焼結助剤を含む焼結ペーストを開示している。
【0005】
特許文献3によれば、低い焼結温度を確保するために、少なくとも1つの脂肪族炭化水素化合物が焼結ペーストに加えられる。
【0006】
しかしながら、さまざまな焼結助剤の使用にかかわらず、特に低いプロセス圧力で常用のペーストまたは混合物の焼結性を高めることが必要であることは明らかであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,766,218号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/026624号
【特許文献3】欧州特許第2425290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の範囲において、焼結性は、金属粒子含有混合物を拡散する能力を含み、混合物の接触部の接着が結合するために用いられた。
【0009】
さらに、この時、実現可能なより広い温度範囲および圧力範囲で使用できる焼結性混合物が必要であった。さらに、向上した拡散性を有する焼結性混合物が望ましく、その混合物の使用は、以前の常用ペーストと比較して、同等の条件下で使用した場合、焼結された接触部の接着を高める。
【0010】
従って、本発明は焼結性混合物、特に銅の表面に適用されるときに高い焼結性を有する、特に焼結ペーストを提供するという目的に基づいている。本発明の別の目的は、焼結プロセスが、より緩やかな条件下で、主により低い温度およびより低い圧力で進行できる焼結性混合物を提供することであり、その後は先行技術に従ってもよい。従って、その混合物の使用は、接触部の結合のための省エネルギー型の方法を必要とする。
【0011】
その目的は、本発明の独立項の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の主題は、
(a)金属粒子と、
(b)式I:R−COR(I)で表される有機化合物であって、
式中、Rは8〜32個の炭素原子を有する脂肪族残基であり、Rは−OM部分または−X−R部分を含み、Mはカチオンであり、XはO、S、N−Rから成る群から選択され、Rは水素原子または脂肪族残基であり、Rは水素原子または脂肪族残基である、有機化合物と、
を含み、
有機化合物(b)中に存在する炭素の、金属粒子(a)中に存在する酸素に対するモル比が3〜50の範囲である、混合物である。
【0013】
さらに、本発明は、少なくとも第1の成分、第2の成分、および本発明による混合物を含む交互重ね配置を提供する工程であって、混合物を、第1の成分と第2の成分との間に位置付ける工程と、交互重ね配置を焼結する工程と、を含む、少なくとも2つの成分の結合方法に関する。
【0014】
本発明の混合物は焼結することができ、好ましくは焼結ペーストとして存在し、特に印刷可能な焼結ペーストとして存在する。
【0015】
本発明は、有機化合物b)中の炭素の、金属粒子a)中の酸素に対するモル比が、それらからできた混合物の焼結性に大きな影響を与えるという意外な研究結果に基づいている。比較的狭い範囲のモル比が焼結特性を高めることが意外にもわかった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】曲げ試験の非常に良い結果を示す。
図2】曲げ試験の非常に不十分な結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
金属粒子(a)
本発明による混合物は金属粒子を含む。
【0018】
本発明の範囲において、「金属」とは、ホウ素と同周期だがホウ素の左側にある、シリコンと同周期だがシリコンの左側にある、ゲルマニウムと同周期だがゲルマニウムの左側にある、アンチモンと同周期だがアンチモンの左側にある元素の周期系における元素、および原子番号が55より大きい全ての元素のことをいう。本発明によれば、「金属」は、合金および金属間相も含む。
【0019】
金属の純度は、好ましくは、少なくとも95重量%であり、より好ましくは少なくとも98重量%であり、さらにより好ましくは少なくとも99重量%であり、一層より好ましくは少なくとも99.9重量%である。
【0020】
本発明の範囲において、金属粒子は、例えば表面が酸化した、部分的に酸化した金属粒子も含む。
【0021】
好ましい実施形態によれば、金属は、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、ならびにそれらの合金および混合物から成る群から選択される。特に好ましい実施形態によれば、金属は銀である。
【0022】
別の好ましい実施形態によれば、金属粒子(a)の少なくとも1つの金属は、銀、銅、およびそれらの混合物から成る群から選択される。
【0023】
金属粒子(a)の金属は、好ましくは、本質的に銀または銅または銅と銀の混合物から成る。
【0024】
これに関して、「本質的に」とは、金属粒子(a)の少なくとも95重量%、特に少なくとも97.5重量%が、対応する金属または金属の混合物から成ることを意味するものとする。
【0025】
本発明によれば、金属合金は、少なくとも2つの成分のうち少なくとも1つが金属である、金属混合物であることが理解されるものとする。
【0026】
好ましい実施形態によれば、本発明の範囲は、金属合金として銅、アルミニウム、ニッケル、および/または貴金属を含む合金を用いることを含む。金属合金は、好ましくは、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、およびアルミニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む。特に好ましい金属合金は、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、およびアルミニウムから成る群から選択される少なくとも2つの金属を含む。さらに、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、およびアルミニウムから成る群から選択される金属の割合が、金属合金の、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、さらにより好ましくは100重量%を占めることが好ましい場合がある。合金は、例えば、銅および銀、銅、銀および金、銅および金、銀および金、銀およびパラジウム、白金およびパラジウム、またはニッケルおよびパラジウムを含む合金であってもよい。
【0027】
本発明の範囲による金属粒子は、多相から成る粒子であってもよい。従って、金属粒子は、例えば、少なくとも1つのさらなる金属相でコーティングされた少なくとも1つの金属相からできたコアを含んでもよい。これに関して、銀でコーティングされた銅の粒子が、それらが本発明による金属粒子の定義に含まれるため、例示のために言及する。さらに、金属コーティングは、非金属コアに適用されてもよい。別の実施形態において、金属粒子は複数の異なる金属を含む。非貴金属からできた金属コアおよび例えば銀でコーティングされた銅粒子などの貴金属からできたコーティングを含む金属粒子もまた好ましい。本発明による混合物は、金属として、純金属、複数の種類の純金属、1種類の金属合金、複数の種類の金属合金、またはそれらの混合物を含んでもよい。金属は、粒子状で混合物中に存在する。
【0028】
金属粒子は形が異なってもよい。金属粒子は、例えば、薄片状で、または球形(ボール状)で存在してもよい。特に好ましい実施形態によれば、金属粒子は薄片の形をとる。しかしながら、これは、少量の異なる形の粒子が使用されることを排除しない。しかしながら、粒子の好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、または100重量%が、薄片状で存在する。
【0029】
本発明による混合物に存在する金属粒子は、組成が同種または異種であってもよい。特に、混合物は異なる金属からできた粒子を含んでもよい。
【0030】
本発明による混合物は、混合物の総重量に対して、好ましくは60〜99.7重量%、より好ましくは77〜89重量%、さらにより好ましくは80〜88重量%の金属粒子を含む。本発明による焼結性混合物に関して、金属粒子a)の量は、金属粒子a)と有機化合物b)との総重量に対して、96〜99.7重量%、好ましくは96.5〜99.5重量%、より好ましくは97〜99.3重量%、特に97.5〜99.0重量%の範囲であってもよい。
【0031】
好ましくは、金属粒子は部分的に酸化している。あるいは、粒子の一部は酸化しておらず、粒子の一部は部分的にまたは完全に酸化した、金属粒子からできた混合物が存在してもよい。
【0032】
本発明による混合物中の金属粒子(a)の酸素含有量は、金属粒子の総重量に対して、0.01〜0.15重量%の範囲であり、特に0.05〜0.10重量%の範囲である。
【0033】
金属粒子の酸素含有量の測定は、例えば、Leco社(米国)製のTC436分析装置を用いて搬送ガスの熱抽出によって当業者に既知の分析手順に従って行うことができ、酸素含有量は、COへの変換によって間接的に測定され、COガスはCO赤外線測定セルによって検出される。酸素含有量の測定は、ASTM E1019−03規格に基づいてもよい。測定が再現可能なことを確実にするための装置の調節が、既知量のCOガスによるガス較正、およびLeco社の公認のスチール規格を検査することによって行われ、その酸素含有量は、検査される試料の予想酸素含有量とほぼ同じである。試料調製に関して、100〜150mgの金属粉末をLeco社のスズカプセルの中に入れて量る。次に試料およびスズカプセルは、それぞれ2500℃で約30秒間、事前に2度パージした2000℃のLeco社の黒鉛坩堝の中に置く。試料の酸素は黒鉛の炭素と反応し、一酸化炭素(CO)を形成する。次にその一酸化炭素はLeco社の酸化銅カラム(Cu(II)O)上で酸化され、二酸化炭素(CO)を形成し、ここでカラムは約600℃の装置固有の温度を有する。生成された二酸化炭素は赤外線セルによって検出され、それによって試料の酸素含有量が測定される。満たされていないスズカプセルのブランク値は、試料の実際の測定が行われる前に同じ条件下で測定されなければならない。実際の測定の間、装置は、測定値(スズカプセルおよび試料)からこのブランク値を差し引く。
【0034】
有機化合物(b)
さらに、本発明の焼結ペーストは、式I:RCOR(I)によって表される有機化合物を含み、式中、Rは、8〜32個、好ましくは10〜24個、特に好ましくは12〜18個の炭素原子を有する脂肪族残基であり、分枝状または非分枝状であってもよい。さらに、Rはヘテロ原子を含んでもよい。Rは−OM部分または−X−R部分のいずれかを含み、Mはカチオンであり、Xは、O、S、およびN−Rから成る群から選択され、Rは水素原子または脂肪族残基であり、Rは水素原子または脂肪族残基である。これに関して、XはO、N、またはSであることが好ましく、Oが特に好ましい。
【0035】
好ましくは、Rおよび/またはRは、1〜32個、より好ましくは10〜24個、特に12〜18個の炭素原子を有する脂肪族残基であり、残基は直鎖状または分枝状であってもよい。さらに、残基は1つまたは2つ以上のヘテロ原子も含んでよい。脂肪族残基は飽和または不飽和状態であってもよい。
【0036】
有機化合物は、好ましくは、脂肪酸(X=O、R=H)、脂肪酸塩(M=カチオン)、および脂肪酸エステルから成る群から選択される化合物である。
【0037】
遊離脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪酸エステルは、好ましくは非分枝状である。
【0038】
さらに、遊離脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪酸エステルは、好ましくは飽和状態である。
【0039】
好ましい実施形態によれば、有機化合物は、脂肪モノ酸、脂肪モノ酸塩、または脂肪モノ酸エステルである。
【0040】
好ましい実施形態において、有機化合物(b)はC−C30脂肪酸であり、好ましくはC−C24脂肪酸であり、特にC12−C18脂肪酸である。
【0041】
考えられる脂肪酸塩は、好ましくは、アニオン成分が脱プロトン化脂肪酸であり、そのカチオン成分Mが、アンモニウムイオン、モノアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、銅イオン、およびアルミニウムイオンから成る群から選択される。
【0042】
好ましい脂肪酸エステルは、対応する脂肪酸由来のもので、メチル、エチル、プロピル、またはブチルエステルが好ましい。
【0043】
好ましい実施形態によれば、有機化合物は、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、それらの混合物、ならびに対応するエステルおよび塩、ならびにそれらの混合物から成る群から選択される。
【0044】
特に好ましい実施形態によれば、有機化合物は、ラウリン酸(ドデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、およびそれらの混合物から成る群から選択される。
【0045】
さらに、有機化合物(b)は、好ましくは、オクタン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、およびそれらの混合物から成る群から選択される。
【0046】
例えば、ラウリン酸とステアリン酸の混合物は、特に好ましい混合物である。好ましい混合物は、上記のステアリン酸とラウリン酸の重量比が1:1である。
【0047】
好ましくは、有機化合物(b)は、金属粒子(a)上でコーティングの形態で存在する。
【0048】
粒子のコーティングとは、粒子の表面上にしっかりと接着した層のことを意味することが理解されるものとする。しっかりと接着した層は、重力の影響だけで金属粒子から分離しないことを意味することが理解されるものとする。
【0049】
これに関して、使用される金属粒子は市販のものである。対応する有機化合物は、先行技術で既知の従来の方法によって金属粒子の表面に適用することができる。
【0050】
例えば、有機化合物、特に溶媒中の上述のステアリン酸および/またはラウリン酸をスラリー化することは可能であり、ボールミルで金属粒子とともにひいて粉末にすることが可能である。粉末にした後、コーティングされた金属粒子を乾燥させ、その後ダストを除去する。
【0051】
好ましくは、コーティング全体の有機化合物(b)の割合、特に、好ましくは8〜24個、より好ましくは10〜24個、さらにより好ましくは12〜18個の炭素原子を有する遊離脂肪酸、脂肪酸塩、または脂肪酸エステルから成る群から選択される化合物の割合は、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、一層より好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%、少なくとも99重量%または100重量%である。
【0052】
好ましい実施形態によれば、有機化合物(b)の含有量は、粒子(a)と化合物(b)の総重量に対して、0.1〜4.0重量%であり、より好ましくは0.3〜3.0重量%であり、特に0.4〜2.5重量%であり、特に0.5〜2.2重量%であり、具体的には0.8〜2.1重量%である。
【0053】
有機化合物(b)の、金属粒子(a)の表面に対する質量比として定義されるコーティングの度合いは、金属粒子の表面1mにつき、有機化合物が、好ましくは0.003〜0.03g、より好ましくは0.007〜0.02g、さらにより好ましくは0.01〜0.015gである。
【0054】
好ましい実施形態によれば、本発明による混合物は、本発明による混合物の総重量に対して、0.05〜3.5重量%または0.08〜2.5重量%、より好ましくは0.25〜2.2重量%、さらにより好ましくは0.5〜2重量%の有機化合物(b)を含み、有機化合物(b)は、好ましくは、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪酸エステルから成る群から選択される。
【0055】
好ましい実施形態において、有機化合物(b)に含まれる炭素と、金属粒子に含まれる酸素のモル比は、4〜45の範囲であり、好ましくは5〜40、より好ましくは10〜35、特に12〜30、具体的には15〜25または12〜45の範囲で15〜14が好ましい。
【0056】
有機化合物(b)に含まれる炭素と金属粒子に含まれる酸素の特定のモル比を確立することは、ペーストの焼結性を高められ、それは焼結によって互いに結合される成分の強度が上がることに表われている。これに関して、焼結性の向上が観察できるモル比は、3〜50の範囲であり、好ましくは4〜45の範囲である。モル比がこの特定範囲から外れると、焼結性の向上は得られない。同様に、過度な有機化合物(b)の含有量は、混合物の適用性に悪影響を及ぼす。
【0057】
有機化合物(b)の炭素含有量は、有機化合物(b)の追加された量から計算できる。あるいは、炭素含有量はまた、元素分析などの当業者が既知の方法によって、例えば、ASTM D 529102規格に従って分析的に測定できる。混合物中に存在する有機化合物(b)の炭素含有量は、例えば、混合物から有機化合物(b)を除いて、本発明による混合物の全ての炭素含有化合物をまず除去し、次に残った混合物の炭素含有量を測定することによって測定することができる(例えば、元素分析)。炭素含有化合物はまた、例えば、混合物を十分な時間、有機化合物(b)の沸点未満の温度に、しかし混合物の他の全ての炭素含有化合物の沸点より高い温度に加熱することによって除去することができる。
【0058】
一酸化炭素は焼結プロセス中に放出することが考えられる。一酸化炭素は還元剤であるので、金属粒子の表面上に存在する金属酸化物を還元することができる。金属酸化物を除去することは、スムーズな拡散を確実にし、拡散率を確実に向上させる。金属酸化物の還元はまた、焼結プロセスをさらに支持するインサイツ反応金属の生成に関係する。さらに反応性金属は、焼結プロセスの間の金属粒子の金属原子間の空隙を満たすことができ、よって、結合する2つの成分の接触部位の間隙率を著しく減らすことができる。その結果、極めて安定した熱伝導性および電気伝導性の接触部位が生成される。
【0059】
分散剤(c)
本発明による焼結性混合物は、焼結ペーストとして存在でき、その後、通常は付加的な分散剤(c)を含む。金属ペースト用の一般的な分散剤が、焼結ペースト用に考えられる。
【0060】
従って、本発明の好ましい実施形態の焼結性混合物は付加的な分散剤(c)を含む。
【0061】
本発明の範囲において、分散剤は、物理的なプロセスによって他の物質を溶解したり分散させたりすることができる物質を意味することが理解されるものとする。
【0062】
本発明によれば、金属ペースト用の一般的な分散剤が考えられる。好ましくは、少なくとも1つのヘテロ原子および6〜24個の炭素原子、より好ましくは8〜20個の炭素原子、特に8〜14個の炭素原子を有する有機化合物が分散剤として用いられる。
【0063】
有機化合物は分枝状または非分枝状であってもよい。分散剤(c)は、好ましくは環状化合物、特に環状不飽和化合物である。
【0064】
さらに、分散剤として用いられる有機化合物は飽和、一不飽和、または多不飽和化合物であってもよい。
【0065】
溶媒として作用できる有機化合物に含まれる少なくとも1つのヘテロ原子は、好ましくは、酸素原子および窒素原子から成る群から選択される。
【0066】
少なくとも1つのヘテロ原子は、少なくとも1つの官能基の一部であってもよい。
【0067】
特に好ましい実施形態によれば、これに関して用いられる分散剤はアルコールである。
【0068】
例えば、テルピネオール、特にα−テルピネオールのような単環モノテルペンアルコールは特に好ましい。
【0069】
分散剤の沸点は、ペーストを焼結するのに用いられる温度より低いことが特に好ましい。分散剤の沸騰温度は240℃未満、より好ましくは230℃未満、特に220℃未満であることが特に好ましい。
【0070】
これに関して、例えば、α−テルピネオール((R)−(+)−α−テルピネオール、(S)−(−)−α−テルピネオール、またはラセミ化合物)、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、これらのテルピネオールの混合物、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、1−トリデカノール、2−トリデカノール、3−トリデカノール、4−トリデカノール、5−トリデカノール、6−トリデカノール、イソトリデカノール、二塩基性エステル(好ましくはグルタル酸のジメチルエステル、アジピン酸のジメチルエステル、コハク酸のジメチルエステル、またはそれらの混合物)、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはそれらの混合物を用いることができる。
【0071】
好ましい実施形態によれば、脂肪族炭化水素化合物を分散剤として用いることが好ましい。これに関して、脂肪族炭化水素は、飽和化合物、一不飽和、または多不飽和化合物およびそれらの混合物から構成されてもよい。好ましくは、脂肪族炭化水素化合物は、飽和炭化水素化合物から成り、これらは環状または非環状、例えば、n−アルカン、イソアルカン、シクロアルカン、またはそれらの混合物であってもよい。脂肪族炭化水素化合物は、例えば、式C2n+2、C2n、およびC2n−2で表されてもよく、nは5〜32の整数である。特に好ましい実施形態において、分散剤として用いることができる脂肪族炭化水素化合物は、ヘキサデカン、オクタデカン、イソヘキサデカン、イソオクタデカン、シクロヘキサデカン、およびシクロオクタデカンから成る群から選択される。
【0072】
分散剤(c)は有機化合物(b)とは異なり、特に分散剤(c)は有機化合物(b)の定義に含まれる有機化合物ではない。
【0073】
分散剤は通常、本発明による混合物の総重量に対して、6〜40重量%の量で存在し、好ましくは8〜25重量%、特に10〜20重量%の量で存在する。
【0074】
分散剤の種類および量は、焼結ペーストの流動性を調整するために用いることができる。焼結ペーストは、好ましくは、焼結される成分に、印刷方法によって適用される。
【0075】
酸素原子を含むポリマー(成分(d))
酸素原子を含む有機ポリマーの添加も、さらに焼結性を高めることが意外なことにわかった。
【0076】
従って、本発明による混合物は、好ましい実施形態において、酸素原子を含むポリマーを含む。酸素が存在するポリマーはエーテル、および/または水酸化物として結合され、特に好ましい。アルコキシ基、特にエトキシレートおよび/またはメトキシレート基を含むポリマーもまた好ましい。
【0077】
例えば、セルロースのような多糖類は、好ましくは化学的に修飾され、例えば、アルコキシル化またはアルキルカルボキシル化されたものが好適なポリマーである。
【0078】
セルロースは、好ましくは置換度を2.0〜2.9を含み、より好ましくは2.2〜2.8を含む。置換度は、グルコース単位当たりの、化学修飾された、特にエーテル化したヒドロキシル基の平均数を示す。エチルセルロースが特に好ましい。好ましくは、ヒドロキシル基数に対して、エトキシ含有量を43.0〜53.0%有し、特に好ましくは47.5〜50%、特に48.0〜49.5%を有し、完全に置換されたセルロースのエトキシ含有量は54.88%である。好ましくは、セルロースの粘度は60〜120cpsであり、より好ましくは90〜115cps、特に好ましくは85〜110cpsである。これに関して、粘度は、80重量%のトルエンおよび20重量%のエタノールから成る混合物に対して、Hercules Horizontal Capillary粘度計を用いて、25℃で、ASTM D914に従って測定された。
【0079】
好ましくは、セルロースは、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、またはそれらの混合物から成る群から選択される。エチルセルロースが特に好ましいセルロースである。
【0080】
エチルセルロースの存在は、有機化合物の一酸化炭素への最適化された変換を通して、さらに一層ペーストの焼結性を向上させる。
【0081】
好ましくは、本発明による混合物は、混合物の総重量に対して、酸素を含むポリマー、特にセルロースを0.05〜2.0重量%含み、さらにより好ましくは、0.1〜0.8重量%、特に好ましくは0.2〜0.5重量%含む。
【0082】
その他の原料成分
さらに、本発明による混合物は、通例の界面活性剤、消泡剤、結着剤、または粘度調節剤のようなその他の原料成分を含むことができる。好ましくは、混合物は湿潤剤を含むことができる。
【0083】
その他の原料成分は、通常、本発明による混合物の総重量に対して、最大0.01重量%までの量で加えられ、好ましくは0.001〜0.01重量%加えられる。
【0084】
好ましくは、本発明による混合物は、本質的にガラスを、特にガラスフリットを含まない。酸化鉛、酸化ビスマス、アルカリおよびアルカリ土類酸化物、酸化テルルなどのガラス形成剤がガラスフリットの典型的な原料成分である。
【0085】
これに関して、本質的にとは、混合物が、ガラスおよび/またはガラスフリットを、2重量%未満を含み、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、特に0.1重量%未満、具体的には0.05重量%未満、例えば0重量%含み、特定された重量はそれぞれ、混合物の総重量に対するものであること意味するものとする。
【0086】
特定の実施形態において、本発明による焼結性混合物の金属粒子a)は銀粒子である。最適な焼結性は、有機化合物(b)に対する銀の酸素含有量が完全に互いに適合する(例えば、部分的に酸化された銀および/または銀と酸化銀との混合物を選択することによって)場合に、達成できることが意外なことに明らかになった。好ましい実施形態において、銀粒子および有機化合物(b)に存在する全ての酸素の銀に対するモル比は、約1.0〜約3.5、好ましくは約1.2〜約3.0、特に約2.0〜約2.7である。
【0087】
さらに、有機化合物(b)に存在する全ての炭素の銀に対するモル比が、約5〜約20の範囲であり、より好ましくは約7から約16であり、特に約10〜約15である。
【0088】
さらに、良い焼結性結果は、本発明による混合物の組成が、有機化合物(b)に存在する炭素の、金属粒子(a)、特に銀粒子、および有機化合物(b)に存在する全ての酸素に対するモル比が、約200〜約600、より好ましくは約400〜約570、特に約500〜約550の範囲になるように適切に調整されるように適切に選択される場合に、達成できる。
【0089】
好ましい実施形態において、本発明による混合物は、
(a)好ましくは、銀、銅、アルミニウム、およびニッケルから成る群から選択される、特に銀の、75〜90重量%の金属粒子と、
(b)好ましくは、脂肪酸、脂肪酸塩、および脂肪酸エステルから成る群から選択される、特に脂肪酸の、さらに好ましくは金属粒子(a)上でコーティングとして存在する、0.05〜3.0重量%の有機化合物(b)と、
(c)好ましくは、アルコールの群から、特にテルピネオールから選択される、6〜30重量%の分散剤と、
(d)適用可能な場合、0.05〜1.0重量%のセルロース、特にエチルセルロースと、を含み、
有機化合物(b)に含まれる炭素の金属粒子(a)に含まれる酸素に対するモル比が5〜40の範囲であり、好ましくは10〜35、より好ましくは12〜30、特に好ましくは15〜25の範囲であり、これらの特定された重量はそれぞれ、焼結性混合物の総重量に関わるものである。
【0090】
焼結
本発明の主題の一つは、本発明による混合物の生成方法でもあり、金属粒子(a)、有機化合物(b)、および適用可能な場合、分散剤(c)が混合される。
【0091】
本発明の好ましい改良例によれば、金属粒子(a)と有機化合物(b)の混合は、有機化合物(b)が溶媒中でスラリー化され、粉状化装置、特にビーズミルで金属粒子(a)とともに製粉される。その後、適用可能な場合、さらなる工程で、次にコーティングされた金属粒子を乾燥させ、ダストを除去してもよい。
【0092】
本発明による焼結性混合物は、当業者によく知られた混合装置および撹拌機で生成できる。本発明による生成方法の好ましい改良例において、金属粒子は、第1の工程で、有機化合物(b)でコーティングされる。コーティングされた粒子は、次の工程で、分散剤(c)と混合される。
【0093】
本発明によれば、本発明によるペーストは焼結プロセスで用いられる。
【0094】
好ましくは、焼結は、液相を生成することなく、加熱によって2つ以上の成分を結合することを意味することが理解されるものとする。よって、焼結は拡散プロセスとして進む。
【0095】
本発明によれば、少なくとも2つの成分を結合することは、第1の成分を第2の成分上に結合することを意味することが理解されるものとする。これに関して「上に」とは、2つの成分の相対配置または少なくとも2つの成分を含む配置に関係なく、単に第1の成分の表面が第2の成分の表面に結合されることを意味する。
【0096】
本発明の範囲において、成分とは、単一の構成要素を含むことが好ましい。特に、その単一の構成要素はさらに分解することはできない。
【0097】
本発明の範囲における成分は、機能に無関係の任意の物体であってもよい。これに関して、成分、構成要素、および基板の語は、本発明の範囲において同義と見なされる。
【0098】
特定の実施形態によれば、成分は、少なくとも1つの金属表面を含む物体である。
【0099】
特定の実施形態によれば、成分とは、高性能エレクトロニクスに用いられる構成要素のことをいう。
【0100】
よって、成分は、例えば、ダイオード、LED(発光ダイオード、lichtemittierende Dioden)、DCB(直接銅接合)基板、リードフレーム、ダイ、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、Bipolartransistoren mit isolierter Gate−Elektrode)、IC(集積回路、integrierte Schaltungen)、センサ、ヒートシンク素子(好ましくはアルミニウムヒートシンク素子または銅ヒートシンク素子)または他の受動素子(例えば抵抗器、コンデンサ、またはコイル)であってもよい。好ましくは、成分は非金属成分であってもよい。
【0101】
結合される成分は同一または異なる成分であってもよい。
【0102】
本発明の好ましい実施形態は、LEDをリードフレームに、LEDをセラミック基板に、ダイ、ダイオード、IGBTまたはICをリードフレーム、セラミック基板またはDCB基板に、センサをリードフレームまたはセラミック基板に、DCBまたはセラミック基板を銅またはアルミニウムヒートシンク素子に、リードフレームをヒートシンク素子に、あるいは、好ましくは格納されていない状態のタンタルコンデンサをリードフレームに結合することに関する。
【0103】
また、2つより多い成分を互いに結合することも好ましい。例えば、(i)LEDまたはチップは、(ii)リードフレームおよび(iii)ヒートシンク素子に結合でき、リードフレームは、好ましくは、(i)LEDまたはチップと(iii)ヒートシンク素子との間に位置する。また、ダイオードを2つのヒートシンク素子に結合してもよく、ダイオードは好ましくは2つのヒートシンク素子の間に位置する。
【0104】
好ましい実施形態によれば、成分は少なくとも1つの金属表面を含むことができる。その金属表面は、好ましくは、成分の一部である。好ましくは、その金属表面は成分の少なくとも1つの表面上に位置する。
【0105】
金属表面は純金属を含んでもよい。よって、金属表面は、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%または100重量%の純金属を含んでもよい。好ましくは、純金属は、アルミニウム、銅、銀、金、パラジウム、および白金から成る群から選択される。
【0106】
一方、金属表面はまた合金を含んでもよい。金属表面の合金は、好ましくは、銀、金、ニッケル、パラジウム、および白金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む。金属表面の合金はまた、銀、金、ニッケル、パラジウム、および白金から成る群から選択される少なくとも2つの金属を含むことが好ましい場合がある。銀、金、ニッケル、パラジウム、および白金から成る群から選択される元素が占める合金の割合は、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも99重量%、例えば100重量%である。
【0107】
好ましい実施形態によれば、金属表面は、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、さらにより好ましくは100重量%の合金を含む。金属表面は、多層構造を有してもよい。よって、結合される成分の少なくとも1つの表面が、上述の純金属および/または合金を含む多層から成る金属表面を含むことが好ましい場合がある。
【0108】
好ましい実施形態によれば、成分、特にDCB基板の少なくとも1つの金属表面は、銅でできた層を含み、その上にニッケルでできた層が適用される。適用可能な場合、さらなる別の金からできた層がニッケルからできた層の上に適用されてもよい。この場合、ニッケルからできた層の厚さは、好ましくは1〜2μmであり、金からできた層の厚さは、好ましくは0.05〜0.3μmである。一方、成分の金属表面が銀または金からできた層を含み、その上にパラジウムまたは白金からできた層を含むことが好ましい場合がある。
【0109】
さらなる好ましい実施形態によれば、それぞれの層はまた、特定の純金属または合金に加えてガラスも含む。これらの層は、(i)ガラスと、(ii)純金属または合金との混合物であることが好ましい場合がある。
【0110】
本発明によれば、少なくとも2つの成分は、焼結によって互いに結合される。
【0111】
このために、少なくとも2つの成分は、まず互いに接触させられる。これに関して、その接触は、本発明による金属ペーストによって達成される。このために、配置が提供され、その配置において、金属ペーストが少なくとも2つの成分のうちの2つのそれぞれの間に位置する。
【0112】
よって、2つの成分、すなわち成分1および成分2が互いに結合される場合、焼結プロセスの前に、本発明による金属ペーストは成分1および成分2の間に位置付けられる。一方、2つより多い成分を互いに結合することも考えられる。例えば、3つの成分、すなわち成分1、成分2、および成分3は、成分2が成分1と成分3の間に位置するように適切に互いに結合されてもよい。この場合、本発明による金属ペーストは、成分1と成分2の間と、成分2と成分3の間の両方に位置付けられる。本発明は、それぞれの成分を交互重ね配置にし、それらを互いに結合させる。
【0113】
本発明によれば、交互重ね配置は、2つの成分が上下に位置し、結合される接触表面が互いに対して本質的に平行に位置付けられる配置を意味することが理解されるものとする。
【0114】
本発明のさらなる態様は、少なくとも2つの成分を結合する方法であり、以下の工程を含む。
少なくとも第1の成分、第2の成分、および本発明による混合物を含む交互重ね配置を提供する工程であって、混合物を、第1の成分と第2の成分との間に位置付ける工程、および
交互重ね配置を焼結する工程。
【0115】
少なくとも2つの成分と金属ペーストとの配置は、金属ペーストがこの配置の2つの成分の間に位置付けられ、従来技術による既知の任意の方法によって、生成されてもよい。
【0116】
好ましくは、まず、成分1の少なくとも1つの表面に、本発明による金属ペーストを供給する。次に、別の成分2がそれの表面のうちの1つによって、成分1の表面に適用された金属ペースト上に置かれる。
【0117】
本方法の好ましい実施形態によれば、成分の少なくとも1つが金属表面を有し、好ましくは金の表面、パラジウムの表面、銀の表面、または銅の表面を有し、それらの上に本発明による混合物が適用される。
【0118】
また、以下の工程を含む本方法の一実施形態も好ましい。
a)本発明による混合物を成分の成分表面に適用する工程、
b)混合物が第1の成分と前記第2の成分との間に位置するように適切に第2の成分を配置することによって交互重ね配置を提供する工程、
c)交互重ね配置を焼結する工程。
【0119】
混合物が適用される成分表面のうちの少なくとも1つが、非貴金属の表面であり、特に銅である一実施形態が特に好ましい。
【0120】
特に結合される成分表面の1つが非貴金属の表面、特に銅を含む場合、有機化合物(b)に含まれる炭素の金属粒子(a)に含まれる酸素に対するモル比が11〜48の範囲、特に14〜40の本発明による混合物が有利であることが意外なことに明らかとなった。また、低いプロセス圧力、例えば0Mpaで焼結することが、特にこのモル比で実現可能であることが明らかになった。
【0121】
金属ペーストの成分の表面への適用は、任意の従来の方法によって達成できる。好ましくは、金属ペーストは、印刷方法を用いて、例えばスクリーン印刷またはステンシル印刷によって適用される。しかしながら、金属ペーストは、ディスペンシング技術、スプレー技術、噴射技術、ピン転写、または液浸によって適用されてもよい。
【0122】
金属ペーストの適用後に、金属ペーストを備えた成分の表面を、金属ペーストによってそれに結合される成分の表面に接触させることが好ましい。よって、金属ペーストの層は結合される成分間に位置する。
【0123】
好ましくは、結合される成分間の湿った層の厚さは15〜200μmの範囲である。これに関して、湿った層の厚さは、焼結プロセスの前に結合される成分の対向する表面間の距離を意味することが理解されるものとする。湿った層の好ましい厚さは、金属ペーストを適用するために選択された方法による。金属ペーストが、例えばスクリーン印刷法によって適用される場合、湿った層の厚さは、好ましくは、15〜50μmであってもよい。金属ペーストがステンシル印刷によって適用される場合、湿った層の好ましい厚さは、50〜200μmの範囲であってもよい。好ましい実施形態によれば、乾燥工程は、焼結プロセスの前に行われる。
【0124】
好ましくは、乾燥は金属ペーストにおける分散剤の割合を減らすことを意味することが理解されるものとする。
【0125】
乾燥は、配置の生成後に、すなわち結合される成分の接触後に行われてもよい。しかしながら、乾燥はまた、金属ペーストを成分の少なくとも1つの表面上に適用した直後で、結合される成分との接触前に行われてもよい。
【0126】
好ましくは、乾燥温度は50〜160℃の範囲である。
【0127】
明らかに、乾燥時間は、金属ペーストの特定の組成および焼結される配置のサイズによる。一般的な乾燥時間は5〜45分の範囲である。
【0128】
少なくとも2つの成分およびその2つの成分間に位置する金属ペーストから成る配置は、最後に焼結プロセスを受ける。
【0129】
これに関して、成分の寸法は、好ましくは約0.5mm〜180cmとさまざまであってもよく、好ましい成分は矩形または円形である。
【0130】
焼結プロセスは、好ましくは180℃以下、250℃以下、特に200℃〜240℃で行われる。
【0131】
これに関して、プロセス圧力は、好ましくは30Mpa以下で0Mpa以上の範囲であり、より好ましくは5Mpa〜25Mpaの範囲である。しかしながら、焼結プロセスは、プロセス圧力をかけないで、すなわち0Mpaのプロセス圧力で実施されてもよい。焼結時間はプロセス圧力により、好ましくは2〜60分の範囲である。
【0132】
焼結プロセスは、いかなる限定も受けない雰囲気で行われてもよい。しかしながら、好ましくは、焼結プロセスは酸素を含む雰囲気で行われる。
【0133】
焼結プロセスは、上述のプロセスパラメーターが好ましく設定され得る焼結に適した従来の装置で行われる。
【0134】
本発明は、以下に記載の実施例によって解説するが、これらは、いかなる点または形態においても、本発明を限定するようには解釈されない。
【実施例】
【0135】
金属ペーストの生成
最初に、金属ペースト1〜13を、表1に記載の量比で、原料成分を混合して生成した。
【0136】
ステアリン酸とラウリン酸の混合物を、質量比75:25で、コーティングとして用いた。
【0137】
部分的に酸化された銀粒子(D50:4μm)を金属粒子として用いた。
【0138】
α−テルピネオールまたは1:1のα−テルピネオールとトリデカノールの混合物を、分散剤として用いた。
【0139】
実施例6、8、および10において、追加のセルロース(置換度:100)をペーストに加えた。
【0140】
ペーストの適用および焼結手順
ペーストを20〜25℃でステンシル印刷によって適用し、ステンシルは厚さ75μmで、印刷面積は10×10mmであった。ピッチ角60度の鋼製スキージを用いた。印刷速度は50mm/sであった。
【0141】
生成された金属ペーストは、互いに結合された2つの成分を焼結するために用いた。
【0142】
異なる焼結性混合物(表1)の焼結性(表2を参照)を、2つの焼結手順、すなわち圧力焼結および無圧力焼結によって測定した。焼結条件は以下のとおりである。
【0143】
a)圧力焼結
圧力焼結は、焼結ペーストを金/ニッケルの表面を含んだ成分に適用した後(焼結ペーストは金側に接触した)または銅の表面に適用した後に行った。その後、焼結ペーストを、TiNiAg金属被覆を有するシリコン成分に接触させ、それぞれの圧力(プロセス圧力)で、240℃で3分間焼結させた。
【0144】
b)無圧力焼結
無圧力焼結は、焼結ペーストを金/ニッケルの表面を含んだ成分に適用した後(焼結ペーストは金側に接触した)または銅の表面に適用した後に行った。その後、焼結ペーストを、TiNiAg金属被覆を有するシリコン成分に接触させた。次の加熱プロファイルを無圧力焼結で用いた。焼結される接触部位を、30分間にわたって25℃〜160℃で徐々に加熱し、その後、160℃で30分間維持した。次に、5分間にわたって最終温度230℃まで温度を徐々に上昇させ、その後60分間、この温度に維持した。その後、温度を50分間にわたって30℃まで徐々に下げた。
【0145】
焼結プロセスは、保護ガス雰囲気(窒素)下または空気にさらして進めてもよい。
【0146】
焼結性の評価
焼結性は2つの等しく重み付けした評価基準によって測定した。
【0147】
第1の基準:スクリーンカット試験
焼結された接触部位は、5つの平行なカットラインを、水平方向および垂直方向に有した。それぞれのカットライン間の長さは1mmであった。
【0148】
焼結層が分離せず、カットがきれいな場合、非常に良いスクリーンカット(グレード=1)が明らかである。
【0149】
少しの剥がれと破断がある場合は、中等度のスクリーンカット(グレード=3)が明らかである。
【0150】
焼結層が分離する場合、非常に不十分なスクリーンカット(グレード=5)が明らかである。
【0151】
スクリーンカットが非常に良いスクリーンカットと中等度のスクリーンカットとの間にある場合、良いスクリーンカット(グレード=2)が明らかである。
【0152】
スクリーンカットが中等度と非常に不十分なスクリーンカットの間にある場合、不十分なスクリーンカット(グレード=4)が明らかである。
【0153】
第2の基準:曲げ試験
シリコン成分に結合した基板を、図1および2に示すようにローラーに取り付けた。図1および2において、焼結層(4)によって基板(ニッケル/金成分または銅成分)(1)に対して焼結されたシリコン成分(3)を、直径2cmのローラー(2)に取り付けた。その複合体を右から左に進めてローラー上で曲げた。図1は、シリコン成分(3)が基板に完全に接着しているので、非常に良い結果(グレード=1)の曲げ試験を示している。
【0154】
図2は、シリコン成分(3)が基板から剥がれているので、非常に不十分な結果(グレード=5)の曲げ試験を示している。グレード2〜4はこれらの極値の間にある。
【0155】
その後、スクリーンカット試験および曲げ試験のグレードを足し、平均値を算出した。平均値は、それぞれの焼結性混合物に関して、表2に「焼結性」として示した。
【0156】
それぞれのペーストの焼結性結果は、表2に示している。
【表1】
【0157】
【表2】
図1
図2