特許第6162934号(P6162934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162934
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】コンクリート面の補強方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20170703BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   E04G23/02 D
   E01D22/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-170602(P2012-170602)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-29097(P2014-29097A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】出蔵 貴司
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 祐司
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩二
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−144540(JP,A)
【文献】 特開2003−071377(JP,A)
【文献】 特開2009−281018(JP,A)
【文献】 特開2000−274010(JP,A)
【文献】 特開2004−084411(JP,A)
【文献】 特開2004−162321(JP,A)
【文献】 特開2012−007290(JP,A)
【文献】 特開2001−355343(JP,A)
【文献】 特開2011−032694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強用繊維強化格子体を取り付けてコンクリート面を補強する補強方法において、
コンクリート面へプライマーの層を形成するプライマー層形成工程と、
該プライマー層の上に補強用繊維強化格子体の裏面のみを接着させて取り付ける補強用
繊維強化格子体の接着取付け工程と、
該補強用繊維強化格子体と該補強用繊維強化格子体の表面及び側面で、直接、モルタル
が接するように該補強用繊維強化格子体を埋め込んだモルタル層を形成するモルタル層形
成工程、
を順次有し、
プライマー層形成工程の前段階で、コンクリート面にアンカーボルトの下穴を形成する下穴形成工程を経ることを特徴とするコンクリート面の補強方法。
【請求項2】
プライマー層を介して補強用繊維強化格子体の帯部の裏面がコンクリート面に密接状態
で接着されていることを特徴とする請求項1記載のコンクリート面の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物を補強(補修も含む)するための補強方法に関し、更に詳しくは、補強用繊維強化格子体を既設のコンクリート躯体であるコンクリート面に密接させて設置し、モルタル等で増厚する補強方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、コンクリート構造物である橋脚部、道路床部、トンネル内壁部等の露出したコンクリート面においては、老朽化、地震等の原因で表面が劣化し、クラック、剥離等が発生することがある。
このような問題に対処するために、劣化したコンクリート面を増厚して補強する手当がなされている。
このような事後的な補強方法としては、現在、種々の方法が提供されているが、例えば、コンクリート面に鋼板を接着剤で貼り付けて、アンカーボルトで固定する鋼板接着工法がある。
【0003】
しかし、この方法は鋼板の自重が大きく、運送、或いは施工時の安全性に注意が必要であり、また、塩害により鋼板自体が錆びて腐食し、補強効果が低下する問題がある。
また表面に金網を取り付け、この上から塗布材を塗布する方法があるが、この金網自体は、鋼板よりも軽いが、やはり材質が金属であるため重量が嵩み、強度的にも必ずしも十分ではない。
金網は屈曲性があって重い上、施工中にも落下の危険がある。
このようなことから、補強材として軽量の補強用シートを用いた連続繊維シート接着工法が開発されている。
【0004】
これは例えば、炭素繊維等の強化繊維に常温硬化型エポキシ樹脂等のマトリックス樹脂含浸させた補強用シートをコンクリート面に接着剤を用いて貼り付け硬化させるものである。
しかし、この連続シート接着工法は、表面が平坦であることが必要で、対象となるコンクリート面の不陸作業に手間やコストがかかることや、湿潤面への施工が困難である。
更に補強材として軽量の格子状の繊維強化補強材を使った方法が開発されている。
【0005】
これは補強材としてFRP格子材を用いポリマーやセメントのモルタルで増厚する増厚工法である。
具体的には、このFRP格子材を用いた増厚工法は、FRP格子材を、コンクリートの表面に、アンカーボルトで固定することによりコンクリート構造物に取り付ける。
そしてFRP格子材をコンクリート面10に取り付けた後、その上から、プライマー20を、FRP格子材30とコンクリート面10に同時に塗布する(図8参照)。
その後、FRP格子材30を取り付けたコンクリート面10にセメントのモルタル40を吹き付け或いは手塗りして、所定の厚さに被覆する。
この方法は、このFRP格子材30が鉄筋と同様の補強効果がある上、また軽量であり取り付け作業が簡単で安全でもある。
【0006】
しかし、この方法の欠点として、プライマー20を塗布する際、FRP格子材30により凹凸ができているため刷毛塗りの場合は塗りにくい。
また吹き付けの方法もあるが、やはり、凹凸があるため液が跳ねて飛散し易く、人体への悪影響も考えられる。
【0007】
更なる問題点として、図8にも示すように、コンクリート面10に取り付けられたFRP格子材30の帯部の裏にはプライマー20を塗布できない。
更に、帯部に一定の厚みがあるため、その端面付近にはプライマー20の塗布されない部分(すなわち非塗布部分S1)が生じる。
またFRP格子材30の帯部の裏面とコンクリート面10との間は必然的にプライマー20が介在しない状態となる。
これではコンクリート構造物表面に対する直接的な接着効果が期待できない。
その上、FRP格子材30はアンカーボルトKにより間隔を開けて押し付けられ、ポイント毎に仮固定されているので、図9にも示すように、その間隔部分が撓み易くコンクリート面10と帯部の裏面との間に空間S2が生じ易い。
【0008】
そのため、この後、セメントのモルタル40を吹き付けた場合も、図10に示すようにFRP格子材30の帯部の裏面とコンクリート面10との間に空間S2が残存することになる。
施工後にこのように空間S2が残ると、そこから剥離が広がり、或いは空間に水が溜まり、冬場に凍結膨張したりすると、クラックが生じることがある。
【0009】
そのため、一方では、FRP格子材30に直接、プライマーを塗布しておく方法も開発されている(特許文献1)。
しかし、FRP格子材30にプライマー20を塗布するには、別の工程が余分に必要となり、施工工数が増え作業効率が悪い。
更に、プライマーの特性上、プライマー塗布後、次のモルタルの塗布(吹き付け)までに、3時間程度の養生が必要であるため、別工程で生じるこの時間も作業効率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4890696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上の技術的背景をもとに、本発明はなされたものである。
すなわち本発明は、補強用繊維強化格子体を取り付けてコンクリート面を補強する補強方法において、補強用繊維強化格子体とコンクリート面との密接性が高められる上、プライマーを塗布する際の飛散もなく効率的な補強作業が行える補強方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、鋭意研究したところ、補強用繊維強化格子体3の取り付けと、プライマーの塗布の順序を逆にするという常識外のことを行うことで、意外にも、これらの問題点を解決することができることを見出し、この知見により本発明を完成させたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、(1)、補強用繊維強化格子体を取り付けてコンクリート面を補強する補強方法において、コンクリート面へプライマーの層を形成するプライマー層形成工程と、該プライマー層の上に補強用繊維強化格子体の裏面のみを接着させて取り付ける補強用繊維強化格子体の接着取付け工程と、該補強用繊維強化格子体と該補強用繊維強化格子体の表面及び側面で、直接、モルタルが接するように該補強用繊維強化格子体を埋め込んだモルタル層を形成するモルタル層形成工程、を順次有し、プライマー層形成工程の前段階で、コンクリート面にアンカーボルトの下穴を形成する下穴形成工程を経るコンクリート面の補強方法に存する。
【0016】
また、本発明は、()、プライマー層を介して補強用繊維強化格子体の帯部の裏面が
コンクリート面に密接状態で接着されている上記(1)記載のコンクリート面の補強方法
に存する。



【発明の効果】
【0018】
本発明のコンクリート面1の補強方法は、コンクリート面1(いわゆる既設のコンクリート躯体)に下穴Pを形成する下穴形成工程、該コンクリート面1へプライマーの層を形成するプライマー層形成工程と、該プライマー層2の上に補強用繊維強化格子体3を接着させて取り付ける補強用繊維強化格子体接着工程と、該補強用繊維強化格子体3を埋め込んだモルタル層4を形成するモルタル層形成工程、とをこの順序で有するので、コンクリート面1と補強用繊維強化格子体3との間がプライマー層2を介して接着されるため、コンクリート面1と補強用繊維強化格子体3とが強固に一体化する。
【0019】
また補強用繊維強化格子体3の帯部の端面付近に、従来のような非塗布部分S1が全く生じない。
またモルタルを打った後も補強用繊維強化格子体3の帯部の裏側とコンクリート面1との間にも空間S2は生じない。
そのため両者間にクラックや剥離が発生することがなく補強強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明のコンクリート面の補強方法の実施の形態の全手順を示したものである。
図2図2は、補強用繊維強化格子を示したもので、図2(A)は、平面図、図2(B)は斜視図である。
図3図3は、下穴形成工程を説明する図である。
図4図4は、プライマー層形成工程を説明する図である。
図5図5は、補強用繊維強化格子体の接着取付け工程を説明する図である。
図6図6は、モルタル層形成工程を説明する図である。
図7図7は、本発明のコンクリート面の補強方法の別の実施の形態の全手順を示したものである。
図8図8は、従来のコンクリート面の補強方法の欠点を説明する図である。
図9図9は、従来のコンクリート面の補強方法の別の欠点を説明する図である。
図10図10は、従来のコンクリート面の施工後における残存空間を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態)
以下、本発明に係る補強用繊維強化格子体3を使った補強方法の実施の形態について以下に述べる。
本発明のコンクリート面1の補強方法は、補強用繊維強化格子体3の裏面とコンクリート面1の間の空間を排除することができるもので、両者の接着性も高まるという他の補強方法にはない優位性がある。
【0022】
図1は、本発明のコンクリート面1の補強方法の全手順を示したものである。
本発明の補強方法は、図のように、下穴形成工程、プライマー層形成工程、補強用繊維強化格子体の接着取付け工程、モルタル層形成工程を順次経るものである。
最初に、本発明の補強方法で使用する補強用繊維強化格子について説明しておく。
【0023】
図2は補強用繊維強化格子を示したもので、図2(A)は平面図、図2(B)は斜視図である。
補強用繊維強化格子は、強化繊維をマトリクス合成樹脂で固めたもので、格子状の縦横の帯部(縦帯31、横帯32)よりなる。
縦帯31と横帯32との交差面が面一であり断面が薄い。
補強用繊維強化格子自体は、比較的大きい曲率で撓むことができ、床面のような平面以外にも、トンネル壁のような曲面にも対応が可能である。
強化繊維が縦帯31と横帯32の2方向に配列しており縦横の強度も高い。
【0024】
強化繊維としては、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維等)、金属繊維(超弾性綱、チタン、アルミ等)、有機繊維(アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、PBО、ポリプロピレン等)が採用されるが、更にこれらの2つ以上を組み合わせてもよい。
【0025】
また、マトリクス合成樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂等が採用され、これらの2つ以上を組み合わせてもよい。
【0026】
この補強用繊維強化格子は、軽いだけでなく腐食しないため作業性に優れ、また極めて耐久性に富むものである。
ここで、補強用繊維強化格子体3の形態については、縦帯や横帯は、幅が5〜30mm、厚さが1〜20mmとされる。
また縦帯31の間隔と横帯32の間隔は、通常等しく10〜200mmが採用される。
【0027】
次に各工程について述べる。
1)下穴形成工程(図3
この工程は、コンクリート構造物の対象となるコンクリート面1(いわゆる既設のコンクリート躯体)に下穴Pを形成する工程である。
この下穴Pは、補強用繊維強化格子体3を取り付けるためのアンカーボルトKを固定する穴であり、アンカーボルトKの設置箇所に対応する適宜の位置に穿孔して形成する。
後述するように、アンカーボルトKによって、補強用繊維強化格子体3を縦横方向に一定の間隔を開けてポイント毎に押さえてコンクリート面1に仮固定する。
【0028】
2)プライマー層形成工程(図4
この工程は、対象となるコンクリート面1にプライマー層2を形成する工程である。
プライマー層2を形成するには、プライマーを吹き付け塗布、刷毛塗り、ローラ刷毛塗り等の適宜の手段が採用される。
【0029】
この場合、前工程で穿孔した下穴Pにもプライマーが一部入り込むため、次の段階で行われる補強用繊維強化格子体の接着取付け工程において、アンカーボルトKの下穴Pへの固着力が増す利点がある。
【0030】
プライマー層2の厚さは、補強用繊維強化格子体3の単位面積当たりの重さやコンクリート面1の荒さ状態を考慮して形成されるが、通常、1mm〜3mmが採用される。
ここで、プライマー層2を形成するためのプライマー2としては、補強用繊維強化格子体3とコンクリート面1、モルタル4との相溶性を踏まえ界面の強度が十分保証できる材料が用いられる。
【0031】
例えば、プライマーとしては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、MMA樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が、採用される。
本発明のプライマーは、従来のように補強用FRP格子材の上から塗布するのとは異なって、コンクリート面1に、直接、塗布するので凹凸が少なく、飛び散りや塗布ムラの心配もなく作業効率もよい。
【0032】
3)補強用繊維強化格子体の接着取付け工程(図5
この工程は、補強用繊維強化格子体3をコンクリート面1に接着と同時に取り付ける工程である。
この取り付けは、補強用繊維強化格子体3の帯面をアンカーボルトKで押さえて取り付ける。
前記の下穴形成工程によりコンクリート面1に形成された下穴Pに対してアンカーボルトKを打ち込むことでアンカーボルトKを固定する。
その際、アンカーボルトKとアンカーボルトKの間の部分は、プライマー層2に強く押し付けるようにして密接させる。
コンクリート面1には前工程によりプライマー層2が形成されているので、補強用繊維強化格子体3はコンクリート面1に密接状態で接着される。
この点が本発明の優れた特徴点である。
先述したように、補強用繊維強化格子体3が間隔毎にアンカーボルトKで固定されており、その間隔部分が撓んでコンクリート面1と帯部の裏面との間に空間ができる現象は生じない。
【0033】
ちなみに従来の補強方法では、補強用繊維強化格子体3の帯部の裏側とコンクリート面1との間に空間S2(隙間)が生じる。
本発明の補強方法では、このような隙間S2が生じないため、補強用FRP格子材の帯部の裏側とコンクリート面1との間がプライマー層2をして確実に接着される。
この接着強度が補強用繊維強化格子体3の貼り付け強度に寄与する。
【0034】
4)モルタル層形成工程(図6
この工程は、補強用繊維強化格子体3を埋め込んだモルタル層4を形成するモルタル層形成工程である。
補強用繊維強化格子体3を埋め込むようにしてモルタル層4を形成して増厚するが、このように、モルタル層4を形成するには、コテ塗りや吹き付け手法が採用される。
補強用繊維強化格子体3がコンクリート面1にプライマー層2を介して密接しているため、薄い比較的撓み易い補強用繊維強化格子体3であっても、バタ付くようなことがなく、吹き付けやコテ塗り作業が行い易い。
またコンクリート面1にはプライマー層2が形成されているので、補強用繊維強化格子体3の帯部の端面付近には従来のように、非塗布部分S1が全く生じない。
またモルタルを打った後も補強用繊維強化格子体3の帯部の裏側とコンクリート面1との間に空間S2は生じない。
そのため、従来のように、空間に水が溜まって冬場に凍結膨張したクラックが生じるようなことはない。
【0035】
(他の実施の形態)
前述した実施の形態では、下穴形成工程はプライマー層形成工程の前段階で行われていが、この下穴形成工程は、補強用繊維強化格子体3を取り付ける前であればよく、次の、プライマー層形成工程の後の段階で行うことも可能である。
即ち、本発明の補強方法は、図7のように、プライマー層形成工程、下穴形成工程、補強用繊維強化格子体の接着取付け工程、モルタル層形成工程の順に行われる。
【0036】
一方、補強用繊維強化格子体3の帯部の表面は、直接、モルタル4と接しているが、補強用繊維強化格子体3の帯部の裏面がコンクリート面1に密接状態で接着しているため、モルタルが帯部の保持効果を十分発揮できる。
【実施例1】
【0037】
施工する面(コンクリート面)に下穴を縦横に間隔を保って1m当たり、6箇所、穿孔した。
コンクリート面1にエポキシ樹脂(プライマー)をロール刷毛で塗布しプライマー2層(平均2mm)を形成した。
その後、アンカーボルトを使って20カ所で補強用繊維強化格子体であるFRPグリッドを押さえて仮固定した。
アンカーボルトKとアンカーボルトKの間隔の部分もコンクリート面1に密接して接着固定された。
この後、特殊ポリマーセメントモルタルを吹き付け塗布し、FRPグリッドを埋め込んだ。
28日後、補強強度が十分なことを確認した。
以上、本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のコンクリート面1の補強方法は、プライマー層形成工程の後に補強用繊維強化格子体の接着工程を経るので、補強用繊維強化格子体3とコンクリート面1との密接性が高められる特徴を有するもので、施工後も補強用繊維強化格子体3とコンクリート面1との間に空間が生じることがなく、トンネル内壁、水路底、下水溝、橋脚壁等の広い分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…コンクリート面
2…プライマー層
3…補強用繊維強化格子体
31…縦帯
32…横帯
4…モルタル層
10…コンクリート面
20…プライマー
30…FRP格子材
40…モルタル
P…下穴
K…アンカーボルト
S1…非塗布部分
S2…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10