特許第6162942号(P6162942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6162942
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】乗物用座席
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/28 20060101AFI20170703BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20170703BHJP
   B60N 2/70 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   A47C7/28 Z
   A47C7/18
   B60N2/70
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-240537(P2012-240537)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-87557(P2014-87557A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309034490
【氏名又は名称】天龍工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 幸生
(72)【発明者】
【氏名】角田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 創司
(72)【発明者】
【氏名】二村 有哉
(72)【発明者】
【氏名】山辺 正樹
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−141108(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00562453(EP,A1)
【文献】 米国特許第01402556(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/28
A47C 7/18
B60N 2/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座フレーム(21)と、座フレーム(21)の間に張架された座クッション受け(30)と、座クッション受け(30)の上に載置された座クッション(40)とを備え、座クッション(40)は、平面視で座フレーム(21)にかかる寸法を有し、該座フレーム(21)にかかる部分の下面に座フレーム(21)に当接しないよう高さレベルを上げた底上げ部(45)が形成され、
底上げ部(45)は、座クッション(40)に体重70Kgの人が着座しても、座フレーム(21)に当接しないよう高さレベルを上げて形成された乗物用座席。
【請求項2】
座フレーム(21)と、座フレーム(21)の間に張架された座クッション受け(30)と、座クッション受け(30)の上に載置された座クッション(40)とを備え、座クッション(40)は、平面視で座フレーム(21)にかかる寸法を有し、該座フレーム(21)にかかる部分の下面に座フレーム(21)に当接しないよう高さレベルを上げた底上げ部(45)が形成され、
座クッション受け(30)は、シートであり、コイルスプリング(35)を介して座フレーム(21)に張架され、
座クッション(40)の下面は、座クッション受け(30)ないしコイルスプリング(35)の座クッション受け寄り端部に当接し、
底上げ部(45)は、コイルスプリング(35)の座フレーム寄り端部ないし座フレーム(21)に当接しないように形成された乗物用座席。
【請求項3】
座クッション受け(30)は、シートであり、コイルスプリング(35)を介して座フレーム(21)に張架され、
座クッション(40)の下面は、座クッション受け(30)ないしコイルスプリング(35)の座クッション受け寄り端部に当接し、
底上げ部(45)は、コイルスプリング(35)の座フレーム寄り端部ないし座フレーム(21)に当接しないように形成された請求項記載の乗物用座席。
【請求項4】
座クッション受け(30)は、シートであり、コイルスプリング(35)を介して座フレーム(21)に張架され、
座クッション(40)の下面は、座クッション受け(30)に当接し、
底上げ部(45)は、コイルスプリング(35)ないし座フレーム(21)に当接しないように形成された請求項記載の乗物用座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道走行車両、自由走行車両、船舶、航空機等の各種乗物に設置される乗物用座席に関し、特に座部の構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
乗物用座席の座部には、良好な座り心地のために大きい弾性ストロークが要求され、また、軽量性と省スペース性のために薄型化が要求される。 この弾性ストロークと薄型化とを両立しうる座部構造として、座フレームの間に、二次元状に広がる座クッション受けを、コイルスプリングを介して又は座クッション受け自体に弾性を持たせて張架し、座フレーム及び座クッション受けの上に座クッションを載置したものがある。座クッション受けと座クッションとで大きい弾性ストロークを得ると共に、座クッション受けが薄手で済むことと座クッションを比較的薄型にできることとで薄型化を図ることができる。
【0003】
特許文献1は、座クッション受けとして塩化ビニール製シート等の弾性を有するシートを用いたものである。特許文献2は、座クッション受けとしてワイヤを用い、該ワイヤをコイルスプリングを介して座フレームに張架したものである。また、座クッション受けとして、S字スプリングも用いられる。特許文献3も、座クッション受けとしてワイヤを用い、該ワイヤをコイルスプリングを介して座フレームに張架したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−104550号公報
【特許文献2】実開昭58−91952号公報
【特許文献3】実開昭57−65650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗物用座席には、乗物の走行時の振動が伝わるため、その振動を着座者にはできるだけ伝わらないようにすることが好ましい。前述した従来の乗物用座席(特許文献1〜3)は、座フレームが振動しても、コイルスプリング又は座クッション受け自体の弾性によってその振動が吸収されるため、座クッション受けの振動は抑えられる。よって、その座クッション受けの上に載置された座クッションには、振動が伝わりにくいと考えられる。
【0006】
ところが、乗物によって走行時の振動の原因、周波数、波形、振幅等は種々異なるものであり、本発明者らが検討したところ、振動の種類によっては、上記の乗物用座席であっても、かなりの振動が着座者に伝わる場合があることが分かってきた。それは、次の原因によるものと考えている。座クッションは、平面視で座フレームにまでかかるサイズに形成されていることから、座クッションの中央部分が座クッション受けに載置されるだけでなく、座クッションの端部分が座フレームに載置される。そして、座クッションの中央部分が座クッション受けに当接する面積と比べて、座クッションの端部分が座フレームに当接する面積はずっと小さいが、それでも該小面積から、振動がその種類によっては予想外に座クッションに伝わり、さらに着座者に伝わって座り心地を害するのである。
【0007】
なお、特許文献3では、座クッションの下面に、コイルスプリングに対応した凹溝を形成しており、この凹溝により、座クッションとコイルスプリングとの接触が無くなり、スプリングの伸縮が円滑に行われ、擦過異音の発生が防止されるとしている。しかし、この凹溝は座フレームに対応するものではないため、座クッションの端部分は座フレームに載置されるようになっている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、乗物の走行時の振動が座クッションに伝わりにくく、座り心地の良い乗物用座席を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の乗物用座席は、座フレームと、座フレームの間に張架された座クッション受けと、座クッション受けの上に載置された座クッションとを備え、座クッションは、平面視で座フレームにかかる寸法を有し、該座フレームにかかる部分の下面に座フレームに当接しないよう高さレベルを上げた底上げ部が形成され、さらに次の(a)又は(b)の手段が採られたことを特徴とする。
(a)底上げ部は、座クッションに体重70Kgの人が着座しても、座フレームに当接しないよう高さレベルを上げて形成された。
(b)座クッション受けは、シートであり、コイルスプリングを介して座フレームに張架され、座クッションの下面は、座クッション受けないしコイルスプリングの座クッション受け寄り端部に当接し、底上げ部は、コイルスプリングの座フレーム寄り端部ないし座フレームに当接しないように形成された。
次に、本発明の態様を例示する。
【0010】
1.座フレーム
座フレームとしては、左右方向に間隔をおいて並ぶ2つの座フレームの間に座クッション受けが張架された態様、前後方向に間隔をおいて並ぶ2つの座フレームの間に座クッション受けが張架された態様、四角枠を形成する4つの座フレームの間に座クッション受けが張架された態様等を例示できる。
【0011】
2.座クッション受け
座クッション受けとしては、座フレームの間に張架できる二次元状に広がるものであれば特に限定されないが、(a)布、樹脂、ゴム等よりなるシート、(b)布、樹脂、金属等よりなる網、(c)複数本の並行したワイヤ、(d)複数本の並行したS字スプリング等を例示できる。
【0012】
座クッション受けは、その端部を座フレームに直接結合してもよいし、その端部をコイルスプリング等のスプリングを介して座フレームに結合してもよい。布シート等のように自身に弾性が実質的にない座クッション受けを用いる場合には、着座時の弾性ストロークを大きくするために、後者のスプリングを介した結合が好ましい。
【0013】
3.座クッションの底上げ部
底上げ部の形状としては、特に限定されないが、次の態様を例示できる。
(ア)座クッションのうち座フレームにかかる部分の下面が、座クッションのうち座クッション受けにかかる部分の下面に対して、段状に高さレベルを上げた断面鉤形状。
(イ)座クッションのうち座フレームにかかる部分の下面が、座クッションのうち座クッション受けにかかる部分の下面に対して、徐々に高さレベルを上げた断面傾斜形状。
【0014】
底上げ部は、座クッションに着座していないときに座フレームに当接しないよう高さレベルを上げていれば、たとえ座クッションに着座したときに座フレームに当接したとしてもその当接力は弱まるので、乗物の走行時の振動が座フレームから座クッションに伝わりにくくなり、着座者に伝わる振動は抑制され、座り心地が向上する。
【0015】
但し、底上げ部が、座クッションに着座して座クッションが圧縮変形しても、座フレームに当接しないよう高さレベルを上げて形成されていれば、乗物の走行時の振動が座フレームから座クッションに直接には伝わらなくなるため(座クッション受けを介しては伝わる)、着座者に伝わる振動はより確実に抑制され、座り心地はさらに良くなる。よって、底上げ部は、座クッションに体重70Kgの人が着座しても、座フレームに当接しないよう高さレベルを上げて形成されていることが好ましい。この場合、座クッションにより軽い体重70Kg未満の人が着座しても、70Kgの場合より座クッションの圧縮変形量は減るだけなので、底上げ部は座フレームに当接しない。なお、現在の日本人男性の標準体重は64kgである。さらに、底上げ部は、座クッションに体重95Kgの人が着座しても、座フレームに当接しないよう高さレベルを上げて形成されていることがより好ましい。この場合、座クッションに体重95Kg未満の人が着座しても、底上げ部は座フレームに当接しない。
【0016】
4.組み合わせの態様
上記各要素を組み合わせた好ましい態様として、次のものを例示できる。
(1)座クッション受けは、シートであり、コイルスプリングを介して座フレームに張架され、座クッションの下面は、座クッション受けないしコイルスプリングの座クッション受け寄り端部に当接し、底上げ部は、コイルスプリングの座フレーム寄り端部ないし座フレームに当接しないように形成された態様。コイルスプリングのうち、座フレーム寄り端部は座フレームの振動を受けて振動しやすいが、座クッション受け寄り端部はコイルスプリング自身が振動を吸収するため振動しにくい。よって、底上げ部は、コイルスプリングの座フレーム寄り端部にも当接しないように形成することが好ましいのである。一方、座クッションのうち底上げ部を形成した部分は、厚さが減少して形状保持力が弱くなるので、底上げ部は過大にならないことが好ましい。よって、座クッションの下面を、コイルスプリングの座クッション受け寄り端部にも当接するように形成して、底上げ部が過大にならないようにしているのである。
(2)座クッション受けは、シートであり、コイルスプリングを介して座フレームに張架され、座クッションの下面は、座クッション受けに当接し、底上げ部は、コイルスプリングないし座フレームに当接しないように形成された態様。この態様(2)は、上記の態様(1)と比べて、底上げ部が大きくなるのでその部分の座クッションの形状保持力は低下するが、コイルスプリングから座クッションに伝わる振動はさらに低減される。
【0017】
5.乗物
本発明の乗物用座席を適用できる乗物としては、特に限定されないが、(a)鉄道車両等の各種軌道に沿って走行する軌道走行車両、(b)バス等の路上を自由に走行する自由走行車両、(c)船舶、(d)航空機等を例示できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の乗物用座席は、乗物の走行時の振動が座クッションに伝わりにくく、座り心地が良いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1の乗物用座席の斜視図である。
図2】同乗物用座席の図4におけるII−II線断面図である。
図3】同乗物用座席の座クッションを外したときの平面図である。
図4】同乗物用座席の図2におけるIV−IV線断面図である。
図5】同乗物用座席の図2におけるV−V線断面図である。
図6】同乗物用座席の図5の要部拡大断面図であり、(a)は非着座時の断面図、(b)は着座時の断面図である。
図7】同乗物用座席の座クッションを示し、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図である。
図8】(a)は実施例2の要部断面図、(b)は実施例3の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
乗物用座席は、座フレームと、座フレームの間に張架された座クッション受けと、座クッション受けの上に載置された座クッションとを備え、座クッションは、平面視で座フレームにかかる寸法を有し、該座フレームにかかる部分の下面に座フレームに当接しないよう高さレベルを上げた底上げ部が形成されている。
【実施例1】
【0021】
図1図7に示す実施例1の乗物用座席10は、軌道走行車両用として適する二人掛け用の座席であり、脚部11と座部20と背当部15と肘掛部16、17とを含む。なお、以下の説明で「左右」とは、着座者から見た左右であり、各図を見たときの左右とは逆である。
【0022】
脚部11は、床面9に固定される複数本の脚体12と、脚体12を上端部で互いに連結する連結体13とからなる。
【0023】
座部20は、軌道走行車両の進行方向の変更に合わせて座席の向きを変えるための回転機構(図示略)を介して連結体13上に設けられた座フレーム21と、座フレーム21の間(内空間)に張架された2つの座クッション受け30と、座クッション受け30に載置された2つの座クッション40とを備える。
【0024】
座フレーム21は、左右方向に延びて前後方向に間隔をおいて平行に並ぶ前フレーム22及び後フレーム23と、前後方向に延びて前フレーム22及び後フレーム23の左右両端部をそれらより上方位置でまたがるようにして連結する左フレーム24及び右フレーム25と、前フレーム22及び後フレーム23の左右センターをそれらより上方位置でまたがるようにして連結するセンターフレーム26とから構成されている。よって、左フレーム24及び右フレーム25とセンターフレーム26とは左右方向に間隔をおいて平行に並び、これらよりも一段低い位置に前フレーム22及び後フレーム23がある。左フレーム24及び右フレーム25とセンターフレーム26には、それぞれ複数(4つ)の掛止穴28が前後方向に略等間隔をおいて貫設され、掛止穴28にはそれぞれ保護ブッシュ29が嵌入されている。左フレーム24及び右フレーム25にはそれぞれ左右の肘掛けフレーム27が一体形成されている。
【0025】
2つの座クッション受け30が、左フレーム24とセンターフレーム26との間、また、右フレーム25とセンターフレーム26との間に、それぞれコイルスプリング35を介して張架されている。座クッション受け30は、これらの間の距離よりも短い略矩形状に形成された布シートである。座クッション受け30の左右の両端部は折り返されて縫合されることにより袋部31を形成しており、袋部31の中に前後方向に延びるテンションバー32が挿入されている。コイルスプリング35は、一端のフック部が座クッション受け30のテンションバー32を超えた部位を突き抜けてテンションバー32に掛止され、他端のフック部がフレーム24,25,26の掛止穴28の保護ブッシュ29に掛止されている。そして、コイルスプリング35の弾性力を受けてテンションバー32が座クッション受け30を均一に左右方向に緊張するようになっている。テンションバー32の前後両端はループ状に折り返されて折り返し部33が形成され、この折り返し部33に最前部及び最後部のコイルスプリング35のフック部が係合することにより、テンションバー32が座クッション受け30から抜脱しないようになっている。座クッション受け30の天面の複数箇所には面ファスナの一方34が縫合されている。
【0026】
2つの座クッション40は、略矩形状の発泡ウレタンよりなるクッション芯41と、クッション芯41の底面から側面の一部までを覆うようにクッション芯41の表面に接合された面ファスナの他方42と、クッション芯41の天面から側面及び底面の一部までを覆うようにクッション芯41の表面に接合された表皮43とからなる。座クッション40は、座クッション受け30に載置され、前記面ファスナの他方42を面ファスナの一方34に係着することで座クッション受け30に接合されている。
【0027】
左側の座クッション40は、平面視で、座フレーム21の前フレーム22と後フレーム23と左フレーム24とセンターフレーム26の左半分とにかかる寸法を有し、左フレーム24とセンターフレーム26の左半分とにかかる部分、すなわち座クッション40の左右の端部分の下面に、左フレーム24とセンターフレーム26の左半分に当接しないよう段状に高さレベルを上げた断面鉤形状の底上げ部45が形成されている。
【0028】
より詳しくは、座クッション40の下面は、座クッション受け30ないしコイルスプリング35の座クッション受け寄り端部に当接し、底上げ部45は、コイルスプリング35の座フレーム寄り端部ないし左フレーム24又はセンターフレーム26の左半分に当接しない横幅に形成されている。また、図6(a)に示すように、底上げ部45は、座クッション40に着座していないときに左フレーム24又はセンターフレーム26の左半分に当接しないよう高さレベルを上げているだけでなく、図6(b)に示すように、底上げ部45は、座クッション40に体重95kgの人Mが着座して該座クッション40が圧縮変形しても、左フレーム24又はセンターフレーム26の左半分に座フレームに当接しないよう高さレベルを上げて形成されている。なお、前述のとおり、前フレーム22及び後フレーム23は左フレーム24とセンターフレーム26よりも一段低い位置にあるため、座クッション40の前後の端部分の下面が前フレーム22及び後フレーム23に当接することはない。
【0029】
右側の座クッション40は、平面視で、座フレーム21の前フレーム22と後フレーム23と右フレーム25とセンターフレーム26の右半分とにかかる寸法を有し、右フレーム25とセンターフレーム26の右半分とにかかる部分、すなわち座クッション40の左右の端部分の下面に、右フレーム25とセンターフレーム26の右半分に当接しないよう段状に高さレベルを上げた断面鉤形状の底上げ部45が形成されている。より詳しくは、上記の左側の座クッション40と、左右関係が異なるだけで、基本的には同様である。
【0030】
背当部15は、座フレーム21に対してリクライニング可能に取り付けられている。左右の肘掛部16は、それぞれ肘掛けフレーム27に支持されている。センターの肘掛部17は、センターフレーム26に支持されている。
【0031】
以上詳述した実施例1の乗物用座席10によれば、座クッション40に、左フレーム24、右フレーム25、センターフレーム26及びコイルスプリング35の座フレーム寄り端部に当接しないよう高さレベルを上げた底上げ部45が形成されているため、乗物の走行時の振動が座フレーム21及びコイルスプリング35の座フレーム寄り端部から座クッション40に直接には伝わらず(座クッション受け30を介しては伝わる)、着座者に伝わる振動は確実に抑制されるので、座り心地が良い。
【実施例2】
【0032】
図8(a)に示す実施例2は、座クッション40のうち座フレーム21(図示例では左フレーム24)にかかる部分の下面が、座クッション40のうち座クッション受け30にかかる部分の下面に対して、徐々に高さレベルを上げた断面傾斜形状に形成された点においてのみ実施例1と相違するものであり、その他は実施例1と同じである。この実施例2によっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【実施例3】
【0033】
図8(b)に示す実施例3は、座クッション40の下面は、座クッション受け30にのみ当接し、底上げ部45は、コイルスプリング35(その全体)ないし座フレーム21(図示例では左フレーム24)に当接しないように形成された点においてのみ実施例1と相違するものであり、その他は実施例1と同じである。この実施例によっても、基本的には実施例1と同様の作用効果が得られる。より詳しくは、実施例1と比べて、底上げ部45の横幅が大きくなるのでその部分の座クッション40の形状保持力は低下するが、コイルスプリング35から座クッション40に伝わる振動はさらに低減される。
【0034】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 乗物用座席
21 座フレーム
24 左フレーム
25 右フレーム
26 センターフレーム
30 座クッション受け
35 コイルスプリング
40 座クッション
45 底上げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8