(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸素濃縮器において、シーブベッドで空気から窒素を吸着して得た高濃度酸素を貯留するタンクに接続され、前記タンクで貯留される前記高濃度酸素の流量を調整して出力する流量制御ユニットであって、
前記高濃度酸素の流量を調整する流量調整部と、
前記高濃度酸素の圧力を調整する圧力調整部と、
前記高濃度酸素の濃度を測定する濃度測定部と、
前記流量調整部、前記圧力調整部及び前記濃度測定部がそれぞれ配設される配設面と、前記配設面とは異なる向きで開口し前記タンクに接続される導入口と、前記配設面とは異なる向きで開口する送出口と、内部に形成され、前記導入口を介して前記タンクから導入される前記高濃度酸素を前記送出口から送出する風路と、前記風路から分岐して形成され前記風路を前記流量調整部、前記圧力調整部及び前記濃度測定部に接続する分岐路と、を有する基台部と、
を具備し、
前記基台部は、前記流量調整部、前記圧力調整部及び前記濃度測定部が前記配設面に配設されると、前記分岐路を介して前記風路から前記流量調整部、前記圧力調整部及び前記濃度測定部に前記高濃度酸素が流入可能とされている、
ことを特徴とする流量制御ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る流量制御ユニット100を備える酸素濃縮器1の配管系統の概略構成を示す図である。
図1に示す酸素濃縮器1は、空気取入部10、空気圧縮部20、PSA(Pressure Swing Adsorption)部30、流量制御ユニット100を含む酸素調整部40、酸素供給部50を備えたPSA式の酸素濃縮器である。なお、本実施の形態では、酸素濃縮器を据置型の酸素濃縮器として説明するが、これに限らず、携帯型の酸素濃縮器としてもよい。
【0015】
空気取入部10は、原料空気となる外気を筐体内に取り入れる部分で、取入ケース11、ヘパフィルタ12、吸気タンク13等を有する。
【0016】
取入ケース11は、酸素濃縮器1の筐体に接して設けられた空気取入口11aを介して、筐体の外部の空気を、原料空気として筐体内に導入する。ヘパフィルタ12は、取入ケース11が導入した空気からゴミや埃等の空中浮遊粒子を除去する。また、吸気タンク13は、ヘパフィルタ12で空中浮遊粒子が除去された原料空気を、後段のコンプレッサ20の吸気のために収容する。吸気タンク13は、いわゆる膨張型消音器として機能し、配管断面積の変化による反射により、原料空気の吸気側へと伝達するコンプレッサ20の動作音に対して、消音効果を発揮する。
【0017】
空気圧縮部20は、所謂、コンプレッサであり、空気取入部10を介して導入された原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する。なお、空気圧縮部20の上流(ヘパフィルタ12の下流)には、空気圧縮部20の動作音に対して消音効果を発揮する膨張型消音器(サイレンサ)を配設するのが望ましい。また、この空気圧縮部20のコンプレッサの近傍には、コンプレッサを冷却する冷却用ファン25が設けられている。冷却用ファン25は、筐体に設けられた開口から外気を筐体内に吸引し、筐体に開口とは別に設けられた開口から排気する。冷却用ファン25により筐体内部に吸引された外気は、筐体内部を、コンプレッサ20を含む各種部品の熱を吸収しながら循環し、排気される。
【0018】
PSA部30は、高濃度酸素を生成する高濃度酸素生成部として機能する。PSA部30は、空気圧縮部20で生成された圧縮空気から窒素を分離して高濃度酸素(例えば、高濃度酸素ガス)を生成し、これを酸素調整部40に送出する。PSA部30は、流路切替部(マニホールド)31、排気サイレンサ32、シーブベッド(吸着塔)33A、33B、パージオリフィス34、均圧弁35、逆止弁36A、36B等を備えている。
【0019】
流路切替部31は、4つの切替弁SV1〜SV4を備えたマニホールド(多岐管)で構成され、空気圧縮部20で生成された圧縮空気をシーブベッド33A、33Bに交互に送出するとともに、シーブベッド33A、33Bを交互に大気圧に開放して窒素富化空気を排出する。
【0020】
具体的には、流路切替部31では、切替弁SV1が“開”、切替弁SV2が“閉”とされることにより、空気圧縮部20からシーブベッド33Aに向かう流路が開通される一方で、シーブベッド33Aから排気サイレンサ32に向かう流路が閉鎖される。同時に、流路切替部31では、切替弁SV3が“閉”、切替弁SV4が“開”とされることにより、空気圧縮部20からシーブベッド33Bに向かう流路が閉鎖される一方で、シーブベッド33Bから排気サイレンサ32に向かう流路が開通される。この場合、空気圧縮部20で生成された圧縮空気がシーブベッド33Aに送出され、シーブベッド33Bからは窒素富化空気が放出されて排気サイレンサ32を介して排気されることとなる。
【0021】
また、切替弁SV1〜SV4が上記と逆の状態となっている場合は、空気圧縮部20で生成された圧縮空気がシーブベッド33Bに送出され、シーブベッド33Aからは窒素富化空気が放出されて排気サイレンサ32を介して排気されることとなる。切替弁SV1〜SV4の開閉状態は、例えば10秒間隔で切り替えられる。
【0022】
排気サイレンサ32は、酸素濃縮器1の筐体に設けられた排気口(図示省略)に接続され、シーブベッド33A、33Bから放出された窒素富化空気を筐体の外部に排出する際の排気音を消音する。
【0023】
シーブベッド33A、33Bは、流路切替部31を介して送られてきた圧縮空気から窒素を分離し、高濃度酸素を生成する。シーブベッド33A、33Bには、酸素より窒素を早く吸着する性質を有するゼオライト等の吸着材が充填されている。
【0024】
シーブベッド33A、33Bは、流路切替部31によって空気圧縮部20からの流路が開通されているとき、圧縮空気が送り込まれて加圧状態となる。このとき、シーブベッド33A、33Bでは、窒素および水分が吸着され、酸素だけが通過するため、高濃度酸素が生成される(吸着工程)。シーブベッド33A、33Bで生成される高濃度酸素の濃度は、例えば90%程度に調整される。また、ゼオライトは窒素のみならず水分をも吸着するので、シーブベッド33A、33Bで生成される高濃度酸素は極めて乾燥した状態となる(例えば湿度0.1〜0.2%)。一方、シーブベッド33A、33Bは、流路切替部31によって排気サイレンサ32への流路が開通されているとき、大気圧に開放されて減圧状態となる。このとき、ゼオライトに吸着していた窒素および水分が脱離され、シーブベッド33A、33Bから窒素富化空気が放出され、排気サイレンサ32を介して排気される。これにより、シーブベッド33A、33Bの吸着能力が再生される(再生工程)。シーブベッド33A、33Bは、逆止弁36A、36Bを介して酸素調整部40の製品タンク41に接続されている。逆止弁36A、36Bは、製品タンク41に貯留された高濃度酸素がシーブベッド33A、33Bに逆流するのを防止する。また、シーブベッド33A、33Bの下流側は、パージオリフィス34を有する配管で接続されている。一方のシーブベッド33A(又は33B)で生成された高濃度酸素は、逆止弁36A(又は36B)を介して酸素調整部40に送出されるとともに、パージオリフィス34を介して他方のシーブベッド33B(又は33A)に送出される。生成された高濃度酸素の一部が他方のシーブベッド33B(又は33A)に送り込まれることにより、当該シーブベッド33B(又は33A)の再生工程が効率よく行われる。パージオリフィス34のオリフィス径によって、それぞれの流路における高濃度酸素の流量が制御される。
【0025】
また、シーブベッド33A、33Bの下流側は、均圧弁35を有する配管で接続されている。再生工程にあるシーブベッド33A、33Bを吸着工程に切り替える際、減圧(大気圧)下にそのまま圧縮空気を流入させると窒素の吸着効率が悪い。そのため、切替時に均圧弁35が“開”とされ、シーブベッド33A、33Bの圧力が平均化される。
【0026】
酸素調整部40は、PSA部30で生成された高濃度酸素を一時的に貯留しておき、加えて、その高濃度酸素の流量、濃度を調整する。そして、酸素調整部40は、流量、濃度調整された高濃度酸素を、酸素供給部50に送る。
【0027】
製品タンク41は、シーブベッド33A、33Bで生成された高濃度酸素を貯留するための容器である。シーブベッド33A、33Bから送出された高濃度酸素を一旦製品タンク41に貯留しておくことにより、高濃度酸素の濃度変動および圧力変動が抑制されるので、使用者に安定した濃度および流量で高濃度酸素を供給できる。
【0028】
この製品タンク41に対して順に接続される各部(圧力調整部(圧力レギュレータ)120、酸素センサ130、圧力センサ42及び流量調整部(マスフローコントローラ)160等)は、一つのユニットである流量制御ユニット100として構成されている。
【0029】
圧力調整部120は、供給する高濃度酸素の流量を制御するために、高濃度酸素の圧力を使用に適した一定圧に調整する。製品タンク41に貯留されている高濃度酸素の圧力は、製品タンク41への流入又は製品タンク41からの流出がある限り少なからず変動する。この場合、正確な流量制御が困難となる上、酸素センサ130による正確な濃度測定が困難となる。これを考慮して、圧力調整部120により高濃度酸素が一定圧に調整されるようになっている。
【0030】
酸素センサ(濃度測定部)130は、圧力調整部120により送出された高濃度酸素の濃度(酸素濃度)を、所定の間隔(例えば20分)又は連続して検出する。酸素センサ130には、例えばジルコニア式や超音波式のセンサが好適である。ここでは、酸素センサ130は、酸化物イオン導電体である安定化ジルコニアを用いた酸素センサであり、酸素富化機構によって生成された気体の酸素濃度(%)を周期的に測定している。なお、測定対象となる高濃度酸素の圧力が変動していると正確な測定が困難となるため、一般には、酸素センサ130は圧力調整部120の下流に流量制限オリフィスを介して接続される。
【0031】
圧力センサ42は、製品タンク41に貯留された高濃度酸素の圧力を検出する。圧力センサ42による検出結果に基づいて、製品タンク41に貯留された高濃度酸素の圧力が正常な範囲に保持されているかを確認できる。
【0032】
流量調整部160は、圧力調整部120から送出された高濃度酸素の流量を調整する。調整後の酸素流量を示す信号は、制御部(図示省略)に出力される。この流量調整部160としては、ここでは、マスフローコントローラ(
図3に示す比例制御弁162、流量センサ164、制御基板166等、参照)を用いている。この流量調整部160は、比例制御弁162を用いて、圧力調整部120により一定圧に調整された高濃度酸素の流量を調整しており、詳細は後述する。
【0033】
なお、制御部は、CPU(central processing unit)、制御プログラムを格納した記憶媒体としてのROM(read only memory)、及び作業用メモリとしてのRAM(random access memory)等を有する。CPUは、制御プログラムを実行することにより、コンプレッサ20や流路切替部31、酸素センサ130、流量調整部160を含めた各部の動作を制御する。
【0034】
酸素供給部50は、酸素調整部40から送出された高濃度酸素を、使用者の呼吸に同調して酸素出口55から放出する部分である。酸素供給部50は、バクテリアフィルタ51および圧力センサ53等を備えている。
【0035】
バクテリアフィルタ51は、使用者に清浄な高濃度酸素を供給するために、高濃度酸素に含まれる細菌類を捕集して除菌する。
【0036】
圧力センサ53は、使用者の呼吸を検出するためのセンサであり、バクテリアフィルタ51の下流側(バクテリアフィルタ51と酸素出口55を結ぶ流路)に流量制限オリフィス54を介して接続されている。
【0037】
酸素供給部50から放出された高濃度酸素は、酸素出口55に接続された鼻カニューラや酸素マスクを介して使用者に供給される。
【0038】
なお、高濃度酸素は極めて乾燥した状態となっているので、酸素出口55の直前に、高濃度酸素を加湿するための加湿部56が配設されている。
【0039】
次いで、流量制御ユニット100について詳細に説明する。
【0040】
図2は、本発明に係る流量制御ユニット100が取り付けられた酸素濃縮器1の本体を示す斜視図である。なお、
図2に示す酸素濃縮器1は、シーブベッド33A、33B(
図1参照)を取り外した状態で示されている。
【0041】
酸素濃縮器1は、載置台14を有する。載置台14は、シーブベッド33A、33B(
図1参照)が載置される載置面部15を有し、この載置面部15に隣接する領域には、コンプレッサボックス22、取入ケース11(
図1参照)を有するファンケース16が順に配設されている。ファンケース16には流量制御ユニット100が取り付けられている。このように、酸素濃縮器1の本体は、載置台14、コンプレッサボックス22、ファンケース16を有する。
【0042】
コンプレッサボックス22内には、
図1に流路切替部31及び、空気圧縮部20であるコンプレッサ等が収納されており、ファンケース16内には、
図1に示す冷却用ファン25等が収納されている。
【0043】
流量制御ユニット100は、高濃度酸素を流す流路としては、酸素タンク(
図1参照)41と、酸素供給部50のバクテリアフィルタ51との間に接続される。流量制御ユニット100は、高濃度酸素の流量及び濃度を設定し、酸素供給部50を介して患者に供給する。
【0044】
図3は、同流量制御ユニット100を前側から見た図であり、
図4は、同流量制御ユニットを後ろ側から見た図である。
【0045】
図3及び
図4に示すように、流量制御ユニット100は、圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160等のように製品タンク41の下流に配設される部品を、所定形状の基台部110に、一体的に設けることで構成されている。
【0046】
詳細には、流量制御ユニット100では、基台部110の上面に、圧力調整部120と、酸素センサ130と、流量調整部160とが配設されている。ここでは、圧力調整部120と、酸素センサ130と、流量調整部160は、基台部110上で互いに近接して配置されている。
【0047】
また、この基台部110の一側面(ここでは「前面」とする)には、製品タンク41に接続される導入口171と、酸素供給部50(
図1参照、具体的には、バクテリアフィルタ51)に接続される送出口172とが設けられている。この基台部110には、製品タンク41からの高濃度酸素を、流量調整部160に通して外に流す風路170(
図5参照)が、一体的に成形されている。
【0048】
図5〜
図7は同流量制御ユニット100における基台部内の風路170の説明に供する図であり、
図5は、
図3に示す流量制御ユニットにおける風路の要部を示す右側部分断面図である。
図6は、
図3に示す流量制御ユニットにおける風路の要部を示す図であり、酸素センサを外した後側部分断面図であり、
図7は、
図3に示す流量制御ユニットの左側部分断面図である。
【0049】
基台部110は、圧力調整部120、酸素センサ130、流量調整部160等の各部を配管する風路170を備える。なお、基台部110と、圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160等の各部と、の接続は、基台部110内の風路170と各部品の通路との接続部分の周囲にリング状のガスケットあるいはパッキンを配置して気密的に行う。これにより、従来と異なり、チューブ、継手を用いることなく各部品同士は風路170を介して漏れなく確実に接続されて配管されることとなる。
【0050】
風路170は、
図5〜
図7に示すように、導入口171から導入される高濃度酸素を送出口172から送出させる。製品タンク41からの高濃度酸素は、導入口171を介して風路170の内部を流れて、送出口172から酸素供給部50(
図1参照)に送出される。
【0051】
基台部110は、風路170を備える直方形状に形成された成形品である。風路170は、主に、流量調整部160を介して製品タンク41と酸素供給部50とを連絡して、製品タンク41から酸素供給部50に所定の流量で高濃度酸素を流す。すなわち、風路170は、主に、製品タンク41から導入される高濃度酸素を、流量調整部160に通して外に流す。
【0052】
基台部110は、ここでは、
図5〜
図7に示すように、導入口171、送出口172を両端部とした平面視してU字状の風路170を備えるように成形されてなる。
【0053】
具体的には、基台部110には、成形によって、第1風路形成部170a(
図5参照)と、第2風路形成部170b(
図6参照)と、第1風路形成部170aに沿って延在する第3風路形成部170c(
図7参照)とを備える風路170が成形されている。これら第1風路形成部170aと、第2風路形成部170bと、第3風路形成部170cとによって、基台部110内でU字状の中空部をなす。第1風路形成部170a、第2風路形成部170b、第3風路形成部170cの順に高濃度酸素が流れる。
【0054】
第1風路形成部170aは、
図5に示すように、導入口171を一端部に備え、製品タンク41から導入する高濃度酸素の導入方向(後方)に延在する。この第1風路形成部170aは、他端部1701側で流量調整部160の比例制御弁162を介して第2風路形成部170bの一端部に接続されている。なお、この他端部1701には、酸素センサ130が接続されている。
【0055】
第2風路形成部170b(
図6参照)は、第1風路形成部170aと直交し、且つ、略水平方向に延在する。この第2風路形成部170bの他端部(下流側端部)には、第3風路形成部170cの一端部が接続されている。第3風路形成部170cは、
図6及び
図7に示すように、第2風路形成部170bと直交する方向に延在しており、第2風路形成部170bとともに平面視L字状をなしている。この第3風路形成部170cの他端部は送出口172を備える。
【0056】
第1風路形成部170aには、圧力調整部120、流量制御部160の比例制御弁162及び酸素センサ130が接続され、第1風路形成部170aは、圧力調整部120、流量制御部160の比例制御弁162及び酸素センサ130に高濃度酸素を流す。
【0057】
図3及び
図4に示す圧力調整部120は、本体122に螺合された調整ネジ124の螺合状態を調整することで、風路170(
図5参照)において第1風路形成部170aを流れる高濃度酸素(
図5の矢印F2〜F5で示す高濃度酸素)の圧力を調整する。
【0058】
圧力調整部120は、例えば、
図5に示すように、風路170の第1風路形成部170aを流れる高濃度酸素(矢印F2)が分岐して、本体122内(矢印F3)と他端部1701側に流れる(矢印F4)ように構成されている。すなわち、圧力調整部120は、第1風路形成部170aの途中で分岐されて、第1風路形成部170aを流れる高濃度酸素が通るように接続されている。そして、本体122内には、本体122に高濃度酸素が侵入する通路に通路を閉塞するゴム製の蓋体(弁)が設けられる。この蓋体は、バネにより付勢されており、バネの付勢力は、調整ネジ124の螺合度合いにより調整される。この蓋体が一定圧で開くことで、第1風路形成部170a内では、高濃度酸素は、一定の圧力で流れる。
【0059】
この圧力調整部120に後方で隣接する比例制御弁162は、
図5及び
図6に示すように、第1風路形成部170aと、第2風路形成部170bとの間に設けられている。これにより、第1風路形成部170aを流れる高濃度酸素は、比例制御弁162内を通って、第2風路形成部170bに流れる。
【0060】
比例制御弁162は、風路170内を流れる高濃度酸素の流量を調整して、第2風路形成部170b(
図6参照)に出力する。
【0061】
具体的に、比例制御弁162は、第2風路形成部170b(
図6参照)に連続する第3風路形成部170cに設けられた流量センサ164(
図7参照)でセンシングした結果に基づいて、制御基板166を介して高濃度酸素が所定の流量となるように駆動する。流量センサ164は、第3風路形成部170cの途中に接続された内部配管164aを通る高濃度酸素の流量を検出して制御基板166に出力する。制御基板166は、制御部(図示省略)により制御される。
【0062】
流量調整部160では、図示しない操作部を介して所定の流量を示す信号が入力されると、制御基板166は、流量センサ164による検出結果に基づいて、比例制御弁162を調整して、風路170を流れる高濃度酸素の流量が所定の流量となるように制御する。
【0063】
また、第1風路形成部170aの他端部1701には、
図5に示すように、比例制御弁162の他に、細管を介して酸素センサ130のセンサ本体131が接続されている。これにより、第1風路形成部170aは、比例制御弁162及びセンサ本体131の双方に高濃度酸素を通す。
【0064】
酸素センサ130は、センサ基板132を介してセンサ本体131内に取り込んだ酸素濃度を測定する。すなわち、酸素センサ130は、風路170内の酸素濃度、具体的には、第1風路形成部170a内を流れる高濃度酸素の酸素濃度を測定する。この酸素センサ130は、センサ本体131と、センサ本体131を制御するセンサ基板132とを有する。酸素センサ130では、センサ本体131(
図5参照)で測定した濃度は、センサ基板132(
図3〜5、7参照)を介して制御部(図示省略)に送られる。また、酸素センサ130のセンサ本体131で測定対象となった酸素は、貫通孔116(
図5参照)を介して外部に排出される。
【0065】
比例制御弁162から第2風路形成部170bに送出された高濃度酸素は、第3風路形成部170cを介して送出口172から患者側、つまり、酸素供給部50(
図1参照)側に流されて送出される。
【0066】
このように構成される流量制御ユニット100を通過する高濃度酸素は、流量及び濃度が調整されて送出される。
【0067】
詳細には、
図1に示す酸素濃縮器1は、シーブベッド33A、33Bにより生成されて製品タンク41に貯留する高濃度酸素を、患者に調整した流量及び所定の濃度で供給する。以下では、
図5〜
図7を用いて、流量制御ユニット100における高濃度酸素の流れF1〜F11で説明する。
【0068】
まず、流量制御ユニット100では、製品タンク41からの高濃度酸素は、導入口171を介して流量制御ユニット100に導入される(
図5の矢印F1)。
【0069】
すると、高濃度酸素は、第1風路形成部170aを通り、矢印F2方向に流れて、圧力調整部120(矢印F3)と他端部1701側(矢印F4)とに流れる。この圧力調整部120で所定の圧力に設定された高濃度酸素は、矢印F4〜F6で示すように、圧力調整部120に隣接して配置された比例制御弁162に案内される。すなわち、第1風路形成部170aは、高濃度酸素を比例制御弁162に通す。このように、第1風路形成部170aの他端部1701から比例制御弁162に案内された高濃度酸素は、所定の流量に設定される。
【0070】
また、矢印F8、F9で示すように、第1風路形成部170aの他端部1701から酸素センサ130のセンサ本体131に案内された高濃度酸素は、貫通孔116を介して流量制御ユニット100の外部に排出される。これとともに、酸素センサ130で酸素濃度が測定される。
【0071】
一方、比例制御弁162を通過する高濃度酸素(矢印F7)は、
図5及び
図6に示すように、第2風路形成部170b(
図6の矢印F7、矢印F10参照)を流れて、第3風路形成部170cを流れる。
図7の矢印F11で示すように、第3風路形成部170cを流れる高濃度酸素は、流量センサ164の配管164aを流れて、その流量を検出される。
【0072】
流量センサ164で検出される流量に基づいて、比例制御弁162は高濃度酸素の流量を制御して下流に流す。そして、第3風路形成部170cを流れる高濃度酸素は送出口172から送出(
図7の矢印F11で示す)されて、送出口172に接続された配管を介して流量制御ユニット100の外部、つまり、酸素供給部50のバクテリアフィルタ51(
図1参照)に送られる。このように酸素供給部50(
図1参照)に送られた高濃度酸素は、患者に供給される。
【0073】
本実施の形態の流量制御ユニット100では、圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160は、基台部110に一体的に固定され、圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160を、風路170の途中にそれぞれ接続してなる。すなわち、流量制御ユニット100では、風路170が、基台部110内で、製品タンク41から導入される高濃度酸素を、圧力調整部120、流量調整部160とともに酸素センサ(濃度測定部)130をそれぞれ通している。ここでは、基台部110に一体的に成形された風路170は、圧力調整部120の下流側に流量調整部160(比例制御弁162、流量センサ164)を配管する。言い換えれば、風路170は、高濃度酸素を圧力調整部120に通した後で、流量調整部160に通す。また、風路170は、圧力調整部120の下流側に酸素センサ130を配管する。言い換えれば、風路170は、高濃度酸素を圧力調整部120に通した後で、酸素センサ130に通している。
【0074】
すなわち、圧力調整部120は、風路170によって、流量調整部160(比例制御弁162、流量センサ164)、酸素センサ130のそれぞれの上流側で接続されている。これにより、流量調整部160(比例制御弁162、流量センサ164)、酸素センサ130に流れる高濃度酸素は、圧力調整部120を通ることで圧力調整されたものとなる。
【0075】
このように、圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160等の各部品を基台部110に一体的に成形された風路170で繋げて一体化されていることで、各部品の配管に必要なチューブや継手などの部品を減らすことができる。また、従来の酸素濃縮器と異なり、圧力調整部、酸素センサ及び流量調整部等の各部品を配管するためのチューブの引き回しの必要が無くなることで、酸素濃縮器内において、各部品の配置が容易となる。これにより、流量制御ユニット100が用いられる酸素濃縮器1の内部空間を有効に利用することができる。
【0076】
さらに、圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160といったそれぞれの部品が、予め成形品による風路170で配管されることとなる。
【0077】
よって、製品タンク41の下流に配設される圧力調整部120、酸素センサ130及び流量調整部160といった各部品に対して誤配管の可能性をなくすことができる。このことから、酸素濃縮器1の部品単価及び組立工数の削減などのコストダウンを図ることができ、小型軽量化も実現できる。
【0078】
また、各部品を、基台部110を用いて成形品による風路170で配管するため、長尺のチューブで配管する従来の構成と異なり、配管抵抗によりコンプレッサ等に負荷を掛けることがない。よって、コンプレッサはより効率よく圧縮酸素を生成できる。
【0079】
このように、流量制御ユニット100によって、従来と異なり、部品同士の接続作業で用いる部品点数が減り、チューブの引き回しを行う事がない。このため、高濃度の酸素を貯留する製品タンク41と高濃度酸素の流量を制御する流量調整部160との配管を、配管抵抗を抑えた状態で容易に確実に行える。さらに、流量制御部160等の製品タンク41の下流に設けられる部品の設置スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0080】
なお、送出口172に、バクテリアフィルタ51を設けても良いが、バクテリアフィルタ51は、定期的に交換が必要な部品である。よって、管路の途中にバクテリアフィルタ51を設けたユニットを用意し、このユニットを送出口172に着脱自在に接続した流量制御ユニット100としてもよい。ユニットと送出口172これらを接続する場合には、これらの開口縁部にパッキンを配置して双方を気密的に接合することが望ましい。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。