(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<発明者等が得た知見>
まず、発明者等が得た知見について説明する。半導体装置の製造工程において、処理対象物に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置が用いられる場合がある。プラズマ処理装置では、処理容器内で処理ガスのプラズマを生成して、処理対象物に対してプラズマ処理を行う。プラズマ処理装置に、複数枚の処理対象物を搬送し、搬送された処理対象物を順番にプラズマ処理するバッチ処理が行われる。
【0012】
ここでいう「プラズマ処理」とは、処理対象物上に形成されたレジスト膜をアッシング(灰化)したり、処理対象物上に形成された金属膜や半導体膜等をエッチングしたり、処理対象物上に形成された金属膜や半導体膜等を、酸化、窒化又は灰化をしたりすることをいう。
【0013】
発明者等は、プラズマ処理装置において、処理対象物に対するプラズマ処理の速度やプラズマ処理の度合いは、処理容器の温度に依存することを見出した。ここでいう「プラズマ処理の速度」とは、例えばアッシング、エッチング、酸化又は窒化等の速度のことである。また、「プラズマ処理の度合い」とは、例えば酸化又は窒化等の度合い(濃度、深さ等)のことである。
【0014】
処理容器の温度や、処理容器を囲むように設けられたコイルの温度が周方向に対して不均一である場合、処理対象物自体の温度分布が面内方向に対して不均一となることがある。またはプラズマ生成領域のプラズマ密度が処理対象物の面内方向に対して不均一となることがある。処理容器の温度が低い場所付近におけるプラズマ処理の速度は、処理容器の温度が高い場所付近におけるプラズマ処理の速度よりも低い。または処理容器の温度が低い場所付近におけるプラズマ処理の度合いは、処理容器の温度が高い場所付近におけるプラズマ処理の度合いよりも低い。このため、処理対象物の被処理面内におけるプラズマ処理の均一性が悪化する可能性がある。
【0015】
また、プラズマ処理を行うことにより処理容器の温度が経時的に上昇しうる。例えば、一つの処理対象物に対してプラズマ処理を行う場合、処理終了時の処理容器の温度は、処理開始時の処理容器の温度よりも高くなる。また、複数枚の処理対象物に対して連続してプラズマ処理を行う場合、複数枚の処理対象物に対して処理を行ったときの処理容器の温度は、一枚目の処理対象物に対して処理を行ったときの処理容器の温度よりも高くなる。このような場合、経時的に処理対象物自体の温度が変化しうる。または経時的にプラズマ生成領域のプラズマ密度が変化しうる。このため、処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いが変化する。したがって、処理対象物間におけるプラズマ処理の均一性が悪化する可能性がある。
【0016】
そこで、本発明者等は、上記課題を解決する手段について鋭意研究を行った結果、以下のような知見を得た。
【0017】
処理容器とプラズマ生成部との間に、処理容器の外壁に沿って、温度調整ガスの流路を設ける。流路には、導入孔及び排出孔を設ける。導入孔は、処理容器の周方向に均等な間隔で開設される。温度調整ガスは、導入孔から処理容器の周方向に対して均等に導入される。処理容器は、温度調整ガスにより周方向に均等に冷却される。処理容器の温度は、周方向に均一になる。これにより、処理対象物の面内におけるプラズマ処理の均一性が向上する。
【0018】
また、排出孔には、排出管が接続される。排出管には、調整弁が設けられる。温度調整ガスの流量は、調整弁の開度を調整して制御される。処理容器の温度は、所定の温度に維持される。これにより、処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度又はプラズマ処理の度合いが変化することを抑制できる。したがって、処理対象物間におけるプラズマ処理の均一性が向上する。
【0019】
以上のように、処理対象物の面内におけるプラズマ処理の均一性を向上させたり、処理対象物間におけるプラズマ処理の均一性を向上させたりすることができる。以下の実施形態は、上記知見に基づくものである。
【0020】
(1)プラズマ処理装置の構造
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置を示す断面概略図である。プラズマ処理装置10は、処理対象物としてのウエハ20を処理する処理容器120と、処理容器120内に処理ガスを供給するガス供給系と、処理容器120内を排気する排気系と、処理容器120の外側に設けられ、処理容器120内に供給された処理ガスを励起するプ
ラズマ生成部と、処理容器120とプラズマ生成部との間に設けられ、処理容器120の外壁に沿って温度調整ガスを流す流路140と、処理容器120の周方向に均等な間隔で開設され、流路140に温度調整ガスを導入する導入孔152aと、流路140を流れた温度調整ガスを排出する排出孔185と、を有する。以下、詳細を説明する。
【0021】
本実施形態では、「プラズマ処理」とは、例えば処理対象物の処理面上に形成されたレジスト膜をアッシングすることである。具体的には、「プラズマ処理」とは、例えば、ウエハ上に塗布されたレジスト膜をアッシングする場合や、バンプ電極が形成された半導体素子に対してデスカム処理する場合などである。なお、デスカム処理とは、レジスト膜をパターニングした際に生じるレジスト残渣(いわゆるスカム)を除去する処理のことである。したがって、本実施形態において、「処理対象物」は、ダイシングされる前(前工程)のウエハ20(いわゆるwhole wafer)や、ダイシングされた後(後工程)の半導体デバイスや、半導体パッケージ等、を含む。本実施形態では、処理対象物が前工程のウエハ20であるとして説明する。
【0022】
プラズマ処理装置10は、反応管131及びウエハ収容部190を有する処理容器120を有している。プラズマ処理装置10は、少なくともバッチ処理1回分である一枚又は複数枚のウエハ20を収容するロードロック室(不図示)と、処理容器120内にウエハ20を順番に搬送する搬送部を備える搬送室(不図示)と、を有していてもよい。本実施形態では、プラズマ処理装置10は、枚様式である。処理容器120内では、ウエハ20が一枚ずつ搬送され、順番にプラズマ処理される。
【0023】
(反応管)
反応管131は、例えば円筒状である。反応管131は、例えば高純度の石英ガラスまたはセラミックス等により形成されている。反応管131の上端及び下端は、開口している。反応管131は、架台としてのベースプレート148の上に設けられている。反応管131の中心軸は、ベースプレート148の法線方向に設けられている。
【0024】
反応管131の上端開口には、円板状のトッププレート154が設けられている。トッププレート154は、反応管131の上端開口を封止している。トッププレート154は、Oリング(不図示)を介して、反応管131に接している。反応管131の内部には、プラズマ生成領域130が形成される。
【0025】
トッププレート154の中央には、ガス導入口133が設けられている。処理ガスやパージガスは、ガス導入口133から処理容器120内に供給される。
【0026】
ガス導入口133には、ガス供給系が接続されている。ガス供給系は、処理容器120内に処理ガスまたはパージガスを供給するように構成されている。ガス供給系は、処理容器120内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、処理容器120内にパージガスを供給するパージガス供給系と、を有する。なお、パージガス供給系は、処理容器120内への処理ガスの供給を促すキャリアガス供給系としても機能する。
【0027】
ガス導入口133には、処理ガスを流す配管52cの下流端が接続されている。配管52cには、バルブ52aが設けられている。配管52cのバルブ52aよりも上流側には、マスフローコントローラ52bが設けられている。マスフローコントローラ52bは、処理ガスの流量を調整するよう構成されている。配管52cのマスフローコントローラ52bよりも上流側には、処理ガスボンベ(不図示)が接続されている。主に、配管52c、バルブ52a及びマスフローコントローラ52bにより処理ガス供給系が構成される。なお、処理ガスボンベを処理ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0028】
処理ガスの種類は、プラズマ処理の内容に応じて、適宜選択される。処理ガスとして、例えば、酸素(O
2)ガス、水素(H
2)ガス、窒素(N
2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、四フッ化メタン(CF
4)ガス及びトリフルオロメタン(CHF
3)ガスの少なくともいずれか一つ、もしくはそれらを組み合わせたガスが用いられる。
【0029】
配管52cのバルブ52aよりも下流側には、パージガスを流す配管51cの下流端が接続されている。配管51cには、バルブ51aが設けられている。配管51cのバルブ51aよりも上流側には、マスフローコントローラ51bが設けられている。マスフローコントローラ51bは、パージガスの流量を調整する。配管51cのマスフローコントローラ51bよりも上流側には、パージガスボンベ(不図示)が接続されている。主に、配管51c、バルブ51a及びマスフローコントローラ51bによりパージガス供給系が構成される。なお、パージガスボンベをパージガス供給系に含めて考えてもよい。パージガスとして、例えばN
2ガスまたは希ガス等の不活性ガスが用いられる。
【0030】
処理容器120内の上方には、ガス導入口133から供給されたガスを整流させる拡散板160が設けられている。拡散板160は、例えば石英等により形成されている。拡散板160の平面形状は、反応管131の内径に沿った形状であり、略円形である。拡散板160は、処理容器120の内壁と所定の間隔で離間して設けられ、水平に保持されている。拡散板160は孔の無い板で形成される。これにより、ガス導入口133から供給されたガスは、拡散板160に衝突し、そして処理容器120の内壁に沿って、処理容器120内の上方から下方に向かって流れる。
【0031】
(プラズマ生成部)
処理容器120の外側には、共振コイル132が設けられている。共振コイル132は、処理容器120内に供給された処理ガスのプラズマを生成する。共振コイル132は、例えば、反応管131の外周に沿って巻回されている。共振コイル132には、RFセンサ168を介して、高周波電源144が接続されている。高周波電源144は、共振コイル132に高周波電力を印加する。これにより、処理ガスは、プラズマ生成領域130において、プラズマ状態となる。共振コイル132には、RFセンサ168を介して、周波数整合器146が接続されている。RFセンサ168は、高周波電力の進行波、反射波等をモニタするよう構成されている。RFセンサ168によってモニタされた高周波電力値は、周波数整合器146にフィードバックされる。周波数整合器146は、高周波電力の反射波が最小となるように、発振周波数を制御するよう構成されている。
【0032】
主に、共振コイル132によりプラズマ生成部が構成される。なお、RFセンサ168、高周波電源144及び周波数整合器146をプラズマ生成部に含めて考えてもよい。このように、プラズマ処理装置10は、例えばICP(Inductive Coupling Plasma)によって処理対象物をプラズマ処理する装置である。
【0033】
ここで、共振コイル132は、一定波長モードで共振するように、巻径、巻回ピッチ、巻数等が設定されている。共振コイル132は、所定の波長の定在波を形成するように構成されている。すなわち、共振コイル132の長さは、高周波電源144から供給される高周波電力の所定周波数における1波長の整数倍(1倍、2倍、…)又は半波長もしくは1/4波長に相当する長さに設定されている。1波長の長さは、例えば13.56MHzの場合には約22m、27.12MHzの場合には約11m、54.24MHzの場合には約5.5mである。共振コイル132の巻数は、例えば10である。共振コイル132の巻径は、例えば300mm以上400mm以下であり、好ましくは、360mm以上370mm以下である。
【0034】
共振コイル132は、絶縁性の材料にて平板状に形成され且つベースプレート148の上端面に鉛直に立設された複数の支持部材(不図示)によって支持されている。また、共振コイル132の両端は、電気的に接地されている。共振コイル132の少なくとも一端は、可動タップ162を介して接地されている。これにより、プラズマ処理装置10の最初の設置の際又は処理条件の変更の際に、共振コイル132の長さを微調整することができる。共振コイル132の他端は、固定グランド164を介して接地されている。また、共振コイル132の接地された両端の間には、可動タップ166によって給電部が構成されている。これにより、更にプラズマ処理装置10の最初の設置の際又は処理条件の変更の際に、共振コイル132のインピーダンスを微調整することができるように構成されている。すなわち、共振コイル132は、電気的に接地されたグランド部を両端に備え、各グランド部の間に高周波電源144から電力供給される給電部を備えている。少なくとも一方のグランド部は、位置調整可能な可変式グランド部とされる。そして、給電部は、位置調整可能な可変式給電部とされる。共振コイル132が可変式グランド部及び可変式給電部を備えていることにより、プラズマ生成部の共振周波数及び負荷インピーダンスの調整が容易に行える。
【0035】
(遮蔽部)
プラズマ生成部としての共振コイル132の外側を囲むように、遮蔽部152が設けられている。遮蔽部152は導電性を有する。遮蔽部152は、共振コイル132の外側に、電磁波が漏れることを遮蔽する。共振に必要な容量成分は、共振コイル132と遮蔽部152との間に形成される。遮蔽部152は、例えばアルミニウム合金、銅または銅合金などの導電性材料により形成されている。遮蔽部152は、円筒状であり、金属板を円筒状に曲げ加工して形成される。
【0036】
ここで、共振コイル132と遮蔽部152との間のキャパシタンス容量をCs、共振コイル132と反応管131との間のキャパシタンス容量をCpとしたとき、Cs>>Cpである。遮蔽部152は、上記を満たすように構成されている。遮蔽部152の直径は、反応管131の内径及び共振コイル132の巻径に基づいて設定される。
【0037】
遮蔽部152の高さは、共振コイル132が配置された範囲の高さよりも高くなるよう構成される。
【0038】
遮蔽部152の下端は、後述するベースプレート148に接していることが好ましい。仮に遮蔽部152の下端がベースプレート148から離間している場合、遮蔽部152とベースプレート148との間隔は、後述する温度調整ガスの導入孔152aの直径よりも小さいことが好ましい。
【0039】
本実施形態では、遮蔽部152は、温度調整ガスの流路140の一部を構成する。この点については、詳細を後述する。
【0040】
(ウエハ収容部)
反応管131の下方(排気系側)には、ウエハ収容部190が設けられている。ウエハ収容部190は、ウエハ20を収容する。反応管131の下端開口は、ウエハ収容部190に気密に接続されている。ウエハ収容部190内には、ウエハ20を処理する処理室145が形成されている。処理室145は、上述のプラズマ生成領域130と連通している。ウエハ収容部190の下端開口は、碗状の底板169によって封止されている。ウエハ収容部190、反応管131及び底板169のそれぞれの中心軸は、鉛直に配置されている。
【0041】
処理室145内には、サセプタ159が設けられている。サセプタ159は、サセプタ
テーブル111を有する。サセプタテーブル111は、ウエハ20を支持する。サセプタテーブル111の下方には、複数の支柱161が設けられている。複数の支柱161は、サセプタテーブル111を下方から支持する。サセプタ159の内部には、ヒータ163が設けられている。ヒータ163は、サセプタ159上に支持されたウエハ20を加熱する。
【0042】
サセプタテーブル111の下方には、昇降基板171が設けられている。昇降基板171を連通するように、ガイドシャフト167が設けられている。ガイドシャフト167は、昇降基板171の昇降をガイドする。複数のリフタピン113は、昇降基板171上に鉛直方向に設けられている。リフタピン113は、サセプタテーブル111の外周部を鉛直方向に貫通している。リフタピン113の上端には、基板保持部114が設けられている。基板保持部114は、サセプタテーブル111の中心方向に延出しており、ウエハ20の外周を保持する。昇降基板171は、昇降シャフト173の上端に連結されている。昇降シャフト173は、底板169を貫通しており、昇降駆動部(不図示)に連結されている。昇降駆動部が昇降シャフト173を昇降させる。これにより、昇降基板171及びリフタピン113を介して、基板保持部114が昇降する。そして、ウエハ20を基板保持部114からサセプタテーブル111上に移動させたり、ウエハ20をサセプタテーブル111の上から基板保持部114に移動させたりすることができる。
【0043】
サセプタテーブル111の下方には、バッフルリング158が設けられている。バッフルリング158は、例えば円筒状である。サセプタテーブル111の下方の空間と、処理室145と、は連通している。底板169の上には、ガイドシャフト167を介して、排気板165が水平に支持されている。排気板165には、排気連通孔175が設けられている。排気板165の上方に形成された空間と、排気板165の下方に形成された空間と、は、排気連通孔175を介して連通している。
【0044】
底板169の中央には、排気管180が接続されている。排気管180には、上流側から順に、圧力センサ(不図示)、APC(Auto Pressure Controller)バルブ181、排気装置179が設けられている。排気装置179は、処理容器120内を排気するよう構成されている。排気装置179が処理容器120内を排気している際に、APCバルブ181の開度が圧力センサからの圧力情報に基づいて調整される。これにより、処理容器120内の圧力が所定の圧力に調整される。主に、排気管180及びAPCバルブ181により、排気系が構成される。なお、排気装置179を排気系に含めて考えてもよい。
【0045】
なお、反応管131とウエハ収容部190とが明確に区別できなくてもよい。すなわち、これらは一体成形されていてもよい。この場合、プラズマ生成領域130と、処理室145と、は、少なくとも一部または全部が重複していてもよい。
【0046】
(制御部)
制御部としてのコントローラ170は、上述のマスフローコントローラ51b、52b、バルブ51a、52a、高周波電源144、周波数整合器146、RFセンサ168、ヒータ163、昇降駆動部、圧力センサ、APCバルブ181、及び排気装置179等に接続されている。コントローラ170は、これらの動作を制御するよう構成されている。コントローラ170には、表示部としてのディスプレイ172が接続されている。ディスプレイ172は、例えばRFセンサ168による反射波のモニタ結果等のデータを表示する。
【0047】
(2)温度調整ガスの流路
以下に、温度調整ガスの流路140についての詳細構成を、
図1及び
図2を用いて説明
する。
図2(a)は、
図1のA−A’線の矢印方向にみた断面図であり、(b)は、遮蔽部の展開図である。
図1及び
図2において、実線の矢印は、温度調整ガスの流れを示している。
【0048】
本実施形態では、処理容器120の温度を安定化するために、処理容器120の外壁に沿って温度調整ガスが流れる。流路140は、処理容器120とプラズマ生成部としての共振コイル132との間に設けられ、処理容器120の外壁に沿って温度調整ガスを流す。いわゆる自然対流ではなく、強制対流により、処理容器120の温度を安定化する。
【0049】
温度調整ガスは、例えば大気である。温度調整ガスは、N
2または希ガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0050】
(導入孔)
図1のように、遮蔽部152には、導入孔(Air Intake Hole)152aが設けられている。導入孔152aは、流路140内に温度調整ガスを導入するよう構成されている。導入孔152aは、遮蔽部152の下端側に設けられている。導入孔152aは、共振コイル132の鉛直下に位置している。導入孔152aは、可動タップ166の下、つまり共振コイル132の下端部の更に下に設けられている。温度調整ガスは、共振コイル132よりも鉛直下側から導入される。言い換えれば、温度調整ガスは、プラズマ生成領域130よりも鉛直下側から導入される。
【0051】
導入孔152aの数、形状、又は配置等は、必要とされる温度調整ガスの流量により設定される。また、これらは、後述する排出装置188の排出能力によっても設定される。
【0052】
図2(a)のように、導入孔152aは、複数設けられている。複数の導入孔152aは、流路140のうち処理容器120の周方向に均等な間隔で開設されている。「処理容器120の周方向」とは、プラズマ処理装置10の鉛直上から見て、処理容器120の周方向の意味である。複数の導入孔152aのそれぞれは、反応管131の中心方向に温度調整ガスを導入する。温度調整ガスは、複数の導入孔152aから入って、均等な流量及び均等な流速で、処理容器120の外壁に衝突する。これにより、処理容器120は、温度調整ガスにより周方向に均等に冷却され易い。
【0053】
上述のように、遮蔽部152は、プラズマ生成部としての共振コイル132の外側を囲むように設けられている。複数の導入孔152aは、遮蔽部152に設けられている。流路140の一部は、少なくとも処理容器120と遮蔽部152との間に設けられている。
【0054】
図2(b)のように、導入孔152aの断面形状は、例えば円形である。導入孔152aの直径、数および配置等は、必要とされる排出装置188の排出量に応じて設計される。例えば、温度調整ガスの流量が3m
3/min程度必要である場合、温度調整ガスの流速は1〜3m/sec程度と見積もられる。この場合、例えば、導入孔152aの直径は、20mm以上40mm以下である。導入孔152aの数は、例えば10個以上100個以下であり、好ましくは15個以上50個以下である。複数の導入孔152aの間隔Waは、例えば10mm以上40mm以下である。遮蔽部152の下端から導入孔152aの中心までの高さHaは、例えば遮蔽部152の高さHsの1/10倍程度であり、例えば20mm以上50mm以下である。なお、遮蔽部152はベースプレート148に接しているため、遮蔽部152の下端から導入孔152aの中心までの高さHaは、例えばベースプレート148から導入孔152aの中心までの高さに等しい。
【0055】
遮蔽部152には、可動タップ162用の開口162aと、可動タップ166用の開口166aと、が設けられている。可動タップ166用の開口166aからは、固定グラン
ド164も引き出される。開口162aは、可動タップ162の可動範囲に設けられている。開口166aは、可動タップ166の可動範囲に設けられている。
【0056】
(ガス案内部)
処理容器120と共振コイル132との間には、ガス案内部(Air Flow Guide)153が設けられている。ガス案内部153は、処理容器120の外側を囲んでいる。ガス案内部153は、導入孔152aから処理容器120と共振コイル132との間に温度調整ガスを案内するよう構成されている。流路140の一部は、処理容器120とガス案内部153の間に形成される。温度調整ガスは、効率的に処理容器120と共振コイル132との間に流れる。ガス案内部153は、ベースプレート148、反応管131、又は遮蔽部152に固定されている。
【0057】
例えば、ガス案内部153は、以下のような形状を有する。処理容器120を囲むように、中間部153bが設けられている。中間部153bは例えば円筒状である。中間部153bの導入孔152a側には、フランジ部153aが設けられている。フランジ部153aは、中間部153bの下端に接している。フランジ部153aは、温度調整ガスがガス案内部153と遮蔽部152との間に漏れることを抑制するように設けられている。フランジ部153aは、導入孔152aと共振コイル132の下端との間に設けられている。フランジ部153aは、可動タップ166用の開口166aよりも下に設けられている。フランジ部153aは、中間部153bから径方向に外側に拡張されている。フランジ部153aのうち遮蔽部152側の端部は、遮蔽部152の内側の形状に沿って略円弧状に設けられている。温度調整ガスは、ガス案内部153と遮蔽部152との間ではなく、主にガス案内部153と処理容器120との間に高速に流れる。これにより、処理容器120は効率良く冷却される。
【0058】
中間部153bのフランジ部153aの反対側には、フランジ部153cが設けられている。フランジ部153cは、中間部153bの上端に接している。フランジ部153cは、可動タップ162用の開口162aよりも上に設けられている。温度調整ガスは、ガス案内部153と遮蔽部152との間ではなく、主にガス案内部153と処理容器120との間から排出される。
【0059】
主に、フランジ部153a及び中間部153bにより、ガス案内部153が構成される。なお、フランジ部152cをガス案内部153に含めて考えてもよい。また、フランジ部153a、中間部153b及びフランジ部152cは、明確に区分されていなくてもよい。
【0060】
ここで、処理容器120の反応管131の外径をφ
c、ガス案内部153の内径(中間部153bの内径)をφ
g、遮蔽部152の内径をφ
sとしたとき、処理容器120とガス案内部153との間隔d
cg、及びガス案内部153と遮蔽部152との間隔d
gsは、それぞれ以下の式で求められる。なお、ガス案内部153の厚さは、内径及び外径に対して無視できる程度であるとして、ガス案内部153の内径は、ガス案内部153の外径に等しいとする。
d
cg=(φ
g−φ
c)/2
d
gs=(φ
s−φ
g)/2
【0061】
流路140の幅が狭いほど、温度調整ガスの流速は高くなる。温度調整ガスの流速が高いほど、温度調整ガスと処理容器120との間における熱伝達率は高くなる。したがって、処理容器120とガス案内部153との間隔d
cgは、ガス案内部153と遮蔽部152との間隔d
gsよりも狭いことが好ましい。すなわち、d
cg<d
gsであることが好ましい。処理容器120とガス案内部153との間における温度調整ガスの流速は、流路
140の他の部分における温度調整ガスの流速よりも高くなる。これにより、温度調整ガスと処理容器120との間における熱伝達率が向上する。
【0062】
なお、温度調整ガスの強制対流が行われない場合、遮蔽部152と処理容器120との間の密閉空間には、自然対流が生じうる。自然対流の場合、処理容器120と、密閉空間と処理容器120との間における熱伝達率は、5W/m
2K以上20W/m
2K以下であると見積もられる。
【0063】
一方、本実施形態のように温度調整ガスによる強制対流が行われる場合、温度調整ガスと処理容器120との間における熱伝達率は、25W/m
2K以上250W/m
2K以下であると見積もられる。処理容器120の温度を安定化するためには、処理容器120の熱伝達率は、少なくとも数十W/m
2K以上であることが望まれる。流路140のうち処理容器120と遮蔽部152との間における部分の流速は、数十m/sec以上であることが必要である。この要件を満たすためには、ガス案内部153と処理容器120との間隔d
cgは、例えば2mm以上5mm以下であることが好ましい。これにより、上記の熱伝達率が実現される。
【0064】
また、フランジ部153aのうち遮蔽部152側の端部における直径をφ
fとしたとき、フランジ部153aの端部と遮蔽部152との間隔d
fs(すなわち、フランジ部153aと遮蔽部152との間の空隙における間隔d
fs)は、以下の式で求められる。
d
fs=(φ
s−φ
f)/2
【0065】
フランジ部153aの端部と遮蔽部152との間隔d
fsは、処理容器120とガス案内部153との間隔d
cgに比べて無視できるほどに小さい。すなわち、d
fs<<d
cgである。これにより、温度調整ガスがガス案内部153と遮蔽部152との間に漏れることを抑制することができる。
【0066】
フランジ部153aは、導入孔152aよりも上に位置している。ベースプレート148からフランジ部153aまでの高さは、例えば20mm以上50mm以下である。
【0067】
ガス案内部153の厚さは、例えば2mm以上5mm以下である。ガス案内部153の厚さが上記範囲であることにより、共振コイル132と遮蔽部152との間のキャパシタンス容量Cpは、ガス案内部153が挿入されることに影響されにくい。また、プラズマ処理の際に、ガス案内部153が処理容器120からの熱により変形しにくい。
【0068】
ガス案内部153は、例えば低誘電率の材料により形成されている。例えば、ガス案内部153の材料の誘電率は、反応管131の材料の誘電率よりも低い。反応管131が石英(誘電率3.8)により形成されている場合、ガス案内部153の誘電率は、例えば3.8以下である。これにより、共振コイル132と遮蔽部152との間のキャパシタンス容量Cpは、ガス案内部153が挿入されることに影響されにくくなる。
【0069】
また、ガス案内部153は、例えば絶縁性の材料により形成されていても良い。反対に、ガス案内部153が導電性を有している場合、反応管131の内部は、ガス案内部153によって電気的に遮蔽されてしまう。ガス案内部153が絶縁性の材料により形成されていることにより、反応管131内のプラズマ生成が阻害されにくくなる。
【0070】
また、ガス案内部153は、例えば耐熱性を有する材料により形成されていても良い。ガス案内部153は、共振コイル132よりも反応管131に近い。ガス案内部153は、例えば200℃程度に加熱されうる。ガス案内部153が高分子材料により形成されている場合、ガス案内部153の材料のガラス転移温度は、例えば200℃以上である。こ
れにより、プラズマ処理の際に、ガス案内部153の形状は維持される。
【0071】
具体的には、ガス案内部153は、テフロン(登録商標)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、べスペル(登録商標)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)のいずれかの材料により形成されている。この場合、ガス案内部153は上記の誘電率、絶縁性及び耐熱性の要件を満たす。
【0072】
(中間開口)
少なくとも共振コイル132よりも上方には、中間開口156が設けられている。例えば、中間開口156は、トッププレート154の上に設けられている。中間開口156は、流路140のうち共振コイル132と後述する排出孔185との間に設けられている。中間開口156は、処理容器120並びに遮蔽部152の間における部分と、後述するガス緩衝部182と、を接続している。中間開口156は、例えば反応管131の円筒部分の上端の外側に設けられている。
【0073】
なお、反応管131は、円筒部分から径方向に拡張された拡張部(符号不図示)を有している場合、拡張部にも中間開口156が設けられていてもよい。この場合、中間開口156は、反応管131の拡張部とトッププレート154とに連通している。
【0074】
中間開口156は、例えば複数設けられている。複数の中間開口156は、処理容器120を環状に囲むように設けられている。複数の中間開口156は、流路140のうち処理容器120の周方向に均等な間隔で開設されている。複数の中間開口156のそれぞれは、例えばプラズマ処理装置10の鉛直上から見て、複数の導入孔152aのそれぞれと重なる位置に設けられている。温度調整ガスは、複数の導入孔152aから導入され、複数の中間開口156に向けて流れる。複数の中間開口156のそれぞれは、略円形である。
【0075】
(ガス緩衝部について)
処理容器120の鉛直上には、ガス緩衝部(Air Pumping Box)182が設けられている。ガス緩衝部182は、トッププレート154の上に配置されている。ガス緩衝部182は、流路140のうち中間開口156と後述する排出孔185との間に設けられている。ガス緩衝部182は、流路140のうち共振コイル132よりも下流側(後述する排出孔185側)に設けられている。
【0076】
ガス緩衝部182は、複数の中間開口156の全てに接続されている。ガス緩衝部182は、温度調整ガスの進行を阻害することがないように設計されている。ガス緩衝部182内におけるコンダクタンスは、ガス緩衝部182よりも導入孔152a側におけるコンダクタンスよりも大きい。ガス緩衝部182内の容積は、ガス案内部153と処理容器120との間の容積よりも広い。
【0077】
ガス緩衝部182は、円柱、多角柱、円錐または多角錐である。ガス緩衝部182の底部の直径は、例えば450mm以上550mm以下である。
【0078】
ガス緩衝部182の高さは、中間開口156の直径よりも高い。ガス緩衝部182の高さは、例えば50mm以上200mm以下である。これにより、温度調整ガスが中間開口156からガス緩衝部182内に流入した際に、排出孔185に向かう流れが阻害され難い。
【0079】
(排出孔)
処理容器120の鉛直上方には、排出孔185が設けられている。排出孔185は、流路140から温度調整ガスを排出するよう構成されている。排出孔185は、ガス緩衝部182の中間開口156の反対側に設けられている。排出孔185は、プラズマ処理装置10の鉛直上から見て、ガス緩衝部182の中央に配置されている。複数の中間開口156は、排出孔185から均等な距離で配置されている。より良くは、複数の中間開口156は、プラズマ処理装置10の鉛直上から見てガス緩衝部182の中心から点対称となるように配置されている。温度調整ガスは、プラズマ処理装置10の鉛直上から見て、各々の中間開口156から処理容器120の中央に向かって径方向に流れる。これにより、処理容器120の外壁に沿った部分における温度調整ガスの流速は、周方向に均一になり易い。
【0080】
(排出管及び排出装置)
排出孔185には、排出管186が接続されている。排出管186の排出孔185の反対側には、排出装置188が接続されている。排出装置188は、流路140内に導入孔152aから排出孔185に向かう流路140を形成するように、温度調整ガスを排出孔185から強制的に排出する。なお、排出装置188は、プラズマ処理装置10の専用品として設けられている必要はない。排出装置188は、クリーンルームに設けられた共用ダクトであってもよい。
【0081】
排出管186には、調整弁(Control Damper)184が設けられている。調整弁184は、排出管186に流れる温度調整ガスの流量を調整するよう構成されている。調整弁184は、一定量の温度調整ガスが排出される際に、温度調整ガスの流量を減衰(ダンピング)する。調整弁184は、いわゆるダンパーである。
【0082】
流路140内を流れる温度調整ガスの流量は、例えば1m
3/min以上10m
3/min以下である。排出孔185の内径は、例えば50mm以上100mm以下である。また、排出管186の内径は、例えば排出孔185の内径と等しい。
【0083】
(温度調整ガスの流路)
例えば、複数の導入孔152a、ガス案内部153、複数の中間開口156、ガス緩衝部182及び排出孔185により、温度調整ガスの流路140が構成される。温度調整ガスはこれらの順に流れる。なお、排出管186、調整弁184及び排出装置188を流路140に含めて考えてもよい。
【0084】
複数の導入孔152aは、流路140のうち処理容器120の周方向に均等な間隔で開設されている。温度調整ガスは、複数の導入孔152aから周方向に均等に導入される。これにより、処理容器120は、温度調整ガスにより周方向に均等に冷却され易い。
【0085】
処理容器120と共振コイル132との間には、処理容器120の外側を囲むように、ガス案内部153が設けられている。これにより、流路140は、ガス案内部153によって、処理容器120に沿った部分に狭められる。温度調整ガスは、処理容器120と共振コイル132との間に高速に流れる。これにより、処理容器120の冷却が促進される。
【0086】
複数の中間開口156は、共振コイル132と排出孔185との間に設けられている。複数の中間開口156は、流路140のうち処理容器120の周方向に均等な間隔で開設されている。温度調整ガスは、複数の導入孔152aから導入され、複数の中間開口156に向けて流れる。導入孔152aと中間開口156との間において、温度調整ガスの流量及び流速は周方向に均等になる。これにより、処理容器120は、温度調整ガスにより周方向に均等に冷却され易い。
【0087】
ガス緩衝部182は、中間開口156と排出孔185との間に設けられている。ガス緩衝部182内におけるコンダクタンスは、導入孔152aと中間開口156との間におけるコンダクタンスよりも大きい。これにより、温度調整ガスがガス緩衝部182内に流入した際に、排出孔185に向かう流れが阻害され難い。
【0088】
排出孔185は、ガス緩衝部182の中間開口156の反対側に設けられている。排出孔185は、プラズマ処理装置10の鉛直上から見て、複数の中間開口156の中央に一つだけ配置されている。流路140のうち導入孔152aと中間開口156との間の部分における流速は、処理容器120の周方向に均一となる。したがって、処理容器120は、周方向に均等に冷却され易い。
【0089】
このように、温度調整ガスは、導入孔152aから導入され、処理容器120の外壁を通って、排出孔185から排出される。ここでは、温度調整ガスは、処理ガスとは反対の方向に流れる。温度調整ガスは、処理容器120の下方から上方に向けて流れる。すなわち、温度調整ガスは、処理容器120の排気系側から処理容器120のガス供給系側に向けて流れる。流路140の一部は、反応管131の長手方向に形成される。処理容器120の外壁は、温度調整ガスにより冷却される。反対に、温度調整ガスは処理容器120の外壁により温められる。温度調整ガスは、この熱による上昇気流と同じ方向に流れることができる。
【0090】
(温度調整ガスの制御)
調整弁184には、制御部としてのコントローラ170が接続されている。コントローラ170は、調整弁184の開度を調整して、温度調整ガスの流量を制御するよう構成されている。例えば処理容器120の温度が所定の温度よりも低いとき、コントローラ170は調整弁184の開度を小さくする。これにより、処理容器120の温度が所定の温度に上昇する。一方、処理容器120の温度が所定の温度よりも高いとき、コントローラ170は調整弁184の開度を大きくする。これにより、処理容器120の温度は所定の温度に降下する。このようにして、処理容器120の温度は、所定の温度に維持される。
【0091】
なお、ここでいう「処理容器120の温度」とは、処理容器120の外壁の温度と、処理容器120の内部の温度と、の意味を含む。また、ここでいう「所定の温度」とは、プラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いが所定の速度または所定の度合いとなるための一定の温度範囲であればよい。
【0092】
流路140には、温度測定部183が設けられている。温度測定部183は、例えば遮蔽部152を貫通して、処理容器120に接している。温度測定部183は、遮蔽部152を貫通して反応管131の外壁に接している。温度測定部183は、処理容器120の温度を測定するよう構成されている。温度測定部183は、流路140の共振コイル132よりも下流側に配置されている。温度測定部183は、例えばK型の熱電対(TC)、または白金測温抵抗体(RTD)である。
【0093】
温度測定部183は、バネ構造により一定の力で処理容器120に押し付けられるように設置されていてもよい。熱膨張により設置状態が変化しても、温度測定部183と処理容器120との接触が保たれる。これにより、温度測定部183は安定的に処理容器120の温度を測定することができる。
【0094】
制御部としてのコントローラ170は、温度測定部183に接続されている。コントローラ170は、温度測定部183からの温度情報に基づいて調整弁184を制御するよう構成されている。処理容器120の温度は、所定の温度に維持される。
【0095】
(3)プラズマ処理方法
図3は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理方法を示すフローチャートである。
図3を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、本実施形態に係るプラズマ処理工程を説明する。以下では、例えば、ウエハ20上に塗布されたレジスト膜をアッシングする場合について説明する。プラズマ処理工程は、上述のプラズマ処理装置10によって実施される。下記の説明において、プラズマ処理装置10の各部の動作はコントローラ170によって制御される。
【0096】
(ポッド搬入)
プラズマ処理装置10のロードロック室(不図示)に、例えば25枚のウエハ20を有するポッド(不図示)が搬送される。それぞれのウエハ20の処理面の上には、例えばレジスト膜が塗布されている(S101)。
【0097】
(温度調整ガスフロー開始)
排出装置188を作動させ、流路140内の温度調整ガスを排出し始める。温度調整ガスは、処理容器120の周方向に均等な間隔で開設された導入孔152aから流路140内に流入する。コントローラ170は、温度測定部183からの温度情報に基づいて、調整弁184の開度を調整し、温度調整ガスの流量を制御する。例えば開始時など、処理容器120の温度が所定の温度よりも低いとき、コントローラ170は調整弁184の開度を小さくする。または、温度調整ガスの流量は小さくしておく。なお、温度調整ガスの流量制御は、例えばプラズマ処理工程が終了するまでの間、継続して行われる(S102)。
【0098】
(ウエハ搬入)
次に、搬送部は、ロードロック室にて、一枚のウエハ20をピックアップして、処理室145内に搬入する。昇降シャフト173によりリフタピン113を上昇させて、ウエハ20をリフタピン113上に載置する。搬送部は、処理室145から引き抜かれる。昇降シャフト173によりリフタピン113を降下させて、ウエハ20を所定の処理位置まで降下させる。これにより、ウエハ20をサセプタテーブル111上に移動させる(S103)。
【0099】
(温度調整および圧力調整)
処理容器120内が所定の圧力(真空度)となるように、排気装置179によって処理容器120内が真空排気される。この際、コントローラ170は、圧力センサが測定した処理容器120内の圧力情報に基づいて、APCバルブ181の開度を調整して、処理容器120内の圧力を制御する。処理容器120内の圧力は、例えば30Pa〜530Paの範囲内の所定の圧力に制御される。なお、排気装置179は、少なくともプラズマ処理工程の間において常時作動させた状態を維持する。また、処理容器120内の圧力の制御は、少なくともプラズマ処理工程の間、継続して行われる。
【0100】
また、ウエハ20の温度が所定の温度となるように、ヒータ163によってサセプタ159が加熱される。サセプタテーブル111からの熱伝導、またはヒータ163からの輻射等により、ウエハ20が例えば180℃〜250℃程度の範囲内の所定の処理温度になるように加熱調整される。なお、ウエハ20の温度の制御は、少なくともプラズマ処理工程の間、継続して行われる(S104)。
【0101】
(プラズマ処理)
次に、ウエハ20の温度が所定の温度に上昇したら、ガス供給系により処理ガスを処理容器120内に供給する。具体的には、処理ガス供給系のバルブ52aを開き、そしてマ
スフローコントローラ52bにより処理ガスの流量を調整しながら、処理容器120内に処理ガスを供給する。処理容器120内に供給された処理ガスは、拡散板160により分散され、反応管131の内壁に沿って下方に向かって流れる。
【0102】
処理ガスの供給と同時に、プラズマ生成部により処理ガスのプラズマを生成する。具体的には、高周波電源144から共振コイル132に高周波電力を印加する。その結果、プラズマ生成領域130にプラズマ放電が生じ、処理ガスがプラズマ状態となる。プラズマ状態の処理ガスは、プラズマ生成領域130から処理室145に向かって流れ、ウエハ20上に供給される。その結果、ウエハ20の処理面の上に形成されたレジスト膜がアッシングされる。
【0103】
処理ガスとして、例えば、O
2ガス、H
2ガス、N
2ガス、Arガス、Heガス、四フッ化メタン(CF
4)ガス及びトリフルオロメタン(CHF
3)ガスの少なくともいずれか一つ、またはそれらのガスを組み合わせたガスを用いる。また、処理ガスの流量は、マスフローコントローラ52bにより、例えば800〜2600sccmの範囲内に調整される。また、処理圧力は、例えば30Pa〜530Paの範囲内とする。また、共振コイル132に印加する高周波電力は、例えば600W〜2000Wの範囲内とする。なお、高周波電源144の発信周波数は、共振コイル132の共振周波数に収束される。このとき、RFセンサ168が共振コイル132からの反射波をモニタし、モニタされた反射波のレベルを周波数整合器146に送信する。周波数整合器146は、反射波電力の反射波が最小となるよう高周波電源144の発信周波数を調整する。これにより、ガス流量、ガス混合比、圧力の処理条件が変動した場合であっても、高周波電源144の発信周波数は直ちに整合する。
【0104】
プラズマ処理中において、例えば処理容器120の温度が所定の温度よりも高くなったとき、調整弁184の開度を大きくする。温度調整ガスの流量は大きくなる。これにより、処理容器120の温度は所定の温度に降下する。一方、処理容器120の温度が所定の温度よりも低くなったとき、調整弁184の開度を小さくする。これにより、処理容器120の温度が所定の温度に上昇する。このようにして、処理容器120の温度は、所定の温度に維持される。
【0105】
ウエハ20の処理面上のレジスト膜が除去されたら、高周波電源144からの共振コイル132への電力供給を停止する。また、ガス供給系から処理容器120への処理ガスの供給を停止する。これにより、ウエハ20に対するプラズマ処理を終了する(S105)。
【0106】
(パージおよび大気復帰)
次に、共振コイル132への電力供給及び処理ガスの供給を停止した後、APCバルブ181を全開にして、所定の時間、処理容器120内を排気する。このとき、パージガス供給系のバルブ51aを開き、そしてマスフローコントローラ51bによりパージガスの流量を調整しながら、処理容器120内にパージガスを供給する。これにより、処理容器120内をパージガスで置換する。そして、APCバルブ181の開度を調整して、処理容器120内を大気復帰する(S106)。
【0107】
(ウエハ搬出)
次に、処理済みのウエハ20を処理室145内から搬出する。処理済みのウエハ20は、ポッドに戻される(S107)。
【0108】
(バッチ処理の終了判定)
次に、所定枚数のウエハ20に対するプラズマ処理を全て実施したか否かを判定する(
S108)。所定枚数とは、例えばプラズマ処理装置10に設置されるポッド内のウエハ20の収容枚数であり、例えば25枚である。
【0109】
所定枚数のウエハ20に対するプラズマ処理を全て実施していない場合(S108で「No」の場合)、同様に再度、ステップS103からステップS107までを行う。
【0110】
(温度調整ガスフロー停止)
所定枚数のウエハ20に対するプラズマ処理を全て実施した場合(S108で「Yes」の場合)、排出装置188を停止する。これにより、温度調整ガスフローを停止する(S109)。このように、所定枚数のウエハ20に対してプラズマ処理を行うまで、流路140に温度調整ガスを流し続ける。
【0111】
(ポッド搬出)
プラズマ処理装置10から、処理済みのウエハ20を有するポッドが搬出される(S110)。このようにして、本実施形態におけるプラズマ処理工程を終了する。
【0112】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0113】
(a)本実施形態によれば、流路140は、少なくとも処理容器120とプラズマ生成部の共振コイル132との間に設けられ、処理容器120の外壁に沿って温度調整ガスを流す。複数の導入孔152aは、流路140のうち処理容器120の周方向に均等に開設され、流路140内に温度調整ガスを導入する。温度調整ガスは、複数の導入孔152aから処理容器120の周方向に対して均等に導入される。処理容器120は、温度調整ガスにより周方向に均等に冷却される。処理容器120の温度は、周方向に均一になる。ウエハ20自体の温度分布は面内方向に対して均一に維持される。またはプラズマ生成領域130のプラズマ密度がウエハ20の面内方向に対して均一に維持される。これにより、ウエハ20に対して面内均一にプラズマ処理が施される。ウエハ20の面内におけるプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いの均一性が向上する。
【0114】
ここで、
図4を用い、第1の比較例として、導入孔152aが流路140に不均一に開設されている場合について説明する。
図4(a)は、本発明の一実施形態に係る処理容器120の温度分布を示す模式図であり、
図4(b)は、第1の比較例に係る処理容器120の温度分布を示す模式図である。
図4(a)及び
図4(b)における実線矢印は、温度調整ガスの流れを示している。また、
図4(a)及び
図4(b)における反応管131の色分布は、反応管131の温度分布を示している。
【0115】
図4(b)のように、第1の比較例では、例えば、導入孔152a’が遮蔽部(不図示)の一部のみに設けられている。反応管131’の外壁の一部のみが冷却される。第1の比較例において、低温領域(LT)は、高温領域(HT)よりも局所的である。反応管131’の温度は周方向に対して不均一となっている。この場合、ウエハ自体の温度分布が面内方向に対して不均一となることがある。またはプラズマ生成領域のプラズマ密度がウエハの面内方向に対して不均一となることがある。反応管131’の温度が低い場所付近におけるプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いは、反応管131’の温度が高い場所付近におけるプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いよりも低い。このため、ウエハの面内におけるプラズマ処理が不均一となる可能性がある。
【0116】
これに対して、
図4(a)の本実施形態によれば、反応管131は、温度調整ガスにより周方向に均等に冷却される。本実施形態において、低温領域(LT)は、高温領域(HT)と同様に、反応管131の周方向に均等に分布している。これにより、ウエハの面内
におけるプラズマ処理の均一性が向上する。
【0117】
(b)本実施形態によれば、制御部としてのコントローラ170は、排出管186に設けられた調整弁184の開度を調整して、温度調整ガスの流量を制御する。処理容器120の温度は、所定の温度に維持される。これにより、処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度又はプラズマ処理の度合いが変化することを抑制できる。したがって、ウエハ20間におけるプラズマ処理の均一性が向上する。
【0118】
ここで、第2の比較例として、コントローラによる温度調整ガスの流量制御を行わない場合について説明する。第2の比較例では、処理容器からの放熱は、遮蔽部と処理容器との間の空隙における自然対流や、処理容器からの輻射のみである。プラズマ処理を行うことにより処理容器の温度が経時的に上昇しうる。例えば、一つのウエハに対してプラズマ処理を行う場合、処理終了時の処理容器の温度は、処理開始時の処理容器の温度よりも高くなる。また、複数枚のウエハに対して連続してプラズマ処理を行う場合、複数枚のウエハに対して処理を行ったときの処理容器の温度は、一枚目のウエハに対して処理を行ったときの処理容器の温度よりも高くなる。このような場合、経時的にウエハの温度が変化しうる。または経時的にプラズマ生成領域のプラズマ密度が変化しうる。したがって、処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度又はプラズマ処理の度合いが変化する可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、コントローラ170によって、処理容器の温度は、所定の温度に維持される。これにより、処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いが変化することを抑制できる。
【0119】
(c)本実施形態によれば、ガス緩衝部182は、流路140のうちプラズマ生成部と排出孔185の間に設けられている。ガス緩衝部182内のコンダクタンスは、流路140のガス緩衝部182よりも導入孔152a側におけるコンダクタンスよりも大きい。これにより、温度調整ガスがガス緩衝部182内に流入した際に、排出孔185に向かう流れが阻害され難い。処理容器120によって温められた温度調整ガスは、ガス緩衝部182から排出孔185に効率良く排出される。
【0120】
(d)本実施形態によれば、複数の中間開口156は、流路140のうちプラズマ生成部と排出孔185との間に設けられ、流路140のうち処理容器120の周方向に均等に開設されている。複数の中間開口156は、排出孔185から均等な距離で配置されている。流路140のうち導入孔152aと中間開口156との間の部分における流速は、処理容器120の周方向に均一となる。これにより、処理容器120は、周方向に均等に冷却され易い。
【0121】
(e)本実施形態によれば、ガス案内部153は、処理容器120とプラズマ生成部の共振コイル132との間に設けられ、導入孔152aから処理容器120とプラズマ生成部の共振コイル132との間に温度調整ガスを案内する。流路140の一部は、処理容器120とガス案内部153との間に設けられる。流路140は、ガス案内部153によって、処理容器120に沿った部分に狭められる。温度調整ガスの流量が同じ流量であっても、温度調整ガスは、処理容器120と共振コイル132との間に高速に流れる。温度調整ガスの流速が高いほど、温度調整ガスと処理容器120との間の熱伝達率が向上するため、処理容器120の冷却が促進される。
【0122】
(f)本実施形態によれば、所定枚数のウエハ20に対するプラズマ処理を行い、所定枚数のウエハ20に対してプラズマ処理を行うまで、流路140に温度調整ガスを流し続ける。この間、処理容器120の温度は、所定の温度に維持される。各々のウエハ20に対するプラズマ処理は、処理容器120の温度が所定の温度である状態で行われる。これに
より、処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いが変化することを抑制できる。
【0123】
ここで、処理容器120の温度を安定化する方法として、プラズマ処理工程の前に、処理容器120を予備加熱する場合と、処理容器120が加熱したときに冷却時間を設ける場合と、が考えられる。しかし、いずれの場合においても、追加時間が発生する。スループットが低下する可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、処理容器120の温度は、所定の温度に維持される。処理中または処理ごとにおいて、経時的にプラズマ処理の速度またはプラズマ処理の度合いが変化することを抑制できる。これにより、生産性が向上する。
【0124】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0125】
本実施形態では、処理対象物が前工程のウエハ20であるとして説明した。処理対象物は、後工程の半導体デバイスまたは半導体パッケージであってもよい。
【0126】
本実施形態では、制御部としてのコントローラ170が、温度測定部183からの温度情報に基づいて、調整弁184の開度を調整して、温度調整ガスの流量を制御する場合を説明した。コントローラ170は、予め入力された温度シミュレーション結果に基づいて、温度調整ガスの流量を制御してもよい。コントローラ170は、上記シミュレーション結果とともに、処理ガスの流量、高周波電源144の電力、処理時間、処理した回数などに基づいて、温度調整ガスの流量を制御してもよい。
【0127】
本実施形態では、温度測定部183が処理容器120の温度を直接接触させて測定する方法を説明した。温度測定部183は、流路140に流れる温度調整ガスの温度を測定してもよい。また、温度測定部183は、赤外線温度計によって、非接触で処理容器120の温度を測定してもよい。
【0128】
本実施形態では、流路140の中間開口156が環状に複数設けられている場合を説明した。中間開口156は、一つの環状(リング状)の空隙であってもよい。中間開口156は、処理容器120と同心円状に配置されていることが好ましい。排出孔185は、プラズマ処理装置10の鉛直上から見て、環状の中間開口156の中心に配置されている。これにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0129】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0130】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
処理対象物を処理する処理容器と、
前記処理容器内に処理ガスを供給するガス供給系と、
前記処理容器内を排気する排気系と、
前記処理容器の外側に設けられ、前記処理容器内に供給された前記処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
少なくとも前記処理容器と前記プラズマ生成部との間に設けられ、前記処理容器の外壁に沿って温度調整ガスを流す流路と、
前記処理容器の周方向に開設され、前記流路に前記温度調整ガスを導入する導入孔と、
前記流路を流れた前記温度調整ガスを排出する排出孔と、
を有するプラズマ処理装置が提供される。
【0131】
(付記2)
付記1のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記排出孔に接続され、前記温度調整ガスを前記排出孔から排出する排出管と、
前記排出管に設けられた調整弁と、
前記調整弁の開度を調整して、前記温度調整ガスの流量を制御する制御部と、
を有する。
【0132】
(付記3)
本発明の他の態様によれば、
処理対象物を収容する処理容器と、
前記処理容器内に処理ガスを供給するガス供給系と、
前記処理容器内を排気する排気系と、
前記処理容器の外側に設けられ、前記処理容器内に供給された前記処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
少なくとも前記処理容器と前記プラズマ生成部との間に設けられ、前記処理容器の外壁に沿って温度調整ガスを流す流路と、
前記流路に前記温度調整ガスを導入する導入孔と、
前記流路を流れた前記温度調整ガスを排出する排出孔と、
前記排出孔に接続され、前記温度調整ガスを前記排出孔から排出する排出管と、
前記排出管に設けられた調整弁と、
前記調整弁の開度を調整して、前記温度調整ガスの流量を制御する制御部と、
を有するプラズマ処理装置が提供される。
【0133】
(付記4)
付記2又は3のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記処理容器の温度を測定する温度測定部を有し、
前記制御部は、前記温度測定部からの温度情報に基づいて前記調整弁を制御する。
【0134】
(付記5)
付記1〜4のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記流路のうち前記プラズマ生成部と前記排出孔との間に設けられたガス緩衝部を有し、
前記ガス緩衝部内のコンダクタンスは、前記流路のうち前記ガス緩衝部よりも前記導入孔側のコンダクタンスよりも大きい。
【0135】
(付記6)
付記5のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記ガス緩衝部は、前記処理容器の上に設けられている。
【0136】
(付記7)
付記5または6のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記排出孔は、鉛直上から見て前記ガス緩衝部の中央に設けられている。
【0137】
(付記8)
付記1〜7のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記流路のうち前記プラズマ生成部と前記排出孔との間に設けられ、前記流路のうち前記処理容器の周方向に均等に開設された複数の中間開口を有し、
前記複数の中間開口は、前記排出孔から均等な距離で配置されている。
【0138】
(付記9)
付記1〜8のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記プラズマ生成部の外側を囲むように設けられ、前記導入孔を有し、導電性を有する遮蔽部を有し、
前記流路の一部は、少なくとも前記処理容器と前記遮蔽部との間に設けられている。
【0139】
(付記10)
付記1〜9のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記処理容器と前記プラズマ生成部との間に前記処理容器の外側を囲むように設けられ、前記導入孔から前記処理容器と前記プラズマ生成部との間に前記温度調整ガスを案内するガス案内部を有し、
前記流路の一部は、前記処理容器と前記ガス案内部との間に設けられている。
【0140】
(付記11)
付記10のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記ガス案内部は、低誘電率の材料により形成されている。
【0141】
(付記12)
付記10又は11のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記ガス案内部は、絶縁性の材料により形成されている。
【0142】
(付記13)
付記10〜12のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記ガス案内部は、耐熱性を有する材料により形成されている。
【0143】
(付記14)
付記10〜13のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記プラズマ生成部の外側を囲むように設けられ、前記導入孔を有し、導電性を有する遮蔽部を有し、
前記ガス案内部と前記処理容器との間隔は、前記ガス案内部と前記遮蔽部との間隔よりも狭い。
【0144】
(付記15)
付記10〜14のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記ガス案内部は、
前記処理容器を囲むように設けられた中間部と、
前記中間部のうち前記導入孔側に接し、前記温度調整ガスが前記ガス案内部と前記遮蔽部との間に流入することを抑制するように設けられたフランジ部と、
を有する。
【0145】
(付記16)
付記15のプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記フランジ部は、前記中間部から径方向に外側に拡張されている。
【0146】
(付記17)
付記10〜16のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記ガス案内部は、テフロン(登録商標)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、べスペル(登録商標)、PBI(ポリベンゾイ
ミダゾール)のいずれかの材料により形成されている。
【0147】
(付記18)
付記1〜17のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記温度調整ガスは大気または窒素ガスである。
【0148】
(付記19)
付記1〜18のいずれかのプラズマ処理装置であって、好ましくは、
前記導入孔は複数設けられ、
前記複数の導入孔は、前記処理容器の周方向に均等な間隔で開設されている。
【0149】
(付記20)
本発明の他の態様によれば、
処理容器内に処理対象物を搬送する工程と、
前記処理容器内に処理ガスを導入し、前記処理容器の外側に設けられたプラズマ生成部により前記処理容器内に供給された前記処理ガスのプラズマを生成して、前記処理対象物に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理工程と、
を有し、
少なくとも前記プラズマ処理工程では、少なくとも前記処理容器と前記プラズマ生成部との間に設けられ前記処理容器の外壁に沿った流路に、前記処理容器の周方向に開設された導入孔から、温度調整ガスを流すプラズマ処理方法が提供される。
【0150】
(付記21)
本発明の他の態様によれば、
処理容器内に処理対象物を搬送する工程と、
前記処理容器内に処理ガスを導入し、前記処理容器の外側に設けられたプラズマ生成部により前記処理容器内に供給された前記処理ガスのプラズマを生成して、前記処理対象物に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理工程と、
を有し、
少なくとも前記プラズマ処理工程では、少なくとも前記処理容器と前記プラズマ生成部との間に設けられ前記処理容器の外壁に沿った流路に温度調整ガスを流すとともに、前記処理容器の温度が所定の温度となるように前記温度調整ガスの流量を制御するプラズマ処理方法が提供される。
【0151】
(付記22)
付記20又は21のプラズマ処理方法であって、好ましくは、
所定数の前記処理対象物に対して、前記プラズマ処理工程を行い、
前記所定数の前記処理対象物に対して前記プラズマ処理工程を行うまで、前記流路に前記温度調整ガスを流し続ける。
【0152】
(付記23)
付記20〜22のいずれかに記載のプラズマ処理方法であって、好ましくは、
少なくとも前記プラズマ処理工程では、
前記流路に、前記処理容器の周方向に均等な間隔で開設された複数の導入孔から、温度調整ガスを流す。