【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。先ず、本発明における各特性の測定方法および評価方法について説明する。
(1)充填密度
下記式により、算出する。
充填密度(g/cm
3)=[目付(g/m
2)/厚み(mm)]×10
-3
但し、目付は、20℃65%RHの標準状態での重さ、厚さは接圧5gf/cm
2の荷重を掛けて測定した厚さとする。
【0027】
(2)吸湿性
測定する生地を10cm角にカットし、送風乾燥機に入れ、80℃1時間で予備乾燥を行う。終了後、乾燥機内で速やかに湿気を通さないチャック付袋に入れ、シリカゲルを敷き詰めたデシケータに入れ、デシケータの蓋をして20℃に冷ます。冷めたところで20℃20%RHに調湿しておいた環境室Aに運び、デシケータの蓋を開け、更に袋を開け、12時間放置する。翌日、生地の重量w
0を測定してから、再び湿気を通さないチャック付袋に入れ、封をして20℃90%RHの環境室Bに移す。環境室Bで袋を開けた瞬間から一定の時間ごとに重量を測定する。
時間0の重量はw
0とする。測定間隔は、袋開封後1分(w
1m)、3分(w
3m)、5分(w
5m)、10分(w
10m)、15分(w
20m)、30分(w
30m)、1時間(w
1h)、2時間(w
2h)、3時間(w
3h)とする。開封3時間で測定終了とする。
次に、予め重量を測定しておいた秤量瓶を用意する。測定後の生地を秤量瓶に入れ、蓋は被せずにあけておく。送風乾燥機内に入れ、105℃で3時間絶乾を行う。終了後、乾燥機内で速やかに秤量瓶の蓋を被せ、シリカゲルを敷き詰めたデシケータに入れ、デシケータの蓋をして20℃に冷ます。冷めたところで、蓋をした秤量瓶と生地の重量を測定し、秤量瓶の重量を減じて生地絶乾重量w
Zとする。
20℃×20%RHでの生地の吸湿率=[(w
0−w
z)/w
z]×100(%)
20℃×90%RHへ移行1分後の生地の吸湿率=[(w
1m−w
z)/w
z]×100(%)
20℃×90%RHへ移行3時間後の生地の吸湿率=[(w
3h−w
z)/w
z]×100(%)
吸湿性は開封3時間後の吸湿率と、20%RH調湿時の吸湿率の差から算出する。
吸湿スピード係数は開封1分、3分、5分後の重量から算出した吸湿率と、20%RH調湿時の吸湿率を結んだ近似直線の傾きとする。着用時の蒸れによる不快感は、湿度値よりも湿度変化値に依存することが明らかにされており、初期の吸湿スピードが重要となる。
【0028】
(3)放熱性
カトーテック社製サーモラボIIを用いて測定する。ドライヒートロスともよばれ、カトーテック社製の測定マニュアルに従う。
予め環境温湿度20℃65%RHに調湿した生地を、所定の断熱材製の枠(厚み2mm、目付163g/m
2)に貼り付け、30℃恒温維持させたヒーターに接触させ、ヒーター温を30℃に保つための熱供給量(W/100cm
2・10℃)を読む。温度差を1℃当たり、生地面積を1m
2に換算する(W/m
2・℃)ため、100を掛け、10で除する。生地は肌側面をヒーター面に当たるよう配置する。ここで、生地を置かない場合の放熱性をブランク値として測定すると、20℃65%RHの環境では、12.0〜13.0、断熱材製の枠のみの放熱性は、11.5〜12.5となる。
【0029】
(4)瞬間熱流束(接触冷感)
カトーテック社製サーモラボIIを用いて測定する。Qmaxともよばれ、カトーテック社製の測定マニュアルに従う。
予め環境温湿度を20℃65%RHに調湿した生地を、肌側面を上に向けて発泡スチロール断熱材上に置き、30℃に温めた熱板兼温度センサーを生地肌側面に接触させ、最大瞬間熱流束量(W/cm
2・10℃)を読む。
温度差を1℃当たり、生地面積を1m
2に換算する(W/m
2・℃)ため、10000を掛け10で除する。
【0030】
(5)冷却温度
本発明において、「冷却温度」とは、後述するような肌モデルを作製し、ヒーターで一定温度に昇温した後、試料生地と接触させた際の接触前後における温度差のことを言い、生地の熱移動特性を評価するものである。
この評価は、瞬間熱流束値と対応を採るため、標準状態の20℃65%RHの環境下にて行うとよい。冷却温度差で確認すると、熱流束よりも清涼感の優劣が判りやすい。この測定には、非接触の温度センサー(通称サーモグラフィ)を用いる。接触の温度センサーでは、後述の肌モデルと生地の間に温度センサーが挟まれ、正しく測れない上、肌モデルと生地面と両方を同時に捕えられない。サーモグラフィは後述する肌モデルをひっくり返した面と、肌モデルを離した生地面との両方を測定できるよう、視野をやや広めにしておくとよい。
【0031】
先ず、試験に用いる試料生地はあらかじめカットした断熱材の上にセットしておく。試料生地と断熱材は予め測定環境下に調湿しておき、生地は9cm角に、断熱材(厚み2cmの発泡スチロールが好ましい)も9cm角にそれぞれカットしておく。カットした断熱材の上に、生地を置く。このとき、生地の四方を虫ピンで断熱材の上に固定すると、その後の測定値安定性が高まり好ましい。生地は肌側を上面にすると実着用での差を反映できる。生地が(1)の測定に用いた厚さ計で0.7mm以下と薄い場合は、2枚ないし3枚を重ねて虫ピンでとめると、より一層素材の性能差を明らかにすることができる。厚地の場合は1枚でよい。
【0032】
続いて、温度測定用の肌モデルを用意する。肌モデルとしては、底面の半径が2cmである500gfの校正用分銅の下面に、厚さ1mm以上、より好ましくは1.2mm以上の革を、下面と同じ大きさに切り貼り付けたものを用いる。革は厚さの関係から、牛が好ましい。また牛革の表面は平滑で、なめしてあるものが良い。例えば、カトーテック製KES−SEで標準規格布綿「かなきん3号」を用いて摩擦係数を測定すると、MIU=0.20〜0.25になるような比較的滑らかなものが良い。このときの測定条件は、荷重25gf摩擦子25gfの合計50gf、感度H、移動速度が標準条件の1mm/secである。皮革素材自体の瞬間熱流束は、230W/m
2・℃以上260W/m
2・℃以下のものであることがよい。
革と校正用分銅の色は放射も考慮して黒に統一するのが良い。
革と校正用分銅の間には厚み2mmの断熱材を挟みこむ。これらの接着には薄いセロハン(登録商標)タイプ両面テープを用いるとよい。
【0033】
続いて恒温機能のある温熱ヒーターを用意する。このヒーター面上には1〜2mmの薄い銅板等、熱伝導性が非常に高い金属を敷くと、ヒーター面の温度の安定化が図れるため好ましい。40℃±2℃に設定した温熱ヒーター面上(好ましくはヒーター面上においた銅板の上)に、肌モデルをのせて約3分間温める。このとき肌モデルの表面温度が33〜37℃程度に温まることを、革面が上に向くように分銅をひっくり返すことで確認しておく。肌モデルの表面温度が37℃を越える場合はヒーターを1℃下げる。また、表面温度が33℃を下回る場合は、ヒーターを1℃上げる等で調整する。環境温度と肌モデルの表面温度は15℃以上、好ましくは20℃の差があるとよい。これ以上の温度差をもたらすべく、ヒーター温度を上げたとしても、肌モデル表面温度が実際の体表面温度である体温以上に高まることになり、実着用を反映せず測定の意義が無い。次に、ヒーター上の肌モデルを、前述の生地の上に素早く載せかえる。載せかえて10秒後、革面が上に向くようにひっくり返すと、肌モデルの温度低下と共に、生地表面の放熱のしやすさが非接触で捉えられる。このデータは1秒間に10フレーム程度の間隔で保存し、後に瞬間的な温度変化の解析を行うと精度が高い。
【0034】
例えばヒーターを42℃に設定した場合、この肌モデルの温度低下は、熱流束値が120(W/m
2・℃)であれば3℃に、140(W/m
2・℃)であれば4℃に、160(W/m
2・℃)以上であれば5℃となる。
3℃以上下げる効果があると、生地に触ったときにひんやり感を実感できる。
【0035】
(6)官能試験A
着用モニター(身長170cm±10cmの男性、年齢19−32才)を10人選定し、そのモニター各人に明細を伏せて試作肌着を着用させ、9月に官能試験を行った。
1日1枚、毎日同時刻に実験を開始し、28℃40%RHの予備試験室にて20分間座位で安静にさせた後、上下着替えの後(上衣は試作肌着に綿65%ポリエステル35%のYシャツ、下衣は、綿60%ポリエステル35%ポリウレタン5%のブリーフ、綿100%のチノパン、綿55%ポリエステル30%ナイロン約8%ポリウレタン約7%の靴下に統一)、30℃40%RHの試験室に移動させた。10分間座位で安静、続いて8km/時間に設定されたトレッドミルで10分間運動させ、その後10分間座位で安静にして試験終了とした。
着用初期の冷感並びに着用中の放熱性および蒸れ感を下記の5段階で官能評価させ、最頻値を評価結果とした。
<冷感及び放熱性の評価>
5:冷感(放熱性)が高い
4:冷感(放熱性)がやや高い
3:どちらとも言えない
2:冷感(放熱性)がやや低い
1:冷感(放熱性)が低い
<蒸れ感の評価>
5:蒸れを感じにくい
4:蒸れをあまり感じない
3:どちらとも言えない
2:蒸れをやや感じる
1:蒸れを感じる
【0036】
(7)官能試験B
着用モニター(身長170cm±10cmの男性、年齢19−32才)を10人選定し、そのモニター各人に明細を伏せて試作生地による長袖スポーツアンダーを着用させ、9月に官能試験を行った。
1日1枚、毎日同時刻に実験を開始し、28℃40%RHの予備試験室にて20分間座位で安静にさせた後、上下着替えの後(上衣は試作アンダーシャツ、ポリエステル100%の半袖ポロシャツの順、下衣は綿60%ポリエステル35%ポリウレタン5%のブリーフ、上衣と同じ試作生地による9分丈スパッツ、ポリエステル100%の短パンの順、靴下は綿55%ポリエステル30%ナイロン約8%ポリウレタン約7%に統一して着用)、30℃40%RHの試験室に移動させた。10分間座位で安静、続いて8km/時間に設定されたトレッドミルで10分間運動させ、その後10分間座位で安静にして試験終了とした。続いて、28℃40%RHの予備室に移動し、更に10分間安静にした。
着用初期の冷感、着用中の放熱性および蒸れ感、並びに着用後の汗の乾きやすさ、冷え感について下記の5段階で官能評価させ、最頻値を評価結果とした。
<冷感及び放熱性の評価>
5:冷感(放熱性)が高い
4:冷感(放熱性)がやや高い
3:どちらとも言えない
2:冷感(放熱性)がやや低い
1:冷感(放熱性)が低い
<蒸れ感の評価>
5:蒸れを感じにくい
4:蒸れをあまり感じない
3:どちらとも言えない
2:蒸れをやや感じる
1:蒸れを感じる
<汗の乾きやすさの評価>
5:汗が大変乾きやすく、且つ肌に残らない、冷えも全く感じない
4:汗が乾き、肌に殆ど残らず、冷えも感じにくい
3:どちらとも言えない
2:汗がやや乾きにくく、肌に僅か残り、冷えも若干感じる
1:汗が大変乾きにくく、肌に残り、冷えを感じる
【0037】
(8)官能試験C
試作生地による夏用肌掛け、敷き布団カバーを作成した。
着用モニター(身長170cm±10cmの男性、年齢19−32才)を10人選定し、そのモニター各人に夏用肌掛け、該カバーをつけた敷き布団を与え、明細を伏せて、9月に官能試験を行った。
1日1枚、毎日同時刻に実験を開始し、28℃40%RHの予備試験室にて20分間座位で安静にさせた後、上下着替えの後(綿100%のパジャマ、綿60%ポリエステル35%ポリウレタン5%のブリーフ着用)、28℃60%RHの試験室に移動させた。試験室内の簡易ベッドにカバーをつけた敷き布団を用意し、仰向けに寝させ、夏用肌掛けを被らせて30分間安静させ、初期の冷感および使用中の放熱性及び蒸れ感について下記の5段階で官能評価させ、最頻値を評価結果とした。
<冷感及び放熱性の評価>
5:冷感(放熱性)が高い
4:冷感(放熱性)がやや高い
3:どちらとも言えない
2:冷感(放熱性)がやや低い
1:冷感(放熱性)が低い
<蒸れ感の評価>
5:蒸れを感じにくい
4:蒸れをあまり感じない
3:どちらとも言えない
2:蒸れをやや感じる
1:蒸れを感じる
【0038】
[実施例1]
84dtex45fのキュプラブライトフィラメントと22dtex3fのポリウレタン弾性繊維(登録商標ロイカ)を積極送り装置を用いて32Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率91%、ポリウレタン弾性繊維混率9%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が86、ウェール数が51の生地1を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0039】
[実施例2]
56dtex30fのキュプラフルダルフィラメントと44dtex24fのポリエステルセミダルフィラメントとを公知の方法でインターレース混繊を行った後、撚糸機で1000回/m追撚し、複合加工糸を得た。得られた複合加工糸は、キュプラの混率が55%、ポリエステルの混率が45%となった。この糸と22dtex3fのポリウレタン弾性繊維(登録商標ロイカ)を積極送り装置を用いて、32Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率51.6%、ポリエステル混率40.6%、ポリウレタン弾性繊維混率7.8%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が84、ウェール数が43の生地2を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0040】
[実施例3]
実施例1で得た生地を、シンカーループ側を肌に触れる面とし、温熱特性を測定した。結果は実施例1より僅かながら劣るが、表1に示す通り、優れていた。続いて、シンカーループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。実施例1より僅かながら劣るが、冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0041】
[実施例4]
25dtex24fの扁平断面ナイロン66のPOYを公知の方法で仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、33dtex24fのキュプラブライトフィラメントとを公知の方法でインターレース混繊を行い、複合加工糸を得た。得られた複合加工糸はキュプラの混率59.5%、ナイロンの混率40.5%となった。この複合糸と22dtex3fのポリウレタン弾性繊維(登録商標ロイカ)とを積極送り装置を用いて、46Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率52%、ナイロン混率35%、ポリウレタン弾性繊維混率13%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が122、ウェール数が70の生地4を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0042】
[実施例5]
84dtex45fのキュプラブライトフィラメントを用いて、32G小寸丸編機によりキュプラ混率100%のフライスを得た。この生地を液流染色機で精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が42、ウェール数が45の生地5を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いて編成時内側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0043】
[実施例6]
84dtex54fのキュプラフルダルフィラメントと33dtex12fのポリエステルフィラメントを公知の方法でインターレース混繊を行った後、撚糸機で300回/m追撚し、複合加工糸を得た。得られた複合加工糸は、キュプラの混率72%、ポリエステルの混率28%となった。この複合糸を用いて、32G小寸丸編機によりキュプラ混率71%、ポリエステル混率29%のフライスを得た。この生地を液流染色機により精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が55、ウェール数40の生地6を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いて編成時内側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0044】
[実施例7]
84dtex54fのキュプラフルダルフィラメントと33dtex12fのポリエステルフィラメントを公知の方法でインターレース混繊を行った後、撚糸機で300回/m追撚し、複合加工糸を得た。得られた複合加工糸は、キュプラの混率72%、ポリエステルの混率28%となった。この複合加工糸と22dtex3fのポリウレタン弾性繊維(登録商標ロイカ)とを積極送り装置を用いて、28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率67%、ポリエステル混率26%、ポリウレタン弾性繊維混率7%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が71、ウェール数が42の生地7を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0045】
[実施例8]
84dtex54fのキュプラフルダルフィラメントと33dtex12fのナイロンフィラメントを公知の方法でインターレース混繊を行った後、撚糸機で300回/m追撚し、複合加工糸を得た。得られた複合加工糸は、キュプラの混率72%、ナイロンの混率28%となった。この複合加工糸と22dtex3fのポリウレタン弾性繊維(登録商標ロイカ)とを積極送り装置を用いて、28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率67%、ナイロン混率26%、ポリウレタン弾性繊維混率7%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が77、ウェール数が43の生地8を得た。この生地の温熱特性は表1に示す通り、優れていた。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0046】
[比較例1]
33dtex24fのキュプラブライトフィラメントと84dtex36fのポリエステルW型断面フィラメントを公知の方法でインターレース仮撚を行って複合糸を得た。この複合糸はキュプラの混率28%、ポリエステルの混率72%であった。この複合糸と50/−のコーマ綿とを28G小寸丸編み機上で交編し、キュプラの混率14%、ポリエステルの混率37%、綿の混率49%のフライスを得た。この生地を液流染色機にて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が48、ウェール数が38の生地9を得た。この生地は再生セルロース繊維の混率がやや少なく、吸湿性および吸湿スピードと緻密さとに劣り、空気層による断熱効果で温熱特性は表1に示す通り、芳しくなかった。続いてシンカーループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が芳しくなく、蒸れをやや感じたと判定された。
【0047】
[比較例2]
100dtex72fの丸断面ナイロン66を公知の方法で仮撚加工して得たナイロン66仮撚フィラメントと、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維とを積極送り装置を用いて、28Gシングル丸編機上で複合し、ナイロン混率91%、ポリウレタン弾性繊維混率9%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が72、ウェール数が44の生地10を得た。この生地は再生セルロース繊維が混用されておらず、吸湿性と吸湿スピードに劣り、温熱特性は表1に示す通り、芳しくなかった。続いてシンカーループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が芳しくなく、蒸れをやや感じたと判定された。
【0048】
[比較例3]
比較例2で得た生地を、ニードルループ側を肌に触れる面とし、温熱特性を測定した。結果は比較例1より僅かながら高かったが、表1に示す通り、芳しくないものであった。続いて、ニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。比較例1同様、ここでも冷感および放熱性が芳しくなく、蒸れをやや感じたと判定された。
【0049】
[比較例4]
50/−のコーマ綿と22dtex3fのポリウレタン弾性繊維とを積極送り装置を用いて、28Gシングル丸編機上で複合し、綿混率90%、ポリウレタン弾性繊維混率10%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が72、ウェール数が42の生地11を得た。この生地は再生セルロース繊維が混用されておらず、吸湿性と吸湿スピードにやや劣り、短繊維使いにより緻密さが得られず空気層が多く、その断熱効果で温熱特性は表1に示す通り、芳しくなかった。続いてニードルループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感および放熱性が芳しくなく、蒸れをやや感じたと判定された。
【0050】
[比較例5]
84dtex45fキュプラブライトフィラメントと56dtex72fの丸断面ポリエステルを公知の方法でインターレース混繊仮撚を行って複合糸を得た。この複合糸はキュプラの混率60%、ポリエステルの混率40%であった。この複合糸と、50dtex36fの偏平断面および56tex36fの丸型断面のポリエステルフィラメントを合撚して得た106dtex66fのポリエステル撚糸と、22dtex3fのポリウレタン弾性繊維とを積極送り装置を用いて(半口使い)、28Gシングル丸編機上で複合し、キュプラ混率25%、ポリエステル混率70%、ポリウレタン弾性繊維混率5%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が50、ウェール数が45の生地12を得た。この生地は充填密度が0.260g/cm
3未満であり、やや吸湿性と吸湿スピードに劣り、また生地のセット時に引っ張りすぎたため編目に空気層ができ、温熱特性は表1に示す通りとなった。続いてシンカーループ側を肌に触れる面になるよう縫製して肌着(上半身用)とし、官能試験Aの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表1に示す。冷感が芳しくなく、蒸れをやや感じたと判定された。
【0051】
【表1】
【0052】
[実施例9]
実施例4で得た生地4を用いて、シンカーループ側を肌に触れる面になるように長袖スポーツアンダー、スパッツを縫製し、官能試験Bの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表2に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れ、汗の残り、冷えを感じにくいと判定された。
【0053】
[実施例10]
実施例7で得た生地7で、ニードルループ側を肌に触れる面になるよう夏用肌掛け、敷き布団カバーを作成した。官能試験Cの方法でモニターに官能試験を行わせた結果を表3に示す。冷感および放熱性が高く、蒸れを感じにくいと判定された。
【0054】
[比較例6]
110dtexfの丸断面ポリエステルを公知の方法で仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、33dtex3fのポリウレタン弾性繊維とを積極送り装置を用いて、28Gシングル丸編機上で複合し、ポリエステル混率90%、ポリウレタン弾性繊維混率10%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が62、ウェール数が44の生地13を得た。この生地は再生セルロース繊維が混用されておらず、吸湿性と吸湿スピードに劣り、温熱特性は表2に示す通り、芳しくなかった。続いてシンカーループ側を肌に触れる面になるよう縫製した長袖スポーツアンダー、スパッツを着用させ、官能試験Bの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表2に示す。冷感および放熱性が芳しくなく、蒸れ、吸水性能も不足して肌の汗の残りも多く、繊維表面に付着した液層が原因による冷えも感じやすいと判定された。
【0055】
[比較例7]
長袖スポーツアンダー、スパッツを着用させずに、ブリーフとスポーツウェア上下のみにて、官能試験Bの方法でモニターに官能検査を行わせた。評価結果を表2に示す。スポーツアンダーを着ないと、冷感および放熱性が低く、汗が有効に発散されずに蒸れてしまい、更に肌の汗の残りも非常に多く、安静時冷えを感じると判定された。
【0056】
[比較例8]
比較例6で得た生地13で、ニードルループ側を肌に触れる面になるよう夏用肌掛け、敷き布団カバーを作成した。官能試験Cの方法でモニターに官能試験を行わせた結果を表3に示す。冷感および放熱性が低く、蒸れを感じやすいと判定された。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】