(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズおよび撮像素子を有するとともに前記レンズの光軸方向へ前記レンズを移動させるレンズ駆動機構を有するカメラモジュールと、前記レンズの光軸が傾くように前記カメラモジュールを揺動させて前記撮像素子上に結像される光学像の振れを補正する振れ補正機構と、前記カメラモジュールを揺動可能に支持する支持体とを備え、
前記振れ補正機構は、前記カメラモジュールに取り付けられる振れ補正用コイルと、前記支持体に取り付けられる振れ補正用磁石とを備え、
前記カメラモジュールは、前記光軸方向から見たときの形状が略多角形状となるように形成され、
前記振れ補正用コイルは、前記光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成されるとともに、前記カメラモジュールの内部であって、かつ、前記光軸方向から見たときの前記カメラモジュールの角部に配置され、
前記振れ補正用磁石は、前記振れ補正用コイルよりも被写体側に配置されるとともに、前記振れ補正用コイルの被写体側の端面と前記光軸方向で対向するように前記支持体に取り付けられ、
前記カメラモジュールは、前記カメラモジュールの被写体側の端面を構成する被写体側カバー部材と、前記カメラモジュールの側面を構成する側面カバー部材とを備え、
前記被写体側カバー部材は、樹脂材料で形成され、前記側面カバー部材は、軟磁性材料で形成されていることを特徴とする撮影用光学装置。
前記カメラモジュールは、前記可動体に固定される可動体固定部と前記保持体に固定される保持体固定部と前記可動体固定部と前記保持体固定部とを繋ぐバネ部とを有し前記可動体の被写体側で前記可動体と前記保持体とを繋ぐ板バネを備え、
前記保持体は、前記保持体固定部が固定されるとともに前記被写体側カバー部材の反被写体側面に固定されるバネ固定部材を備え、
前記バネ固定部材には、前記レンズの径方向の内側から前記振れ補正用コイルを支持するコイル支持部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の撮影用光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の撮影用光学装置では、可動モジュールは、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、可動モジュールの外周面を構成するカバー部材の4つの側面に駆動用磁石が固定されている。また、この撮影用光学装置では、駆動用磁石は、カバー部材の外周面よりも外周側へ突出している。さらに、この撮影用光学装置では、カバー部材に固定される駆動用磁石の外側面とケース体の内周面に取り付けられる振れ補正用コイルとが対向している。そのため、特許文献1に記載の撮影用光学装置では、光軸方向に直交する方向において、撮影用光学装置が大型化する。
【0007】
そこで、本発明の課題は、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュールを揺動させて光学像の振れを補正する場合であっても、レンズの光軸方向に直交する方向で装置を小型化することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、レンズおよび撮像素子を有するとともにレンズの光軸方向へレンズを移動させるレンズ駆動機構を有するカメラモジュールと、レンズの光軸が傾くようにカメラモジュールを揺動させて撮像素子上に結像される光学像の振れを補正する振れ補正機構と、カメラモジュールを揺動可能に支持する支持体とを備え、振れ補正機構は、カメラモジュールに取り付けられる振れ補正用コイルと、支持体に取り付けられる振れ補正用磁石とを備え、カメラモジュールは、光軸方向から見たときの形状が略多角形状となるように形成され、振れ補正用コイルは、光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成されるとともに、カメラモジュールの内部であって、かつ、光軸方向から見たときのカメラモジュールの角部に配置され、振れ補正用磁石は、
振れ補正用コイルよりも被写体側に配置されるとともに、振れ補正用コイルの被写体側の端面と光軸方向で対向するように支持体に取り付けられ
、カメラモジュールは、カメラモジュールの被写体側の端面を構成する被写体側カバー部材と、カメラモジュールの側面を構成する側面カバー部材とを備え、被写体側カバー部材は、樹脂材料で形成され、側面カバー部材は、軟磁性材料で形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の撮影用光学装置では、光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成された振れ補正用コイルが、光軸方向から見たときの形状が略多角形状となるカメラモジュールの内部であって、かつ、光軸方向から見たときのカメラモジュールの角部に配置されている。すなわち、本発明では、光軸方向を巻回の軸方向として巻回された振れ補正用コイルが、デッドスペースとなりやすいカメラモジュールの角部に配置されている。そのため、本発明では、光軸方向に直交する方向でカメラモジュールを大きくしなくてもカメラモジュールの内部に振れ補正用コイルを配置することが可能になる。また、本発明では、振れ補正用磁石が、
振れ補正用コイルの被写体側の端面と光軸方向で対向するように支持体に取り付けられているため、光軸方向に直交する方向において、振れ補正用磁石の設置スペースを設けなくても良い。
【0010】
このように、本発明では、光軸方向に直交する方向でカメラモジュールを大きくしなくてもカメラモジュールの内部に振れ補正用コイルを配置することが可能になり、また、光軸方向に直交する方向において、振れ補正用磁石の設置スペースを設けなくても良い。そのため、本発明では、カメラモジュールを揺動させて光学像の振れを補正する場合であっても、光軸方向に直交する方向で撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
また、本発明では、振れ補正用磁石は、振れ補正用コイルよりも被写体側に配置され、振れ補正用コイルの被写体側の端面と対向している。そのため、振れ補正用磁石が振れ補正用コイルよりも反被写体側に配置されている場合と比較して、振れ補正用磁石の配置スペースを確保しやすくなる。したがって、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが光軸方向で対向していても、振れ補正用磁石を比較的容易に配置することが可能になる。さらに、本発明では、カメラモジュールは、カメラモジュールの被写体側の端面を構成する被写体側カバー部材と、カメラモジュールの側面を構成する側面カバー部材とを備え、被写体側カバー部材は、樹脂材料で形成され、側面カバー部材は、軟磁性材料で形成されている。そのため、被写体側カバー部材と振れ補正用磁石との間に磁気的吸引力が発生しない。したがって、被写体側カバー部材の影響で振れ補正機能が低下するのを防止することが可能になる。また、たとえば、レンズ駆動用コイルとレンズ駆動用磁石とによってレンズ駆動機構が構成されている場合に、レンズ駆動用磁石が発生させる磁束の漏れを側面カバー部材によって抑制することが可能なる。したがって、効率の良いレンズ駆動機構の磁気回路を形成することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、光軸方向から見たときのカメラモジュールの角部に振れ補正用コイルが配置されているため、被写体側からカメラモジュールの中へ入り込んだ塵埃がカメラモジュールの角部を通過してカメラモジュールの反被写体側まで入り込むのを抑制することが可能になる。すなわち、光軸方向から見たときのカメラモジュールの角部に振れ補正用コイルが配置されていない場合には、カメラモジュールの角部に空間が形成されるため、被写体側からカメラモジュールの中へ入り込んだ塵埃はカメラモジュールの角部を通過してカメラモジュールの反被写体側まで入り込みやすくなるが、本発明では、振れ補正用コイルによって、被写体側からカメラモジュールの中へ入り込んだ塵埃がカメラモジュールの角部を通過するのを抑制することが可能になる。したがって、本発明では、被写体側からカメラモジュールの中へ入り込んだ塵埃がカメラモジュールの反被写体側まで入り込むのを抑制することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、カメラモジュールは、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、振れ補正用コイルは、カメラモジュールの四隅のそれぞれに配置されている。光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるカメラモジュールの四隅には、比較的広いデッドスペースが形成されやすい。そのため、この場合には、カメラモジュールの四隅のそれぞれに比較的大きな振れ補正用コイルを配置することが可能になる。したがって、振れ補正機構の駆動力を高めることが可能になる。
【0015】
本発明において、支持体は、撮影用光学装置の被写体側の端面を構成する被写体側端面部を備え、被写体側端面部には、振れ補正用磁石が固定される磁石固定孔が光軸方向に貫通するように形成されていることが好ましい。このように構成すると、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとが光軸方向で対向していても、光軸方向において、被写体側端面部の厚さ分だけ撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【0016】
本発明において、カメラモジュールは、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体とを備え、保持体は
、被写体側カバー部材と、撮像素子を保持するとともにカメラモジュールの反被写体側部分を構成する撮像素子保持部材とを備え、被写体側カバー部材には、振れ補正用コイルの被写体側部分が配置されるコイル配置孔が光軸方向に貫通するように形成され、撮像素子保持部材には、振れ補正用コイルの反被写体側部分を保持するコイル保持部が形成されていることが好ましい。
【0017】
このように構成すると、被写体側カバー部材のコイル配置孔と撮像素子保持部材のコイル保持部とによって、光軸方向における振れ補正用コイルの両端側が保持される。したがって、カメラモジュールからの振れ補正用コイルの外れや、カメラモジュールに対する振れ補正用コイルのずれを抑制することが可能になる。また、このように構成すると、カメラモジュールの被写体側から反被写体側に亘って振れ補正用コイルが配置されるため、光軸方向を巻回の軸方向として配置される振れ補正用コイルの光軸方向の長さを長くすることが可能になる。したがって、振れ補正用コイルの外径を小さくしても、振れ補正用コイルの巻数を増やして、振れ補正機構の駆動力を高めることが可能になる。その結果、光軸方向に直交する方向で可動モジュールをより小型化しても、振れ補正機構の駆動力を高めることが可能になる。さらに、このように構成すると、光軸方向に貫通するコイル配置孔が被写体側カバー部材に形成されているため、振れ補正用磁石が振れ補正用コイルよりも被写体側に配置されている場合には、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとの間に被写体側カバー部材が配置されない。したがって、振れ補正用磁石と振れ補正用コイルとの距離を近づけることが可能になり、その結果、振れ補正機構の駆動力を高めることが可能になる。
【0018】
本発明において、カメラモジュールは、可動体に固定される可動体固定部と保持体に固定される保持体固定部と可動体固定部と保持体固定部とを繋ぐバネ部とを有し可動体の被写体側で可動体と保持体とを繋ぐ板バネを備え、保持体は、保持体固定部が固定されるとともに被写体側カバー部材の反被写体側面に固定されるバネ固定部材を備え、バネ固定部材には、レンズの径方向の内側から振れ補正用コイルを支持するコイル支持部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、撮影用光学装置の組立時に、被写体側からコイル配置孔に振れ補正用コイルを挿入し、コイル保持部に振れ補正用コイルの反被写体側部分を保持させる場合に、コイル支持部を用いて、振れ補正用コイルをコイル保持部へ案内することが可能になる。したがって、カメラモジュールへの振れ補正用コイルの取付作業が容易になる。
【0019】
本発明において、たとえば、コイル保持部は、振れ補正用コイルの反被写体側部分の外周面の少なくとも一部を支持する支持壁部を備え、支持壁部には、切欠き部が形成され、振れ補正用コイルの反被写体側部分は、コイル保持部に接着されて固定されている。この場合には、切欠き部を接着剤溜まりとして機能させることが可能になる。したがって、コイル保持部への振れ補正用コイルの接着強度を高めることが可能になる。
【0020】
本発明において、カメラモジュールは、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体とを備え、レンズ駆動機構は、可動体の外周面に巻回されるレンズ駆動用コイルと、保持体に固定されるとともにレンズ駆動用コイルの外周面に対向するレンズ駆動用磁石を備え、振れ補正用コイルは、保持体に固定されるとともに可動体の外周側に配置され、可動体には、レンズ駆動用コイルの外周面よりも外周側へ突出する突出部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、撮影用光学装置が衝撃を受けて、保持体に固定される振れ補正用コイルと可動体とが接触しても、可動体の突出部によって、レンズ駆動用コイルと振れ補正用コイルとの接触を防止することが可能になる。したがって、振れ補正用コイルと可動体とが接触しても、レンズ駆動用コイルと振れ補正用コイルとの短絡等の不具合を防止することが可能になる。
【0021】
本発明において、撮影用光学装置は、振れ補正用コイルに電流を供給するためのフレキシブルプリント基板を備え、フレキシブルプリント基板は、振れ補正用コイルの被写体側の端面に接続されていることが好ましい。振れ補正用コイルの反被写体側の端面にフレキシブルプリント基板が接続されている場合と比較して、振れ補正用コイルの被写体側の端面にフレキシブルプリント基板が接続されている場合には、フレキシブルプリント基板と振れ補正用コイルとの接続作業の作業スペースを確保しやすくなる。したがって、このように構成すると、フレキシブルプリント基板と振れ補正用コイルとの接続作業が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明では、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュールを揺動させて光学像の振れを補正する場合であっても、レンズの光軸方向に直交する方向で撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(撮影用光学装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0026】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、オートフォーカス機能と振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されており、撮影用のレンズ2(
図1参照)を含む複数のレンズ(以下、「レンズ」とする)の光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの撮影用光学装置1の形状は略四角形状となっている。本形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0027】
撮影用光学装置1は、レンズおよび撮像素子を有するとともに揺動可能なカメラモジュール3と、レンズによって撮像素子上に結像される光学像の振れを補正するための振れ補正部4とを備えている。本形態では、上下方向は、カメラモジュール3が揺動していないときのカメラモジュール3の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、カメラモジュール3の下端側に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0028】
カメラモジュール3は、全体として略四角柱状に形成されており、光軸方向から見たときのカメラモジュール3の形状は略四角形状となっている。本形態では、カメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、カメラモジュール3の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0029】
(振れ補正部の構成)
振れ補正部4は、カメラモジュール3を揺動可能に支持する支持体7と、カメラモジュール3と支持体7とを繋ぐ板バネ8と、手振れ等の振れを補正するために支持体7に対してカメラモジュール3を揺動させる振れ補正機構9とを備えている。
【0030】
支持体7は、撮影用光学装置1の上端面(被写体側の端面)および前後左右の4つの側面の上端側部分を構成する上ケース体11と、撮影用光学装置1の下端面(反被写体側の端面)および前後左右の4つの側面の下端側部分を構成する下ケース体12とを備えている。
【0031】
上ケース体11は、略正方形状の底部11aと略四角筒状の筒部11bとを有する略有底四角筒状に形成されており、その軸方向は、上下方向と略一致している。底部11aは、上側に配置されており、撮影用光学装置1の上端面(被写体側の端面)を構成している。筒部11bの上端は、底部11aの外周端に繋がっている。上ケース体11は、カメラモジュール3の上端側部分を上側、前後の両側および左右の両側から覆うように配置されている。
【0032】
底部11aの中心には、円形の貫通孔11cが形成されている。貫通孔11cは、その中心と光軸Lとが一致するように形成されている。また、底部11aの四隅のそれぞれには、振れ補正機構9を構成する後述の振れ補正用磁石16が固定される磁石固定孔11dが形成されている。磁石固定孔11dは、上下方向で底部11aを貫通するように形成されている。また、磁石固定孔11dは、略長方形または略正方形状に形成されている。本形態の底部11aは、撮影用光学装置1の被写体側の端面を構成する被写体側端面部である。
【0033】
下ケース体12は、略正方形状の底部12aと略四角筒状の筒部12bとを有する略有底四角筒状に形成されており、その軸方向は、上下方向と略一致している。底部12aは、下側に配置されており、撮影用光学装置1の下端面(反被写体側の端面)を構成している。筒部12bの下端は、底部12aの外周端に繋がっている。筒部12bの上端には、上ケース体11の筒部11bの下端が固定されている。下ケース体12は、カメラモジュール3の下端側部分を下側、前後の両側および左右の両側から覆うように配置されている。
【0034】
底部12aの上面の中心には、カメラモジュール3の揺動の支点となる支点部材13が固定されている。支点部材13の上端は、カメラモジュール3の下面に当接している。また、支点部材13は、その上端とカメラモジュール3の下面との当接部分を光軸Lが通過するように底部12aの上面に固定されている。
【0035】
板バネ8は、カメラモジュール3の下端側に固定される可動側固定部と、下ケース体12の下端側に固定される支持側固定部と、可動側固定部と保持側固定部とを繋ぐバネ部とから構成されている。本形態では、板バネ8の支持側固定部に対してバネ部が撓むことで、可動側固定部に固定されたカメラモジュール3の揺動動作が可能となっている。なお、板バネ8は、支点部材13とカメラモジュール3の下面とを確実に当接させるための与圧が発生するように(すなわち、カメラモジュール3を下方向へ付勢する付勢力が発生するように)、撓んだ状態で固定されている。
【0036】
振れ補正機構9は、カメラモジュール3に取り付けられる4個の振れ補正用コイル15と、支持体7に取り付けられる4個の振れ補正用磁石16とを備えている。この振れ補正機構9は、光軸Lが傾くようにカメラモジュール3を揺動させて撮像素子上に結像される光学像の振れを補正する。
【0037】
振れ補正用コイル15は、光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成された空芯コイルである。この振れ補正用コイル15は、光軸方向に細長い円筒状に形成されている。振れ補正用コイル15は、カメラモジュール3の内部に配置されている。また、振れ補正用コイル15は、光軸方向から見たときのカメラモジュール3の角部に配置されている。すなわち、4個の振れ補正用コイル15のそれぞれは、カメラモジュール3の四隅のそれぞれに配置されている。なお、振れ補正用コイル15は、光軸方向に細長い楕円柱状や長円柱状に形成されても良いし、光軸方向に細長い三角柱状や四角柱状等の多角柱状に形成されても良い。
【0038】
後述のように、カメラモジュール3の上端面(被写体側の端面)では、振れ補正用コイル15の上端面(被写体側の端面)が露出している。振れ補正用コイル15の上端面には、振れ補正用コイル15に電流を供給するためのフレキシブルプリント基板(FPC)17が接続されている。FPC17は、カメラモジュール3の上端面と底部11aとの間で引き回された後、筒部11bの前後方向の一方の側面に形成されるスリット孔から上ケース体11の外部へ引き出されている。FPC17には、円形の貫通孔17aが形成されている。貫通孔17aは、その中心と光軸Lとが一致するように形成されている。
【0039】
振れ補正用磁石16は、略長方形または略正方形の平板状に形成されている。4個の振れ補正用磁石16のそれぞれは、4個の磁石固定孔11dのそれぞれに固定されている。すなわち、振れ補正用磁石16は、振れ補正用コイル15よりも上側(被写体側)に配置されている。また、振れ補正用磁石16は、その厚さ方向と上下方向とが一致するように磁石固定孔11dに固定されており、上下方向において、振れ補正用磁石16の下面と、振れ補正用コイル15の上端面(被写体側の端面)とが所定の隙間を介して対向している。振れ補正用磁石16の下面と振れ補正用コイル15の上端面との間には、FPC17の一部が配置されている。
【0040】
振れ補正用磁石16は、振れ補正用磁石16の上面と底部11aの上面とが一致するように磁石固定孔11dに固定されている。本形態では、
図2に示すように、振れ補正用磁石16の厚みは、底部11aの厚みよりも厚くなっており、振れ補正用磁石16の下側部分は、底部11aの下面よりも下側へ突出している。また、本形態では、振れ補正用磁石16の外形と磁石固定孔11dの形状とが略同形状となっており、磁石固定孔11dに振れ補正用磁石16が固定されると、磁石固定孔11dは、振れ補正用磁石16によって埋まる。
【0041】
(カメラモジュールの構成)
図4は、
図3に示すカメラモジュール3の分解斜視図である。
図5は、
図3に示すカメラモジュール3からカバー部材25を取り外した状態の斜視図である。
図6は、
図4に示すベース部材26のコイル保持部26bの構成を説明するための斜視図である。
【0042】
カメラモジュール3は、レンズおよび撮像素子に加え、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体20と、可動体20を光軸方向へ移動可能に保持する保持体21と、保持体21に対して可動体20を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構22とを備えている。なお、
図2〜
図5では、レンズの図示を省略している。
【0043】
可動体20は、可動体20の上端側(被写体側)に配置される板バネ(図示省略)と、可動体20の下端側(反被写体側)に配置される板バネ(図示省略)とを介して保持体21に移動可能に保持されている。すなわち、可動体20の上下の両端側に配置される板バネによって、可動体20と保持体21とが繋がれている。この板バネは、可動体20に固定される可動体固定部と、保持体21に固定される保持体固定部と、可動体固定部と保持体固定部とを繋ぐバネ部とを備えている。
【0044】
可動体20は、レンズが固定されたレンズホルダ(図示省略)と、レンズホルダを保持するスリーブ24とを備えている。レンズホルダは、略円筒状に形成されている。レンズホルダの内周側には、光軸方向から見たときの形状が円形状となるように形成されたレンズが固定されている。スリーブ24は、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ24は、光軸方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、光軸方向から見たときの外周面が略八角形状となる略筒状に形成されている。スリーブ24の内周面には、レンズホルダの外周面が固定されている。
【0045】
スリーブ24の外周面(すなわち、可動体20の外周面)には、スリーブ24の外周側へ突出する突出部24aが形成されている。突出部24aは、スリーブ24の径方向の外側へ広がる鍔状に形成されている。本形態では、上下方向に所定の間隔をあけた状態で3個の突出部24aが形成されている。上下方向における突出部24aの間には、レンズ駆動機構22を構成する後述のレンズ駆動用コイル36が巻回されている。
【0046】
保持体21は、カメラモジュール3の上端面(被写体側の端面)および前後左右の4つの側面を構成するカバー部材25と、カメラモジュール3の下端側部分(反被写体側部分)を構成するベース部材26とを備えている。また、保持体21は、可動体20の上端側に配置される板バネの保持体固定部が固定されるバネ固定部材としてのスペーサ27を備えている。
【0047】
カバー部材25は、底付きの略四角筒状に形成されている。また、カバー部材25は、カメラモジュール3の上端面(被写体側の端面)を構成する被写体側カバー部材としての上カバー部材28と、カメラモジュール3の前後左右の4つの側面を構成する側面カバー部材29とから構成されている。本形態では、上カバー部材28は、樹脂材料(より具体的には、非磁性の樹脂材料)で形成され、側面カバー部材29は、軟磁性材料で形成されている。
【0048】
上カバー部材28は、略正方形の枠状に形成されており、その中心には、上下方向に貫通する貫通孔28aが形成されている。貫通孔28aは、その中心と光軸Lとが一致するように形成されている。上カバー部材28の四隅のそれぞれには、振れ補正用コイル15の上端側部分(被写体側部分)が配置されるコイル配置孔28bが形成されている。コイル配置孔28bは、上下方向で上カバー部材28を貫通するように形成されている。また、コイル配置孔28bは、略円形状に形成されている。
【0049】
側面カバー部材29は、略四角筒状に形成されている。この側面カバー部材29は、可動体20およびレンズ駆動機構22の前後の両側および左右の両側を囲むように配置されている。
【0050】
ベース部材26は、扁平な略直方体状に形成されている。ベース部材26の中心には、上下方向に貫通する貫通孔26aが形成されており、ベース部材26は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。貫通孔26aは、その中心と光軸Lとが一致するように形成されている。ベース部材26は、側面カバー部材29の下端側に固定されている。
【0051】
ベース部材26の上面の四隅のそれぞれには、振れ補正用コイル15の下端側部分(反被写体側部分)を保持するコイル保持部26bが形成されている。
図5、
図6に示すように、コイル保持部26bは、振れ補正用コイル15の下端側部分の外周面を支持する支持壁部26cを備えている。支持壁部26cは、上側へ突出するように形成されており、振れ補正用コイル15の下端側部分の外周面を囲んでいる。レンズの径方向における支持壁部26cの内側には、
図6に示すように、切欠き部26dが形成されている。切欠き部26dは、上下方向における支持壁部26cの全域に形成されている。振れ補正用コイル15の下端側部分は、接着によってコイル保持部26bに固定されている。
【0052】
ベース部材26の下端面(反被写体側の端面)には、略正方形の平板状に形成される基板31が固定されている。基板31の上面には、撮像素子が実装されている。すなわち、ベース部材26は、基板31を介して撮像素子を保持している。本形態のベース部材26は、撮像素子を保持する撮像素子保持部材である。
【0053】
基板31の下面には、FPC32が接続されている。FPC32は、下ケース体12とカメラモジュール3との間および上ケース体11とカメラモジュール3との間で上側に向かって引き回されており、FPC17の、カメラモジュール3の上側に配置される部分に接続されている。また、基板31の下面には、支点部材13の上端が当接している。また、ベース部材26には、レンズ駆動機構22を構成する後述のレンズ駆動用コイル36の端部が接続される2個の給電用端子33が固定されている。給電用端子33は、基板31に接続されている。なお、
図4では、基板31およびFPC32の図示を省略している。
【0054】
スペーサ27は、略正方形の枠状に形成されている。スペーサ27の四隅のそれぞれは、可動体20の上端側に配置される板バネの保持体固定部が固定される固定部27aとなっており、固定部27aの下面(反被写体側面)には、板バネの保持体固定部が固定されている。また、固定部27aの上面(被写体側面)は、上カバー部材28の下面(反被写体側面)に固定されている。また、固定部27aには、レンズの径方向の内側に向かって窪む凹部27bが形成されている。凹部27bの側面は、略1/4円弧状の曲面状に形成されている。凹部27bの側面の曲率半径は、円筒状に形成される振れ補正用コイル15の外周面の曲率半径と略等しくなっており、凹部27bの側面は、振れ補正用コイル15の外周面に接触している。本形態の固定部27aは、レンズの径方向の内側から振れ補正用コイル15を支持するコイル支持部となっている。
【0055】
レンズ駆動機構22は、可動体20の外周面に巻回される2個のレンズ駆動用コイル36と、レンズ駆動用コイル36に対向配置される4個のレンズ駆動用磁石37とを備えている。このレンズ駆動機構22は、レンズを光軸方向へ移動させる機能を果たしている。
【0056】
2個のレンズ駆動用コイル36は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でスリーブ24の外周面に固定されている。具体的には、レンズ駆動用コイル36は、上下方向における突出部24aの間に巻回されている。
図5等に示すように、スリーブ24の突出部24aは、レンズ駆動用コイル36の外周面よりも外周側へ突出している。
【0057】
レンズ駆動用磁石37は、略長方形の平板状に形成されている。4個のレンズ駆動用磁石37のそれぞれは、側面カバー部材29の4つの内側面のそれぞれに固定されており、スリーブ24の外周側に配置されている。側面カバー部材29の前後の内側面に固定される2個のレンズ駆動用磁石37は、その厚さ方向が前後方向と一致するように側面カバー部材29に固定され、側面カバー部材29の左右の内側面に固定される2個のレンズ駆動用磁石37は、その厚さ方向が左右方向と一致するように側面カバー部材29に固定されている。また、4個のレンズ駆動用磁石37は、レンズ駆動用コイル36の外周面に対向している。レンズ駆動用磁石37は、前後方向または左右方向における内側面の磁極と外側面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、レンズ駆動用磁石37は、前後方向または左右方向における内側面の上側部分の磁極と下側部分の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。
【0058】
上述のように、上カバー部材28には、振れ補正用コイル15の上端側部分が配置されるコイル配置孔28bが形成され、ベース部材26には、振れ補正用コイル15の下端側部分を保持するコイル保持部26bが形成されている。また、振れ補正用コイル15の下端側部分は、接着によってコイル保持部26bに固定されている。すなわち、振れ補正用コイル15は、保持体21に固定されている。本形態では、上カバー部材28の上面(被写体側面)と振れ補正用コイル15の上端面(被写体側の端面)とが略一致するように、振れ補正用コイル15が保持体21に固定されており、カメラモジュール3の上端面では、振れ補正用コイル15の上端面が露出している。なお、振れ補正用コイル15の上端面が上カバー部材28の上面より下側に配置されていても良い。
【0059】
また、振れ補正用コイル15は、カメラモジュール3の四隅に配置されている。すなわち、振れ補正用コイル15は、可動体20の外周側に配置されている。
図5に示すように、レンズの径方向において、スリーブ24の突出部24aと振れ補正用コイル15との間には隙間が形成されている。また、本形態では、撮影用光学装置1の組立時に、カメラモジュール3を組み立てた状態で、上側からコイル配置孔28bに振れ補正用コイル15を挿入して、振れ補正用コイル15の下端側部分をコイル保持部26bに固定する。
【0060】
(撮影用光学装置の概略動作)
以上のように構成された撮影用光学装置1では、レンズ駆動用コイル36に電流が供給されると、可動体20とともにレンズが光軸方向へ移動する。また、撮影用光学装置1では、図示を省略するジャイロスコープでカメラモジュール3の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、振れ補正用コイル15に電流が供給される。振れ補正用コイル15に電流が供給されると、支点部材13を中心に、カメラモジュール3が光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、振れ補正用コイル15は、光軸方向を巻回の軸方向として巻回されて形成されており、振れ補正用コイル15の形状は、光軸方向に細長い円筒状となっている。また、本形態では、光軸方向に細長い円筒状に形成された振れ補正用コイル15が、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるカメラモジュール3の内部であって、かつ、カメラモジュール3の四隅に配置されている。すなわち、本形態では、光軸方向に細長い円筒状に形成された振れ補正用コイル15がデッドスペースとなりやすいカメラモジュール3の四隅に配置されている。そのため、本形態では、前後左右方向でカメラモジュール3を大きくしなくてもカメラモジュール3の内部に振れ補正用コイル15を配置することが可能になる。また、本形態では、振れ補正用磁石16の下面と振れ補正用コイル15の上端面とが対向するように、振れ補正用磁石16が上ケース体11の底部11aに固定されているため、前後左右方向において、振れ補正用磁石16の設置スペースを設ける必要がない。
【0062】
このように、本形態では、前後左右方向でカメラモジュール3を大きくしなくてもカメラモジュール3の内部に振れ補正用コイル15を配置することが可能になり、また、前後左右方向において、振れ補正用磁石16の設置スペースを設ける必要がない。そのため、本形態では、カメラモジュール3を揺動させて光学像の振れを補正する場合であっても、前後左右方向で撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0063】
また、本形態では、上ケース体11の底部11aに、上下方向で底部11aを貫通する磁石固定孔11dが形成されており、この磁石固定孔11dに振れ補正用磁石16が固定されているため、底部11aの下面に振れ補正用磁石16が固定されている場合と比較して、光軸方向で撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。すなわち、本形態では、振れ補正用コイル15と振れ補正用磁石16とが光軸方向で対向していても、光軸方向で撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0064】
本形態では、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるようにカメラモジュール3が形成されている。そのため、本形態では、カメラモジュール3の四隅に、比較的広いデッドスペースが形成されやすい。したがって、本形態では、カメラモジュール3の四隅に比較的大きな振れ補正用コイル15を配置することが可能になり、その結果、振れ補正機構9の駆動力を高めることが可能になる。
【0065】
また、本形態では、カメラモジュール3の上端面を構成する上カバー部材28のコイル配置孔28bに振れ補正用コイル15の上端側部分が配置されるとともに、カメラモジュール3の下端側部分を構成するベース部材26のコイル保持部26bに振れ補正用コイル15の下端側部分が固定されており、カメラモジュール3の上端側から下端側に亘って振れ補正用コイル15が配置されている。そのため、本形態では、光軸方向における振れ補正用コイル15の長さを長くすることができる。したがって、本形態では、振れ補正用コイル15の巻数を増やして、振れ補正機構9の駆動力を高めることが可能になる。
【0066】
また、本形態では、コイル配置孔28bが上下方向で上カバー部材28を貫通しており、振れ補正用コイル15と振れ補正用磁石16との間に上カバー部材28が配置されていない。したがって、本形態では、振れ補正用コイル15と振れ補正用磁石16との距離を近づけることが可能になり、その結果、振れ補正機構9の駆動力を高めることが可能になる。
【0067】
本形態では、カメラモジュール3の四隅のそれぞれに振れ補正用コイル15が配置されている。そのため、本形態では、上側からカメラモジュール3の中へ入り込んだ塵埃がカメラモジュール3の四隅を通過して、撮像素子が配置されるカメラモジュール3の下側まで入り込むのを抑制することが可能になる。すなわち、カメラモジュール3の四隅に振れ補正用コイル15が配置されていない場合には、カメラモジュール3の四隅に空間が形成されるため、上側からカメラモジュール3の中へ入り込んだ塵埃は、カメラモジュール3の四隅を通過してカメラモジュール3の下側まで入り込みやすくなるが、本形態では、振れ補正用コイル15によって、上側からカメラモジュール3の中へ入り込んだ塵埃がカメラモジュール3の四隅を通過するのを抑制することが可能になる。そのため、本形態では、上側からカメラモジュール3の中へ入り込んだ塵埃がカメラモジュール3の下側まで入り込むのを抑制することが可能になる。
【0068】
本形態では、上カバー部材28のコイル配置孔28bに振れ補正用コイル15の上端側部分が配置されるとともに、ベース部材26のコイル保持部26bに振れ補正用コイル15の下端側部分が固定されている。すなわち、本形態では、コイル配置孔28bとコイル保持部26bとによって、光軸方向における振れ補正用コイル15の両端側が保持されている。また、本形態では、スペーサ27の固定部27aによって振れ補正用コイル15がレンズの径方向の内側から支持されている。そのため、本形態では、カメラモジュール3からの振れ補正用コイル15の外れや、カメラモジュール3に対する振れ補正用コイル15のずれを抑制することが可能になる。
【0069】
本形態では、カメラモジュール3の上端面を構成する上カバー部材28は、樹脂材料で形成されている。そのため、本形態では、上カバー部材28と振れ補正用磁石16との間に磁気的吸引力が発生しない。したがって、本形態では、上カバー部材28の影響で振れ補正機能が低下するのを防止することが可能になる。また、本形態では、カメラモジュール3の前後左右の側面を構成する側面カバー部材29が軟磁性材料で形成されているため、側面カバー部材29の内側面に固定されたレンズ駆動用磁石37が発生させる磁束の漏れを側面カバー部材29によって抑制することが可能になる。したがって、本形態では、効率の良いレンズ駆動機構22の磁気回路を形成することが可能になる。
【0070】
本形態では、スリーブ24の外周面に形成される突出部24aは、レンズ駆動用コイル36の外周面よりも外周側へ突出している。そのため、本形態では、撮影用光学装置1が衝撃を受けて、保持体21に固定される振れ補正用コイル15とスリーブ24とが接触しても、突出部24aによって、振れ補正用コイル15とレンズ駆動用コイル36との接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、振れ補正用コイル15とスリーブ24とが接触しても、振れ補正用コイル15とレンズ駆動用コイル36との短絡等の不具合を防止することが可能になる。
【0071】
本形態では、コイル保持部26bの支持壁部26cに切欠き部26dが形成されている。また、本形態では、振れ補正用コイル15の下端側部分は、コイル保持部26bに接着されて固定されている。そのため、本形態では、切欠き部26dを接着剤溜まりとして機能させることが可能になり、その結果、コイル保持部26bへの振れ補正用コイル15の接着強度を高めることが可能になる。
【0072】
本形態では、スペーサ27に、レンズの径方向の内側から振れ補正用コイル15を支持する固定部27aが形成されている。そのため、本形態では、カメラモジュール3を組み立てた状態で、上側からコイル配置孔28bに振れ補正用コイル15を挿入して、振れ補正用コイル15の下端側部分をコイル保持部26bに固定する際に、固定部27aを用いて、振れ補正用コイル15をコイル保持部26bへ案内することが可能になる。したがって、本形態では、カメラモジュール3への振れ補正用コイル15の取付作業が容易になる。
【0073】
本形態では、振れ補正用磁石16は、振れ補正用コイル15よりも上側に配置されている。そのため、本形態では、振れ補正用磁石16が振れ補正用コイル15よりも下側に配置されている場合と比較して、振れ補正用磁石16の配置スペースを確保しやすくなる。したがって、本形態では、振れ補正用コイル15と振れ補正用磁石16とが光軸方向で対向していても、振れ補正用磁石16を比較的容易に配置することが可能になる。
【0074】
本形態では、FPC17は、振れ補正用コイル15の上端面に接続されている。そのため、本形態では、振れ補正用コイル15の下端面にFPC17が接続される場合と比較して、FPC17の配置スペースを確保しやすくなる。したがって、本形態では、振れ補正用コイル15の端面にFPC17が接続される場合であっても、FPC17を比較的容易に配置することが可能になる。また、本形態では、振れ補正用コイル15の下端面にFPC17が接続される場合と比較して、振れ補正用コイル15とFPC17との接続作業の作業スペースを確保しやすくなる。したがって、本形態では、振れ補正用コイル15とFPC17との接続作業が容易になる。
【0075】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0076】
上述した形態では、カメラモジュール3の四隅のそれぞれに振れ補正用コイル15が配置されている。この他にもたとえば、カメラモジュール3の四隅のうちの3箇所の角部に振れ補正用コイル15が配置されても良いし、カメラモジュール3の四隅のうちの周方向で隣り合う2箇所の角部に振れ補正用コイル15が配置されても良い。この場合には、振れ補正用コイル15の上端面に対向するように、3個または2個の振れ補正用磁石16が上ケース体11の底部11aに固定される。
【0077】
上述した形態では、上ケース体11の底部11aに磁石固定孔11dが形成され、磁石固定孔11dに振れ補正用磁石16が固定されている。この他にもたとえば、底部11aに磁石固定孔11dが形成されずに、底部11aの下面に振れ補正用磁石16が固定されても良い。また、上述した形態では、上カバー部材28にコイル配置孔28bが形成され、振れ補正用コイル15の上端側部分がコイル配置孔28bに配置されているが、上カバー部材28にコイル配置孔28bが形成されずに、振れ補正用コイル15の上端が上カバー部材28の下面に当接していても良い。
【0078】
上述した形態では、振れ補正用磁石16は、振れ補正用コイル15よりも上側に配置され、振れ補正用磁石16の下面と、振れ補正用コイル15の上端面とが対向している。この他にもたとえば、振れ補正用磁石16が、振れ補正用コイル15よりも下側に配置され、振れ補正用磁石16の上面と、振れ補正用コイル15の下端面とが対向しても良い。また、上述した形態では、FPC17は、振れ補正用コイル15の上端面に接続されているが、FPC17は、振れ補正用コイル15の下端面に接続されても良い。
【0079】
上述した形態では、カメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。この他にもたとえば、カメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が略正方形状あるいは略長方形状以外の略四角形状となるように形成されても良い。また、カメラモジュール3は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状や略八角形状等の略多角形状となるように形成されても良い。いずれの場合であっても、振れ補正用コイル15は、カメラモジュール3の内部であって、かつ、光軸方向から見たときのカメラモジュール3の角部に配置される。
【0080】
上述した形態では、レンズ駆動機構22は、レンズ駆動用コイル36とレンズ駆動用磁石37とを備えるいわゆるボイスコイルモータである。この他にもたとえば、レンズ駆動機構22は、レンズ駆動用コイル36およびレンズ駆動用磁石37に代えて、レンズを光軸方向へ移動させるための圧電素子を備えていても良いし、形状記憶合金を備えていても良い。