(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置され、扉本体と、この扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側である前記開口部の内側に設けられていて、前記開口部を形成している不動部材に配置されたラッチ受け部材に受けられるためのラッチを有する施錠装置と、を含んで構成される扉において、
前記扉本体の前記厚さ方向両側のうちの前記一方の側における前記ラッチの可動範囲には、前記扉本体と前記ラッチとの間に生じている隙間の寸法を変更している隙間寸法変更手段が設けられており、
前記隙間寸法変更手段は、前記扉本体に設けられていて、この扉本体の厚さ方向の内側へ窪んだ窪み部であることを特徴とする扉。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した施錠装置では、扉本体とラッチと間には隙間が形成されているため、この隙間に物等が挟まれたりした場合には、施錠装置の操作に支障が生じるおそれがある。言い換えると、施錠装置の操作が円滑に行われないおそれがある。
【0005】
このため、施錠装置の円滑な操作ができるための扉の工夫が求められている。
【0006】
本発明の目的は、施錠装置の円滑な操作を確保できるようになる扉を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る扉は、開口部を開閉するためにこの開口部に開閉自在に配置され、扉本体と、この扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側である前記開口部の内側に設けられていて、前記開口部を形成している不動部材に配置されたラッチ受け部材に受けられるためのラッチを有する施錠装置と、を含んで構成される扉において、前記扉本体の前記厚さ方向両側のうちの前記一方の側における前記ラッチの可動範囲には、前記扉本体と前記ラッチとの間に生じている隙間の寸法を変更している隙間寸法変更手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側である開口部の内側には、開口部を形成している不動部材に配置されたラッチ受け部材に受けられるためのラッチを有する施錠装置が設けられている。
【0009】
そして、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側における施錠装置のラッチの可動範囲には、扉本体とラッチとの間に生じている隙間の寸法を変更している隙間寸法変更手段が設けられている。
【0010】
これにより、扉本体とラッチの可能範囲との間に生じている隙間の寸法を小さく(ゼロ又は略ゼロにすることを含む)したり、大きくしたりすることができ、この隙間に物等が挟まれたりすることを防止することができる。
【0011】
すなわち、隙間寸法変更手段により隙間の寸法を小さくすることにより、隙間に物が挟まれにくいようにすることができる。また、隙間寸法変更手段により隙間の寸法を大きくすることにより、隙間に物が挿入されたとしても、この物を隙間から脱落させやすくすることができる。
【0012】
このため、本発明によると、施錠装置の円滑な操作を確保できるようになる。
【0013】
なお、本発明において、隙間寸法変更手段は、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側におけるラッチの可動範囲の全部に設けるようにしてもよく、一部に設けるようにしてもよい。
【0014】
本発明において、隙間寸法変更手段の形式、構造は、任意なものでよく、この隙間寸法変更手段の一例は、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側における施錠装置のラッチの可動範囲に設けられ、扉本体とラッチとの間に生じている隙間を塞ぐ又は略塞ぐための塞ぎ部である。
【0015】
これによると、扉本体とラッチとの間に生じている隙間の寸法をゼロ又は略ゼロとすることができるため、隙間に物が挟まれることを防止することができるようになる。
【0016】
本発明において、開口部を形成している不動部材に配置されたラッチ受け部材がラッチの可動範囲に存在する場合には、すなわち、ラッチの可動範囲にラッチ受け部材と重複する部分が存在する場合には、塞ぎ部は、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側におけるラッチの可動範囲のうち、ラッチ受け部材と干渉しない範囲に設けることが好ましい。
【0017】
また、本発明において、塞ぎ部は、扉本体と一体となっていてもよく、いなくてもよい。
【0018】
前者の場合の一例として、塞ぎ部を、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側に設けられ、ラッチの可動範囲の形状と対応する形状を有していて、開口部の内側へ突出する突出部を挙げることができる。
【0019】
後者の場合の一例として、塞ぎ部を、扉本体の厚さ方向両側のうちの一方の側に取り付けられ、ラッチの可動範囲の形状と対応する形状を有していて、開口部の内側へ突出する厚さ寸法を有する塞ぎ部材により形成したものを挙げることができる。
【0020】
なお、塞ぎ部は、ラッチの可動範囲を超える形状を有するものとしてもよい。
【0021】
本発明において、塞ぎ部は、軟質材料で形成してもよく、軟質材料よりも硬質である硬質材料で形成してもよい。
【0022】
なお、本発明において、軟質材料とは、通常の扉本体の材料として用いられている鋼板等の金属や合板等の木材よりも柔軟性を有する材料のことであり、この軟質材料には、高発泡倍率の軟質性発泡樹脂や軟質ゴム等が含まれる。
【0023】
これに対して、硬質材料とは、上記軟質材料よりも剛性を有する材料のことであり、この硬質材料は、例えば、合成樹脂、金属や木材、硬質ゴム等である。
【0024】
また、隙間寸法変更手段の他の一例は、扉本体に設けられていて、この扉本体の厚さ方向の内側へ窪んだ窪み部である。
【0025】
これによると、扉本体とラッチとの間に生じている隙間の寸法をより大きくすることができるため、隙間に物が挿入されたとしても、この物を隙間から脱落させやすくすることができる。
【0026】
以上の本発明において、ラッチは、スライド自在となっているものでもよく、中心軸を中心に回動自在となっているものでもよい。
【0027】
後者の場合の一例として、ラッチが、中心軸を中心に回動自在となっているサムターン部材に設けられた棒状となってものを挙げることができる。
【0028】
そして、この例では、サムターン部材とともに回動するラッチの回動範囲が可動範囲となる。なお、このラッチの回動範囲は、任意な角度(例えば、90度、180度、360度等)でよい。
【0029】
また、この例では、塞ぎ部の形状は、環状又は略環状としてもよく、しなくてもよい。
【0030】
ラッチの回動範囲が360度又は略360度の場合である場合には、塞ぎ部の形状は、前者の場合のように、環状又は略環状とすることが好ましい。一方、ラッチの回動範囲が360度未満である場合には、塞ぎ部は、ラッチの回動範囲の形状と対応する形状、又はラッチの回動範囲を超える形状を有するものとすることが好ましい。
【0031】
なお、ラッチが、上述したようにスライド自在となっている場合には、スライドするラッチのスライド範囲が可動範囲となる。
【0032】
以上の本発明において、ラッチ受け部材が配置されている不動部材は、扉本体とこの扉本体幅方向に並設されるものであってもよく、なくてもよい。
【0033】
前者の場合には、ラッチ受け部材は、ラッチと扉本体の厚さ方向に対向しないものとなり、後者の場合には、ラッチ受け部材は、ラッチと扉本体の厚さ方向に対向するものとなる。
【0034】
これにより、前者の場合では、ラッチの可動範囲は、扉本体と、ラッチ受け部材が配置されている不動部材とに跨ることになるため、隙間寸法変更手段は、不動部材の厚さ方向両側のうちの一方の側であるラッチ受け部材が配置されている側にも設けることなる。
【0035】
この隙間寸法変更手段により、扉本体とラッチとの間に生じている隙間の寸法が変更されるとともに、不動部材とラッチとの間に生じている隙間の寸法も変更される。
【0036】
以上の本発明において、扉本体の表面の少なくとも一部は、軟質材料で形成するようにしてもよい。
【0037】
これによると、扉を利用する者が扉に接触したときに受ける影響を軽減できるようになる。
【0038】
以上の本発明において、施錠装置の形式、構造は任意なものでよく、例えば、施錠装置のラッチが、不動部材に配置されたラッチ受け部材に係合することにより施錠状態となるものでもよく、施錠装置のラッチが、不動部材に配置されたラッチ受け部材に載置することにより施錠状態となるものでもよい。
【0039】
後者の場合には、ラッチ受け部材が配置されている不動部材は、扉本体とこの扉本体幅方向に並設され、扉が全閉位置に達したとき、扉本体とラッチ受け部材が配置されている不動部材の幅方向の端部同士は係合するものとなる。
【0040】
本発明は、任意な開口部を開閉するための扉に適用することができ、この開口部は、トイレブースの出入口でもよく、教室や居室等の部屋の出入口でもよい。
【0041】
また、トイレブースは幼稚園や保育園に設置されるものでもよく、公園等の公共施設に設置されるものでもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明によると、施錠装置の円滑な操作を確保できるようになるという効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態に係る扉1が適用されたトイレブース2が示されており、このトイレブース2は幼稚園又は保育園に設置されているものである。本実施形態では、複数個のトイレブース、
図1では2個のトイレブース2A,2Bが横方向連設されているため、連設式のトイレブースとなっており、それぞれのトイレブース2A,2Bごとに扉1が設けられている。
【0045】
それぞれのトイレブース2A,2Bは、左右方向の間隔を開けて設置されている正面パネル3と、正面パネル3から後方に延びている側面パネル4と、これらの側面パネル4の後端において、正面パネル3と平行に立設されている図示外の室内壁とにより、平面視で四角形に形成され、正面パネル3同士の間が、それぞれのトイレブース2A,2Bの開口部である出入口5となっている。そして、互いに連結されている正面パネル3と側面パネル4は、脚部材6により床に立設されている。このように、正面パネル3は、出入口5を形成する不動部材となっている。
【0046】
図1で3個示されている不動部材である正面パネル3A,3B,3Cのうち、中央の正面パネル3Bは、言い換えると、2個のトイレブース2Aと2Bの間に設けられた正面パネル3Bは、これらのトイレブース2Aと2Bに共通の正面パネルになっており、また、
図1で3個示されている不動部材である側面パネル4A,4B,4Cのうち、正面パネル3Bの左右方向中央部から後方に延びている側面パネル4Bは、トイレブース2Aと2Bを仕切るための間仕切りパネルとなっている。
【0047】
図2は、
図1のトイレブース2を示す正面図である。それぞれのトイレブース2の扉1は、正面パネル3に上下方向に離間して配置された2個のヒンジ7で開閉自在に取り付けられており、これにより、正面パネル3Aと3Bとの間に形成されているトイレブース2Aの出入口5Aは、扉1Aにより開閉され、正面パネル3Bと3Cとの間に形成されているトイレブース2Bの出入口5Bは、扉1Bにより開閉される。このため、出入口5A,5Bに配置されている扉1A,1Bは、左右の側辺10,12のうちの左の側辺10側に配置された上下2個のヒンジ7を中心に開閉自在となっているとともに、左側開きの扉となっている。
【0048】
このように、出入口5Aは、左右方向の間隔を開けて配置されている不動部材となっている2枚の正面パネル3A,3Bにより形成されており、出入口5Bは、左右方向の間隔を開けて配置されている不動部材となっている2枚の正面パネル3B,3Cにより形成されている。また、扉1は、出入口5を開閉するためにこの出入口5に開閉自在に配置されている。
【0049】
扉1A,1Bは、扉本体1Dと、扉関連部材である具体的な構造を後述する施錠装置20と、扉関連部材である上述した上下2個のヒンジ7を構成する第2ヒンジ部材34と、を含んで構成されており、扉本体1Dは、金属や木材よりも柔軟な材料であって、軟質材料となっている発泡樹脂製の1枚の板状部材、すなわち、軟質板状部材により形成されたものとなっている。このため、扉本体1Dにおける扉関連部材が設けられる部分を含む全部が軟質材料で形成されており、扉1の表面の大部分は、軟質材料で形成されている。
【0050】
一方、正面パネル3A,3B,3C及び側面パネル4A,4B,4Cは、木材等の硬質材料で形成されたものとなっている。
【0051】
また、
図2に示されているように、扉1A,1Bの扉本体1Dは、正面視で略長方形の形状となっているとともに、四つの角部がラウンド形状に面取りされたものとなっている。また、扉本体1Dの下辺11は、正面パネル3の下辺と面一状態又は略面一状態となっており、扉本体1Dの上辺13は、正面パネル3の上辺と面一状態又は略面一状態となっている。
【0052】
このため、扉1は、
図1〜
図3に示されているように、左側開きの扉として使用できるだけでなく、左右の側辺10,12のうちの右の側辺12側に配置された上下2個のヒンジ7を中心に開閉自在となっている右側開きの扉としても使用できるようになっている。
【0053】
なお、扉本体1Dの形状は、
図2に示されているような正面視で略長方形の形状に限定されるものでなく、任意な形状なものでよい。例えば、扉本体1Dの形状は、正面視で非四角形の形状となっていてもよく、この場合の形状は、例えば、1個又は複数個の果物(例えば、スイカ、オレンジ、キウイフルーツ等)の断面形状の輪郭を表す形状でもよい。
【0054】
また、それぞれの扉本体1Dには、扉1が前述の出入口5を閉じているときに、これらの扉1を正面パネル3に施錠するための施錠装置20が設けられている。
【0055】
具体的な構造を後述するこの施錠装置20は、
図4及び
図5に示されているように、扉1におけるトイレブース2の内側に向いている面に、水平軸(回動中心軸)を中心に回動自在に取り付けられているサムターン部材21と、このサムターン部材21に結合されている棒状のラッチ21Bとを有するものとなっている。そして、このラッチ21Bは、正面パネル3におけるトイレブース2の外側に向いている面に取り付けられているラッチ受け部材16に受けられ、これにより、扉1が施錠状態となるものとなっている。
【0056】
すなわち、施錠装置20は、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側である出入口5の内側に設けられていて、出入口5を形成している正面パネル3に配置されたラッチ受け部材16に受けられるためのラッチ21Bを有するものとなっており、このラッチ21Bは、水平な回動中心軸を回動自在となっているサムターン部材21に設けられた棒状となっており、このサムターン部材21とともに回動するものとなっている。
【0057】
なお、
図4及び
図5では、施錠装置20及びその近傍を除く部分が断面図となって示されており、施錠装置20の断面図は、後述する
図8に示されている。
【0058】
図4は、サムターン部材21を回動させる前であって、ラッチ21Bの先端部がラッチ受け部材16の溝部16Aに嵌合してしないときを示しており、このときの施錠装置20は開錠されており、扉1を開閉操作することができる。また、
図5は、サムターン部材21を90度回動させた後であって、ラッチ21Bの先端部がラッチ受け部材16の溝部16Aに嵌合しているときを示しており、このときの施錠装置20は施錠されており、扉1を開閉操作することができない。このように、施錠装置20は、室内側であるトイレブース2の内側(内部)から施錠、開錠するための扉関連部材となっている。
【0059】
なお、サムターン部材21と扉1を隔てた反対側、すなわち、扉1のトイレブース2の内側の面15とは反対側であるトイレブース2の外側の面14には、扉1の施錠状態及び開錠状態を表示するための施錠状態表示部材が設けられており、この施錠状態表示部材を構成するカップ状のカバー部材26の窓孔26Aから、扉1の施錠状態及び開錠状態が分かるようになっている。
【0060】
すなわち、カバー部材26の内部には、サムターン部材21の回動中心軸に固定されていてサムターン部材21とともに回動する円盤状の円盤部を有するマーク部材が配置されており、このマーク部材の円盤部の四半円部分は、着色(本実施形態では、赤色)されたマーク部(着色部)25Bとなっている。
【0061】
このため、施錠装置20を
図5に示されているように施錠するために、サムターン部材21を90度回動させると、カバー部材26の窓孔26Aには、マーク部25Bが露出するため、トイレブース2の外部から扉1が施錠されていることを確認できる。
【0062】
図6は、
図1〜
図3に示されている扉1A,1Bのうち、右側に配置されている扉1Bの扉本体1Dに取り付けられる施錠装置20及びヒンジ7を構成する第2ヒンジ部材34の分解斜視図であるとともに、
図1に示すトイレブース2Bの外側から見たとき扉1Bの斜視図となっている。
【0063】
図7は、
図6に示されている施錠装置20の分解斜視図の拡大図であり、
図8は、
図4で示されている扉本体1Dに取り付けられた状態の施錠装置20の拡大断面図である。
【0064】
なお、
図6〜
図8には、扉本体1Dと施錠装置20のラッチ21Bとの間に生じている隙間の寸法を変更している隙間寸法変更手段である塞ぎ部となっている塞ぎ部材の一実施形態である具体的な構造を後述する塞ぎ部材40も示されている。
【0065】
図7に示されているように、施錠装置20は、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側であるトイレブース2の内側に配置されるサムターン部材21と、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの他方の側であるトイレブース2の外側に配置されるベース部材24、マーク部材25及びカバー部材26と、を含んで構成されている。
【0066】
サムターン部材21は、扉1の利用者が施錠装置20を操作するための操作部となっている摘み部21Aと、
図4及び
図5に示されているラッチ受け部材16の溝部16Aに受けられる棒状のラッチ21Bと、回動中心軸21Cと、を有している。
【0067】
サムターン部材21の回動中心軸21Cを支持するための支持部材22は、円柱状のベース部22Aと、このベース部22Aの中心部から扉本体1Dの厚さ方向内側へ水平方向に突出して設けられていて、サムターン部材21の回動中心軸21Cを受けるための円筒状の軸受け部22Bと、ベース部22Aにおける軸受け部22Bの外周部に扉本体1Dの厚さ方向内側へ水平方向に突出して設けられた2個の円筒状の突出部22Cと、を有しており、それぞれの突出部22Cには、雌ねじ穴22Dが形成されている。なお、これらの突出部22Cは、扉本体1Dの厚さ寸法D1よりも小さい長さ寸法(突出量)を有している。
【0068】
回動中心軸21Cが支持部材22の軸受け部22Bから露出しているサムターン部材21は、支持部材22のベース部22Aの外周部を回動するようになっている。
【0069】
扉本体1Dには、支持部材22の軸受け部22Bが挿通される貫通孔1Eと、支持部材22の2個の突出部22Cがそれぞれ挿通される2個の貫通孔1Fが設けられている。
【0070】
円盤状のベース部材24は、支持部材22を扉本体1Dに取り付けるため部材(言い換えると、支持部材22の相手部材)となっており、中心部に設けられた貫通孔24Aと、この貫通孔24Aの外周部に設けられた2個の貫通孔24Bと、を有している。
図8に示されているように、2個の貫通孔24Bにそれぞれ挿通された雄ねじ部材であるビス28の軸部28Bが、支持部材22の突出部22Cの雌ねじ穴22Dに螺入されるとともに、ビス28の頭部28Aがベース部材24の貫通孔24Bの周縁部に圧接することにより、支持部材22が扉本体1Dに取り付けられた状態となる。このように、支持部材22は、結合具であるビス28でベース部材24と結合されることになる。
【0071】
前述したように、サムターン部材21と扉1を隔てた反対側、すなわち、トイレブース2の外側に設けられるマーク部材25及びこのマーク部材25を覆うためのカバー部材26は、ベース部材24よりも出入口5の外側に設けられていて、扉1の施錠状態及び開錠状態を表示するための施錠状態表示部材(より正確には、施錠/開錠状態表示部材)となっている。
【0072】
図7に示されているように、マーク部材25は、約四半円部分が着色(本実施形態では、赤色)されたマーク部(着色部)25Bを有する円形状の円盤部25Aと、この円盤部25Aの中心部から扉本体1D側へ水平方向に突出する
図8に示されている円筒状の突出部25Cと、を有しており、この突出部25Cの内部25Dに、サムターン部材21の回動中心軸21Cが嵌合固定されるようになっている。これにより、マーク部材25はサムターン部材21とともに回動自在となる。
【0073】
マーク部材25の円盤部25Aとベース部材24は、カップ状のカバー部材26の内径寸法よりも小さい直径寸法を有しており、カバー部材26は、このカバー部材26の内周面がベース部材24の外周部24Cの突起部24Dに係合されることにより、あるいはカバー部材26の側面部がベース部材24の外周部24Cにビス等の止着具により止着されることにより、ベース部材24に固定される(取り付けられる)ようになっている。
【0074】
図8に示されているように、マーク部材25の円盤部25Aは、カバー部材26の内部(カバー部材26とベース部材24とで形成された空間S1)で回動自在となっている。このため、サムターン部材21の回動により、カバー部材26の窓孔26Aからマーク部材25のマーク部25Bが見え隠れし、これにより、扉1の施錠状態及び開錠状態が分かるようになっている。
【0075】
すなわち、本実施形態では、
図4で示されている扉1の開錠状態では、カバー部材26の窓孔26Aには、マーク部材25のマーク部25Bが露出しておらず、
図5で示されている扉1の施錠状態では、カバー部材26の窓孔26Aには、マーク部材25のマーク部25Bが露出するようになっている。
【0076】
なお、本実施形態では、扉本体1Dとベース部材24との間には、円盤状の板状部材23が配置されるものとなっている。合成樹脂、金属、木材等の硬質材料で形成されているこの板状部材23には、扉本体1Dに設けられた1個の貫通孔1Eと同じ又は略同じ直径寸法を有する1個の貫通孔23Aと、扉本体1Dに設けられた2個の貫通孔1Fと同じ又は略同じ直径寸法を有する2個の貫通孔23Bと、が設けられており、板状部材23の貫通孔23Aが扉本体1Dの貫通孔1Eに対応し、板状部材23の2個の貫通孔23Bが扉本体1Dの2個の貫通孔1Fに対応するものとなっている。
【0077】
図8に示されているように、板状部材23の貫通孔23Aには、サムターン部材21の回動中心軸21Cが嵌合固定されたマーク部材25の突出部25Cが挿通され、板状部材23の2個の貫通孔23Bのそれぞれには、ベース部材24の貫通孔24Bに挿通されたビス28の軸部28Bが挿通されるものとなっている。
【0078】
この板状部材23は、ベース部材24の貫通孔24Bに挿通されたビス28の軸部28Bが支持部材22の突出部22Cの雌ねじ穴22Dに螺入されることにより、ベース部材24に掛かるビス28の荷重を分散させるための荷重分散部材となっている。
【0079】
また、本実施形態では、
図7及び
図8に示されているように、扉本体1Dに設けられた2個の貫通孔1Fのそれぞれには、透光性又は半透光性を有する硬質材料となっている合成樹脂で形成された中間部材となっている筒状部材27が挿通されるものとなっている。
【0080】
扉本体1Dの厚さ方向への長さを有する棒状部材となっているこの筒状部材27の長さ寸法L1は、扉本体1Dの厚さ寸法D1と同じ又は略同じとなっている。また、筒状部材27の内径寸法は、前述したようにビス28の軸部28Bが螺入される雌ねじ穴22Dを有する支持部材22の突出部22Cの外径寸法と同じ又は略同じとなっている。このため、支持部材22の突出部22Cは、筒状部材27の内部27Aに挿通可能となっている。
【0081】
また、板状部材23の2個の貫通孔23Bは、筒状部材27の外径寸法と同じ又は略同じ直径寸法を有しており、このため、筒状部材27は、板状部材23の2個の貫通孔23Bに挿通可能となっている。
【0082】
次に、施錠装置20を扉本体1Dへ取り付ける作業手順(取付方法)について説明する。
【0083】
まず、扉本体1Dの2個の貫通孔1Fのそれぞれに筒状部材27を挿入するとともに、それぞれの筒状部材27の長さ方向の両端部が扉本体1Dの表面と面一又は略面一状態となるように配置する作業を実施する。
【0084】
なお、扉本体1Dの1個の貫通孔1E及び2個の貫通孔1Fを形成する作業は、工場において扉本体1Dを製造するときに一緒に実施されるものであってもよく、扉1を設置する現場で実施されるものであってもよい。また、貫通孔1Eと貫通孔1Fとは連通するようにてもよい。
【0085】
この後、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側(トイレブース2の内側に配置される側)から、サムターン部材21の支持部材22の軸受け部22Bを扉本体1Dの貫通孔1Eに挿入するとともに、サムターン部材21の支持部材22の2個の突出部22Cを、扉本体1Dの内部に挿入配置された筒状部材27の内部27Aに挿入する作業を実施する。
【0086】
次に、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの他方の側(トイレブース2の外側に配置される側)から、板状部材23を扉本体1Dの表面に押し当てる。なお、このとき、板状部材23の貫通孔23Aの中心が扉本体1Dの貫通孔1Eの中心に一致又は略一致するとともに、板状部材23の2個の貫通孔23Bのそれぞれの中心が扉本体1Dの2個の貫通孔1Fのそれぞれの中心に一致又は略一致するようにする。
【0087】
この後、ベース部材24を、このベース部材24の貫通孔24Aの中心が板状部材23の貫通孔23Aの中心に一致又は略一致するとともに、ベース部材24の2個の貫通孔24Bのそれぞれの中心が板状部材23の2個の貫通孔23Bのそれぞれの中心に一致するように、板状部材23の表面に押し当てる。
【0088】
次に、2個のビス28の軸部28Bのそれぞれを、板状部材23の2個の貫通孔23Bのそれぞれに挿通するとともに、扉本体1Dの内部に配置された2個の筒状部材27の内部27Aに挿入し、さらに、2個の筒状部材27の内部27Aに挿入されたサムターン部材21の支持部材22の2個の突出部22Cの雌ねじ穴22Dにそれぞれ螺入する作業を実施する。この螺入作業は、ビス28の頭部28Aがベース部材24の貫通孔24Bの周縁部に圧接するまで行う。
【0089】
以上の作業により、サムターン部材21が扉本体1Dに取り付けられた(固定された)状態となる。
【0090】
この後、
図8に示されているマーク部材25の突出部25Cの内部25Dに、サムターン部材21の回動中心軸21Cを嵌合固定する作業を実施する。これにより、マーク部材25はサムターン部材21とともに回動自在な状態となる。
【0091】
最後に、カバー部材26をベース部材24に取り付ける作業を実施する。すなわち、カバー部材26の内周面をベース部材24の外周部24Cの突起部24Dに係合し、あるいはカバー部材26の側面部をベース部材24の外周部24Cにビス等の止着具により止着する作業を実施する。
【0092】
以上で施錠装置20を扉本体1Dへ取り付ける作業は完了する。
【0093】
図9には、
図5に示されている施錠装置20の正面図が示されている。この
図9に示されているように、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側である出入口5の内側(トイレブース2側)の面15におけるサムターン部材21の摘み部21Aの外周には、軟質材料で形成された軟質部材40が取り付けられている。
【0094】
本実施形態では、サムターン部材21は、扉1が全閉位置に達しているときを除いて、回動中心軸21Cを中心に360度回動可能なものとなっており、このため、サムターン部材21とともに回動するラッチ21Bの可動範囲、すなわち、回動範囲は環状(リング状)となっている。
【0095】
軟質部材40は、この
図9や
図7に示されているように、サムターン部材21のラッチ21Bの回動範囲の形状と対応する形状、すなわち、貫通孔40Aを有する略環状となっている。また、軟質部材40は、
図4及び
図5に示されているように、出入口5の内側(トイレブース2の内側)へ突出する厚さ寸法を有するものとなっており、この厚さ寸法は、扉本体1Dとラッチ21Bとの間に生じている隙間S2の寸法D2と同じ又は略同じとなっている。
【0096】
このため、軟質部材40は、扉本体1Dとラッチ21Bとの間に生じている隙間S2を塞ぐ又は略塞ぐための塞ぎ部を形成している塞ぎ部材となっている。すなわち、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側におけるラッチ21Bの回動範囲に設けられている略環状の軟質部材40は、隙間S2の寸法D2をゼロ又は略ゼロに変更している隙間寸法変更手段となっている。
【0097】
また、略環状の軟質部材40の外周部には、欠部40Bが形成されており、この欠部40Bは、
図9から分かるように、ラッチ21Bの回動範囲とラッチ受け部材16とが重複する部分と一致又は略一致する形状を有している。
【0098】
このため、軟質部材40は、ラッチ受け部材16の配置位置を避けた形状、言い換えると、ラッチ受け部材16と干渉しない形状を有している。
【0099】
このように、塞ぎ部を形成する軟質部材40は、ラッチ21Bの回動範囲のうち、ラッチ受け部材16と干渉しない範囲に設けられている。
【0100】
以上説明したように、本実施形態では、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側におけるラッチ21Bの回動範囲には、扉本体1Dとラッチ21Bとの間に生じている隙間S2の寸法D2をゼロ又は略ゼロに変更している隙間寸法変更手段となっている略環状の軟質部材40が設けられている。
【0101】
これにより、扉本体1Dとラッチ21Bとの間に生じている隙間S2に物が挟まれたりすることを防止することができ、また、この隙間S2に扉1の利用者の手が挟まれたりすることも防止することができる。
【0102】
すなわち、隙間寸法変更手段となっている塞ぎ部材である軟質部材40により隙間S2の寸法D2をゼロ又は略ゼロにすることにより、隙間S2に、物や、扉1の利用者の手が挟まれにくいようにすることができる。
【0103】
このため、本実施形態によると、施錠装置20の円滑な操作を確保できるようになる。
【0104】
なお、軟質部材40の扉本体1Dへの取付作業は、施錠装置20を扉本体1Dに取り付ける前に行ってもよく、施錠装置20を扉本体1Dに取り付けた後に行ってもよい。
【0105】
前者の場合の取付手順(取付方法)の一例として、まず、ラッチ受け部材16を正面パネル3に取り付けた状態で、扉1を全閉位置まで閉じ移動させる作業を行う。
【0106】
次に、軟質部材40の欠部40Bの隅部40Cを、
図9に示すラッチ受け部材16の角部16Bに当接させる作業を行う。これにより、軟質部材40の扉本体1Dへの取付位置が決まる。すなわち、軟質部材40の取付位置は、ラッチ受け部材16の角部16Bで位置決めされる。
【0107】
最後に、軟質部材40を、接着あるいはビス等の止着具による止着等により扉本体1Dに取り付ける(固定する)作業を行う。
【0108】
この後、施錠装置20のサムターン部材21の摘み部21Aの中心が、扉本体1に取り付けた状態の軟質部材40の貫通孔40Aの中心と一致又は略一致するように、施錠装置20を扉本体1Dに取り付ける作業を行う。
【0109】
なお、施錠装置20を扉本体1Dに取り付けた後に、軟質部材40の扉本体1Dへの取付作業を行う場合には、最初に、軟質部材40の貫通孔40Aに施錠装置20のサムターン部材21を通してから行う。
【0110】
このように、軟質部材40には貫通孔40Aが形成されているため、軟質部材40の扉本体1Dへの取付作業を、施錠装置20を扉本体1Dに取り付けた後にも行うことができる。
【0111】
なお、本実施形態では、出入口5を開閉するためにこの出入口5に開閉自在に配置される扉1の表面のうち、扉関連部材である施錠装置20や第2ヒンジ部材34が配置される部分を除いた部分は、軟質材料で形成されたものとなっている。
【0112】
このため、本実施形態によると、扉1が使用する者により数多く開閉されたり接触されたりしても、使用する者が接触した際に受ける影響を軽減することができるようになる。すなわち、扉1を使用する者にとっての安全性の向上を図ることができる。
【0113】
なお、本実施形態では、
図7に示されているように、扉本体1Dのうち、施錠装置20が設けられる部分の内部には、扉本体1Dの厚さ寸法D1と同じ又は略長さ寸法L1を有する硬質材料で形成された中間部材である筒状部材27が配置される。そして、筒状部材27の長さ方向の両端部のうちの一方の端部に、施錠装置20のサムターン部材21の支持部材22のベース部22Aが当接するとともに、筒状部材27の長さ方向の両端部のうちの他方の端部に、施錠装置20のベース部材24が当接するようになっている。これにより、施錠装置20のサムターン部材21の支持部材22のベース部22Aと、施錠装置20のベース部材24との間の距離は、扉本体1Dの厚さ寸法D1である状態が維持される。
【0114】
すなわち、本実施形態では、施錠装置20がビス28により扉本体1Dに取り付けられる際、施錠装置20の支持部材22のベース部22Aやベース部材24が、軟質材料で形成された扉本体1Dにめり込むことが防止される(言い換えると、扉本体1Dの厚さ方向内側へ移動することが阻止される)ようになっている。
【0115】
このため、本実施形態によると、扉本体1Dの内部に筒状部材27を配置しない場合と比較して、施錠装置20の扉本体1Dに対する取付強度の低下を防止することができる。
【0116】
なお、本実施形態では、扉1が出入口5を閉じる全閉位置に達したときには、
図4及び
図5に示されているように、扉1におけるトイレブース2の内側に向いている面は、ラッチ受け部材16に当接している。このため、ラッチ受け部材16は、扉1の全閉位置を規定するための戸当たり部材を兼ねている。ラッチ受け部材16におけるトイレブース2の外側に向いている面には、扉本体1Dが当たったときの衝撃を緩和し、かつ園児に対する安全性を考慮して、発泡樹脂やゴム、モヘヤ等による軟質部材17が取り付けられている。このような軟質部材は、溝部16Aの開口部分と正面パネル3との接触面を除くラッチ受け部材16の全面に設けてもよい。
【0117】
また、
図4及び
図5に示されているように、扉1の右の側辺12を形成する右側の端部9は、ラッチ受け部材16から出入口5とは反対側の左右方向へ突出している。このため、正面パネル3との間に指や手を差し込むことができる間隔があいているこの端部9により、扉1をヒンジ7を中心に開閉操作できるようになっており、端部9を扉1の把持部材であるノブや取っ手の代わりとして使用できるようになっている。
【0118】
なお、本実施形態では、隙間寸法変更手段である塞ぎ部は、扉本体1Dと別体となっている塞ぎ部材である軟質部材40であったが、塞ぎ部は、扉本体1Dと一体成形による軟質部材40と同じ形状、寸法を有する突出部としてもよい。
【0119】
なお、本実施形態において、軟質部材40と、施錠装置20のベース22A又は扉本体1Dとは、一体化されていてもよいが、軟質部材40は、扉1が設置される現場等の使用条件によって、扉本体1Dの厚さ寸法D1や、扉本体1Dと施錠装置20のラッチ21Bとの間に生じている隙間S2の寸法D2等が異なる場合があることを考慮すると、厚さ寸法が異なっている上述した使用条件に適合する軟質部材40を採用し、施錠装置20については共通のものを採用することにより、これらの部材の在庫管理上等で有利なものとなる。
【0120】
このため、軟質部材40と、施錠装置20のベース22A又は扉本体1Dとは、一体化されていなくて分離していることが好ましい。このように分離していれば、何らかの事情で、扉本体1Dと施錠装置20のラッチ21Bとの間に生じている隙間S2の寸法D2が変化した場合や変化させたい場合にも、施錠装置20は元のもの(共通のもの)を使用し、軟質部材40のみを交換することで対処可能である。
【0121】
図10は、上述した実施形態に係る軟質部材40を上下2個に分割した実施形態の正面図である。
【0122】
軟質部材40と同じ形状、寸法を有する本実施形態に係る軟質部材41は、上の部分を形成する第1軟質部材42と、下の部分を形成する第2軟質部材43とからなっており、第1軟質部材42には欠部42Aが形成され、第2軟質部材43には欠部43Aが形成されている。
【0123】
第1軟質部材42と第2軟質部材43同士を結合することにより、軟質部材40の欠部40Bと同じ形状、寸法を有する欠部41Bが形成されるとともに、軟質部材40の貫通孔40Aと同じ形状、寸法を有する貫通孔41Aが形成された軟質部材41が形成される。
【0124】
このように、本実施形態では、軟質部材41が上下2個に分割可能となっているため、軟質部材41の扉本体1Dへの取付作業を、施錠装置20を扉本体1Dに取り付けた後でも容易に行うことができるようになっている。
【0125】
軟質部材50の扉本体1Dへの取付作業を、施錠装置20を扉本体1Dに取り付けた後に行う場合の作業手順の一例としては、まず、ラッチ受け部材16を正面パネル3に取り付けた状態で、扉1を全閉位置まで閉じ移動させる作業を行う。
【0126】
次に、第1軟質部材42の欠部42Aの隅部42Bを、
図9に示すラッチ受け部材16の角部16Bに当接させる作業を行う。これにより、第1軟質部材42の扉本体1Dへの取付位置が決まる。すなわち、第1軟質部材42の取付位置は、ラッチ受け部材16の角部16Bで位置決めされる。
【0127】
この後、第1軟質部材42を、接着あるいはビス等の止着具による止着等により扉本体1Dに取り付ける(固定する)作業を行う。
【0128】
最後に、第2軟質部材43の欠部43Aをラッチ受け部材16に当接させるとともに、第2軟質部材43の上面を第1軟質部材42の下面に密着させ、この第2軟質部材43を、接着あるいはビス等の止着具による止着等により扉本体1Dに取り付ける(固定する)作業を行う。
【0129】
図11〜
図13には、隙間寸法変更手段の別実施形態が示されている。
図11は、本実施形態に係る隙間寸法変更手段が示されている
図4と同様の図であり、
図12は、本実施形態に係る隙間寸法変更手段が示されている
図5と同様の図である。また、
図13は、
図12に示されている施錠装置及び隙間寸法変更手段の正面図である。
【0130】
図11〜
図13から分かるように、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側である出入口5の内側(トイレブース2側)の面15におけるサムターン部材21の摘み部21Aの外周には、扉本体1Dの厚さ方向の内側へ窪んだ環状の窪み部44が形成されており、この窪み部44の存在により、扉本体1Dとラッチ21Bとの間に生じている隙間S3の寸法D3は、
図4及び
図5で示されている隙間S2の寸法D2よりも拡大されたものとなっている。
【0131】
このため、窪み部44は、扉本体1Dとラッチ21Bの可能範囲との間に生じている隙間の寸法を大きくする(拡大変更する)ための隙間寸法変更手段となっている。
【0132】
これによると、隙間S3に物が挿入されたとしても、この物を隙間S3から脱落させやすくする、言い換えると、隙間S3に物が挟まれにくいものとすることができる。また、これによると、隙間S3に扉1の利用者の手が挟まれにくいようにすることができる。
【0133】
このため、本実施形態によると、施錠装置20の円滑な操作を確保することができるようになる。
【0134】
なお、ラッチ受け部材16におけるトイレブース2の外側に向いている面には、
図4及び
図5の実施形態と同様に、扉本体1Dが当たったときの衝撃を緩和し、かつ園児に対する安全性を考慮して、発泡樹脂やゴム、モヘヤ等による軟質部材18が取り付けられている。この軟質部材18は、ラッチ受け部材16の全体形状からラッチ21Bの回動範囲と重複する部分を除いた形状を有している。
【0135】
図14〜
図17には、隙間寸法変更手段のさらなる別実施形態が示されている。
図14は、本実施形態に係る隙間寸法変更手段が示されている
図4と同様の図であり、
図15は、本実施形態に係る隙間寸法変更手段が示されている
図5と同様の図である。また、
図16は、
図15に示されている施錠装置及び隙間寸法変更手段の正面図であり、
図17は、
図16に示されている隙間寸法変更手段単独の正面図である。
【0136】
図14及び
図15に示されているように、本実施形態では、ラッチ受け部材16が配置されている正面パネル53は、扉本体1Dとこの扉本体1D幅方向に並設されている。
【0137】
このため、施錠装置20のラッチ21Bの回動範囲は、扉本体1Dと正面パネル53とに跨るものとなっている。
【0138】
図16に示されているように、本実施形態に係る隙間寸法変更手段は、前述した
図4及び
図5で示されている実施形態と同様に、ラッチ21Bの回動範囲の形状と対応する形状を有していて、出入口5の内側へ突出する厚さ寸法を有する塞ぎ部材である軟質部材45となっている。
【0139】
この軟質部材45は、
図17に示されているように、扉本体1Dに取り付けられる第1軟質部材46と、正面パネル53に取り付けられる第2軟質部材47とからなっており、これらの軟質部材46,47は、同じ厚さ寸法を有している。また、この軟質部材45は、全体として、正面視で略環状となっている。
【0140】
第2軟質部材47には、欠部47Aが形成されており、このため、軟質部材45は、ラッチ受け部材16の配置位置を避けた形状、言い換えると、ラッチ受け部材16と干渉しない形状を有している。すなわち、塞ぎ部を形成する軟質部材45は、ラッチ21Bの回動範囲のうち、ラッチ受け部材16と干渉しない範囲に設けられている。
【0141】
このように、本実施形態では、隙間寸法変更手段となっている軟質部材45は、正面パネル53の厚さ方向両側のうちの一方の側であるラッチ受け部材16が配置されている側にも設けられている。
【0142】
この軟質部材45の存在により、扉本体1Dとラッチ21Bとの間に生じている隙間S4の寸法D4がゼロ又は略ゼロに変更されているとともに、正面パネル53とラッチ21Bとの間に生じている隙間S4の寸法D4がゼロ又は略ゼロに変更されている。
【0143】
なお、本実施形態では、隙間寸法変更手段である塞ぎ部のうち、扉本体1Dに設けられる塞ぎ部は、扉本体1Dと別体となっている塞ぎ部材である軟質部材46であったが、扉本体1Dに設けられる塞ぎ部は、扉本体1Dと一体成形による軟質部材46と同じ形状、寸法を有する突出部としてもよい。
【0144】
図18〜
図21には、隙間寸法変更手段のまたさらなる別実施形態が示されている。
図18は、本実施形態に係る隙間寸法変更手段が示されている
図4と同様の図であり、
図19は、本実施形態に係る隙間寸法変更手段が示されている
図5と同様の図である。また、
図20は、
図19に示されている施錠装置及び隙間寸法変更手段の正面図であり、
図21は、
図20に示されている隙間寸法変更手段単独の正面図である。
【0145】
本実施形態では、
図14〜
図17で示されている実施形態と同様に、ラッチ受け部材66が配置されている正面パネル63は、扉本体1Dとこの扉本体1D幅方向に並設されており、施錠装置60のラッチ61Bの回動範囲は、扉本体1Dと正面パネル63とに跨るものとなっている。また、施錠装置60のラッチ61Bの回動範囲は、前述した施錠装置20のラッチ21Bと同様に、環状(リング状)となっている。
【0146】
一方、本実施形態では、施錠装置60は、
図14〜
図17で示されている実施形態とは異なり、
図19及び
図20に示されているように、円柱状のラッチ61Bがラッチ受け部材66の水平部66Aに載置されることにより、扉1が施錠状態となるものである。なお、このラッチ61Bがラッチ受け部材66の水平部66Aに載置されただけでは、完全な施錠状態とならない。すなわち、全閉位置に達した扉1をトイレブース2の外側から押すと、扉1はトイレブース2の内側へ回動してしまう。
【0147】
このため、扉本体1Dの幅方向(左右方向)の両端部の一方の端部である正面パネル63側(言い換えると、施錠装置60側)の端部には、段部1Jが形成されているとともに、正面パネル63の幅方向(左右方向)の両端部の一方の端部である扉本体1D側(言い換えると、ラッチ受け部材66側)の端部には、上記段部1Jに係合可能な段部63Aが形成されている。
【0148】
これにより、
図19及び
図20から分かるように、扉1が全閉位置に達するとともに、施錠装置60のラッチ61Bがラッチ受け部材66の水平部66Aに載置されたときには、扉1をトイレブース2の外側から押しても、扉1はトイレブース2の内側へ回動しないし、また、扉1をトイレブース2の内側から押しても、扉1はトイレブース2の外側へ回動しない。すなわち、扉1は完全に施錠状態となる。
【0149】
本実施形態に係る隙間寸法変更手段は、
図14〜
図17の実施形態と同様に、ラッチ61Bの回動範囲の形状と対応する形状を有していて、出入口5の内側へ突出する厚さ寸法を有する塞ぎ部材である軟質部材48となっている。
【0150】
図19及び
図20から分かるように、ラッチ受け部材66の水平部66Aにおける正面パネル63側の端部には、軟質部材48と同じ厚さ寸法を有し、この水平部66Aから上向きに延びる上方延出部(言い換えると、立上り部)66Bが形成されている。
【0151】
このため、軟質部材48は、
図21に示されているように、扉本体1Dに取り付けられる第1軟質部材49と、正面パネル63に取り付けられる第2軟質部材50と、同じく正面パネル63に取り付けられ、欠部51Aを有する第3軟質部材51とからなっており、これらの軟質部材49〜51は、同じ厚さ寸法を有している。
【0152】
軟質部材48は、
図14〜
図17の実施形態と同様に、ラッチ受け部材66の配置位置を避けた形状、言い換えると、ラッチ受け部材66と干渉しない形状を有しており、
図21に示されているように、軟質部材48は、全体として、正面視で一部が開口した略環状となっている。
【0153】
このように、塞ぎ部を形成する軟質部材48は、
図14〜
図17の実施形態と同様に、ラッチ61Bの回動範囲のうち、ラッチ受け部材66と干渉しない範囲に設けられている。
【0154】
また、軟質部材48は、
図14〜
図17の実施形態と同様に、正面パネル63の厚さ方向両側のうちの一方の側であるラッチ受け部材66が配置されている側にも設けられている。
【0155】
この軟質部材48の存在により、扉本体1Dとラッチ61Bとの間に生じている隙間S5の寸法D5がゼロ又は略ゼロに変更されているとともに、正面パネル63とラッチ21Bとの間に生じている隙間S5の寸法D5がゼロ又は略ゼロに変更されている。
【0156】
なお、本実施形態では、隙間寸法変更手段である塞ぎ部のうち、扉本体1Dに設けられる塞ぎ部は、扉本体1Dと別体となっている塞ぎ部材である軟質部材49であったが、扉本体1Dに設けられる塞ぎ部は、扉本体1Dと一体成形による軟質部材49と同じ形状、寸法を有する突出部としてもよい。
【0157】
なお、施錠装置20,60の少なくとも一部を軟質材料で覆うようにしてもよい。すなわち、施錠装置20,60のカバー部材26のうちの窓孔26Aを除いた部分を、軟質材料で覆うようにしてもよい。また、ヒンジ7の少なくとも一部も軟質材料で覆うようにしてもよい。
【0158】
なお、施錠装置20の形式、構造等は、
図7及び
図8に示されているものに限定されるものではなく、任意なものでよい。また、施錠装置60の形式、構造等も、
図18及び
図19に示されているものに限定されるものではなく、任意なものでよい。
【0159】
なお、
図1及び
図2に示されているヒンジ7は、出入口5を形成している不動部材である正面パネル3A,3Bに設けられる第1ヒンジ部材30と、扉1A,1Bの扉本体1Dに設けられる第2ヒンジ部材34と、を含んで構成されている。
【0160】
図6に示されているように、扉本体1Dの幅方向の両端部のうちのヒンジ7が配置される側の端部における上部と下部には、上下2個の貫通孔1G,1Hがそれぞれ設けられており、これらの貫通孔1G,1Hの位置に、上下2個の第2ヒンジ部材34が取り付けられるものとなっている。
【0161】
第2ヒンジ部材34は、上下2個の貫通孔35Cが形成されている羽根部35Bが側面部35Aに設けられている円柱状の本体部35と、ベース部(言い換えると、基部)36Aに扉本体1Dの厚さ方向内側へ水平方向に延びる上下2個の円筒状の突出部36Bが設けられている板状のベース部材36と、を含んで構成されており、本体部35は、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの一方の側であるトイレブース2の内側に配置されており、ベース部材36は、扉本体1Dの厚さ方向両側のうちの他方の側であるトイレブース2の外側に配置されている。なお、図示されていないが、第2ヒンジ部材34の本体部35の底部35Dには、第1ヒンジ部材30の本体部の上部に設けられているピン部が挿入可能な穴が設けられている。
【0162】
また、扉本体1Dの内部における第2ヒンジ部材34の本体部35の羽根部35Bとベース部材36との間には、扉本体1Dの厚さ寸法D1(
図7参照)と同じ又は略同じ長さ寸法を有する硬質材料で形成されている中間部材である筒状部材38が配置されるようになっており、ベース部材36の上下2個の突出部36Bは、筒状部材38の内部に挿入可能となっている。扉本体1Dの上部と下部に設けられた前述した上下2個の貫通孔1G,1Hは、筒状部材38の外径寸法と同じ又は略同じ直径寸法を有しており、これらの貫通孔1G,1Hに筒状部材38が挿入配置されるものとなっている。
【0163】
第2ヒンジ部材34の本体部35とベース部材36とは、雄ねじ部材である2個のビス37の軸部が、本体部35の羽根部35Bの上下2個の貫通孔35Cに挿通されるとともに、ベース部材36の上下2個の突出部36Bに形成された図示しない雌ねじ穴に螺入されることにより結合される。
【0164】
扉本体1Dに取り付けられた第2ヒンジ部材34の本体部35の底部35Dの前記穴に、正面パネル3に取り付けられた第1ヒンジ部材30の本体部の上部の前記ピン部が挿入されることにより、第1ヒンジ部材30と第2ヒンジ部材34とが連結された状態となる。
【0165】
これにより、第2ヒンジ部材34は、
図1に示されているように、第1ヒンジ部材30よりも上側に配置されるとともに、第2ヒンジ部材34の本体部35は、第1ヒンジ部材30の図示されない本体部の上部のピン部を中心に回動自在となる。このため、扉本体1Dは、第1ヒンジ部材30と第2ヒンジ部材34とを含んで構成されるヒンジ7で出入口5に開閉自在に配置される。
【0166】
また、ヒンジ7は、扉1を開き移動させるとこの扉1が自重により自動的に閉じ移動するいわゆるグレビティヒンジとなっていてもよく、なっていなくてもよい。
【0167】
なお、扉本体1Dの表面(トイレブース2の外側の面)や裏面(トイレブース2の内側の面)には、幼稚園や保育園の園児が興味を抱く色付きの絵柄を表示するようにしてもよい。
【0168】
また、扉本体1Dの形状が、前述したように、例えば、1個又は複数個の果物(例えば、スイカ、オレンジ、キウイフルーツ等)の断面形状の輪郭を表す形状となっている場合には、扉本体1Dの表面や裏面には、果物の中身(断面の様子)を表す絵柄を表示するようにしてもよい。
【0169】
なお、扉本体1Dは、軟質材料となっている発泡樹脂製の1枚の板状部材で形成されたものであったが、この扉本体1Dの構造はこれに限定されるものではなく、任意なものでよい。
【0170】
例えば、扉本体1Dは、同じ形状、寸法を有する軟質材料で形成された複数枚の板状部材を厚さ方向に重ね合わせることにより形成したものでもよい。
【0171】
また、扉本体1Dの少なくとも一部は、この扉本体1Dに対して取り付け、取り外し自在なカバー部材(覆い部材)で覆われるようにしてもよい。これによると、扉本体1Dの汚損を防止できるようになる。
【0172】
なお、以上説明した各実施形態に係る塞ぎ部材である軟質部材40,41,45,48は、扉本体1Dを形成する軟質材料と同じ材料で形成されるものでもよく、扉本体1Dを形成する軟質材料とは異なる軟質材料で形成されるものであってもよい。
【0173】
また、以上説明した各実施形態に係る塞ぎ部材である軟質部材40,41,45,48は、軟質材料で形成されるものであったが、これらの塞ぎ部材40,41,45,48は、硬質材料で形成されるものであってもよい。
【0174】
なお、以上説明した本実施形態に係る扉1は、扉の個数が1個のトイレブースについても、また扉の個数が3個以上のトイレブースについても適用することができる。