(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に於いて、第1チューナは、端末に接続された際にチャンネルの初期化処理としてチャンネルスキャンを行い、すべての局個別データを受信する。この端末に第2チューナが接続された際に、第2チューナのチャンネルの初期化処理の時間を短縮し、各チャンネルを迅速に視聴可能とする。
チューナのマスタ鍵は、ベンダ単位または機種単位で同一である。同一のマスタ鍵が設定されたチューナに於いて、それぞれ放送信号から受信する局個別データは、すべて共通である。よって、局個別データは、同一のマスタ鍵が設定された複数のチューナ間で、相互に補完することができる。
【0023】
図1は、第1の実施形態に於けるデジタル放送のチューナと端末を示す概略の構成図である。
図1に示すように、デジタル放送の第1チューナ1−1は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル8を介して端末2に接続される。更に第2チューナ1−2は、他のUSBケーブル8を介して端末2に接続される。これら第1チューナ1−1や第2チューナ1−2は、ソフトウェアCAS方式に対応している。
第1チューナ1−1は、アンテナ部11と、チューナ部12と、分離部13と、TS信号処理部14と、局個別データ保存部15と、揮発性メモリ16と、暗号処理部17aと、復号処理部17bと、通信部18と、制御部19とを含んで構成される。第2チューナ1−2も、第1チューナ1−1と同様に構成されるが、
図1では、局個別データ保存部15と、揮発性メモリ16とだけを示し、他を省略している。以下、第1チューナ1−1、第2チューナ1−2、…などを特に区別しないときには、単にチューナ1と記載する。
【0024】
アンテナ部11は、地上デジタル放送のUHF(Ultra High Frequency)放送波を受信するアンテナである。
チューナ部12は、アンテナ部11が受信した放送波のうち、選択したチャンネルの放送信号を出力するものである。
分離部13は、チューナ部12が出力した放送信号をA/D(Analog to Digital)変換して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調処理、FFT(Fast Fourier Transform)処理、キャリア復調処理、周波数デインターリーブ処理、時間デインターリーブ処理、デマッピング処理、ビタビ復号処理などを行い、トランスポートストリームを出力するものである。トランスポートストリームは、TS(Transport Stream)パケットが連続した信号列である。TSパケットは、188バイトの固定長であり、かつ、PID(Packet ID)と呼ばれるパケット識別子を含んだパケットヘッダが付与される。映像ストリームや音声ストリームは、それぞれ固有のPID番号を持つTSパケットで伝送される。
【0025】
TS信号処理部14は、EMM受信部141と、ECM(Entitlement Control Message)受信部142と、RMP処理部143とを備えている。TS信号処理部14は、分離部13が出力したトランスポートストリームを処理するものである。
EMM受信部141は、トランスポートストリームからチャンネルのEMMを抽出するものである。すなわち、EMM受信部141は、視聴可能なデジタル放送信号のトランスポートストリームから、選択したチャンネルの局個別データを受信する機能を有している。
ECM受信部142は、トランスポートストリームからECMを抽出するものである。
RMP処理部143は、トランスポートストリームからスクランブル鍵を抽出し、抽出したスクランブル鍵によって、デスクランブル部1431にトランスポートストリームをデスクランブルさせて、視聴可能なMPEG2トランスポートストリームを出力する。EMM受信部141は更に、受信したEMMに基づき局個別データを生成して、後記する局個別データ保存部15に保存する。
【0026】
局個別データ保存部15は、暗号処理部17aが暗号化した局個別データを保存するものである。局個別データ保存部15は、不揮発性メモリ上に構成される。よって、局個別データ保存部15に保存された局個別データは、電源がオフされても失われることなく記憶される。これにより、第1チューナ1−1は、電源オンしたときに局個別データ保存部15に保存された局個別データに基づいて、すぐさま放送波をデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
【0027】
揮発性メモリ16は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、一時的に処理データなどを記憶するものである。第1チューナ1−1の揮発性メモリ16には、第1チューナ固有鍵Kt−1が保存される。第1チューナ固有鍵Kt−1は、例えば、後記する鍵生成部192により、この第1チューナ1−1の固有情報に基づいて生成される。第2チューナ1−2の揮発性メモリ16には、第1チューナ固有鍵Kt−1とは異なる第2チューナ固有鍵Kt−2が保存される。各チューナ1は固有鍵を有し、それぞれ局個別データを固有鍵で暗号化する。
これにより、局個別データ保存部15に保存された局個別データは、チューナ1ごとに異なる暗号鍵で暗号化されるので、この局個別データを不正に復号される虞が少なくなる。
【0028】
暗号処理部17aは、入力されたデータを所定の鍵で暗号化するものである。暗号処理部17aは、データを暗号化するものであり、局個別データを局個別データ保存部15に保存する際に、この局個別データを暗号化し、局個別データを通信路であるUSBケーブル8を介して送信する際に、この局個別データを暗号化する。暗号処理部17aは更に、デスクランブルされたMPEG2トランスポートストリームを暗号化して、端末2に送信する。
【0029】
復号処理部17bは、暗号処理部17aが暗号化したデータを、そのデータの暗号化に用いられた鍵で復号するものである。暗号処理部17aと復号処理部17bとは、例えば暗号処理ICである。しかし、これに限られず、暗号処理部17aと復号処理部17bとは、チューナ1の不図示のCPU(Central Processing Unit)が、暗号処理ミドルウェアを実行することにより、具現化されてもよい。
通信部18は、例えばUSBファンクションICであり、端末2との間でUSBケーブル8を介してデータを送受信するものである。通信部18は、端末2を介して、他のチューナ1との間でデータを送受信する。
【0030】
制御部19は、このチューナ1を統括して制御するものであり、認証処理部191と、鍵生成部192とを含んで構成される。制御部19は、例えば、チューナ1の不図示のCPUが、チューナ制御プログラムを実行することにより具現化される。制御部19は、例えば、局個別データ保存部15に保存された局個別データを、復号処理部17bにより復号し、他のチューナ1に送信する。これにより、他のチューナ1は、チャンネル初期化処理の時間を短縮することができる。
認証処理部191は、このチューナ1がUSBケーブル8を介して端末2に接続されたことや、他のチューナ1が他のUSBケーブル8を介して端末2に接続されたことを認証するものである。認証処理部191は、後記する端末2の認証処理部291から、他のチューナ1の接続を認証した旨を受信することにより、他のチューナ1の接続を認証する。
鍵生成部192は、入力されたシード鍵に基づいて、暗号鍵を生成するものである。鍵生成部192が暗号鍵を生成する演算方法は非公開なので、シード鍵が秘匿性を有さない場合でも、このシード鍵に基づいて生成される暗号鍵の秘匿性は保たれる。
【0031】
制御部19は、通信部18により、他のチューナ1との間でシード鍵を交換して、鍵生成部192により、シード鍵から通信用鍵を生成する。制御部19は更に、復号処理部17bにより復号された局個別データを、暗号処理部17aにより、通信用鍵で暗号化する。
【0032】
端末2は、揮発性メモリ26と、暗号処理部27aと、復号処理部27bと、通信部28と、この端末2を統括して制御する制御部29とを備えている。端末2は、例えば、コンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話、ゲーム機などである。
揮発性メモリ26(第2揮発性メモリ)は、前記した揮発性メモリ16と同様に、例えばRAMであり、一時的に処理データなどを記憶するものである。
暗号処理部27a(第2暗号処理部)は、前記した暗号処理部17aと同様の暗号化処理を行うものである。
復号処理部27b(第2復号処理部)は、前記した復号処理部17bと同様の暗号化処理を行うものである。復号処理部27bは、暗号処理部17aによって暗号化されたMPEG2トランスポートストリームを復号して、不図示のMPEG2デコーダに出力する。
暗号処理部27aと復号処理部27bとは、端末2の不図示のCPUが、暗号処理ミドルウェアプログラムを実行することにより具現化される。
通信部28(第2通信部)は、例えばUSBホストコントローラであり、各チューナ1との間でUSBケーブル8を介してデータを送受信するものである。
【0033】
制御部29(第2制御部)は、この端末2を統括して制御するものであり、認証処理部291と、鍵生成部292とを含んで構成される。制御部29は、端末2の不図示のCPUが、不図示の記憶部に格納されたテレビ受信プログラムを実行することにより具現化される。
認証処理部291(第2認証処理部)は、この端末2に新たなチューナ1が接続されたことを認証し、既に接続されたチューナ1の認証処理部191に通知するものである。
鍵生成部292(第2鍵生成部)は、前記した鍵生成部192と同様に、入力されたシード鍵に基づいて、暗号鍵を生成するものである。鍵生成部292と鍵生成部192とは、同一のシード鍵に基づいて、同一の暗号鍵を生成する。鍵生成部292が暗号鍵を生成する演算方法は非公開なので、シード鍵が秘匿性を有さない場合でも、このシード鍵に基づいて生成される暗号鍵の秘匿性は保たれる。
【0034】
図2は、第1の実施形態に於けるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。
ここでは、
図1に示す第1チューナ1−1を例として、チャンネルスキャン処理を説明する。第1チューナ1−1の認証処理部191が、この第1チューナ1−1が端末2に新たに接続されたことを認証すると、以下に示すチャンネルスキャン処理が開始される。
ステップS10に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、選択したチャンネルを設定して選局する。ここで選択したチャンネルとは、後記するチャンネルリストに含まれている。
【0035】
ステップS11に於いて、第1チューナ1−1のEMM受信部141は、放送波から局個別データを受信する。
ステップS12に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、放送波から受信した局個別データを揮発性メモリ16に保存する。
【0036】
ステップS13に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、揮発性メモリ16に保存された局個別データを、この第1チューナ1−1自身の第1チューナ固有鍵Kt−1で暗号化する。
ステップS14に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、第1チューナ固有鍵Kt−1で暗号化した局個別データを、局個別データ保存部15に保存する。
ステップS15に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、チャンネルリストに含まれるすべてのチャンネルの処理が終了したか否かを判断する。制御部19は、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS10の処理に戻り、当該判断条件が成立したならば(Yes)、
図2の処理を終了する。
【0037】
これらステップS10〜S15の処理を繰り返すことにより、暗号化された局個別データが生成され、局個別データ保存部15に保存される。
このように、暗号化された局個別データは、不揮発性メモリ上に構成された局個別データ保存部15に保存される。第三者は、この不揮発性メモリから、暗号化された局個別データを読み取り、この固有鍵を解析して暗号を解読する虞がある。しかし、この局個別データは、チューナ1ごとに異なる固有鍵で暗号化される。よって、特定のチューナ1の局個別データを復号可能な暗号鍵は、他のチューナ1の局個別データを復号できない。これにより、局個別データの不正利用を防ぎ、放送コンテンツを保護することができる。
【0038】
図3は、第1の実施形態に於ける局個別データ補完処理を示すフローチャートである。
第1チューナ1−1が端末2に接続された状態に於いて、新たに第2チューナ1−2が端末2に接続されると、第2チューナ1−2を補完対象チューナとする局個別データ補完処理が開始される。
ステップS20〜S24は、第1チューナ1−1と第2チューナ1−2との間でシード鍵を交換して、共通する通信用鍵を生成する処理である。
【0039】
ステップS20に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、第1シード鍵Kb−1を生成する。
ステップS21に於いて、補完対象チューナである第2チューナ1−2の制御部19は、第2シード鍵Kb−2を生成する。
ステップS22に於いて、第1チューナ1−1と補完対象チューナである第2チューナ1−2とは、生成したシード鍵を交換する。すなわち、第1チューナ1−1は、第2チューナ1−2に、第1シード鍵Kb−1を送信する。第2チューナ1−2は、第1シード鍵Kb−1を受信する。第2チューナ1−2は、第1チューナ1−1に、第2シード鍵Kb−2を送信する。第1チューナ1−1は、第2シード鍵Kb−2を受信する。
【0040】
ステップS23に於いて、第1チューナ1−1と補完対象チューナである第2チューナ1−2とは、それぞれ鍵生成部192により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。
ステップS24に於いて、第1チューナ1−1と補完対象チューナである第2チューナ1−2とは、それぞれ鍵生成部192により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
ステップS20〜S24の処理により、第1チューナ1−1と補完対象チューナである第2チューナ1−2とは、局個別データなどの通信データを、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2で暗号化して送受信できる。よって、通信データの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0041】
ステップS25〜S31の処理は、局個別データ保存部15に保存された局個別データを、補完対象チューナに転送する処理である。
ステップS25に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、局個別データ保存部15に保存された局個別データを、復号処理部17bにより、第1チューナ固有鍵Kt−1で復号し、揮発性メモリ16に保存する。このとき局個別データは、暗号化されていない復号済みの状態である。
ステップS26に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、揮発性メモリ16に保存した局個別データを、暗号処理部17aにより、第1通信用鍵Kc−1で暗号化する。
このように、第三者に傍受されやすい通信路を送信する際に、第1チューナ1−1の制御部19は、局個別データを第1通信用鍵Kc−1で暗号化している。これにより、局個別データの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
ステップS27に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、不図示のTSID(Transport Stream ID)リストと、第1通信用鍵Kc−1で暗号化された状態の局個別データとを端末2に送信する。このTSIDリストは、各チャンネル(放送局)を識別する情報である。
【0042】
ステップS28に於いて、端末2の制御部29は、第1チューナ1−1から受信したTSIDリストと局個別データとを補完対象チューナである第2チューナ1−2に送信する。このとき局個別データは、第1通信用鍵Kc−1で暗号化された状態である。
ステップS29に於いて、補完対象チューナである第2チューナ1−2の制御部19は、第1チューナ1−1から端末2を介して受信した局個別データを、復号処理部17bにより、第1通信用鍵Kc−1で復号する。これにより、局個別データは、暗号化されていない復号済みの状態となる。
ステップS30に於いて、補完対象チューナである第2チューナ1−2の制御部19は、復号済みの局個別データを、暗号処理部17aにより、第2チューナ固有鍵Kt−2で暗号化する。
ステップS31に於いて、補完対象チューナである第2チューナ1−2の制御部19は、第2チューナ固有鍵Kt−2で暗号化された状態の局個別データを、局個別データ保存部15に保存する。これにより、補完対象チューナである第2チューナ1−2は、局個別データ保存部15に局個別データを保存しているので、いずれのチャンネルが選択されても、すぐさまトランスポートストリームをデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
【0043】
ステップS32に於いて、第1チューナ1−1の制御部19は、補完対象チューナが他に存在するか否かを判断する。制御部19は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS20の処理に戻り、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、
図3の処理を終了する。
【0044】
図4(a),(b)は、第1の実施形態に於ける局個別データ補完動作の例を示す図である。
図4(a)は、補完動作前に於ける第1チューナ1−1と第2チューナ1−2の局個別データ保存部15を示している。
第1チューナ1−1は、端末2に接続されており、かつ、チャンネルの初期化処理を完了している。第1チューナ1−1の局個別データ保存部15は、放送局#1〜#6と局個別データ#1〜#6の組合せを保存している。放送局#1〜#6は、TSIDで示される。TSIDは、各チャンネルを識別する情報であり、局個別データそれぞれに紐付けられている。
第2チューナ1−2は、新たに端末2に接続され、かつ、チャンネルの初期化処理が未だ行われていない。第2チューナ1−2の局個別データ保存部15は、何も保存していない。
【0045】
図4(b)は、補完動作後に於ける第1チューナ1−1と第2チューナ1−2の局個別データ保存部15を示している。
第1チューナ1−1は、補完対象チューナである第2チューナ1−2に、放送局#1〜#6と局個別データ#1〜#6とを送信する。第2チューナ1−2の局個別データ保存部15は、放送局#1〜#6と局個別データ#1〜#6の組合せを保存する。これにより、第2チューナ1−2は、放送局#1〜#6のうちいずれのチャンネルが選択されても、すぐさまトランスポートストリームをデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
【0046】
図5(a),(b)は、第1の実施形態に於ける局個別データ補完動作の他の例を示す図である。
図5(a)は、補完動作前に於ける第1チューナ1−1〜第4チューナ1−4の局個別データ保存部15を示している。
第1チューナ1−1は、端末2に接続されており、かつ、チャンネルの初期化処理を完了している。第1チューナ1−1の局個別データ保存部15は、放送局#1〜#6と局個別データ#1〜#6の組合せを保存している。
第2チューナ1−2〜第4チューナ1−4は、新たに端末2に接続され、かつ、チャンネルの初期化処理が未だ行われていない。第2チューナ1−2〜第4チューナ1−4の局個別データ保存部15は、何も保存していない。
【0047】
図5(b)は、補完動作後に於ける第1チューナ1−1〜第4チューナ1−4の局個別データ保存部15を示している。
第1チューナ1−1は、補完対象チューナである第2チューナ1−2〜第4チューナ1−4に、放送局#1〜#6と局個別データ#1〜#6とを送信する。第2チューナ1−2〜第4チューナ1−4の局個別データ保存部15は、放送局#1〜#6と局個別データ#1〜#6の組合せを保存する。これにより、第2チューナ1−2〜第4チューナ1−4は、放送局#1〜#6のうちいずれのチャンネルが選択されても、すぐさまトランスポートストリームをデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
【0048】
図6(a)〜(d)は、第1の実施形態に於ける通信用鍵の生成動作を示す図である。
図6(a)は、
図3のステップS21の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1−1の揮発性メモリ16には、第1シード鍵Kb−1が生成される。第2チューナ1−2の揮発性メモリ16には、第2シード鍵Kb−2が生成される。
【0049】
図6(b)は、
図3のステップS22の処理の前半を示す図である。
第1チューナ1−1の第1シード鍵Kb−1は、USBケーブル8を介して端末2に送信されて揮発性メモリ26に保存されたのち、USBケーブル8を介して第2チューナ1−2に送信される。第2チューナ1−2は、自身の揮発性メモリ16に、第1シード鍵Kb−1を保存する。
【0050】
図6(c)は、
図3のステップS22の処理の後半を示す図である。
第2チューナ1−2の第2シード鍵Kb−2は、USBケーブル8を介して端末2に送信されて揮発性メモリ26に保存されたのち、USBケーブル8を介して第1チューナ1−1に送信される。第1チューナ1−1は、自身の揮発性メモリ16に、第2シード鍵Kb−2を保存する。このようにして、第1チューナ1−1と、第2チューナ1−2とは、第1シード鍵Kb−1と第2シード鍵Kb−2とを交換し、各自の揮発性メモリ16に保存する。これら第1シード鍵Kb−1と第2シード鍵Kb−2とは、秘匿性を要する鍵ではないので、第三者に傍受されても問題は発生しない。
このとき、第1チューナ1−1の第1シード鍵Kb−1は、自身の揮発性メモリ16に保存される。第2チューナ1−2の第2シード鍵Kb−2は、自身の揮発性メモリ16に保存される。
【0051】
図6(d)は、
図3のステップS24の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1−1は、鍵生成部192により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成し、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
同様に第2チューナ1−2は、鍵生成部192により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成し、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。シード鍵から通信用鍵を生成する鍵生成部192の演算方法は秘匿されている。よって、第三者は、USBケーブル8に流れるトラヒックを監視して第1シード鍵Kb−1を傍受したとしても、第1通信用鍵Kc−1を特定することはできない。同様に第三者は、第2シード鍵Kb−2を傍受したとしても、第2通信用鍵Kc−2を特定することはできない。
【0052】
このようにして、第1チューナ1−1、第2チューナ1−2は、共通する通信用鍵を生成する。第1チューナ1−1、第2チューナ1−2は更に、第1シード鍵Kb−1や第2シード鍵Kb−2に任意の簡易暗号を掛けてもよく、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2に任意の簡易暗号を掛けてもよい。これにより、第1チューナ1−1、第2チューナ1−2は、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2の秘匿性を、更に高めることができる。
【0053】
図7(a)〜(f)は、第1の実施形態に於ける局個別データの転送動作を示す図である。
図7(a)〜(c)は、第1チューナ1−1の状態を示している。
図7(d)〜(f)は、第2チューナ1−2の状態を示している。
図7(a)は、
図3のステップS24の処理が終了した状態を示す図である。
局個別データEtは、第1チューナ固有鍵Kt−1で暗号化された状態であり、第1チューナ1−1の局個別データ保存部15に保存される。
【0054】
図7(b)は、
図3のステップS25の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1−1の局個別データ保存部15に保存された局個別データEt(
図7(a)参照)は、ステップS25の処理により、第1チューナ固有鍵Kt−1で復号されて局個別データEとなる。以下の図では、復号処理を破線の矢印で示している。この局個別データEは、暗号化されていない復号済みの状態であり、第1チューナ1−1の揮発性メモリ16に保存される。
揮発性メモリ16は、電源オフによって内容が消去されるRAMである。そのため、第三者が、揮発性メモリ16に保存された局個別データEを傍受するためには、揮発性メモリ16への書き込み内容を解析する手間が必要である。よって、復号済みの局個別データEを揮発性メモリ16に保存することにより、局個別データEの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0055】
図7(c)は、
図3のステップS26の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1−1の揮発性メモリ16に保存された局個別データE(
図7(b)参照)は、ステップS26の処理により、すぐさま第1通信用鍵Kc−1で暗号化されて局個別データEcとなる。以下の図では、暗号処理を細実線の矢印で示している。この局個別データEcは、第1通信用鍵Kc−1で暗号化された状態である。これにより、
図7(b)に示す復号済みの局個別データEは、すぐさま暗号化された状態となるので、不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0056】
図7(d)は、
図3のステップS28の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1−1の揮発性メモリ16に保存された局個別データEc(
図7(c)参照)は、第1通信用鍵Kc−1で暗号化された状態である。この局個別データEc(
図7(c)参照)は、ステップS27の処理により、第1チューナ1−1からUSBケーブル8を介して端末2(
図1参照)に送信される。
端末2に送信された不図示の局個別データEcは更に、ステップS28の処理により、端末2からUSBケーブル8を介して第2チューナ1−2に送信される。以下の図では、送信処理を太実線の矢印で示している。送信された局個別データEcは、第1通信用鍵Kc−1で暗号化された状態であり、第2チューナ1−2の揮発性メモリ16に保存される。
このように、第三者に傍受されやすい通信路を送信する際には、局個別データを第1通信用鍵Kc−1で暗号化している。これにより、局個別データEcの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0057】
図7(e)は、
図3のステップS29の処理が終了した状態を示す図である。
第2チューナ1−2の揮発性メモリ16に保存された局個別データEc(
図7(d)参照)は、ステップS29の処理により、第1通信用鍵Kc−1で復号されて局個別データEとなる。この局個別データEは、暗号化されていない復号済みの状態である。
【0058】
図7(f)は、
図3のステップS30の処理が終了した状態を示す図である。
第2チューナ1−2の揮発性メモリ16に保存される局個別データE(
図7(e)参照)は、ステップS30の処理により、すぐさま第2チューナ固有鍵Kt−2で暗号化されて局個別データEtとなる。この局個別データEtは、第2チューナ固有鍵Kt−2で暗号化された状態であり、第2チューナ1−2の局個別データ保存部15に保存される。
このように、
図7(e)に示す復号済みの局個別データEは、すぐさま暗号化された状態となるので、その不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0059】
第1の実施形態によれば、端末2に、局個別データを保存している第1チューナ1−1が接続されており、新たな第2チューナ1−2が接続されたとき、第1チューナ1−1は、第2チューナ1−2に局個別データを転送して補完している。これにより、第2チューナ1−2は、チャンネルスキャンが不要となり、チャンネルの初期化時間を短縮することができる。
第1チューナ1−1は、第2チューナ1−2に局個別データを転送するときに、この局個別データを暗号化している。これにより、局個別データの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
第1チューナ1−1と第2チューナ1−2とは、局個別データ保存部15に局個別データを保存するときに、この局個別データを各チューナ1の固有鍵で暗号化している。これにより、局個別データの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、複数のチューナが端末に接続された際に、チャンネルの初期化処理をチューナごとに並列に行い、短時間に終了させるものである。
第2の実施形態の第1チューナ1−1〜第nチューナ1−nは、
図1に示す第1の実施形態の第1チューナ1−1と同様に構成される。各チューナ1は、揮発性メモリ16に、それぞれ異なる固有鍵を保存している。第2の実施形態の端末2は、
図1に示す第1の実施形態の端末2と同様に構成される。
【0061】
図8は、第2の実施形態に於けるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。
第1チューナ1−1〜第nチューナ1−nが端末2に同時に接続されると、チャンネルスキャン処理が開始される。
ステップS40に於いて、端末2は、チャンネルリストを各チューナ1に分配する。
【0062】
以下のステップS10−1〜S15−1の処理から、ステップS10−n〜S15−nの処理までは、n個のチューナ1による並行処理を示している。
ステップS10−1〜S15−1の処理は、第1チューナ1−1が実行する処理である。この処理は、
図2に示す第1の実施形態のステップS10〜S15の処理と同様である。
同様に、ステップS10−n〜S15−nの処理は、第nチューナ1−nが実行する処理である。この処理は、
図2に示す第1の実施形態のステップS10〜S15の処理と同様である。
全てのチューナ1が、
図2のステップS15に該当する処理を終了するまで待ち、次に示すステップS41−1〜S41−nの並行処理を行う。
【0063】
ステップS41−1は、第1チューナ1−1が行う処理である。第1チューナ1−1は、他のチューナ1との間で局個別データを相互に補完する。同様にステップS41−nは、第nチューナ1−nが行う処理である。第nチューナ1−nは、他のチューナ1との間で局個別データを相互に補完する。第2の実施形態の局個別データの補完処理は、
図3に示す第1の実施形態の局個別データ補完処理と同様である。
このように、複数のチューナ1は、それぞれ異なるチャンネルの局個別データを並行して受信し、相互に補完するので、チャンネルスキャン処理を短時間に終了することができる。
【0064】
図9(a),(b)は、第2の実施形態に於ける局個別データ補完動作を示す図である。ここでは、2台の第1チューナ1−1と第2チューナ1−2とが、端末2に同時に接続された場合を示している。
図9(a)は、ステップS40−nの補完動作前に於ける第1チューナ1−1と第2チューナ1−2の局個別データ保存部15を示している。
第1チューナ1−1は、端末2に接続され、かつ、チャンネルスキャンを完了している。第1チューナ1−1の局個別データ保存部15は、放送局#1〜#3と局個別データ#1〜#3の組合せを保存している。
第2チューナ1−2は、端末2に接続され、かつ、チャンネルスキャンを完了している。第2チューナ1−2の局個別データ保存部15は、放送局#4〜#6と局個別データ#4〜#6の組合せを保存している。
【0065】
図9(b)は、補完動作後に於ける第1チューナ1−1と第2チューナ1−2の局個別データ保存部15を示している。
第1チューナ1−1は、補完対象チューナである第2チューナ1−2に、放送局#1〜#3と局個別データ#1〜#3とを送信する。第2チューナ1−2の局個別データ保存部15は、放送局#1〜#3と局個別データ#1〜#3の組合せを新たに保存する。
第2チューナ1−2は、補完対象チューナである第1チューナ1−1に、放送局#4〜#6と局個別データ#4〜#6とを送信する。第1チューナ1−1の局個別データ保存部15は、放送局#4〜#6と局個別データ#4〜#6の組合せを新たに保存する。
これにより、第1チューナ1−1および第2チューナ1−2は、放送局#1〜#6のうちいずれのチャンネルが選択されても、すぐさまトランスポートストリームをデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
端末2は、接続された2台のチューナ1にチャンネルを分配してチャンネルスキャンを実行させる。よって1台で実行するのと比べ、チャンネルスキャンに要する時間は、1/2になる。
なお、3台のチューナ1が端末2に同時に接続された場合、端末2は、接続された各チューナ1にチャンネルを2個ずつ分配してチャンネルスキャンを実行させる。このとき、チャンネルスキャンに要する時間は、1/3になる。
【0066】
以上説明した第2の実施形態のチューナ1は、各自に分配されたチャンネルリストに基づいて局個別データを並行して受信し、受信した局個別データを相互に補完する。これにより、第2の実施形態のチューナ1は、短時間にチャンネルスキャンを終了することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、局個別データを端末で保存することを特徴とする。これにより、第3の実施形態の端末は、チューナを接続して1度だけチャンネルスキャンを行えばよく、以降のチャンネルスキャンは不要である。
【0068】
図10は、第3の実施形態に於けるデジタル放送のチューナ1Bと第1端末2B−1を示す概略の構成図である。
図1に示す第1の実施形態のチューナ1や端末2と同一の要素には同一の符号を付与している。
図10に示すように、デジタル放送の第1チューナ1B−1は、第1の実施形態と同様に、USBケーブル8を介して第1端末2B−1に接続される。更に第2チューナ1B−2は、他のUSBケーブル8を介して第1端末2B−1に接続される。これら第1チューナ1B−1や第2チューナ1B−2は、ソフトウェアCAS方式に対応している。
【0069】
第3の実施形態の第1チューナ1B−1は、第1の実施形態の局個別データ保存部15に代わって揮発性メモリ16上に局個別データ保存部161を備えている。第3の実施形態の揮発性メモリ16は、第1の実施形態の第1チューナ固有鍵Kt−1に代わって共通鍵Kaを保存している。それ以外は、第1の実施形態の第1チューナ1−1と同様に構成される。第2チューナ1B−2は、第1チューナ1B−1と同様に構成されている。以下、第1チューナ1B−1、第2チューナ1B−2、…などを特に区別しないときには、単にチューナ1Bと記載する。
局個別データ保存部161は、EMM受信部141が生成した局個別データを保存するものである。局個別データ保存部161は、揮発性メモリ16上に構成される。よって、局個別データ保存部161に保存された局個別データは、電源オフによって失われる。
共通鍵Kaは、第1チューナ1B−1、第2チューナ1B−2、…などで共通する暗号鍵である。共通鍵Kaは、例えば、鍵生成部192により、各チューナ1Bに共通するシード鍵に基づいて生成される。各チューナ1Bに共通する静的データには、シード鍵のみが含まれ、共通鍵Kaが含まれないので、共通鍵Kaの秘匿性を高めることができる。
【0070】
第3の実施形態の第1端末2B−1は、第1の実施形態の端末2と同様の構成に加えて、不揮発性メモリ上に構成された局個別データ保存部25を備えている。揮発性メモリ26は、第1端末固有鍵Ku−1を保存している。第1端末固有鍵Ku−1は、この第1端末2B−1に固有の鍵である。第1端末固有鍵Ku−1は、鍵生成部292により、この第1端末2B−1に固有な識別情報に基づいて生成される。
局個別データ保存部25は、チューナ1Bがチャンネルスキャンで受信した局個別データを保存するものである。局個別データ保存部25は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ上に構成される。よって、局個別データ保存部25に保存された局個別データは、電源がオフされても失われることなく保存される。これにより、第1端末2B−1は、再び電源オンしたときに、チューナ1に放送波をデスクランブルさせ、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
【0071】
図11は、第3の実施形態に於けるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。
図2に示す第1の実施形態のチャンネルスキャン処理と同一の要素には同一の符号を付与している。
ここでは、
図10に示す第1チューナ1B−1を例として、チャンネルスキャン処理を説明する。第1チューナ1B−1の認証処理部191が、この第1チューナ1B−1が第1端末2B−1に新たに接続されたことを認証すると、以下に示すチャンネルスキャン処理が開始される。
ステップS10〜S12の処理は、
図2のステップS10〜S12の処理と同様である。
ステップS13Bに於いて、第1チューナ1B−1の制御部19は、揮発性メモリ16に保存された局個別データを、揮発性メモリ16に保存された共通鍵Kaで暗号化する。
ステップS14Bに於いて、第1チューナ1B−1の制御部19は、共通鍵Kaで暗号化した局個別データを局個別データ保存部161に保存する。
【0072】
ステップS15に於いて、第1チューナ1B−1の制御部19は、チャンネルリストに含まれるすべてのチャンネルの処理が終了したか否かを判断する。制御部19は、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS10の処理に戻り、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS16の処理を行う。
ステップS16に於いて、局個別データ保存処理(
図12参照)が呼び出される。ステップS16の処理が終了すると、
図11の処理は終了する。
【0073】
図12は、第3の実施形態に於ける第1チューナと第1端末間の局個別データ保存処理を示すフローチャートである。
第1チューナ1B−1が第1端末2B−1に接続され、かつ、チャンネルスキャン処理が完了すると、局個別データ保存処理が開始される。
ステップS50〜S54は、第1チューナ1B−1と第1端末2B−1との間でシード鍵を交換して、共通する通信用鍵を生成する処理である。
【0074】
ステップS50に於いて、第1チューナ1B−1の制御部19は、第1シード鍵Kb−1を生成する。
ステップS51に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、第2シード鍵Kb−2を生成する。
ステップS52に於いて、第1チューナ1B−1と第1端末2B−1とは、生成したシード鍵を交換する。すなわち、第1チューナ1B−1は、第1端末2B−1に、第1シード鍵Kb−1を送信する。第1端末2B−1は、第1シード鍵Kb−1を受信する。第1端末2B−1は、第1チューナ1B−1に、第2シード鍵Kb−2を送信する。第1チューナ1B−1は、第2シード鍵Kb−2を受信する。
【0075】
ステップS53に於いて、第1チューナ1B−1は、鍵生成部192により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。第1端末2B−1は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。
ステップS54に於いて、第1チューナ1B−1は、鍵生成部192により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。第1端末2B−1は、鍵生成部292により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
【0076】
ステップS55〜S59の処理は、局個別データ保存部161に保存された局個別データを、第1端末2B−1に転送して保存する処理である。
ステップS55に於いて、第1チューナ1B−1の制御部19は、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データを、暗号処理部17aにより、第1通信用鍵Kc−1で更に暗号化し、揮発性メモリ16に保存する。これにより、局個別データは、共通鍵Kaと第1通信用鍵Kc−1とで二重に暗号化された状態となる。
ステップS56に於いて、第1チューナ1B−1の制御部19は、不図示のTSIDリストと、共通鍵Kaと第1通信用鍵Kc−1とで二重に暗号化された状態の局個別データとを、第1端末2B−1に送信する。このTSIDリストは、各チャンネル(放送局)を識別する情報である。
【0077】
ステップS57に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、第1チューナ1B−1から受信した局個別データを、復号処理部27bにより、第1通信用鍵Kc−1で復号する。これにより、局個別データは、共通鍵Kaで暗号化された状態に戻る。
ステップS58に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データを、暗号処理部27aにより、第1端末固有鍵Ku−1で更に暗号化する。これにより、局個別データは、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1とで二重に暗号化された状態となる。
ステップS59に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1とで二重に暗号化された状態の局個別データを、局個別データ保存部25に保存し、
図12の処理を終了する。
このように、第1端末2B−1の制御部29は、第三者により傍受されやすい不揮発性メモリに局個別データを保存する前に、この局個別データを二重に暗号化している。これにより、局個別データの不正利用を防ぎ、放送コンテンツを保護することができる。
【0078】
図13(a)〜(d)は、第3の実施形態に於ける第1チューナと第1端末間の通信用鍵の生成動作を示す図である。
図13(a)は、
図12のステップS51の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1B−1の揮発性メモリ16には、第1シード鍵Kb−1が生成される。第1端末2B−1の揮発性メモリ26には、第2シード鍵Kb−2が生成される。
【0079】
図13(b)は、
図12のステップS52の処理の前半を示す図である。
第1チューナ1B−1の第1シード鍵Kb−1は、USBケーブル8を介して第1端末2B−1に送信される。第1端末2B−1は、自身の揮発性メモリ26に、第1シード鍵Kb−1を保存する。
【0080】
図13(c)は、
図12のステップS52の処理の後半を示す図である。
第1端末2B−1の第2シード鍵Kb−2は、USBケーブル8を介して第1チューナ1B−1に送信される。第1チューナ1B−1は、自身の揮発性メモリ16に、第2シード鍵Kb−2を保存する。このようにして、第1チューナ1−1と、第1端末2B−1とは、第1シード鍵Kb−1と第2シード鍵Kb−2とを交換する。
これら第1シード鍵Kb−1と第2シード鍵Kb−2とは、秘匿性を有する鍵ではないので、第三者に傍受されても問題は発生しない。
このとき、第1チューナ1−1の第1シード鍵Kb−1は、自身の揮発性メモリ16に保存される。第1端末2B−1の第2シード鍵Kb−2は、自身の揮発性メモリ26に保存される。
【0081】
図13(d)は、
図12のステップS54の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1B−1は、鍵生成部192により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成し、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
同様に第1端末2B−1は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成し、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。シード鍵から通信用鍵を生成する鍵生成部192や鍵生成部292の演算方法は秘匿されている。よって、第三者は、USBケーブル8に流れるトラヒックを監視して第1シード鍵Kb−1を傍受したとしても、第1通信用鍵Kc−1を特定することはできない。同様に第三者は、第2シード鍵Kb−2を傍受したとしても、第2通信用鍵Kc−2を特定することはできない。
このようにして、第1チューナ1B−1、第1端末2B−1は、共通する通信用鍵を生成する。第1チューナ1B−1、第1端末2B−1は更に、第1シード鍵Kb−1や第2シード鍵Kb−2に任意の簡易暗号を掛けてもよく、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2に任意の簡易暗号を掛けてもよい。これにより、第1チューナ1B−1、第1端末2B−1は、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2の秘匿性を、更に高めることができる。
【0082】
図14(a)〜(e)は、第3の実施形態に於ける第1チューナから第1端末への局個別データの転送動作を示す図である。
図14(a),(b)は、第1チューナ1B−1の状態を示している。
図14(c)〜(e)は、第1端末2B−1の状態を示している。
図14(a)は、
図12のステップS54の処理が終了した状態を示す図である。
局個別データEaは、共通鍵Kaで暗号化された状態であり、第1チューナ1B−1の局個別データ保存部161に保存される。
図14(b)は、
図12のステップS55の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1B−1の局個別データ保存部161に保存された局個別データEa(
図14(a)参照)は、ステップS55の処理により、第1通信用鍵Kc−1で暗号化されて局個別データEacとなる。この局個別データEacは、共通鍵Kaと第1通信用鍵Kc−1とで二重に暗号化された状態であり、第1チューナ1B−1の揮発性メモリ16に保存される。
【0083】
図14(c)は、
図12のステップS56の処理が終了した状態を示す図である。
第1チューナ1B−1の揮発性メモリ16に保存された局個別データEac(
図14(b)参照)は、ステップS56の処理により、USBケーブル8を介して第1端末2B−1に送信され、揮発性メモリ26に保存される。
USBケーブル8(通信路)を介して送信した局個別データは、第三者に傍受され、不正利用させる虞がある。よって、第1チューナ1B−1は、局個別データを通信路(USBケーブル8)を介して送信する際に、この局個別データを、共通鍵Kaと第1通信用鍵Kc−1とで二重に暗号化している。これにより、局個別データEacの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0084】
図14(d)は、
図12のステップS57の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2B−1の揮発性メモリ26に保存された局個別データEac(
図14(c)参照)は、ステップS57の処理により、第1通信用鍵Kc−1で復号されて局個別データEaとなる。この局個別データEaは、共通鍵Kaで暗号化された状態である。
【0085】
図14(e)は、
図12のステップS59の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2B−1の揮発性メモリ26に保存された局個別データEa(
図14(d)参照)は、ステップS59の処理により、すぐさま第1端末固有鍵Ku−1で暗号化され、局個別データEau−1となる。この局個別データEau−1は、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1とで二重に暗号化された状態であり、第1端末2B−1の局個別データ保存部25に保存される。
このように、第1端末2B−1は、第三者によって傍受されやすい不揮発性メモリ上に局個別データEau−1を保存するときには、二重に暗号化している。これにより、局個別データEau−1の不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0086】
図15は、第3の実施形態に於ける第1端末と第2チューナ間の局個別データ補完処理を示すフローチャートである。
新たに第2チューナ1B−2が第1端末2B−1に接続されると、局個別データ補完処理が開始される。
ステップS60〜S64は、第1端末2B−1と第2チューナ1B−2との間でシード鍵を交換して、共通する通信用鍵を生成する処理である。
【0087】
ステップS60に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、第1シード鍵Kb−1を生成する。
ステップS61に於いて、第2チューナ1B−2の制御部19は、第2シード鍵Kb−2を生成する。
ステップS62に於いて、第1端末2B−1と第2チューナ1B−2とは、生成したシード鍵を交換する。すなわち、第1端末2B−1は、第2チューナ1B−2に、第1シード鍵Kb−1を送信する。第2チューナ1B−2は、第1シード鍵Kb−1を受信する。第2チューナ1B−2は、第1端末2B−1に、第2シード鍵Kb−2を送信する。第1端末2B−1は、第2シード鍵Kb−2を受信する。
ステップS63に於いて、第1端末2B−1は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。第2チューナ1B−2は、鍵生成部192により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。
ステップS64に於いて、第1端末2B−1は、鍵生成部292により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。第2チューナ1B−2は、鍵生成部192により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
【0088】
ステップS65〜S69の処理は、局個別データ保存部25に保存された局個別データを、第2チューナ1B−2に転送して補完する処理である。
ステップS65に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1で暗号化された状態の局個別データを、復号処理部27bにより、第1端末固有鍵Ku−1で復号し、共通鍵Kaで暗号化された状態に戻す。
ステップS66に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データを、暗号処理部27aにより、第2通信用鍵Kc−2で更に暗号化する。
【0089】
ステップS67に於いて、第1端末2B−1の制御部29は、不図示のTSIDリストと、共通鍵Kaと第2通信用鍵Kc−2とで二重に暗号化された状態の局個別データを、第2チューナ1B−2に送信する。このTSIDリストは、各チャンネル(放送局)を識別する情報である。これにより、第2チューナ1B−2は、第1チューナ1B−1から受信した局個別データに基づいて、すぐさま放送波をデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
ステップS68に於いて、第2チューナ1B−2の制御部19は、第1端末2B−1から受信した局個別データを、復号処理部17bにより、第2通信用鍵Kc−2で復号する。これにより、局個別データは、共通鍵Kaで暗号化された状態に戻る。
【0090】
ステップS69に於いて、第2チューナ1B−2の制御部19は、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データを、局個別データ保存部161に保存し、
図15の処理を終了する。これにより、第2チューナ1B−2は、局個別データを補完して、いずれかのチャンネルが選局されたときに、すぐさまデスクランブルすることができる。
【0091】
図16(a)〜(f)は、第3の実施形態に於ける第1端末から第2チューナへの局個別データの転送動作を示す図である。
図16(a)〜(c)は、第1端末2B−1の状態を示している。
図16(d)〜(f)は、第2チューナ1B−2の状態を示している。
図16(a)は、
図15のステップS64の処理が終了した状態を示す図である。
局個別データEau−1は、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1とで二重に暗号化された状態であり、第1端末2B−1の局個別データ保存部25に保存される。
【0092】
図16(b)は、
図15のステップS65の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2B−1の局個別データ保存部25に保存された局個別データEau−1(
図16(a)参照)は、ステップS65の処理により、第1端末固有鍵Ku−1で復号されて局個別データEaとなる。この局個別データEaは、共通鍵Kaで暗号化された状態であり、第1端末2B−1の揮発性メモリ26に保存される。
【0093】
図16(c)は、
図15のステップS66の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2B−1の揮発性メモリ26に保存された局個別データEa(
図16(b)参照)は、ステップS66の処理により、第2通信用鍵Kc−2で暗号化されて局個別データEacとなる。この局個別データEacは、共通鍵Kaと第2通信用鍵Kc−2とで二重に暗号化された状態である。
図16(d)は、
図15のステップS67の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2B−1の揮発性メモリ26に保存された局個別データEac(
図16(c)参照)は、ステップS67の処理により、USBケーブル8を介して第2チューナ1B−2に送信され、揮発性メモリ16に保存される。
USBケーブル8(通信路)を介して送信した局個別データは、第三者に傍受され、不正利用させる虞がある。よって、第1端末2B−1は、局個別データを通信路(USBケーブル8)を介して送信する際に、この局個別データを、共通鍵Kaと第2通信用鍵Kc−2とで二重に暗号化している。これにより、局個別データEacの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0094】
図16(e)は、
図15のステップS69の処理が終了した状態を示す図である。
第2チューナ1B−2の揮発性メモリ16に保存された局個別データEac(
図16(d)参照)は、ステップS69の処理により、第2通信用鍵Kc−2で復号されて局個別データEaとなる。この局個別データEaは、共通鍵Kaで暗号化された状態であり、第2チューナ1B−2の局個別データ保存部161に保存される。
このように、局個別データEaを揮発性メモリ16に長期間保存するときには、共通鍵Kaで暗号化している。これにより、局個別データEaの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0095】
図16(f)は、第2チューナ1B−2がデスクランブルするときの状態を示している。
共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データEa(
図16(e)参照)は、第2チューナ1B−2の復号処理部17bにより、共通鍵Kaで復号されて局個別データEとなる。この局個別データEは、暗号化されていない復号済みの状態であり、揮発性メモリ16に保存される。これにより、第2チューナ1B−2は、局個別データEに係るトランスポートストリームをデスクランブルすることができる。
第3の実施形態によれば、第1端末2B−1に接続される1台のチューナ1Bでチャンネルスキャンを実行すれば、その後に他のいずれのチューナ1Bを接続しても、接続されたチューナ1Bは、すぐさまデスクランブルすることができる。
【0096】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、局個別データを複数の端末間で共有し、補完することを特徴とする。これにより、第4の実施形態の端末は、いずれか1台の端末にチューナを接続して1度だけチャンネルスキャンを行い、端末間でネットワークを介して局個別データを共有することにより、他のすべての端末のチャンネルスキャンが不要となる。
【0097】
図17は、第4の実施形態に於けるデジタル放送のチューナと端末を示す概略の構成図である。
図17に示すように、第1端末2C−1と第2端末2C−2とは、ネットワークケーブル9を介して相互に通信可能に接続される。
第1端末2C−1には、USBケーブル8を介して第1チューナ1C−1が接続され、他のUSBケーブル8を介して第2チューナ1C−2が接続される。第2端末2C−2には、USBケーブル8を介して第3チューナ1C−3が接続される。第1チューナ1C−1から第3チューナ1C−3は、第3の実施形態の各チューナ1B(
図10参照)と同様に構成される。以下、第1チューナ1C−1などを特に区別しないときには、単にチューナ1Cと記載している。
【0098】
第1端末2C−1は、第3の実施形態の第1端末2B−1(
図10参照)と同様の構成に加えて更に、通信部24(第3通信部)を備えている。通信部24(第3通信部)は、例えばネットワークインタフェースであり、ネットワークケーブル9を介して第2端末2C−2とデータを送受信する機能を有している。
第1端末2C−1の認証処理部291は、第3の実施形態と同様の機能に加えて、ネットワークを介して検知した第2端末2C−2を認証する機能を有している。
第1端末2C−1は、揮発性メモリ26に第1端末固有鍵Ku−1を保存している。第1端末固有鍵Ku−1は、例えば、この第1端末2C−1の固有情報に基づいて演算される。第2端末2C−2は、揮発性メモリ26に、第1端末固有鍵Ku−1とは異なる第2端末固有鍵Ku−2を保存している。以下、第1端末2C−1などを特に区別しないときには、単に端末2Cと記載している。
【0099】
図18(a),(b)は、第4の実施形態に於けるユーザ認証の動作を示す図である。
図18(a)に示すように、第1ユーザ3−1は、第1端末2C−1と第2端末2C−2とを有している。
図18(a)では、第1ユーザ3−1と第1端末2C−1とを接続する破線および第1ユーザ3−1と第2端末2C−2とを接続する破線により、第1ユーザ3−1が所有する装置を示している。これら第1端末2C−1と第2端末2C−2には、第1チューナ1C−1、第2チューナ1C−2、第3チューナ1C−3が相互に接続される。
【0100】
第2ユーザ3−2は、第3端末2C−3を有している。
図18(a)では、第2ユーザ3−2と第3端末2C−3とを接続する破線により、第2ユーザ3−2が所有する装置を示している。この第3端末2C−3は、第4チューナ1C−4が接続される。
第1端末2C−1と第2端末2C−2とは、どちらも第1ユーザ3−1が有しているものなので、相互に局個別データを共有して補完することができる。第1端末2C−1と第2端末2C−2とは、例えば、IDとパスワードによる認証、顔認証、指紋認証、声帯認証、骨格認証、静脈認証、その他生体認証によって、共通するユーザによって所有されていることを認証する。また、これに限られず、第1端末2C−1と第2端末2C−2とは、ユーザの家族によって所有されていることを認証してもよい。
【0101】
第3端末2C−3の所有者は異なるので、第3端末2C−3は、第1端末2C−1や第2端末2C−2と認証しない。このとき、第3端末2C−3は、第1端末2C−1や第2端末2C−2と局個別データを共有しないように動作する。第1端末2C−1や第2端末2C−2は、第3端末2C−3と局個別データを共有しないように動作する。これにより、端末2Cが保存する局個別データの秘匿性を高めることができる。
【0102】
図18(b)に示すように、端末2Cは、ネットワークを介して他の端末2Cを検知したならば、ユーザ認証処理を開始する。
ステップS90に於いて、端末2Cは、認証処理部291により、ネットワークを介して検知した他の端末との間で、IDとパスワードによる認証を行う。
ステップS91に於いて、端末2Cは、他の端末の認証に成功したか否かを判断する。端末2Cは、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS92の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、
図18(b)の処理を終了する。
ステップS92に於いて、端末2Cは、他の端末との間で局個別データ補完処理(
図19参照)を実行する。端末2Cは、ステップS92の処理が終了すると、
図18(b)の処理を終了する。
このユーザ認証処理により、局個別データを相互に補完する端末2Cは、認証に成功したものに限られる。端末2Cの局個別データは、不特定のユーザの端末2Cには補完されない。よって、局個別データの秘匿性を高めることができる。
【0103】
図19は、第4の実施形態に於ける局個別データ補完処理を示すフローチャートである。
第1端末2C−1と第2端末2C−2とが相互に通信し、かつ、
図18(b)に示すユーザ認証処理が成功すると、局個別データ補完処理が開始される。
ステップS70〜S74は、第1端末2C−1と第2端末2C−2との間でシード鍵を交換して、共通する通信用鍵を生成する処理である。
【0104】
ステップS70に於いて、第1端末2C−1の制御部29は、第1シード鍵Kb−1を生成する。
ステップS71に於いて、第2端末2C−2の制御部29は、第2シード鍵Kb−2を生成する。
ステップS72に於いて、第1端末2C−1と第2端末2C−2とは、生成したシード鍵を交換する。すなわち、第1端末2C−1は、第2端末2C−2に、第1シード鍵Kb−1を送信する。第2端末2C−2は、第1シード鍵Kb−1を受信する。第2端末2C−2は、第1端末2C−1に、第2シード鍵Kb−2を送信する。第1端末2C−1は、第2シード鍵Kb−2を受信する。
【0105】
ステップS73に於いて、第1端末2C−1は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。第2端末2C−2は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成する。
ステップS74に於いて、第1端末2C−1は、鍵生成部292により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。第2端末2C−2は、鍵生成部292により、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
【0106】
ステップS75〜S79の処理は、第1端末2C−1の局個別データ保存部25に保存された局個別データを、第2端末2C−2に転送して保存する処理である。
ステップS75に於いて、第1端末2C−1の制御部29は、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1とで二重に暗号化された状態の局個別データEau−1を、復号処理部27bにより、第1端末固有鍵Ku−1で復号して共通鍵Kaで暗号化された状態に戻し、揮発性メモリ26に保存する。
【0107】
ステップS76に於いて、第1端末2C−1の制御部29は、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データを、暗号処理部27aにより、第2通信用鍵Kc−2で更に暗号化する。
ステップS77に於いて、第1端末2C−1の制御部29は、不図示のTSIDリストと、共通鍵Kaと第2通信用鍵Kc−2とで二重に暗号化された状態の局個別データEacとを、第2端末2C−2に送信する。このTSIDリストは、各チャンネル(放送局)を識別する情報である。
ステップS78に於いて、第2端末2C−2の制御部29は、第1端末2C−1から受信した局個別データEacを、復号処理部27bにより、第2通信用鍵Kc−2で復号する。局個別データEacは、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データEaに戻る。
このように、第三者に傍受されやすい通信路を送信する際に、第1端末2C−1の制御部29は、局個別データEaを第2通信用鍵Kc−2で更に暗号化している。第2端末2C−2の制御部29は、第1端末2C−1から受信した局個別データを、第2通信用鍵Kc−2で復号している。これにより、局個別データEacの不正利用を防ぎ、放送されるコンテンツを保護することができる。
【0108】
ステップS79に於いて、第2端末2C−2の制御部29は、共通鍵Kaで暗号化された状態の局個別データEaを、暗号処理部27aにより、第2端末固有鍵Ku−2で更に暗号化する。これにより、局個別データEaは、共通鍵Kaと第2端末固有鍵Ku−2とで二重に暗号化された状態の局個別データEau−2となる。
ステップS80に於いて、第2端末2C−2の制御部29は、二重に暗号化された状態の局個別データEau−2を局個別データ保存部25に保存し、
図19の処理を終了する。
これにより、第2端末2C−2は、電源オンしたときに局個別データ保存部25に保存された局個別データに基づいて、すぐさま放送波をデスクランブルし、ユーザを待たせることなく番組を再生できる。
【0109】
図20(a)〜(d)は、第4の実施形態に於ける通信用鍵の生成動作を示す図である。
図20(a)は、
図19のステップS71の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2C−1の揮発性メモリ26には、第1シード鍵Kb−1が生成される。第2端末2C−2の揮発性メモリ26には、第2シード鍵Kb−2が生成される。
【0110】
図20(b)は、
図19のステップS72の処理の前半を示す図である。
第1端末2C−1の第1シード鍵Kb−1は、ネットワークケーブル9を介して第2端末2C−2に送信される。第2端末2C−2は、自身の揮発性メモリ26に、第1シード鍵Kb−1を保存する。
【0111】
図20(c)は、
図19のステップS72の処理の後半を示す図である。
第2端末2C−2の第2シード鍵Kb−2は、ネットワークケーブル9を介して第1端末2C−1に送信される。第1端末2C−1は、自身の揮発性メモリ26に、第2シード鍵Kb−2を保存する。このようにして、第1端末2C−1と、第2端末2C−2とは、第1シード鍵Kb−1と第2シード鍵Kb−2とを交換し、各自の揮発性メモリ26に保存する。これら第1シード鍵Kb−1と第2シード鍵Kb−2とは、秘匿性を有する鍵ではないので、第三者に傍受されても問題は発生しない。
このとき、第1端末2C−1の第1シード鍵Kb−1は、自身の揮発性メモリ26に保存される。第2端末2C−2の第2シード鍵Kb−2は、自身の揮発性メモリ26に保存される。
【0112】
図20(d)は、
図19のステップS74の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2C−1は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成し、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。
同様に第2端末2C−2は、鍵生成部292により、第1シード鍵Kb−1に基づいて第1通信用鍵Kc−1を生成し、第2シード鍵Kb−2に基づいて第2通信用鍵Kc−2を生成する。シード鍵から通信用鍵を生成する鍵生成部292の演算方法は秘匿されている。よって、第三者は、ネットワークケーブル9に流れるトラヒックを監視して第1シード鍵Kb−1を傍受したとしても、第1通信用鍵Kc−1を特定することはできない。同様に第三者は、第2シード鍵Kb−2を傍受したとしても、第2通信用鍵Kc−2を特定することはできない。
【0113】
このようにして、第1端末2C−1、第2端末2C−2は、共通する通信用鍵を生成する。第1端末2C−1、第2端末2C−2は更に、第1シード鍵Kb−1や第2シード鍵Kb−2に任意の簡易暗号を掛けてもよく、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2に任意の簡易暗号を掛けてもよい。これにより、第1端末2C−1、第2端末2C−2は、第1通信用鍵Kc−1や第2通信用鍵Kc−2の秘匿性を、更に高めることができる。
【0114】
図21(a)〜(f)は、第4の実施形態に於ける局個別データの転送動作を示す図である。
図21(a)〜(c)は、第1端末2C−1の状態を示している。
図21(d)〜(f)は、第2端末2C−2の状態を示している。
図21(a)は、
図19のステップS74の処理が終了した状態を示す図である。
局個別データEau−1は、共通鍵Kaと第1端末固有鍵Ku−1とで二重に暗号化された状態であり、第1端末2C−1の局個別データ保存部25に保存される。
【0115】
図21(b)は、
図19のステップS75の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2C−1の局個別データ保存部25に保存された局個別データEau−1(
図21(a)参照)は、ステップS75の処理により、第1端末固有鍵Ku−1で復号されて局個別データEaとなる。この局個別データEaは、共通鍵Kaで暗号化された状態であり、第1端末2C−1の揮発性メモリ26に保存される。
【0116】
図21(c)は、
図19のステップS76の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2C−1の揮発性メモリ26に保存された局個別データEa(
図21(b)参照)は、ステップS76の処理により、第2通信用鍵Kc−2で暗号化されて局個別データEacとなる。この局個別データEacは、共通鍵Kaと第2通信用鍵Kc−2で暗号化された状態であり、第1端末2C−1の揮発性メモリ26に保存される。
【0117】
図21(d)は、
図19のステップS77の処理が終了した状態を示す図である。
第1端末2C−1の揮発性メモリ26に保存された局個別データEac(
図21(c)参照)は、共通鍵Kaと第2通信用鍵Kc−2とで二重に暗号化された状態である。この局個別データEac(
図21(c)参照)は、ステップS77の処理により、ネットワークケーブル9を介して第2端末2C−2に送信され、揮発性メモリ26に保存される。
図21(e)は、
図19のステップS78の処理が終了した状態を示す図である。
第2端末2C−2の揮発性メモリ26に保存された局個別データEac(
図21(d)参照)は、ステップS78の処理により、第2通信用鍵Kc−2で復号されて局個別データEaとなる。この局個別データEaは、共通鍵Kaで暗号化された状態であり、第2端末2C−2の揮発性メモリ26に保存される。
【0118】
図21(f)は、
図19のステップS79の処理が終了した状態を示す図である。
第2端末2C−2の揮発性メモリ26に保存された局個別データEa(
図21(e)参照)は、ステップS79の処理により、第2端末固有鍵Ku−2で暗号化されて局個別データEau−2となる。この局個別データEau−2は、共通鍵Kaと第2端末固有鍵Ku−2とで二重に暗号化された状態であり、第2端末2C−2の局個別データ保存部25に保存される。局個別データ保存部25は、不揮発性メモリ上に構成される。
これにより、第2端末2C−2は、自身の電源をオフしても局個別データEau−2は消失しないので、他の端末2Cから一度だけ局個別データを受信することにより、接続されたチューナ1Cに、選択したチャンネルをすぐさまデスクランブルさせることができる。
【0119】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(g)のようなものがある。
【0120】
(a) 第1、第2の実施形態の各チューナ1は、USBケーブル8を介して端末2と接続される。しかし、これに限られず、各チューナ1は、無線LAN(Local Area Network)や有線ネットワークケーブルなどのネットワークや、PCI(Peripheral Components Interconnect bus)、PCI Expressなどのバスを介して、端末2と接続されてもよい。
【0121】
(b) 第1、第2の実施形態の各チューナ1は、端末2を介して通信することにより、局個別データを相互に補完する。しかし、これに限られず、各チューナ1は、端末2を介さずに、無線LANなどのネットワークを介して直接通信し、局個別データを相互に補完してもよい。
【0122】
(c) 第3の実施形態の各チューナ1Bや端末2Bは、共通鍵と通信用鍵で暗号化された状態の局個別データを、USBケーブル8を介して通信している。しかし、これに限られず、各チューナ1Bや端末2Bは、共通鍵のみで暗号化された状態の局個別データを、USBケーブル8を介して通信してもよい。
【0123】
(d) 第3の実施形態の端末2Bは、共通鍵と固有鍵で暗号化された状態の局個別データを局個別データ保存部25に保存している。しかし、これに限られず、端末2Bは、共通鍵のみで暗号化された状態の局個別データを、局個別データ保存部25に保存してもよい。
【0124】
(e) 第4の実施形態の複数の端末2Cは、局個別データをネットワークケーブル9を介して共有する。しかし、これに限られず、複数の端末は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線LAN、BlueTooth(登録商標)、NFC(near field communication:登録商標)、赤外線、Zigbee(登録商標)、Wi−SUN(登録商標)など、任意の通信形式を介して、局個別データを共有してもよい。
【0125】
(f) 第4の実施形態は、端末2C相互の認証に限られず、各チューナ1Cと端末2Cとを紐付けてもよい。更に、各チューナ1Cと端末2Cとの紐付けに加えて、ユーザとの紐付けを行い、これらの紐付けの中でのみ、各チューナ1Cと端末2Cとは、局個別データの共有を許可するようにしてもよい。これにより、局個別データは、不特定多数に対して流出することがなくなるので、この局個別データの秘匿性を高め、よって、放送コンテンツを保護することができる。
【0126】
(g) 第1の実施形態に於いて、各チャンネルを識別する情報のTSIDが、局個別データそれぞれに紐付けられている。しかし、これに限られず、各チャンネルを識別する情報には、放送局名、チャンネル番号、プログラム番号、ネットワーク番号、または、地域識別グループのいずれが用いられていてもよい。